JP2006188898A - 既設構造体の耐震補強方法、および前記耐震補強方法に基づく構造、並びに前記構造を備える構造物 - Google Patents

既設構造体の耐震補強方法、および前記耐震補強方法に基づく構造、並びに前記構造を備える構造物 Download PDF

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Abstract

【課題】施工性や施工効率、施工コストに優れており、せん断耐力のみならず曲げ耐力を向上させる耐震補強方法、およびこの耐震補強方法に基づく構造、並びに前記構造を備える構造物を提供する。
【解決手段】斜め補強部材110の一端側の挿通孔111aを貫通するピン部材120を所定面101の下端部である基部に打設する。そして、斜め補強部材110の他端側の挿通孔111bの中心と他の斜め補強部材110の一端側の挿通孔111aの中心とを一致させ、斜め補強部材110と他の斜め補強部材110とが形成する角度が約90度となるようにそれぞれの斜め補強部材110を配置し、挿通孔111a及び挿通孔111bを貫通するピン部材120にて斜め補強部材110と他の斜め補強部材110とを連結すると共に、所定面101の基礎102部分より上側となる所定の位置にこのピン部材120を打設する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、既設構造体の耐震補強方法、および耐震補強方法に基づく構造、並びに前記構造を備える構造物に関する。
橋脚など耐震補強対象となる構造体に対し、近年、各種耐震補強の作業が行われている。例えば、PCストランド、鉄筋コンクリート、鋼板、或いは炭素繊維のシート等を前記構造体の周囲に巻き付けてその剛性を高める手法が採用されている。
例えば、横方向鉄筋の組立てを短時間で行うことができ、しかも、この横方向鉄筋の配設により地震時の部材のエネルギー吸収能力を確実にするとの目的の下、1対の回転台のうち、スパイラル筋の巻回しドラムを設置する第1の回転台は既存橋脚に隣接して設置し、他の第2の回転台はその内側に既存橋脚が立ち、かつ、既存橋脚の下端付近でこの既存橋脚の周囲を回転できるように設置し、第1の回転台上のドラムから第2の回転台にスパイラル状に巻き取るようにスパイラル筋を移設し、この第2の回転台からスパイラル筋を順次取り上げながら、既存橋脚の周面側面に配置していくことを特徴とする橋脚の耐震補強方法(特許文献1参照)などが提案されている。
また、現場溶接やボルト定着作業が一切不要で、簡単かつ迅速に施工でき、信頼性の高い、巻立鋼板及び既設柱体の補強方法を提供することを目的として、既設柱体の外周に巻き立てられる巻立鋼板において、既設柱体の全長とほぼ同じ長さを呈する複数の分割鋼板からなり、前記各分割鋼板の両側端部に、分割鋼板の長手方向の摺動により相互に嵌合可能な継手部を間欠的に形成したことを特徴とする、巻立鋼板(特許文献2参照)などが提案されている。
特開平9−25613号公報 特開平9−184303号公報
しかしながら従来手法においては、下記のような改善点が残されていた。例えば、補強対象となる構造体の周囲や補強面に対して鉄板等を貼りつけるために作業範囲を広くとる必要があった。しかも、この構造体(の一部)が店舗など他用途に共用されている状況下では、耐震補強作業の困難な箇所も生じた。またこの場合、耐震補強用の補強材を構造体に固定するためのアンカーを多数打ち込む必要があり、施工工期、効率およびコストの点で問題が残った。加えて、鋼板など平板にせん断力として力(地震等による応力)を伝えるため、所望耐力を実現するためにコスト上昇が伴った。
そこで、本発明者らは、上述の問題を解決するため、特願2004−164899号に、構造体の所定面にせん断補強部材を設置する耐震補強方法を提案している。これは、図10に示すように、耐震補強を行う構造体の所定面に複数のせん断補強部材210を両端部が互いに重合するようにパンタグラフ状に配設し、重合する両端部をピンにて連結すると共に、このピンを所定面101に打設してせん断補強部材210を所定面101に設置する方法である。また、図11に示すように、耐震補強を行う構造体の所定面101に複数のせん断補強部材210を両端部が互いに重合するようにパンタグラフ状に配設し、重合する両端部をピンにて連結すると共に、このピンを構造体100の側面角を覆って固定されたコーナー部材205を介して所定面101に打設してせん断補強部材210を所定面101に設置する方法である。
