JP2009113979A - エレベータの制御装置 - Google Patents

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【課題】 エレベータのかごの一回の走行によりモデル演算部にイナーシャ同定が簡易にできること。
【解決手段】 制御対象に対して想定されるモデル速度指令値及びモデルトルク指令値を、モデル速度指令値が速度指令値に追従するように演算して求めるモデル演算部30と、モータ7の回転速度である速度検出値を検出するエンコーダ8と、モデル速度指令値と速度検出値との差に基づいてトルク指令値を算出するトルク指令算出部40と、モータ7の発生トルクがトルク指令値に一致するように制御してモータ7を駆動させるトルク制御器5と、トルク指令値の直流分を遮断した加速トルク指令値を出力するフィルター部62と、加速トルク指令値及び速度検出値に基づいてエレベータの第1イナーシャ値を算出するイナーシャ算出器60とを備え、第1イナーシャ値を用いてモデル演算部30が演算に用いるパラメータを修正して演算をするものである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、エレベータの制御装置に関するものである。
従来のエレベータの制御装置は、下記特許文献に記載のように、制御対象であるエレベータに設けられたモータに対する速度指令を入力する速度指令入力手段と、制御対象に対して想定されるモデル速度及びモデルトルクを、モデル速度が速度指令に追従するように演算して求めるモデル演算部と、モータの回転速度である実速度を検出する速度検出器と、モデル速度と実速度との差に基づいて、誤差補償トルクを演算する補償演算部と、モデルトルクと誤差補償トルクとからトルク指令を算出するトルク指令算出部と、モータの発生トルクがトルク指令に一致するように制御してモータを駆動させるトルク制御器と、トルク指令に基づいて、制御対象のイナーシャを算出するイナーシャ算出器とを備え、算出されたイナーシャの値を用いて、モデル演算部及び補償演算部が演算に用いるパラメータを修正して演算を行うものが知られている。
さらに、制御対象のイナーシャは、エレベータのかご内が無負荷の場合、上昇加速時及ぴ下降加速時、上昇一定速中間点、下降一定速中間点のトルク指令値及びかご内にカウンターと釣合う負荷を載せた状態の一定速開始点、一定速終了点のトルク指令値から算出し、かご内にカウンターと釣合う負荷を載せた場合、上昇加速時及び下降加速時、上昇一定速中間点、下降一定速中間点、一定速開始点、一定速終了点のトルク指令値から算出し、かご内にカウンターの2倍の負荷を載せた場合、上昇加速時及ぴ下降加速時、上昇一定速中間点、下降一定速中間点のトルク指令値及びかご内にカウンターと釣合う負荷を載せた状態の一定速開始点、一定速終了点のトルク指令値から算出する。
かかるエレベータの制御装置によれば、算出されたイナーシャの値をモデル演算部及び補償演算部の演算に反映することにより、速度指令の入力に対してトルク指令はモデルトルクと一致し、また、実速度はモデル速度に完全に一致する。
特開2003−128352号公報
しかしながら、上記エレベータの制御装置は、エレベータのかご内が無負荷、かご内にカウンターと釣合う負荷、かご内にカウンターの2倍の負荷を載せた場合、上昇加速時及ぴ下降加速時、上昇一定速中間点、下降一定速中間点等のトルク指令値から算出しなければならず、イナーシャの同定が煩雑で時間を要するという課題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、エレベータのかごの一回の走行によりモデル演算部にイナーシャ同定が簡易にできるエレベータの制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明に係るエレベータの制御装置は、制御対象であるエレベータに設けられたモータに対する速度指令値が入力されるエレベータの制御装置において、 前記制御対象に対して想定されるモデル速度指令値及びモデルトルク指令値を、前記モデル速度指令値が前記速度指令値に追従するように演算して求めるモデル演算部と、 前記モータの回転速度である実速度となる速度検出値を検出する速度検出器と、 前記モデル速度指令値と前速度検出値との差に基づいてトルク指令値を算出するトルク指令算出部と、前記モータの発生トルクが前記トルク指令値に一致するように制御して前記モータを駆動させるトルク制御器と、前記トルク指令値の直流分を除去して加速トルク指令値を出力するフィルター手段と、
