以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。
1.建物情報提供装置の全体構成
図1は、本発明の実施の形態に係る建物情報提供装置1においてプログラムが実行される場合に実現される機能ブロックを示す図である。図1を参照して、建物情報提供装置10において、ソフトウェアとしてのコンピュータ・プログラムが実行された場合に、当該コンピュータ・プログラムと、ハードウエアとしてのCPUその他が協働することにより実現される機能の一例について説明する。
この実施の形態において、建物情報提供装置1は、通信回線網を介して外部のコンピュータと通信可能なコンピュータである。ただし、建物情報提供装置1を、スタンド・アローン型のコンピュータとしても良い。
建物情報提供装置1は、通信モジュール10と、入力情報受付部11と、コストテーブル12と、規定データ記憶部13と、入力画面データ記憶部14と、パッケージ情報記憶部15と、グループデータ記憶部20と、判断部21と、情報作成部22と、出力部23と、変更受付部24と、変更実行部25とを備える。
通信モジュール10は、外部の通信可能なコンピュータ(例えば、インターネットを介して通信可能なクライアント端末)と通信するための構成部分である。
入力情報受付部11は、当該クライアント端末から、外部の建築対象の建物に関する入力情報を受け付ける入力情報受付手段として機能する。
コストテーブル12は、建物を建築するために項目分けされた部位、建物の構成材料、建物内の設備、建物を建築する土地、構成材料のコスト、設備のコストおよび土地のコストを少なくとも記憶する単価情報記憶手段として機能する構成部分である。ここで、「部位」とは、建物の所定の箇所の意味ではなく、建物の構造上のユニットを建築作業の観点からまとめた単位を意味する。「部位」は、大分類、中分類のように階層をもってまとめられている。具体的には、例えば、大分類としては、「共通仮設」、「直接仮設」、「土木・地業」、「地下躯体」、「地上躯体」、「外部仕上げ」、「内部仕上げ」、「設備」という部位がある。「共通仮設」には、「共通仮設」と「特殊仮設」という中分類がある。「土木・地業」には、「土木」と「山留・桟橋」という中分類がある。「地下躯体」には、「杭・地業」、「基礎」、「地中梁」、「耐圧版」、「地下階柱」、「地下階大梁」、「地下階小梁」、「地下階床」、「地下階壁」および「地下階雑」という中分類がある。「地上躯体」には、「柱」、「大梁」、「小梁」、「床」、「壁」および「雑」という中分類がある。「外部仕上げ」には、「屋根・屋上」、「外壁」、「外部開口部」、「外部天井」、「バルコニー」、「外部床」および「外部雑」という中分類がある。「内部仕上げ」には、「内部床」、「内部壁」、「内部天井」、「内部開口部」、「中間材」および「内部雑」という中分類がある。「設備」には、「機械設備」、「電気設備」、「空調換気排煙設備」、「給排水衛生設備」などの中分類がある。その他、各中分類には、より詳細な小分類がある。なお、上記大分類、中分類は、一例に過ぎず、部位を、どのような大分類や中分類に分けても良い。
規定データ記憶部13は、建物の仕様、部位の種類およびその数量、構成材料の種類およびその数量、設備の種類およびその数量、および建物の建築コストなどの情報を設計基準および/または統計にもとづき規定する規定データを記憶する規定データ記憶手段として機能する構成部分である。規定データ記憶部13には、オフィス、学校、病院等のような建物の種類(モデル)毎に、統計値および係数が記憶されている。ここで、統計値とは、各モデルを構成する部位毎の単価の分布状況を示す情報である。例えば、オフィスを例にとると、統計値は、オフィスを構成する躯体、外壁、各部屋の壁・床の部材、およびそれらが複数の構成部材から成る場合には各構成部材の単価が個々のオフィスによってバラツキがある場合、そのバラツキを統計処理したときの値を意味する。また、係数とは、単価から建築コストを算出する際に参照される、モデル毎の調整用の数値である。規定データ記憶部13は、上記統計値、係数の他に、構成材料あるいは設備の数または形態を計算する上で必要な設計上の計算式、そのような計算式を定める上で必要な法規上の条件式も記憶している。例えば、特定の耐震性を具備する建物を建てる場合には、構成材料の一例である鉄筋の数、その鉄筋の太さがどの程度必要かを計算するための計算式が規定データ記憶部13に記憶されている。
入力画面データ記憶部14は、外部のクライアント端末に対して、建物を建てる際の条件(コスト、場所、大きさ等)を入力するための入力画面のデータを記憶している構成部分である。入力画面データ記憶部14は、さらに、クライアント端末からの要求に応じて表示可能な1または複数種の画面データも記憶している。
パッケージ情報記憶部15は、建物の仕様、部位の種類およびその数量、構成材料の種類およびその数量、設備の種類およびその数量、および建物の建築コストを含む情報を少なくとも組み合わせたパッケージ情報を、入力情報の多寡によって複数のフォルダに分類して記憶するパッケージ情報記憶手段として機能する構成部分である。例えば、パッケージ情報記憶部15は、入力される情報が最も少ないときにアクセスするファイルとして予算レベルフォルダ16を有し、その次に当該情報が少ないときにアクセスするファイルとして企画レベルフォルダ17を有し、その次に当該情報が少ないときにアクセスするファイルとして基本設計レベルフォルダ18を有し、最も当該情報が多いときにアクセスするファイルとして実施設計レベルフォルダ19を有する。これら4種のファイル16,17,18,19中の各情報については、図3を参照しながら後述する。
グループデータ記憶部20は、少なくとも建物の仕様、建物の構成材料および建物内の設備の項目を記憶するとともに、当該項目の内の複数の特定の項目をグループ化して記憶するグループデータ記憶手段として機能する構成部分である。ここで、グループは、次の2通りの観点で形成されている。
1つは、建物を構成している構成材料(外壁の材料、断熱材の材料など)のグレードに基づき形成されている。グレードとは、品質の程度を表す尺度を意味する。グレードは、A、BおよびCの3種類に分けられている。例えば外壁の材料に代表される構成材料、あるいはトランスに代表される設備などは、上記いずれかのグレードに分類されている。したがって、例えば、グレードAを指示すると、そのグレードAというグループに分類されている構成材料や設備が自動的に選出される。他のグレードを指示した場合にも同様である。
もう1つは、設計上関係のある特定の項目(建物の仕様、建物の構成材料および建物内の設備)で形成されている。例えば、建物の仕様という項目に属する「部屋」と設備という項目に属する「エアコン」は、設計上関係のある項目同士であるものとして、同じグループに属する。同じ建物の使用という項目である「部屋」と「窓」も同様に、同じグループに属する。さらに、同じ設備という項目に属する「特高受電」と「乾式トランス」も同じグループに属する。この結果、クライアント端末において、例えば、部屋の数の変更を入力すると、部屋の数のみならず、窓およびエアコンの数も自動的に変更できる。
さらに、グループデータ記憶部20では、複数の階層に分けて、建物の仕様、建物の構成材料および建物内の設備がファイルされている。例えば、「空調換気排煙設備」という階層は、「エアコン」の階層より上位に位置する。また、建物の仕様は、構成材料や設備と比べて一段高い階層に属するようにしている。さらに、グループデータ記憶部20は、建物の各部位を、上位の階層から下位の階層に向かって、「大項目」、「中項目」、「小項目」等に分けて記憶するとともに、いずれかの部位内の構成材料(モルタル、鋼材等)を記憶している。このため、各部位同士、各構成材料同士、各設備同士の上位および下位が区別でき、かつ構成材料や設備が建物の仕様よりも下位に位置することがわかるようになっている。変更を受け付けた項目と同一若しくはより低い階層に属する項目のみを変更するようにしておくと、エアコンと部屋が同じグループに属する場合において、部屋の数を変更したときにはエアコンの数も変更される。しかし、エアコンの数を変更したときには、それより上位の階層に属する部屋の数は変更されない。
判断部21は、入力情報の多寡に応じて、パッケージ情報記憶部15内のどのフォルダ16,17,18,19にアクセスするかを判断する判断手段として機能する構成部分である。判断部21は、情報量の閾値を複数段階有しており、外部からの入力情報がどの閾値の間、あるいはどの閾値以下若しくは以上であるかを判断した上で、パッケージ情報記憶部15内のフォルダ16,17,18,19を選択し、特定のフォルダからデータを読み出すことを可能にする。