そして、これらの方法では、所定面101におけるせん断補強部材210の設置方向を地震、風等による水平方向の力が構造体100に作用する際に、せん断力を軸力として受けやすい方向、例えば、構造体100の長手方向に約45度に設定している。したがって、構造体100の様々な箇所に作用するせん断力を、互いに連結した複数のせん断補強部材210のいずれかにて軸力として負担するものである。
しかしながら、特願2004−164899号に記載されている耐震補強を行う構造体の所定面にせん断補強部材を設置する方法は、地震、風等による水平方向の力が構造体に作用する際のせん断力のみに対する補強方法であり、曲げ応力に対しては十分な効果が得られないという問題点があった。
また、曲げ耐力を増加させるためには別途曲げ応力用の補強部材を設置しなければならならず、施工工期、効率およびコストの面で問題点があった。
そこで本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、施工性や施工効率、施工コストに優れており、せん断耐力のみならず曲げ耐力を向上させる耐震補強方法、およびこの耐震補強方法に基づく構造、並びに前記構造を備える構造物を提供する。
上記目的を達成する本発明の耐震補強方法は、柱状構造体の所定面に斜め補強部材の両端をピン結合にて取り付ける耐震補強方法であって、少なくとも何れかの前記ピン結合部を前記所定面の上端部又は下端部に設けることを特徴とする(第1の発明)。
第2の発明は、第1の発明において、複数の前記斜め補強部材を、互いのヒンジ支点を共有すべく連結し、この連結した前記斜め補強部材の少なくとも一端を前記所定面の上端部又は下端部にピン結合することを特徴とする。
第3の発明の耐震補強方法は、柱状構造体の所定面に斜め補強部材の両端をピン結合にて取り付ける耐震補強方法であって、複数の前記斜め補強部材を、互いのヒンジ支点を共有すべく連結すると共に板状の補強部材を介して前記所定面にピン結合し、この板状の鉛直補強部材の少なくとも一端が前記所定面の少なくとも上端又は下端まで延びていることを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明において、前記鉛直補強部材の前記少なくとも一端に、前記柱状構造物から側方へ張り出す補強板を取付け、この補強板を前記柱状構造体の上部に接続されている上部構造体又は前記柱状構造体の下部に接続されている下部構造体に定着することを特徴とする。
第5の発明は、第3又は4の発明において、前記補強板をピン結合又は剛結合にて前記上部構造体又は下部構造体に定着することを特徴とする。
第6の発明の耐震補強構造は、柱状構造体の所定面に斜め補強部材の両端をピン結合にて取り付ける耐震補強構造において、少なくとも何れかの前記ピン結合部を前記所定面の上端部又は下端部に設けてなることを特徴とする。
第7の発明の耐震補強構造は、柱状構造体の所定面に斜め補強部材の両端をピン結合にて取り付ける耐震補強構造において、複数の前記斜め補強部材が互いのヒンジ支点を共有すべく連結されると共に板状の補強部材を介して前記所定面にピン結合され、この板状の鉛直補強部材の少なくとも一端が前記所定面の少なくとも上端又は下端まで延びてなることを特徴とする。
第8の発明の耐震補強構造物は、柱状構造体の所定面に斜め補強部材の両端をピン結合にて取り付ける耐震補強構造物において、少なくとも何れかの前記ピン結合部を前記所定面の上端部又は下端部に設けてなることを特徴とする。
第9の発明の耐震補強構造物は、柱状構造体の所定面に斜め補強部材の両端をピン結合にて取り付ける耐震補強構造物において、複数の前記斜め補強部材が互いのヒンジ支点を共有すべく連結されると共に板状の補強部材を介して前記所定面にピン結合され、この板状の鉛直補強部材の少なくとも一端が前記所定面の少なくとも上端又は下端まで延びてなることを特徴とする。
本発明による耐震補強方法にて補強部材を設置することにより、構造体はせん断耐力及び曲げ耐力を有するために、従来手法と比べて補強部材の材料数が少量となり、狭いスペースにも設置が可能となる。したがって、構造体(の一部)が店舗など他用途に共用されている場合において補強できる部位が限定されていても補強が可能となる。
また、隣接する他の構造体へのプレートの定着方法を選択することにより、他の構造体への負担を軽減することが可能となる。
さらに、所定面に設置されるピン結合の部位で摩擦減衰を生じさせ、制振機能を発現することも可能となる。
