JP6393588B2 - 既存建物補強方法 - Google Patents
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Description
既存建物の上下階に跨る柱を補強する技術には、例えば特許文献1がある。
続いて、第2空間において、第2構造部材を斫って継手部材を露出させ、継手部材に第2鉄筋を挿入して、第1鉄筋と第2鉄筋を連結する。その状態で、コンクリートを増し打ちする。これにより、第2空間の側からのみの工事で、第2空間側の第1構造部材の耐震補強が完成する。この結果、第2構造部材を貫通して連結される第1鉄筋と第2鉄筋により、第1構造部材を補強することができる。
即ち、隣接する第1空間と第2空間に跨る第1構造部材の補強工事を、第1空間と第2空間のそれぞれにおいて、別個独立に進めることができる。
次に、下階空間において、スラブを斫り機械式継手を露出させる。露出させた機械式継手にネジ鉄筋を挿入し、上階と下階のネジ鉄筋同士を連結した状態にして、柱梁仕口部へコンクリートを増し打ちする。
これにより、スラブを貫通して連結される上階と下階のネジ鉄筋により、上階の柱を耐震補強することができる。
図1(A)、(B)、図2(A)、(B)を用いて、第1実施形態に係る既存建物補強方法について説明する。
本実施形態は、既存建物10の、下階の柱12と上階の柱12を、鉄筋コンクリート巻き立て補強する場合への適用例である。
ここに、図1(A)は、下階の柱12の補強方法を示す正面図であり、図1(B)は、柱梁仕口部の鉛直方向部分断面図である。図2(A)は、上階の柱12の補強方法を示す正面図であり、図2(B)は、柱梁仕口部の鉛直方向部分断面図である。
これにより、下階空間16の側からのみの工事で、下階の柱12の巻き立て補強が完成する。柱12は、耐震補強されて補強済柱13となる。
下階空間16での先行補強の終了後、上階空間18において、柱12の周囲に、二点鎖線で示す仮囲い46で囲まれた作業空間18Sを確保する。このとき、下階空間16は、上階空間18の耐震補強工事の影響を受けないので、通常の営業を行うことができる。
これと平行して、補強用鉄筋20を、柱梁仕口部を含む柱12の外周面に取付ける。ネジ鉄筋28は、補強用鉄筋20に固定する。この状態で、上階の柱12にコンクリート22を増し打ちして、上階の柱12を耐震補強する。
即ち、隣接する下階空間16と上階空間18に跨る、柱12の耐震補強工事を、下階空間16と上階空間のそれぞれにおいて、別個独立に進めることができる。
この結果、ネジ鉄筋26とネジ鉄筋28を、柱梁仕口部で確実に連結することができる。即ち、複数階に跨り連続する柱12の巻き立て補強を、各階毎に独立して、確実に行うことができる。
図3(A)、(B)、図4(A)、(B)を用いて、本発明の第2実施形態に係る既存建物補強方法について説明する。本実施形態は、上階の柱12を先行補強し、下階の柱12を、その後補強する場合の適用例である。
本実施形態は、上階空間18を先行補強し、下階空間16を後行補強する点において第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
ここに、図3(A)は、上階の柱12の補強方法を示す正面図であり、図3(B)は、柱梁仕口部の鉛直方向部分断面図である。図4(A)は、下階の柱12の補強方法を示す正面図であり、図4(B)は、柱梁仕口部の鉛直方向部分断面図である。
その後、補強用鉄筋20にネジ鉄筋26を固定し、柱12の周囲にコンクリート22を増し打ちする。スラブ14の貫通部へ充填される無収縮モルタル44の充填状況は、中点確認用チューブで確認される。これにより、下階側の柱12が耐震補強される。耐震補強された柱12は補強済柱13となる。
即ち、隣接する下階空間16と上階空間18に跨る柱12の補強工事を、下階空間16と上階空間18のそれぞれにおいて、別個独立に進めることができる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
図5(A)、(B)〜図7を用いて、本発明の第3実施形態に係る既存建物補強方法について説明する。本実施形態は、柱12の補強は上階のみで、下階の柱12は補強せず、柱梁仕口部のみを補強する場合への適用例である。
本実施形態は、下階の柱12を補強しない点において第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
