JP7216230B2 - マイクロパイル工法で用いる隙間閉塞具 - Google Patents
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マイクロパイル工法では、まず、先端外周部が外側削孔用カッターとされた1番目のケーシングセグメントの内部に、先端に削孔ドリルが取着された1番目のロッドを挿通させ、それら1番目のケーシングセグメントとロッドとを回転させつつ、また、水を注入しつつ削孔していく工程が行なわれる。
なお、外側削孔用カッターの外径は継手部材の外径を考慮し、ケーシングセグメントの外径よりも大きく、削孔後、削孔壁面とケーシングセグメントの外周面との間には環状隙間が形成される。
複数のケーシングセグメントが連結されることでケーシングが構成され、削孔された孔が軟弱層を通過し荷重支持層の所定の深さに到達したならば、ロッドと共に削孔ドリルをケーシングの内部から引き抜く工程が行なわれる。
そして、必要に応じて鉄筋などの補強材をケーシングの内部にケーシングの全長にわたって配設する。
グラウト材として、セメントミルク、モルタル材、小径の骨材を混入したコンクリート材が使用可能である。
次に、ケーシングの内部にグラウト材を加圧注入しつつ、ケーシングを引き抜く工程、すなわち、ケーシングセグメントの引き抜き工程が行なわれる。
グラウト材の加圧は、グラウト材が、削孔された孔の壁面に密着し、グラウト材と地盤との間の接合状態が強固となるような圧力で行なわれることが望ましい。
上方に位置する複数本のケーシングセグメントが継手部材と共に取り外され、最下位に位置する一番目のケーシングセグメントの下端が、荷重支持層の最上部に近づいたところで、ケーシングの引き抜きは終了する。
そして、グラウト材が硬化されることで、荷重支持層にグラウト材による地盤接合部が形成された杭体が得られる。
次に、ケーシングの上端部に鋼製の支圧板が溶接により接合され、杭体の杭頭部を構造物に連結するための連結構造が形成される。
そのため、最終の工程において、グラウト材に圧力をかけることができず、ケーシング下端の周囲を含んだケーシングの直下に、グラウト材と地盤とが強固に接合した接合部を作ることができない。
このような事態を解消するため、従来では、1回グラウト材を注入し、そのグラウト材の硬化が始まりかけたところで、再度、グラウト材を注入しグラウト材に圧力を掛けるようにしており、作業時間を短縮できず、マイクロパイル工法を効率良く行なえない不具合があった。
このような事態を解消するため、高い粘性のグラウト材を使用することも考えられるが、この場合には、従来のポンプを使用できなくなり、大型のポンプを導入しなければならないなどコストが上昇する不具合が生じる。
また、本発明は、前記袋体は、前記拡張状態で前記ケーシングの長手方向に沿った細長形状を呈し、前記外周部にその長手方向に間隔をおいて大径部と小径部とが交互に並べられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記袋体の前記ケーシングへの取り付けは、前記中心孔に前記ケーシングが挿通された状態で、前記袋体の下端が、締結具により前記ケーシングの外周面に締結され、前記袋体の前記縮小状態から前記拡張状態への変化を許容する部材が前記縮小状態の前記袋体上に巻回されることでなされることを特徴とする。
本発明によれば、隙間閉塞具を簡易な構成の袋体と管体とで構成すると、安価に簡単に製作でき、また、ケーシングへの装着も簡単に短時間で行なえ、マイクロパイル工法の作業効率を高める上で有利となる。
本発明によれば、削孔された孔の内周面とケーシングセグメントの外周面との間の環状隙間を確実に閉塞する上で有利となる。
本発明によれば、削孔すべき箇所が粘性土系の地盤や岩盤である場合、マイクロパイル工法の最終の工程において、グラウト材に所望の圧力を掛けることができ、グラウト材による強固な地盤接合部を有する杭体を確実に得ることが可能となる。
本発明によれば、隙間閉塞部材を削孔された孔の内部に確実に配置する上で有利となる。
本発明によれば、ケーシングの内部に注入するグラウト材や、このグラウト材を注入するポンプなどをそのまま使用でき、袋体の拡張状態を安価に短時間で形成することが可能となる
図4(F)に示すように、ケーシングCは複数のケーシングセグメント12が継手14により連結されることで構成され、ケーシングCに本発明の隙間閉塞具20が用いられる。
図1(A)、(B)に示すように、隙間閉塞具20は、隙間閉塞部材22と拡張手段24とを含んで構成されている。