したがって、施工性や施工効率、施工コストに優れ、せん断力のみならず曲げ耐力を向上させる耐震補強方法、およびこの耐震補強方法に基づく構造、並びに前記構造を備える構造物を提供することが可能となる。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の第一実施形態における耐震補強方法を示す図である。以下、本発明の実施形態について説明するが、従来技術と対応する部分には同一の符号を付して、説明を省略する。
既設のRC橋脚等の構造体100に対して、本発明の耐震補強方法を実施するものとする。構造体100は地盤に設けられる基礎102上に設置されており、形状は、例えば、横断面が方形で、各側面が平面をなしている。そのうち1つの側面を本耐震補強方法にて補強部材を設置する所定面101とする。
本実施形態においては、斜め補強部材110の一端側の挿通孔111aを貫通するピン部材120を所定面101の下端部である基部に打設する。そして、斜め補強部材110の他端側の挿通孔111bの中心と他の斜め補強部材110の一端側の挿通孔111aの中心とを一致させ、斜め補強部材110と他の斜め補強部材110とが形成する角度が約90度となるようにそれぞれの斜め補強部材110を配置し、挿通孔111a及び挿通孔111bを貫通するピン部材120にて斜め補強部材110と他の斜め補強部材110とを連結すると共に、所定面101の基礎102部分より上側となる所定の位置にこのピン部材120を打設する。さらに、同様の方法にて複数の斜め補強部材110をパンタグラフ状に連結し、所定の高さまで設置する。
地震、風等による水平方向の力が作用する際に、構造体100に作用する曲げ応力は所定面101にピン結合された斜め補強部材110を介して構造体100の基部に伝達され、さらに、基礎102に埋設される柱主筋(図示せず)に伝達される。このように斜め補強部材110を所定面101の下端部である基部に設置することにより、構造体100に作用する地震、風等の水平方向の力による曲げ応力を基礎102に埋設される柱主筋(図示せず)に確実に伝達できるために、構造体100本体が有する曲げ耐力に加え、基礎102に定着している柱主筋の靱性力が加えられて構造体全体としての曲げ耐力が増加する。
また、構造体100に作用するせん断応力は、互いに連結した複数の斜め補強部材110のいずれかにて軸力として負担することができる。斜め補強部材110には、例えば、棒鋼を採用することが好適である。これは、構造体100に加わるせん断力を軸力として受けて有効に働く部材形態を備えているためである。
斜め補強部材110がアーチ機構又はトラス機構のいずれかにて配設される場合においては、構造体100に作用する曲げ応力は斜め補強部材110を介して構造体100の基部に伝達されるために、所定面101における斜め補強部材110の設置角度を構造体100に作用するせん断力の作用する方向に直交する方向を軸力として受ける角度に設定する。本実施形態においては、所定面101上において、構造体100の長手方向に、例えば、約45度の角度で斜め補強部材110を設置する。
ピン部材120の周面と挿通孔111の内周面との間に摩擦材を挟設する(図示せず)。構造体100に作用したせん断力の方向が斜め補強部材110の軸方向と完全に一致しない場合においては、斜め補強部材110がせん断力の方向にピン部材120をヒンジ支点として回転しようとする。この際に、上記摩擦材がピン部材120と挿通孔111との間にあって回転力、つまり、せん断力の摩擦減衰を生じさせる。これにより制振機能を発現することも可能となる。
なお、本実施形態においては、斜め補強部材110を所定面101の下端部側の基部のみに設置しているが、これに限定されるものではなく、例えば、構造体100の上部に他の構造体がある場合においては、斜め補強部材110を上端部側の基部に設置したり、また、構造体100の上部及び下部共に他の構造体がある場合においては、上端部側及び下端部側の基部共に斜め補強部材110を設置してもよい。つまり、構造体100に作用する曲げ応力を他の構造体に定着している柱主筋に伝達させる構造とするものであればよい。
また、本実施形態においては、斜め補強部材110は棒鋼を用いたが、これに限定されるものではなく、構造体100に作用するせん断力及び曲げ応力の作用方向と作用量とに応じて、適宜、形状及び材質を変更する。
