以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下では、1.実施の形態の構成、2.実施の形態の概略動作、3.実施の形態の詳細動作、4.他の実施の形態の順で説明する。
「第1の実施の形態」
1.実施の形態の構成
図1は、本発明の実施の形態に係る建築コスト見積システムの構成例を示す図である。この図に示すように、本発明の実施の形態に係るコンテンツモジュール生成管理システムは、建築コスト見積装置10、ネットワーク20、および、ユーザ端末装置30,40を主要な構成要素としている。なお、本発明に係る建築コスト見積方法および建築コスト見積プログラムは、建築コスト見積装置10の動作として説明する。
図1に示す建築コスト見積装置10は、例えば、サーバ装置によって構成され、ユーザ端末装置30,40の入力装置から入力された、建築しようとする建物に関する情報に基づいて当該建物の建築コスト等を算出し、ユーザ端末装置30,40に供給する。
ネットワーク20は、例えば、インターネットまたはLAN(Local Area Network)等によって構成され、建築コスト見積装置10とユーザ端末装置30,40の間で、例えば、パケットを単位として情報を伝送する。
ユーザ端末装置30,40は、例えば、パーソナルコンピュータ等によって構成されており、建築業者の担当者(例えば、営業担当者等)または発注者が有し、ネットワーク20を介して建築コスト見積装置10にアクセスして所定の情報を入力することにより、建築しようとする建物の建築コスト等の情報を得ることができる。
なお、図1に示す構成例は一例であって、図示される各装置の台数はこれ以外であってもよい。
つぎに、図2,3を参照して、図1に示す各装置のハードウエア的な詳細な構成について説明する。
図2は、図1に示す建築コスト見積装置10のハードウエア的な構成例を示す図である。この図に示すように、建築コスト見積装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、HDD(Hard Disk Drive)14、I/F(Interface)15、および、バス16を主要な構成要素としている。
ここで、CPU11は、HDD14に格納されているOS(Operating System)14−1およびプログラム14−2に基づいて装置の各部を制御するとともに、各種演算処理を実行する。
ROM12は、CPU11が実行する基本的なプログラムを格納している半導体メモリである。RAM13は、CPU11が実行するプログラムおよびデータを一時的に格納する半導体メモリである。
HDD14は、磁気記憶媒体としてのハードディスクに情報を磁気的に記録する装置である。HDD14は、OS14−1およびプログラム14−2を格納している。OS14−1は、複数のアプリケーションプログラムから共通して利用される基本的な機能を提供し、コンピュータシステム全体を管理するソフトウエアである。プログラム14−2は、後述する図4に示す機能その他を実現するためのものである。すなわち、ソフトウエアとしてのプログラム14−2と、ハードウエアとしてのCPU11その他が協働することにより、図4に示す機能その他が実現される。
I/F15は、CPU11がネットワーク20を介して情報を送受信する際に、プロトコルの変換処理等を実行する。バス16は、CPU11、ROM12、RAM13、HDD14、および、I/F15を相互に接続し、これらの間で情報の授受を可能とするための信号線群である。
図3は、図1に示すユーザ端末装置30,40の構成例を示す図である。なお、この図では、ユーザ端末装置30を例に挙げて符号を付してあるが、ユーザ端末装置40も同様の構成であるので、符号の表示およびその説明は省略する。この図に示すように、ユーザ端末装置30は、CPU31、ROM32、RAM33、HDD34、GC(Graphic Card)35、I/F36、バス37、表示装置38、および、入力装置39を主要な構成要素としている。
ここで、GC35は、CPU31から供給された描画命令に応じて描画処理を実行し、得られた画像データを対応する映像信号に変換し、表示装置38に供給する。
表示装置38は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)モニタまたはLCD(Liquid Crystal Display)等によって構成され、GC35から供給された映像信号に対応する画像を表示する。
入力装置39は、例えば、キーボードおよび/またはマウス等によって構成され、ユーザの操作に応じた情報を生成して出力する。
HDD34に格納されているOS34−1は、図2の場合と同様に、複数のアプリケーションプログラムから共通して利用される基本的な機能を提供し、コンピュータシステム全体を管理するソフトウエアである。プログラム34−2は、例えば、ブラウザプログラム等であり、建築コスト見積装置10にアクセスして建築コストに関する情報を生成させる際に、情報の取得および取得に関する処理を実行する。
なお、その他の構成は、図2の場合と同様であるのでその説明は省略する。
つぎに、図4を参照して、建築コスト見積装置10において、プログラム14−2が実行された場合に、ソフトウエアとしてのプログラム14−2と、ハードウエアとしてのCPU11その他が協働することにより実現される機能の一例について説明する。
建築コスト見積装置10に実現される機能としては、数量計算エンジン101、コスト計算エンジン102、部位別内訳103、モデル別統計値・係数104、コスト構成表105、部位別コストテーブル106、制御モジュール107、および、通信モジュール108が存在する。
ここで、計算手段としての数量計算エンジン101は、ユーザ端末装置30,40において入力され、ネットワーク20および通信モジュール108を介して受信された、建物に関する情報(詳細は後述する)と、部位別内訳103と、モデル別統計値・係数104に基づいて、建物を構成する部位毎の数量を計算し、コスト計算エンジン102に供給する。
算出手段および算定手段としてのコスト計算エンジン102は、数量計算エンジン101から供給された建物の部位毎のコストを、部位別コストテーブル106を参照して算出し、通信モジュール108およびネットワーク20を介して、要求を行ったユーザ端末装置30,40に供給する。
部位別内訳103は、オフィス、学校、病院等の建物の種類に対応するモデルを有しており、各モデルはそれぞれのモデルに対応する種類の建物を構成する部位毎の内訳に関する情報を有している。
図5および図6は、オフィスモデルの概略を示している。なお、図5は仮設、構造、および、建築を示し、図6は設備およびその他を示している。これらの図に示すように、オフィスモデルは、6階層の情報によって構成される。第1階層は、「分類」を示す情報であり、この例では、図5に示すように、「構造」に関しては「B.地下躯体」と「C.地上躯体」を有している。また、図6に示すように、「設備」に関しては「F.電気設備」、「G.給排水設備」、「H.空調・換気・排煙」、および、「I.その他設備」を有している。
第2階層は、「部位」を示す情報であり、この例では、図5に示すように、「A.仮設等」に関しては、「一般仮設」、「特殊仮設」、「山留・桟橋工事」、「土工事」、および、「地業工事」を有している。また、図6に示すように、「I.その他の設備」は、「中央監視」、「昇降機」、「エスカレータ」、「ダムウェータ」、および、「機械駐車設備」を有している。
第3階層から第5階層は、「部位内種別」、「種別区分」、および、「区分詳細」をそれぞれ示している。なお、この例では、それぞれの詳細については省略されている。第6階層は「部位別内訳」を示している。この例では、図5に示すように、「山留・桟橋工事」は、「山留・桟橋の数量」を有し、「土工事」は「土工の数量」を有している。
モデル別統計値・係数104は、モデル毎の統計値および係数を有している。ここで、統計値とは、各モデルを構成する部位毎の単価の分布状況を示す情報である。また、係数とは、単価からコストを算出する際に参照される、モデル毎の調整用の数値である。また、モデル別統計値・係数104としては、各部位を計算する際の計算式も有している。なお、これらの詳細については後述する。
コスト構成表105は、図7に概略を示すように、「部位別内訳コード」、「集計元」、および、「集計元コストコード」を有している。ここで、部位別内訳コードは、部位別内訳に対して付与されるユニークなコードである。この例では、「0001」および「0002」が例示されている。集計元は、コストの集計元を示す情報であり、この例では、XXおよびYYが存在している。なお、XXコストデータおよびYYコストデータとしては、例えば、経済調査会等のコストデータおよび他の団体のコストデータ、または、過去の実績に基づくコストデータを利用することができる。集計元コストコードは、それぞれのコストデータを構成する項目に対して付与されたユニークなコードである。この例では、「101」、「102」、「301」、および、「302」等が例示されている。なお、これらのコストコードは、右側のコストデータのコストコードに対応付けされている。