情報作成部22は、判断部21による判断に基づいて、複数のフォルダ内の特定のフォルダにアクセスすると共に、コストテーブル12および規定データ記憶部13にアクセスし、入力情報を満足する1種若しくは複数種の建物設計情報を作成する情報作成手段として機能する構成部分である。情報作成部22は、各部位別にコストを算出し、そのコストを積算した建築コストを算出し、建物の構成部材や設備の数量等を計算することができる。
出力部23は、入力情報受付部11によって入力情報が受け付けられると、入力画面データ記憶部14内の入力画面データの中から適切な入力画面データを読み出し、通信モジュール10を経由して、これをクライアント端末に送信する。出力部23は、予算レベルの入力の場合には、予算レベルの入力画面を、企画レベルの入力の場合には、企画レベルの入力画面を送信する。出力部23は、情報作成部22により作成された建物設計情報を出力する建物設計情報出力手段として機能する構成部分、および変更実行部25により変更された項目を出力する変更項目出力手段として機能する構成部分である。
変更受付部24は、クライアント端末側から、出力された建物設計情報の内の一部若しくは全部の変更を受け付ける変更受付手段として機能する構成部分である。
変更実行部25は、変更受付部24が変更を受け付けると、その変更に関わるグループ内の項目の情報を、少なくとも規定データ記憶部13内の規定データを参照して変更する変更実行手段として機能する構成部分である。変更実行部25の処理には、情報作成部22における建物設計情報の作成におけるあらゆる処理も含まれる。したがって、変更実行部25は、数量やコストの計算も行うことができる。ただし、変更実行部25に情報作成部22としての機能を持たせずに、変更実行部25が、情報作成部22にコマンドを送り、情報作成部22に対して数量やコストの計算を行わせるようにしても良い。また、選択により、以下の変更の一つあるいは全部を実行できる。変更受付部24が複数の変更を受け付けた場合には、変更実行部25は、その変更の順番に従って、その受け付けた項目の変更以外に、当該項目と同じグループに属する他の項目の情報をも変更することができる。また、変更実行部25は、変更を受け付けた項目と同一若しくはそれよりも低い階層に属する項目のみを変更することができる。さらに、入力情報が建築コストを含む場合、変更受付部24によって受け付けられた変更に基づく建築コストが入力情報内の建築コストを上回るときには、変更実行部25は、その変更を実行しない。
図2は、建物情報提供装置1のハード構成を示す概略図である。
建物情報提供装置1は、CPU(Central Processing Unit)30、ROM(Read Only Memory)31、RAM(Random Access Memory)32、HDD(Hard Disk Drive)33、I/F(Interface)34およびバス35を主に備える。CPU30は、HDD33に格納されているOS(Operating System)33aおよびコンピュータ・プログラム(以後、単に、プログラムという)33bに基づいて建物情報提供装置1の各部を制御するとともに、各種演算処理を実行する。
ROM31は、CPU30が実行する基本的な制御プログラムを格納している半導体メモリである。RAM32は、CPU30が実行する各種プログラムおよびデータを一時的に格納する半導体メモリである。
HDD33は、磁気記憶媒体としてのハードディスクに情報を磁気的に記録する装置である。HDD33は、OS33aおよびプログラム33bを格納している。OS33aは、複数のアプリケーションプログラムから共通して利用される基本的な機能を提供し、コンピュータシステム全体を管理するソフトウエアである。プログラム33bは、建物情報提供装置1として建物情報を提供する機能を実現するためのものである。すなわち、ソフトウエアとしてのプログラム33bと、ハードウエアとしてのCPU30その他の構成が協働することにより、図1に示す各構成部の機能その他が実現される。
I/F34は、CPU30がネットワーク40を介して情報を送受信する際に、プロトコルの変換処理等を実行する。バス35は、CPU30、ROM31、RAM32、HDD33、およびI/F34を相互に接続し、これらの間で情報の授受を可能とするための信号線群である。
先に説明した通信モジュール10の機能は、主にI/F34とプログラム33bによって実現される。入力情報受付部11、判断部21、情報作成部22、出力部23、変更受付部24および変更実行部25の各機能は、主にプログラム33bとCPU30によって実現される。コストテーブル12、規定データ記憶部13、入力画面データ記憶部14、パッケージ情報記憶部15、およびグループデータ記憶部20は、主にプログラム33b、プログラム33b格納領域以外のHDD33の記憶領域、RAM32によって実現される。
2.主なフォルダ・ファイルの構成
図3は、パッケージ情報記憶部15内の4種類のフォルダ(予算レベルフォルダ16、企画レベルフォルダ17、基本設計レベルフォルダ18および実施設計レベルフォルダ19)に格納されるデータを説明するための模式図である。
「予算レベル」は、建物を建てる最も初期の段階であって予算およびそれと同等レベルの条件(建てる場所、建物のおおよその規模など)しか決まっていないレベルを意味する。「企画レベル」は、予算レベルより一段階進んだレベルであって、建物の大雑把な図面ができているレベルを意味する。「基本設計レベル」は、企画レベルより具体的な条件が揃っている段階であって、基本的な設計がある程度完了しているレベルである。「実施設計」は、建築の実施段階に要する詳細事項が揃っているレベルを意味する。
したがって、「予算レベル」、「企画レベル」、「基本設計レベル」、「実施設計レベル」の順に、入力できる情報量が多くなる。このため、入力できる情報量が少ない段階ほど、情報を補填しないと、建物の情報(コスト含む)を提示できない。このため、実施設計レベルフォルダ19、基本設計レベルフォルダ18、企画レベルフォルダ17、予算レベルフォルダ16となるほど、デフォルトで用意しておく情報量を徐々に多くしている。すなわち、実施設計レベルフォルダ19、基本設計レベルフォルダ18、企画レベルフォルダ17、予算レベルフォルダ16の順に、構成材料、設備、それらの数やコストなどをパッケージ化したデフォルトの情報(D)の割合を高くしている。逆に、入力情報(I)で埋める部分は、実施設計レベルフォルダ19、基本設計レベルフォルダ18、企画レベルフォルダ17、予算レベルフォルダ16の順に、少なくなる。一例を挙げると、実施設計レベルフォルダ19は、10%のデフォルトの情報(D)と90%の入力情報(I)で埋める部分(空欄)から成る。基本設計レベルフォルダ18は、40%のデフォルトの情報(D)と60%の入力情報(I)で埋める部分(空欄)から成る。企画レベルフォルダ17は、75%のデフォルトの情報(D)と25%の入力情報(I)で埋める部分(空欄)から成る。予算レベルフォルダ16は、95%のデフォルトの情報(D)と5%の入力情報(I)で埋める部分(空欄)から成る。
図4は、グループデータ記憶部20に格納されているデータファイル50,60の一例である。
グループデータ記憶部20内のデータファイル50は、建物の仕様を階層化したファイルである。建物の仕様は、「構造」51、「階数」52、「建築面積」53、「延床面積」54、「部屋数」55等の複数の項目(大項目)から成る。例えば、「構造」51という項目の下位には、「RC造1.25」56および「RC造1.00」57という項目(小項目)がリンクされている。「階数」52、「建築面積」53、「延床面積」54、「部屋数」55にも、同様の下位の項目がリンクされている。ここで、グループデータ記憶部20における「項目」とは、1つあるいは複数階層に配置される建物の仕様、建物の構成材料および建物内の設備を少なくとも含むものをいう。
また、「RC造1.25」56および「RC造1.00」57という項目には、グレード別に分けられたグループを表す記号(この実施の形態では、A、B、Cの3種類)58が付されている。さらに、「階数」52、「建築面積」53、「延床面積」54、「部屋数」55という各項目には、設計上関連のあるものをグループ別に分類して示す符号(例えば、p,h)が付されている。この実施の形態では、「階数」52、「延床面積」54、「部屋数」55には、「p」という設計上関連のあるグループに属することを示す符号が付されている。
