JP2009132551A - 合成シリカガラスの製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炉体2と、前記炉体2に設けたられた排気口5aと、前記排気口に接続された排気手段9と、前記炉体内部に回転可能に設置されたインゴット形成用のターゲット6と、前記ターゲット6に先端が対向して設けられたシリカガラス合成用のバーナー7とを備えた合成シリカガラス製造装置1であって、前記炉体2は、前記シリカガラス合成用のバーナー7が頂部に設置された耐火物製のマッフル3と、前記マッフル3の下方に設けられた、前記マッフル3の内径よりも大径の第1の炉部4と、前記第1の炉部4の下方に設けられた、前記第1の炉部4の内径よりも大径の第2の炉部5とを備える。
【選択図】図1
Description
この合成シリカガラスは、一般的には紫外線(400nm以下)領域の波長を吸収してしまう原因となりうる金属不純物の混入を避ける目的で、高純度のケイ素化合物、例えば四塩化ケイ素(SiCl4)などの気体を、酸水素炎中に導入し、火炎加水分解させて、シリカ微粒子を直接回転する耐熱性ターゲット上に堆積・溶融ガラス化させ、透明なガラスとして製造されている。
しかし、常温の不活性ガスを流した場合には、炉内温度を低下させるため、石英ガラスの合成条件が変化し、脈理等の欠陥が生じやすいという欠点があった。また、常温の不活性ガスを炉内へ流すためのノズルの温度が低く、このノズルの周辺にシリカ微粒子が付着しやすく、ノズルを詰まらせる虞れがあり、付着したシリカ微粒子がインゴット合成面に飛来し、欠陥(気泡、インクルージョン)を招く原因となっていた。
更にまた、特開2006−117476(特許文献4)に記載されているように、炉の耐火壁をドーム状とし、インゴット合成面(溶融シリカ付着面)より上方で排気する方法では、インゴット合成面(溶融シリカ付着面)の温度を保つために、必要とするガス量が非常に多量となり、製造コストが嵩むという欠点があった。
更に、第1の炉部の内径に対して第2の炉部の内径を大きく形成することで圧力勾配を持たせ、即ち、下方ほど圧力を低下させることで上昇気流を抑制することができ、スムーズな排気を行うことができる。
尚、2段構造で第1の炉部から排気を行った場合、微少な排気量変動であってもインゴット合成面(インゴット溶融シリカ面)への影響が大きく、合成したインゴットの品質にばらつきが生じる。また、微少な排気量変動により上昇気流が生じてしまい、炉内壁に付着したシリカを巻き上げられ、インゴットに欠陥を生じさせるため、マッフル、第1の炉部、第2の炉部の3段構造が望ましい。
前記炉体が、このような寸法形状を有する場合には、脈理、欠陥のより抑制され、物性や品質がより均一な合成シリカガラスを得ることができる。
しかも、総排気量が変化せず、所定の流量を流すことができるため、排気管における石英ガラス粉の付着を抑制できる。また、炉内を安定した排気を行なうことができるため、インゴット内に気泡、異物の混入がより抑制され、屈折率がより均質な石英ガラスを得ることができる。
前記開放系の製造装置1は、下部が大気に常時開放されている3段構造の炉体2を備えている。この炉体2は、前記したようにシリカガラス合成用のバーナー7が頂部に設置された耐火物製のマッフル3と、前記マッフル3の下方に設けられた、前記マッフル3の内径よりも大径の第1の炉部4と、前記第1の炉部4の下方に設けられた、前記第1の炉部4の内径よりも大径の第2の炉部5とから構成されている。
更に、炉体2の下部(第2の炉部5)には、ターゲット6に堆積されなかったシリカ微粒子を排気する排気口5aが設けられている。そしてまた、前記排気口5aに接続された排気管11、排気ファン10からなる排気手段9が設けられている。