折り畳み可能な材料として、袋体26の内部に充填される充填材の漏れを阻止するに足る材料であればよく、従来公知の様々な材料が使用可能であるが、本実施の形態では、布を用いている。
袋体26はケーシングCの周囲を囲む環状を呈し、その中心に中心孔2602を備えている。
本実施の形態では、袋体26は、中心孔2602の周囲に位置する内周部2604と、内周部2604の外側に位置する外周部2606とを備えている。
また、袋体26の外周部2606には、袋体26が拡張した状態で、中心孔2602の軸方向に間隔をおいて複数の大径部2606Aと小径部2606Bとが交互に設けられている。
このように構成することで、図3に示すように、袋体26が拡張した状態で、ケーシングCにより削孔された孔16の内周面に効果的に密着し、粘性土系の地盤である場合には、削孔された孔16の内周面に外周部2606が食い込み、削孔された孔16の内周面とケーシングCの外周面との間の環状隙間Sをより確実に閉塞できるように図られている。
したがって、袋体26は縮小状態で、削孔された孔16の延在方向と直交する平面で切断した断面形状がケーシングCの断面形状よりも大きくかつ削孔された孔16の断面形状よりも小さい輪郭となる。
充填材としては水、空気など袋体26を縮小状態から拡張状態にするものであればよい。本実施の形態では、充填材として後述する荷重支持層に削孔された孔16およびケーシングCの内部に充填するグラウト材Gを用いている。
管体28は袋体26の上端を貫通し、管体28の下端開口は袋体26の内部に位置している。
管体28が袋体26の上端を貫通する箇所は、袋体26に対して充填材が漏れないように管体28と袋体26とがシール部材2802を介して連結されており、また、ケーシングCの下方への移動に伴って管体28と袋体26とが一体に移動するように連結されている。
図4(A)に示すように、マイクロパイル工法を施工するにあたり、先端外周部が外側削孔用カッター1202とされた1番目の細長い中空円筒形の鋼製のケーシングセグメント12の内部に、先端に削孔ドリル1802が取着された1番目のロッド18を挿通させ、それらケーシングセグメント12とロッド18とを回転させつつ、また、水を注入しつつ外側削孔用カッター1202と削孔ドリル1802とで軟弱層30に孔16を削孔していく工程が行なわれる。
なお、本実施の形態では、軟弱層30は粘性土系であり、削孔した場合、削孔された孔16の内周面は崩れず、孔16の輪郭が保持される。
図4(C)に示すように、削孔された孔16が軟弱層30を通過し荷重支持層32の所定の深さに到達したならば、ロッド18と共に削孔ドリル1802をケーシングCの内部から引き抜く工程が行なわれる。
次に、必要に応じて、鉄筋などの補強材をケーシングCの内部にケーシングCの全長にわたって配設する。
グラウト材Gとして、セメントミルク、モルタル材、小径の骨材を混入したコンクリート材が使用可能である。
次に、図4(E)に示すように、ケーシングCの内部にグラウト材Gを注入しつつ、ケーシングセグメント12を引き抜く工程、すなわち、ケーシングCの引き抜き工程が行なわれる。
上方に位置する複数本のケーシングセグメント12が継手14と共に取り外され、図4(E)に示すように、最下位に位置する一番目のケーシングセグメント12の下端が、荷重支持層32の最上部に近づいたところで、ケーシングCの引き抜きは終了する。
すなわち、環状の袋体26の中心孔1602にケーシングセグメント12を挿通し、管体28が上方に突出するように袋体26の下端を、締結具34によりケーシングCの外周面に締結する。締結具34としてはベルトなどの従来公知の様々な部材が使用可能である。
これにより、ケーシングCの下方への移動の際に、削孔された孔16の内周面と接触しても袋体26の縮小状態が維持され、袋体26の削孔された孔16内での移動が円滑になされるように図られる。
袋体26の縮小状態から拡張状態への変化を許容する部材36は、例えば、破断可能な紙製、あるいは、伸縮可能なゴム製などの紐状の部材や、あるいは、縮小状態の袋体26を覆う袋状の部材など、従来公知の様々な材料や形態のものが使用可能である。
なお、隙間閉塞具20は、削孔時に予めケーシングセグメント12に取着しておいてもよいが、本実施の形態のように、ケーシングCを引き抜いた際に取り付ける方が、袋体26の縮小状態を維持する上で有利となる。
ケーシングCが所定量押し戻されたならば、袋体26は、地盤表面の下方の削孔された孔16の内部に位置している。
本実施の形態では、軟弱層30は粘性土系であるため、袋体26の拡張状態で、図3に示すように、袋体26の外周部2606は削孔された孔16の内周面に喰いこみ、軟弱層30、荷重支持層32に形成された環状隙間Sは完全に閉塞され、確実に大気と遮断される。
