図1及び図2に示されるように、この発明に係る弾性ローラの一実施例としての弾性ローラ1は、軸体2と、軸体2の外周面に形成された発泡弾性層3と、発泡弾性層3の外周面に形成された非発泡弾性層4と、非発泡弾性層4の外周面に形成された帯電補助層5と、帯電補助層5の外周面に形成されたコート層6とを備え、例えば、図3に示される画像形成装置10又は図4に示される画像形成装置50等に配設される。
前記軸体2は、良好な導電特性を有していればよく、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等で構成された所謂「芯金」と称される軸体とされる。また、軸体2は、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等の絶縁性芯体にメッキを施して導電化した軸体であってもよく、さらには、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等に導電性付与剤としてカーボンブラック又は金属粉体等を配合した導電性樹脂で形成された軸体であってもよい。
前記発泡弾性層3は、後述する発泡ゴム組成物によって、軸体2の外周面に形成されている。この発泡弾性層3は、その内部及び/又は外表面にセルを有する(図1及び図2において、発泡弾性層3の外周面及び端面に開口したセルは図示しない。)。発泡弾性層3がセルを有していると、発泡弾性層3の硬度が低下して、弾性ローラ1の機能が向上するから、高品質の画像を形成することができる。ここで、発泡弾性層3に有するセルは、ゴム組成物に含有される発泡剤の発泡又は分解等によって生じる中空領域、及び、発泡ゴム組成物に含有される中空充填材等に由来する中空領域をいう。発泡弾性層3に有する複数のセルは、他のセルに接することのない若しくは連通することのない状態(独立セル状態と称する。)、他のセルに接し若しくは連通している状態(連通セル状態と称する。)、又は、前記独立セル状態と前記連通セル状態とが共存する状態の何れの状態にあってもよい。この発明においては、発泡弾性層3に形成されるセルは独立セル状態にあるのが、発泡弾性層3の硬度が均一となる点で、好ましい。なお、セルは、発泡弾性層3に均一に分散又は散在しているのがよい。
発泡弾性層3のセルは、画像形成装置に用いられる各種ローラに応じて、大きさ、存在率等が決定される。例えば、発泡弾性層3のセルは、平均セル径が50〜500μmであるのが好ましく、100〜300μmであるのが特に好ましい。セルの平均セル径が前記範囲内にあると、弾性ローラ1の硬度を所望の硬度に調整することができ、その結果、弾性ローラ1を例えば転写ローラ又は二次転写ローラとして画像形成装置に装着したときに、像担持体又は二次転写ベルトと記録体とを十分に押圧することができ、現像剤を中間転写ベルト、記録体等に転写することに十分に貢献することができる。ここで、セルの平均セル径は、発泡弾性層3の表面又は任意の面で切断したときの切断面において、約20mm2の領域を電子顕微鏡等で観察し、観察視野内に存在する各セルにおける開口部の最大長さを測定して、測定された最大長さを算術平均して得られた平均長さとして、求めることができる。セルの形状は、特に限定されず、例えば、略球状であってもよく、また、楕円体形、不定形であってもよく、また、複数のセルが連通して管状となっていてもよい。
発泡弾性層3は、弾性ローラ1に設けられると、弾性ローラ1が例えば転写ローラ又は二次転写ローラとして画像形成装置に装着されたときに、弾性ローラ1とそれに当接又は圧接する部材(例えば、中間転写ベルト、記録体等)と十分なニップ幅を確保し、弾性ローラ1の帯電効率と帯電量とを共に向上させることができる。それ故、弾性ローラ1は、画像形成装置に装着されると、現像剤を中間転写ベルト、記録体等に均一に転写することができ、画像の高精細化に貢献することができる。
発泡弾性層3は、アスカーF硬度が40〜80であるのが好ましく、50〜60であるのが特に好ましい。発泡弾性層3のアスカーF硬度が前記範囲内にあると、弾性ローラ1の硬度が低くなり、弾性ローラ1を例えば転写ローラ又は二次転写ローラとして画像形成装置に装着したときに、像担持体又は二次転写ベルトと記録体とを十分に押圧して、これらとの大きな接触幅を確保することができ、これらに担持されている現像剤を所望のように中間転写ベルト、記録体等に転写させることに十分に貢献することができる。発泡弾性層3のアスカーF硬度は、アスカーF硬度計を用いて、JIS K6253に準拠して測定する。具体的には、発泡弾性層3を形成した軸体2の軸線を水平に固定し、発泡弾性層3の外周面にアスカーF硬度計の接触端子の中央部分を接触(軸体2の軸線を含む垂直面及び発泡弾性層3の外周面が交わる線と、アスカーF硬度計の接触端子とを線接触)させる。次いで、この接触状態を維持したままアスカーF硬度計の接触端子を水平に発泡弾性層3の外周面に押し付け、アスカーF硬度計の接触端子が完全に発泡弾性層3における前記「交わる線」に接触したときの値を読み取る。この操作を発泡弾性層3の複数箇所で行い、読み取った値を算術平均した値を、発泡弾性層3のアスカーF硬度とする。
発泡弾性層3は、強度等の性質、及び、その材料、厚さ等に関して特に制限されない。例えば、発泡弾性層3は、用途に応じて任意の長さに調整され、また、画像形成装置に用いられる各種ローラに応じて、その厚さが決定されるが、通常、3〜12mmの厚さを有しているのがよく、5〜10mmの厚さを有しているのが特によい。
前記非発泡弾性層4は、後述する非発泡ゴム組成物によって、発泡弾性層3の外周面に形成されている。この非発泡弾性層4は、その内部及び/又は外表面にセルを有していない。発泡弾性層3の外周面に非発泡弾性層4を形成すると、発泡弾性層3の表面に開口したセルによる表面の凹凸を平滑化することができるから、画像形成装置に装着されたときに、弾性ローラ1は高精細化された画像を形成することに貢献することができる。
非発泡弾性層4は、JIS A硬度が10〜60であるのが好ましく、20〜30であるのが特に好ましい。非発泡弾性層4のJIS A硬度が前記範囲内にあると、弾性ローラ1としての硬度を所望の範囲に調整することができる。したがって、弾性ローラ1の非発泡弾性層4が前記範囲のJIS A硬度を有すると、現像剤を中間転写ベルト、記録体等に転写することに十分に貢献することができる。非発泡弾性層4のJIS A硬度は、JIS K6253に準拠して、非発泡弾性層4の複数箇所を測定し、測定値を算術平均した値とすることができる。
非発泡弾性層4は、強度等の性質、及び、その材料、厚さ等に関して特に制限されない。例えば、非発泡弾性層4は、発泡弾性層3の硬度を弾性ローラ1に反映させることができる程度の厚さを有していればよく、例えば、0.5〜1.5mmの厚さを有しているのがよく、0.8〜1.2mmの厚さを有しているのが特によい。
前記帯電補助層5は、後述する組成物によって、非発泡弾性層4の外周面に形成されている。非発泡弾性層4の外周面に帯電補助層5が形成されると、非発泡弾性層4と後述するコート層6との接着が強固になると共に、弾性ローラ1の帯電特性を所望の範囲に容易に調整することができる。帯電補助層5は、その材料、厚さ等に関して特に制限されない。例えば、帯電補助層5は、0.5〜10μmの厚さを有しているのがよく、1〜5μmの厚さを有しているのが特によい。