前記マッフル3の内径が1.3r未満の場合には、排気ガスの流速が速く、乱流となり易く、マッフル3内に堆積したシリカ微粒子を巻き上げ、インゴット8の内部に欠陥を生じさせる。また、マッフル3の内部の温度が上昇し、インゴット8を所定の外径寸法に維持できず、所定の外径寸法に対し大きく形成される。これにより、バーナー7とターゲット6間の距離に変化が生じ、合成部(溶融シリカ付着面8a)の温度分布が変化し、また加水分解反応により生成されたシリカ微粒子が反応が促進された状態で合成面(溶融シリカ付着面8a)に堆積するため、合成した石英ガラスの物性や品質にバラツキを生じさせる。更に、インゴット8の外径寸法が大きくなると、マッフル3内のガスが下方向に抜けにくくなり、マッフル3の内壁やバーナー7等に堆積するシリカ微粒子量が増加し、これが合成面(溶融シリカ付着面8a)へ飛来し、インゴット8に欠陥を生じさせる。
このマッフル3の高さh1が800mmを超える場合には、マッフル3内の温度を高温維持するためにバーナー7からのガス量を多くしなければならず、製造コストが嵩み、好ましくない。
一方、マッフル3内の高さh1が300mm未満の場合には、マッフル3内部の温度が上昇し、インゴット8の形状維持(外径維持)が困難になり、好ましくない。またマッフル3内のガスの排気が悪化し、マッフル3の内壁面にシリカ微粒子が付着し、これが落下することによりインゴット8の合成面(溶融シリカ付着面8a)へシリカ微粒子が飛来し、欠陥等が生じ、好ましくない。
第1の炉部4の内壁の内径が1.2a未満の場合には、マッフル3内と第1の炉部4の圧力勾配が不十分であり、上昇気流が生じやすく、インゴット8の内部に欠陥を生じさせる原因となる。また、第1の炉部4の内部温度が上昇しすぎるため、インゴット8の所定の外径寸法が保持できず、所定の外径に対し大きく形成される。また、インゴット8と第1の炉部4の内壁が近接するため、内壁面に付着したシリカ微粒子によって排気経路が狭まり、排気流速の変動を引き起こす。そのため、合成面(溶融シリカ付着面8a)の温度分布が変化し、屈折率分布が悪化し、また排気流が乱流となり上昇気流を生じさせ、シリカ微粒子が合成面へ達し、欠陥の原因となる。
第1の炉部4の高さ(長さ)h2が150mm未満の場合、排気口5aと合成面(溶融シリカ付着面8a)の距離が近く、微少な排気変動でもインゴット合成面(溶融シリカ付着面8a)近傍のガス流れ、温度分布に影響を与えやすく、合成した石英ガラスの物性や品質にバラツキが生じる。
また、第1の炉部4の高さ(長さ)h2が600mmを越えると、600mm以上であると、排気口5aとの距離が遠く、圧損を受け、排気効率が低下するため、好ましくない。
前記第2の炉部5の内径cが、1.2b未満の場合には、第1の炉部4との圧力勾配が十分ではなく、上昇気流が生じる原因となる。また、第2の炉部5内壁の内径cが3.0bを超える場合には、第2の炉部5の排気ガス流速が遅く、第2の炉部5の内面へシリカ微粒子が堆積し易く、排気効率が低下する。
前記第2の炉部5の高さh3が300mm未満であると、第2の炉部5内の排気ガス流速が速いため、第2炉部5を循環するガス成分が多くなり、インゴット8内部の欠陥を生じさせる。
一方、第2の炉部5の高さh3が2000mmを越えると、排気口5aの距離が遠く、圧損を受け排気効率が低下する。
このように、炉体2を三段構造とすることで上昇気流を防止し、安定した品質のインゴットが得られる。
なお、ここでいう密閉系とは完全密閉状態及び設計上不可避的開放状態を含む実質的な密閉状態を含む。また、炉体2が密閉されていることを除き、マッフル23、第1の炉部24と、第2の炉部25の寸法、形状は、図1に示した実施形態と同一であるため、その詳細な説明は省略する。
また、第2の炉部25内壁の内径cが3.0bを超える場合には、第2の炉部25の排気ガス流速が遅く、第2の炉部内面へシリカ微粒子が堆積し易く、排気効率が低下する。
前記第2の炉部25の高さh3が300mm未満であると、第2の炉部25内の排気ガス流速が速く、第2の炉部25内を循環するガス成分が多くなりインゴット8の内部に欠陥を生じさせる原因となる。