記憶手段としての部位別コストテーブル106は、コスト構成表105と、XX,YY等のコストテーブルとから生成されるテーブルであり、各部位別内訳コード毎のコスト(単価)を、地域毎に格納するテーブルである。この例では、部位別内訳コード「0001」に関しては、地域1のコストが「3000」であり、地域2のコストが「2500」であることが例示されている。
なお、図7の例では、部位別内訳コード「0001」に対応する地域1のコストは、XXコストデータのコストコード「101」および「102」の地域1コスト「2000」および「1000」の合計値である。また、地域2のコストは、XXコストデータのコストコード「101」および「102」の地域2コスト「1700」および「800」の合計値である。また、部位別内訳コード「0002」に対応する地域1のコストは、YYコストデータのコストコード「301」および「302」の地域1コスト「4000」および「3000」の合計値である。また、地域2のコストは、YYコストデータのコストコード「301」および「302」の地域2コスト「3900」および「2900」の合計値である。
コスト計算エンジン102は、数量計算エンジン101から出力された部位毎の数量に対して、部位別コストテーブル106のコスト(単価)を乗算することにより、建築コストを計算し、これらを各階層毎に合計して出力する。
制御モジュール107は、装置の各部を制御するためのモジュールである。
入力受付手段、呈示手段、および、通信手段としての通信モジュール108は、ネットワーク20を介して、ユーザ端末装置30,40との間で通信を行う際に、例えば、プロトコルの変換処理等を実行するモジュールである。
2.実施の形態の概略動作
つぎに、本発明の実施の形態の概略動作について説明する。
従来においては、建物を構成する全ての構成部材を設計図書から拾い上げ、単価を乗じて構成部材のコストを算出するとともに、それぞれの建築作業毎に労務費および機械経費等を加算することにより、建築コストを得ていた。しかしながら、このような方法では、設計図書から構成部材を拾い上げる作業に多大な時間を要するとともに、専門的な知識を要求される。また、時間と労力を必要とする割には、得られる計算結果の信頼性はそれほど高くない。さらに、仕様の変更を行う場合には、拾い上げの作業を再度実行する必要があることから、非常に煩雑である。
一方、本発明の実施の形態では、図5に例示するように、建物を部位に分けてそれぞれの部位単位で数量を計算し、得られた数量に実勢単価または過去の取引単価を乗算することにより、建築コストを算出する。具体的には、コンクリートの柱を例に挙げると、従来の方法では、鉄筋工事、型枠工事、および、コンクリート工事のそれぞれに分け、各工事において必要な材料、労務、および、機械の経費を計算し、それらを合計することにより、柱の建築コストを算出していた。それに対して、本発明の実施の形態では、コンクリートの柱の建築単価(実勢単価または過去の取引単価)を部位として、データベースに蓄積しておき、当該単価に対して数量(例えば、柱の長さ)を乗算することにより、柱の建築コストを算出する。このような計算方法によれば、材料を拾い上げる必要がないことから、コスト計算にかかる時間を大幅に短縮することができる。また、実勢価格等を反映したコスト計算ができるので、精度が高いコスト計算ができる。
ところで、建物を構成する部位は、建物の種類毎に異なる。また、各部位の仕様は、発注者の要求に応じて変更される必要がある。そこで、本発明の実施の形態では、建物の種類毎のモデル(オフィスモデル、学校モデル、および、病院モデル等)を準備し、建物の種類毎に適切なモデルを選択することで対応可能としている。例えば、病院の場合には、壁沿いに手摺を張り巡らせたり、感染を防ぐために換気設備として特殊なものを使用したりする必要があるので、それらを包含したモデルを使用する。
また、仕様の変更については、図8(A)に示すように、部位毎にグレードまたはバリエーションを、例えば、「松竹梅」として入力し、入力されたグレードまたはバリエーション応じて部位の仕様を決定し、建築コストを算出する。そして、仕様変更を行う場合には、図8(B)に示すように、「松竹梅」の選択を変更することにより、簡易に仕様変更に基づくコストを計算することができる。なお、この例では、「躯体・仮設等」、「外部仕上げ」、「内部仕上げ」、「設備」、および、「外構等」のそれぞれについて「松竹梅」選択肢として、グレードまたはバリエーションを設定できるようにしている。また、この例では、部位毎のコストと、水準とが連動しているので、水準を松竹梅によって選択することにより、部位別のコストが連動して計算される。
すなわち、「部位」とは、建物の建築に係る数量、コスト、および、仕様を決定するための単位である。また、部位は階層構造を有しており、ある階層に属する所定の部位は、上位に存在する他の部位に包含される関係を有している場合がある。このように、建物を数量、コスト、および、仕様が一体となった「部位」に分けることにより、部材の拾い上げを行う必要がなくなるため、数量計算およびコスト計算が容易になる。また、仕様とコストとの対応付けが簡易になる。さらに、仕様の変更が生じた際には、部位単位で差し替えを行えばよいので、数量計算およびコスト計算を簡便に行うことができる。さらにまた、階層構造を設けることにより、それぞれの階層レベルでの数量およびコストを簡易に算出することができることから、高い階層から低い階層へと見ていくことで、コストの配分およびその構造を容易に把握することができる。また、階層構造とすることにより、上位の階層における部位のコストが一定の範囲に収まるように、その下位に属する部位の仕様・数量を変更することで、コストを一定の範囲に保ったままで、仕様・数量を変更することができる。これにより、コストと仕様の管理を容易にすることができる。
図9は、建築コストの部位毎の割合の一例を示す図である。この図の例では、全体のコストのうち、建築工事に56%、設備工事27%、外構工事に1%、総合仮設に7%、諸経費に9%というコスト配分となっている。また、建築工事のうち、直接仮設に3%、土木・地業に7%、躯体に22%、仕上げに24%が割り当てられている。これらのうち、仕様等の変更により、コストが変動するのは、躯体、仕上げ、設備工事である。躯体については、例えば、耐震性等のグレードによってコストが変動するため、グレードを松竹梅の区分で入力する。また、仕上げについては、外部仕上げが11%、内部仕上げが13%となっており、これらは松竹梅の区分でグレードを選択するとともに、各グレード内において5つの選択肢からバリエーションを選択する。また、設備工事についても、松竹梅の区分からグレードを選択するとともに、5つの選択肢からバリエーションを選択する。このようにグレードおよびバリエーションを選択できるようにしたので、仕様変更を容易に行うことができる。また、仕様変更が行われた場合であっても簡易にコスト計算を行うことができる。さらに、建築の知識がない場合でも見積を簡易に行うことができる。
図10は、グレードおよびバリエーションの一例を示している。この例では、建物の外部仕上げのグレードが松、竹、梅で示されている。例えば、「屋根・屋上」については、松では「石張り:花こう岩(ジェットバーナ)」が選択され、梅では「押さえコンクリ−仕上:厚80」が選択され、梅では「露出防水仕上:シート防水」が選択されている。また、「外部開口部」および「外部雑」については、欄外に記載されている選択肢(バリエーション)から選択可能となっている。
図11は、内部仕上げおよび部屋別グレードと、コストとの対応関係の一例を示す図である。この図では、事務室を例に挙げて説明している。事務室のグレードは、松、竹、梅の3グレードとされ、それぞれのグレード毎に平米あたりの価格の範囲(¥○○/m2〜¥○○/m2)が示されている。例えば、グレードが「松」である場合には、床は「タイルカーペット」であり、壁は「合成樹脂エマルションペイント」であり、天井は「ロックウール吸音板」が示されている。なお、この例では、それぞれのグレードには、1つの種類の候補しか示されていないが、実際には、当該価格の範囲に収まる複数の候補が存在し、ユーザは、これらの候補の中から所望の候補を選択する。これにより、コストが所定の範囲内に収まるようにしながら、事務室の仕様を変更することが可能になる。
すなわち、本実施の形態では、前述したように、部位は階層構造を有しており、下位の部位が上位の部位に包含される構造を有しており、それぞれの部位毎に数量およびコストを管理している。これにより、上位の部位のコストが所定の範囲に収まるように、下位の部位の仕様を変更することができる。図11の例では、上位の部位である事務室のコストが所定の範囲に収まるように、床、壁、天井等の下位の部位の仕様を変更・決定することができる。これにより、コストの管理が容易になる。また、このような構成を採用することにより、例えば、改築の場合においても、改築の対象となる部位を同様の階層構造にてコスト管理することにより、改築の費用を容易に算出することができ、また、仕様の変更も容易に行うことができる。さらに、解体してみないと分からない部位については、当該部位についてのコストを予め計算して不確定なコストとして提示することにより、トータルのコストの変動範囲をより明確にすることができる。
