JP2009104154A - レンズシート - Google Patents

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JP2009104154A JP2008315344A JP2008315344A JP2009104154A JP 2009104154 A JP2009104154 A JP 2009104154A JP 2008315344 A JP2008315344 A JP 2008315344A JP 2008315344 A JP2008315344 A JP 2008315344A JP 2009104154 A JP2009104154 A JP 2009104154A
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Katsuhito Suzuki
勝仁 鈴木
Tomio Sonehara
富雄 曽根原
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Abstract

【課題】無駄が出ず、しかも印字幅を稼ぐことができるレンズシートを得ること。また、
いわゆる斜めレンズシートに対して良好な印刷を実行できるプリンタを提供すること。
【解決手段】このレンズシート12は、長手方向に伸びるレンズ12A1が複数並列して
形成された第1の面と、この第1の面とは反対側の面であって、印刷され、または印刷さ
れた媒体が貼付される面となる第2の面を備え、外形が長方形または正方形となっている
。そして、各レンズ12A1がシート端12Eに対して傾いて配置されている。また、プ
リンタは、いわゆる斜めレンズシートと言われるこのレンズシート12に対して良好な印
刷を実行できるものとなっている。
【選択図】図2

Description

本発明は、レンズシートおよびそのレンズシートに印刷可能なプリンタに関する。
各種の印刷技術の中には、多数のシリンドリカル凸レンズ(以下、凸レンズとする。)
が並列配置されたレンチキュラーレンズを具備するレンズシートの記録層に、印刷画像を
印刷するものがある(特許文献1参照)。
この印刷技術は、レンズシートの記録層に、凸レンズのピッチに対応させたストライプ
状の細分化画像を多数並べて記録するものとなっている。そして、細分化画像の種類に応
じて、目視される画像が立体的(立体視)となったり、見る角度を変えて動く画像(アニ
メーション)とすることが可能となる。このレンズシートへの印刷では、両眼に対して凸
レンズ配列を縦または横にした配置が一般的である(特許文献1参照)。
特許第3471930号公報(段落番号0066〜0076、図1、図5、図8、図9等参照)
しかしながら、特許文献1記載の発明では、凸レンズ内での印字幅の都合で扱える視差
数が限られたり、視差数の増加に伴って印字幅が減少したりする。なお、視差数は、画像
の滑らかさに影響しやすく、1視差あたりの印字幅は画質に影響を与える。
この対応策として、細分化画像をレンズシートに対して斜めに印刷することが考えられ
る。しかし、このような方法では、必要な画像部分の面積より大きな面積を有するレンズ
シートに、その画像を印刷し、印刷後にレンズシートからその画像部分だけを切り出すこ
ととなる。このような切り出し作業があると、レンズシートの残りの部分は無駄になって
しまう。
本発明は、上記の事情にもとづきなされたもので、無駄が出ず、しかも印字幅を稼ぐこ
とができるレンズシートを提供することを目的とする。また、他の発明は、いわゆる斜め
レンズシートに対して良好な印刷を実行できるプリンタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のレンズシートは、長手方向に伸びるレンズが複数
並列して形成された第1の面と、この第1の面とは反対側の面であって、印刷される面、
または印刷された媒体が貼付される面となる第2の面を備え、外形が長方形または正方形
となるレンズシートにおいて、各レンズがシート端に対して傾いて配置されているもので
ある。
この発明のレンズシートでは、外形が長方形または正方形であり、かつ各レンズがシー
ト端に対して傾いて配置されているので、無駄が出ず、しかも印字幅を稼ぐことが可能と
なる。この発明のレンズシートの各レンズは、シート端に対して傾いているが、傾きの角
度は、0.2度や45度といったように、何度でもよい。また、傾きは、右下がりであっ
ても、左下がりであっても良い。
また、他の発明は、上述の発明に加えて、傾きの角度が、印刷される際の移動方向に沿
うシート端(以下、副走査方向シート端という。)に対して5度〜15度の範囲にあるも
のとしている。傾きをこの範囲とすると、立体印刷向きとなり、そのシートを90度傾け
て観測する場合は、モーション印刷や変り絵印刷などの変化系印刷向きとなる。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、副走査方向シート端に直交する方向に、
印刷されたドットが並んでいる。このように構成した場合には、印字幅を稼ぐことができ
るレンズシートとなる。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて、シート端が交わる部分に丸みを持たせてい
る。この構成とすると、レンズシートを扱う際に、手が切れるという危険が減少する。
さらにまた、他の発明は、上述の発明に加えて更に、シート端部分であって、第1の面
または第2の面の少なくとも一方側がまるみ形成されまたはテーパー状とされている。こ
のように構成した場合には、レンズシートを扱う際に、手が切れるという危険が一層減少
する。
また、本発明のプリンタは、長手方向に伸びるレンズが複数並列して形成された第1の
面と、この第1の面とは反対側の面であって、印刷される面となる第2の面を備え、外形
が長方形または正方形となるレンズシートに文字または画像の少なくとも一方を印刷可能
なプリンタにおいて、レンズシートが、シート端に対して各レンズが傾いて配置されてい
る斜めレンズシートである場合、各レンズの幅に対応する周期幅の信号が継続することで
形成され出力されるレンズ信号に基づいて、レンズ信号の最初に出力される欠損したパル
ス部分に対応する信号を、後に出力される信号のパルス幅と同じパルス幅の欠損が無い信
号とした補完レンズ信号を生成し、この補完レンズ信号に基づいて、斜めレンズシートへ
印刷している。
この発明のレンズシート(斜めレンズシート)の場合、印刷開始側のシート端の一部の
レンズに欠損が生ずるが、この発明では、この欠損部分に対応する補完レンズ信号は、他
の箇所のレンズと同じ幅のパルス幅となっているため、狭いレンズ幅内に細分化画像を納
めるような印刷がされてしまうことがなくなる。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、補完レンズ信号は、レンズ信号であって
、最後に出力されるパルス部分に対応する欠損した信号を、前に出力された信号のパルス
幅と同じパルス幅の欠損が無い信号としている。このように構成した場合には、斜めレン
ズシートの印刷を終了する側のシート端のレンズが欠損していても、この部分に対応する
補完レンズ信号は、他の箇所のレンズと同じ幅のパルス幅となっているため、狭いレンズ
幅内に細分化画像を納めるような印刷がされてしまうことがなくなる。
以下、本発明のレンズシートおよびプリンタの一実施の形態について、図1から図26
に基づいて説明する。なお、本実施の形態のプリンタ10は、インクジェット式のプリン
タとなっている。このようなインクジェット式プリンタは、インクを吐出して印刷可能な
装置であれば、いかなる吐出方法を採用した装置でも良い。また、例えばレーザ方式、昇
華型熱転写方式、ドットインパクト方式等のインクジェット式以外のプリンタについても
、本発明は適用可能である。
なお、以下の説明においては、下方側とは、プリンタ10が設置される側を指し、上方
側とは、設置される側から離間する側を指す。また、後述するキャリッジ30が移動する
方向を主走査方向、主走査方向に直交する方向であってレンズシート12が搬送される方
向を副走査方向とする。また、レンズシート12が供給される側を給紙側(後端側)、レ
ンズシート12が排出される側を排紙側(手前側)として説明する。
<レンズシートに関して>
最初に、印刷対象物であるレンズシート12について説明する。図1に示すように、レ
ンズシート12は、表面(第1の面に相当)に位置するレンチキュラーレンズ12Aと、
このレンチキュラーレンズ12Aの裏面と接するインク吸収層12Bと、該レンズシート
12の裏面(第2の面に相当)に位置するインク透過層12Cとを具備している。これら
のうち、レンチキュラーレンズ12Aは、一方向を長手とする複数のシリンドリカル凸レ
ンズ(凸レンズ12A1)が、一定のピッチで並列配置された構成となっている。レンチ
キュラーレンズ12Aにおいては、それぞれの凸レンズ12A1を進行する光の焦点が、
レンチキュラーレンズ12Aの裏面(インク吸収層12Bとの境界面Q)に位置するよう
に、凸レンズ12A1の曲率が形成されている。
レンチキュラーレンズ12Aは、PET、PETG、APET、PP、PS、PVC、
アクリル、UV樹脂などから作られる。インク吸収層12Bは、印刷面に相当し、この印
刷面にインクが定着し印刷画像が形成されることになる。インク吸収層12Bは、レンチ
キュラーレンズ12Aに貼り合わせる専用紙、ロール状の紙等としても良い。また、レン
ズシート12には、インク透過層12Cはあってもなくてもよいが、そのインク透過層1
2Cがあることで、印刷後すぐに触ることができる。また、インク透過層12Cやインク
吸収層12B以外に、透明フィルム層や接着層などの他の層があってもよい。なお、レン
ズシート12は、上述のインク吸収層12Bおよびインク透過層12Cを備えない構成を
採用し、レンチキュラーレンズ12Aの裏面に直接、印刷をし、レンチキュラーレンズ1
2Aの裏面自体を印刷面としてもよい。
なお、本実施の形態では、レンチキュラーレンズ12Aにおける凸レンズ12A1の並
びのピッチ(配設間隔)としては、後述するスケール81のラインパターンの並びのピッ
チの整数倍とするものがある。例えば、スケール81のラインパターンが1/180イン