グループデータ記憶部20内のデータファイル60は、建物の構成材料および設備を部位別に分けて階層化したファイルである。建物の部位は、「共通仮設」、「直接仮設」、「土木・地業」、「地下躯体」、「地上躯体」、「外部仕上げ」、「設備」61等の複数の項目から成る。ここでは、これらの部位別の項目の内、「設備」61について、その下位の項目を紹介する。「設備」61の下位には、「電気」62、「給排水衛生」、「空調換気排煙」63等の複数の設備の項目が存在する。「電気」62の下位には、「受変電」64、「幹線」、「通信」65等の複数の設備の項目が存在する。「受変電」64の下位には、「受電方式」66、「トランス」67、「引込種」等の複数の設備の項目が存在する。「受電方式」66の下位には、「特高受電」68、「高圧受電」69、「低圧受電」70等の複数の設備の項目が存在する。「特高受電」68は、X(V)以上〜Y(V)未満の範囲の電圧受電の方式であることを意味する。「高圧受電」69は、W(V)以上X(V)未満の範囲の電圧受電の方式であることを意味する。「低圧受電」70は、V(V)以上W(V)未満の範囲の電圧受電の方式であることを意味する。また、「空調換気排煙」63の下位には、「エアコンA」71、「エアコンB」72等の複数の設備の項目が存在する。「通信」65の下位には、「光通信」73、「ADSL」74等の複数の設備の項目が存在する。「トランス」67の下位には、「乾式トランス」75、「簡易型トランス」76等の複数の設備の項目が存在する。データファイル60内のどの項目も、データファイル50内の建物の仕様に関係する項目よりも下位の階層になる。データファイル60内の各項目は、上述の階層構造によって、上位か下位かが決定されている。
データファイル60内の各項目の内、特定の項目には、当該項目が属するグループを表す符号が付されている。例えば、「特高受電」68には、グレードのグループを表す符号58である「A」と設計上の関連性の観点から分類されるグループを表す符号59である「a」が付されている。「高圧受電」69には、符号58である「B」と符号59である「a」が付されている。「低圧受電」70には、符号58である「C」と符号59である「b」が付されている。「乾式トランス」75には、符号58である「A」と符号59である「a」が付されている。「簡易型トランス」76には、符号58である「C」と符号59である「b」が付されている。「エアコンA」71には、符号58である「A」と符号59である「p」が付されている。「エアコンB」72には、符号58である「B」と符号59である「p」が付されている。「光通信」73には、符号58である「A」と符号59である「s」が付されている。「ADSL」74には、符号58である「B」と符号59である「t」が付されている。このため、クライアント端末からグレードをAに変更する指示を送信すると、「A」が付されている項目が全て選出され、変更の対象になる。また、クライアント端末から「部屋数」55を増やすあるいは減らすように変更する指示を送信すると、「p」が付されている項目が変更対象になる。このため、「エアコンA」71または「エアコンB」72の数などが変更の対象に選出される。同様に、「階数」52を4階から3階に変更した場合、同じ「p」というグループ内にあって同一階層の「延床面積」54と「部屋数」55が変更対象となると共に、「p」というグループ内で下位の階層にある「エアコンA」71または「エアコンB」72も変更対象となる。変更実行部25は、規定データ記憶部13内のデータを参照し、情報作成部22に計算させて、階数を3階に減らした際の延床面積や部屋数、エアコンの台数を決定する。エアコンの台数は、1部屋当たり1台というデータが規定データ記憶部13内に格納されているため、上記計算ができる。ただし、選択によって、以下の機能を実行することもできる。「エアコンA」71の数を変更した場合、「エアコンA」71より上位の階層にある「部屋数」55を変えないようにすることができる。部屋数は建物の構造に関与するので、冷暖房設備の一つであるエアコンよりも階層を高くし、変更対象の階層より高い階層にあるものの変更を行わないように設定することができる。このため、部屋数を10から5に減らした際にはエアコンの数を10から5に減らすことはできても、エアコンの数を10から5に減らした際には部屋数を減らすことはできない。ただし、これは、選択によってかかる機能を実行可能であるため、その選択をしない場合には、階層の高低に関わらず、同じグループ内の項目はすべて変更対象になるようにすることもできる。
2.クライアント端末に表示される画面の推移
図5〜図17は、クライアント端末に表示される各種画面の推移の一例を示す図である。
図5は、建物情報提供装置1にアクセスして最初に表示される画面の一例である。
図5に示す画面80には、予算レベルの入力画面を表示するための表示キー81と、企画レベルの入力画面を表示するための表示キー82と、基本設計レベルの入力画面を表示するための表示キー83と、実施設計レベルの入力画面を表示するための表示キー84と、取消キー85と、OKキー86とが、クリッカブルなキーとしてそれぞれ表示される。表示キー81は、予算段階、すなわち、建築条件に関する情報が非常に少ない場合に選択するキーである。表示キー82は、企画段階、すなわち、建築条件に関する情報が予算段階より多いものの、未だ設計の段階にまで至っていない場合に選択するキーである。表示キー83は、企画段階よりも建築条件の詳細が決定しており、情報量が企画段階よりも多い段階において選択するキーである。表示キー84は、基本設計段階よりもさらに建築条件の詳細が決定し、情報量が基本設計段階よりも多い段階において選択するキーである。ユーザは、表示キー81から84のいずれかを選択して、OKキー86を選択指示すると、その選択された表示キーの情報が建物情報提供装置1へと送信される。また、ユーザが表示キー81から84のいずれかを選択して、取消キー85を選択指示すると、表示キーの選択指示がクリアされる。
図6は、図5に示す画面80において予算レベルの表示キー81を選択指示し、OKキー86を選択指示した際に表示される入力画面90の一例である。
予算レベルの表示キー81の選択指示により、入力情報受付部11は、当該選択指示を受け付け、これを出力部23に送る。出力部23は、入力画面データ記憶部14から、当該選択指示に合致した入力画面のデータを選択し、そのデータを通信モジュール10に送る。通信モジュール10を介してクライアント端末の画面に表示された入力画面90には、面積を入力する欄91と、建築の予算を入力する欄92と、建物を建てようとする場所を入力する欄93と、建物のグレードを選択するグレード選択キー94と、取消キー96と、OKキー97とが表示される。グレード選択キー94を選択指示すると、複数のグレードキー95が表示される。複数のグレードキー95には、オフィスモデル、学校モデル、病院モデル等の各モデルを特定する情報も含まれている。したがって、複数のグレードキー95の内の1つを選択すると、建物の種類も特定できる。
ユーザは、欄91に面積を、欄92に予算を、欄93に建物を建てる場所(住所)を入力し、複数のグレードキー95から所望のグレードを選択して、OKキー97を選択指示すると、上記入力された情報および選択された情報が建物情報提供装置1に送信される。また、ユーザが、OKキー97ではなく、取消キー96を選択指示すると、上記入力された情報および選択された情報がクリアされる。
図6に示す画面90の入力が完了し、OKキー97が選択指示されると、図6に示す画面90において入力された情報(入力情報)が、入力情報受付部11へと送信される。入力情報受付部11は、判断部21に当該入力情報を渡す。判断部21は、当該入力情報に基づいて、パッケージ情報記憶部15の中から予算レベルフォルダ16を選択し、所定のモデルであって当該入力情報を満足するファイルを読み出し可能にする。そのファイルの大部分は、デフォルト情報で満たされている。これと同時に、判断部21は、情報作成部22に入力情報を渡す。情報作成部22は、入力情報に基づいて、予算レベルフォルダ16内の所定のファイルを読み出すと共に、コストテーブル12および規定データ記憶部13内の各種統計値や係数ならびに計算式等を利用しながら、建物設計情報を作成する。予算レベルでの入力情報は非常に少ないので、情報作成部22は、建物の面積、予算、場所およびグレードに合った既存のパッケージ情報を予算レベルフォルダ16から選ぶことになり、コストテーブル12および規定データ記憶部13内のデータの利用率は極めて低い。その後、出力部23は、作成した建物設計情報を通信モジュール10に送る。通信モジュール10は、その建物設計情報を、クライアント端末へ送る。
図7は、図5に示す画面80において企画レベルの表示キー82を選択指示し、OKキー86を選択指示した際に表示される入力画面100の一例である。
企画レベルの表示キー82の選択指示により、入力情報受付部11は、当該選択指示を受け付け、これを出力部23に送る。出力部23は、入力画面データ記憶部14から、当該選択指示に合致した入力画面のデータを選択し、そのデータを通信モジュール10に送る。通信モジュール10を介してクライアント端末の画面に表示された入力画面100には、面積を入力する欄101と、建築の予算を入力する欄102と、建物を建てようとする場所を入力する欄103と、建物のグレードを選択するグレード選択キー104と、取消キー106と、OKキー107とが表示される。グレード選択キー104を選択指示すると、複数のグレードキー105が表示される。これら各種のキー101〜107は、画面90における各種キー91〜97と同様のキーである。
