JP7032242B2 - マイクロパイル工法およびマイクロパイル工法で用いるグラウト材充填用挿入部材 - Google Patents
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図6(A)に示すように、マイクロパイル工法を施工するにあたり、先端外周部が外側削孔用カッター12とされた1番目の細長い中空円筒形の鋼製のケーシングセグメント10の内部に、先端に削孔ドリル14が取着された1番目のロッド16を挿通させ、それらケーシングセグメント10とロッド16とを回転させつつ、また、水を注入しつつ外側削孔用カッター12と削孔ドリル14とで孔18を削孔していく工程が行なわれる。
そして、図6(B)、(C)に示すように、孔18が所定の深さとなる毎に、ケーシングセグメント10の端部に次の鋼製のケーシングセグメント10を、継手部材を介して着脱可能に連結して継ぎ足すと共に、ロッド16の端部に次のロッド16を着脱可能に連結して継ぎ足し、ケーシングセグメント10とロッド16とを回転させ、また、水を注入しつつ外側削孔用カッター12と削孔ドリル14とで孔18を削孔していく工程が行なわれる。
図6(C)に示すように、削孔された孔18が上層地盤20を通過し荷重支持地盤22の所定の深さに到達したならば、ロッド16と共に削孔ドリル14をケーシングCの内部から引き抜く工程が行なわれる。
次に、図6(D)に示すように、鉄筋などの補強材24をケーシングCの内部にケーシングCの全長にわたって配設する。
次に、不図示のグラウト材供給管を用いてケーシングCの内部にグラウト材Gを充填する。
グラウト材Gとして、セメントミルク、モルタル材、小径の骨材を混入したコンクリート材が使用可能である。
次に、図6(E)に示すように、ケーシングCの内部にグラウト材Gを加圧注入しつつ、ケーシングCを引き抜く工程、すなわち、ケーシングセグメント10の引き抜き工程が行なわれる。
グラウト材Gの加圧は、グラウト材Gが、削孔された孔18の壁面に密着し、グラウト材Gと地盤との間の接合状態が強固となるような圧力で行なわれる。
ケーシングCの引き抜きは、上下に隣り合うケーシングセグメント10のうち、下方に位置するケーシングセグメント10の上端が地盤上に位置したところで、下方のケーシングセグメント10を回転不能に把持し、上方のケーシングセグメント10を回転操作し、下方のケーシングセグメント10に対して上方のケーシングセグメント10を継手部材と共に取り外すことで行なう。
次に、図6(F)に示すように、ケーシングCを、加圧充填されたグラウト材Gの中に所定量押し戻す工程が行なわれ、ケーシングCで囲繞された部分と、ケーシングCで囲繞されていない部分との間に、中間的な構造を有する部分を作り出す。
そして、グラウト材Gが硬化されることで、グラウト材Gによる地盤接合部26Aを有する杭体26が得られる。
次に、図6(G)に示すように、ケーシングCの上端部に鋼製の支圧板28が溶接により接合されており、杭体26の杭頭部を構造物に連結するための連結構造が形成される。
このような場合、図6(E)に示すように、ケーシングCの内部にグラウト材Gを充填する工程や、ケーシングCの内部にグラウト材Gを加圧注入しつつ、ケーシングCを引き抜く工程において、グラウト材Gが充填されず、あるいは、グラウド材Gを加圧できず、荷重支持地盤22で強固に支持されたマイクロパイルを得ることができない。
そこで、このような場合、従来では、場所を変え再度削孔工程からやり直すようにしており、何らかの改善が求められていた。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、荷重支持地盤に隙間やひび割れがある場合であっても、荷重支持地盤で強固に支持されたマイクロパイルを得ることができるマイクロパイル工法およびマイクロパイル工法で用いるグラウト材充填用挿入部材を提供することにある。
