JP5627269B2 - コンクリート構造物の剪断補強方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カルバート構造物などの剪断力が作用する既設のコンクリート構造物の補強方法に関するものである。
近年、既成配管用の地下トンネルや地下通路あるいは暗渠等に広く採用されている既成のカルバート構造物に対して、地震等により壁面に作用する剪断力に対する補強の必要性が指摘されている。
カルバート構造物は地中に埋設されていることから、外壁の外側からの補強を行うには周囲を掘り起こさなければならず、工事が大掛かりになってしまうので、外壁の内側の面から外壁を補強する方法が一般に行われている。
図9に示すように、断面が長方形であるボックスカルバート20においては、外壁21の剪断力に対する補強がなされる部分は主に外壁21の側壁24であり、同図の符号24aで示す側壁24の内側の面が補強工事を行う側の面(補強面)となる。なお、同図の符号25で示す隔壁(内壁)にも剪断補強を行う場合もある。
図10は、従来のボックスカルバート20の剪断補強方法の一例を示す図で、側壁24の補強面24aに、主鉄筋26と配力鉄筋27との間を、補強面24a側から側壁24の内部、すなわち、側壁24の地山Gに接している側の面(外面)24bに向かう方向に延長する長穴51を形成し、この長穴51の内部に、剪断補強部材として、表面にリブなどの凹凸の突起を設けた異形鉄筋52を挿入した後、長穴51と異形鉄筋52との間の空隙にセメントモルタルなどの充填材53を充填して異形鉄筋52を長穴51内に固定することで、異形鉄筋52を側壁24のコンクリートと一体化してボックスカルバート20を剪断補強する。
異形鉄筋52は、側壁24の補強面24aにほぼ垂直な方向に挿入されているので、剪断力によりコンクリート内に発生する引張応力を分担することができる。したがって、異形鉄筋52を側壁24に所定の間隔で多数本配置することで、ボックスカルバート20の剪断耐力を向上させることができる(例えば、特許文献1参照)。
なお、コンクリート構造物の剪断補強方法としては、図11(a),(b)に示すような、両端に円板状の固化具62mを備えた剪断補強部筋62を長穴61に挿入してグラウトで固定する方法や、鋼管72を長穴71に挿入してグラウトで固定する方法などが提案されている(例えば、特許文献2,3参照)。
特開2003−113673号公報 特開2005−105808号公報 特開2007−204984号公報
しかしながら、前記特許文献1〜3に記載の剪断補強法に用いられる異形鉄筋52や、剪断補強部筋62、鋼管72等の剪断補強部材は、その長さが補強すべき側壁24の厚さ寸法に近いため、補強面24aの近くに既成の既成配管等の障害物がある場合には、剪断補強部材を長穴51(または、長穴61,71)に挿入することが困難であった。
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、作業空間が狭い場合でも、コンクリート構造物を剪断補強できる方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、鋭意検討の結果、剪断補強部材として、可撓性の部材でありながら、マトリックス樹脂(固化用樹脂)を含浸させて固化させることで鉄の約10倍という高い引張強度を発現する炭素繊維シートやアラミド繊維シートなどの高強度繊維シートを用いるととともに、この高強度繊維シートを袋状にした状態で補強部材挿入穴に挿入して膨らませた後、この高強度繊維シートに固化用樹脂を含浸させて固化させるようにすれば、補強面側に障害物があった場合でも、コンクリート構造物を補強できることを見出し本発明に到ったものである。