前記コート層6は、後述するフッ素ゴム組成物によって、帯電補助層5の外周面に形成されている。帯電補助層5の外表面にコート層6が形成されると、弾性ローラ1における現像剤の離型性と弾性ローラ1の耐久性を向上させることができる。弾性ローラ1の導電性を維持しつつ、弾性ローラ1における離型性と耐久性とをより一層向上させることができる点で、コート層6は、例えば、1〜100μmの厚さに形成される。
このような構成を有する弾性ローラ1は、下記式(1)及び式(2)を満足する特性を有する。すなわち、弾性ローラ1において、軸体2と発泡弾性層3との間に1000Vの電圧を印加したときの体積抵抗率をAとし、軸体2と非発泡弾性層4との間に1000Vの電圧を印加したときの体積抵抗率をBとし、軸体2とコート層6との間に1000Vの電圧を印加したときの体積抵抗率をCとしたときに、下記式(1)及び式(2)を満足する。
式(1) 1.0×106(Ω・cm)≦A≦1.0×1010(Ω・cm)
式(2) A≧B≧C
前記体積抵抗率Aが前記式(1)を満足すると、発泡弾性層3の外周面に非発泡弾性層4、帯電補助層5及びコート層6が順次形成されて弾性ローラ1とされたときに、優れた帯電特性を発揮し、現像剤を中間転写ベルト、記録体等に所望のように転写させることに大きく貢献することができる。弾性ローラ1の帯電特性をより一層優れた特性とすることができる点で、体積抵抗率Aは、1.0×107〜1.0×1010(Ω・cm)であるのが好ましく、1.0×108〜1.0×109(Ω・cm)であるのが特に好ましい。体積抵抗率Aは、発泡弾性層3に含まれる導電性付与剤の含有量等を調整することによって、前記範囲内に調整することができる。体積抵抗率Aは、温度20℃、相対湿度50%の環境下において、体積抵抗測定装置(アドバンテスト株式会社製、商品名「R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER」)等を用いて、JIS K6911に規定された方法に準じて、軸体2と発泡弾性層3との間に印加される印加電圧を1000Vで1秒に設定して測定したときの値である。
前記体積抵抗率A、B及びCが前記式(2)を満足すると、弾性ローラ1すなわちその表面の均一な帯電量を実現することができると共に、この弾性ローラ1を画像形成装置に装着したときに、現像剤を中間転写ベルト、記録体等に所望のように転写させることにより一層貢献することができる。弾性ローラ1が均一な帯電量を実現することのできる理由の1つとして、軸体2から流れる電流が、抵抗率の高い発泡弾性層3から抵抗率の低いコート層6に速やかに流れ、電流の流れが均一になることが想定される。発泡弾性層3、非発泡弾性層4、帯電補助層5及びコート層6に導電性付与剤が含まれる場合には、導電性付与剤の配合量を調整することにより、前記体積抵抗率A、B及びCが前記式(2)を満足するように、調整することができる。一般に、発泡弾性層3、非発泡弾性層4、帯電補助層5及びコート層6を形成する組成物に含有される前記導電性付与剤の含有量を多くすると体積抵抗率は小さくなり、前記含有量を少なくすると体積抵抗率は大きくなる。そして、前記式(2)を満足させる手段の1つとして、発泡弾性層3、非発泡弾性層4、帯電補助層5及びコート層6を形成する組成物に含有される前記導電性付与剤の含有量を、その内側に形成される層における含有量以下の含有量に調整する方法等が挙げられる。
弾性ローラ1は、アスカーC硬度が15〜40であるのが好ましく、20〜30であるのが特に好ましい。弾性ローラ1のアスカーC硬度が前記範囲内にあると、弾性ローラ1を例えば転写ローラ又は二次転写ローラとして画像形成装置に装着したときに、像担持体又は中間転写ベルトと記録体とを十分に押圧して、これらとの大きな接触幅を確保することができ、現像剤を中間転写ベルト、記録体に転写させることに十分に貢献することができる。弾性ローラ1のアスカーC硬度は、JIS K6253に準拠して、コート層6の複数箇所を測定し、測定値を算術平均した値とすることができる。
前記発泡弾性層3を形成する発泡ゴム組成物は、ゴムと、発泡剤又は中空充填材と、導電性付与剤と、所望により各種添加剤等とを含有するゴム組成物であればよく、例えば、独立セル状態のセルを形成することのできる発泡シリコーンゴム系組成物及び発泡ウレタンゴム系組成物等が好ましく挙げられる。特に、独立セル状態のセルを形成することのできる発泡シリコーンゴム系組成物は、耐熱性、耐久性及び耐残留歪み特性等に優れ、画像形成装置の高速運転にも耐えられる好適なゴム組成物である。このような発泡シリコーンゴム系組成物として、付加反応型発泡シリコーンゴム組成物が特に好ましい。
前記ゴムは、特に限定されず、例えば、シリコーン若しくはシリコーン変性ゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等のゴムが挙げられるが、シリコーン若しくはシリコーン変性ゴムが耐熱性及び帯電特性等に優れる点で好ましい。
前記発泡剤は、発泡ゴムに用いられる公知の発泡剤を特に制限されることなく用いることができ、重炭酸ソーダ及び炭酸アンモニウム等の無機系発泡剤、並びに、ジアゾアミノ誘導体、アゾニトリル誘導体及びアゾジカルボン酸誘導体等の有機系発泡剤等が挙げられる。通常、ゴムに連続セルを形成する場合には無機系発泡剤が用いられ、独立セルを形成する場合には有機系発泡剤が用いられる。
中空充填材としては、例えば、ゴム組成物を硬化した後に、セルを形成することのできる充填材であればよく、例えば、ポリオルガノシロキサン系球状粉末が挙げられる。ポリオルガノシロキサン系球状粉末は、ポリオルガノシロキサンからなる球状の粉末であればよく、例えば、シリコーンパウダ等が挙げられる。より具体的には、直鎖状のジメチルポリシロキサンを架橋した構造を持つシリコーンゴムの粉末、シロキサン結合が(CH3SiO3/2)nで表される三次元網目状に架橋した構造を持つ所謂ポリメチルシルセスキオキサン等のシリコーンレジンの粉末、及び、前記シリコーンゴムの表面をシリコーンレジン等で被覆した被覆シリコーンゴムの粉末等が挙げられる。
前記導電性付与剤は、導電性を付与することのできる化合物であればよく、例えば、導電性粉末、イオン導電性物質等が挙げられる。導電性粉末としては、より具体的には、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン、ゴム用カーボン類、金属、導電性ポリマー等が挙げられ、イオン導電性物質としては、より具体的には、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等が挙げられる。
前記各種添加剤は、例えば、充填材、着色剤、難燃性向上剤、熱伝導性向上剤、離型剤、分散剤、粉砕石英及び非補強性シリカ等が挙げられる。これらの各種添加剤は所望の配合量で配合される。
ゴム組成物は、二本ロール、三本ロール、ロールミル、バンバリーミキサ、ドウミキサ(ニーダー)等のゴム混練り機等を用いて、均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分以上1時間以下にわたって常温又は加熱下で混練して、得られる。