ここに、図5(A)は下階の柱12の補強方法を示す正面図であり、図5(B)は柱梁仕口部の鉛直方向部分断面図である。図6(A)は上階の柱12の補強方法を示す正面図であり、図6(B)は柱梁仕口部の鉛直方向部分断面図である。図7は補強工事の完成状態を示す柱梁仕口部の鉛直方向部分断面図である。
これにより、下階空間16の側からのみの工事で柱梁仕口部が耐震補強される。本実施形態では、下階の柱12は、柱梁仕口部の付近のみが耐震補強され補強済柱50となる。
また、上階を先行補強し、下階をその後補強する場合は、基本的に、記述した下階を先行補強した場合と、上下階の補強工事を入れ替えればよい。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
図8を用いて、本発明の第4実施形態に係る既存建物補強方法について説明する。本実施形態は、増設壁32の幅が下部の梁30の幅より大きいため、梁30を補強する必要が生じた場合への適用例である。
本実施形態は、下階の梁30を補強する点において第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
なお、図8は耐震補強後の鉛直方向断面図を示している。本実施形態においても、上述したように、上階空間18、又は下階空間16のいずれから補強工事を進めてもよい。
これにより、下階空間16の側からの工事で、梁30の側面が補強される。
なお、上階空間18に増設壁32を先行補強し、下階空間16の梁30をその後補強する場合も可能である。この場合には、機械式継手24は、上階空間18の側から下方へ向けて設けられ、先端をスラブ14へ当接させる位置となる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
図9(A)、(B)の水平方向断面図を用いて、本発明の第5実施形態に係る既存建物補強方法について説明する。本実施形態は、同一階において、間仕切り壁36を貫通して、梁34の側面を耐震補強する場合への適用例である。
本実施形態は、下階の梁を補強する点において第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
これにより、室内空間38の側からのみの工事で、梁34の補強が完成する。
なお、室内空間40を先行して耐震補強し、その後、室内空間38を耐震補強する補強方法でもよい。他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
12 柱(第1構造部材)
13 補強柱
14 スラブ(第2構造部材)
16 下階空間(第1空間)
18 上階空間(第2空間)
20 補強用鉄筋
22 コンクリート
24 機械式継手(継手部材)
26、48 ネジ鉄筋(第1鉄筋)
28、52 ネジ鉄筋(第2鉄筋)
32 振動吸収手段(振動吸収手段)
34 梁(第1構造部材)
36 間仕切り壁(第2構造部材)
38 室内空間(第1空間)
40 室内空間(第2空間)
Claims (3)
- 隣接する第1空間と第2空間に跨って設けられた第1構造部材と、前記第1構造部材と交差する方向に形成され、前記第1空間と前記第2空間を区画する第2構造部材と、を備えた既存建物の前記第1構造部材の耐震補強方法であって、
先行補強する前記第1空間において、第1鉄筋の先端に継手部材を取り付け、前記継手部材の先端を前記第2構造部材へ当接させてコンクリートを増し打ちして前記第1構造部材を補強する工程と、
先行補強の終了後、前記第2空間の側から前記第2構造部材を斫り、前記継手部材を露出させ、前記継手部材に第2鉄筋を挿入し、コンクリートを増し打ちして前記第1構造部材を補強する工程と、
を有する既存建物補強方法。 - 前記第1鉄筋及び前記第2鉄筋は、外周面にオネジが設けられたネジ鉄筋であり、
前記継手部材は、内周面に前記オネジと螺合するメネジが設けられた機械式継手である
請求項1に記載の既存建物補強方法。 - 前記第1構造部材は柱、前記第2構造部材はスラブであり、
前記第1空間は上階空間、前記第2空間は下階空間であり、
前記ネジ鉄筋の下端部に取付けられた前記機械式継手の先端を前記スラブに当接させ、前記上階空間の前記柱にコンクリートを増し打ちして補強する
請求項2に記載の既存建物補強方法。
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