すなわち、本願発明は、既設のコンクリート構造物に補強面から内部に向かって延長する補強部材挿入穴を形成し、この補強部材挿入穴の内部に剪断補強部材を挿入して固定し、前記コンクリート構造物を補強するコンクリート構造物の剪断補強方法であって、固化用樹脂を含浸させて固化した後の引張強度が2500N/mm2以上である高強度繊維シートから成る一端が開口した袋状の剪断補強部材、もしくは、一端が開口した袋状のシートの外周側面に前記高強度繊維シートを配置して成る剪断補強部材を、前記補強部材挿入穴に挿入するステップと、前記剪断補強部材を膨らませて前記高強度繊維シートを前記補強部材挿入穴の内壁に押し付けるステップと、前記剪断補強部材の内側から前記高強度繊維シートに前記固化用樹脂を含浸させて固化するステップと、前記剪断補強部材の内側に充填材を充填するステップとを備えたことを特徴とする。
これにより、補強面側に障害物があった場合でも、補強部材挿入穴の内壁に剪断補強部材として機能する樹脂含浸高強度繊維シートを配置することができるので、コンクリート構造物を確実に補強することができる。また、高強度繊維シートは軽量であるので作業性に優れているとともに、樹脂含浸高強度繊維シートは、鉄の約10倍(引張強度;2500〜3800N/mm2程度)の引張強度を有し、かつ、断面が円状もしくは円弧状の補強部材挿入穴軸方向に連続したシートなので、剪断補強筋と同等以上の剪断補強効果を得ることができる。
また、本願発明は、前記剪断補強部材を前記補強部材挿入穴に挿入するステップの前に、前記補強部材挿入穴の内壁に前記固化用樹脂を予め塗布するステップを設けたことを特徴とする。
これにより、高強度繊維シートの両面から固化用樹脂を含浸させることができるので、高強度繊維シートとしての機能を確実に発揮させることができる。
また、本願発明は、前記剪断補強部材を前記補強部材挿入穴に挿入するステップにおいて、前記剪断補強部材の開口部から圧搾空気やエポキシ樹脂などの流体を注入して前記剪断補強部材を膨らませながら前記補強部材挿入穴に挿入することを特徴とする。
これにより、剪断補強部材は膨みながら補強部材挿入穴の奥側へと移動するので、剪断補強部材の挿入が容易となる。
また、本願発明は、前記剪断補強部材を、前記補強部材挿入穴の穴径よりも小さい蓋部材と、一方の端部が前記蓋部材の周縁部に取付けられた筒状の高強度繊維シート、もしくは、外周側面に高強度繊維シートが配置された筒状のシートとから構成したことを特徴とする。
これにより、周面に高強度繊維シートが配置された袋状の剪断補強部材を容易に作製することができる。
また、本願発明は、前記筒状のシートの開口部から押し込み部材を挿入して前記蓋部材を前記補強部材挿入穴の内部に押し込むことで、前記剪断補強部材を前記補強部材挿入穴に挿入することを特徴とする。
これにより、剪断補強部材を補強部材挿入穴に容易にかつ確実に挿入することができるので、剪断補強作業を効率よく行うことができる。
また、本願発明は、前記蓋部材に空気抜き用の切欠き部を設けて、補強部材挿入穴内にあった空気を穴外ヘ排出できるようにしたものである。
これにより、剪断補強部材の挿入時の抵抗が少なくなり挿入が容易になるとともに、剪断補強部材の先端に空気溜まりが生じることがないので、コンクリート構造物を確実に補強することができる。
また、本願発明は、既設のコンクリート構造物に補強面から内部に向かって延長する補強部材挿入穴を形成し、この補強部材挿入穴の内部に剪断補強部材を挿入して固定し、前記コンクリート構造物を補強するコンクリート構造物の剪断補強方法であって、固化用樹脂を含浸させて固化した後の引張強度が2500N/mm2以上である高強度繊維シートから成る一端が開口した袋状の剪断補強部材、もしくは、一端が開口した袋状のシートの外周側面に前記高強度繊維シートを配置して成る剪断補強部材を、前記補強部材挿入穴に挿入するステップと、前記剪断補強部材の内側から前記固化用樹脂を注入して前記高強度繊維シートに含浸させるとともに、前記高強度繊維シートと前記補強部材挿入穴との間の空隙に前記固化用樹脂を充填するステップとを備えたことを特徴とする。
