JP2009126679A - 記録媒体搬送装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録媒体の重送を抑制する。
【解決手段】用紙搬送装置10は、ピックアップローラ12と、ピックアップローラ12を回転させる駆動機構22と、複数の用紙Pから1枚だけを分離し、分離した用紙Pを挟持しながら搬送する分離ローラ対13と、フィードローラ15を移動させる分離ローラ移動機構30と、分離ローラ対13によって搬送されてきた用紙Pを搬送する搬送ローラ対16とを有している。用紙搬送装置10は、搬送ローラ対16によって用紙Pが搬送され始めたときに、用紙Pに対する挟持を開放するように、分離ローラ移動機構30を制御すると共に、分離ローラ対13による挟持の開放が行われた後に、重送してきた用紙Pとピックアップローラ12とが接触した状態でピックアップローラ12の回転が停止されるように、駆動機構22を制御する制御部60をさらに有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、記録媒体を搬送する記録媒体搬送装置に関する。
特許文献1には、複数の帳票を載置可能な載せ台と、載せ台から帳票を送り出す帳票押し出しローラと、帳票押し出しローラによって送り出された帳票を搬送する帳票引っ張りローラと、帳票引っ張りローラとの間で帳票を挟持しながら載せ台から送り出された複数枚の帳票のうち下側の帳票を載せ台側に戻す二枚送り防止ローラと、互いに対向し帳票引っ張りローラによって搬送された帳票を挟持しながら搬送する送りローラ及びテンションローラと、送りローラ及びテンションローラによって搬送された帳票の先端を検出する検出器とを有する帳票送り出し機構について記載されている。この帳票送り出し機構においては、検出器で帳票を検出すると、帳票押し出しローラ及び二枚送り防止ローラが帳票と離隔するように移動する。これによって、送りローラ及びテンションローラによる帳票送りの負荷が低減され、速度変動の少ない帳票送りが可能となる。
特開昭59−108631号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の帳票送り出し機構においては、送りローラ及びテンションローラによる帳票送りの負荷を低減するために、帳票押し出しローラ及び二枚送り防止ローラが帳票と離隔するように移動させているが、この離隔時に、搬送される帳票と当該帳票と接触する別の帳票とが重なって接触していると、両者間における、例えば、静電気力、媒体の粘着力、媒体の端のばり同士の引っ掛かり力などの結合力によって搬送される帳票と別の帳票とが重送される。
そこで、本発明の目的は、記録媒体の重送を抑制する記録媒体搬送装置を提供することである。
本発明の記録媒体搬送装置は、積層された複数の記録媒体を収納可能な記録媒体収納部と、最も外側にある記録媒体と接触しながら回転することによって前記記録媒体収納部から記録媒体を送り出すピックアップローラと、前記ピックアップローラを回転させる駆動機構と、互いに同方向に回転することによって前記記録媒体収納部から重なって送り出された複数の記録媒体から1枚だけを分離し、分離された当該1枚の記録媒体を挟持しながら互いに逆方向に回転することによって搬送方向に搬送する分離ローラ対と、前記分離ローラ対が記録媒体を挟持する挟持位置及び記録媒体の挟持を開放する開放位置の間において、前記分離ローラ対を構成する少なくとも一方の分離ローラを移動させる分離ローラ移動機構と、前記分離ローラ対によって搬送された記録媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部によって記録媒体が搬送され始めた後に、当該記録媒体に対する挟持を開放するように、前記分離ローラ移動機構を制御すると共に、少なくとも前記分離ローラ対による挟持の開放が行われた後に、前記記録媒体収納部において前記1枚の記録媒体と接触する別の記録媒体と前記ピックアップローラとが接触した状態で前記ピックアップローラの回転が停止されるように、前記駆動機構を制御する制御手段とを備えている。