チである場合、凸レンズ12A1のピッチは、10lpi(lens per inch
;1インチ当たりの凸レンズ12A1の本数)、20lpi、30lpi、45lpi、
60lpi、90lpi、180lpi(180dpiのパターンピッチのラインパター
ンを有するスケール81と比較して、1〜18の比を有するピッチ)とするものがある。
しかしながら、凸レンズ12A1のピッチは、該例示には限られず、例えば、100lp
i、120lpi、130lpi、のように、種々変更するようにしても良い。また、レ
ンズシート12の凸レンズ12A1のピッチは、製造誤差等によって、通常は、上述のよ
うな正確なピッチとはならず、若干ずれたものとなっている。
また、インク透過層12Cは、ノズルから吐出されたインク滴が最初に付着する部分で
あり、該付着したインクが透過していく部分である。このインク透過層12Cは、例えば
酸化チタン、シリカゲル、PMMA(メタクリル樹脂)、バインダ樹脂、硫酸バリウム、
ガラスファイバ、プラスチックファイバ等を材料としたものとして形成されている。また
、インク吸収層12Bは、インク透過層12Cを透過したインクを吸収および/または固
着させる部位である。このインク吸収層12Bは、例えばPVA(ポリビニルアルコール
)等の親水性ポリマー樹脂、カチオン化合物、シリカ等の微粒子等を材料としたものとし
て形成されている。なお、インク吸収層12Bとインク透過層12Cのいずれか一方は、
光を通す非透明な部材とされ、他方は透明な部材とされているが、共に白色で光を通す部
材としたり、共に透明な部材としたりしても良い。また、必要により、共に、光を通さな
い部材とすることもできる。
さらに、レンチキュラーレンズ12Aの切断面は鋭利になっているので、扱う人の手や
指を切る危険があるので、角をとっておくことが望ましい。すなわち、図3(A)に示す
ように、シート端12Eが交わる部分13を丸くしたり(円弧状にしたり)、図3(B)
に示すように、シート端12E部分であって、第1の面となる表側に丸み部分14や第2
の面となる裏側に同様な丸み部分15を設けるのが好ましい。なお、丸みを設ける代わり
に、テーパーである斜面を設けても良い。また、丸みを設ける部分は、レンチキュラーレ
ンズ12Aの部分に設けるのが好ましいが、第1や第2の面の少なくとも一方側がまるみ
形成されまたはテーパー状とされていれば、手を切る危険は減少する。
また手を切る危険性を避ける別な方法として、レンズシート12を、レンチキュラーレ
ンズ12A、透明フィルム、インク吸収層12B、インク透過層12Cの順で構成し、レ
ンチキュラーレンズ12Aより透明フィルムのほうを若干大きめにする方法も採用できる
また、図2、図3に示すように、本実施の形態におけるレンズシート12は、その外観
が長方形または正方形の矩形状となっていると共に、該矩形状の外観を構成するレンズシ
ート12のシート端12Et(このシート端12Etは、後述するように、印刷時の副走
査方向と平行となるシート端で、以下では、適宜、副走査方向シート端という。)が、凸
レンズ12A1の長手方向(遷移方向に相当)に対して傾斜する状態に設けられている。
すなわち、凸レンズ12A1の長手方向は、矩形状のレンズシート12の外枠(各シート
端12E)に対して、平行または垂直ではなく、傾斜する状態に設けられている。なお、
副走査方向シート端は、印刷開始側のシート端12Etと、印刷終了側のシート端12E
eの2つが存在している。また、シート端12Eには、上述の2つの他に、シート端12
Et,12Eeをつなぐように、前後方向となる位置に、シート端12Em、12Euが
存在している。これら4つのシート端12Et,12Ee,12Em,12Euによって
、長方形または正方形の外形が形成されている。
なお、凸レンズ12A1のシート端12Et、12Eeに対する傾斜角度θは、本実施
の形態では、10度程度となるように設けられている。しかしながら、傾斜角度θは、1
0度に限られるものではなく、5度〜15度の範囲内であれば、視差に対応する視差画像
の目視性が良好となる。また、傾きをこの範囲とすると、立体印刷向きとなり、そのレン
ズシート12を90度傾けて観測する場合は、モーション印刷や変り絵印刷などの変化系
印刷向きとなる。なお、シート端12Etは、上述したように、レンズシート12の主走
査方向(印刷方向)における印刷が開始される側のシート端である。
<プリンタの全体的な構成について>
図4他に示すように、プリンタ10は、キャリッジモータ(CRモータ22)によって
キャリッジ30を主走査方向に往復動させるキャリッジ機構20、PFモータ41(紙送
りモータに対応)によってレンズシート12を搬送する用紙搬送機構40等があり、その
他、図4に示す制御部100が存在する。
ここで、キャリッジ機構20の詳細について説明する。キャリッジ機構20は、図4お
よび図5他に示すように、キャリッジ30を具備している。また、キャリッジ機構20は
、キャリッジ30を摺動可能に保持するキャリッジ軸21と、キャリッジモータ(CRモ
ータ22)と、このCRモータ22に取り付けられている歯車プーリ23と、無端のベル
ト24と、歯車プーリ23との間にこの無端のベルト24を張設する従動プーリ25と、
リニアエンコーダ80と、を備えている。なお、キャリッジ機構20を揺動させて、主走
査方向を副走査方向(=レンズシート12の搬送方向)に対して斜めとする揺動機構を加
えるようにしても良い。
図5等に示すように、プラテン50に対向する状態で、キャリッジ30が設けられてい
る。キャリッジ30には、図4等に示すように、各色のインクカートリッジ31が着脱可
能に搭載されている。また、キャリッジ30の下部には、印刷ヘッド32が設けられてい
る。図6に示すように、印刷ヘッド32には、ノズル33aがレンズシート12の搬送方
向(副走査方向)に列状に配置され、それぞれの色のインクに対応したノズル列33を形
成している。なお、本実施の形態では、ノズル列33は、例えば180個のノズル33a
から構成されており、このうち、180番目のノズル33aが給紙側、1番目のノズル3
3aが排紙側に位置している。
また、キャリッジ30の下部に設けられ、各インクに対応づけられたノズル列33には
、ノズル33a毎に、ピエゾ素子(不図示)が配置されている。このピエゾ素子の作動に
より、インク通路の端部にあるノズル33aからインク滴を吐出することが可能となって
いる。なお、印刷ヘッド32は、ピエゾ素子を用いたピエゾ駆動方式に限られず、例えば
、インクをヒータで加熱し、発生する泡の力を利用するヒータ方式、磁歪素子を用いる磁
歪方式、静電気力を利用した静電方式、ミストを電界で制御するミスト方式等、その他の
方式を用いるようにしても良い。
また、図5等に示すように、プリンタ10は、用紙搬送機構40を具備している。用紙
搬送機構40は、レンズシート12等を搬送するためのPFモータ41(図4参照)、お
よび普通紙等の給紙に対応する給紙ローラ42を具備している。また、給紙ローラ42よ
りも排紙側には、レンズシート12を搬送および/または挟持するためのPFローラ対4
3が設けられている。なお、PFローラ対43のうち、PF駆動ローラ43aは、PFモ
ータ41からの駆動力が伝達され、レンズシート12の1ステップずつの搬送を可能とし
ている。
また、PFローラ対43の排紙側には、プラテン50および上述の印刷ヘッド32が上
下に対向する様に配設されている。プラテン50は、PFローラ対43によって印刷ヘッ
ド32の下へ搬送されてくるレンズシート12を、下方側から支持する。また、プラテン
50よりも排紙側には、上述のPFローラ対43と同様の、排紙ローラ対44が設けられ
ている。この排紙ローラ対44のうち、排紙駆動ローラ44aには、PF駆動ローラ43
aと共に、PFモータ41からの駆動力が伝達される。
また、プリンタ10のうち、排紙側とは逆の後端側かつ給紙ローラ42の下方側には、
開口部45が設けられている。開口部45は、レンズシート12等の折り曲げ困難な印刷
対象物を、プリンタ10の後端側で通過させるための開口部分である。なお、レンズシー
ト12は、単体で開口部45を通過する以外に、トレイ等に載置された状態で通過するよ
うにしても良い。
また、図1および図8等に示すように、キャリッジ30の下面とプラテン50の間の部
位には、レンズシート12における凸レンズ12A1のレンズピッチ(またはレンズ位置
)を検出する、レンズ検出手段としてのレンズ検出センサ60が配置されている。レンズ
検出センサ60は、光の投受光方式(透過方式)のセンサであって、図1および図8等に
示すように、発光部61と、受光部62とを有している。これらうち、発光部61は、搬
送されるレンズシート12よりもプラテン50側(下方側)に設けられている。また、受
光部62は、搬送されるレンズシート12よりもキャリッジ30側(上方側)に設けられ
ている。なお、発光部61が設けられる部位は、プラテン50には限られず、その他の固
定的な部位に設けるようにしても良く、また、プラテン50の前端側に設けるようにして
も良い。このように、発光部61をプラテン50の後端側に設けることにより、後述する
発光部61と受光部62とが対向することとなる。
これらのうち、発光部61は、多数の発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode
)から構成されている。なお、LEDとしては、可視光または赤外光等の種々の波長の光
を発するものがあるが、眩しさを抑える場合、赤外光を発する赤外LEDを用いるのが好
ましい。また、発光部61は、プラテン50の後端側に存在する凹陥部51に設けられて
いる。凹陥部51は、プラテン50の他の部分よりも窪んでいる部分である。この凹陥部
51は、光源群611(光源612)が拡散板613に対して一定の距離だけ離間可能と
なるように、一定以上の深さ寸法を有する状態に設けられている。
また、上述のように、光源群611は、多数の光源612が主走査方向に並べられてい
る。また、光源612は、所定の間隔毎に配置されていると共に、光源612の指向性を
考慮して、レンズシート12に対して一定の間隔だけ離間する状態で配置されている。そ
れにより、光源612から出射された光は、拡散板613に対して、若干の広がりを有し
た状態で照射される。また、拡散板613は、光源612から出射された光の進行方向を