前記加速トルク指令値及び前記速度検出値に基づいて前記エレベータの第1イナーシャ値を算出するイナーシャ算出器とを備え、前記第1イナーシャ値を用いて、前記モデル演算部が演算に用いるパラメータを修正して前記演算を行うことを特徴とするものである。
第2の発明に係るエレベータの制御装置は、エレベータのかご内の負荷を検出して不平衡負荷トルクを求める負荷トルク算出手段と、前記不平衡負荷トルク及び第1イナーシャ値とに基づいて第2イナーシャ値を求めるイナーシャ同定器とを備え、前記第1イナーシャの代わりに、前記2イナーシャ値を用いて、モデル演算部が演算に用いるパラメータを修正して前記演算を行う、ことが好ましい。
これにより、かご内の負荷を検出して不平衡負荷トルクをも考慮して第2イナーシャ値をモデル演算部に設定にできるので、制御性能が向上する。
第3の発明に係るエレベータの制御装置は、フィルター部は、高周波フィルターと低周波フィルターとが直列接続されていることが好ましい。これにより、簡易に加速トルク指令値を求めることができる。
本発明によれば、加速トルク指令値及び速度検出値に基づいてエレベータの第1イナーシャ値を算出したので、エレベータのかごの一回の走行により加速トルク指令値及び速度検出値が得られ、モデル演算部にイナーシャ同定が簡易にできる。
実施の形態1.
本発明の一実施の形態を図1から図3によって説明する。図1は本発明の一実施の形態を示すエレベータの全体図、図2は図1に示す速度制御器の内部構成図、図3は図1に示すイナーシャ算出部の内部構成図である。
図1において、エレベータは、速度制御器3が速度指令値を入力すると共に、トルク指令値を発生してトルク制御器5を介してモータ7を駆動制御している。モータ7はシーブ9を回転駆動するように形成しており、シーブ9の溝には、ロープ11が掛けられており、ロープ11の一端には、かご15が固定されると共に、他端には、釣合い錘13が固定されている。
また、検出部は、モータ7の回転位置を検出して速度検出値を発生する速度検出器20と、かご15に乗客が乗ることにより生じる荷重を検出して荷重検出値を発生する荷重検出器17とを備えており、速度検出器20は、位置検出値を発生するエンコーダ8と、位置検出値を入力して速度制御器3に速度検出値を入力する微分器19とを有している。
図2において、速度制御器3は、モデル速度指令値及びモデルトルク指令値を、モデル速度指令値が速度指令値に追従するように演算して求めるモデル演算部30と、モデル速度指令値と速度指令値との偏差を入力してトルク指令値を発生するトルク指令算出部40と、モデル演算部30のイナーシャを設定するイナーシャ設定部50とを備えている。
モデル演算部30は、速度指令値とモデル速度指令値とを減算して第1速度偏差値を求める第1減算器31と、速度偏差値を入力してモデルトルク指令値を求める制御部33と、モデルトルク指令値を入力してモデル加速度指令値を求めると共に伝達関数として1/Jを有するイナーシャ部35と、モデル加速度指令値を入力してモデル速度指令値を求める積分器37とを備えている。
トルク指令算出部40は、モデル速度指令値と速度検出値とを減算して第2速度偏差値を求める第2減算器41と、第2速度偏差値を入力して誤差補償トルク指令値を求めるPID部43と、誤差補償トルク指令値とモデルトルク指令値とを加算して予備トルク指令値を求める第1加算器45と、荷重検出値からかご15及び乗客と錘13との不平衡重量値を補償するための不平衡トルク値を求める不平衡補償器47と、予備トルク指令値と不平衡トルク値とを加算してトルク指令値を求める第2加算器49とを備えている。