付加反応型発泡シリコーンゴム組成物は、ビニル基含有シリコーン生ゴムと、シリカ系充填材と、発泡剤と、付加反応架橋剤と、付加反応触媒と、反応制御剤と、導電性付与剤とを含有し、所望により、有機過酸化物架橋剤と各種添加剤とを含有してもよい。
前記ビニル基含有シリコーン生ゴムは、分子内にビニル基を含有しているシリコーン生ゴムであればよく、例えば、ミラブル型シリコーンゴム、熱架橋シリコーンゴム(HTV:High Temperature Vulcanizing)等が好適に挙げられる。ビニル基含有シリコーン生ゴムは一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記シリカ系充填材は、例えば、煙霧質シリカ又は沈降性シリカ等が挙げられ、一般式がRSi(OR’)3で示されるシランカップリング剤で表面処理された表面処理シリカ系充填材が好適に挙げられる。ここで、前記一般式におけるRは、グリシジル基、ビニル基、アミノプロピル基、メタクリロキシ基、N−フェニルアミノプロピル基又はメルカプト基等であり、前記R’はメチル基又はエチル基である。前記一般式で示されるシランカップリング剤は、例えば、信越化学工業株式会社製の商品名「KBM1003」及び「KBE402」等が挙げられる。シリカ系充填材の配合量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して5〜100質量部であるのがよい。シリカ系充填材は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記発泡剤は、前記発泡剤を特に制限されることなく用いることができる。発泡剤の配合量は、発泡剤の種類、発泡弾性層3に要求される硬度等に応じて適宜調整され、例えば、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して0.1〜10質量部であるのがよい。発泡剤は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記付加反応架橋剤は、例えば、一分子中に二個以上のSiH基(SiH結合)を有する付加反応型の架橋剤として公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好適に挙げられる。付加反応架橋剤の配合量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して0.01〜20質量部であるのがよい。付加反応架橋剤は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記付加反応触媒は、シリコーン生ゴムの付加反応に通常用いられる触媒であればよく、例えば、周期律表第9属又は第10属の金属単体及びその化合物が挙げられる。付加反応触媒の配合量は、触媒量で十分であり、通常、周期律表第9属又は第10属の金属量に換算して、付加反応型発泡シリコーンゴム組成物全体に対して1〜1,000ppmであるのがよい。付加反応触媒は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記反応制御剤は、公知の反応制御剤を特に制限されることなく用いることができ、例えば、メチルビニルシクロテトラシロキサン、アセチレンアルコール類、シロキサン変性アセチレンアルコール、ハイドロパーオキサイド等が挙げられる。反応制御剤の配合量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して0.1〜2質量部であるのがよい。反応制御剤は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記導電性付与剤は、前記導電性付与剤を特に制限されることなく用いることができる。導電性付与剤の配合量は、発泡弾性層3の導電性を所望の範囲に調整可能な量であればよく、例えば、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して2〜80質量部であるのがよい。導電性付与剤は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記有機過酸化物架橋剤は、単独でビニル基含有シリコーン生ゴムを架橋させることも可能であるが、付加反応架橋剤の補助架橋剤として併用すれば、シリコーンゴムの強度、歪み等の物性がより向上する。有機過酸化物架橋剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ビス−2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。有機過酸化物架橋剤の配合量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して0.3〜10質量部であるのがよい。有機過酸化物架橋剤は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記各種添加剤は、前記添加剤を特に制限されることなく、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記ビニル基含有シリコーン生ゴム、前記シリカ系充填材及び前記各種添加剤を含有するシリコーンゴム組成物として、例えば、信越化学工業株式会社製の商品名「KEシリーズ」及び「KEGシリーズ」等を容易に入手することができる。
前記非発泡弾性層4を形成する非発泡ゴム組成物は、ゴムと導電性付与剤と所望により各種添加剤等とを含有する非発泡ゴム組成物であればよく、例えば、前記発泡ゴム組成物から発泡剤又は中空充填材を除外した非発泡ゴム組成物が挙げられる。
前記帯電補助層5を形成する組成物は、例えば、アミノシランカップリング剤100質量部と、平均粒子径が65〜120nmであるカーボンブラック5〜30質量部とを含有する組成物等を挙げることができる。
アミノシランカップリング剤は加水分解性シリル基とアミノ基(イミノ基を含む。)とを分子内にそれぞれ少なくとも1つ有していればよく、例えば、式 R1−SiR2 mR3 (3−m) (式中、R1はアミノ基含有基、R2は有機基、R3は加水分解性基、mは0〜2の整数である。)で示されるアミノシランカップリング剤が挙げられる。
前記アミノ基含有基R1は、少なくとも1つのアミノ基を含有する基であればよく、例えば、炭素数が1〜20のアミノアルキル基及びアミノアリール基等が挙げられる。アミノ基含有基R1に含まれるアミノ基の級数は、1級、2級、3級及び4級のいずれでもよいが、帯電特性に優れる点で1級、2級又は3級であるのが好ましい。アミノアルキル基としては、例えば、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基等のアミノアルキル基、N,N−ジメチルアミノプロピル基、N,N−ジエチルアミノプロピル基、N,N−ジブチルアミノプロピル基等のN,N−ジアルキルアミノアルキル基、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピル基及びこれらのアルキル又はアリール置換体等が挙げられる。アミノアリール基としては、例えば、アミノフェニル基、ベンジルアミノ基、N,N−ジメチルアミノフェニル基等のN,N−ジアルキルアミノアリール基及びこれらのアルキル又はアリール置換体等が挙げられる。
