JP5653681B2 - 合成シリカガラス製造装置及び合成シリカガラスの製造方法 - Google Patents
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Description
生成されたシリカ微粒子は、バーナ51から噴出されるガスの流れにのり、鉛直軸周りに回転するインゴット53(ターゲット52)上に堆積・溶融ガラス化され、透明なガラスとして製造される。
しかしながら、炉の構造によっては炉内のガス流れが引き起こす気流に従い、浮遊シリカ微粒子をインゴット合成面(溶融シリカ付着面)へ飛来させ、欠陥(気泡、インクルージョン)を招く原因となっていた。
図7に示すように、この石英ガラスの製造装置60は、炉61と、該炉内部に設置されたインゴット形成用のターゲット62と、該ターゲット62に先端を向けて設置された石英ガラス合成用のバーナ63と、前記ターゲット62上に堆積されなかった石英ガラス粉を排気する排気手段64とを備えている。また、炉61の内壁に不活性ガスを導出するガス管からなるガス流出手段65が設けられている。
この特許文献2に記載されている石英ガラス製造装置70は、インゴット形成用ターゲット71と、内部にターゲット71が配設され、排気口72を有する炉73と、ターゲット71に先端を向けて配設された石英ガラス合成用バーナ74と、排気口72から炉73内のガスを排気する排気管75を備えている。また、この石英ガラス製造装置70には、可燃性の水素ガスおよび支燃性の酸素ガスをそれぞれ炉73内に導出して、炉73の内壁面に沿った火炎流を形成するノズル76が設けられている。
このように、前記バーナ外筒管のガス導出方向が傾斜しているため、第1の火炎流と第2の火炎流の干渉を抑制でき、合成シリカガラスの合成条件を一定に保つことができ、脈理等の欠陥の発性を抑制できる。
このように、支燃性ガスであるO2ガスあるいは可燃性ガスであるH2ガスを導出することにより、下方向に向かう第1、第2の火炎流を容易に形成することができ、炉の側壁、天井部、シリカガラス合成用のバーナ等へのシリカ微粒子の付着をより抑制することができる。
このように、バーナ内筒管とバーナ外筒管とが特定の配置構成を備えているため、バーナ内筒管の外周面、及び天井部におけるバーナ外筒管の設置個所近傍等の部位へのシリカ微粒子の付着を抑制することができる。
本発明の合成シリカガラス製造装置1は、耐火物製の炉2と、該炉内部に設置されたインゴットXを形成するためのターゲット3と、該ターゲット3に先端を向けて設置され、前記炉2内に原料ガスと支燃性ガスと可燃性ガスを噴射して火炎を形成するシリカガラス合成用のバーナ4と、前記ターゲット3上に堆積されなかった浮遊シリカ微粒子を排気する炉の下部に設けられた排気ポート5とを備えている。尚、図示しないが、前記ターゲット3を回転および昇降するインゴット昇降手段が設けられている。
また、この天井部11の上面には、ガス導出孔12からガスを導出するための石英ガラス製のガス流通部13が設けられている。このガス流通部13は、図2,図4に示すように、有底円筒状に形成され、側壁13aの開口周縁部13bが前記天井部11の上面と密接して取付けられ、天井部11の上面とガス流通部13によって、ガスが流通する空間Aが形成されている。尚、このガス流通部13には、ガスを導入するためのガス導入口13cが設けられている。
この第2の火炎流F2は垂直下方向に流れるため、炉2の内部のガスの流れを垂直下方向の流れになし、炉内、特に炉2の側壁及び天井部11へのシリカ微粒子の付着を抑制する。尚、前記ガス導出孔12をシリカガラス合成用のバーナ4側の内周側よりも炉の側壁側の外周側に数多く配置し、シリカガラス合成用のバーナ4側の内周側よりも炉の側壁側の外周側から多くのガスを導入するように構成するのが好ましい。またはシリカガラス合成用のバーナ4側の内周側に位置するガス導出孔12の径よりも、炉の側壁側の外周側に位置するガス導出孔12の径を大きく形成し、シリカガラス合成用のバーナ4側の内周側よりも炉の側壁側の外周側から多くのガスを導入するように構成するのが好ましい。