また、本発明は、マイクロパイル工法において、継ぎ足された複数のケーシングセグメントとその内部に配置された削孔ドリルにより削孔される孔が、上層地盤の下の荷重支持地盤の所定の深さに到達した時点で、前記継ぎ足された複数のケーシングセグメントにより形成されたケーシングの内部に挿入されるグラウト材充填用挿入部材であって、前記グラウト材充填用挿入部材は、長手方向の両端が開口部とされた細長の袋体と、その長手方向の両端が前記両端の開口部から突出させて前記袋体に挿通された鉄筋と、前記鉄筋に取着され長手方向の一端のグラウト材供給口を前記両端の開口部のうちの一方の開口部から突出させて前記袋体に挿入され長手方向の他端のグラウト材吐出口が前記袋体の内部に位置するグラウト材供給管とを備え、前記グラウト材充填用挿入部材は、前記一方の開口部の周囲の前記袋体の箇所が前記鉄筋と前記グラウト材供給管とに取着されると共に前記両端の開口部のうちの他方の開口部の周囲の前記袋体の箇所が前記鉄筋に取着され、前記袋体が前記鉄筋と前記グラウト材供給管に巻き付けられて構成され、前記袋体は、前記グラウト材供給管から前記グラウト材吐出口を介して前記袋体の内部にグラウト材が充填されると、前記孔の内周面よりも大きい寸法の外径で膨出可能であることを特徴とする。
まず、グラウト材充填用挿入部材30について説明する。
図2に示すように、グラウト材充填用挿入部材30は、鉄筋32と、グラウト材供給管34と、袋体36とを含んで構成されている。
図1(D)~(G)に示すように、鉄筋32は、ケーシングCの上端から一定の深さに到達した孔18の底部1802に届く長さを有している。
グラウト材供給管34は、本実施の形態では1本の耐圧ホースを使用している。なお、グラウト材供給管34として、鋼製や合成樹脂製の複数の管体が継手部材を介して液密に連結されて構成されていてもよいが、耐圧ホースを用いるとグラウト材供給管34を簡単に構成でき、コストダウンを図る上で有利となる。
グラウト材供給管34は、ケーシングCの上端から、上層地盤20を通過し荷重支持地盤22の所定の深さに到達した削孔された孔18の底部1802の近傍に位置する長さを有している。
グラウト材供給管34は、その上端開口がグラウト材供給口3402とされ、グラウト材供給管34の下端開口がグラウト材吐出口3404とされている。
鉄筋32とグラウト材供給管34は、それらの長手方向の複数箇所がバンド42などで取着されている。
鉄筋32は、その長手方向の両端が袋体36の両端の開口部から突出させて袋体36に挿通されている。
グラウト材供給管34は、グラウト材供給口3402を袋体36の両端の開口部のうちの一方の開口部から突出させ、グラウト材吐出口3404が袋体36の内部で長手方向の端部である他方の開口部寄りに位置している。
グラウト材充填用挿入部材30は、一方の開口部の周囲の袋体36の箇所が、バンド38や不図示のシール材などを介して鉄筋32とグラウト材供給管34に強固に液密に固定され、両端の開口部のうちの他方の開口部の周囲の袋体36の箇所がバンド39や不図示のシール材などを介して鉄筋32に強固に液密に固定されている。
そして、袋体36が鉄筋32とグラウト材供給管34に巻き付けられてグラウト材充填用挿入部材30が構成されている。
袋体36のグラウト材供給管34への巻装状態は、例えば、袋体36の膨張時に破断可能な不図示のテープなどの帯材や線材を巻装状態の袋体36の上に螺旋状に巻回することで保持される。
袋体36は、半不透水性および可撓性を有する材料で形成され、グラウト材Gが充填された際に、図4に示すように、削孔された孔18の内周面よりも大きい寸法の外径の円筒状に膨出できる寸法で形成され、削孔された孔18の内周面に圧接できるように形成されている。なお、袋体36が膨出した状態で鉄筋32は袋体36の中心に位置している。
また、袋体36に用いられる材料には、可撓可能なメッシュ材を含んで構成され、ケーシングセグメント10の外側削孔用カッター12や孔18の内周面に突出される複数の突起に対して、破断されないように図られている。
袋体36は、沈下防止板44よりも上方でグラウト材吐出口3404よりも下方の鉄筋32の箇所に巻装されている。
鉄筋32の下端に取着される沈下防止板44の外径は、鉄筋32に巻装された袋体36の外径よりも大きく、巻装された袋体36がケーシングCの内周面に接触することなく、グラウト材充填具30がケーシングC内に円滑に挿入できるように図られている。
なお、事前の地質調査で、荷重支持地盤22に隙間やひび割がある場合について説明する。
図1(A)~(C)までは従来のマイクロパイル工法と同様である。すなわち、ケーシングセグメント10の外側削孔用カッター12と削孔ドリル14とで孔18を削孔していく工程が行なわれ、削孔された孔18が上層地盤20を通過し荷重支持地盤22の所定の深さに到達したならば、ロッド16と共に削孔ドリル14をケーシングCの内部から引き抜く工程が行なわれる。