種々変更する。それにより、拡散板613を通過した光は、コントラストの均一化が図ら
れた状態で、レンズシート12に向かって出射される。
なお、本実施の形態では、光源612が並べられた光源群611は、レンズシート12
の規定の幅よりも大きくなるように設けられている。そのため、レンズシート12に対し
て入射される光のコントラストに、大きな差異が生じないように設けられている。また、
光のコントラストを一層低減したい場合には、光源群611を構成する光源612の配置
を変更して、多数の光源612を千鳥状となるように配置するようにしても良い。
また、受光部62は、例えば図6示すように、キャリッジ30の下面に取り付けられて
いて、しかも、主走査方向において、例えばホームポジションから離間する部位、かつ副
走査方向において給紙側に取り付けられている。しかしながら、受光部62の取付位置は
、かかる部位には限られず、キャリッジ30の下面のうち、例えば主走査方向の中央部に
取り付けられる構成としても良い。
本実施の形態では、受光部62は、基体部621、受光素子623およびスリット板6
24を有している。このうち、基体部621は、受光素子623を取り付ける部分であり
、該受光素子623を取り付ける収納部622を有している。この収納部622は、四方
が板状部材で囲まれる状態となっている。そして、板状部材で囲まれた収納部622に受
光素子623が取り付けられ、下面側のみが開放している。それによって、一定の拡散光
の受光を防止するように構成されている。
また、受光素子623は、例えばフォトトランジスタ、フォトダイオード、フォトIC
等のような、受光した光を電気信号に変換することが可能な素子である。また、収納部6
22の下面側には、スリット板624が取り付けられている。このスリット板624には
、光の通過を許容するスリット624aが形成されていて、該スリット624aを介して
所定の方向の光(図1においては光軸Lに沿う方向の光)の受光を許容する構成となって
いる。
なお、スリット624aの幅寸法は、凸レンズ12A1のレンズ幅の1/2以下である
ことが望ましい。しかしながら、スリット624aの幅寸法が狭すぎる場合、プラテン5
0とキャリッジ30との間のギャップ調整がシビアになり、良好な検出が行えなくなる虞
がある。このため、スリット624aの幅寸法は、一定の寸法値以上とする必要がある。
また、スリット板624のうち、スリット624a以外の部分に照射された光は、該スリ
ット板624によって遮断される。かかる構成により、光軸Lに沿う方向以外の拡散光が
受光素子623で受光されるのが防止されている。
また、上述のようなスリット板624を設けない構成を採用しても良い。この場合には
、受光素子623におけるレンズピッチの検出精度は悪化するものの、各凸レンズ12A
1の有する集光作用等により、レンズシート12のレンズピッチの検出は可能である。
また、本実施の形態では、受光部62は、レンズシート12の搬送状態において、該レ
ンズシート12に接触しないものの、このレンズシート12に対して搬送性を悪化させな
い程度に近接する配置となっている。それにより、発光部61から出射された光は、境界
面Qのうち各凸レンズ12A1の曲率中心を焦点として拡散するが、光はさほど拡散しな
い状態で受光部62に入射される。
なお、発光部61が、図1に示すような直下方式を採用する場合、その構成は、発光ダ
イオードを多数並べるものには限られず、主走査方向を長手とするライン状光源を用いる
ようにしても良い。ライン状光源としては、具体的には、陰極蛍光ランプ(CFL;Cath
ode Fluorescent Lamp)、冷陰極蛍光ランプ(CCFL;Cold Cathode Fluorescent Lam
p)またはエレクトロルミネセンス(EL;Electro Luminescence)を用いることが可能
である。また、発光部61は、その他、可視光または赤外光のようなレーザ光を生じさせ
ることが可能なレーザ発振器、ランプ等を用いるようにしても良い。
また、発光部としては、直下方式を採用せずに、エッジライト方式の構成を採用するよ
うにしても良い。この場合、発光部は、主走査方向の端部に配置される光源と、光源の光
を主走査方向側に向けて反射するリフレクタと、光が内部を進行すると共に主走査方向を
長手とする導光板と、導光板の下面側、側面側および導光板の長手方向の他端側に取り付
けられ光を反射する反射部材と、上面側に向かって出射される光を拡散させる拡散フィル
ムと、導光板の下面に配置され光を拡散させる反射ドットと、を有するものとするのが好
ましい。
また、レンズシート12とノズル33aとの間の距離PGを測定すべく、キャリッジ3
0の下面には、レンズ検出センサ60以外に、ギャップ検出センサ70が存在するのが好
ましい。図9は、距離PGを検出するギャップ検出センサ70の説明図である。図9に示
すように、ギャップ検出センサ70は、発光部71と、2つの受光部(第1受光部72a
及び第2受光部72b)とを有する。発光部71は、発光ダイオードを有し、レンズシー
ト12に光を照射する。第1受光部72aおよび第2受光部72bは、受光した光量に応
じた電気信号を出力する受光素子をそれぞれ有する。なお、第2受光部72bは、第1受
光部72aと比較して、発光部71から遠い位置に設けられている。
発光部71から発せられた光は、レンズシート12に照射されると共に、反射される。
反射された光は、上述の受光素子に入射され、この受光素子において入射した光量に応じ
た電気信号に変換される。ここで、距離PGが小さい場合、レンズシート12によって反
射された光は、主に第1受光部72aに入射されるが、第2受光部72bには拡散光しか
入射されない。したがって、第1受光部72aの出力信号は、第2受光部72bの出力信
号よりも大きくなる。
一方、距離PGが大きい場合、反射された光は、主に第2受光部72bに入射され、第
1受光部72bには拡散光しか入射されない。したがって、第2受光部72bの出力信号
は、第1受光部72aの出力信号よりも大きくなる。このため、第1受光部72aと第2
受光部72bの出力信号の比と距離PGとの関係を予め求めておけば、該出力信号の比に
基づいて、レンズシート12等に対応する距離PGを検出することが可能である。この場
合、受光部72a,72bの出力信号の比と距離PGとの関係に関する情報をテーブルと
してROM102や不揮発性メモリ104に記憶しておくのが良い。
このような出力信号の検出を、キャリッジ30を主走査方向へ駆動させつつ行う。この
駆動に際して、後述するリニアエンコーダ80の位置検出と対応させることにより、レン
ズシート12の主走査方向における距離PGを検出することが可能となる。
なお、ギャップ検出センサ70は、上述のレンズ検出センサ60と兼用可能である。こ
の場合、発光部61の光軸が傾斜するように配置し、距離PGに応じて第1受光部72a
と第2受光部72bとの間における出力信号の比が変化するようにすれば、ギャップ検出
センサ70とレンズ検出センサ60とを兼用させることが可能となる。
また、図4等に示すように、キャリッジ機構20には、位置検出手段に対応するリニア
エンコーダ80が設けられている。リニアエンコーダ80は、黒色の印刷部分と光を透過
する透明部分とからなるラインパターンが繰り返されるスケール81と、スケール81に
向けて光を出力すると共に、該スケール81から反射される光を、電気的な信号(エンコ
ーダ信号;以下、ENC信号とする。)に変換して制御部100に送信するリニアセンサ
82と、を有している。
ここで、本実施の形態においては、キャリッジ機構20には、支持軸に対応するキャリ
ッジ軸21を揺動させるための揺動機構が設けられていないが、揺動機構を設けるように
しても良い。すなわち、印刷ヘッド32そのものを図18のように傾斜させながら、かつ
副走査方向に対して90度を超える角度を持つ方向に駆動させたり、図19に示すように
、印刷ヘッド32のみを傾斜させて駆動するようにしても良い。
<信号形成部の構成および信号処理の概要について>
次に、信号形成部90の構成について説明する。図10に示すように、信号形成部90
は、フィルタ91と、アンプ(AMP)92と、2値化処理部93とを具備している。こ
れらのうち、フィルタ91は、信号線94の一端側と接続されている。信号線94の他端
側は、上述した受光部62(受光素子623)に接続されている。このため、受光部62
で発生したアナログ信号は、この信号線94を介してフィルタ91に伝達されるが、フィ
ルタ91では、アナログ信号(図11参照)のうち所定の帯域以外の周波数成分が除去さ
れる。それにより、図11に示すようなデジタル信号(レンズ信号;検出信号に相当)が
生成される。
また、フィルタ91を通過した信号は、AMP92に入力され、所定の電圧等(一例と
して、40倍等)に増幅される。かかる増幅が為された信号は、続いて2値化処理部93
に入力され、該入力された信号を、しきい値を超えたか否かで、HレベルまたはLレベル
の2値の信号(2値化信号)とする。この状態で、後述する制御部100に2値化信号を
入力し、Hレベルの信号および/またはLレベルの信号の切り替わりタイミングを検出す
ることにより、レンズシート12のレンズピッチが計測可能となる。
<プリンタの制御部について>
次に、制御部100について説明する。制御部100は、各種の制御を行う部分であっ
て、制御手段および判断部に対応する部分であり、レンズ検出センサ60、レンズシート
検出のためのレンズシート検出センサ63(図6参照)、ギャップ検出センサ70、リニ
アセンサ82、後述するロータリエンコーダ132、プリンタ10の電源をオン/オフす
る電源SW等)の各出力信号が入力される。図3に示すように、制御部100は、CPU
101、各種のプログラムを記憶するROM102、データを一時的に蓄えるRAM10
3、不揮発性メモリ(PROM)104、ASIC105、ヘッドドライバ106等を具
備していて、これらがバス107を介して接続されている。そして、これらの協働、また
は特有の処理を行う回路を追加する等によって、以下に述べる処理フローが実現される。
なお、以下の図12、図14および図16における処理フローを実行する構成は、ハー
ドウェア的に実現されても良く、またソフトウェア的に実現されても良い。