これにより、補強面側に障害物があった場合でも、補強部材挿入穴の内壁に剪断補強部材として機能する樹脂含浸高強度繊維シートを配置することができるとともに、固化用樹脂の含浸と補強部材挿入穴の充填とを同時にできるので、コンクリート構造物を効率よく補強することができる。
また、本発明を用いることにより、補強部材挿入穴の内壁の凹凸が大きい場合でも、高強度繊維シートが配置された補強部材挿入穴を隙間なく固化用樹脂で充填することができるので、剪断補強部材を既設のコンクリート構造物に強固に固定することができる。
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
本実施の形態1に係るボックスカルバートの補強構造を示す図である。 本発明による袋状体の一例を示す図である。 本実施の形態1に係るコンクリート構造物の剪断補強方法を示す図である。 本実施の形態1に係るコンクリート構造物の剪断補強方法を示す図である。 本実施の形態1に係るコンクリート構造物の剪断補強方法を示す図である。 本発明によるコンクリート構造物の剪断補強構造の他の例を示す図である。 本発明による袋状体の他の構成を示す図である。 本実施の形態2に係るボックスカルバートの補強構造を示す図である。 ボックスカルバートとその補強面を示す図である。 従来のボックスカルバートの剪断補強方法の一例を示す図である。 従来のボックスカルバートの剪断補強方法の他の例を示す図である。
以下、実施の形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また、実施の形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
実施の形態1.
図1(a)〜(c)は、本実施の形態1に係るボックスカルバート20の補強構造を示す図で、同図において、11は補強部材挿入穴、12は剪断補強部材、13は充填材、21はボックスカルバート20の外壁である。外壁21は、天井壁22と床壁23と2枚の側壁24とを備えた断面が長方形枠状をなす鉄筋コンクリート構造物である。このボックスカルバート20は、地山Gに、図1の紙面の裏側から表側に向かう方向に延長するように埋設されている。また、25は壁22〜24に囲まれた空間を仕切る隔壁、26は主鉄筋、27は配力鉄筋、28は側壁24と隔壁25との内部空間に設けられて、ボックスカルバート20の長手方向に延長する既成配管である。
既成配管28としては、電源ケーブルなどを収納する電気設備用既成配管や、水道管、ガス管などが挙げられる。本例においては、既成配管28と側壁24の間には、点検などのために検査員が作業できるだけの空間はあるが、既成配管28と側壁24との距離は、補強部材挿入穴11の長さよりも短い。
補強部材挿入穴11は、ボックスカルバート20の主鉄筋26と配力鉄筋27との間のコンクリートを、ドリル等の穿孔手段、もしくは、ウオータジェット装置を用いて形成される。補強部材挿入穴11の延長方向は、側壁24の内側の面である補強面24aから側壁24の地山G側の面(外面)24bに向かう方向に延長する方向、すなわち、補強面24aにほぼ垂直な方向である。
剪断補強部材12は本体12aと蓋部材12bとを備える。
本体12aは、樹脂含浸高強度繊維シートから成る円筒状の部材で、樹脂含浸高強度繊維シートは、エポキシ樹脂などのマトリックス樹脂(固化用樹脂)を高強度繊維シートに含浸させて固化させることで、高強度を発現させたものである。なお、固化用樹脂の含浸・固化後の高強度繊維シートの引張強度は、2500〜3800N/mm2である。
本例では、高強度繊維シートとして炭素繊維シートを用いているが、アラミド繊維シートなど他の高強度繊維シートを用いてもよい。
なお、後述するように、本体12aは、補強部材挿入穴11への挿入前は未処理状態であり、挿入後に固化用樹脂を含浸して固化させることで、高強度を発現する。