沈下防止板44が孔18の底部1802に載置されたならば、図1(E)に示すように、ケーシングCを引き上げ、ケーシングCの下端を、荷重支持地盤22の上端から所定の距離下方に離れた箇所に位置させる。
この場合、ケーシングCの下端を、荷重支持地盤22の上端から所定の距離下方に離れた箇所に位置させるとは、従来の図6(F)に示すケーシングCを、加圧充填されたグラウト材Gの中に所定量押し戻す工程で押し戻される位置と同じ位置である。
次に、図1(F)に示すように、グラウト材供給口3402からグラウト材供給管34にグラウト材Gを供給し、グラウト材吐出口3404からグラウト材Gを袋体36の内部に充填する。
グラウト材Gとして、従来と同様にセメントミルク、モルタル材、小径の骨材を混入したコンクリート材が使用可能である。
袋体36の内部にグラウト材Gが充填されていくにつて、袋体36は膨張していき、図1(F)および図5に示すように、袋体36は孔18の内周面に圧接されると共に、ケーシングCの下部においてケーシングCの内周面に圧接される。
グラウト材供給口3402からグラウト材供給管34に供給されるグラウト材Gの圧力が所定の値となった時点で、袋体36の孔18の内周面への圧接力およびケーシングCの下部の内周面への圧接力が所定の値となり、ここでグラウト材供給口3402へのグラウト材Gの供給を停止し、グラウト材供給口3402をキャップにより閉塞する。
そして、袋体36の内部およびケーシングC内部のグラウト材Gが硬化されることで、袋体36による地盤接合部26Aを有するマイクロパイル46(杭体26)が得られる。
袋体36の内部およびケーシングC内部のグラウト材Gが硬化したならば、図1(G)に示すように、ケーシングCの上端部に鋼製の支圧板28が溶接により接合されており、杭体26の杭頭部を構造物に連結するための連結構造が形成される。
また、荷重支持地盤22に圧接されたグラウト材Gは、ケーシングCの下部の内部にも充填され、荷重支持地盤22に圧接されたグラウト材GとケーシングCの下部に充填されたグラウト材Gとが一体化されているので、マイクロパイル46の強度、剛性を高める上でも有利となる。
また、構築されたマイクロパイル46の補強材として機能する鉄筋32を、ケーシングCの内部から削孔された孔18の底部1802にグラウト材供給管34と袋体36とを案内するガイド部材として用いるようにしたので、最少の部品点数でグラウト材充填用挿入部材30を構成でき、グラウト材充填用挿入部材30のコンパクト化、コストダウンを図る上で有利となる。
また、鉄筋32は、孔18の底部1802に到達する長さを有しているので、グラウト材充填用挿入部材30のケーシングCの内部への挿入時、袋体36の下部を孔18の底部1802に確実に案内でき、孔18の内周面およびケーシングCの内周面に袋体36を介してグラウト材Gを確実に圧接する上で有利となり、また、マイクロパイル46の強度、剛性を高める上で有利となる。
また、事前の地質調査で荷重支持地盤22の隙間やひび割れがないと判明され、グラウト材Gを充填する段階で荷重支持地盤22に隙間やひび割れがあると判明した場合も、場所を変えることなく同じ場所でグラウト材充填用挿入部材30を用いて上記と同様な工程によりマイクロパイル46を構築でき、施工効率を高める上で有利となる。
14 削孔ドリル
16 ロッド
18 孔
1802 底部
20 上層地盤
22 荷重支持地盤
30 グラウト材充填具
32 グラウト材充填用挿入部材
34 グラウト材供給管
3402 グラウト材供給口
3404 グラウト材吐出口
36 袋体
40 鉄筋
44 沈下防止板
46 マイクロパイル
C ケーシング
G グラウト材
Claims (10)
- ケーシングセグメントとその内部に配置された削孔ドリルとを回転させつつ、また、前記ケーシングセグメントと前記削孔ドリルのロッドとを継ぎ足しつつ削孔する工程と、
前記削孔された孔が上層地盤の下の荷重支持地盤の所定の深さに到達した時点で、前記継ぎ足された複数のケーシングセグメントにより形成されたケーシングの内部から前記削孔ドリルを引き抜く工程と、
前記荷重支持地盤内で前記ケーシングを所定量引き上げる工程と、
を備えるマイクロパイル工法において、
長手方向の両端が開口部とされた細長の袋体を設け、
鉄筋と、長手方向の一端にグラウト材供給口を有し他端にグラウト材吐出口を有し前記鉄筋に取着されたグラウト材供給管とを設け、