イナーシャ設定部50は、速度検出値とトルク指令値とを入力してイナーシャ算出値を求めるイナーシャ算出器60と、イナーシャ算出値と負荷トルク値によりイナーシャ同定値を求めて、イナーシャ部35にイナーシャ同定値を設定するイナーシャ同定器70とを備えている。
図3において、イナーシャ算出器60は、速度検出値を入力して加速度検出値を求める加速度算出器61と、トルク指令値を入力して加速トルク指令値を得るフィルター部62と、加速トルク指令値と加速度検出値との比からイナーシャ算出値を求める算出器67とを備えており、フィルター部62には、高周波フィルター64と低周波フィルター66とが直列接続されている、
ここで、算出器67が加速トルク指令値と加速度検出値との比からイナーシャ算出値を求めることができる理由を以下に説明する。まず、エレベータの運動方程式は下記である。
J(dω/dt)=Ta+TL+Th ・・・・(1)
ここに、J:イナーシャ、ω:モータ回転角速度、Ta:加速トルク
TL:負荷トルク、Th:ロストルク
かご15が走行している際に、負荷トルクTL、ロストルクThを一定とみなせるので、フィルター部62により一定のトルクを除去して加速トルクTaのみ抽出すると、上記(1)式は下記となる。
J(dω/dt)=Ta ・・・・(2)
また、モータ回転角速度ωとかご15の加速度αとの関係は下式となる。
dω/dt=α・KL/(D/2) ・・・・(3)
ここに、D:巻上機のシーブ径、 KL:ローピング比
上記(2)式及び(3)式からイナーシャJは、下記となる。
J =Ta/(dω/dt)=K1・Ta/α ・・・・(4)
ここに、K1:D/(2KL)
上記(4)式から算出器67が加速トルク指令値と加速度検出値との比からイナーシャ算出値、つまりイナーシャJを求めることができる。
上記のように構成されたエレベータの制御装置の動作を図1から図3を参照して説明する。いま、イナーシャ部35のイナーシャを設定(同定)のために、かご15を1階から2階に走行すると、図1に示すように、速度指令値を速度制御器3に入力し、速度制御器3がトルク指令値をトルク制御器5を介してモータ7に与え、モータ7を駆動してかご15を上昇する。速度検出器20がエンコーダ8によりモータ7の位置検出値を検出して微分器20を介して速度検出値を求め、速度検出値を速度制御器3に入力する。一方、荷重検出器17は、かご15内の荷重検出値として検出して速度制御器3に入力する。
次に、速度制御器3の動作を図2を参照して説明する。モデル演算部30の第1減算器31が速度指令値とモデル速度指令値とを減算して第1速度偏差値を求め、トルク制御部33が速度偏差値を入力してモデルトルク指令値を求め、イナーシャ部35がモデルトルク指令値を入力してモデル加速度指令値を求め、積分器37がモデル加速度指令値を入力してモデル速度指令値を求め、第2減算器41がモデル速度指令値と速度検出値とを減算して第2速度偏差値を求める。
PID部43が第2速度偏差値を入力して誤差補償トルク指令値を求め、第1加算器45が誤差補償トルク指令値とモデルトルク指令値とを加算して予備トルク指令値を求め、不平衡補償器47が荷重検出値からかご15及び乗員と錘13との不平衡重量値を補償するための不平衡トルク値を求め、第2加算器49が予備トルク指令値と不平衡トルク値とを加算してトルク指令値を求める。
一方、イナーシャ設定部50は、イナーシャ算出器60が速度検出値とトルク指令値とを入力してイナーシャ算出値を求め、イナーシャ同定器70がイナーシャ算出値と負荷トルク値によりイナーシャ同定値を求めて、イナーシャ部35にイナーシャを設定する。
また、図3に示すように、イナーシャ算出器60は、加速度算出器61が速度検出値を入力して加速度検出値を求め、フィルター部62がトルク指令値を入力して加速トルク指令値を得て算出器67が加速トルク指令値と加速度検出値との比からイナーシャ算出値を求める。