3.実施の形態の詳細動作
つぎに、本発明の実施の形態の詳細な動作について説明する。
例えば、建物の発注者がユーザ端末30の入力装置39を操作して、建築コスト見積装置10にアクセスし、建築コストの計算の要求を行うと、建築コスト見積装置10では、プログラム14−2が実行されることにより実現される図4の通信モジュール108によって当該要求が受け付けられ、図12に示すフローチャートの処理が実行される。このフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
ステップS10:通信モジュール108は、用途を選択する画面を表示するための情報をユーザ端末装置30に送信する。その結果、ユーザ端末装置30は、送られてきた情報をI/F36を介して受信し、GC35に供給する。その結果、表示装置38には、用途を選択するための画面が表示される。ここで、用途とは、建物の用途のことであり、例えば、オフィス、学校、病院、マンション、研究施設等の建物の種類をいう。表示装置38に表示された情報の中からユーザが所望する情報を入力装置39を操作して選択した場合、当該情報は、I/F36およびネットワーク20を介して建築コスト見積装置10に送信される。建築コスト見積装置10では、通信モジュール108が当該情報を受信する。なお、用途を入力する際に、対象となる建物が公共の建物であるか、あるいは、民間の建物であるかを入力するようにしてもよい。また、対象となる建物を新築するのか、あるいは、改修をするのかを入力するようにしてもよい。なお、改修の場合には、大規模修繕、機能改善、コンバージョン等の種別を入力するようにしてもよい。
ステップS11:通信モジュール108は、地域を選択するとともに、住所を記入する画面を表示するための情報をユーザ端末装置30に送信する。その結果、ユーザ端末装置30は、前述の場合と同様の処理により、地域を選択するとともに、住所を記入する画面を表示装置38に表示させる。このような画面を参照して、ユーザが入力装置39を操作して、地域を選択するとともに、住所を入力すると、これらの情報はネットワーク20を介して通信コスト見積装置10に送信される。なお、地域としては、「1.北海道」、「2.東北地方」、「3.甲信越・北陸地方」、「4.関東地方」およびその他地方の中から選択する。住所については、例えば、都道府県名、市町村名等を入力する。
ステップS12:通信モジュール108は、敷地形状その他の情報を入力する画面を表示するための情報をユーザ端末装置30に送信する。その結果、ユーザ端末装置30は、前述の場合と同様の処理により、敷地形状その他を入力する画面を表示装置38に表示させる。なお、この例では、敷地形状、敷地面積、建物面積、階数(地上・地下)、構造、および、地盤データ等が入力される。このような画面を参照して、ユーザが入力装置39を操作して、上述のデータを入力すると、これらの情報はネットワーク20を介して通信コスト見積装置10に送信される。なお、敷地形状としては、敷地の形状を平面上に示した情報が入力される。敷地面積としては敷地の面積を平方メートルで表したものが入力される。建物面積としては、例えば、延べ床面積を平方メートルで表したものが入力される。階数としては、地上と地下のそれぞれの階数を示す情報が入力される。構造としては、例えば、耐震構造、免震構造、制震構造等が入力される。また、地盤データとしては、地盤の強さを表す、例えば、N値等が入力される。
ステップS13:通信モジュール108は、基本設計図を入力する画面を表示するための情報をユーザ端末装置30に送信する。その結果、ユーザ端末装置30は、前述の場合と同様の処理により、基本設計図を入力する画面を表示装置38に表示させる。なお、基本設計図としては、例えば、平面図および断面図を入力する。平面図としては、初期の段階では間取り等が決まっていないので、例えば、通路および廊下等については仮定に基づいて設定する。また、断面図については、それぞれの階の用途を入力する。具体的には、地下は駐車場であり、1階はロビー・エントランスであり、2階以上はオフィスであるといった具合である。このように、断面図を入力するのは、用途の組み合わせによってコストが変動するからである。なお、初期の段階では、基本設計図が確定していない場合が多いので、その場合には、例えば、ラフスケッチのような設計図でもよい。
ステップS14:通信モジュール108は、グレードおよびバリエーションを選択する画面を表示するための情報をユーザ端末装置30に送信する。その結果、ユーザ端末装置30は、前述の場合と同様の処理により、グレードおよびバリエーションを入力する画面を表示装置38に表示させる。この例では、図9に示すように、躯体のグレードが入力され、外部仕上げおよび内部仕上げのグレードおよびバリエーションが入力され、設備工事のグレードおよびバリエーションが入力される。このようにして入力された情報は、ネットワーク20を介して建築コスト見積装置10に送信される。なお、グレードおよびバリエーションが設定されなかった場合には、標準のグレードおよびバリエーションが自動的に設定されるようにしてもよい。
また、予算の範囲が予め決定されている場合には、所定のコストの範囲内に収まる選択肢としてグレードまたはバリエーションを提示し、提示された選択肢の中からユーザに選択させるようにしてもよい。また、階層化されている部位については、上位の部位が所定のコストの範囲内に収まるように、下位の階層の部位の組み合わせを選択させるようにしてもよい。例えば、図11の例では、事務室(上位の部位)のコストが所定の範囲に収まるように、床、壁、天井(下位の部位)の仕様の組み合わせを決定するようにしてもよい。このような方法によれば、コストの管理を容易にすることができる。
つぎに、以上のようにして入力された情報に基づいて、建築コスト見積装置10が数量およびコストを算出する場合の処理について説明する。図13は、図12に示す処理により入力された情報に基づいて、数量およびコストを算出するための処理である。このフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
ステップS30:数量計算エンジン101は、入力された情報に対して、法規チェックを実行する。なお、法規チェックの項目としては、建築基準法、消防法、大気汚染防止法、騒音規制法、航空法、省エネ法等がある。具体的には、建築基準法については、建築物の安全性の基準、火災時の安全性の基準、環境衛生に関する基準、敷地が一定の幅員以上の道路に接することを求める基準、都市計画において定められた用途地域毎に建築することができる建築物に関する基準、建築物の容積率・建坪率の制限、高さ制限、日影規制等に関する基準を満たしているか否かを判定する。より詳細には、建築物の容積率・建坪率の制限、高さ制限、日影規制等に関する基準に関しては、数量計算エンジン101は、ユーザ端末装置30から供給された地域の情報に基づいて、該当する容積率・建坪率の制限、高さ制限、日影規制等に関する情報を取得し、図12のステップS12において入力された情報等に基づいて、これらの基準を満足しているか否かを判定する。
ステップS31:数量計算エンジン101は、入力された情報を参照して、仮設の検討を行う。例えば、やりかた・墨出し、外部足場、内部足場、乗入構台、災害防止養生、養生、および、清掃に関して検討を行い、それぞれの数量を算出する。図14は、クレーンの種類を選定するための処理を説明するフローチャートである。この例では、ステップS50において、地下躯体については移動式クレーンを原則として選定する。ステップS52では、ステップS51に示すように、建物の高さが60m以上である場合には定置式クレーンを選択し、それ以外の場合にはステップS53に進む。ステップS54では、敷地条件により地下躯体のクレーンを選択する。すなわち、敷地が広い場合には移動式クレーンを選択し、狭い場合には定置式クレーンを選択する。このような処理が仮設のそれぞれについて判断される。
ステップS32:数量計算エンジン101は、構造断面の検討を行う。すなわち、数量計算エンジン101は、構造断面を地上および地下に分けてそれぞれ検討を行い、数量を算出する。具体的には、地上については、柱、梁、壁、屋上(屋根)について検討を行う。また、地下については、杭、基礎、山留め、および、土工事について検討を行う。なお、この際、躯体を構成する土台、柱、梁等の部分については、構造計算によって求めるが、図9に示すように、入力された躯体のグレードに応じて、目標値を設定する。なお、躯体のグレードが選択されていない場合には、標準レベル(例えば、建築基準法をクリアするレベル)に目標値を設定する。
ステップS33:数量計算エンジン101は、外部仕上げ材の数量を算出する。すなわち、数量計算エンジン101は、まず、平面図から外壁の長さを算出する。つぎに、算出された外壁の長さに対して、有効高さを乗算することにより、外壁面積を算出する。そして、外部仕上げ材の必要な数量を算出する。