図7に示す画面100の入力が完了し、OKキー107が選択指示されると、次の入力画面110がクライアント端末に表示される。この入力画面110は、予めクライアント端末に送られた入力画面のデータの一部に含まれていても良く、あるいは一旦、建物情報提供装置1側にOKキー107の選択指示が送られ、入力画面データ記憶部14から読み出されたものであっても良い。
図8は、入力画面100の次に表示される入力画面110を例示的に示す図である。入力画面110は、一例として、外部仕上げに関する情報を表示したものである。
図8に示す入力画面110では、部位の一つである「屋根屋上」111とその下層項目である仕上げの一つの「押さえコンクリート」112とが対応付けられ、その「押さえコンクリート」112とその下層項目である中間材の一つの「×××」113とが対応付けられている。さらに、「×××」113とその下層項目である雑の一つの「○○○」114とが対応付けられている。「○○○」114は、デフォルトで表示されているが、ユーザは、別の雑である「○○○」115に変更するように選択しても良い。その場合、「○○○」114の周囲の太枠は、その下方にある「○○○」115に移る。また、部位の一つである「外壁」121とその下層項目である仕上げの一つの「タイル貼り」122とが対応付けられ、その「タイル貼り」122とその下層項目の「△△△△」123とが対応付けられている。なお、上記部位は、一例に過ぎず、その他に、例えば、仮設、構造、設備、外構に関する項目も入力可能に表示される。
図8に示す入力画面110には、戻るキー124、取消キー125およびOKキー127がクリッカブルな状態で表示されている。外部仕上げの項目に変更がなければ、ユーザはOKキー127を選択指示する。その選択指示により、次の入力画面がクライアント端末に表示される。その入力画面は、予めクライアント端末に送られた入力画面のデータの一部に含まれていても良く、あるいは一旦、建物情報提供装置1側にOKキー127の選択指示が送られ、入力画面データ記憶部14から読み出されたものであっても良い。一方、取消キー125を選択指示すると、ユーザが変更した項目がデフォルト状態の表示に戻る。また、戻るキー124を選択指示すると、図7に示す画面に戻る。
図9は、入力画面110の次に表示される入力画面130を例示的に示す図である。入力画面130は、一例として、設備に関する情報を表示したものである。
図9に示す入力画面130では、設備の一種である「機械設備」131と「電気設備」132の各欄が表示されている。「機械設備」131の下位には、設備内訳として、「駐車場」133と「エレベータ」134が表示されている。また、「電気設備」132の下位には、設備内訳として、「エアコン」135と「電圧」136が表示されている。「駐車場」133および「エレベータ」134の各下位には、詳細情報として、それぞれ、その有無の選択指示欄137および138が表示されている。「エアコン」135の下位には、詳細情報として、セントラル制御かそれとも個別制御かを選択する選択指示欄139が表示されている。また、「電圧」136の下位には、詳細情報として、電圧のレベルを選択指示する選択指示欄140が表示されている。選択指示欄137,138,139,140には、デフォルトとして、それぞれ、「有」、「有」、「個別」、「高圧」が選択された状態で表示されており、ユーザによってその入力変更が可能な状態となっている。クライアント端末からの入力は、図9に示す入力画面130上では、駐車場やエレベータの有無、エアコンの制御単位、電圧レベルの選択のみである。すなわち、駐車場の収容台数、エレベータの数などのさらなる詳細情報を入力する余地はない。企画レベルにおいては、詳細な建物の情報が決まっていないことが多いことを考慮して、簡易な入力とそれによるラフな費用および設計情報の提示を可能とするためである。
図9に示す入力画面130には、戻るキー147、取消キー148およびOKキー149がクリッカブルな状態で表示されている。入力画面130の内容に変更がなければ、ユーザはOKキー149を選択指示する。すると、入力画面100,110,130において入力された情報(入力情報)が、入力情報受付部11へと送信される。入力情報受付部11は、判断部21に当該入力情報を渡す。判断部21は、当該入力情報に基づいて、パッケージ情報記憶部15の中から企画レベルフォルダ17を選択し、所定のモデルであって当該入力情報を満足するファイルを選び出す。そのファイルの多くの部分は、デフォルト情報で満たされている。これと同時に、判断部21は、情報作成部22に入力情報を渡す。情報作成部22は、入力情報に基づいて、企画レベルフォルダ17内の所定のファイルを読み出すと共に、コストテーブル12および規定データ記憶部13内の各種統計値や係数ならびに計算式等を利用しながら、各構成材料や各設備の数量やコスト等の計算を行い、建物設計情報を作成する。企画レベルでの入力情報は少ないので、情報作成部22は、建物の面積、予算、場所およびグレードに合った既存のパッケージ情報を企画レベルフォルダ17から選び、この情報に足りない部分に、入力情報あるいは入力情報に基づきコストテーブル12および規定データ記憶部13内のデータを利用して作成した情報を埋める。その後、出力部23は、建物設計情報を通信モジュール10に送る。通信モジュール10は、その建物設計情報を、クライアント端末へ送る。
一方、入力画面130において取消キー148が選択指示されると、ユーザが選択・変更した情報がデフォルトの状態に戻る。また、戻るキー147が選択指示されると、前の入力画面110に戻る。
図10は、図5に示す画面80において基本設計レベルの表示キー83を選択指示し、OKキー86を選択指示した際に表示される入力画面150の一例である。
基本設計レベルの表示キー83の選択指示により、入力情報受付部11は、当該選択指示を受け付け、これを出力部23に送る。出力部23は、入力画面データ記憶部14から、当該選択指示に合致した入力画面のデータを選択し、そのデータを通信モジュール10に送る。通信モジュール10を介してクライアント端末の画面に表示された入力画面150には、面積を入力する欄151と、建築の予算を入力する欄152と、建物を建てようとする場所を入力する欄153と、建物のグレードを選択するグレード選択キー154と、取消キー156と、OKキー157とが表示される。グレード選択キー154を選択指示すると、複数のグレードキー155が表示される。これら各種のキー151〜157は、画面90における各種キー91〜97と同様のキーである。
図10に示す画面150の入力が完了し、OKキー157が選択指示されると、次の入力画面160がクライアント端末に表示される。この入力画面160は、予めクライアント端末に送られた入力画面のデータの一部に含まれていても良く、あるいは一旦、建物情報提供装置1側にOKキー157の選択指示が送られ、入力画面データ記憶部14から読み出されたものであっても良い。
図11は、入力画面150の次に表示される入力画面160を例示的に示す図である。入力画面160は、一例として、外部仕上げに関する情報を表示したものである。
基本設計の段階になると、予算あるいは企画の段階に比べて、ユーザが持っている建築の条件に関する情報が多い。このため、多くの情報に対応して正確な設計情報(コスト情報も含む)を出力できるようにする必要から、項目毎の選択肢が多く、またユーザが直接入力する欄も多い。図11に示す入力画面160では、部位の一つである「屋根屋上」161とその下層項目である仕上げの一つの「押さえコンクリート」162とが対応付けられ、その「押さえコンクリート」162とその下層項目である中間材の一つの「×××」163とが対応付けられている。さらに、「×××」163とその下層項目である雑の一つの「○○○」164とが対応付けられている。「押さえコンクリート」162、「×××」163および「○○○」164は、デフォルトで表示されているが、ユーザは、別の仕上げである「防水シート」165を選択しても良い。その場合、「押さえコンクリート」162の周囲の太枠は、その下方にある「防水シート」165に移る。また、ユーザは、中間材として、「×××」166を選択しても良い。その場合、「×××」163の周囲の太枠は、その下方にある「×××」166に移る。また、ユーザは、雑として、「○○○」167を選択しても良い。その場合、「○○○」164の周囲の太枠は、その下方にある「○○○」167に移る。入力画面160において、仕上げおよび中間材の各選択肢の中には、直接入力できる空欄168および空欄169も存在する。ユーザは、空欄168,169に、自分の好みの情報を入力できる。空欄168および空欄169に直接入力した場合、その入力された項目に関する費用等の情報は、ネットワーク40を介して建物情報提供装置1のコストテーブル12から取得し、あるいは他の外部サーバから取得することもできる。後述する実施設計レベルにおいて、空欄に直接入力した場合も同様である。