図2は、本発明の第二実施形態における耐震補強方法を示す図である。本実施形態においては、斜め補強部材110の一端側の挿通孔111aを貫通するピン部材120を所定面101の所定の位置に打設する。そして、斜め補強部材110の一端側の挿通孔111bの中心と他の斜め補強部材110の他端側の挿通孔111aの中心とを一致させ、斜め補強部材110と他の斜め補強部材110とが形成する角度が約90度となるようにそれぞれの斜め補強部材110を配置し、挿通孔111a及び挿通孔111bを貫通するピン部材120にて斜め補強部材110と他の斜め補強部材110とを連結すると共に、所定面101に設置される板状の鉛直補強部材106を介してこのピン部材120を構造体100に打設する。さらに、同様の方法にて複数の斜め補強部材110をパンタグラフ状に連結し、補強部材を介して構造体100に打設し、所定の高さまで設置する。板状の鉛直補強部材106の一端は所定面の下端まで延びており、この一端にはプレート107が構造体から側方に張り出すように取り付けられている。そして、このプレート107はアンカーボルト108にて基礎102に固定されている。鉛直補強部材106には、例えば、鉄板を採用する。
本実施形態に示すように鉛直補強部材106を所定面101の下端部である基部に設置し、プレート107を基礎102に定着することにより、構造体100に作用する地震、風等の水平方向の力による曲げ応力を基礎102に埋設される柱主筋に確実に伝達できるために、構造体100本体が有する曲げ耐力に加え、基礎102に定着している柱主筋及びアンカーボルト108の靱性力が加えられると共に、さらに、構造体から張り出す向きに取り付けられたプレート107により断面二次半径が増加したことによって構造体全体としての曲げ耐力が増加する。
また、本実施例においてもピン部材120の周面と挿通孔111の内周面との間に摩擦材を挟設する(図示せず)。これにより制振機能を発現することも可能となる。
なお、本実施形態においては、プレート107をアンカーボルト108にて基礎102に固定したが、これに限定されるものではなく、例えば、プレート107を溶接にて基礎102に固定してもよい。また、本実施形態においては、鉛直補強部材106を所定面101の下端側の基部のみに設置しているが、これに限定されるものではなく、例えば、構造体100の上部に他の構造体がある場合においては鉛直補強部材106を上端側の基部に設置したり、また、構造体100の上部及び下部共に他の構造体がある場合においては上端側及び下端側の基部共に鉛直補強部材106を設置してもよい。
また、本実施形態においては、鉛直補強部材106は板状の鉄板を用いたが、これに限定されるものではなく、構造体100に作用するせん断力及び曲げ応力の作用方向と作用量とに応じて、適宜、形状及び材質を変更する。
さらに、本実施形態においては、構造体100の長手方向に約45度の角度、つまり斜め補強部材110と他の斜め補強部材110とが形成する角度が約90度の角度で斜め補強部材110を設置したが、これに限定されるものではなく、構造体100の配筋、寸法に応じて、せん断力に対抗できる任意の角度に設置すればよい。
次に、耐震補強方法を実施する上記各実施形態について、適宜な解析モデルを設定して行った2次元のFEM(Finite Element Method)解析過程および解析結果について説明する。
−−−解析モデル−−
本解析においては試験体に関する諸元は、参考文献(「RC柱の一面から施工する耐震補強工法の鋼板の補強効果に関する実験的研究」,土木学会論文集No.683/V-52,PP.75-89,2001.8,小林、石橋)に記載されている、「柱の一面補強実験における試験体」を採用した。
図3は、本解析に採用した実験試験体を示す図である。図3に示すように、実験試験体は400mm×400mmの正方形断面で、その試験体長は1200mmとし、この実験試験体における載荷点は基部から1150mmの位置とした。
図4は、全く補強部材を用いない構造体及びこの構造体の解析モデルを示し、図5は、特許文献1における斜め補強部材と構造体とをピン結合した構造体及びこの構造体の解析モデルを示す図である。また、図6は、本発明の第一実施形態における斜め補強部材と構造体とをピン結合し、構造体の基部にピンの打設位置を設けた構造体及びこの構造体の解析モデルを示し、図7は、本発明の第二実施形態における斜め補強部材と構造体とをピン結合し、構造体の基礎部まで鉛直補強部材を設けて鉛直補強部材を基礎部に剛結合した構造体及びこの構造体の解析モデル、及び斜め補強部材と構造体とをピン結合し、構造体の基礎部まで鉛直補強部材を設けて鉛直補強部材を基礎部にピン結合した構造体及びこの構造体の解析モデルを示す図である。
図4に示すように、全く補強部材を用いない構造体100に水平方向の力を作用させた場合における曲げ耐力について解析するための解析モデルであり、本解析をケース1とする。