ケーシングC内へのグラウト材Gの加圧注入は、グラウト材Gが、削孔された孔16の壁面に密着し、グラウト材Gと地盤との間の接合状態が強固となるような圧力で行なわれることが望ましい。
本実施の形態では、拡張状態の袋体26により、軟弱層30、荷重支持層32に形成された環状隙間Sは完全に確実に大気と遮断されるので、所望の圧力でグラウト材Gに圧力を掛けることができ、グラウト材Gと地盤との接合状態を設計通りの強固なものにすることができる。
そして、図4(I)に示すように、グラウト材Gが硬化されることで、グラウト材Gによる地盤接合部38を有する杭体40が得られる。
次に、ケーシングCの上端部に鋼製の支圧板42が溶接により接合され、杭体40の杭頭部を構造物に連結するための連結構造が形成される。
しかも隙間閉塞部材22は、簡易な構成の袋体26と管体28とで構成されているので、安価に簡単に製作でき、また、ケーシングCへの装着も簡単に短時間で行なえ、マイクロパイル工法の作業効率を高める上で極めて有利となる。
また、グラウト材Gが充填され拡張状態となった袋体26および管体28は埋め殺しとされ、充填材として水や空気を用いる場合に較べて杭体40の横抵抗を確保する上で有利となる。
また、本実施の形態では、袋体26を締結具34によりケーシングCに取り付けた場合について説明したが、縮小状態の袋体26を形成しておき、管体28により袋体26を、削孔された孔16内につり下げ、所定の箇所で袋体26を拡張状態にするようにしてもよい。
また、隙間閉塞部材22を配置する箇所は、最終工程でグラウト材Gに圧力を掛けることができればよく、したがって、地盤接合部38の上方箇所で地表面と地盤接合部38との間の箇所であればよく、実施例の箇所に限定されない。
また、本実施の形態では、隙間閉塞部材22を袋体26で構成した場合について説明したが、隙間閉塞具20は環状隙間Sを閉塞できる構造のものであればよく、例えば、隙間閉塞部材22として複数の羽からなり環状隙間Sの開閉を可能とした環状のシャッターを用い、拡張手段24としてシャッターを開閉させるアクチュエータを用いるなど、隙間閉塞具20として従来公知の様々な機械的構造のものも採用可能である。
14 継手
20 隙間閉塞具
22 隙間閉塞部材
24 拡張手段
26 袋体
2602 中心孔
2604 内周部
2606 外周部
2606A 大径部
2606B 小径部
28 管体
30 軟弱層
32 荷重支持層
34 締結具
38 地盤接合部
40 杭体
C ケーシング
G グラウト材
S 環状隙間
Claims (3)
- ケーシングの回転により削孔された孔の内周面と前記ケーシングの外周面との間の環状隙間を閉塞するマイクロパイル工法で用いる隙間閉塞具であって、
前記隙間閉塞具は、隙間閉塞部材と拡張手段とを備え、
前記隙間閉塞部材は、折り畳み可能な材料で形成され前記ケーシングの周囲を囲む環状を呈しその中心に中心孔を有すると共に前記中心孔の周囲に位置する内周部と前記内周部の外側に位置する外周部とを有し前記中心孔に前記ケーシングが挿通される環状の袋状に形成され前記ケーシングとは別体で前記ケーシングに取り付け可能な袋体で構成され、
前記袋体は、前記削孔された孔の延在方向と直交する平面で切断した断面形状が前記ケーシングの断面形状よりも大きくかつ前記削孔された孔の断面形状よりも小さい輪郭の縮小状態から、前記内周部が前記ケーシングの外周面の全周に密着すると共に前記外周部が前記削孔された孔の内周面の全周に密着する拡張状態へ可変であり、
前記拡張手段は、前記ケーシングの外周面と前記削孔された孔の内周面との間を延在して前記袋体に連結された管体と、前記管体を介して前記袋体の内部に供給され前記袋体を前記縮小状態から前記拡張状態にする充填材とを備える、
ことを特徴とするマイクロパイル工法で用いる隙間閉塞具。 - 前記袋体は、前記拡張状態で前記ケーシングの長手方向に沿った細長形状を呈し、前記外周部にその長手方向に間隔をおいて大径部と小径部とが交互に並べられている、
ことを特徴とする請求項1記載のマイクロパイル工法で用いる隙間閉塞具。 - 前記袋体の前記ケーシングへの取り付けは、前記中心孔に前記ケーシングが挿通された状態で、前記袋体の下端が、締結具により前記ケーシングの外周面に締結され、前記袋体の前記縮小状態から前記拡張状態への変化を許容する部材が前記縮小状態の前記袋体上に巻回されることでなされる、
ことを特徴とする請求項1または2記載のマイクロパイル工法で用いる隙間閉塞具。
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