また、入力画面160では、部位の一つである「外壁」171とその下層項目である仕上げの一つの「タイル貼り」172とが対応付けられ、その「タイル貼り」172とその下層項目の「△△△△」173とが対応付けられている。「タイル貼り」172および「△△△△」173は、デフォルトで表示されているが、ユーザは、別の仕上げである「カーテンウオール」175を選択しても良い。その場合、「タイル貼り」172の周囲の太枠は、その下方にある「カーテンウオール」175に移る。また、ユーザは、「△△△△」176または「△△△△」178を選択しても良い。その場合、「△△△△」173の周囲の太枠は、その下方にある「△△△△」176または「△△△△」178に移る。また、入力画面160において、仕上げの選択肢の中には、直接入力できる空欄177も存在する。ユーザは、空欄177に、自分の好みの情報を入力できる。なお、入力画面160に、数量を入力する欄を設けても良い。
「外壁」171には、そこにポインティングデバイスの指示を行うと、吹き出し部分174が表示される。吹き出し部分174には、「省エネ材料」、「長寿命材料」という項目が存在する。例えば、ユーザが「省エネ材料」という項目を選択すると、仕上げおよびその下層のバリエーションが、省エネ材料という集合に属する材料に変更表示される。一方、ユーザが吹き出し部分174の各項目を選択指示しないと、図11に示す入力画面160の表示は、元のままである。この表示変更は、次のような処理によって実現される。ユーザが吹き出し部分174のある項目を選択指示すると、その選択指示された情報は、通信モジュール10を経由して、入力情報受付部11、判断部21を経由して、情報作成部22に渡される。情報作成部22は、変更実行部25にコマンドを送り、グループデータ記憶部20から、その選択指示されたカテゴリー(例えば、長寿命材料)に属する仕上げおよびその下層のバリエーションの情報を選択するようにする。その結果、仕上げおよびその下層のバリエーションの情報は、出力部23、通信モジュール10を経由して、クライアント端末に表示される。これをハードウェアの処理の観点から説明すれば、CPU30が、HDD33、RAM32若しくはROM31の少なくともいずれか1つの記憶媒体(メモリ)から、ユーザが選択指示したカテゴリーに属する情報を読み出して、それをクライアント端末に向けて送信する。なお、上述の吹き出し部分174と同様の吹き出し部分は、入力画面160内の他の部位、例えば「屋根屋上」161にて表示されるようにしても良い。また、企画レベルあるいは実施設計レベルで表示される各入力画面にて、吹き出し部分の表示がされても良い。
入力画面160には、戻るキー180、取消キー181およびOKキー182がクリッカブルな状態で表示されている。外部仕上げの項目に変更がなければ、ユーザはOKキー182を選択指示する。その選択指示により、次の入力画面がクライアント端末に表示される。その入力画面は、予めクライアント端末に送られた入力画面のデータの一部に含まれていても良く、あるいは一旦、建物情報提供装置1側にOKキー182の選択指示が送られ、入力画面データ記憶部14から読み出されたものであっても良い。一方、取消キー181を選択指示すると、ユーザが変更した項目がデフォルト状態の表示に戻る。また、戻るキー180を選択指示すると、前の入力画面150に戻る。
図12は、入力画面160の次に表示される入力画面190を例示的に示す図である。入力画面190は、一例として、設備に関する情報を表示したものである。
図9に示す入力画面190では、設備の一種である「機械設備」191と「電気設備」202の各欄が表示されている。「機械設備」191の下位には、設備内訳として、「駐車場」192と「エレベータ」193が表示されている。また、「電気設備」202の下位には、設備内訳として、「エアコン」203が表示されている。「駐車場」192の下位には、詳細情報として、駐車台数の範囲を選択指示可能とした3種類の選択指示欄194,195,196と直接入力可能な空欄197が対応して表示されている。また、「エレベータ」193の下位には、詳細情報として、台数を選択指示可能とした3種類の選択指示欄198,199,200と直接入力可能な空欄201が対応して表示されている。また、「エアコン」203の下位には、詳細情報として、個別制御で各オフィスに1台設置することを選択指示する選択指示欄204、個別制御で各部屋(オフィスよりも小さい単位)に1台設置することを選択指示する選択指示欄205、各階セントラル制御とすることを選択指示する選択指示欄206、全館セントラル制御とすることを選択指示する選択指示欄207の他、直接入力可能な空欄208が対応して表示されている。企画レベルと比べて、選択する情報が多いのは、企画段階よりさらに建築条件の詳細が決定していることに対応するためである。
図12に示す入力画面190には、戻るキー210、取消キー211およびOKキー212がクリッカブルな状態で表示されている。入力画面190の内容に変更がなければ、ユーザはOKキー212を選択指示する。すると、入力画面150,160,190において入力された情報(入力情報)が、入力情報受付部11へと送信される。入力情報受付部11は、判断部21に当該入力情報を渡す。判断部21は、当該入力情報に基づいて、パッケージ情報記憶部15の中から基本設計レベルフォルダ18を選択し、所定のモデルであって当該入力情報を満足するファイルを選び出す。そのファイルの一部は、デフォルト情報で満たされている。
これと同時に、判断部21は、情報作成部22に入力情報を渡す。情報作成部22は、入力情報に基づいて、基本設計レベルフォルダ18内の所定のファイルを読み出すと共に、コストテーブル12および規定データ記憶部13内の各種統計値や係数ならびに計算式等を利用しながら、各構成材料や各設備の数量やコスト等の計算を行い、建物設計情報を作成する。基本設計レベルでの入力情報は多いので、情報作成部22は、建物の面積、予算、場所およびグレードに合った既存のパッケージ情報を基本設計レベルフォルダ18から選び、この情報以外の多くの部分に、入力情報あるいは入力情報に基づきコストテーブル12および規定データ記憶部13内のデータを利用して作成した情報を埋める。その後、出力部23は、建物設計情報を通信モジュール10に送る。通信モジュール10は、その建物設計情報を、クライアント端末へ送る。
一方、入力画面190において取消キー211が選択指示されると、ユーザが選択・変更した情報がデフォルトの状態に戻る。また、戻るキー210が選択指示されると、前の入力画面160に戻る。
図13は、図5に示す画面80において実施設計レベルの表示キー84を選択指示し、OKキー86を選択指示した際に表示される入力画面220の一例である。
実施設計レベルの表示キー84の選択指示により、入力情報受付部11は、当該選択指示を受け付け、これを出力部23に送る。出力部23は、入力画面データ記憶部14から、当該選択指示に合致した入力画面のデータを選択し、そのデータを通信モジュール10に送る。通信モジュール10を介してクライアント端末の画面に表示された入力画面220には、面積を入力する欄221と、建築の予算を入力する欄222と、建物を建てようとする場所を入力する欄223と、建物のグレードを選択するグレード選択キー224と、取消キー226と、OKキー227とが表示される。グレード選択キー224を選択指示すると、複数のグレードキー225が表示される。これら各種のキー221〜227は、画面90における各種キー91〜97と同様のキーである。
図13に示す入力画面220の入力が完了し、OKキー227が選択指示されると、次の入力画面230がクライアント端末に表示される。この入力画面230は、予めクライアント端末に送られた入力画面のデータの一部に含まれていても良く、あるいは一旦、建物情報提供装置1側にOKキー227の選択指示が送られ、入力画面データ記憶部14から読み出されたものであっても良い。
図14は、入力画面220の次に表示される入力画面230を例示的に示す図である。入力画面230は、一例として、設備に関する情報を表示したものである。ただし、図14には、設備に関する情報の一部のみが示されている。