ステップS34:数量計算エンジン101は、内部仕上げ材の数量を算出する。すなわち、数量計算エンジン101は、図15に示すフローチャートに従って、まず、ステップS70において各諸室の面積を整理し、ステップS71において、廊下面積を算出する。具体的には、コア面積の60%程度を廊下面積と仮定し、算出する。また、廊下面積と廊下以外のコア面積を整理する。続いて、ステップS72において、壁や柱の内側の寸法である「内法」を算出する。具体的には、各諸室について、簡易計算法(4×SQR(居室面積)×1.05)により内法を算出する。ここで、「SQR」は括弧内の平方根を求める式である。また、廊下については、廊下面積に、2.0×2を加算した値(=廊下面積+2.0×2)を廊下内法とする。つづいて、ステップS73において、内壁間仕切り長さの算出を行う。すなわち、内法の合計長さから、外壁の長さを差し引いて、内壁間仕切り長さを算出する。また、ステップS73において、内壁下地長さを算出する。すなわち、内壁間仕切り長さを0.5倍し、内壁下地長さを算出する。そして、ステップS74において、内壁仕上げ面積を算出する。すなわち、内壁間仕切り長さに階高をかけて、内壁間仕切り面積を算出するとともに、内壁間仕切り面積から建具面積を差し引いて、内壁仕上げ面積を算出する。なお、内壁の仕上げおよび下地を部位毎に変更する場合には、それぞれの部位毎に面積を算出する。
ステップS35:数量計算エンジン101は、設備計画について検討する。具体的には、電気設備、給排水衛生設備、空調・換気・排煙設備、および、その他の設備について、床面積、建物の用途、ならびに、グレードおよびバリエーションに基づいて数量を算出する。
ステップS36:コスト計算エンジン102は、数量計算エンジン101によって算出された部位別の数量と、部位別コストテーブル106を参照して、建築コストを算出する。具体的には、図16に示すように、選択された部位に対応する部位別コードを、部位別内訳から取得し、当該部位別内訳コードに対応する地域コストを地域別コストテーブルから特定する。例えば、第1番目のレコードに対応する部位別内訳コードは、「0001」であり、当該部位別内訳コードに対応するレコードを部位別コストテーブルにおいて特定する。この例では、第1番目のレコードが特定される。そして、図12のステップS11において入力された地域を示す情報から、地域を特定し、対応するコスト(単価)を、部位別コストテーブルから選択する。例えば、地域1に対応する場合には、部位別内訳コード「0001」に対応する地域1のコストとして、「3000」が特定される。コスト計算エンジン102は、得られた単価に対して、数量計算エンジン101が算出した数量を乗算することにより、当該部位のコストを算出する。なお、部位別内訳のテーブルは、図17に示すような構造を有しており、例えば、「外部仕上げ」の「屋根・屋上」の「瓦葺き屋根」の「瓦葺き」の「粘土瓦葺き(RC構造屋根)」が選択された場合には、当該粘土瓦葺き(RC構造屋根)に対応する単価が部位別コストテーブルから選択され、対応する地域の単価が特定される。そして、特定された単価に対して数量(例えば、屋根の面積)が乗算され、建築コストが算出される。なお、このとき、図5に示す階層構造において、それぞれの階層において、コストの合計額を算出する。これにより、後述する内訳書を作成することができる。
なお、グレードまたはバリエーションについては、部位別内訳において、それぞれのグレードまたはバリエーションに対応する部位別内訳が定められており、選択されたグレードまたはバリエーションに対応する部位別内訳コードに対応付けされたコストが部位別コストテーブルから特定されて、コストが算出される。
ステップS37:コスト計算エンジン102は、算出した部位毎のコストに基づいて、内訳書と水準書とを生成する。そして、生成したこれらの書面を、所定の形式のファイルに変換し、通信モジュール108を介して、ユーザ端末装置30に送信する。その結果、ユーザ端末装置30の表示装置38には、内訳書と水準書とが表示される。
図18は、内訳書と水準書との一例を示す図である。この図の例では、内訳書は、大項目内訳書、中項目内訳書、および、詳細項目内訳書の3種類から構成されている。また、水準書は、詳細項目水準書に対応付けされて生成される。
図19は、大項目内訳書の一例を示す図である。この図に示すように、大項目内訳書は、図5に示す1階層の項目のそれぞれについて建築コストを一覧表示したものである。この例では、「010000」として「敷地外関連費用 ¥○○○○」が表示され、同様にその他の項目が表示されている。
図20は、中項目内訳書の一例を示す図である。この図に示すように、中項目内訳書は、図5に示す1階層および2階層の項目のそれぞれについて建築コストを一覧表示したものである。この例では、「020000」として「敷地外関連費用 小計¥○○○○」が表示され、その下欄に「020100」「共通仮設」「¥○○○○」その他の項目が表示されている。また、その下には、「030000」として「地下躯体 小計¥○○○○」が表示され、その下欄に「030100」「基礎」「¥○○○○」その他の項目が表示されている。
図21は、詳細項目内訳書の一例を示す図である。この図に示すように、詳細項目内訳書は、図5に示す2階層、5階層、および、6階層の項目のそれぞれについて建築コストを一覧表示したものである。この例では、「060100」「060200」として内部床および内部壁についての仕上げ、バリエーション、内訳、および、備考がそれぞれ表示されている。
図22は、水準書の一例を示す図である。この図の例は、図21に示す詳細内訳書の内容に対応した内容となっている。すなわち、この例では、「060100」「060200」として内部床および内部壁についての内部仕上げ、備考、および、ディテールがそれぞれ表示されている。
図23は、詳細項目内訳書の他の例を示す図である。この例では、部屋毎に内訳が示されている。具体的には、事務室、庁舎管理室、共用会議室、専用会議室、電算室、医務室、廊下、上級室、玄関ホール、風除室、および、給湯室が表示されている。そして、それぞれの部屋単位で、選択されたグレード(例えば、松、竹、梅にそれぞれ対応するグレード1〜3)、床面積、室数、天井高、体積等が数値で示されている。また、それぞれの内部仕上げの内容として、床仕上げ、壁仕上げ、天井仕上げ、中間材、建具、内部雑等が表示されている。このような内訳により、ユーザは、各部屋単位でも詳細な内訳を知ることができる。また、各部屋単位でグレードを参照することができるので、グレードと、仕様と、コストの関係を容易に把握することができる。なお、図23の例では、グレードが表示されているが、バリエーションについても同様の表示をするようにしてもよい。
以上のような内訳書および水準書を参照することにより、ユーザは、部位毎の建築コストをおよびその詳細な仕様について知ることができる。
また、内訳書は大項目、中項目、詳細項目の3つから成るので、それぞれの階層に応じて、建築コストを知ることができる。したがって、大まかな費用については、大項目内訳書を参照し、詳細なコストについては中項目内訳書および詳細項目内訳書を参照することにより知ることができる。また、水準書を併せて参照することにより、各部位の詳細な水準(仕様等)について知ることができる。
なお、以上は概算のコストを計算する場合、すなわち、基本計画・基本設計の段階でのコスト計算処理であるが、例えば、実施設計および発注・契約・施工段階においても利用することができる。すなわち、基本計画・基本設計の段階においては、設計図としてラフスケッチのような図面が入力される場合が多く、また、仕様(グレードおよびバリエーション等)についても、詳細に決定されていない場合が多い。そのため、基本計画・基本設計の段階においては、概略計算によって数量を求めるとともに、図9に示すように、例えば、松竹梅および1〜5の数値によって仕様を指定するようにした。しかしながら、実施設計段階および発注・契約・施工段階では、建物の設計図、仕様、および、予算が明確になっているので、明確になった設計図および仕様に応じて建築コストを計算し、得られた建築コストと、予算とを比較して、必要に応じてグレードおよびバリエーションを変更することにより、建築コストを予算内に抑えることができる。
なお、以上のようにして計算された建築コストは、実際に要した建築コストと比較することにより、それぞれの単価が適切であったか否かを判定し、判定結果に応じてコスト構成表105および部位別コストテーブル106を校正することができる。このようにして、コスト構成表105および部位別コストテーブル106を校正することにより、見積の精度を高めることができる。
以上に説明したように、本発明の実施の形態によれば、建物を構成する部位を単位として数量を求め、求めた数量に単価を乗算し、建築コストを求めるようにした、このため、拾い上げの作業を行う必要がなくなるので、建築コストを計算するための時間と労力を大幅に削減することができる。
また、本発明の実施の形態によれば、部位毎に数量を求めて、部位毎の単価を乗じてコストを算出するようにした。このため、部位毎のコストとして、過去の実績を利用することにより、建築コストの見積精度を高めることができる。