長手方向の両端を前記両端の開口部から突出させて前記鉄筋を前記袋体に挿通すると共に、前記グラウト材供給口を前記一方の開口部から突出させて前記グラウト材供給管を前記袋体に挿入し前記グラウト材吐出口を前記袋体の内部に位置させ、前記一方の開口部の周囲の前記袋体の箇所を前記鉄筋と前記グラウト材供給管とに取着すると共に前記両端の開口部のうちの他方の開口部の周囲の前記袋体の箇所を前記鉄筋に取着し、前記袋体を前記鉄筋と前記グラウト材供給管に巻き付けたグラウト材充填用挿入部材を設け、
前記引き抜く工程の後で前記引き上げる工程の前に、前記グラウト材充填用挿入部材を前記ケーシングの内部に挿入し、
前記引き上げる工程の後に、前記グラウト材吐出口から前記袋体の内部にグラウト材を充填して前記孔の内周面に前記袋体の外周面を圧接されると共に、前記荷重支持地盤から前記上層地盤に位置する前記ケーシング部分の内周面に前記袋体の外周面を圧接させ、
さらに、前記袋体の上方に位置するケーシングの内部にグラウト材を充填するようにした、
ことを特徴とするマイクロパイル工法。 - 前記鉄筋の下端に、前記グラウト材充填用挿入部材の外径よりも大きい外径の沈下防止板が取着されている、
ことを特徴とする請求項1記載のマイクロパイル工法。 - 前記袋体は、半不透水性および可撓性を有する材料でメッシュ材を含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のマイクロパイル工法。 - 前記鉄筋は、前記ケーシングの上端から前記所定の深さに到達した孔の底部に届く長さを有している、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項記載のマイクロパイル工法。 - 前記グラウト材供給管は耐圧ホースで構成され、
前記耐圧ホースの長手方向の一端がグラウト材供給口となっており、長手方向の他端が前記グラウト材吐出口となっている、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載のマイクロパイル工法。 - マイクロパイル工法において、継ぎ足された複数のケーシングセグメントとその内部に配置された削孔ドリルにより削孔される孔が、上層地盤の下の荷重支持地盤の所定の深さに到達した時点で、前記継ぎ足された複数のケーシングセグメントにより形成されたケーシングの内部に挿入されるグラウト材充填用挿入部材であって、
前記グラウト材充填用挿入部材は、長手方向の両端が開口部とされた細長の袋体と、その長手方向の両端が前記両端の開口部から突出させて前記袋体に挿通された鉄筋と、前記鉄筋に取着され長手方向の一端のグラウト材供給口を前記両端の開口部のうちの一方の開口部から突出させて前記袋体に挿入され長手方向の他端のグラウト材吐出口が前記袋体の内部に位置するグラウト材供給管とを備え、
前記グラウト材充填用挿入部材は、前記一方の開口部の周囲の前記袋体の箇所が前記鉄筋と前記グラウト材供給管とに取着されると共に前記両端の開口部のうちの他方の開口部の周囲の前記袋体の箇所が前記鉄筋に取着され、前記袋体が前記鉄筋と前記グラウト材供給管に巻き付けられて構成され、
前記袋体は、前記グラウト材供給管から前記グラウト材吐出口を介して前記袋体の内部にグラウト材が充填されると、前記孔の内周面よりも大きい寸法の外径で膨出可能である、
ことを特徴とするマイクロパイル工法で用いるグラウト材充填用挿入部材。 - 前記鉄筋の下端に、前記袋体が前記鉄筋と前記グラウト材供給管に巻き付けられた前記グラウト材充填用挿入部材の外径よりも大きい外径の沈下防止板が取着されている、
ことを特徴とする請求項6記載のマイクロパイル工法で用いるグラウト材充填用挿入部材。 - 前記袋体は、半不透水性および可撓性を有する材料で形成され、メッシュ材を含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項6または7記載のマイクロパイル工法で用いるグラウト材充填用挿入部材。 - 前記鉄筋は、前記ケーシングの上端から前記所定の深さに到達した孔の底部に届く長さを有している、
ことを特徴とする請求項6~8の何れか1項記載のマイクロパイル工法で用いるグラウト材充填用挿入部材。 - 前記グラウト材供給管は耐圧ホースで構成され、
前記耐圧ホースの長手方向の一端がグラウト材供給口となっており、長手方向の他端が前記グラウト材吐出口となっている、
ことを特徴とする請求項6~9の何れか1項記載のマイクロパイル工法で用いるグラウト材充填用挿入部材。
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