蓋部材12bは、円筒状に成形された未固化状態の炭素繊維シートの一端を取付けるための円板状の部材で、その径は補強部材挿入穴11の穴径よりも小さい。本体12aの他端は開放されている。
以下、補強部材挿入穴11内に挿入される、本体12aが未処理状態である剪断補強部材12を袋状体12Zという。
充填材13は、モルタルから成り、剪断補強部材12の内側に充填される。
袋状体12Zは、補強部材挿入穴11の形成前に予め準備しておくことが好ましい。
図2は袋状体12Zの一例を示す図で、この例では、蓋部材12bを予めエポキシ樹脂などの固化用樹脂を含浸させて固化させた炭素繊維シートから成る円板とし、この蓋部材12bの周縁部に、含浸・固化後に、本体12aとなる円筒状の炭素繊維シート12rの一端を取付ける。なお、他端は開放されて開口部12sを形成する。なお、図2の符号12kは、空気抜き用の切欠き部である。
円筒状の炭素繊維シート12rを蓋部材12bに取り付ける方法としては、蓋部材12bの周縁部に円筒状の炭素繊維シート12rの一端を仮止めした後、接合部分にエポキシ樹脂を含浸させて固化させる方法が最も容易である。なお、未処理状態の炭素繊維シートから成る円板と円筒状の炭素繊維シート12rとを仮止めした後、前記炭素繊維シートを同時に含浸・固化させてもよい。
蓋部材12bは補強部材挿入穴11に挿入する側に設けられるので、円筒状の炭素繊維シート12rの開口部12sから圧搾空気を袋状体12Z内に導入すれば、蓋部材12bが圧搾空気の圧力により補強部材挿入穴11の奥側に押されるので、袋状体12Zを補強部材挿入穴11に挿入することができる。
また、開口部12sから押棒など押し込み部材を用いて蓋部材12bを補強部材挿入穴11の奥側に挿入してもよい。エポキシ樹脂を含浸する前の本体12aは弾性及び可撓性を有するので、袋状体12Zを補強部材挿入穴11に確実に挿入できる。なお、押し棒としては、先端に蓋部材12bを押す棒状もしくは管状の部材を継ぎ足したものを用いることができる。棒状もしくは管状の部材の継ぎ足しは補強部材挿入穴11の外側で行う。
次に、本発明によるボックスカルバート20の剪断補強方法について説明する。
まず、図3に示すように、高圧式ウオータジェット装置30を用いて、側壁24の補強面24aに補強部材挿入穴11を形成した後、袋状体12Zを補強部材挿入穴11内に挿入する。なお、本例では、補強部材挿入穴11の穴径を45mm、炭素繊維シートの厚さを0.2mmとした。
高圧式ウオータジェット装置30は、200MPa以上の超高圧水を発生させる高圧水発生装置31から高圧ホース32を介して圧送された高圧水を、噴射ノズル33により側壁24の補強面24aに噴出させて側壁24のコンクリートを掘削する装置で、ドリル等の穿孔手段のように既設鉄筋を損傷する恐れがない。したがって、主鉄筋26及び配力鉄筋27に影響を与えることなく、補強部材挿入穴11を形成することができる。
噴射ノズル33を推進する際には、掘削に伴って、噴射ノズル33を支持する支持部材34に複数の推進管35a,35b,……,35nを次々連結するとともに、補強面24a側から、最後端の推進管35nの後端部を、図示しない推進機により押して、噴射ノズル33を補強部材挿入穴11の奥側に推進させるようにすればよい。各推進管35a,35b,……,35nの長さは短いので、推進機のストロークは短くてよい。したがって、既成配管28と側壁24との間の空間が狭い場合でも、噴射ノズル33を推進させて十分な長さの補強部材挿入穴11を形成することができる。
なお、ドリル等の穿孔手段を用いる場合も同様にして穿孔手段を推進させればよい。
補強部材挿入穴11の形成後には、袋状体12Zを補強部材挿入穴11に挿入する。
なお、本例では、袋状体12Zを補強部材挿入穴11の内壁に貼り付けるとともに、炭素繊維シートの外側からもエポキシ樹脂を含浸できるように、袋状体12Zの挿入前に、補強部材挿入穴11の内壁に予めエポキシ樹脂を塗布するようにしている。