このように構成するのは、シリカガラス合成用のバーナ4からのガス流れが、インゴット形成用のターゲット3の方向に流れた後、炉の側壁側に沿って上昇する流れが生じる虞があり、その炉の側壁側に沿って上昇するガスの流れを抑制するためである。
更に、天井部11の中央部の貫通孔11aの外周部には、天井部11の中心方向に行くに従って、天井部11の厚さ寸法が小さくなるように傾斜した傾斜面部11bが形成されている。
尚、前記バーナ内筒管4aから原料ガスとキャリアガス(例えばSiCl4+O2)の他、可燃性ガス、支燃性ガスを導入しても良く、バーナ外筒管4bから可燃性ガスまたは支燃性ガスのいずれか一方のガスを導入しても良い。
また、バーナ外筒管4bのガス導出方向は、垂直下方向からインゴット形成用のターゲット3の方向に、所定角度θ傾斜している。したがって、バーナ外筒管4bから導出されたガスは、バーナ内筒管4aの外周面に沿って、インゴット形成用のターゲット3の方向に流れる。
特に、バーナ外筒管4bから導出されるガスが、バーナ内筒管4aの外周面及び天井部11におけるバーナ外筒管4bの設置個所近傍(天井部11の傾斜面11b)を流れるため、これら部位への浮遊シリカ微粒子の付着を抑制することができる。
また、天井部11のガス導出孔12から可燃性ガスまたは(及び)支燃性ガス(水素ガス(H2)または(及び)酸素ガス(O2))を導入し、第2の火炎流F2を形成する。
したがって、前記第1の火炎流F1と第2の火炎流F2は干渉することがなく、しかも、炉2の内部のガスの流れは上部(天井部)から炉下部に向かう下方向の流れとなり、前記ガスは炉2の上部に上昇することなく、排気ポート5から排出される。即ち、浮遊シリカ微粒子は排気ポート5に円滑に導かれ、炉2の側壁10、天井部11、シリカガラス合成用のバーナ4への付着が抑制される。
図1、2に示すように、約1400℃の炉内に、シリカガラス合成用のバーナ4のバーナ内筒管4aを用いて原料ガス(例えば四塩化ケイ素(SiCl4)などの気体+酸素(O2))と、水素ガス(H2)、酸素ガス(O2)ガスを導入する。併せて、バーナ外筒管4bから可燃性ガスまたは(及び)支燃性ガス(水素ガス(H2)または(及び)酸素ガス(O2))を導入する。
また、天井部11のガス導出孔12から可燃性ガスまたは(及び)支燃性ガス(水素ガス(H2)または(及び)酸素ガス(O2))を導入する。
そして、原料ガスは酸水素炎により、火炎加水分解させてシリカガラス微粒子を回転するターゲット3上に堆積、溶融ガラス化させる。尚、合成シリカガラスの堆積速度に合わせてバーナ4からインゴットXの溶融シリカ付着面までの距離を一定に保つように引き下げながら合成シリカガラスの製造が行われる。
流速が0.5m/sec未満の場合、炉上部(天井部11)から炉下部に向かう下方向の流れが、炉2の側壁10の内面に沿った上昇気流に負け、炉内の気流が乱れ、浮遊シリカ微粒子が炉内部付着して、欠陥(気泡・インクルージョン)を招く虞があるためである。また天井部11のガス導出孔12から導出されるガスの流速は、上記したようにガスの流速は0.5m/sec以上であって、シリカガラス合成用のバーナ4側の内周側に位置するガス導出孔12の流速よりも、炉の側壁側の外周側に位置するガス導出孔12の流速を大きくするのが望ましい。シリカガラス合成用のバーナ4からのガス流れが、インゴット形成用のターゲット3の方向に流れた後、炉の側壁側に沿って上昇する流れが生じる虞があり、その炉の側壁側に沿って上昇するガスの流れを抑制するためである。
[実施例1]
図1に示す合成シリカガラス製造装置を用いて、合成シリカガラスのインゴットを製造した。尚、排気ポート5として、対称に2ヵ所設置した。また、天井部11のガス導出孔12として、φ1.0mmの穴を30mm間隔に48個開け、その上面にガス流通部13を設置し、シリカ付着防止用バーナとした。
そして、本装置を用い、シリカガラス合成用のバーナ4のガス導入口4cから原料ガスとしてSiCl4を60g/minとO2を10リットル/min導入し、バーナ内筒管4aから前記原料ガスと、支燃性ガスとしてO2ガスを250リットル/min、可燃性ガスとしてH2ガスを500リットル/minを炉内に導入した。またO2ガス/H2ガス比は0.5とした。