また、本発明の実施の形態によれば、簡易な設計図と、図9に示すようなグレードまたはバリエーションを選択することにより、建築コストを算出することができるので、例えば、従来のように拾い上げを行う場合に比較すると、専門知識を有しない者でも簡易、かつ、正確に見積を行うことができる。
また、本発明の実施の形態によれば、部位単位で仕様の変更を行うことができるので、設計の変更が生じた場合であっても、コストを迅速かつ簡易に算出することができる。このため、ユーザのニーズに迅速に対応することができる。
また、本発明の実施の形態によれば、階層構造化された複数の内訳書と水準書とを対応付けして出力するようにしたので、各部位のコストと、水準とを照らし合わせて参照することができる。これにより、仕様とコストの両面での合意が得やすくなる。
4.他の実施の形態
なお、以上の各実施の形態は、一例であって、これ以外にも種々の変形実施態様が存在する。例えば、図1に示す例では、建築コスト見積装置10は、ネットワーク20を介してユーザ端末装置30,40と接続され、ユーザ端末装置30,40からの要求に応じて見積を行うようにしたが、例えば、建築コスト見積装置10を単独で利用可能としてもよい。すなわち、建築コスト見積装置10が入力装置および表示装置を有するようにし、入力装置から入力された情報に基づいて建築コストを計算し、表示装置に表示させるようにしてもよい。
また、以上の実施の形態では、図4に示すように、数量計算エンジン101と、コスト計算エンジン102とは同一の装置内に実装するようにしたが、これを別々の装置に実装し、一方の装置によって得られた数量に基づいて、他方の装置でコストを計算するようにしてもよい。
また、以上の実施の形態では、建物を、例えば、図5に示すような部位に分解して、コストを計算するようにしたが、これ以外の部位に分解するようにしてもよい。
また、以上の実施の形態では、3つのグレードと、5つのバリエーションに分類して、それぞれを選択するようにしたが、これ以外の分類であってもよいことはいうまでもない。
また、以上の実施の形態では、部位別内訳は6階層の情報としたが、これ以外の階層数の情報であってもよい。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、建築コスト見積装置10が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disk)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
「第2の実施の形態」
次に、本発明の建築コスト見積装置、建築コスト見積方法および建築コスト見積プログラムの第2の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、第2の実施の形態に係る建築コスト見積方法および建築コスト見積プログラムは、第2の実施の形態に係る建築コスト見積装置10の動作として説明する。また、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と共通する構成および方法については、同じ符号を用い、重複した説明を省略する。
第1の実施の形態において用いた図1〜図23については、第2の実施の形態でもそのほとんどが共通する。以下、第1の実施の形態と異なる点について、新たな図面を用いて説明する。以下の説明において特に言及しない図面およびその説明については、第1の実施の形態における説明および図面と同じである。
1. 実施の形態の構成
図24は、第2の実施の形態に係る建築コスト見積装置10においてプログラムが実行される場合に実現される機能ブロックを示す図である。図24を参照して、建築コスト見積装置10において、プログラム14−2が実行された場合に、ソフトウエアとしてのプログラム14−2と、ハードウエアとしてのCPU11その他が協働することにより実現される機能の一例について説明する。
建築コスト見積装置10に実現される機能としては、数量計算エンジン201、コスト計算エンジン202、部位別内訳203、モデル別統計値・係数204、コスト構成表205、部位別コストテーブル206、制御モジュール207、通信モジュール208、情報レベル判別エンジン210およびレベル別内訳211が存在する。これらの内、数量計算エンジン201、コスト計算エンジン202、部位別内訳203、モデル別統計値・係数204、コスト構成表205、部位別コストテーブル206、制御モジュール207および通信モジュール208は、図4に示す数量計算エンジン101、コスト計算エンジン102、部位別内訳103、モデル別統計値・係数104、コスト構成表105、部位別コストテーブル106、制御モジュール107、および通信モジュール108と、それぞれ共通するので、その説明を省略する。第2の実施の形態において第1の実施の形態と大きく異なる点は、情報レベル判別エンジン210およびレベル別内訳211が存在する点である。また、部位別内訳203には、オフィスモデル、学校モデル、病院モデルといったパッケージ化された部位群の集合のみならず、各部位の単独の情報、および各部位が特定のカテゴリー毎にまとめられた情報も存在する。特定のカテゴリーとは、例えば、省エネ材料、長寿命材料といったものである。部位別内訳203に格納されている情報は、モデルとして存在する場合には、デフォルトとして各部位およびその下層の項目の数量が既に含まれている。したがって、ユーザが各部位の数量を一つ一つ入力する必要はない。ただし、ユーザがそのデフォルトから変更することは可能である。
情報レベル判別エンジン210は、主として、CPU11とプログラム14−2との協働によって実現し、ユーザの指示に基づいて、情報量の多寡に差がある複数の情報レベルを判別する情報レベル判別手段である。ここで、ユーザの指示とは、ユーザが特定の画面から、情報量の多寡を意味する指示を直接行う場合のほか、ユーザが入力する情報量が客観的にある閾値を超えたか否か、あるいはユーザが特定の入力欄に情報を入力したか否かという間接的な指示を行う場合をも含む。ここでは、前者の直接指示を行う場合を例に説明する。
レベル別内訳211とは、情報量が少ない段階(すなわち企画レベル)、情報量が多い段階(すなわち、実施設計レベル)および企画レベルと実施設計レベルの中間の段階の基本設計レベルの3つのレベルに分けて、各レベル別に入力/出力画面およびその画面中の各項目の情報を記憶しておく記憶領域と、CPU11の命令によってその記憶領域中の一部を読み出す記憶処理手段とを意味する。記憶領域は、3つの情報レベル別に、建築条件の入力用の画面データ若しくは建築条件の表示と建築条件の入力の両方を兼ね備えた画面データを記憶する画面データ記憶手段であり、HDD14、ROM12若しくはRAM13の少なくとも1つである。記憶処理手段は、CPU11である。
ユーザがユーザ端末装置30,40からネットワーク20を介して建築コスト見積装置10に、企画レベル、基本設計レベルあるいは実施設計レベルのいずれかの情報を送ると、情報レベル判別エンジン210が、通信モジュール208を経由してその情報を受け取り、レベル別内訳211に渡す。レベル別内訳211は、情報レベル判別エンジン210からの情報に基づいて、企画レベル、基本設計レベルあるいは実施設計レベルの画面データを、通信モジュール208を経由し、ネットワーク20を介して、ユーザ端末装置30,40に送る。ここで、通信モジュール208は、制御モジュール207と共に、画面データを選択表示する画面表示手段として機能する。レベル別内訳211は、数量計算エンジン201にも、画面データを送る。その画面データには、予め入力されている情報が存在し、その情報も計算に供する必要があるからである。
2.ユーザ端末装置に表示される画面の推移
図25〜図31は、ユーザ端末装置30,40に表示される各種画面の推移の一例を示す図である。
図25は、建築コスト見積装置10にアクセスして最初に表示される画面の一例である。
図25に示す画面には、企画レベルの表示キー220と、基本設計レベルの表示キー221と、実施設計レベルの表示キー222と、取消キー223と、OKキー224とが、クリッカブルなキーとして表示される。表示キー220は、企画段階において建築条件に関する情報が比較的少ない場合に選択するキーである。表示キー221は、企画段階よりも建築条件の詳細が決定し、情報量が企画段階よりも多い基本設計段階において選択するキーである。表示キー222は、基本設計段階よりもさらに建築条件の詳細が決定し、情報量が基本設計段階よりも多い実施設計段階において選択するキーである。ユーザは、表示キー220、表示キー221、若しくは表示キー222のいずれかを選択して、OKキー224を選択指示すると、その選択された表示キーの情報が建築コスト見積装置10に送られる。また、ユーザが表示キー220、表示キー221、若しくは表示キー222のいずれかを選択して、取消キー223を選択指示すると、直前の表示キーの選択指示がクリアとなる。
図26は、図25に示す画面において企画レベルの表示キー220を選択指示し、OKキー224を選択指示した際に表示される画面の一例である。