まず、袋状体12Zをある程度の長さまで補強部材挿入穴11内に押し込んだ後、図4(a)に示すように、開口部から圧搾空気を袋状体12Z内に導入して袋状体12Zを補強部材挿入穴11の奥側に挿入する。
袋状体12Zは、圧搾空気の圧力により、膨らみながら、補強部材挿入穴11内に挿入される。蓋部材12bには空気抜き用の切欠き部12kが設けてあるので、補強部材挿入穴11内にあった空気は穴外ヘ排出される。したがって、剪断補強部材12の挿入時の抵抗が少なくなり挿入が一層容易になる。
図4(b)に示すように、袋状体12Zの外周が補強部材挿入穴11の内壁に押し付けられるまで圧搾空気を導入する。本例では、補強部材挿入穴11の内壁にはエポキシ樹脂が予め塗布してあるので、本体12aの炭素繊維は、固化はしないが、エポキシ樹脂が含浸されて補強部材挿入穴11の内壁に貼り付いた状態になる。この状態で圧搾空気の供給を停止する。
次に、図5(a)に示すように、回転ブラシ36を用いて、袋状体12Zの本体12aを構成する炭素繊維シート12rにエポキシ樹脂を含浸させる。
具体的には、図示しない樹脂供給装置から回転ブラシ36の軸となる基材36aに送られたエポキシ樹脂は、基材36aに設けられた多数の貫通孔(図示せず)からブラシ状部材36b側に漏れだし、回転するブラシ状部材36bにより本体12aの内周側に塗布される。なお、樹脂供給装置を備えていない回転ブラシを用いてもよい。この場合には、ブラシ状部材にエポキシ樹脂を十分に含浸させておけばよい。
炭素繊維の隙間に入り込んだエポキシ樹脂が固化すると、各炭素繊維同士が一体化されるので、炭素繊維シートは高い引張強度を発現する。炭素繊維シートは、所定時間(塗布後、約3日)後に剪断補強部材12として機能する。本例では、炭素繊維シートの外側と内側の両方からエポキシ樹脂が含浸されるので、炭素繊維シートの高い引張強度を確実に発現させた剪断補強部材12を補強部材挿入穴11内に配置することができる。
最後に、図5(b)に示すように、充填材13であるモルタルを、剪断補強部材12の内側に充填して、側壁24の穴部をなくす。このように、剪断補強部材12の内側にモルタルを充填すれば、剪断補強部材12の剛性を高めることができるので、剪断補強効果が向上する。
このように、本実施の形態1では、高圧式ウオータジェット装置30を用いて側壁24に補強部材挿入穴11を形成し、この補強部材挿入穴11の内壁にエポキシ樹脂を塗布した後、予め作製された円板状の蓋部材12bの周縁部に本体12aとなる円筒状に成形した炭素繊維シート12rの一端を取付けた袋状体12Zの開口部12sから圧搾空気を袋状体12Z内に導入し、袋状体12Zを膨らましながら補強部材挿入穴11の奥側に挿入し、袋状体12Zを補強部材挿入穴11の内壁に貼り付けた後、回転ブラシ36を用いて炭素繊維シートにエポキシ樹脂を含浸させて固化させて炭素繊維シートを高強度化させてこれを剪断補強部材12とするとともに、充填材13であるモルタルを、剪断補強部材12の内側に充填するようにしたので、補強面24a側に既成配管28などの障害物があった場合でも、ボックスカルバート20の側壁24を容易に剪断補強することができる。
また、本例の剪断補強部材12は、通常使用されている剪断補強筋の約10倍の引張強度を有するので、剪断力によりコンクリート内に発生する引張応力を分担することができる。したがって、ボックスカルバート20の側壁24を確実に剪断補強することができる。
なお、前記実施の形態1では、ボックスカルバート20の側壁24を剪断補強する場合について説明したが、隔壁25や天井壁22や床壁23についても同様に補強できる。隔壁25を補強する場合には、補強部材挿入穴11に代えて貫通孔を設けてもよいが、袋状体12Zを膨らませて補強部材挿入穴11の内壁に押し付ける作業としては、穴の方が貫通孔よりも作業が容易であるので、例えば、図6に示すように、補強面を隔壁25の両面とし、一方の面25aに設ける補強部材挿入穴11aと他方の面25bに設ける補強部材挿入穴11bとを上下方向に交互に形成して、剪断補強部材12を挿入する方が好ましい。