これによると、分離ローラ対による挟持の開放が行われた後、搬送部によって搬送された記録媒体と、この記録媒体と記録媒体収納部において接触する別の記録媒体とが重送されても、別の記録媒体と回転が停止されたピックアップローラとが接触するので、別の記録媒体が搬送部によって搬送された記録媒体と分離される。そのため、分離ローラ対によって分離された1枚の記録媒体だけを搬送することが可能になって、記録媒体の重送を抑制することができる。
本発明において、前記駆動機構が、駆動モータと、前記駆動モータからの回転力を前記ピックアップローラに伝達するトルクリミッタとを有しており、前記トルクリミッタのリミッタ値は、前記搬送部による記録媒体の搬送力よりも小さく、且つ、重送した記録媒体間の結合力よりも大きいことが好ましい。これにより、ピックアップローラは、搬送部によって搬送される記録媒体と接触しているときはその搬送によって回転し、別の記録媒体と接触するときはその回転が停止する。そのため、ピックアップローラの摩耗を抑制することができる。
また、本発明において、前記制御手段は、前記ピックアップローラの回転を停止したときに、記録媒体と前記ピックアップローラとの接点が今回の停止と次回の停止とで異なるように、前記駆動機構を制御することが好ましい。これにより、ピックアップローラの局所的な摩耗を抑制することができる。
また、本発明において、前記ピックアップローラが記録媒体と接触する接触位置及び記録媒体と接触しない離隔位置の間において前記ピックアップローラを移動させるピックアップローラ移動機構をさらに備えている。そして、前記制御手段は、前記分離ローラ対が記録媒体の前記搬送方向の前端を挟持したときに、前記ピックアップローラを前記離隔位置に移動させるように、且つ、前記分離ローラ対による挟持の開放が行われたときに、回転が停止された前記ピックアップローラを前記接触位置に移動させるように、前記ピックアップローラ移動機構を制御することが好ましい。これにより、回転が停止されたピックアップローラと記録媒体とが、分離ローラ対による挟持の開放が行われた後にしか接触しない。そのため、ピックアップローラの摩耗を抑制することができる。
また、本発明において、前記ピックアップローラが記録媒体と接触する接触位置及び記録媒体と接触しない離隔位置の間において前記ピックアップローラを移動させるピックアップローラ移動機構をさらに備えている。そして、前記制御手段は、前記分離ローラ対が記録媒体の前記搬送方向の前端を挟持したときに、前記ピックアップローラを前記離隔位置に移動させるように、且つ、記録媒体の前記搬送方向の後端が前記ピックアップローラを抜けたときに、前記ピックアップローラを前記接触位置に移動させるように、前記ピックアップローラ移動機構を制御することが好ましい。これにより、搬送部によって搬送される記録媒体と回転が停止されたピックアップローラとを接触させずに、別の記録媒体とピックアップローラとを接触させることができる。そのため、ピックアップローラの摩耗を抑制することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による用紙搬送装置が採用されたインクジェットプリンタの概略側面図である。図2は、図1に示す給紙装置20の概略構成図である。
インクジェットプリンタ1は、図1に示すように、4つのインクジェットヘッド2を有するカラーインクジェットプリンタである。このインクジェットプリンタ1には、図1中左方に用紙搬送装置10が、図1中右方に排紙部40がそれぞれ設けられている。これら用紙搬送装置10と排紙部40との間には、用紙搬送装置10から搬送されてきた用紙(記録媒体)Pを排紙部40に向けて搬送するベルト搬送装置50が設けられている。また、プリンタ1には、用紙搬送装置10の動作を制御する制御部60が設けられている。
ベルト搬送装置50は、一対のベルトローラ51,52と、両ローラ51,52間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト53と、押さえローラ55とを有している。搬送ベルト53の外周面、すなわち、搬送面53aにはシリコーン処理が施され粘着性を有している。押さえローラ55は、ベルトローラ51の上方であってベルトローラ51との間において搬送ベルト53を挟む位置に配置されている。また、押さえローラ55は、搬送面53aに向かって付勢されており、用紙搬送装置10から搬送されてきた用紙Pを搬送面53aに押さえ付ける。