企画レベルの表示キー220の選択指示により、情報レベル判別エンジン210は、企画レベルの画面データの表示を行うように、レベル別内訳211に、コマンドを送る。図26は、当該コマンドによって、レベル別内訳211からユーザ端末装置30,40に表示された画面の一例である。図26に示す画面には、面積を入力する欄230と、場所を入力する欄231と、建築物のグレードを選択するグレード選択キー232と、予算を入力する欄234と、取消キー235と、OKキー236とが表示される。グレード選択キー232を選択指示すると、複数のグレード選択キー233が表示される。複数のグレード選択キー233には、オフィスモデル、学校モデル、病院モデル等の部位別内訳の情報も含まれている。したがって、複数のグレード選択キー233の内の1つを選択すると、建築物の種類がオフィスなのか、学校なのか、それとも病院なのかという情報も特定される。
ユーザは、欄230に面積を、欄231に建築物を建てる場所(住所)を入力し、複数のグレード選択キー233から所望のグレードを選択し、欄234に予算を入力して、OKキー236を選択指示すると、上記入力された情報および選択された情報が建築コスト見積装置10に送られる。また、ユーザが、OKキー236ではなく、取消キー235を選択指示すると、上記入力された情報および選択された情報がクリアとなる。ただし、取消キー235を選択指示すると、途中まで入力あるいは選択された情報がクリアできるようにしても良い。
図26に示す画面の入力が完了し、OKキー236が選択指示されると、 図26に示す画面において特定された情報が数値計算エンジン201に渡される。数値計算エンジン201は、部位別内訳203から、企画レベル出力画面のデータを読み出す。企画レベル出力画面のデータは、予算の範囲別に分けて、複数種類、部位別内訳203に格納されている。この中から読み出されたデータは、すでにパッケージされたデータであり、部位別に下位の項目が仮設定された状態のデータである。また、このデータは、後述する基本設計レベルにおいて建築コストの見積を実行した際に作製されたパッケージも含む。このデータは、コスト計算エンジン202に渡される。コスト計算エンジン202は、コスト計算をせずに、これをユーザ端末装置30,40に送る。なお、欄234は必須ではなく、欄234を有しない画面であっても良い。その場合には、後述の各レベルの出力画面のデータを含めた出力画面のデータは、予算の範囲別ではなく、面積の範囲別、場所の範囲別あるいはグレード別に分けて、複数種類、部位別内訳203に格納される。
図27および図28は、それぞれ、企画レベル出力画面の一例を示す。図27は、外部仕上げに関する情報を表示した画面を、図28は、内部仕上げに関する情報を表示した画面を、それぞれ示す。
図27に示す画面では、部位の一つである「屋根屋上」240とその下層項目である仕上げの一つの「押さえコンクリート」241とが対応付けられ、その「押さえコンクリート」241とその下層項目である中間材の一つの「×××」242とが対応付けられている。さらに、「×××」242とその下層項目である雑の一つの「○○○」243とが対応付けられている。「○○○」243は、デフォルトで表示されているが、ユーザは、別の雑である「○○○」244に変更するように選択しても良い。その場合、「○○○」243の周囲の太枠は、その下方にある「○○○」244に移る。また、部位の一つである「外壁」250とその下層項目である仕上げの一つの「タイル貼り」251とが対応付けられ、その「タイル貼り」251とその下層項目の「△△△△」252とが対応付けられている。なお、上記部位は、一例に過ぎず、その他に、例えば、仮設、構造、設備、外構に関する項目も入力可能に表示される。
図27に示す画面には、戻るキー255、取消キー256およびOKキー257がクリッカブルな状態で表示されている。外部仕上げの項目に変更がなければ、ユーザはOKキー257を選択指示する。その選択指示により、数量計算エンジン201は、企画レベル出力画面のデータの一部である内部仕上げに関する情報を表示した画面のデータを、ユーザ端末装置30,40に送る。一方、取消キー256を選択指示すると、ユーザが変更した項目がデフォルト状態の表示に戻る。また、戻るキー255を選択指示すると、図26に示す画面に戻る。
OKキー257を選択した場合、ユーザ端末装置30,40に、図28に示す画面が表示される。図28に示す画面では、部屋の一つである「一般事務室」260とその下層項目である種別の一つの「A」261とが対応付けられ、その「A」261とその詳細項目である床・壁・天井の情報262とが対応付けられている。また、部屋の一つである「会議室」270とその下層項目である種別の一つの「B」271とが対応付けられ、その「B」271とその詳細項目である床・壁・天井の情報272とが対応付けられている。「床・壁・天井」の情報262では、床、壁、天井の材料等が特定されている。同様に、「床・壁・天井」の情報263でも、床、壁、天井の材料等が特定されている。すなわち、内部仕上げに関しては、すでに、各部屋別に、種別が固定されており、ユーザが変更あるいは選択する余地はない。ただし、図27に示す画面と同様に、一部の情報のみを選択・変更可能にしてもよい。例えば、「一般事務室」260と「会議室」270の情報については固定され、それ以外の部屋の情報については、一部を選択・変更可能にすることができる。
図28に示す画面には、戻るキー275、取消キー276およびOKキー277がクリッカブルな状態で表示されている。内部仕上げの項目に変更がなければ、ユーザはOKキー277を選択指示する。その選択指示により、数量計算エンジン201は、外部仕上げの情報と内部仕上げの情報を確定し、数量計算を行い、コスト計算エンジン202に送る。それ以降は、第1の実施の形態と同様の処理を行う。こうして、ユーザ端末装置30,40には、建築コストの見積もり表示が行われる。一方、取消キー276が選択指示されると、ユーザが選択・変更した情報がデフォルトの状態に戻る。また、戻るキー275が選択指示されると、図27に示す画面に戻る。
図29は、図25に示す画面において基本設計レベルの表示キー221を選択指示し、OKキー224を選択指示した際に表示される画面の一例である。
基本設計レベルの表示キー221の選択指示により、情報レベル判別エンジン210は、基本設計レベルの画面データの表示を行うように、レベル別内訳211に、コマンドを送る。図29は、当該コマンドによって、レベル別内訳211からユーザ端末装置30,40に表示された画面の一例である。図29に示す画面は、図26に示す画面と共通する。したがって、図29に示す画面の表示に関する説明は省略する。
ユーザは、欄230に面積を、欄231に建築物を建てる場所(住所)を入力し、複数のグレード選択キー233から所望のグレードを選択し、欄234に予算を入力し、OKキー236を選択指示すると、上記入力された情報および選択された情報が建築コスト見積装置10に送られる。また、ユーザが、OKキー236ではなく、取消キー235を選択指示すると、上記入力された情報および選択された情報がクリアとなる。ただし、取消キー235を選択指示すると、途中まで入力あるいは選択された情報がクリアできるようにしても良い。
図29に示す画面の入力が完了し、OKキー236が選択指示されると、 図29に示す画面において特定された情報が数値計算エンジン201に渡される。数値計算エンジン201は、部位別内訳203から、基本設計レベル出力画面のデータを読み出す。この読み出されたデータは、すでにいくつかの選択肢を有するパッケージされたデータであり、部位別に下位の項目が仮設定された状態のデータである。このデータは、コスト計算エンジン202に渡される。コスト計算エンジン202は、コスト計算をせずに、これをユーザ端末装置30,40に送る。
図30および図31は、それぞれ、基本設計レベル出力画面の一例を示す。図30は、外部仕上げに関する情報を表示した画面を、図31は、内部仕上げに関する情報を表示した画面を、それぞれ示す。図30に示す画面と図27に示す画面との違い、あるいは図31に示す画面と図28に示す画面との違いは、図30および図31は、項目毎の選択肢が多く、またユーザが直接入力する欄も多いことである。基本設計の段階になると、企画の段階に比べて、ユーザが持っている建築の条件に関する情報が多い。このため、多くの情報に対応して見積もりを出力できるようにする必要から、項目毎の選択肢が多く、またユーザが直接入力する欄も多くなっている。
図30に示す画面では、部位の一つである「屋根屋上」280とその下層項目である仕上げの一つの「押さえコンクリート」281とが対応付けられ、その「押さえコンクリート」281とその下層項目である中間材の一つの「×××」282とが対応付けられている。さらに、「×××」282とその下層項目である雑の一つの「○○○」283とが対応付けられている。「押さえコンクリート」281、「×××」282および「○○○」283は、デフォルトで表示されているが、ユーザは、別の仕上げである「防水シート」284を選択しても良い。その場合、「押さえコンクリート」281の周囲の太枠は、その下方にある「防水シート」284に移る。また、ユーザは、中間材として、「×××」285を選択しても良い。その場合、「×××」282の周囲の太枠は、その下方にある「×××」285に移る。また、ユーザは、雑として、「○○○」286を選択しても良い。その場合、「○○○」283の周囲の太枠は、その下方にある「○○○」286に移る。 図30に示す画面において、仕上げおよび中間材の各選択肢の中には、直接入力できる空欄287および空欄288も存在する。ユーザは、空欄287,288に、自分の好みの情報を入力できる。空欄287および空欄288に直接入力した場合、その入力された項目に関する費用等の情報は、ネットワーク20を介して外部から取得することができる。後述する実施設計レベルにおいて、空欄に直接入力した場合も同様である。