また、図4に示すように、プリンタ10は、制御部100と接続されるインターフェー
ス131を具備している。このインターフェース131を介して、プリンタ10は、コン
ピュータ130に接続されている。また、プリンタ10は、ロータリエンコーダ132を
具備している。ロータリエンコーダ132は、上述のリニアエンコーダ80とは異なり、
スケール132aが円盤状とされている。しかしながら、それ以外の構成は、リニアエン
コーダ80と同様となっている。
<印刷を行うための基本的な処理フローについて>
以上のような構成のプリンタ10を用いて、レンズシート12に対して印刷を行うため
の基本的な処理フローを、図12に基づいて説明する。
プリンタ10の電源オン状態で、最初にレンズシート12の凸レンズ12A1が、傾斜
しているか否かを判断する(ステップS10;情報獲得工程に対応)。この判断を行うこ
とにより、後述する印刷データが、凸レンズ12A1の傾斜に対応させて形成すべきか(
凸レンズ12A1の長手が副走査方向に対して傾斜しているか)、または通常のレンズシ
ート12への印刷のように凸レンズ12A1の長手が副走査方向に沿うかが定まる。この
判断において、Yesの場合(凸レンズ12A1の長手が傾斜している場合)、ステップ
S20に進行する。また、Noの場合(凸レンズ12A1の長手が副走査方向に沿ってい
る場合)、後述するステップS50に進行する。
上述のステップS10においてYesの場合、続いて、傾斜角度(図2における傾斜角
度θ)がどれぐらいか、算出する処理を行う(ステップS20)。この算出は、例えば図
12に示すように、地点Aと、この地点Aに対して副走査方向に沿って所定距離だけ離間
している地点Bとの間の距離Qを計測する。また、副走査方向に垂直な方向、すなわち凸
レンズ12A1の横断方向に沿う直線上の地点Aに対する右隣または左隣のいずれか(図
13(A)では右隣)に存在する谷部分までの距離ALと、上述の横断方向上の地点Bに
対する右隣または左隣のいずれか(図13(A)では右隣)に存在する谷部分までの距離
BLとを計測する。そして、これら距離AL,BLおよび距離Qの計測が終了した後に、
続いて、傾斜角度θの計算を行う。「θ」を度で表す場合、傾斜角度θは、θ=ATAN
(Δ/Q)×180/πによって求められる。なお、Δは、距離BLと距離ALとの間の
差分である。以上のようにして、凸レンズ12A1の傾斜角度θが算出される。
上述の傾斜角度θの算出の後に、傾斜角度θの情報を反映させて、印刷すべき印刷デー
タを作成する処理を行う(ステップS30;以下、ステップS50まで印刷工程に対応)
。この処理により、印刷データが作成されると、印刷を実行する(ステップS40)。ま
た、上述のステップS10の判断において、Noの場合(凸レンズ12A1の長手が副走
査方向に沿っている場合)、凸レンズ12A1が傾斜していない状態の、印刷データを作
成する処理を行う(ステップS50)。
なお、ステップS50においては、レンズ解像度(凸レンズ12A1の本数)と、印刷
解像度、印刷サイズに応じて、解像度変換が為され複数枚の原画像データが合成された後
の目視画像データにおける画像サイズの計算(通常は、原画像データの圧縮となる)が行
われる。次に、個々の凸レンズ12A1内の画素数Rを求める。画素数Rは、個々の凸レ
ンズ12A1内に打てるドット数に対応する。次に、個々の凸レンズ12A1内における
、1画像データ当たりの画素数(ドット数)Lを求める。この画素数Lは、ドット数Lを
、原画像データの枚数で除算することにより、求められる。以上のようにして、解像度変
換がなされ、かかる解像度変換を、原画像データのそれぞれに対して行う。そして、定め
られている順番(目視角度順)に、解像度変換後の細分化された圧縮原画像データを並べ
て配置する。それにより、1つの凸レンズ12A1内に配置される、短冊状の細分化画像
データが作成される。
また、作成された細分化画像データを、凸レンズ12A1の短手方向の並びの順に配置
することにより、複数の原画像データの情報が反映された、目視画像データが作成される
。なお、この後に、色変換処理を実行し、目視画像データのR,G,B系で表現される色
成分が、プリンタ10で印刷および/または表現可能なシアン(C),マゼンタ(M),
イエロー(Y),ブラック(K)系の色成分に変換される。さらに、色変換が為された目
視画像データに対して、ハーフトーン処理が行われる。ここで、ハーフトーン処理とは、
原画像データの階調値(本実施の形態では256階調)をプリンタ10が画素毎に表現可
能な階調値に減色する処理をいう。ここで、「減色」とは、色を表現する階調の数を減ら
すことをいう。なお、具体的には、記録率テーブルを参照して、例えば、「ドットの形成
なし」、「小ドットの形成」、「中ドットの形成」、および「大ドットの形成」の4階調
への減色を行う。なお、このハーフトーン処理においては、誤差拡散法、ディザ法といっ
た手法を用いて、ドットの分散処理が行われる。
さらに、ハーフトーン処理が為された画像データから、印刷データを生成する処理が実
行される。ここで、印刷データとは、各主走査時のドットの記録状態を示すラスタデータ
と、副走査送り量を示すデータとを含むデータであり、分散テーブルの分散データを参照
して作成される。なお、印刷データは、通常の印刷データに対し、鏡像反転させられたデ
ータとなっている。以上が、プリンタ10による印刷を行う際の、基本的な処理フローで
ある。
<凸レンズ12A1が傾斜している場合の印刷データ作成の処理フローについて>
続いて、上述のステップS10の判断において、凸レンズ12A1が傾斜していると判
断された場合(Yesの場合)に、ステップS30にて行う印刷データを作成するための
処理について、図14に基づいて説明する。
最初に、作成される印刷データが、連続画素配置に対応するか、または離間画素配置に
対応するかを判断する(ステップS301)。ここで、連続画素配置とは、図15に示す
ように、各視差に対応する、原画像データを圧縮して得られる圧縮原画像データを構成す
る画素データが、凸レンズ12A1の長手方向に沿って連続的(列状)に配置される状態
をいう。これに対して、離間画素配置とは、図16に示すように、各視差に対応する上述
の圧縮原画像データを構成する画素が、凸レンズ12A1の長手方向に沿って配置される
ものの、連続的(列状)ではなく、他の画素データを挟んで離間した状態で配置される状
態をいう。なお、印刷データが連続画素配置に対応させるか、または離間画素配置に対応
させるかは、原画像データの数(視差数)によって判断するようにしても良い。しかしな
がら、例えば画質等、他の要素によって判断するようにしても良い。
図15に示す連続画素配置では、4つの画像1,2,3,4の画素は1次元的に配置さ
れている。すなわち、画像1の画素1a1、画像2の画素2a1、画像3の画素3a1、画
像4の画素4a1が主走査方向に、一列に並んで配置されると共に、その後の画素1a2
2a2,3a2,4a2,・・・も同じ関係を保ちながら副走査方向に伸びている。画素1
a系で1つの凸レンズ12A1中の1つの部分視差画像を形成し、画素1a系、1b系、
・・・で、1つの細分化視差画像を形成している。
図16に示す離間画素配置では、6つの画像1,2,3,4,5,6の画素は2次元的
に配置されている。すなわち、画像1の画素1a1の右隣に画像3の画素3a1、その右隣
に画像5の画素5a1を配置し、画像1の画素1a1の副走査方向(図16では、下側)に
画像6の画素6a1、その右隣に画像2の画素2a1、その右隣に画像4の画素4a1が配
置されている。この場合も、画素1a系で1つの凸レンズ12A1中の1つの部分視差画
像を形成し、画素1a系、1b系、・・・で、1つの細分化視差画像を形成している。図
では、画素3a系の部分視差画像を斜線で示している。ここで、太い点線の小さい四角部
分12Bは、視差画像の配置領域(=視差領域)を示し、太い実線部分12Cは、視差数
分の視差領域(以下、視差域と呼ぶ。)を示し、斜めに伸びる細い点線部分12Dは、視
差境界のイメージラインを示している。また、斜めに伸びる実線部分12Fは、各凸レン
ズ12A1の物理的境界を示している。
ここで、離間画素配置の方が、図15に示す連続画素配置よりも、目視可能(配置可能
)な原画像データの枚数が多くなる。すなわち、視差数を多くしやすいものとなる。これ
は2次元配置の利点である。なお、離間画素配置や連続画素配置においては、共に目視す
る際のレンズシート12の回転は、基準方向L(この方向が、基準軸方向および回転軸方
向に相当)を基準としていて、ユーザの目も、基準方向Lを基準としている。
なお、離間画素配置では、レンズシート12を連続的に回転させる場合、目視される画
素は、例えばマトリクス状の配置の画素が、連続的に切り替えられる。また、本実施の形
態では、ユーザがレンズシート12を通して目視する絵柄は、立体画像に対応している。
そのため、各画素は近似しており、上述のような離間画素配置を採用しても、ユーザは良
好に目視可能となっている。なお、目視される画像としては、立体画像ではなく、見る角
度を変えて動く画像(アニメーション)としても、同様に、ユーザは良好に目視可能とな
る。これは、図16に示すように、離間画素配置においても、例えば画素1a,1b,・
・・と画素2a,2b,・・・と画素3a,3b,・・・等は、共に、基準方向Lに対し
て同一の角度となるためである。
上述のステップS301の判断において、Yesの場合(連続画素配置に対応する場合
)、続いて各圧縮原画像データの回転処理を行う(ステップS302)。この回転処理に
おいては、上述のステップS20において検出された、傾斜角度θの分だけ、各圧縮原画
像データを回転させる処理を行う。次に、連続画素配置に対応する一時画像データを作成
する(ステップS303)。この場合、回転処理が為された各圧縮原画像データに対して
、紙送り方向に対応する方向に沿って、凸レンズ12A1のレンズピッチに対応させて、
細分化する。なお、細分化に先立って、本実施の形態では、解像度変換処理を行い、原画
像データに対して、画像データの圧縮を経て、各圧縮原画像データを得る。そして、この
圧縮原画像データから短冊状の細分化画像データを作成する。次に、短冊状の細分化画像
データを、目視時に切り替わる順番で配置する。このようにして、一時画像データが得ら