シリカガラス合成用のバーナ4のバーナ外筒管4bからO2ガスを10リットル/minと、天井部ガス導出孔(シリカ付着防止用バーナ)からO2ガスを60リットル/minを炉内に供給しながら、外径φ500mm、1000kgの合成シリカガラスインゴットを製造した。この結果、合成されたインゴット内部に気泡、インクルージョンは1点も検出されなかった。
実施例1と同様の装置を用いて、シリカガラス合成用のバーナ4のバーナ外筒管4bからH2ガスを10リットル/min、天井部ガス導出孔(シリカ付着防止用バーナ)からH2ガスを60リットル/minを炉内に供給しながら、その他の条件は実施例1と同条件で合成を行った。この結果、合成されたインゴット内部に気泡、インクルージョンは1点も検出されなかった。
図1に示した装置の天井部にガス導出孔(シリカ付着防止用バーナ)を設けず、その他は実施例1と同条件として、外径φ500mm、1000kgの合成シリカガラスインゴットを製造した。この結果、合成されたインゴット内部に気泡5点、インクルージョンは10点検出された。
実施例1と同様の装置を用いて、シリカガラス合成用のバーナ4のバーナ外筒管4bからN2ガスを10リットル/min、天井部ガス導出孔(シリカ付着防止用バーナ)からN2ガスを60リットル/min炉内に供給しながら、その他の条件は実施例1と同条件で合成を行った。この結果、合成されたインゴット内部に気泡3点、インクルージョンは5点検出された。
2 炉
3 ターゲット
4 インゴット合成用のバーナ
4a バーナ内筒管
4b バーナ外筒管
5 排気ポート
10 炉の側壁部
11 天井部
12 ガス導出孔(シリカ付着防止用バーナ)
F1 第1の火炎流
F2 第2の火炎流
Claims (5)
- 円筒状の側壁部と前記側壁部の上部を閉塞する天井部とから構成された炉と、該炉内部に設置されたインゴット形成用のターゲットと、前記炉内に原料ガスと支燃性ガスと可燃性ガスを導入して火炎流を形成するシリカガラス合成用のバーナと、前記ターゲット上に堆積されなかった浮遊シリカ微粒子を排気する炉の下部に設けられた排気ポートとを備えた合成シリカガラス製造装置であって、
前記シリカガラス合成用のバーナは、前記天井部の中央部に取り付けられ、少なくとも原料ガスを導出するバーナ内筒管と、少なくとも可燃性あるいは支燃性ガスを導出するバーナ外筒管を備え、前記バーナ外筒管からのガスの導出によって、バーナ内筒管の外周面に沿って下方向の前記ターゲットに向かう第1の火炎流が形成され、
前記バーナ外筒管の外周側の前記天井部に、複数のガス導出孔が垂直方向に穿孔されると共に、前記ガス導出孔からのガスの導出によって、前記ガス導出孔が存在する前記天井部から前記ターゲットの外周側領域で垂直下方向に向かう第2の火炎流が形成されることを特徴とする合成シリカガラスの製造装置。 - 前記バーナ外筒管のガス導出方向は、垂直下方向からのインゴット形成用のターゲット方向に、所定角度傾斜していることを特徴とする請求項1記載の合成シリカガラス製造装置。
- 前記バーナ外筒管の下端部は、バーナ内筒管の下端部よりも上方に位置するように配置されると共に、天井部の下面も上方に位置するように形成され、バーナ内筒管の下端部は、天井部の下面と同一面に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された合成シリカガラス製造装置。
- 前記導出孔をシリカガラス合成用のバーナ側の内周側よりも炉の側壁側の外周側に数多く配置することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された合成シリカガラス製造装置。
- 前記請求項1乃至前記請求項4のいずれかの請求項に記載された合成シリカガラス製造装置を用いたことを特徴とする合成シリカガラスの製造方法。
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