前記有機基R2は、例えば、炭素数1〜30程度のアルキル基及びアリール基等が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。前記加水分解性基R3は、水分の存在下でSi−R3結合が容易に加水分解しうる基であればよく、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基等の加水分解性置換基が挙げられる。これらの中でも、アルコキシ基が入手容易である点で好ましく、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。前記mは、0〜2の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのが特に好ましい。
アミノシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトシキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトシキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジオクチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジブチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ジブチルアミノプロピルジメチルモノメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N,N−ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリル−3−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−3−プロピルベンジルアミン、トリメトキシシリル−3−プロピルピペリジン、トリメトキシシリル−3−プロピルモルホリン、トリメトキシシリル−3−プロピルイミダゾール、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン及び3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記カーボンブラックは、粒子径が比較的小さく、ストラクチャーの発達していないものであればよく、具体的には、その平均粒子径が好ましくは65〜120nmの範囲にあるカーボンブラックが選択される。カーボンブラックにおける平均粒子径は、ASTMD3849による電子顕微鏡観察で測定される値である。従来、使用されてきたカーボンブラックは、より少ない添加量で高導電性を付与し、添加により物性や加工性を悪化させない点で、粒子径が大きくても60nm程度であった。ところが、この発明の前記目的を達成するためには、帯電補助層5を形成する組成物に含有されるカーボンブラックの平均粒子径は、65〜120nmであるのが好ましく、80〜100nmであるのがさらに好ましい。カーボンブラックの平均粒子径が前記範囲内にあると、帯電補助層5を形成する組成物への分散性が向上し、例えば転写ローラ又は二次転写ローラに要求される所望の帯電量を実現することができる。
前記カーボンブラックは、DBP吸油量が15〜45mL/100gであるのが好ましく、20〜90mL/100gであるのがさらに好ましく、20〜75mL/100gであるのが特に好ましい。カーボンブラックにおけるDBP吸油量は、JIS K6221−1982により測定される値であり、カーボンブラックにおけるストラクチャー発達の程度を表す。カーボンブラックのDBP吸油量が前記範囲内にあると、帯電補助層5を形成する組成物への分散性がさらに向上し、例えば転写ローラ又は二次転写ローラに要求される所望の帯電量を実現することができる。
前記範囲内の平均粒子径を有するカーボンブラックとしては、例えば、ゴム用カーボンブラックの一般呼称でいうと、SRF、FT及びMT等のグレードが挙げられ、より具体的には、例えば、商品名「HTC#20」(平均粒子径82nm、DBP吸油量30mL/100g、新日化カーボン株式会社製)、商品名「ニテロン#SH」(平均粒子径63nm、DBP吸油量が86mL/100g、新日化カーボン株式会社製)、及び、商品名「旭♯55」(平均粒子径66nm、DBP吸油量が87mL/100g、旭カーボン株式会社製)等が挙げられる。
カーボンブラックは、通常、粒子径が広い分布を有しているが、本発明に用いられるカーボンブラックは、なるべく狭い粒子径分布を有するカーボンブラックが好ましい。なお、この発明において、カーボンブラック一種を用いるのがよいが、粒子径分布が広くなりすぎなければ、カーボンブラックを二種以上併用することもできる。
前記組成物におけるカーボンブラックの含有量は、アミノシランカップリング剤100質量部に対して、5〜30質量部であり、10〜20質量部であるのが好ましい。カーボンブラックの含有量が前記範囲内にあると、非発泡弾性層4とコート層6とを強固に接着することができると共に、弾性ローラ1としたときに所望の帯電特性を発揮させることができる。
前記組成物は、アミノシランカップリング剤及びカーボンブラックに加えて各種添加剤を含有してもよく、各種添加剤としては、例えば、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。これらの各種添加剤は、通常用いられる添加剤であってもよく、用途に応じて特別に用いられる添加剤であってもよい。
前記組成物は、前記ゴム混練り機等を用いて、アミノシランカップリング剤及びカーボンブラック、所望により各種添加剤等を均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分〜1時間、常温又は加熱下で混練して、得られる。
前記コート層6を形成するフッ素ゴム組成物は、フッ素ゴムと、所望により各種添加剤等とを含有するフッ素ゴム組成物であればよい。フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム(FEPT)、テトラフルオロエチレン−パープルオロビニルエーテル系ゴム(FFKM)等が挙げられる。また、各種添加剤としては、フッ素ゴムの硬化剤、前記帯電補助層5を形成する組成物に含有されるカーボンブラック及び各種添加剤等を挙げることができる。なお、カーボンブラックを含有する場合におけるカーボンブラックの含有量は、フッ素ゴム100質量部に対して、例えば、5〜50質量部に調整することができる。フッ素ゴム組成物は公知の混合方法により調製することができる。このようなフッ素ゴム組成物としては、例えば、導電性フッ素ゴムコート剤「FFI−609153」(太平化成株式会社製:商品名、カーボンブラックの含有量6〜10質量%)、導電性フッ素ゴムコート剤「FFI−609151」(太平化成株式会社製:商品名、カーボンブラックの含有量は1〜5質量%)等が挙げられる。ただし、前記導電性フッ素ゴムコート剤「FFI−609151」を用いると、弾性ローラ1の体積抵抗率Cが比較的大きくなりやすいので、体積抵抗率A及びBの値等を勘案して用いるのがよい。