れる。
続いて、ステップS303で作成された一時画像データに対して、先のステップS30
2とは逆向きに、同一の回転角度θだけ回転させる、逆回転処理を行う(ステップS30
4;このとき作成される画像データを、視差画像データとする。)。この逆回転により、
それぞれの原画像データに対応する細分化画像データの境界が、凸レンズ12A1の長手
に沿う状態となる。
上述のステップS304で作成された視差画像データに対して、上述と同様のハーフト
ーン処理を行う(ステップS305)。なお、ハーフトーン処理は、複数の圧縮原画像デ
ータの個々に対し行う等、ステップS304よりも前の段階で行うようにしても良い。ハ
ーフトーン処理が為された画像データから、印刷データを生成する処理が実行され、処理
が終了する。ここで、印刷データとは、各主走査時のドットの記録状態を示すラスタデー
タと、副走査送り量を示すデータとを含むデータであり、分散テーブルの分散データを参
照して作成される。なお、印刷データは、通常の印刷データに対し、鏡像反転させられた
データとなっている。
また、上述のステップS301において、離間画素配置に対応すると判断される場合、
次に、印刷を行うプリンタ10が、斜め吐出に対応しているか否か(上述の揺動機構を備
えるか否か、または揺動機構を備える場合には、それが使用可能な状態であるか否か)を
判断する(ステップS310)。ここで、斜め吐出とは、ノズル列33が紙送り方向に沿
う列とはならず、凸レンズ12A1の傾斜角度θに対応する角度だけ傾斜している状態(
図18、図19参照)をいう。
また、上述のステップS310の判断において、斜め吐出に対応していると判断される
場合、続いて、斜め吐出に対応した視差画像データを作成する(ステップS311)。ス
テップS311によって、斜め吐出用の目視画像データが作成されると、続いて上述のス
テップS305に示すハーフトーン処理に移行する。なお、斜め吐出に対応していないプ
リンタ10の場合、このステップS310とS311が省略された処理フローとすること
が好ましい。
また、上述のステップS310において、プリンタ10が斜め吐出に対応していないと
判断される場合(Noの場合)、上述したステップS302と同様の、各圧縮原画像デー
タの回転処理を行う(ステップS312)。この回転処理においても、凸レンズ12A1
の傾斜角度θの分だけ、各圧縮原画像データを回転させる処理を行う。
ステップS312の次に、離間画素配置に対応する一時画像データを作成し、視差画像
となる目視画像データを作成する(ステップS313)。このとき、上述のステップS3
03と同様に、回転処理が為された各圧縮原画像データに対して、紙送り方向に対応する
方向に沿って、凸レンズ12A1のレンズピッチに対応させて、細分化する。なお、細分
化の処理に先立ち、離間画素配置に対応させて、紙送り方向においても、各原画像データ
を圧縮する処理を行う。この場合、凸レンズ12A1の長手方向に沿って配置される細分
化画像データの個数に応じて、各原画像データが圧縮される。そして、この圧縮が終了し
た後に、圧縮後の各圧縮原画像データを、凸レンズ12A1と、それぞれの圧縮原画像デ
ータにおける画素データとを、1つずつ並べてマトリクスを形成することにより、マトリ
クス状の細分化画像データが得られる。このようにして、一時画像データが作成される。
この一時画像データが作成された後に、当該一時画像データに対して、先のステップS
312とは逆向きに、同一の回転角度だけ回転させる、逆回転処理を行う(このとき作成
される画像データは、目視画像データに対応)。この逆回転により、それぞれの原画像デ
ータに対応する細分化画像データの境界が、凸レンズ12A1の長手に沿う状態となり、
離間画素配置に対応する目視画像データが作成される。なお、図16に示すような2次元
配置(離間画素配置)の場合は、ステップS312,S313の回転と逆回転の処理は不
要となるが、各凸レンズ12A1の物理的境界を示す実線部分12Fに沿って、離間画素
が配置される場合は、ステップS312,S313中の回転と逆回転の処理は必要となる
なお、このようにして目視画像データが作成されると、続いて上述のステップS305
に示すハーフトーン処理に移行する。以上が、凸レンズ12A1が傾斜している斜めレン
ズシートに印刷を行う際の、印刷データを作成するための処理フローである。
<印刷を実行する際の処理フローについて>
続いて、上述のステップS10の判断において、凸レンズ12A1が傾斜していると判
断された場合(Yesの場合)に、印刷を実行するための処理(ステップS40)につい
て、図17に基づいて説明する。
印刷を実行する場合、まず、目視画像データを基とする印刷データのピッチ調整を行う
(ステップS401)。このピッチ調整においては、インク滴の吐出に対応するドットの
データが、凸レンズ12A1の谷間の部分に存在する場合に、いずれかの凸レンズ12A
1側にそのドットのデータが含まれるように調整する。この場合、ドットのデータが跨る
割合に応じて、いずれかの凸レンズ12A1側に含まれるように、調整する。なお、この
ピッチ調整は、ステップS303やステップS313の中で行うようにしても良い。また
、凸レンズ12A1を跨るドットの場合、どちらの凸レンズ12A1に入るかを調整する
ピッチ調整は、後述するENC信号での吐出のみに使用し、後述するレンズ信号での吐出
には使用しない。なぜなら、レンズ吐出は、どの凸レンズ12A1でも、同じドット数を
吐出するからであり、もし調整してしまうと、ピッチが合わなくなるからである。よって
、ピッチ調整がされた場合には、必ず、ENC信号での吐出となる。次に、レンズシート
12のシート端12Etを基準として、インク滴を吐出するか否かを判断する(ステップ
S402)。この判断において、シート端12Etを基準としてインク滴を吐出する場合
(Yesの場合)には、ENC信号に基づいて、インク滴を吐出する設定とする(ステッ
プS403)。ここで、ENC信号を基準とする場合とは、レンズピッチが正確である等
、一定の条件を満たす場合である。
また、上述のステップS402の判断において、シート端12Etを基準とせずに、イ
ンク滴を吐出する場合(Noの場合)には、レンズ信号を基準として、インク滴を吐出す
る設定とする(ステップS404)。この場合、上述のレンズ検出センサ60を用いて、
レンズシート12のレンズピッチを検出しながら、印刷を実行する状態となる。
また、上述のステップS403、ステップS404における設定が終了した後に、続い
て、上述のステップS310と同様に、プリンタ10が斜め吐出に対応しているか否か(
上述の揺動機構を備えるか否か、または揺動機構を備える場合には、それが使用可能な状
態であるか否か)を判断する(ステップS405)。この判断において、プリンタ10が
斜め吐出に対応していると判断される場合(Yesの場合)、続いて、斜め吐出に対応す
る設定とする(ステップS406)。また、上述のステップS405において、プリンタ
10が斜め吐出に対応していないと判断される場合(Noの場合)、斜め吐出ではなく、
通常の吐出に対応する設定とする(ステップS407)。なお、斜め吐出に対応していな
いこのプリンタ10の場合、ステップS405とS406が省略された処理フローとする
ことが好ましい。
そして、上述のステップS406およびステップS407での設定が為された後に、各
設定に対応する印刷を実行する(ステップS408)。
ここで、各設定に対応する印刷の例を述べる。例えば、キャリッジ軸21の一端側をス
ライドさせることが可能な揺動機構を具備する場合、図18に示すように、印刷に際して
は、紙送り方向に対して、印刷ヘッド32の走査方向が直交しておらず、しかも、レンズ
シート12の凸レンズ12A1の長手が、ノズル列33の長手と一致する方向となってい
る。この場合、インク滴の吐出のタイミングは、レンズ信号を基準とする状態となる。そ
のため、レンズピッチに応じて、インク滴の吐出タイミングを調整しながら、印刷を実行
することになる。
なお、図18に示す状態においては、ノズル列33の長手が紙送り方向に沿う状態にお
ける紙送り量をLとすると、紙送り量W=Lcosθとなる。この紙送り量でPFモータ
41を駆動すると共に、レンズ信号をトリガとしてインク滴を吐出すれば、図2に示すよ
うな斜めレンズシートとなるレンズシート12に対して、良好な印刷を実行することがで
きる。なお、図18において、レンズピッチが正確である場合であって、レンズ信号とE
NC信号との整合性が良好である等の場合には、シート端12Etを検出した後に、EN
C信号を基準として、印刷を実行するようにしても良い。
また、例えばキャリッジ軸21が固定的であると共に、このキャリッジ軸21に対して
印刷ヘッド32が揺動する揺動機構を備える場合、図18に示す場合とは異なり、凸レン
ズ12A1内に配列されるインク滴のドットは、正方形状とはならなく、図19に示すよ
うな平行四辺形を形成する状態でドットがレンズシート12に付着する。このため、イン
ク滴の吐出に対応する印刷データを作成する場合、かかる平行四辺形状のドット配置に対
応させるように、印刷データを作成する。この場合、レンズ信号のエッジを基準としてド
ットを形成する場合、印刷ヘッド32の走査方向に沿って数ドット進行すると、図19に
おけるドット配置では、図18におけるドット配置よりも一つだけ紙送り方向において隣
に位置する画素データに対応させて、インク滴を吐出する状態となる。
なお、図19に示す場合、印刷ヘッド32の主走査方向は、凸レンズ12A1の幅方向
に対して、若干傾斜しているため、主走査方向に沿う凸レンズ12A1の横断距離は、凸
レンズ12A1の幅方向よりも長い。そのため、印刷ヘッド32は、1つの凸レンズ12
A1につき、打てるドットの数を多くすることができる。
さらに、揺動機構を具備せずに、印刷ヘッド32の制御駆動のみで印刷を行う場合にお
いて、個々のノズル33aにおいてインク吐出のタイミングを独自に調整可能であれば、
図20において示すように、平行四辺形状のドット配置で印刷を実行することができる。
この方法で印刷を行う場合については後述する。なお、この場合も、インク吐出は、レン
ズ信号をトリガとして吐出する状態となる。
<補完レンズ信号の生成について>
ところで、図21(A)に示すように、図中矢印方向に搬送されるレンズシート12に