一方、第2の炉部5の高さh3が2000mmを越えると、2000mm以上であると、排気口25aの距離が遠く、圧損を受け排気効率が低下する。
この風向変更板29は天井部29aを有する円筒状に形成され、前記天井部29aには、インゴット昇降軸26aが貫通する貫通孔29bが形成されている。また、この風向変更板29の外周壁(鍔部29c)は、前記インゴット昇降軸26aに沿って下方に延設されている。
逆に、風向変更板29の鍔部29cの下方の長さが100mmを超える場合には、鍔部29cの外部で発生した上昇流を受け止めることができない範囲が大きくなり、結果として上昇流を抑制することができない。
この排気手段30は、前記第2の炉部25に形成された排気口25aに接続された排気管31と、前記排気管31に接続された外気導入管32と、外気導入管32の開度を制御する回動弁33と,前記第2の炉部25に設けられた炉内圧力と炉外圧力差を測定する差圧センサ35と、前記排気管31に接続された除害装置37、排気ファン38とを備えている。
尚、排気ガス中のシリカ微粒子の付着によって差圧の測定が不能になるのを防止するため、差圧センサ34は排気口35aより下部に設置されている。図2にあっては、左側の排気管31に接続された除害装置37、排気ファン38を省略して図示している。
更に、この合成石英ガラスの製造装置の排気管31の総排気量が変化しないため、一基の除害装置37、排気ファン38に多数の炉体21を連結させることが可能となり経済的である。
図1に示すように、高純度のケイ素化合物、例えば四塩化ケイ素(SiCl4)などの気体を約600℃のマッフル3内に開口するバーナー7を用いて酸水素炎中に導入し、火炎加水分解させてガラス微粒子を直接回転するターゲット6上に堆積・溶融ガラス化させ、堆積速度に合わせてバーナー7からインゴット8の溶融シリカ付着面8aまでの距離を一定に保つように引き下げながら合成シリカガラスの製造を行う。
図1に示す合成シリカガラス製造装置を用いて、インゴットを合成した。この装置は、図1に示すように、バーナー7がマッフル3上部からターゲット6にその先端を向けて設置されており、マッフル3の下段に第1の炉部4を設け、更にその下段に、排気口5aを有した第2の炉部5を設置した。
前記マッフル3は高アルミナ質耐火物を用い、内径φ600mm,長さは500mmとした。第1の炉部4の内径はφ900mm、長さは500mmとした。第2の炉部5の内径はφ1400mm、長さは1000mmとした。
そして、けい素化合物として四塩化けい素を60g/mmを導入し、キャリアガス支燃性ガスとして酸素、可燃性ガスとして水素を用い、酸素/水素比は0.5として外径φ400mm、500kgの合成石英ガラスインゴットを製造した。
この結果、合成されたインゴットの外径変動量は2mmであった。また、インゴット内部の欠陥は1点も検出されなかった。
図6に示すように、バーナー7がマッフル3上部からターゲット6にその先端を向けて設置されており、マッフル3の下段に排気口5aを有した第1の炉部4を設置した。
前記マッフル3は高アルミナ質耐火物を用い、内径φ600mm、長さは500mmとした。第1の炉部4の内径はφ900mm、長さは500mmとした。
本装置を用い、けい素化合物として四塩化けい素を60g/mm導入し、キャリアガス支燃性ガスとして酸素、可燃性ガスとして水素を用い、酸素/水素比は0.5として外径φ400、500kgの合成石英ガラスインゴットを製造した。
この結果、合成されたインゴットの外径変動量は2mmであったが、インゴット内部の欠陥は10点検出された。
実施例1と同様な装置で、以下の寸法形状の装置を用いて、インゴットを製作した。
前記マッフル3は、内径φ600mm、長さは500mmとした。第2の炉部5の内径はφ700mm、長さは500mmとした。第2の炉部5の内径はφ1400mm、長さは1000mmとした。
そして、実施例1と同条件で、同寸法のインゴット合成を試みたが、合成中にインゴット外径の制御ができず、φ500mm〜φ200mmのインゴットとなった。また、インゴット内部の欠陥も10点検出された。