弾性ローラ1の製造方法を以下に説明する。弾性ローラ1は、軸体2の外周面に、発泡弾性層3、非発泡弾性層4、帯電補助層5及びコート層6を順次形成して、製造することができる。
軸体2の外周面に、発泡弾性層3と非発泡弾性層4とを形成する方法としては、例えば、下記(1)〜(3)の方法が挙げられる。
(1)軸体2の外周面に発泡弾性層3を形成し、次いで、発泡弾性層3が形成された軸体2と非発泡ゴム組成物とを再度一体分出しする方法(A方法と称する)、
(2)軸体2の外周面に発泡弾性層3を形成し、次いで、この発泡弾性層3に、非発泡ゴム組成物によって形成された非発泡ゴムチューブを被覆する方法(B方法と称する)
(3)2色成形のクロスヘッドを備えた押出機を用いて、軸体2と発泡ゴム組成物と非発泡ゴム組成物とを一度に押出して成形する方法(C方法と称する)等が挙げられる。
前記A方法においては、まず、軸体2の外周面に発泡弾性層3を形成する。軸体2の外周面に発泡弾性層3を形成するには、例えば、軸体2と発泡ゴム組成物とをクロスヘッドを用いて押出成形機で一体押出しした後に、HAV炉、ギアーオーブン又はIR(赤外線)炉で加熱し発泡させる第1の方法(押出成形方法)が挙げられる。また、軸体2の外周面に発泡弾性層3を形成する別の方法として、発泡ゴム組成物のみをクロスヘッドを用いて押出成形機でチューブ状に成形した後に、発泡させて発泡ゴムチューブを成形し、これを軸体2に被覆して発泡弾性層3を形成する第2の方法(押出成形方法)が挙げられる。さらに、軸体2の外周面に発泡弾性層3を形成する別の方法として、軸体2と前記発泡ゴム組成物を成形金型にセットした後に、注入口からこの金型内に発泡ゴム組成物を注入し、発泡させて発泡弾性層3を形成する第3の方法(射出発泡成形方法)、軸体2と前記発泡ゴム組成物を成形金型にセットした後に、同時に加圧して、発泡させて発泡弾性層3形成する第4の方法(プレス発泡成形方法)が挙げられる。さらには、軸体2の外周面に発泡弾性層3を形成する別の方法として、発泡ゴム組成物を予め発泡成形した発泡ゴムシートと、所望により接着剤を塗布した軸体2とを、成形金型にセットした後に、同時に加圧し圧着させて発泡弾性層3を設ける第5の方法(プレス圧着成形方法)が挙げられる。
これらの方法のなかでも、発泡弾性層3は発泡体であるから、第1の方法及び第2の方法(押出成形方法)、第5の方法(プレス圧着成形方法)が好適に採用される。その理由は、押出成形方法は、常圧で成形することができるから、発泡ゴム組成物を発泡させやすい点にあり、また、プレス圧着成形方法は、すでに発泡成形されている発泡ゴムシートと軸体2とを接着させるために加圧する方法であるので、発泡状態、硬化等に与える影響が少ない点にある。
第3の方法及び第4の方法においては、加熱温度を発泡剤等の分解温度に設定し、金型の開放と同時又は後加熱により発泡させることになる。これらの方法においては、形成される発泡弾性層3の表面を、円筒研削盤等を用いて、外径、円筒度、振れ等を均一にするのが好ましい。
第1〜第5の方法において、軸体2と発泡弾性層3との接着力を強化するために、軸体2に必要に応じて予めプライマー又は接着剤等を塗布して、接着剤層又はプライマー層等を設けることもできる。ただし、第2の方法においては、軸体2の外径よりも発泡ゴムチューブの内径を小さくすれば、接着剤層又はプライマー層等を設けなくてもよいことがある。
次いで、このようにして、発泡弾性層3が外周面に形成された軸体2を押出機でクロスヘッドに投入し、その外周に非発泡ゴム組成物を配置(被覆)する。発泡弾性層3の外周面に配置された非発泡ゴム組成物を、HAV炉、ギアーオーブン又はIR(赤外線)炉で加熱して、非発泡弾性層4を形成することができる。
前記B方法においては、まず、前記A方法と同様にして、軸体2の外周面に発泡弾性層3を形成する。一方、非発泡ゴム組成物を、前記A方法と同様に加熱して、非発泡ゴムチューブを成形し、必要により、所定の寸法に整える。そして、発泡弾性層3の外周面に、非発泡ゴムチューブを被覆して、非発泡ゴムチューブからなる非発泡弾性層4を形成することができる。
前記C方法においては、2色成形のクロスヘッドを備えた押出機を用いて、発泡弾性層3を形成する発泡ゴム組成物と、非発泡弾性層4を形成する非発泡ゴム組成物とを、一度に押出して成形する。このときに、軸体2と一体成形してもよいし、発泡弾性層3と非発泡弾性層4との2層からなる発泡ゴムチューブを予め成形した後に、任意の寸法に整えて、軸体2に被覆してもよい。このときの接着方法に関しては、前記A方法と同様である。
前記(1)〜(3)の方法以外の方法として、例えば、発泡弾性層3を形成した軸体2を成形金型にセットした後に、注入口からこの金型内に非発泡ゴム組成物を注入、硬化して非発泡弾性層4を成形する方法、発泡弾性層3を形成した軸体2と非発泡ゴム組成物を成形金型にセットした後に、加圧、加熱して、非発泡ゴム組成物を硬化し、非発泡弾性層4を成形する方法、非発泡ゴムシートと発泡弾性層3を形成した軸体2とを成形金型にセットした後に、同時に加圧して非発泡弾性層4を成形する方法等が挙げられる。
発泡ゴム組成物の加熱硬化は、発泡ゴム組成物に含まれるゴム、例えば、ビニル基含有シリコーン生ゴムが架橋し、かつ、発泡剤が分解又は発泡するのに十分な条件で行われればよい。例えば、発泡ゴム組成物は、通常、赤外線加熱炉又は熱風炉等の加熱炉、乾燥機等の加熱機等により、170〜500℃程度、特に200〜400℃に加熱され、数分以上1時間以下、特に5〜30分間、加熱される。発泡ゴム組成物は、所望により、さらに、二次加熱が行われてもよい。二次加熱は、前記条件で架橋された発泡ゴム組成物をより確実に架橋させる工程であり、二次加熱によって、発泡弾性層3の物性が安定するという効果が得られる。二次加熱は、例えば、前記の条件で架橋された発泡ゴム組成物を、さらに、押出成形された状態のままで、例えば、180〜250℃、好ましくは190〜230℃で、1〜24時間、好ましくは3〜10時間にわたって、又は、金型を用いて、例えば、130〜200℃、好ましくは150〜180℃で、5分以上24時間以下、好ましくは10分以上10時間以下にわたって、再度加熱されることによって、行われる。
このようにして成形された発泡弾性層3は、仕上げ工程として、所望の大きさ及び形状等に調整する研削工程、研磨工程及び/又は切削工程等が施されてもよい。
非発泡ゴム組成物の加熱硬化は、非発泡ゴム組成物に含まれるゴム、例えば、ビニル基含有シリコーン生ゴムが架橋するのに十分な条件で行われればよい。このような条件として、例えば、前記発泡ゴム組成物の加熱条件と同じ加熱条件が挙げられる。また、非発泡ゴム組成物は発泡ゴム組成物と同様に前記条件で二次加熱されてもよい。さらに、非発泡弾性層4は、研削工程、研磨工程及び/又は切削工程等が施されてもよい。
帯電補助層5は、このようにして形成された非発泡弾性層4の表面に、前記組成物を塗工し、次いで、塗工された組成物を加熱硬化させて、形成されることができる。組成物の塗工は、例えば、組成物の溶液を塗工する塗布法、組成物に非発泡弾性層4を浸漬するディッピング法等の公知の塗工方法によって、行われる。組成物は、そのまま塗工してもよいし、揮発性溶媒を含有した塗工液を塗工してもよい。組成物を加熱硬化させる際の加熱温度は、例えば、100〜150℃、特に110〜130℃、加熱時間は、例えば、10分〜2時間、特に20〜50分加熱するのが好ましい。