図5に示すように、斜め補強部材110と構造体100とをピン結合した構造体、つまり、上述した特許文献1にて示された補強方法にて補強された構造体100に水平方向の力を作用させた場合における曲げ耐力について解析するための解析モデルであり、本解析をケース2とする。
図6に示すように、斜め補強部材110と構造体100とをピン結合し、構造体100の基部にピンの打設位置を設けた構造体100に水平方向の力を作用させた場合における曲げ耐力について解析するための解析モデルであり、本解析をケース3とする。
図7に示すように、斜め補強部材110と構造体100とをピン結合し、構造体100の基礎102まで鉛直補強部材106を設け、鉛直補強部材106を基礎102に溶接等により剛結合した構造体100に水平方向の力を作用させた場合における曲げ耐力について解析するための解析モデルであり、本解析をケース4とする。
また、図7に示すように、斜め補強部材110と構造体100とをピン結合し、構造体100の基礎102まで鉛直補強部材106を設け、鉛直補強部材106を基礎102にアンカー等によりピン結合した構造体100に水平方向の力を作用させた場合における曲げ耐力について解析するための解析モデルであり、本解析をケース5とする。ケース4とケース5とは鉛直補強部材106の基礎102への接合方法が異なっており、解析においては、鉛直補強部材106の拘束条件が異なっている(図7には標記されていない)。
ケース2〜5の2次元モデルにおいて、補強対象のコンクリートは4節点平面応力要素にモデル化し、主鉄筋、斜め補強部材110および鉛直補強部材106はトラス要素としてモデル化している。ここで、斜め補強部材110は両端のみがコンクリート要素の節点にピン結合されるものとする。また、基部からの鉄筋の抜け出しは考慮しないものとする。
そして、ケース2〜5においては、斜め補強部材110の板厚が3mmの場合、6mmの場合における解析をそれぞれにて行った。
−−−材料諸元−−−
解析モデルにおける補強対象たる構造体100のコンクリートの材料特性は、弾性係数は24.4kN/mm、圧縮強度は26.7N/mm、引張強度は1.63N/mm、ポアソン比は0.167とした。また、構造体100に埋設される主鉄筋(SD345)の材料特性は、ヤング係数は178kN/mm、降伏強度は369N/mm、降伏ひずみは2070μとした。そして、斜め補強部材110をなす棒鋼(SD345)の材料特性は、ヤング係数は186kN/mm、降伏強度は355N/mm、降伏ひずみは1910μとし、鉛直補強部材106をなす鉄板(SS400)の材料特性は、ヤング係数は222kN/mm、降伏強度は332N/mm、降伏ひずみは150μとした。
本解析における材料諸元は上述した特許文献1にて用いられた材料諸元と出来る限り一致させた。
−−−解析結果−−−
上記のような各種設定条件のもと、FEM解析を行った。その解析結果のうち、斜め補強部材110の板厚が3mmの場合における水平力と構造体の変位との関係を示す結果を図8に、斜め補強部材110の板厚が6mmの場合における水平力と構造体の変位との関係を示す結果を図9に示す。
図8及び図9に示すように、斜め補強部材110を基部から設置する場合(ケース3)及び斜め補強部材110を設置し、鉛直補強部材106を基部に固定する場合(ケース4及びケース5)は共に、全く補強部材を用いない場合(ケース1)及び斜め補強部材110と構造体100とをピン結合した構造体100、つまり、上述した特許文献1にて示された補強方法にて補強した場合(ケース2)よりも曲げ耐力が増加することが確認された。
また、斜め補強部材110を設置し、鉛直補強部材106を基部に固定する場合(ケース4及びケース5)は、斜め補強部材110を基部から設置する場合(ケース3)よりも曲げ耐力が増加することが確認された。
さらに、斜め補強部材110を基部から設置する場合(ケース3)及び斜め補強部材110を設置し、鉛直補強部材106を基部に固定する場合(ケース4及びケース5)は共に、斜め補強部材110の板厚が厚くなると曲げ耐力が増加することが確認された。
そして、斜め補強部材110と構造体100とをピン結合し、構造体100の基礎102まで鉛直補強部材106を設け、鉛直補強部材106を基礎102に溶接等により剛結合する場合(ケース4)と、斜め補強部材110と構造体100とをピン結合し、構造体100の基礎102まで鉛直補強部材106を設け、鉛直補強部材106を基礎102にアンカー等によりピン結合する場合(ケース5)とを比較すると、鉛直補強部材106の基礎102への接合条件による曲げ耐力への影響はほとんど確認できなかった。