また、図30に示す画面では、部位の一つである「外壁」290とその下層項目である仕上げの一つの「タイル貼り」291とが対応付けられ、その「タイル貼り」291とその下層項目の「△△△△」292とが対応付けられている。「タイル貼り」291および「△△△△」292は、デフォルトで表示されているが、ユーザは、別の仕上げである「カーテンウオール」294を選択しても良い。その場合、「タイル貼り」291の周囲の太枠は、その下方にある「カーテンウオール」294に移る。また、ユーザは、「△△△△」293を選択しても良い。その場合、「△△△△」292の周囲の太枠は、その下方にある「△△△△」293に移る。また、図30に示す画面において、仕上げの選択肢の中には、直接入力できる空欄295も存在する。ユーザは、空欄295に、自分の好みの情報を入力できる。なお、図30に示す画面に、数量を入力する欄を設けても良い。
「外壁」290には、そこにポインティングデバイスの指示を行うと、吹き出し部分290aが表示される。吹き出し部分290aには、「省エネ材料」、「長寿命材料」という項目が存在する。例えば、ユーザが「省エネ材料」という項目を選択すると、仕上げおよびその下層のバリエーションが、省エネ材料という集合に属する材料に変更表示される。一方、ユーザが吹き出し部分290aの各項目を選択指示しないと、図30に示す画面の表示は、元のままである。この表示変更は、次のような処理によって実現される。ユーザが吹き出し部分290aのある項目を選択指示すると、その選択指示された情報は、通信モジュール208を経由して、数量計算エンジン201に渡される。数量計算エンジン201には、部位別内訳203から、その選択指示されたカテゴリーに属する仕上げおよびその下層のバリエーションの情報が渡される。仕上げおよびその下層のバリエーションの情報は、通信モジュール208を経由して、ユーザ端末装置30,40に表示される。よりハードウェアの処理の観点から説明すれば、CPU11が、HDD14、RAM13若しくはROM12の少なくともいずれか1つの記憶媒体(メモリ)から、ユーザが選択指示したカテゴリーに属する情報を読み出して、それをユーザ端末装置30,40に向けて送信する。なお、上述の吹き出し部分290aと同様の吹き出し部分は、図30に示す画面内の他の部位、例えば「屋根屋上」280にて表示されるようにしても良い。また、企画レベルあるいは実施設計レベルで表示される画面にて、吹き出し部分の表示がされても良い。
図30に示す画面には、戻るキー296、取消キー297およびOKキー298がクリッカブルな状態で表示されている。外部仕上げの項目に変更がなければ、ユーザはOKキー298を選択指示する。その選択指示により、数量計算エンジン201は、基本設計レベル出力画面のデータの一部である内部仕上げに関する情報を表示した画面のデータを、ユーザ端末装置30,40に送る。一方、取消キー297を選択指示すると、ユーザが変更した項目がデフォルト状態の表示に戻る。また、戻るキー296を選択指示すると、図29に示す画面に戻る。
OKキー298を選択した場合、ユーザ端末装置30,40に、図31に示す画面が表示される。図31に示す画面では、部屋の一つである「一般事務室」300とその下層項目である種別(床・壁・天井)の「A」301、「B」302、「C」303とが対応付けられている。「A」301は、その詳細項目である内部雑304,305に対応付けられている。「A」301および内部雑304は、デフォルトで表示されているが、ユーザは、「A」301と対応付けられている別の内部雑305を選択しても良い。その場合、内部雑304の周囲の太枠は、その下方にある別の内部雑305に移る。さらに、ユーザは、「B」302あるいは「C」303を選択しても良い。その場合、「A」301の周囲の太枠は、その下方にある「B」302あるいは「C」303に移る。内部雑の表示も、「B」302あるいは「C」303に対応した表示となる。また、内部雑の選択肢の中には、直接入力できる空欄306も存在する。ユーザは、空欄306に、自分の好みの情報を入力できる。
図31に示す画面には、部屋の一つである「会議室」310とその下層項目である種別(床・壁・天井)の「A」311、「B」312、「C」313、「D」314とが対応付けられている。「B」312は、その詳細項目である内部雑315,316に対応付けられている。「B」312および内部雑315は、デフォルトで表示されているが、ユーザは、「B」312と対応付けられている別の内部雑316を選択しても良い。その場合、内部雑315の周囲の太枠は、その下方にある別の内部雑316に移る。さらに、ユーザは、「A」311、「C」313あるいは「D」314を選択しても良い。その場合、「B」312の周囲の太枠は、「A」311、「C」313あるいは「D」314に移る。内部雑の表示も、「A」311、「C」313あるいは「D」314に対応した表示となる。また、内部雑の選択肢の中には、直接入力できる空欄317も存在する。ユーザは、空欄317に、自分の好みの情報を入力できる。
図31に示す画面には、戻るキー325、取消キー326およびOKキー327がクリッカブルな状態で表示されている。内部仕上げの項目に変更がなければ、ユーザはOKキー327を選択指示する。その選択指示により、数量計算エンジン201は、外部仕上げの情報と内部仕上げの情報を確定し、数量計算を行い、コスト計算エンジン202に送る。それ以降は、第1の実施の形態と同様の処理を行う。こうして、ユーザ端末装置30,40には、建築コストの見積もり表示が行われる。一方、取消キー326が選択指示されると、ユーザが選択・変更した情報がデフォルトの状態に戻る。また、戻るキー325が選択指示されると、図30に示す画面に戻る。
図32は、図25に示す画面において実施設計レベルの表示キー222を選択指示し、OKキー224を選択指示した際に表示される画面の一例である。
実施設計レベルの表示キー222の選択指示により、情報レベル判別エンジン210は、実施設計レベルの画面データの表示を行うように、レベル別内訳211に、コマンドを送る。図32は、当該コマンドによって、レベル別内訳211からユーザ端末装置30,40に表示された画面の一例である。図32に示す画面は、図26あるいは図29に示す各画面と共通する。したがって、図32に示す画面の表示に関する説明は省略する。
ユーザは、欄230に面積を、欄231に建築物を建てる場所(住所)を入力し、複数のグレード選択キー233から所望のグレードを選択し、欄234に予算を入力して、OKキー236を選択指示すると、上記入力された情報および選択された情報が建築コスト見積装置10に送られる。また、ユーザが、OKキー236ではなく、取消キー235を選択指示すると、上記入力された情報および選択された情報がクリアとなる。ただし、取消キー235を選択指示すると、途中まで入力あるいは選択された情報がクリアできるようにしても良い。
図32に示す画面の入力が完了し、OKキー236が選択指示されると、 図32に示す画面において特定された情報が数値計算エンジン201に渡される。数値計算エンジン201は、部位別内訳203から、実施設計レベル出力画面のデータを読み出す。この読み出されたデータは、すでにいくつかの選択肢を有するパッケージされたデータであり、部位別に下位の項目が仮設定された状態のデータである。このデータは、コスト計算エンジン202に渡される。コスト計算エンジン202は、コスト計算をせずに、これをユーザ端末装置30,40に送る。
図33は、実施設計レベル出力画面の一例を示す。図33に示す画面と図30,31に示す画面との違いは、図33は、項目毎の選択肢が多く、またユーザが直接入力する欄も多いことである。実施設計の段階になると、企画あるいは基本設計の段階に比べて、ユーザが持っている建築の条件に関する情報がより多くなる。このため、多くの情報に対応して見積もりを出力できるようにする必要から、項目毎の選択肢が多く、またユーザが直接入力する欄も多くなっている。