この構成により、搬送面53aに押さえ付けられた用紙Pは、搬送面53aの粘着力により保持されながら、搬送方向A(図1中矢印A方向)に搬送される。このとき、搬送方向下流側のベルトローラ52は、図示しない駆動モータから駆動力が与えられ、図1中時計回り方向(矢印B方向)に回転している。
ベルト搬送装置50の搬送方向Aのすぐ下流側には、剥離部材9が設けられている。剥離部材9は、搬送面53aに保持されている用紙Pを搬送面53aから剥離して、右方の排紙部40へ向けて送るように構成されている。
搬送ベルト53によって囲まれた領域内には、インクジェットヘッド2と対向する位置、つまり上側にある搬送ベルト53の下面と接触することによって内周側からこれを支持するほぼ直方体形状のプラテン56が配置されている。
4つのインクジェットヘッド2は、4色のインク(マゼンタ、イエロー、シアン、ブラック)に対応して、搬送方向Aに沿って並べて設けられている。すなわち、このインクジェットプリンタ1は、ライン式プリンタである。インクジェットヘッド2は、長手方向が搬送方向Aに直交する方向(図1中紙面に対して垂直な方向)に伸びた細長い直方体形状となっている。また、インクジェットヘッド2は、圧力室を含むインク流路が形成された流路ユニットと、圧力室のインクに圧力を与えるアクチュエータとが貼り合わされた積層体(ともに図示せず)を有しており、底面に形成された多数のノズル(図示せず)からインクが吐出される。
インクジェットヘッド2は、その底面と搬送ベルト53のインクジェットヘッド2と対向した部分の搬送面53aとが平行となり、且つこれらの面の間に用紙搬送経路が形成されている。この構成で、搬送ベルト53によって搬送される用紙Pが4つのインクジェットヘッド2のすぐ下方側を順に通過する際に、この用紙Pの上面(印刷面)に向けてノズルから各色のインクが吐出されて所望のカラー画像が形成される。
用紙搬送装置10は、図1及び図2に示すように、積層された複数の用紙Pを収納可能な用紙収納部11と、用紙収納部11から用紙Pを送り出す給紙装置20と、給紙装置20によって送り出された用紙Pが当該用紙と接触する別の用紙Pと重送されてきたときに、1枚の用紙だけを分離して搬送方向Aに搬送する分離ローラ対13と、分離ローラ対13を構成するリタードローラ14及びフィードローラ15のうち、上方にあるフィードローラ15を上下方向に移動させる分離ローラ移動機構30と、分離ローラ対13によって搬送されてきた用紙Pをベルト搬送装置50に搬送する搬送ローラ対(搬送部)16と、リタードローラ14及びフィードローラ15を互いに同方向に回転させる駆動モータ74,75(図3参照)と、搬送ローラ対16を構成する2つの搬送ローラ17,18のうち、上方にある搬送ローラ18を回転させる駆動モータ78(図3参照)とを有している。
なお、分離ローラ対13の搬送方向Aのすぐ下流側、及び、搬送ローラ対16の搬送方向Aのすぐ下流側には、制御部60に接続された用紙センサ61,62が設けられている。用紙センサ61は、分離ローラ対13によって搬送された用紙Pの前端を検出することで、分離ローラ対13による用紙Pの搬送開始を検出する。すなわち、用紙センサ61は、分離ローラ対13によって用紙Pの前端が挟持されたときを検出する。用紙センサ62は、搬送ローラ対16によって搬送された用紙Pの前端を検出することで、搬送ローラ対16による用紙Pの搬送開始を検出する。すなわち、用紙センサ62は、搬送ローラ対16によって用紙Pの前端が挟持されたときを検出する。
給紙装置20は、図2に示すように、用紙収納部11内に収納された複数の用紙Pのうち、最も上方に位置する用紙Pと回転しながら接触することで当該用紙Pを送り出すピックアップローラ12と、ピックアップローラ12を上下方向に移動させるピックアップローラ移動機構21と、ピックアップローラ12を回転させる駆動機構22とを有している。