対して、キャリッジ30が、副走査方向の地点(1),(2),(3)から主走査方向に
移動したときのレンズ信号は、図21(B)に示すようになる。レンズ信号(1)は、地
点(1)におけるレンズ信号を示す。レンズ信号(2)は、地点(2)におけるレンズ信
号を示す。また、レンズ信号(3)は、地点(3)におけるレンズ信号を示す。
レンズ信号(1),(2),(3)から判るように、最初に出力されるレンズシート1
2のシート端12Etの部分のレンズ信号は、シート端12Etに沿う位置にある凸レン
ズ12A1(凸レンズ12A11)が、シート端12Etの外側において欠損しているこ
とにより、凸レンズ12A1があるにも関わらず、パルスが現れなかったり(レンズ信号
(1))、パルス幅が狭くなってしまっている(レンズ信号(2),(3))。
レンズ信号(2),(3)に現れている当該狭いパルス幅のパルスを基準にしてインク
滴を吐出すると、当該狭いパルス幅に、通常の幅の凸レンズ12A1の1本分の吐出信号
が印字信号として存在することになり、インク滴を吐出した場合に、ドットが詰め込まれ
る状態となる。そのため、目視される絵柄も、横方向に圧縮された状態となるか、または
インク滴の混じり合いにより、にじんだような状態となり、好ましくない画像が印刷され
てしまう。
そこで、以下に説明するように、シート端12Etにおいて凸レンズ12A1が欠損し
ていても、この凸レンズ12A1に対応するパルスの幅を、主走査方向の他のタイミング
におけるパルス幅と同じ幅とした補完レンズ信号を生成し、この補完レンズ信号に基づい
てインク滴を吐出することにより、好ましくない画像の印刷が行われないようにする。図
22(A)には、図21に示されるレンズ信号(1),(2),(3)に対する補完レン
ズ信号が、補完レンズ信号(1’),(2’),(3’)として示されている。
図23に、レンズ信号から、補完レンズ信号、擬似ENC信号および吐出信号を生成し
、インク滴の吐出制御を行うレンズ信号処理制御部110の概略構成を示す。このレンズ
信号処理制御部110においては、先ず、補完レンズ信号生成部111においてバッファ
112を利用しながらレンズ信号から補完レンズ信号を生成する。そして、擬似ENC信
号生成部113において、補完レンズ信号から、ENC信号を利用して擬似ENC信号に
生成する。そうして、吐出制御部114において、擬似ENC信号からインクを吐出する
ための吐出信号を生成する。
補完レンズ信号生成部111におけるレンズ信号の補完処理について、レンズ信号(3
)を、例に採って、図24の処理フローおよび図25などを参照しながら説明する。なお
、レンズ信号(1),(2)においても、レンズ信号(3)について行われる処理と同様
の処理が行われる。ここでは代表例として、レンズ信号(3)のみ図25に取り出し、説
明することとする。レンズ信号(3)は、図25(A)に示すように、パルスP1,P2
3,…,Pn-2,Pn-1,Pnが、図21(A)に示すレンズシート12の凸レンズ12A
11,12A12,12A13,12A14,…,12A1(n−2),12A1(n−
1),12A1nに対応するパルスとなっている。
補完レンズ信号の生成に当たっては、先ず、レンズ信号(3)の隣り合うパルスのポジ
ティブエッジ(立上がり部)の間隔を、クロック信号のクロック数により計数し、この計
数値を凸レンズ12A1の配設間隔とする(ステップS500)。最初に検出される凸レ
ンズ12A11は、レンズシート12のシート端12Et側が欠損したレンズであるため
、レンズ幅が狭く検出される。したがって、最初のパルスP1と凸レンズA12を検出し
たパルスP2のポジティブエッジの間隔は、他のパルス間、たとえばパルスP2とP3のポ
ジティブエッジの間隔に比べて狭くなっている。つまり、最初の凸レンズ12A11と次
の凸レンズ12A12とのクロック数における間隔は700となっている。2番目以降の
凸レンズ12A12,12A13,…については、凸レンズ12A1が完全な形で存在す
るため、隣接する凸レンズ12A1同士のクロック数における間隔は1000となってい
る。凸レンズ12A1nについても、シート端12Eeの外側が欠損しているため、パル
スPnの幅は、他のパルスに比べ、狭くなっているが、前のパルスPn-1との間隔(配設間
隔)は、それ以前と同様、1000となっている。シート端12Eeは、レンズシート1
2の主走査方向への印刷方向における印刷が終了する側のシート端である。
クロック数として計数された凸レンズ12A1の配設間隔は、キャリッジ30の移動に
従って順次バッファ112に記録していく(ステップS500)。この際、レンズ信号(
3)の最初に検出されたパルスP1については、上述したように、レンズシート12のシ
ート端12Etの部分にある凸レンズ12A11であり、欠損しているので、ポジティブ
エッジ信号のバッファ112への記録は行わない。他のレンズ信号(1),(2)につい
ても同様に、最初に検出されたパルスについては、レンズシート12のシート端12Et
の部分にある凸レンズ12A11であり、欠損している可能性があるので、バッファ11
2へのポジティブエッジ信号の記録は行わないようにする。
バッファ112への凸レンズ12A1の配設間隔の記録は、図25(B)に示すように
行われる。図25(B)は、上から下に向う方向がキャリッジ30の進行方向に対応して
いる。バッファ112は、5本分の凸レンズ12A1についての配設間隔がクロック信号
の計数値として記録できるようになっている。図25(B)は、凸レンズA12と凸レン
ズA13の間隔と凸レンズA13と凸レンズA14の間隔がクロック数1000として記
録され、さらに、凸レンズA14と凸レンズA15の間隔が計測中である状態を示してい
る。
そして、所定本数の凸レンズ12A1を検出したところで(ステップS510)、バッ
ファ112内に記録されている凸レンズ12A1の配設間隔に基づき、補完レンズ信号(
3’)を生成する(ステップS520)。所定本数は、所定本数の凸レンズ12A1の幅
が、印刷ヘッド32とレンズ検出センサ60の受光部62との間隔よりも狭くなるように
設定する必要がある。その理由は、少なくとも印刷ヘッド32が、レンズシート12のシ
ート端12Etに到達する前に補完レンズ信号を生成し、インクの吐出に備える必要があ
るからである。本実施の形態では、レンズ信号(3)の4個目のポジティブエッジが検出
されるのを待って、補完レンズ信号の生成処理(ステップS520)を行うようにしてい
る。
補完レンズ信号(3’)の生成は、バッファ112に記録されている凸レンズ12A1
の配設間隔に基づいて行う。クロック数1000の配設間隔の最初の半分(500)はH
iの信号として、後の半分(500)は、Loの信号として、図25(C)に示す補完レ
ンズ信号(3’)を生成する。そして、この補完レンズ信号(3’)は、欠損している可
能性があるとして、バッファ112に記録されなかったレンズ信号(3)のパルスP1
代わりに、点線で示されるパルスP1’が補完されている。本実施の形態では、補完され
たパルスP1’は、パルスP2’を用いている。なお、パルスP2’はパルスP2に対応し、
パルスP3’はパルスP3に対応している。また、パルスP4’はパルスP4に対応している
この後、キャリッジ30がシート端12Eeに向かって移動するのに合わせて検出され
るレンズ信号(3)に基づき、補完レンズ信号(3’)を生成する(ステップS520)
。バッファ112は、上述したように5本分の凸レンズ12A1の配設間隔が記録するよ
うに構成されていて、キャリッジ30が移動するのに合わせて順次に記録されている凸レ
ンズ12A1の配設内容を更新していく(ステップS530)。
キャリッジ30が、レンズシート12のシート端12Etからシート端12Eeの側に
向かって移動すると、凸レンズ12A11,12A12,12A13,12A14,…,
12A1(n−2),12A1(n−1),12A1nに合わせて、図25(A)に示さ
れるようにパルスP1,P2,P3,P4,…,Pn-2,Pn-1,Pnのレンズ信号(3)が出
力される。そして、このレンズ信号(3)に基づいて、図25(C)に示される、補完レ
ンズ信号(3’)が生成されることになる。補完レンズ信号(3’)のパルスP1’,P2
’,P3’,P4’,…,Pn-2’,Pn-1’,Pn’は、それぞれレンズ信号(3)のパル
スP1,P2,P3,P4,…,Pn-2,Pn-1,Pnに対応している。
キャリッジ30が、レンズシート12のシート端12Ee側まで移動したかどうかは次
のようにして判断する。図26に、レンズシート12のシート端12Eeにおける印刷ヘ
ッド32、レンズ検出センサ60の受光部62、凸レンズ12A1の位置関係を示す。キ
ャリッジ30が、シート端12Etの側からシート端12Eeの側に移動して、レンズ検
出センサ60が、レンズシート12のシート端12Eeにある凸レンズ12A1nを越え
ると、その後には凸レンズ12A1が存在しないため、レンズ信号(3)の出力はなくな
る。そこで、凸レンズ12A1nのレンズ信号(3)のパルスPnが検出された後、所定
の距離をキャリッジ30が移動しても、レンズ信号(3)が検出されない場合は、レンズ
検出センサ60は、レンズシート12のシート端12Eeを検出したと判断する。その所
定の距離は、例えば、この凸レンズ12A1nの直前に検出された凸レンズ12A1(n
−1)との間隔の1.5倍に相当する距離とする。この距離をキャリッジ30が移動して
も、レンズ信号(3)が検出されない場合に、キャリッジ30が、受光部62の位置にお
いてレンズシート12のシート端12Eeを越える位置に移動したと判断する(ステップ
S540)。
レンズシート12のシート端12Eeにおいても、図26に示すように、凸レンズ12
A1nが欠損している場合がある。この場合も、シート端12Etにける凸レンズ12A
11が欠損しているときと同様に、レンズ信号のパルス幅が狭いパルスPnが生じること
になる。そして、当該狭いパルス幅に、通常の幅の凸レンズ12A1の1本分の吐出信号
が存在すると、インク滴を吐出した場合に、ドットが詰め込まれる状態となり、目視され
る絵柄が好ましくないものとなる。
そこで、レンズ検出センサ60の受光部62が、レンズシート12のシート端12Ee