また、本発明は、断面積が小さく、隔壁25が設けられていないボックスカルバート20にも適用可能なことは言うまでもない。
更に、本発明は、断面が長方形でないカルバートにも適用できるだけでなく、カルバートのような地中構造物に限らず、橋脚や柱などの既存のコンクリート構造物の剪断補強にも適用可能である。特に、補強すべき既存のコンクリート構造物の補強面側に障害物があるなどして作業スペースが十分に取れない場合に、本発明を用いると有効である。
また、前記例では、円筒状の炭素繊維シート12rの開口部12sから圧搾空気を袋状体12Z内に導入して袋状体12Zを補強部材挿入穴11に挿入したが、蓋部材12bの裏側を押す押し込み部材を準備し、開口部12sから押し込み部材を剪断補強部材12内に挿入し、蓋部材12bの裏側を押すことで、剪断補強部材12を補強部材挿入穴11の奥側に挿入してもよい。なお、押し込み部材を用いて袋状体12Zを補強部材挿入穴11に挿入する場合には、蓋部材12bを省略してもよい。この場合には、袋状体12Zを補強部材挿入穴11に挿入した後に、圧搾空気を袋状体12Z内に導入して袋状体12Zを補強部材挿入穴11の内壁に貼り付けることが好ましい。
また、前記例では、袋状体12Zを全て炭素繊維シートから構成したが、蓋部材12bを鉄板や樹脂などの他の材料で構成してもよい。これにより、円筒状の炭素繊維シート12rのみを作製すればよいので、袋状体12Zの作製が容易となる。
また、本体12aを不織布などの筒状のシートの外周側面に炭素繊維シートが配置された筒状体としてもよい。具体的には、図7(a),(b)に示すように、剪断補強部材12を、筒状のシート12pの周上に複数の円弧柱状の炭素繊維シート12qを貼り付けた構成とすればよい。炭素繊維シート12qは、筒状のシート12pの半周分以上あれば十分な剪断補強効果を得ることができる。
実施の形態2.
前記実施の形態1では、袋状体12Zの周面を補強部材挿入穴11の内壁に押し付けて炭素繊維シートを含浸・固化させた後、充填材13であるモルタルを、剪断補強部材12の内側に充填したが、図8(a)に示すような、筒状の炭素繊維シートの先端を縛って袋状とした袋状体12Fを準備し、図8(b)に示すように、この袋状体12Fを補強部材挿入穴11に挿入した後、開口部から固化用樹脂であるエポキシ樹脂を注入するようにしてもよい。
このとき、エポキシ樹脂を袋状体12Fが挿入された補強部材挿入穴11全体を埋めるように注入するようにすれば、図8(c)に示すように、袋状体12F全体がエポキシ樹脂29の液体中に浸されることになるので、炭素繊維素子にはエポキシ樹脂が十分に含浸されるとともに、袋状体12Fの内部も袋状体12Fと補強部材挿入穴11との間の空隙にもエポキシ樹脂29が充填される。
なお、図8(b)に示すように、袋状体12Fの複数箇所に、予め小穴12hを開けておけば、袋状体12Fと補強部材挿入穴11との間の空隙に容易にエポキシ樹脂29を充填することができる。
このように、本実施の形態2では、炭素繊維シートへのエポキシ樹脂の含浸と補強部材挿入穴11の充填とを同時に行うようにしたので、ボックスカルバート20の側壁24を効率よく剪断補強することができる。
また、本例の方法では、エポキシ樹脂29が補強部材挿入穴11全体を埋めるように注入されるので、補強部材挿入穴11の内壁の凹凸が大きい場合でも、補強部材挿入穴11を隙間なくエポキシ樹脂29で充填することができる。したがって、剪断補強部材12をボックスカルバート20の側壁24のコンクリートに強固に固定することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
以上説明したように、本発明によれば、作業空間が狭い場合でも、剪断補強部材を補強部材挿入穴に設置することができるので、剪断補強部材を挿入する補強面側に障害物があった場合でも、コンクリート構造物を剪断補強することができる。