駆動機構22は、ピックアップローラ12を回転可能に支持する軸23と、軸23を回転させる駆動モータ72(図3参照)と、ピックアップローラ12の側面に固定された駆動モータ72の回転力をピックアップローラ12に伝達するトルクリミッタ24とを有している。駆動モータ72は制御部60によって制御される。
トルクリミッタ24は円筒形状を有しており、軸23がその外周面とトルクリミッタ24の内周面全体と接触した状態で挿通されている。また、トルクリミッタ24のリミッタ値(すなわち、軸23に対してトルクリミッタ24が回転しない静摩擦力の限界値)は、搬送ローラ対16による用紙Pの搬送力よりも小さく、重送した用紙P間の結合力よりも大きくなるように設定されている。すなわち、搬送ローラ対16によって搬送されている用紙Pと回転が停止したピックアップローラ12とが接触した場合、その搬送力が軸23とトルクリミッタ24との間の静摩擦力よりも大きいので、ピックアップローラ12が用紙Pの搬送に伴って回転する。一方、搬送ローラ対16によって搬送された用紙Pとともに重送された別の用紙Pとピックアップローラ12とが接触した場合は、用紙間の結合力よりも軸23とトルクリミッタ24との間の静摩擦力の方が大きいので、ピックアップローラ12は回転せず、別の用紙Pと重送を防ぐ。
この構成において、制御部60の制御により、駆動モータ72が駆動され軸23が回転することで、トルクリミッタ24を介してピックアップローラ12が所定方向に回転する。これによって、用紙収納部11から用紙Pが分離ローラ対13に送り出される。一方、制御部60の制御により、駆動モータ72の駆動が停止されると、ピックアップローラ12の回転も停止するが、上述のように搬送ローラ対16によって搬送される用紙Pとピックアップローラ12とが接触しているときは、トルクリミッタ24のリミッタ値が搬送ローラ対16による用紙Pの搬送力よりも小さいので、当該用紙Pの搬送とともに、軸23に対してトルクリミッタ24及びピックアップローラ12が回転する。この後、用紙収納部11内において、用紙Pとともに重送された別の用紙Pとピックアップローラ12とが接触した場合は、リミッタ値は重送した用紙P間の結合力よりも大きいので軸23に対してピックアップローラ12は回転しない。
ピックアップローラ移動機構21は、図2に示すように、軸23を回転可能に支持する支持部材25と、支持部材25とともにピックアップローラ12を上下方向に移動させるソレノイド26とを有している。支持部材25は、ソレノイド26のロッド26aに固定されている。ソレノイド26は、制御部60によって制御される。
この構成において、制御部60の制御により、ソレノイド26が駆動されることで、図2(a)に示すようにソレノイド26のロッド26aが伸び、ピックアップローラ12と用紙Pとが接触する接触位置にピックアップローラ12が移動する。一方、ソレノイド26の駆動が停止されることで、図2(b)に示すようにロッド26aが縮み、ピックアップローラ12と用紙Pとが離隔する離隔位置にピックアップローラ12が移動する。
また、軸23の端部には、ロータリエンコーダ27(図3参照)が設けられており、ピックアップローラ12の回転量の検出信号を制御部60に出力する。そして、制御部60が、ピックアップローラ12の回転を停止させるときに、ロータリエンコーダ27が出力した検出信号に基づいて、ピックアップローラ12と用紙Pとの接触点が今回の停止と次回の停止とで異なるように、駆動モータ72を制御する。
分離ローラ対13は、リタードローラ14及びフィードローラ15によって構成されており、このうちのリタードローラ14は、プリンタ本体に回転可能に支持されている。また、リタードローラ14は、駆動モータ74によって、通常、フィードローラ15と同方向に回転するが、フィードローラ15によって搬送された用紙Pとだけ接触しているときは、その外周が軸に対して逆方向に滑り回転する構成となっている。すなわち、搬送する用紙Pとともに重送してきた別の用紙Pを、搬送する用紙Pから分離するときは、フィードローラ15及びリタードローラ14は同方向に回転し別の用紙Pを用紙収納部11側に送り、搬送する用紙Pだけを両ローラ14,15で挟持しながら搬送するときは、リタードローラ14がフィードローラ15とは逆方向に回転する。