実施例1と同様な装置で、以下の寸法形状の装置を用いて、インゴットを製作した。
前記マッフル3は、内径φ600mm、長さは500mmとした。第2の炉部5の内径はφ900mm,長さは500mmとした。第2の炉部5の内径はφ1050mm、長さは1000mmとした。
そして、実施例1と同じ条件で、外径φ400mm、500kgの合成石英ガラスインゴットを製造した。
この結果、インゴットの外径変動量は2mmであったが、インゴット内部の欠陥は10点検出された。
2,21 炉体
3,23 マッフル
4,24 第1の炉部
5,25 第2の炉部
5a、25a 排気口
6,26 ターゲット
7,27 バーナー
8,28 インゴット
8a,28a 溶融シリカ付着面
9 排気手段
10 排気ファン
11 排気管
29 風向変更板
30 排気手段
31 排気管
32 外気導入管
33 回動弁
34 ステッピングモータ
35 差圧センサ
36 制御装置
37 除外装置
38 排気ファン
Claims (7)
- 炉体と、前記炉体に設けたられた排気口と、前記排気口に接続された排気手段と、前記炉体内部に回転可能に設置されたインゴット形成用のターゲットと、前記ターゲットに先端が対向して設けられたシリカガラス合成用のバーナーとを備えた合成シリカガラス製造装置であって、
前記炉体は、前記シリカガラス合成用のバーナーが頂部に設置された耐火物製のマッフルと、前記マッフルの下方に設けられた、前記マッフルの内径よりも大径の第1の炉部と、前記第1の炉部の下方に設けられた、前記第1の炉部の内径よりも大径の第2の炉部とを備えることを特徴とする合成シリカガラス製造装置。 - 前記炉体を構成するマッフルの水平断面、前記マッフルの下方に設けられた第1の炉部の水平断面、前記第1の炉部の下方に設けられた第2の炉部の水平断面のいずれもが円形であることを特徴とする請求項1記載の合成シリカガラス製造装置。
- 前記マッフルの内径が、前記インゴットの外径をrとした場合に1.3r以上2.5r以下であって、マッフル内の高さが300mm以上800mm以下であり、
前記第1の炉部の内径が、前記マッフルの内径をaとした場合に1.2a以上2.0a以下であって、第1の炉部内の高さが150mm以上600mm以下であり、
前記第2の炉部の内径が、前記第1の炉部の内径をbとした場合に1.2b以上3.0b以下であって、第2の炉炉部内の高さが300mm以上2000mm以下であることを特徴とする請求項2記載の合成シリカガラス製造装置。 - 前記炉体が密閉されると共に、前記排気口が前記第2の炉部に設けられ、
前記排気手段は、前記第2の炉部に設けられた炉内圧力と炉外圧力差を測定する差圧センサと、前記第2の炉部に形成された排気口に接続された排気管と、前記排気管に接続された外気導入管と、外気導入管の開度を制御する回動弁とを備え、
前記差圧センサの差圧が一定になるように、回動弁の開度を制御し、総排気量を変化させることなく、第2の炉部からの排気量と外気導入管からの外気導入量の配分を可変するように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の合成石英ガラスの製造装置。 - 前記排気管には除害装置が接続され、更に前記除害装置に排気ファンが接続されていることを特徴とする請求項4記載の合成石英ガラスの製造装置。
- 前記インゴット形成用のターゲットの下方には、下方向に延びる鍔部を有する風向変更板が設置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の合成シリカガラス製造装置。
- 前記風向変更板の直径が、インゴットの直径に対して−10mm以上+10mm以下の範囲にあり、前記鍔部の下方の長さが50mm以上、100mm以下であることを特徴とする請求項6記載の合成シリカガラス製造装置。
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