実施設計の段階になると、ユーザが持っている建築の条件に関する情報が最も多くなる。このため、多くの情報に対応して正確な設計情報(コスト情報も含む)を出力できるようにする必要から、項目毎の選択肢が最も多く、またユーザが直接入力する欄も最も多くしている。図14に示す入力画面230では、「設備」231という項目の下に、「電気」232、「給排水衛生」242、「空調換気排煙」243等の下位の項目が対応付けられている。「電気」232には、その下層項目である「詳細情報1」として、「受変電」233、「幹線」234、「通信」235および「電圧」236などが対応付けられている。「受変電」233には、その下層項目である「詳細情報2」として、「受電方式」237、「トランス」238、「引込種」239などが対応付けられている。なお、「幹線」234、「通信」235および「電圧」236についても、同様に、「詳細情報2」として複数の下層項目が対応付けられている。
「空調換気排煙」243には、その下層項目である「詳細情報1」として、「エアコン」244、「排煙装置」245、直接入力可能な空欄246などが対応付けられている。「エアコン」244には、その下層項目である「詳細情報2」として、「個別−オフィス毎1台」247、「個別−部屋毎一台」248、「セントラル−各階毎」249、「セントラル−全館」250などが対応付けられている。さらに、「個別−オフィス毎1台」247には、その下層項目である「詳細情報3」として、「機種A」251、「機種B」252、「機種C」253および直接入力可能な空欄254などが対応付けられている。なお、「個別−部屋毎一台」248、「セントラル−各階毎」249、「セントラル−全館」250、「排煙装置」245、「給排水衛生」242についても、同様に、詳細情報として複数の下層項目が対応付けられている。太枠内の項目はデフォルトで設定済みであるが、ユーザは他の項目に変更し、あるいは空欄246等に希望の条件を直接入力することができる。
ユーザは、全ての項目に対して選択あるいは入力を完了すると、図示されないOKキーを選択指示する。すると、入力画面220,230において入力された情報(入力情報)が、入力情報受付部11へと送信される。入力情報受付部11は、判断部21に当該入力情報を渡す。判断部21は、当該入力情報に基づいて、パッケージ情報記憶部15の中から実施設計レベルフォルダ19を選択し、所定のモデルであって当該入力情報を満足するファイルを選び出す。そのファイルの一部分は、デフォルト情報で満たされている。これと同時に、判断部21は、情報作成部22に入力情報を渡す。情報作成部22は、入力情報に基づいて、コストテーブル12および規定データ記憶部13内の各種統計値や係数ならびに計算式等を利用しながら、各構成材料や各設備の数量やコスト等の計算を行い、建物設計情報を作成する。実施設計レベルでの入力情報は多いので、情報作成部22は、建物の面積、予算、場所およびグレードに合った既存のパッケージ情報を実施設計レベルフォルダ19から選び、この情報以外の多くの部分に、入力情報あるいは入力情報に基づきコストテーブル12および規定データ記憶部13内のデータを利用して作成した情報を埋める。その後、出力部23は、建物設計情報を通信モジュール10に送る。通信モジュール10は、その建物設計情報を、クライアント端末へ送る。
一方、図14に図示されない取消キーが選択指示されると、ユーザが選択・変更した情報がデフォルトの状態に戻る。また、図14に図示されない戻るキーが選択指示されると、図13に示す入力画面220に戻る。なお、上記の「設備」231という項目は、一例に過ぎず、その他に、例えば、仮設、構造、外構に関する項目も入力可能に表示される。
図15は、各レベルの入力画面から建築条件の入力を行い出力させた建物設計情報を表示する出力画面260である。
出力画面260は、デフォルトで用意された情報を含みつつ、ユーザが入力した条件およびその条件から導き出された数量等を表示する。例えば、出力画面260には、構造に属する項目として、階数(地上階数、地下階数)、建物高さ、基準階面積、基準階天井高さおよび基準階部屋数がそれぞれ表示されている。この出力画面260の例では、地上階数表示欄261に「3」が、地下階数表示欄262に「1」が、建物高さ表示欄(単位:メートル)263に「10」が、基準階面積表示欄(単位:平方メートル)264に「150」が、基準階天井高さ表示欄(単位:メートル)265に「3.0」が、基準階部屋数表示欄266に「4」が、それぞれ表示されている。
また、出力画面260には、外部仕上に属する項目として外壁材が、内部仕上に属する項目として床材および内壁が、設備に属する項目としてエアコン、ボイラー、電圧、トランス等が表示されている。この出力画面260の例では、外壁材表示欄271に「タイル」が、床材表示欄281に「木」が、内壁表示欄282に「クロスB材」が、エアコン台数表示欄291に「12」が、ボイラー台数表示欄292に「1」が、電圧表示欄293に「100」が、トランス種類表示欄294に「簡易型」が、それぞれ表示されている。
加えて、出力画面260には、グレードに関する項目として、構造、建築および設備が表示されている。さらに、建築の表示の下位の項目として、外部仕上および内部仕上という項目が表示されている。設備の表示の下位の項目として、電気設備という項目が表示されている。構造という項目は、「耐震1.25倍」を選択するボックス301と、「耐震1.00倍」を選択するボックス302とを有する。外部仕上という項目は、グレードの高い方から低い方に、グレードAを選択するボックス311、グレードBを選択するボックス312、グレードCを選択するボックス313、グレードDを選択するボックス314とを有する。内部仕上という項目も、外部仕上という項目と同様、グレードの高い方から低い方に、グレードAを選択するボックス321、グレードBを選択するボックス322、グレードCを選択するボックス323、グレードDを選択するボックス324とを有する。電気設備という項目も、外部仕上という項目と同様、グレードの高い方から低い方に、グレードAを選択するボックス331、グレードBを選択するボックス332、グレードCを選択するボックス333、グレードDを選択するボックス334とを有する。出力画面260には、入力画面において入力した情報に基づいて、各グレードのボックスの一つにチェックが入っている。この例では、構造では「耐震1.00倍」を選択するボックス302と、外部仕上ではグレードBを選択するボックス312と、内部仕上ではグレードBを選択するボックス322と、電気設備ではグレードBを選択するボックス332に、それぞれチェックが入っている。また、建物建築の総コストを表示するコスト欄335と、内訳のキー336が表示されている。内訳のキー336を押すと、総コストの内訳が部位別に表示される。コスト欄335には、「2,000,000,000」(単位は円)が表示されている。
ユーザがクライアント端末から、グレードの変更を行うべく入力変更を実行すると、建物情報提供装置1は、グレードの変更に伴う各構成材料および/または各設備を変更する。
図16は、クライアント端末から、構造において「耐震1.25倍」を選択するボックス301へのチェック、建築の外部仕上においてグレードAを選択するボックス311へのチェック、建築の内部仕上においてグレードAを選択するボックス321へのチェック、電気設備においてグレードAを選択するボックス331へのチェックという変更を指示した結果表示される変更出力画面340を示す図である。
図16に示す変更出力画面340では、クライアント端末からの変更指示通り、構造において「耐震1.25倍」を選択するボックス301に、建築の外部仕上においてグレードAを選択するボックス311に、建築の内部仕上においてグレードAを選択するボックス321に、電気設備においてグレードAを選択するボックス331に、それぞれチェックが変更されている。その他に、基準階天井高さ表示欄(単位:メートル)265の数値が「3.0」から「2.5」に、外壁材表示欄271の材質が「タイル」から人工大理石に、床材表示欄281の材質が「木」から「人工大理石」に、また、内壁表示欄282の材質が「クロスB材」から「クロスA材」に、ボイラー台数表示欄292が「1」から「2」に、電圧表示欄293が「100」から「220」に、トランス種類表示欄294が「簡易型」から「乾式」に、それぞれ変更されている。さらに、変更が耐震性アップ、外部仕上、内部仕上、電気設備の各グレードをアップするものであるため、コストもアップするように変更される。この結果、コスト欄335の表示は、20億円から21億5432万円に変更されている。内訳のキー336を押すと、各部位別のコストも変更されている。