分離ローラ移動機構30は、フィードローラ15を回転可能に支持する支持部材31と、支持部材31とともにフィードローラ15を上下方向に移動させるソレノイド32とを有している。支持部材31は、ソレノイド32のロッド32aに固定されている。また、ソレノイド32及び搬送モータ74,75は、制御部60により制御される。
この構成において、制御部60の制御により、リタードローラ14及びフィードローラ15がともに図1中反時計回り方向に回転することによって、給紙装置20から重送されてきた複数の用紙Pのうち、ピックアップローラ12と接触した用紙Pが主にフィードローラ15によって搬送方向Aに搬送され、当該用紙Pの下側であって重送された別の用紙Pがリタードローラ14によって搬送方向Aとは逆方向に搬送され、重送された複数の用紙Pのうち1枚の用紙Pだけを搬送方向Aに搬送される。
また、制御部60の制御により、ソレノイド32が駆動されることで、図1に示すように、ソレノイド32のロッド32aが伸び、フィードローラ15とリタードローラ14との間で用紙Pを挟持可能な挟持位置にフィードローラ15が移動する。一方、ソレノイド32の駆動が停止されることで、ロッド32aが縮み、リタードローラ14とフィードローラ15とにおける用紙Pに対する挟持の開放が行われる開放位置にフィードローラ15が移動する(図4(c)参照)。
搬送ローラ対16も、2つの搬送ローラ17,18によって構成されており、ともにプリンタ本体に回転可能に支持されている。なお、搬送ローラ17は、搬送ローラ18による用紙Pの搬送に伴って回転する従動ローラである。駆動モータ78は、制御部60により制御される。この構成において、制御部60の制御により、搬送ローラ18が図1中反時計回り方向に回転することによって、搬送ローラ対16が分離ローラ対13から搬送されてきた用紙Pを挟持しながらベルト搬送装置50に搬送する。
図3は、用紙搬送装置10の制御系統図である。制御部60は、例えば汎用のパーソナルコンピュータによって構成されている。かかるコンピュータは、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどのハードウェアが収納されており、ハードディスクには、用紙搬送装置10の動作を制御する為のプログラムを含む各種のソフトウェアが記憶されている。そして、制御部60によって、駆動モータ72,74,75,78及びソレノイド26,32が制御される。
次に、図4を参照しつつ、用紙搬送装置10での用紙搬送動作について説明する。図4は、用紙搬送時におけるピックアップローラ12及びフィードローラ15の動作状況を示す説明図である。PC(パーソナルコンピュータ)などから制御部60に用紙Pを搬送する搬送開始信号が送信されると、制御部60が、図4(a)に示すように、ピックアップローラ12が用紙Pと接触しながら回転するように、駆動モータ72及びソレノイド26を駆動する。こうして、用紙収納部11から分離ローラ対13に向けて用紙Pが送り出される。
次に、制御部60は、フィードローラ15及びリタードローラ14間において用紙Pを挟持しながら回転することが可能なように、駆動モータ74,75及びソレノイド32を駆動する。このとき、用紙収納部11から複数の用紙P1,P2が重送されてきても、上述したように、フィードローラ15と接触する用紙P1だけが分離ローラ対13によって挟持されながら搬送方向Aに搬送される。
また、このとき、分離ローラ対13によって用紙Pの搬送が開始されたときに、用紙Pの搬送方向Aの前端が用紙センサ61によって検出される。この用紙センサ61の検出信号に基づいて、制御部60が、図4(b)に示すように、ピックアップローラ12が離隔位置に移動するように、ソレノイド26の駆動を停止する。このとき、駆動モータ72の駆動を停止するとともに、ロータリエンコーダ27からの検出信号に基づくピックアップローラ12の回転停止位置を制御部60が記憶する。