前記コート層6を形成するフッ素ゴム組成物の塗布方法及び硬化(加硫)条件等は、用いるフッ素ゴム組成物に応じて適宜選択される。フッ素ゴム組成物の塗布方法の一例を挙げると、例えば、帯電補助層5の外周面に、そのまま又は溶媒等で希釈したフッ素ゴム組成物を、スプレーコート、ロールコータ法等によって、塗布する方法が挙げられる。フッ素ゴム組成物の硬化条件の一例を挙げると、150〜180℃に1〜3時間加熱する条件が挙げられる。
このようにして、弾性ローラ1が製造される。この弾性ローラ1は、軸体2の外周面に、発泡弾性層3、非発泡弾性層4、帯電補助層5及びコート層6が順次形成されているから、均一な帯電量を実現することができ、画像形成装置に例えば転写ローラ又は二次転写ローラとして装着されると、現像剤を所望のように中間転写ベルト、記録体等に転写させることができ、その結果、かすれ等の印字不良を低減することができる。したがって、弾性ローラ1が画像形成装置に装着されたときに、特に、転写ローラ又は二次転写ローラとして画像形成装置に装着されたときに、現像剤を中間転写ベルト、記録体等に所望のように転写させることができ、高精細化された画像を形成することに貢献することができる。
また、この弾性ローラ1は、軸体2の外周面に、発泡弾性層3、非発泡弾性層4、帯電補助層5及びコート層6が順次形成されているから、画像形成装置に装着されて使用に供されても、発泡弾性層3及び/又は非発泡弾性層4に含有されている導電性付与剤が経時的に劣化することを防止し、帯電特性の低下を効果的に防止することができる。
したがって、この発明に係る弾性ローラは、画像形成装置における転写ローラ又は二次転写ローラとして好適に使用される。また、この発明に係る弾性ローラは、前記特性を有しているから、高精細化及び高速化された近年の画像形成装置にも好適に使用されることができる。
この発明における弾性ローラは、前記した一実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、弾性ローラ1は、軸体2の外周面に、発泡弾性層3、非発泡弾性層4、帯電補助層5及びコート層6が順次形成されているが、この発明において、弾性ローラは、所望により、軸体と発泡弾性層との間、各層の間に、接着層、プライマー層等が設けられてもよく、また、コート層の外周面に、例えば、保護層等の表面層が設けられてもよい。
次に、この発明に係る弾性ローラ1を備えた画像形成装置(以下、この発明に係る画像形成装置と称することがある。)の一例を、図3を参照して、説明する。この画像形成装置10は、中間転写方式のタンデム型カラー画像形成装置である。中間転写方式のタンデム型カラー画像形成装置10は従来公知の画像形成装置と基本的に同様に構成されているが、この発明に係る弾性ローラ1が二次転写ローラ45として装着されている。
図3に示されるように、無端ベルト7は、中間転写ベルトとして、二本の支持ローラ42、テンションローラ43及び対向ローラ44に張架されている。そして、対向ローラ44の設置位置近傍に、対向ローラ44と二次転写ローラ45と電極ローラ46とを備えて成る二次転写部40が配置されている。
また、図3に示されるように、画像形成装置10は、中間転写ベルト7上に四種の現像ユニットB、C、M及びYが直列に配置されている。現像ユニットBは、感光体等の像担持体11Bと帯電ローラ12Bと露光手段13Bと現像ローラ23B及び筐体21Bを備えた現像手段20Bと転写ローラ14Bとクリーニングブレード15Bとを備えている。現像ユニットBには黒色現像剤が収納されている。なお、現像ユニットC、M及びYは、現像ユニットBと同様に構成され、シアン現像剤22C、マゼンタ現像剤22M及び黄色現像剤22Yが収納されている。
図3に示されるように、画像形成装置10における記録体16の搬送方向下流には、定着ベルトとしての無端ベルト35を備えた定着手段30が配置されている。この定着装置30は、開口を有する筐体34内に、定着ローラ31と支持ローラ33と定着ベルト35と加圧ローラ32とを備えて成る圧力熱定着装置である。なお、定着手段30は、熱ローラ定着装置、加熱定着装置、圧力定着装置等が採用されてもよい。
画像形成装置10は、次にようにして画像を形成する。まず、現像ユニットBによって、像担持体11Bの表面に静電潜像が黒色現像剤22Bで現像剤像として可視化され、この現像剤像が中間転写ベルト7上に転写される(一次転写)。続いて、現像ユニットC、M及びYによって中間転写ベルト7に現像剤像が転写され、カラー像が形成される。カラー像は中間転写ベルト7の回転によって二次転写部40に至り、二次転写部40に搬送された記録体16上に転写される(二次転写)。次いで、カラー像が顕像化された記録体16は定着手段30に搬送され、カラー像が永久画像として定着される。このようにして記録体16にカラー画像が形成される。なお、画像形成装置10を用いてカラー画像を形成する場合について説明したが、モノクロ画像を形成する場合には中間転写ベルト7に一次転写された現像剤像を直ちに記録体16に二次転写して定着手段30に搬送すればよい。
この発明に係る弾性ローラ1を備えた画像形成装置(以下、この発明に係る画像形成装置と称することがある。)の別の一例を、図4を参照して、説明する。この画像形成装置50は、中間転写方式のマルチパス型カラー画像形成装置である。この中間転写方式のマルチパス型カラー画像形成装置50は従来公知の画像形成装置と基本的に同様に構成されているが、この発明に係る弾性ローラ1が二次転写ローラ45として装着されている。
図4に示されるように、無端ベルト7は、中間転写ベルトとして、二本の支持ローラ42、テンションローラ43及び対向ローラ44に張架されている。そして、対向ローラ44の設置位置近傍に、対向ローラ44と二次転写ローラ45と電極ローラ46とを備えて成る二次転写部40が配置されている。
また、図4に示されるように、画像形成装置50は、四種の現像ユニットB、C、M及びYを内蔵した現像手段20を備えている。現像手段20に内蔵された現像ユニットB、C、M及びYは帯電手段、露光手段等を内蔵し、それぞれ、黒色現像剤、シアン現像剤、マゼンタ現像剤及び黄色現像剤を収納している。なお、現像手段20は、現像手段20の外部であって像担持体11の近傍に帯電手段、露光手段等が配置されていてもよい。
図4に示されるように、画像形成装置50における記録体16の搬送方向下流には定着手段30が配置されている。定着装置30は画像形成装置10の定着装置30と同様に構成されている。
画像形成装置50は、次にようにして画像を形成する。まず、現像手段20の現像ユニットBによって、像担持体11の表面に静電潜像が黒色現像剤22Bで現像剤像として可視化され、中間転写ベルト7上に転写される(一次転写)。続いて、像担持体11及び中間転写ベルト7が1回転して、現像ユニットC、M及びYによって中間転写ベルト7に各現像剤像が重畳転写され、カラー像が形成される。カラー像は中間転写ベルト7の回転によって二次転写部40に至り、二次転写部40に搬送された記録体16上に転写される(二次転写)。次いで、カラー像が顕像化された記録体16は定着手段30に搬送され、カラー像が永久画像として定着される。このようにして、記録体16にカラー画像が形成される。なお、画像形成装置50を用いてカラー画像を形成する場合について説明したが、モノクロ画像を形成する場合には中間転写ベルト7に一次転写された現像剤像を直ちに記録体16に二次転写して定着手段30に搬送すればよい。