基準階天井高さ表示欄(単位:メートル)265の数値が「3.0」から「2.5」に変更されたのは、耐震性をアップするようにグレードを変更したからである。外壁材表示欄271の材質が「タイル」から人工大理石に変更されたのは、外部仕上のグレードをアップするように変更したからである。床材表示欄281の材質が「木」から「人工大理石」に、および内壁表示欄282の材質が「クロスB材」から「クロスA材」にそれぞれ変更されたのは、内部仕上のグレードをアップするように変更したからである。ボイラー台数表示欄292が「1」から「2」に、電圧表示欄293が「100」から「220」に、トランス種類表示欄294が「簡易型」から「乾式」にそれぞれ変更されたのは、電気設備のグレードをアップするように変更したからである。
クライアント端末から上記のようなグレードの変更指示を行うと、建物情報提供装置1の変更受付部24が通信モジュール10を介してその変更指示の情報を受け取る。次に、その情報は、変更実行部25に送信される。変更実行部25は、グループデータ記憶部20内のデータを参照して、構造において耐震性が通常の1.25倍というグループに属する項目、外部仕上、内部仕上および電気設備においてそれぞれグレードAというグループに属する項目を読み出す。さらに、情報作成部22にて、変更後の耐震性を満足する数値計算や、グレード変更に伴う数値計算および/または数値選択を行うとともに、コスト計算も行う。変更実行部25は、その結果をまとめて、最初に表示した建物設計情報を変更し、その変更後の情報を出力部23に送信する。出力部23は、変更後の情報をクライアント端末側に送信する。
出力画面260および変更出力画面340には、鉄筋の本数や太さ等の情報が表示されていないが、省略しているだけであって、実際には、鉄筋の本数や太さ等の情報をはじめとする多くの情報が建物設計情報として表示されている。さらに、耐震性のアップによって鉄筋の本数や太さの情報についても変更されている。なお、コストに関しては、予算をオーバーする場合には、その旨の注意喚起を行う表示をした上で、グレードアップ後の各部位の情報を表示しないようにすることもできる。あるいは、予算をオーバーしても、コストを表示した上で、グレードアップ後の各部位の情報を表示するようにすることもできる。
ユーザがクライアント端末から、構造、設備の一部の変更を行うべく入力変更を実行すると、建物情報提供装置1は、その変更に伴う各構成材料、各設備、およびそれらの数量等の事項も変更する。
図17は、クライアント端末から、構造における地上階数表示欄261の数値を「3」から「4」に、基準階部屋数表示欄266の数値を「4」から「5」に、設備の電圧表示欄293を「100」から「220」にそれぞれ増加するように変更指示したときの変更出力画面350を示す図である。
図17に示す変更出力画面350では、クライアント端末からの変更指示に加えて、設備の項目のエアコン台数表示欄291の数値が元の「12」から「20」に変更される。これは、階数が4、基準階の部屋数が5にそれぞれ変更された結果、4階建ての場合に、4×5(この計算式は、規定データ記憶部13に記憶されている)、すなわち20台のエアコンが必要になるとういう計算結果に基づく。また、トランス種類表示欄294も、「簡易型」から「乾式型」に変更される。これは、電圧が220Vにアップしたことに伴い変更されたものである。コスト欄335の表示は、20億円から25億1842万円に変更されている。内訳のキー336を押すと、各部位別のコストも変更されている。
クライアント端末から上記のような基準階部屋数の変更指示を行うと、建物情報提供装置1の変更受付部24が通信モジュール10を介してその変更指示の情報を受け取る。次に、その情報は、変更実行部25に送信される。変更実行部25は、グループデータ記憶部20内のデータを参照して、階数、部屋数という項目と同じグループに属する項目を読み出す。また、変更実行部25は、電圧と同じグループに属する項目も読み出す。読み出された項目の内、階数、部屋数と同じか若しくはより下層に割り当てられる項目のみが変更対象となる。この例では、エアコンのみが変更対象となっている。また、電圧と同じか若しくはより下層に割り当てられる項目のみが変更対象となる。この例では、トランスのみが変更対象となっている。さらに、情報作成部22にて、変更後の数値計算(エアコンの必要台数の計算など)を行うとともに、コスト計算も行う。変更実行部25は、その結果をまとめて、最初に表示した建物設計情報を変更し、その変更後の情報を出力部23に送信する。出力部23は、変更後の情報をクライアント端末側に送信する。なお、コストに関しては、予算をオーバーする場合には、その旨の注意喚起を行う表示をした上で、変更後の各項目の情報を表示しないようにすることもできる。あるいは、予算をオーバーしても、コストを表示した上で、変更後の各項目の情報を表示するようにすることもできる。
なお、エアコンの台数のみを変更した場合には、その変更情報を受けた変更受付部24は、変更実行部25に当該変更情報を渡す。変更実行部25は、グループデータ記憶部20内のデータを参照した結果、エアコンと同じグループにあってエアコンより下層に位置する項目が存在しないということが判明すると、エアコンの台数の変更とそれに伴うコストの変更(情報作成部22の計算による)のみを実行し、エアコンと同じグループ内の他の項目については変更を行わない。
また、出力画面260に表示される建物設計情報の内、最初に基準階部屋数表示欄266の数値を変更し、次に、グレードの項目を図16に示すチェックと同じ状態に変更する場合には、次のような変更処理を行う。
まず、基準階部屋数表示欄266の数値の変更に基づく建物設計情報の変更を行う。この結果、変更出力画面350がクライアント端末に表示される。続いて、図16に示すグレードの変更と同じ変更指示を行うと、図16に示す変更出力画面340の内、基準階部屋数表示欄266の数値が「5」の状態の画面に変更される。このように、変更指示の度に、変更処理が行われる。
ただし、複数の変更を入力した後に、例えば「実行」等のキーをクリックすることにより、当該複数の変更に基づく変更処理を実行してもよい。
3.建物設計情報の出力処理およびその後の変更処理の流れ
図18は、建物設計情報の出力動作およびその後の変更処理動作のフローチャートの一例である。
ユーザがクライアント端末から建物に関する条件(用途、予算、建設場所など)を入力すると、建物情報提供装置1の入力情報受付部11は、通信モジュール10を介して、当該入力された情報(入力情報)を受け付ける(ステップS401:入力情報受付ステップ)。次に、判断部21が、上記の入力情報を受け取って、入力情報が予算レベル(A)、企画レベル(B)、基本設計レベル(C)あるいは実施設計レベル(D)かを判断し、パッケージ情報記憶部15内のどのフォルダ(フォルダ16,17,18,19のいずれか)にアクセスするかを判断する(ステップS402:判断ステップ)。この実施の形態では、入力情報の多寡によって、どのフォルダにアクセスすべきかが決定される。ただし、入力情報の多寡以外に、重要度の高い情報がどのくらい存在するかという観点で判断するようにしても良い。
次に、判断部21の判断に基づいて、情報作成部22は、特定のフォルダ(例えば、フォルダ18)にアクセスすると共に、コストテーブル12および規定データ記憶部13にアクセスし、入力情報を満足する1つ若しくは複数種の建物設計情報を作成する(ステップS403:情報作成ステップ)。具体的には、判断部21からのコマンドによって、情報作成部22がコストテーブル12および規定データ記憶部13内のデータを参照して、各構成材料(鉄骨、断熱材など)や各設備(エレベーター、エアコンなど)の数量、コストの少なくともいずれか1種を計算して、建物設計情報を作成する。次に、出力部23は、その建物設計情報を出力し、通信モジュール10経由にてクライアント端末に送る(ステップS404:建物設計情報出力ステップ)。
次に、変更受付部24は、出力した建物設計情報に対する変更を受け付けたかを常に監視し(ステップS405:変更受付ステップを含む)、クライアント端末から変更の指示がなければ(ステップS405においてNO)、ステップS404の処理をもって終了する。一方、クライアント端末から変更の指示があると(ステップS405においてYES)、変更実行部25は、当該変更の指示及び変更した情報を受取り、グループデータ記憶部20内のデータを参照して、変更対象の項目と同じグループ内において、同位若しくはより下位に位置する項目が存在するか否かを判断する(ステップS406)。かかる項目が存在しなければ(ステップS406においてNO)、変更実行部25は、変更を行わない。一方、かかる項目が存在する場合には(ステップS406においてYES)、変更実行部25は、変更対象および同グループ内の他の項目(同位若しくはより下位に位置する項目に限る)の変更を実行する(ステップS407:変更実行ステップ)。これと同時もしくは後に、変更実行部25は、当該変更に基づき、数量および/またはコストを計算する(ステップS408)。次に、出力部23は、変更後の建物設計情報の出力を行う(ステップS409:変更項目出力ステップ)。続いて、ステップS405の待機状態に戻る。次の変更が指示されると、ステップS405以降の上述の各処理を繰り返す。