次に、制御部60は、搬送ローラ18が回転するように、駆動モータ78を駆動する。こうして、分離ローラ対13によって搬送されてきた用紙Pがベルト搬送装置50に搬送される。このとき、搬送ローラ対16によって用紙Pの搬送が開始されたときに、用紙Pの前端が用紙センサ62によって検出される。この用紙センサ62の検出信号に基づいて、制御部60が、図4(c)に示すように、分離ローラ対13による用紙P1の挟持を開放するように、且つ、リタードローラ14及びフィードローラ15の回転が停止されるように、ソレノイド32及び搬送モータ74,75の駆動を停止する。
次に、分離ローラ対13による挟持の開放が行われたときに、制御部60は、回転が停止されたピックアップローラ12が接触位置に移動するように、ソレノイド26を駆動する。このとき、搬送ローラ対16によって搬送される用紙P1とピックアップローラ12とが接触していても、上述のようにピックアップローラ12は用紙P1の搬送と共に回転するので、ピックアップローラ12の摩耗を抑制することができる。本実施形態においては、ピックアップローラ12の用紙P1の搬送に伴う回転は約1回転であり、その後、用紙P2と接触する。
そして、図4(d)に示すように、搬送ローラ対16によって用紙P1が搬送方向Aに搬送されていくと、ピックアップローラ12がその外周面の点S1において、別の用紙P2と接触する。このとき、ピックアップローラ12は回転しないので、用紙P2が用紙P1の搬送にともなって重送されなくなる。こうして、1枚の用紙Pだけをベルト搬送装置50に搬送することが可能になる。この後、用紙P1にインクが吐出され、用紙P1に所望の画像が形成される。
次に、2枚目の用紙P2を搬送するときは、上述と同様な動作が行われるが、用紙P2が分離ローラ対13によって搬送され始めたときに、制御部60は、搬送ローラ対16によって用紙P2が搬送方向Aに搬送されていくことでピックアップローラ12の外周面の点S2において、ピックアップローラ12と別の用紙P3とが接触するように、駆動モータ72の駆動を停止する。この点S2は、前回のピックアップローラ12の回転停止位置から、ちょうどピックアップローラ12が90°回転した位置での用紙P3と接触する点である。このように、1枚目の用紙P1を搬送する今回と、2枚目の用紙P2を搬送する次回とで、回転が停止されたピックアップローラ12と重送された別の用紙とが接触する点が異なるので、ピックアップローラ12の局所的な摩耗を抑制することができる。
以上のように、本実施形態の用紙搬送装置10によると、分離ローラ対13による挟持の開放が行われた後、搬送ローラ対16によって搬送された用紙P1と、この用紙P1と用紙収納部11において接触する別の用紙P2とが重送されても、別の用紙P2と回転が停止されたピックアップローラ12とが接触するので、別の用紙P2が用紙P1と分離される。そのため、分離ローラ対13によって分離された1枚の用紙P1だけを搬送することが可能になって、用紙Pの重送を抑制することができる。
また、回転が停止されたピックアップローラ12と用紙Pとが、分離ローラ対13による挟持の開放が行われた後にしか接触しない。そのため、ピックアップローラ12の摩耗を抑制することができる。
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。図5は、本発明の第2実施形態による用紙搬送装置の用紙搬送時におけるピックアップローラ及びフィードローラの動作状況を示す説明図である。本実施形態における用紙搬送装置210は、ピックアップローラ12を離隔位置から接触位置に移動させるタイミングが第1実施形態と異なるだけで、それ以外は第1実施形態と同様である。なお、第1実施形態と同様なものには同符号を示し説明を省略する。
用紙搬送装置210での用紙搬送動作においては、用紙収納部11から送り出された用紙T1を搬送ローラ対16で搬送するまで、第1実施形態と同様の動作が行われ、用紙センサ62によって用紙T1の前端が検出されたときに、制御部260が、図5(a)に示すように、分離ローラ対13による用紙T1の挟持を開放するように、且つ、リタードローラ14及びフィードローラ15の回転が停止されるように、ソレノイド32及び搬送モータ74,75の駆動を停止する。