に到達したと判断された場合には(ステップS540)、図25(C)に示す補完レンズ
信号(3’)のように、凸レンズ12A1nに対応するパルスPn’として、凸レンズ1
2A1nの直前にある凸レンズ12A1(n−1)とのレンズ間隔に対応するパルスPn-
1’を用いて補完処理を行う。
以上のようにして、補完レンズ信号(3’)は生成される。そして、補完レンズ信号(
3’)に基づいてインク滴を吐出することによりレンズ信号(3)に幅が狭いパルスがあ
っても、他の部分と同程度の印刷品質を確保できる。
補完レンズ信号(3’)は、キャリッジ30が移動するのに合わせてレンズ信号(3)
に基づいて生成されていく。そして、印刷ヘッド32が、レンズシート12のシート端1
2Etに到達するのに合わせて、補完レンズ信号(3’)に基づいて生成されるインクの
吐出信号に基づいてインク滴の吐出を開始する。
本実施の形態においては、図6に示すように、キャッリジ30に設けられていると受光
部62は、印刷ヘッド32よりも主走査方向に先行する位置に配設されている。したがっ
て、レンズ信号(3)が検出されてから、受光部62と印刷ヘッド32の距離T分をキャ
リッジ30が移動したときに、インク滴の吐出が開始されることになる。なお、レンズ検
出センサ60の受光部62は、印刷ヘッド32よりも主走査方向において先行させて配設
する必要がある。それは、レンズ検出センサ60からレンズ信号(3)が出力されてから
、補完レンズ信号(3’)を生成し、そしてこの補完レンズ信号(3’)に基づいて後述
するように吐出信号を生成した後、この吐出信号に基づいてインク滴の吐出を行うため、
レンズ信号(3)の出力からインク滴の吐出までにはタイムラグがあるからである。
補完レンズ信号生成部111でキャリッジ30の移動に従って順次生成される補完レン
ズ信号(3’)は、生成されるのに合わせて擬似ENC信号生成部113に出力され、擬
似ENC信号として生成される。この擬似ENC信号は、補完レンズ信号(3’)をEN
C信号の解像度に合わせて定倍して擬似ENC信号として生成する。例えば、レンズの配
設ピッチが45lpiであり、ENC信号の解像度が180dpiであるときは、補完レ
ンズ信号(3’)の周期を、ENC信号の解像度に合わせるため、補完レンズ信号(3’
)の周期を4倍(180÷45)にした信号を擬似ENC信号とする。
そして、さらに、この擬似ENC信号に基づいて、吐出制御部114において、インク
の吐出信号を生成する。この吐出信号に基づいてインク滴の吐出が行われる。この吐出信
号は、擬似ENC信号を印字解像度に合わせて定倍して吐出信号として生成する。例えば
、印字解像度が1440dpiであれば、擬似ENC信号の周期を、印字解像度に合わせ
るため、8倍(1440÷180)した信号を吐出信号とする。
プリンタ10は、キャリッジ30を主走査走行へ移動させながら、このキャリッジ30
の移動に従って出力される上述の吐出信号により、インク滴をレンズシート12の所定位
置に吐出することで、印刷を実行する。
ところで、先に説明したように、レンズ検出センサ60の受光部62は、印刷ヘッド3
2に対して、キャリッジ30の移動方向に先行した位置に配設されている。そのため、印
刷ヘッド32は、レンズ検出センサ60により検出された凸レンズ12A1に、検出され
た時点よりも遅れて到達する。したがって、印刷ヘッド32が吐出信号に対応する凸レン
ズ12A1に到達したときに、吐出が行われるようにする必要がある。例えば、レンズ信
号(3)のパルスP1に基づいて生成された吐出信号によりインクを吐出するときは、印
刷ヘッド32が凸レンズ12A11に到達したときに吐出させる必要がある。
そのため、吐出信号による吐出は、受光部62と印刷ヘッド32との主走査方向の距離
Tに相当する分だけ遅らせる。具体的には、例えば、上述のようにレンズの解像度が45
lpi、ENC信号の解像度が180dpiそして印字解像度が1440dpiであれば
、吐出信号の1波長は、0.0177mmに相当する。したがって、例えば、受光部62
と印刷ヘッド32との距離(間隔)Tを1.77mmに設定すると、吐出信号が出力され
てから100波長分送れたタイミングで吐出を行うと、吐出信号に対応するレンズシート
12上の印刷位置と、吐出位置とが一致することになる。
上述の説明では、簡単のため、受光部62と印刷ヘッド32との距離Tに基づいて、吐
出信号と吐出のタイミング合わせたが、実際には、印刷ヘッド32のインクの吐出ノズル
33aと受光部62との間隔が基準となる。また、レンズ信号(3)から吐出信号を生成
するまでの生成時間や、その他のメカ的あるいは電気的なロス時間などを考慮して、吐出
タイミングを決定することになる。
以上のように、キャリッジ30が主走査方向に移送して、図21(A)に示す地点(3
)について、シート端12Etからシート端12Eeに亘って印刷が行われた後、紙送り
機構によりレンズシート12を副走査方向に送りながら、キャリッジ30をレンズシート
12のシート端12Et側に戻す。そして、地点(2),(3)について上述した印刷動
作を行う。つまり、図21(B)に示す、レンズ信号(1),(2)から、図22(A)
に示す補完レンズ信号(1’),(2’)を生成し、さらにこの補完レンズ信号(1),
(2)に基づいて吐出信号を生成して印刷が行われる。
なお、上述の説明においては、図21(A)に示すレンズシート12の副走査方向の途
中にある地点(1),(2),(3)についてのみの印刷動作を説明したが、レンズシー
ト12の搬送方向の前端側から、レンズシート12の後端側に向かって、レンズシート1
2の搬送ピッチに毎に、上述した地点(3)について説明したのと同様な印刷動作が行わ
れる。
ところで、補完レンズ信号は、実際には凸レンズ12A1が存在しないレンズシート1
2の外側に、あたかも凸レンズ12A1があるかのように、信号を生成している。したが
って、補完レンズ信号を基準にインク滴を吐出することとすると、レンズシート12の外
側にインクの吐出が行われ、プラテン50が汚れてしまうことになる。
そこで、レンズシート検出センサ63によりレンズシート12のシート端12Etとシ
ート端12Eeの検出を行い、印刷ヘッド32が、レンズシート12の外側にあるときは
、インク滴の吐出を行わないようにすることが適当である。
つまり、実際は凸レンズ12A1の無い位置に印刷ヘッド32が位置するときにおいて
、吐出信号により、本来はインク滴が吐出されるべきであっても、印刷ヘッド32がレン
ズシート12のシート端12Etに到達するまでは、インク滴を吐出しないように空打ち
を行う。すなわち、画像データに基づいて吐出信号に従ってインク滴を吐出するところ、
実際にはインク滴の吐出を行わない制御を行う。このように、インク滴の吐出を制御する
ことにより、印刷画像はレンズシート12の主走査方向の幅に合わせて印刷されることに
なる。
印刷ヘッド32が、レンズシート12のシート端12Etに到達したかどうかは次のよ
うに判断する。レンズシート検出センサ63は、レンズ検出センサ60の受光部62と同
様に、印刷ヘッド32よりも主走査方向に先行する位置に配設されている。従って、レン
ズシート検出センサ63によりシート端12Etが検出されてから、キャリッジ30が、
レンズシート検出センサ63と印刷ヘッド32との主走査方向の距離Tを移動したときに
、印刷ヘッド32が、レンズシート32のシート端12Etに到達したとして、インク滴
の吐出を行うようにする。レンズシート検出センサ63がシート端12Etを検出してか
らのキャリッジ30の移動距離は、ENC信号により計測を行う。なお、本実施の形態に
おいては、レンズシート検出センサ63とレンズ検出センサ60は、印刷ヘッド32に対
して主走査方向の同一の距離Tに配設されている。
また、レンズシート12のシート端12Eeにおいても、補完レンズ信号は、実際には
凸レンズ12A1が存在しない、レンズシート12の外側に、あたかも凸レンズ12A1
があるかのように生成されている。したがって、補完レンズ信号を基準にインク滴を吐出
することとすると、レンズシート12の外側にインクの吐出が行われ、プラテン50が汚
れてしまうことになる。
そこで、レンズシート検出センサ63がシート端12Eeを検出した後、キャリッジ3
0が、レンズシート検出センサ63と印刷ヘッド32との主走査方向の距離Tを移動した
ときには、印刷ヘッド32が、レンズシート32のシート端12Eeに到達したとして、
インク滴の吐出を停止するようにする。
ところで、レンズシート12のシート端12Etの外側においては、インクの吐出は行
われないものの、画像データは消費されている。すなわち、レンズシート12に対する印
刷が全体的に、シート端12Et側に補完した信号分偏倚して印刷が行われる。したがっ
て、レンズシート12のシート端12Etの反対側のシート端12Eeにおいては、画像
データがなくなり印刷がされない虞がある。そこで、主走査方向についての画像データを
、レンズシート12の主走査方向の幅よりも若干大きめに作成しておく。このように画像
データを作っておくことにより、レンズシート12のシート端12Etの外側において画
像データが消費されても、シート端12Eeにおいて、印刷するための画像データがなく
なってしまうことを防ぐことができる。
また、補完レンズ信号は、図22(A)に示す幅Y分だけ、シート端12Et側に偏倚
させておこくことが好ましい。この幅Yは、補完レンズ信号のポジティブエッジと凸レン
ズ12A1の谷間との距離である。補完レンズ信号を、幅Y分だけ、シート端12Et側
に偏倚させ、補完レンズ信号のポジティブエッジと凸レンズ12A1の谷間の位置を一致
させることにより、各凸レンズ12A1に対するインク敵の吐出の開始を、凸レンズ12
A1の凸部の始まる位置に合わせ易くなる。つまり、インク敵の吐出を各凸レンズ12A
1の幅に正確に合わせて行うことができるようになる。
ところで、図21(B)に示すレンズ信号(1)とこれに対応する図22(A)に示す
補完レンズ信号(1’)を見て判るように、凸レンズ12A11に対応している部分の信
号には、凸レンズ12A11が僅かにあるにも関わらず、パルスが現れていない。つまり
レンズの欠損量が大きく、残存している部分が少ないような箇所については、レンズ信号
にパルスが現れず、したがって、補完レンズ信号にもパルスが現れない。そのため、吐出