上記各ステップの内、ステップS406は必須ではない。すなわち、同位または下位の項目の存否を判断することなく、同じグループ内のすべての項目を変更しても良い。また、ステップS408は、ステップS407より先に行っても良い。
図19は、建物設計情報の出力動作およびその後の変更処理動作の変形例を示すフローチャートの一例である。なお、このフローでは、変更実行部25は数量やコスト計算を行わず、情報作成部22に数量やコスト計算を行わせる例にて説明する。
図19に示すフローチャートにおいて、ステップS401〜ステップS404は、図18に示すステップS401〜ステップS404と同じ処理である。ステップS404に続いて、変更受付部24は、出力した建物設計情報に対する変更を受け付けたかを常に監視し(ステップS505:変更受付ステップを含む)、クライアント端末から変更の指示がなければ(ステップS505においてNO)、ステップS404の処理をもって終了する。一方、クライアント端末から変更の指示があると(ステップS505においてYES)、変更実行部25は、当該変更の指示及び変更した情報を受取り、グループデータ記憶部20内のデータを参照して、変更対象の項目と同じグループ内において、同位若しくはより下位に位置する項目が存在するか否かを判断する(ステップS506)。かかる項目が存在しなければ(ステップS506においてNO)、変更実行部25は、変更を行わない。一方、かかる項目が存在する場合には(ステップS506においてYES)、変更実行部25は、情報作成部22にコマンドを送り、情報作成部22に、各種項目の変更に伴う数量やコストの計算を行わせる(ステップS507)。
次に、情報作成部22は、ステップS507によって計算されたコストが予算以下であるかどうかを判断する(ステップS508)。コストが予算以下でなければ(ステップS508においてNO)、ステップS404の処理をもって終了する。一方、コストが予算以下の場合には(ステップS508においてYES)、変更実行部25は、変更対象の項目およびその項目と同じグループ内の他の項目(同位あるいはより下位に位置する項目に限る)の変更を実行する(ステップS509:変更実行ステップ)。次に、出力部23は、変更後の建物設計情報の出力を行う(ステップS511:変更項目出力ステップ)。続いて、ステップS505の待機状態に戻る。次の変更が指示されると、ステップS505以降の上述の各処理を繰り返す。なお、上記各ステップの内、ステップS506は必須ではない。すなわち、同位あるいは下位の項目の存否を判断することなく、同じグループ内のすべての項目を変更しても良い。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、建物情報提供装置1が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disk)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
本実施の形態に係る建物情報提供装置1は、建築対象の建物に関する入力情報を受け付ける入力情報受付部11と、建物を建築するために項目分けされた部位、建物の構成材料、建物内の設備、建物を建築する土地、各構成材料のコストおよび土地のコストを少なくとも記憶するコストテーブル12と、建物の仕様、各部位の種類およびその数量、各構成材料の種類およびその数量、各設備の種類およびその数量および建物の建築コストを少なくとも組み合わせたパッケージ情報を、入力情報の多寡によって複数のフォルダに分類して記憶するパッケージ情報記憶部15と、入力情報の多寡に応じて、パッケージ情報記憶部15内のどのフォルダ16〜19にアクセスするかを判断する判断部21と、パッケージ情報記憶部15内の各情報を設計基準および/または統計にもとづき規定する規定データを記憶する規定データ記憶部13と、判断部21による判断に基づいて、複数のフォルダ内16〜19の内の特定のフォルダにアクセスすると共に、コストテーブル12および規定データ記憶部13にアクセスし、入力情報を満足する1種若しくは複数種の建物設計情報を作成する情報作成部22と、少なくとも建物の仕様、建物の構成材料および建物内の設備の項目を記憶するとともに、当該項目の内の複数の特定の項目をグループ化して記憶するグループデータ記憶部20と、出力された建物設計情報の内の一部若しくは全部の変更を受け付ける変更受付部24と、変更を受け付けるとその変更に関わるグループ内の項目の情報を、少なくとも規定データ記憶部13内の規定データを参照して変更する変更実行部25と、情報作成部22により作成された建物設計情報および変更実行部25により変更された項目を出力する出力部23を備える。このため、一旦、建物設計情報を出力した後に、詳細な仕様を詰めるために種々変更を行う際に、逐一必要な変更を入力しなくても、一部の変更を行うだけで設計上支障ない変更あるいは一つの変更趣旨に応じた変更を一時に行うことが可能となる。
また、建物情報提供装置1は、さらに、グループが構成材料および/または設備のグレードに基づいて形成されているので、グレードを上下変更した際に、同じグレード内の構成を一緒に変更できる。よって、逐一、同じグレードの項目を把握していなくても簡単に変更できる。
また、建物情報提供装置1は、さらに、グループを、設計上関係のある項目をまとめるように構成しているので、一部の項目を変更したことによって、設計上不可欠な変更項目あるいは変更を要する項目を熟知していないユーザであっても、簡単に設計上問題のないように変更ができる。
また、建物情報提供装置1は、さらに、変更受付部24が複数の変更を受け付ける場合、変更実行部24は、その変更の順番に従って、その受け付けた項目の変更以外の項目の情報を変更する。このため、複数の変更箇所がっても、矛盾なく変更処理を実行できる。また、変更箇所毎の相違を把握できる。
また、建物情報提供装置1は、さらに、グループデータ記憶部20に、階層に分けて各項目を記憶し、変更実行部25が変更を受け付けた項目と同位のあるいはより下位の階層に属する項目のみを変更するようにしている。このため、低い階層の変更に伴い、重要性が高い階層(上位の階層)の部位や構成の変更が行われない。例えば、部屋数を増やす変更を行った場合には、各部屋にエアコンを1台ずつ設置するようにするためにエアコンの台数も増やす変更を実行する一方で、エアコンの台数を増やした場合には部屋数を増やす変更を行わない。部屋数の方が建物にとって上位の階層に位置づけられており、下位の階層の変更によって変更されてしまうことを防止する必要からである。
また、建物情報提供装置1は、さらに、入力情報が建築コストを含む場合、変更受付部24によって受け付けられた変更に基づく建築コストが入力情報内の建築コスト(予算)を上回るときには、変更実行部25は、その変更を実行しないようにしている。すなわち、ユーザの変更がコスト的に無理である場合にまで変更を実施しない。このため、ユーザにコストオーバーであることを容易に把握でき、別の変更をするべきであることを知らしめることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明してきたが、本発明は、上記の形態に限定されず、種々変更を施して実施可能である。
例えば、建物情報提供装置1は、ネットワーク40を介さずに、直接、情報を入力するスタンド・アローン型の装置であっても良い。
また、情報作成部22、判断部21、出力部23、変更実行部25の各処理動作は、互いに補うこともできる。すなわち、情報作成部22は、それ単独で、判断部21、出力部23、変更実行部25の各処理と同じ処理を行うこともできる。判断部21、出力部23あるいは変更実行部25についても同様である。また、変更実行部25は、項目変更を行うにあたり、規定データ記憶部13のみを参照し、コストテーブル12を参照しなくても良い。さらに、変更実行部25は、項目変更を行うにあたり、コストテーブル12のみを参照し、規定データ記憶部13を参照しなくても良い。また、変更実行部25は、変更を受け付けた項目より下位の項目のみを変更対象とし、同位の項目を変更しなくても良い。さらに、規定データ記憶部13内の規定データは、設計基準のみ、統計のみ、設計基準と統計にそれぞれ基づき規定されるデータとすることができる。また、情報作成部22が作成する建物設計情報は、入力情報に基づき1つのみを作成する例で説明してきたが、2以上の建物設計情報を作成するようにしても良い。また、グループデータ記憶部20内のグループは、構成材料のみのグレード別に、設備のみのグレード別に、あるいは構成材料と設備の両方のグレード別にまとめたものとすることができる。