11 補強部材挿入穴、12 剪断補強部材、12a 本体、12b 蓋部材、
13 充填材、
20 ボックスカルバート、21 外壁、22 天井壁、23 床壁、24 側壁、
24a 補強面、24b 外面、25 隔壁、26 主鉄筋、27 配力鉄筋、
28 既成配管。

Claims (7)

  1. 既設のコンクリート構造物に補強面から内部に向かって延長する補強部材挿入穴を形成し、この補強部材挿入穴の内部に剪断補強部材を挿入して固定し、前記コンクリート構造物を補強するコンクリート構造物の剪断補強方法であって、
    固化用樹脂を含浸させて固化した後の引張強度が2500N/mm2以上である高強度繊維シートから成る一端が開口した袋状の剪断補強部材、もしくは、一端が開口した袋状のシートの外周側面に前記高強度繊維シートを配置して成る剪断補強部材を、前記補強部材挿入穴に挿入するステップと、
    前記剪断補強部材を膨らませて前記高強度繊維シートを前記補強部材挿入穴の内壁に押し付けるステップと、
    前記剪断補強部材の内側から前記高強度繊維シートに前記固化用樹脂を含浸させて固化するステップと、
    前記剪断補強部材の内側に充填材を充填するステップとを備えたことを特徴とするコンクリート構造物の剪断補強方法。
  2. 前記剪断補強部材を前記補強部材挿入穴に挿入するステップの前に、前記補強部材挿入穴の内壁に前記固化用樹脂を予め塗布するステップを設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物の剪断補強方法。
  3. 前記剪断補強部材を前記補強部材挿入穴に挿入するステップにおいて、
    前記剪断補強部材の開口部から前記剪断補強部材の内部に流体を注入して前記剪断補強部材を膨らませながら前記補強部材挿入穴に挿入することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンクリート構造物の剪断補強方法。
  4. 前記剪断補強部材を、前記補強部材挿入穴の穴径よりも小さい蓋部材と、一方の端部が前記蓋部材の周縁部に取付けられた筒状の高強度繊維シート、もしくは、外周側面に高強度繊維シートが配置された筒状のシートとから構成したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のコンクリート構造物の剪断補強方法。
  5. 前記筒状のシートの開口部から押し込み部材を挿入して前記蓋部材を前記補強部材挿入穴の内部に押し込むことで、前記剪断補強部材を前記補強部材挿入穴に挿入することを特徴とする請求項4に記載のコンクリート構造物の剪断補強方法。
  6. 前記蓋部材は、空気抜き用の切欠き部を備えることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のコンクリート構造物の剪断補強方法。
  7. 既設のコンクリート構造物に補強面から内部に向かって延長する補強部材挿入穴を形成し、この補強部材挿入穴の内部に剪断補強部材を挿入して固定し、前記コンクリート構造物を補強するコンクリート構造物の剪断補強方法であって、
    固化用樹脂を含浸させて固化した後の引張強度が2500N/mm2以上である高強度繊維シートから成る一端が開口した袋状の剪断補強部材、もしくは、一端が開口した袋状のシートの外周側面に前記高強度繊維シートを配置して成る剪断補強部材を、前記補強部材挿入穴に挿入するステップと、
    前記剪断補強部材の内側から前記固化用樹脂を注入して前記高強度繊維シートに含浸させるとともに、前記高強度繊維シートと前記補強部材挿入穴との間の空隙に前記固化用樹脂を充填するステップとを備えたことを特徴とするコンクリート構造物の剪断補強方法。
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