図33に示す画面には、部位の大項目の一つである「屋根屋上」350に、「屋上床」351、「5階床」381、「ハト小屋」382、「機械基礎」383等の小項目(あるいは中項目)が対応付けられている。「屋上床」351には、その下層項目である仕上げとして、「押さえコンクリート」352、「○○○」354、「○○○」354が対応付けられている。さらに、「押さえコンクリート」352には、その下層項目であるバリエーションとして、「△△△」353、「△△△」355、「△△△」355、「△△△」355が対応付けられている。「押さえコンクリート」352および「△△△」353は、デフォルトで表示されているが、ユーザは、別の仕上げである「○○○」354を選択しても良い。その場合、「押さえコンクリート」352の周囲の太枠は、その下方にある「○○○」354に移る。また、ユーザは、「△△△」355を選択しても良い。その場合、「△△△」353の周囲の太枠は、その下方にある「△△△」355に移る。また、「屋上床」351において、仕上げおよびバリエーションの各選択肢の中には、それぞれ、直接入力できる空欄356および空欄357も存在する。ユーザは、空欄356あるいは空欄357に、自分の好みの情報を入力できる。
また、「屋上床」351には、仕上げの下層項目である中間材として、「×××」362、「×××」364、「×××」364が対応付けられている。さらに、「×××」362には、その下層項目であるバリエーションとして、「□□□」363、「□□□」365、「□□□」365が対応付けられている。「×××」362および「□□□」363は、デフォルトで表示されているが、ユーザは、別の中間材である「×××」364を選択しても良い。その場合、「×××」362の周囲の太枠は、その下方にある「×××」364に移る。また、ユーザは、「□□□」365を選択しても良い。その場合、「□□□」363の周囲の太枠は、その下方にある「□□□」365に移る。また、「屋上床」351において、中間材およびバリエーションの各選択肢の中には、それぞれ、直接入力できる空欄366および空欄367も存在する。ユーザは、空欄366あるいは空欄367に、自分の好みの情報を入力できる。
また、「屋上床」351には、中間材の下層項目である雑として、「▽▽▽」372、「▽▽▽」373が対応付けられている。「▽▽▽」372は、デフォルトで表示されているが、ユーザは、別の雑である「▽▽▽」373を選択しても良い。その場合、「▽▽▽」372の周囲の太枠は、その下方にある「▽▽▽」373に移る。また、「屋上床」351において、雑の選択肢の中には、直接入力できる空欄374も存在する。ユーザは、空欄374に、自分の好みの情報を入力できる。なお、図33に示す画面に、数量を入力する欄を設けても良い。
図33には、図示されていないが、「5階床」381、「ハト小屋」382、「機械基礎」383にも、「屋上床」351と同様の下層項目が対応付けられている。さらに、「屋根屋上」350以外の大項目も存在する。ユーザは、全ての項目に対して選択あるいは入力を完了すると、図示されないOKキーを選択指示する。その選択指示により、数量計算エンジン201は、外部仕上げの情報と内部仕上げの情報を確定し、数量計算を行い、コスト計算エンジン202に送る。それ以降は、第1の実施の形態と同様の処理を行う。こうして、ユーザ端末装置30,40には、建築コストの見積もり表示が行われる。一方、図33に図示されない取消キーが選択指示されると、ユーザが選択・変更した情報がデフォルトの状態に戻る。また、図33に図示されない戻るキーが選択指示されると、図32に示す画面に戻る。なお、上記部位は、一例に過ぎず、その他に、例えば、仮設、構造、設備、外構に関する項目も入力可能に表示される。
3.第2の実施の形態の詳細動作
次に、建築コスト見積装置10のコスト算定までの処理動作について説明する。
図34は、当該処理動作のフローチャートの一例である。
通信モジュール208は、ユーザ端末装置30,40からネットワーク20を介して用途、情報レベルを受け付ける(ステップS401,S402)。数量計算エンジン201は、通信モジュール208からの情報を受け取り、部位別内訳203から用途の選択を行う(S403)。また、情報レベル判別エンジン210は、通信モジュール208からの情報を受け取り、情報レベルの判別を行う(ステップS404)。ステップS404において、「A」とは企画レベルを、「B」とは基本設計レベルを、「C」とは、実施設計レベルを意味する。レベル別内訳211は、ステップS404による判別情報に基づいて、「A」なら、企画レベルの画面データを数量計算モジュール201に渡す。通信モジュール208は、コスト計算エンジン202を経由して、企画レベルの当該画面データを表示可能な状態でユーザ端末装置30,40に送る(ステップS405)。また、レベル別内訳211は、ステップS404による判別情報に基づいて、「B」なら、基本設計レベルの画面データを数量計算モジュール201に渡す。通信モジュール208は、コスト計算エンジン202を経由して、基本設計レベルの当該画面データを表示可能な状態でユーザ端末装置30,40に送る(ステップS406)。さらに、レベル別内訳211は、ステップS404による判別情報に基づいて、「C」なら、実施設計レベルの画面データを数量計算モジュール201に渡す。通信モジュール208は、コスト計算エンジン202を経由して、実施設計レベルの当該画面データを表示可能な状態でユーザ端末装置30,40に送る(ステップS407)。
続いて、通信モジュール208は、ユーザ端末装置30,40からの条件情報を受け付け(ステップS408,S409,S410)、ユーザからの変更を受け付けたか否かを判別する(ステップS411)。ステップS411においてYESの場合には、通信モジュール208は、変更事項を特定する(ステップS412)。一方、ステップS411においてNOの場合には、図13に示すステップS30〜ステップS37を実行する。実施設計レベルの見積もりの際には、各部位を用いた構造計算を行う。コストは、その構造計算に基づいた額として、1つ若しくは複数出力される。こうして、建築コストの見積処理が終了する。
上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、建築コスト見積装置10が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。かかる内容は、第1の実施の形態と共通するので、重複した説明は省略する。
「第3の実施の形態」
次に、本発明の建築コスト見積装置、建築コスト見積方法および建築コスト見積プログラムの第3の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、第3の実施の形態に係る建築コスト見積方法および建築コスト見積プログラムは、第3の実施の形態に係る建築コスト見積装置10の動作として説明する。また、第3の実施の形態において、第1の実施の形態および第2の実施の形態と共通する構成および方法については、同じ符号を用い、重複した説明を省略する。
第3の実施の形態において、図1〜図34については共通する。以下、第1の実施の形態および第2の実施の形態と異なる点について、新たな図面を用いて説明する。以下の説明において特に言及しない図面およびその説明については、第1の実施の形態および第2の実施の形態における説明および図面と同じである。
図24に示す建築コスト見積装置10は、第3の実施の形態に係る建築コスト見積装置と共通の装置である。ただし、以下に説明する内容は、第3の実施の形態に独自の構成および処理である。
図35は、内部仕上げに属する「床」の構成を示すデータシート500である。図36は、床を構成する各構成部毎の複合単価について説明する図である。
床のように複数の構成部から成る部位の場合には、その費用は、当該複数の構成部毎の複合単価の合計により決定される。例えば、データシート500上の床は、タイル仕上げ(A)、下地モルタル(B)、アスファルト防水(C)およびシンダーコンクリート(D)から構成される。タイル仕上げ(A)、下地モルタル(B)、アスファルト防水(C)およびシンダーコンクリート(D)の複合単価は、図36に示すように、それぞれ材料費、労賃およびその他から
構成される。したがって、床の部位別コストは、タイル仕上げ(A)の複合単価(X1+Y1+Z1)と、下地モルタル(B)の複合単価(X2+Y2+Z2)と、アスファルト防水(C)の複合単価(X3+Y3+Z3)と、シンダーコンクリート(D)の複合単価(X4+Y4+Z4)との合計額となる。また、各部位の工種別仕様(材料、施行、その他の詳細情報)のデータについては、例えば、部位別内訳203、レベル別内訳211に格納されており、部位別コストと対応してユーザに出力される。この出力は、例えば、コスト計算エンジン202が、その機能の一つとして実行する。
上記のような部位別コストの構成は、床に限らず、複数の構成部からなるあらゆる部位に共通する。図24に示す建築コスト見積装置10の部位別コストテーブル206には、上述の複合単価およびその複合単価を構成する材料費、労賃およびその他の費用が含まれている。コスト計算エンジン202は、当該複合単価およびそれを構成する各費用を用いて、コストを計算する。上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、建築コスト見積装置10が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。かかる内容は、第1の実施の形態および第2の実施の形態と共通するので、重複した説明は省略する。