上記実施形態のエレベータの制御装置は、制御対象であるエレベータに設けられたモータ7に対する速度指令値が入力されるエレベータの制御装置において、制御対象に対して想定されるモデル速度指令値及びモデルトルク指令値を、モデル速度指令値が速度指令値に追従するように演算して求めるモデル演算部30と、モータ7の回転速度である実速度となる速度検出値を検出するエンコーダ8と、モデル速度指令値と速度検出値との差に基づいてトルク指令値を算出するトルク指令算出部40と、モータ7の発生トルクがトルク指令値に一致するように制御してモータ7を駆動させるトルク制御器5と、トルク指令値の直流分を遮断した加速トルク指令値を出力するフィルター部62と、加速トルク指令値及び速度検出値に基づいてエレベータの第1イナーシャ値を算出するイナーシャ算出器60とを備え、第1イナーシャ値を用いて、モデル演算部30が演算に用いるパラメータを修正して演算を行うものである。
これにより、加速トルク指令値及び速度検出値に基づいてエレベータの第1イナーシャ値を算出したので、エレベータのかごの一回の走行により加速トルク指令値及び速度検出値が得られ、モデル演算部30にイナーシャ同定が簡易にできる。
上記実施形態のエレベータの制御装置は、エレベータのかご15内の負荷を検出して不平衡負荷トルクを求める不平衡補償器47と、不平衡負荷トルク及び第1イナーシャ値とに基づいて第2イナーシャ値を求めるイナーシャ同定器70とを備え、第2イナーシャ値を用いて、モデル演算部30が演算に用いるパラメータを修正して演算を行うにしても良い。これにより、かご15内の負荷を検出して不平衡負荷トルクをも考慮してイナーシャ値をモデル演算部30に設定にできるので、制御性能が向上する。
上記実施形態のエレベータの制御装置におけるフィルター手段は、高周波フィルター64と低周波フィルター66とが直列接続されている、ことが好ましい。これにより、簡易に加速トルク指令を求めることができる。
本発明は、エレベータの制御装置に適用できる。
本発明の一実施の形態を示すエレベータの全体図である。 図1に示す速度制御器の内部構成図である。 図1に示すイナーシャ算出部の内部構成図である。
符号の説明
5 トルク制御器、7 モータ、20速度検出器20、30 モデル演算部30、40 トルク指令算出部、60 イナーシャ算出器、62 フィルター部。

Claims (3)

  1. 制御対象であるエレベータに設けられたモータに対する速度指令値が入力されるエレベータの制御装置において、
    前記制御対象に対して想定されるモデル速度指令値及びモデルトルク指令値を、前記モデル速度指令値が前記速度指令値に追従するように演算して求めるモデル演算部と、
    前記モータの回転速度である実速度となる速度検出値を検出する速度検出器と、
    前記モデル速度指令値と前速度検出値との差に基づいてトルク指令値を算出するトルク指令算出部と、
    前記モータの発生トルクが前記トルク指令値に一致するように制御して前記モータを駆動させるトルク制御器と、
    前記トルク指令値の直流分を除去して加速トルク指令値を出力するフィルター手段と、
    前記加速トルク指令値及び前記速度検出値に基づいて前記エレベータの第1イナーシャ値を算出するイナーシャ算出器とを備え、
    前記第1イナーシャ値を用いて、前記モデル演算部が演算に用いるパラメータを修正して前記演算を行う
    ことを特徴とするエレベータの制御装置。
  2. 前記エレベータのかご内の負荷を検出して不平衡負荷トルクを求める負荷トルク算出手段と、
    前記不平衡負荷トルク及び前記第1イナーシャ値とに基づいて第2イナーシャ値を求めるイナーシャ同定器とを備え、
    前記第1イナーシャの代わりに、
    前記2イナーシャ値を用いて、前記モデル演算部が演算に用いるパラメータを修正して前記演算を行う、
    ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの制御装置。
  3. 前記フィルター手段は、高周波フィルターと低周波フィルターとが直列接続されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータの制御装置。
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