この画像形成装置10及び50によれば、二次転写ローラ45として弾性ローラ1が装着されているから、対向ローラ44、中間転写ベルト7及び記録体16との十分なニップ幅を確保することができ、中間転写ベルト7に転写された現像剤像を記録体に所望のように転写させることができ、その結果、かすれ等の印字不良を低減することができる。したがって、これらの画像形成装置によれば、高精細化された画像を形成することができる。
画像形成装置10及び50は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置10及び50は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。画像形成装置1010及び50は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置とされる。
(実施例1)
まず、発泡弾性層3、非発泡弾性層4、帯電補助層5及びコート層6を形成する材料を調製した。発泡弾性層3を形成する発泡ゴム組成物として、ビニル基含有シリコーン生ゴムとシリカ系充填材とを含むシリコーン発泡ゴム組成物「KE−904FU」(信越化学工業株式会社製:商品名)70質量部と、付加反応架橋剤「C−153A」(信越化学工業株式会社製:商品名)2質量部と、発泡剤アゾビス−イソブチロニトリル「KEP−13」(信越化学工業株式会社製:商品名)10質量部と、付加反応触媒としての白金触媒適量と、反応制御剤「R−153A」(信越化学工業株式会社製:商品名)0.5質量部と、有機過酸化物架橋剤「C−3」(信越化学工業株式会社製:商品名)適量と、導電性付与剤「KE−87C40PU」(信越化学工業株式会社製:商品名)30質量部とを、二本ロールで十分に混練して、付加反応型発泡シリコーンゴム組成物Iを調整した。
また、非発泡弾性層4を形成する非発泡ゴム組成物として、シリコーン生ゴムとシリカ系充填材とを含むシリコーンゴム組成物「KE−904FU」(信越化学工業株式会社製:商品名)70質量部と、付加反応架橋剤「C−153A」(信越化学工業株式会社製:商品名)2質量部と、付加反応触媒としての白金触媒適量と、反応制御剤「R−153A」(信越化学工業株式会社製:商品名)0.5質量部と、有機過酸化物架橋剤「C−3」(信越化学工業株式会社製:商品名)適量と、導電性付与剤「KE−87C40PU」(信越化学工業株式会社製:商品名)30質量部とを、二本ロールで十分に混練して、付加反応型非発泡シリコーンゴム組成物Iを調整した。
さらに、帯電補助層5を形成する組成物として、アミノシランカップリング剤「KBP−40」(信越化学工業株式会社製:商品名)100質量部と、カーボンブラックI「HTC#20」(新日化カーボン株式会社製:商品名、平均粒子径82nm、DBP吸油量30mL/100g)10質量部とを、二本ロールで十分に混練して、組成物Aを調整した。
また、コート層6を形成するフッ素ゴム組成物として、導電性フッ素ゴムコート剤「FFI−609153」(太平化成株式会社製:商品名、カーボンブラックの含有量は6〜10質量%、体積抵抗率は104〜106Ω・cm)に対し、酢酸ブチルを適量配合し、硬化剤として「FH−2」(太平化成株式会社製:商品名)適量を、密封容器で調合後、攪拌器にて十分に攪拌して、フッ素ゴム組成物Iを調整した。
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体2(直径8mm×長さ260mm、SUM22)をトルエンで洗浄し、プライマー「No.101A/B」(信越化学工業株式会社製:商品名)を塗布した。プライマー処理した軸体2を、ギアーオーブンを用いて、180℃の温度にて30分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、プライマー層を形成した。
次いで、プライマー層を形成した軸体2と、付加反応型発泡シリコーンゴム組成物Iとを、押出成形機にて一体分出し、次いで、赤外線加熱炉(IR炉)を用いて、250℃で10分間加熱して、発泡架橋させた。その後、さらに、ギアーオーブンを用いて、200℃で4時間にわたって、発泡架橋後の付加反応型発泡シリコーンゴム組成物Iを二次加熱し、常温にて1時間放置した。形成された発泡弾性層3を、円筒研削盤にてその外径を20mm(厚さ6mm)に調整した。この発泡弾性層3に形成された複数のセルは独立セル状態にあり、この発泡弾性層3の平均セル径は300μmであり、アスカーF硬度は55であった。
次いで、前記発泡弾性層3が形成された軸体2と付加反応型非発泡シリコーンゴム組成物Iとを、押出成形機にて一体分出し、次いで、赤外線加熱炉(IR炉)を用いて、250℃で5分間加熱して、硬化させた。その後、さらに、ギアーオーブンを用いて、200℃で7時間にわたって、硬化後の付加反応型非発泡シリコーンゴム組成物Iを二次加熱し、常温にて1時間放置した。形成された非発泡弾性層4を、円筒研削盤にてその外径を22mm(非発泡弾性層4の厚さ1mm)に調整した。この非発泡弾性層4のJIS A硬度は35であった。
さらに、非発泡弾性層4の外周面に前記組成物Aをスプレー法によって、乾燥後の層厚が2μmとなるように、均一に塗布し、25℃で30分間放置して、帯電補助層5を形成した。次いで、帯電補助層5の外周面にフッ素ゴム組成物Iをスプレー法によって、乾燥後の層厚が10μmとなるように、均一に塗布し、180℃で1時間加熱して、コート層6を形成し、弾性ローラを製造した。この弾性ローラにおけるアスカーC硬度は21であった。
(実施例2)
帯電補助層5を形成する前記組成物Aにおけるカーボンブラックの配合量10質量部を5質量部に変更した組成物Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ローラを製造した。発泡弾性層3の平均セル径は350μm、アスカーF硬度は54であり、弾性ローラにおけるアスカーC硬度は22であった。
(実施例3)
帯電補助層5を形成する前記組成物Aにおけるカーボンブラックの配合量10質量部を30質量部に変更した組成物Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ローラを製造した。発泡弾性層3の平均セル径は350μm、アスカーF硬度は55であり、弾性ローラにおけるアスカーC硬度は21であった。
(実施例4)
発泡弾性層3を形成する前記付加反応型発泡シリコーンゴム組成物Iにおける導電性付与剤「KE−87C40PU」(信越化学工業株式会社製:商品名)30質量部を50質量部に変更した付加反応型発泡シリコーンゴム組成物IIを用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ローラを製造した。この発泡弾性層3に形成された複数のセルは独立セル状態にあり、この発泡弾性層3の平均セル径は300μmであり、アスカーF硬度は60であった。この弾性ローラにおけるアスカーC硬度は25であった。