次に、搬送ローラ対16によって用紙T1が搬送されてから所定時間経過後、すなわち、用紙T1の後端がピックアップローラ12を抜けたとき(ピックアップローラ12が接触位置に配置されていても用紙T1の後端がピックアップローラ12と接触しない位置に到達したとき)に、制御部260が、図5(b)に示すように、回転が停止されたピックアップローラ12が接触位置に移動するように、ソレノイド26を駆動する。こうして、ピックアップローラ12と用紙T2とが接触し搬送ローラ対16によって搬送される用紙T1と重送された用紙T2とが分離される。また、回転が停止されたピックアップローラ12と用紙T1とを接触させずに、ピックアップローラ12を用紙T2とだけ接触させることが可能になるので、ピックアップローラ12の摩耗を抑制することができる。
なお、分離ローラ対13の挟持が開放されてからピックアップローラ12が接触位置に移動するまでの所定時間において、用紙T1の搬送に伴って用紙T2が重送されても、用紙T2の前端は、大半搬送ローラ対16よりも搬送方向上流に位置している。この状態で、ピックアップローラ12と用紙T2とが接触することになるので、搬送ローラ対16によって搬送される用紙T1と重送された用紙T2とが分離され、上述のように重送が抑制される。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述した各実施形態において、ピックアップローラ12を移動させるピックアップローラ移動機構21を設けていなくてもよい。この場合においても、分離ローラ対13によって用紙Pが搬送され始めたときに、ピックアップローラ12の回転を停止させればよい。こうすることで、分離ローラ対13が用紙Pを開放した後においても、ピックアップローラ12と重送された別の用紙Pと接触するので、上述と同様の効果を得ることができる。また、このときにトルクリミッタ24を設けている場合は、分離ローラ対13による搬送力よりもリミッタ値を小さくすることが好ましい。これにより、分離ローラ対13による搬送を阻害しないばかりか、ピックアップローラ12の摩耗も抑制することができる。
また、ピックアップローラ12と重送された用紙Pとが接触したときに、当該用紙Pが用紙収納部11内に戻るように、ピックアップローラ12を回転させてもよい。この場合、例えば、ピックアップローラ12と用紙Pとが接触したときの当該用紙Pの前端は、リタードローラ14の搬送方向Aの上流側近傍に存在していることが多い。このため、重送された用紙Pの前端が用紙収納部11内に戻るために必要な、例えば、1〜2回転だけピックアップローラ12を回転させることが望ましい。また、分離ローラ対13による用紙Pの挟持の開放は、搬送ローラ対16によって当該用紙Pが搬送され始めたときだけでなく、このときから所定時間経過後、分離ローラ対13による挟持の開放が行われてもよい。この場合の所定時間は、例えば、用紙Pが搬送ローラ対16によって搬送され始めたときから当該用紙Pが他の搬送装置(例えば、ベルト搬送装置50など)によって搬送され始めるまでの時間内であることが望ましい。
また、各実施形態において、トルクリミッタ24を設けていなくてもよい。また、ピックアップローラ12の回転停止位置がいつでも同じ位置であってもよい。また、分離ローラ移動機構30は、リタードローラ14を移動させてもよい。また、用紙センサ61,62が設けられていなくてもよい。この場合は、制御部60,260において、ピックアップローラ12で用紙Pを送り出したときから、各用紙センサ61,62が当該用紙Pの前端や後端を検出するまでの時間に相当する所定時間経過後、上述の実施形態と同様の制御を行えばよい。また、上述した各実施形態の用紙搬送装置10,210は、インクジェットプリンタに採用されているが、記録媒体を搬送するものであればどのような装置に採用されていてもよい。
本発明の第1実施形態による用紙搬送装置が採用されたインクジェットプリンタの概略側面図である。 図1に示す給紙装置の概略構成図である。 用紙搬送装置の制御系統図である。 用紙搬送時におけるピックアップローラ及びフィードローラの動作状況を示す説明図である。 本発明の第2実施形態による用紙搬送装置の用紙搬送時におけるピックアップローラ及びフィードローラの動作状況を示す説明図である。