したがって、本発明による斜め補強部材110を構造体100の基部に設置する方法、及び斜め補強部材110を設置し、鉛直補強部材106を基部に固定する方法にて、曲げ耐力を増加することが可能である。
本発明の第一実施形態における耐震補強方法を示す図である。 本発明の第二実施形態における耐震補強方法を示す図である。 本解析に採用した実験試験体を示す図である。 全く補強部材を用いない構造体の解析モデルを示す図である。 特許文献1における斜め補強部材と構造体とをピン結合した構造体及びこの構造体の解析モデルを示す図である。 本発明の第一実施形態における斜め補強部材と構造体とをピン結合し、構造体の基部にピンの打設位置を設けた構造体及びこの構造体の解析モデルを示す図である。 本発明の第二実施形態における斜め補強部材と構造体とをピン結合し、構造体の基礎部まで鉛直補強部材を設けて鉛直補強部材を基礎部に剛結合した構造体及びこの構造体の解析モデル、及び斜め補強部材と構造体とをピン結合し、構造体の基礎部まで鉛直補強部材を設けて鉛直補強部材を基礎部にピン結合した構造体及びこの構造体の解析モデルを示す図である。 斜め補強部材の板厚が3mmの場合における水平力と構造体の変位との関係を示す図である。 斜め補強部材の板厚が6mmの場合における水平力と構造体の変位との関係を示す図である。 従来の耐震補強方法の具体例を示す図である。 従来の耐震補強方法の他の具体例を示す図である。
符号の説明
100 構造体
101 所定面
102 基礎
106 鉛直補強部材
107 プレート
108 アンカーボルト
110 斜め補強部材
111 挿通孔(=111a、111b)
120 ピン部材
205 コーナー部材
210 せん断補強部材

Claims (9)

  1. 柱状構造体の所定面に斜め補強部材の両端をピン結合にて取り付ける耐震補強方法であって、
    少なくとも何れかの前記ピン結合部を前記所定面の上端部又は下端部に設けることを特徴とする耐震補強方法。
  2. 複数の前記斜め補強部材を、互いのヒンジ支点を共有すべく連結し、この連結した前記斜め補強部材の少なくとも一端を前記所定面の上端部又は下端部にピン結合することを特徴とする請求項1に記載の耐震補強方法。
  3. 柱状構造体の所定面に斜め補強部材の両端をピン結合にて取り付ける耐震補強方法であって、
    複数の前記斜め補強部材を、互いのヒンジ支点を共有すべく連結すると共に板状の補強部材を介して前記所定面にピン結合し、この板状の鉛直補強部材の少なくとも一端が前記所定面の少なくとも上端又は下端まで延びていることを特徴とする耐震補強方法。
  4. 前記鉛直補強部材の前記少なくとも一端に、前記柱状構造物から側方へ張り出す補強板を取付け、この補強板を前記柱状構造体の上部に接続されている上部構造体又は前記柱状構造体の下部に接続されている下部構造体に定着することを特徴とする請求項3に記載の耐震補強方法。
  5. 前記補強板をピン結合又は剛結合にて前記上部構造体又は下部構造体に定着することを特徴とする請求項3又は4に記載の耐震補強方法。
  6. 柱状構造体の所定面に斜め補強部材の両端をピン結合にて取り付ける耐震補強構造において、
    少なくとも何れかの前記ピン結合部を前記所定面の上端部又は下端部に設けてなることを特徴とする構造。
  7. 柱状構造体の所定面に斜め補強部材の両端をピン結合にて取り付ける耐震補強構造において、
    複数の前記斜め補強部材が互いのヒンジ支点を共有すべく連結されると共に板状の補強部材を介して前記所定面にピン結合され、この板状の鉛直補強部材の少なくとも一端が前記所定面の少なくとも上端又は下端まで延びてなることを特徴とする構造。
  8. 柱状構造体の所定面に斜め補強部材の両端をピン結合にて取り付ける耐震補強構造物において、
    少なくとも何れかの前記ピン結合部を前記所定面の上端部又は下端部に設けてなることを特徴とする構造物。
  9. 柱状構造体の所定面に斜め補強部材の両端をピン結合にて取り付ける耐震補強構造物において、
    複数の前記斜め補強部材が互いのヒンジ支点を共有すべく連結されると共に板状の補強部材を介して前記所定面にピン結合され、この板状の鉛直補強部材の少なくとも一端が前記所定面の少なくとも上端又は下端まで延びてなることを特徴とする構造物。
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