(実施例5)
発泡弾性層3を形成する前記付加反応型発泡シリコーンゴム組成物Iにおける導電性付与剤「KE−87C40PU」(信越化学工業株式会社製:商品名)30質量部を20質量部に変更した付加反応型発泡シリコーンゴム組成物IIIを用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ローラを製造した。この発泡弾性層3に形成された複数のセルは独立セル状態にあり、この発泡弾性層3の平均セル径は400μmであり、アスカーF硬度は53であった。この弾性ローラにおけるアスカーC硬度は20であった。
(実施例6)
コート層6を形成する前記フッ素ゴム組成物IIにおける導電性フッ素ゴムコート剤「FFI−609153」(太平化成株式会社製:商品名)を導電性フッ素ゴムコート剤「FFI−609151」(太平化成株式会社製:商品名、カーボンブラックの含有量は1〜5質量%、体積抵抗率は109〜1011Ω・cm)に変更したフッ素ゴム組成物IIを用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ローラを製造した。発泡弾性層3の平均セル径は350μm、アスカーF硬度は55であり、この弾性ローラにおけるアスカーC硬度は21であった。
(実施例7)
帯電補助層5を形成する前記組成物AにおけるカーボンブラックIを、カーボンブラックII「HTC#100」(新日化カーボン株式会社製:商品名、平均粒子径46nm、DBP吸油量76mL/100g)に変更した組成物Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ローラを製造した。発泡弾性層3の平均セル径は350μm、アスカーF硬度は56であり、この弾性ローラにおけるアスカーC硬度は21であった。
(実施例8)
帯電補助層5を形成する前記組成物AにおけるカーボンブラックIを、カーボンブラックIII「旭#15」(旭カーボン株式会社製:商品名、平均粒子径122nm、DBP吸油量41mL/100g)に変更した組成物Eを用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ローラを製造した。発泡弾性層3の平均セル径は350μm、アスカーF硬度は55であり、この弾性ローラにおけるアスカーC硬度は22であった。
(実施例9)
帯電補助層5を形成する前記組成物Aにおけるカーボンブラックの配合量10質量部を3質量部に変更した組成物Fを用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ローラを製造した。発泡弾性層3の平均セル径は350μm、アスカーF硬度は55であり、この弾性ローラにおけるアスカーC硬度は20であった。
(実施例10)
帯電補助層5を形成する前記組成物Aにおけるカーボンブラックの配合量10質量部を35質量部に変更した組成物Gを用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ローラを製造した。発泡弾性層3の平均セル径は350μm、アスカーF硬度は55であり、この弾性ローラにおけるアスカーC硬度は21であった。
(比較例1)
非発泡弾性層4を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、弾性ローラを製造した。発泡弾性層3の平均セル径は350μm、アスカーF硬度は56であった。
(比較例2)
帯電補助層5を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、弾性ローラを製造した。発泡弾性層3の平均セル径は300μm、アスカーF硬度は55であり、この弾性ローラにおけるアスカーC硬度は20であった。
(比較例3)
コート層6を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、弾性ローラを製造した。発泡弾性層3の平均セル径は300μm、アスカーF硬度は56であり、この弾性ローラにおけるアスカーC硬度は19であった。
(比較例4)
発泡弾性層3を設けず、帯電補助層5に代えて、アミノシランカップリング層「KBP−40」(信越化学工業株式会社製:商品名)からなる層を設けた以外は、実施例1と同様にして、弾性ローラを製造した。この弾性ローラにおけるアスカーC硬度は40であった。
(比較例5)
発泡弾性層3を設けず、非発泡弾性層4に代えて、後述する非発泡ゴム組成物IIからなる第1の非発泡弾性層と、前記付加反応型非発泡シリコーンゴム組成物Iからなる第2の非発泡弾性層とを設けた以外は、実施例1と同様にして、弾性ローラを製造した。第1の非発泡弾性層のJIS A硬度は43であり、第2の非発泡弾性層のJIS A硬度は35であった。なお、前記非発泡ゴム組成物IIは、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部とヒュームドシリカ1質量部とケイソウ土40質量部とアセチレンブラック5質量部とメチルハイドロジェンポリシロキサン2.1質量部とエチニルシクロヘキサノール0.1質量部と白金触媒0.1質量部とを含有する組成物であった。この弾性ローラにおけるアスカーC硬度は43であった。
(体積抵抗率)
実施例1〜10及び比較例1〜5における弾性ローラの製造中において、軸体2と発泡弾性層3との間に1000Vの電圧を1秒印加したときの体積抵抗率A(Ω・cm)、軸体2と非発泡弾性層4との間に1000Vの電圧を1秒印加したときの体積抵抗率B(Ω・cm)、及び、軸体2とコート層6との間に1000Vの電圧を1秒印加印加したときの体積抵抗率C(Ω・cm)を、前記方法に従って、測定した。なお、非発泡弾性層4を設けなかった比較例1においては体積抵抗率Bを測定せず、また、コート層6を設けなかった比較例3においては体積抵抗率Cを測定しなかった。さらに、発泡弾性層3を設けなかった比較例4及び5においては体積抵抗率Aを測定せず、比較例5における体積抵抗率Bは、軸体2と第2の非発泡弾性層との間に1000Vの電圧を1秒印加したときの体積抵抗率とした。体積抵抗率A、B又はCを測定していない場合を「−」とした。これらの測定結果を表に示す。
(印字評価:かすれ評価)
実施例1〜10及び比較例1〜5における各弾性ローラを二次転写ローラ45として、非磁性一成分電子写真方式のタンデム型カラープリンター(商品名「DocuPrint C830」 富士ゼロックス株式会社製)に装着して、稼動させることなく、48℃、55RH%の環境下で2週間放置した。その後、前記プリンターの環境を室温に戻して、黒ベタ印字、白ベタ印字を実施した。さらに、印字率1%の横線パターンでA4用紙5000枚を連続印刷した後、白ベタ印字、黒ベタ印字の順で印字を行い、印刷時のかすれの発生を目視で確認した。前記横線パターンを5000枚印刷した時に、いずれの横線パターンにもかすれが発生しなかった場合を「◎」、横線パターンにかすれが発生したが、実用上問題の無いレベルの場合を「○」、約3000枚印刷した時に横線パターンにかすれが発生したが、実用上問題の無いレベルの場合を「△」、複数の横線パターンに実用許容できないほどかすれが発生した場合を「×」とした。評価結果を表に示した。