符号の説明
10,210 用紙搬送装置(記録媒体搬送装置)
11 用紙収納部(記録媒体収納部)
12 ピックアップローラ
13 分離ローラ対
16 搬送ローラ対(搬送部)
21 ピックアップローラ移動機構
22 駆動機構
24 トルクリミッタ
30 分離ローラ移動機構
60,260 制御部(制御手段)
72 駆動モータ

Claims (5)

  1. 積層された複数の記録媒体を収納可能な記録媒体収納部と、
    最も外側にある記録媒体と接触しながら回転することによって前記記録媒体収納部から記録媒体を送り出すピックアップローラと、
    前記ピックアップローラを回転させる駆動機構と、
    互いに同方向に回転することによって前記記録媒体収納部から重なって送り出された複数の記録媒体から1枚だけを分離し、分離された当該1枚の記録媒体を挟持しながら互いに逆方向に回転することによって搬送方向に搬送する分離ローラ対と、
    前記分離ローラ対が記録媒体を挟持する挟持位置及び記録媒体の挟持を開放する開放位置の間において、前記分離ローラ対を構成する少なくとも一方の分離ローラを移動させる分離ローラ移動機構と、
    前記分離ローラ対によって搬送された記録媒体を搬送する搬送部と、
    前記搬送部によって記録媒体が搬送され始めた後に、当該記録媒体に対する挟持を開放するように、前記分離ローラ移動機構を制御すると共に、少なくとも前記分離ローラ対による挟持の開放が行われた後に、前記記録媒体収納部において前記1枚の記録媒体と接触する別の記録媒体と前記ピックアップローラとが接触した状態で前記ピックアップローラの回転が停止されるように、前記駆動機構を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする記録媒体搬送装置。
  2. 前記駆動機構が、駆動モータと、前記駆動モータからの回転力を前記ピックアップローラに伝達するトルクリミッタとを有しており、
    前記トルクリミッタのリミッタ値は、前記搬送部による記録媒体の搬送力よりも小さく、且つ、重送した記録媒体間の結合力よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体搬送装置。
  3. 前記制御手段は、前記ピックアップローラの回転を停止したときに、記録媒体と前記ピックアップローラとの接点が今回の停止と次回の停止とで異なるように、前記駆動機構を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録媒体搬送装置。
  4. 前記ピックアップローラが記録媒体と接触する接触位置及び記録媒体と接触しない離隔位置の間において前記ピックアップローラを移動させるピックアップローラ移動機構をさらに備えており、
    前記制御手段は、前記分離ローラ対が記録媒体の前記搬送方向の前端を挟持したときに、前記ピックアップローラを前記離隔位置に移動させるように、且つ、前記分離ローラ対による挟持の開放が行われたときに、回転が停止された前記ピックアップローラを前記接触位置に移動させるように、前記ピックアップローラ移動機構を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の記録媒体搬送装置。
  5. 前記ピックアップローラが記録媒体と接触する接触位置及び記録媒体と接触しない離隔位置の間において前記ピックアップローラを移動させるピックアップローラ移動機構をさらに備えており、
    前記制御手段は、前記分離ローラ対が記録媒体の前記搬送方向の前端を挟持したときに、前記ピックアップローラを前記離隔位置に移動させるように、且つ、記録媒体の前記搬送方向の後端が前記ピックアップローラを抜けたときに、前記ピックアップローラを前記接触位置に移動させるように、前記ピックアップローラ移動機構を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の記録媒体搬送装置。
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