信号が生成されず、このような部分に対しては、インクの吐出が行われないことになって
しまう。
そこで、最初に現れるパルスの幅(凸部分と凹部分の合計)が、上述の例で言えば、ク
ロック数にして1000であれば、レンズシート12のシート端12Etは、残存してい
る部分は少ないが凸レンズ12A11が存在していると判断する。そして、図22(B)
に示すように、シート端12Et側にクロック数1000に相当するパルスの信号を2つ
補完した補完レンズ信号(1”)(図中、シート端12Et側に点線で示した信号)を生
成する。
このようにすることにより、シート端12Etの部分に僅かに残存している凸レンズ1
2A11の部分にも、インクの吐出を行うことができ、レンズシート12のシート端12
Et一杯に文字や画像を印刷できる。
このような構成のレンズシート12、プリンタ10および印刷方法によれば、レンズシ
ート12の基準方向Lは、凸レンズ12A1の長手に対して傾斜角度θで傾斜している。
しかも、このレンズシート12では、外形が長方形または正方形であり、かつ各凸レンズ
12Aがシート端Eに対して傾いて配置されているので、無駄が出ず、しかも印字幅を稼
ぐことが可能となる。また、このレンズシート12を回転させると、凸レンズ12A1の
表面の角度は、凸レンズ12A1を横切る方向のみならず、レンズシート12の基準方向
Lに沿っても変化する。それにより、視差画像を構成する圧縮原画像データを、横切る方
向に直線状に配置するのみならず、平面状に配置することができ、複数の視差に対応する
視差画像を目視する場合、視差画像の切り替わりが滑らかになり、目視するユーザに自然
な印象を与えることが可能となる。
また、レンズシート12は、その外観が矩形状を呈すると共に、シート端12Etは基
準方向Lに平行に設けられている。それにより、レンズシート12の基準方向Lがシート
端12Etに平行となり、ユーザにとって、目視時の基準方向Lが分かり易い。また、プ
リンタ10における紙送り等の動作を行い易くなる。
また、上述の傾斜角度θは、5度〜15度の範囲内で傾斜している。このため、レンズ
シート12を、その基準方向Lを基準にして5度〜15度回転させた場合に、目視画像に
おける画像の切り替わりが良好となり、特に目視画像が立体画像に対応する場合、立体画
像が滑らかに切り替わり、ユーザにとって目視性が良好となる。なお、傾斜角度θは、0
.1度〜45度の範囲内としても良い。
また、上述のプリンタ10のように、地点A、地点Bを通るように印刷ヘッド32を走
査させる等によって、レンズシート12が、通常のレンズシートであるか、または凸レン
ズ12A1が傾斜している状態となっているかが判断されるため、傾斜していると判断さ
れた場合でも、通常のレンズシートと区別して、良好に印刷を行わせることができる。す
なわち、凸レンズ12A1が傾斜していて、このレンズピッチごとに目視画像データに対
応するインク滴を吐出させ、かつ斜め印刷に対応させることができる。
なお、図13に示すように、2点においてレンズピッチの計測を行う場合、凸レンズ1
2A1の長手方向の一方向に対する傾斜角度θを適切に算出することが可能となり、凸レ
ンズ12A1の傾斜角度を考慮して、適切な位置にインク滴を吐出させることが可能とな
る。それにより、凸レンズ12A1の傾斜角度を考慮せずにインク滴を吐出させる場合の
ように、印刷画像(印刷コンテンツに相当)がずれたり、曲がったりするのを防止するこ
とができる。
さらに、図20に示すような、印刷ヘッド32からのインク滴の吐出を、それぞれのノ
ズル33a毎に制御可能な場合、それぞれのノズル33a毎に、インク滴の吐出のタイミ
ングを調整することができる。このため、凸レンズ12A1の長手が紙送り方向に対して
傾斜しているレンズシート12においても、各凸レンズ12A1のレンズピッチ毎に、視
差に対応する分だけの原画像データが目視画像データに存在し、該傾斜に対応するように
、各ノズル33aからインク吐出のタイミングをずらしながら印刷を実行可能となる。そ
れにより、印刷ヘッド32を揺動させる揺動機構等を有しなくても、凸レンズ12A1の
傾斜に対応する印刷を良好に行わせることが可能となる。
また、レンズ信号は、凸レンズ12A1の幅に応じてパルス幅が異なるパルス信号であ
り、さらに、制御部100は、レンズ信号の検出により、レンズシート12のシート端1
2Et付近の凸レンズ12A1の幅が狭いと判断すると、他の部分と同様のパルス幅とな
るように、補完処理を行っている。それにより、狭いパルス幅のレンズ信号に、複数の視
差の視差画像データに対応する印刷データ(ドット)が詰め込まれる状態が解消され、他
の部分と同程度の印刷品質を確保できる。
また、図15に示すような連続画素配置を採用する場合、凸レンズ12A1を横切る方
向に沿って、レンズピッチに対応させて細分化された複数の圧縮原画像データから、視差
画像データが構成される。この場合、凸レンズ12A1が基準方向Lに対して傾斜してい
る場合でも、視差毎の画像の切り替わりが良好となる視差画像を、レンズシート12に対
して印刷可能となる。また、主走査方向が凸レンズ12A1の長手方向に対して斜めにな
るため、この主走査方向に沿う距離が若干伸び、着弾させるドット数を増やすことができ
るため、印刷品質を向上させることが可能となる。
さらに、図16に示すような離間画素配置を採用する場合、複数の原画像データから形
成される視差画像データは、圧縮および細分化後に、マトリクス状に配置される。それに
より、凸レンズ12A1を横切る方向のみに細分化された圧縮原画像データが配置される
、図15に示す場合と比較して、より多数の画素データ(圧縮および細分化された圧縮画
像データ)を配置可能となる。それによって、例えばユーザに目視されるのが立体画像で
ある場合、運動視差に対応させることが可能となり、ユーザは、より自然な状態の立体画
像を認識することが可能となる。
以上、本発明の一実施の形態について述べたが、本発明は、種々変形可能である。以下
、それについて述べる。
上述の実施の形態では、凸レンズ12A1の傾きが右下がりとなっているが、左下がり
のものとしても良い。また、印刷を行う際、図2に示す状態から90度回転させた状態で
印刷を行うようにしても良い。また、上述の説明では、キャリッジ軸21の揺動機構を備
える構成と、他の揺動機構を備える構成と、揺動機構を備えない構成を簡単に説明したが
、これらは選択的な要素であり、いずれかのみを備えるのが原則であるが、全てを備える
構成、またはいずれか2つを選択的に備える構成を採用しても良い。
上述の実施の形態においては、レンズシート12への印刷は、トレイを用いず、直接、
レンズシート12を副走査方向に搬送させて印刷しているが、印刷に際して、専用のトレ
イを用いるようにしても良い。トレイを用いる場合、該トレイには、レンズシート12の
大きさに対応する嵌め込み部が存在し、この嵌め込み部にレンズシート12を嵌め込むと
、凸レンズ12A1の長手は紙送り方向に沿うものの、レンズシート12のシート端Eは
、紙送り方向に傾斜する状態となるものを使用しても良い。このようなトレイを用いて印
刷を行うと、揺動機構等の特有の機構を設けなくても、印刷品質を確保することが可能と
なる。また、レンズシート12を搬送しないで、印刷ヘッド32を主走査方向と副走査方
向に移動させるようにしても良い。
また、上述の実施の形態においては、レンズ検出センサ60は、ホームポジションから
離間する部位に、1つのみ設けられている。しかしながら、レンズ検出センサ60の個数
は1つには限られず、キャリッジ30に複数個設けるようにしても良い。例えば、キャリ
ッジ30の下面のうち、主走査方向の両端にそれぞれレンズ検出センサ60を取り付ける
場合、キャリッジ30の往復動のそれぞれにおいて、印刷よりも先にレンズピッチを計測
することが可能となり、レンズシート12に対する印刷を往復動のそれぞれで実行可能と
なる。
また、上述の実施の形態では、ENC信号およびレンズ信号は、パルス信号であると共
に、エンコーダ周期情報やレンズ周期情報は、これらのポジティブエッジで計測している
が、ネガティブエッジで計測しても良い。また、ENC信号およびレンズ信号は、アナロ
グ信号であっても良い。これらがアナログ信号である場合、電圧の所定のしきい値を、エ
ンコーダ周期情報やレンズ周期情報とすれば、カウント値等を算出することが可能となる
また、上述の実施の形態では、レンズシート12は、凸レンズ12A1が多数並べられ
る構成となっているが、レンズシートはこれには限られず、凹レンズが多数並べられる構
成のレンズシートであっても良い。なお、この場合には、上述の各処理は、ポジティブエ
ッジではなく、ネガティブエッジを検出したときを基準とするのが好ましい。
また、上述の実施の形態では、プリンタ10は、印刷を実行するものとなっているが、
印刷のみを行うものには限られず、コピー、ファックス、スキャナの各機能の1つまたは
複数を兼ねる複合的なプリンタであっても良い。また、上述の実施の形態においては、レ
ンズシート12に対して印刷画像を直接印刷する方式である直描型の場合について述べて
いる。しかしながら、別途印刷された印刷物をレンチキュラーレンズ12Aに貼り合わせ
る方式の分離型の場合についても、本発明を適用することは勿論可能である。
本発明の実施の形態に係るプリンタ中のレンズ検出センサの構成を示す正面断面図である。 本発明の実施の形態に係るプリンタで印刷されるレンズシートの概略構成を示す平面図である。 図2のレンズシートの部分拡大図で、(A)は、平面図の部分拡大図で、(B)は、断面図の部分拡大図である。 本発明の実施の形態に係るプリンタの構成を示す概略図である。 図4のプリンタの紙送りに関する部分の一側断面図である。 図4のプリンタ中のキャリッジの下面を示す底面図である。 図4のプリンタ中のプラテン付近の形状を示す側断面図である。 図4のプリンタ中のレンズ検出センサ等の構成を示す側断面図である。 図4のプリンタ中のギャップセンサの構成を示す模式図である。 図4のプリンタの信号出力部の構成を示すブロック図である。 図4のプリンタで実行される、レンズピッチ検出のアナログ信号とデジタル信号を示す図である。 図4のプリンタで実行される、印刷を行うための基本的な処理フローを示す図である。 図4のプリンタで実行される、傾斜角度の算出を説明すると共に、レンズ信号を示す図である。 図4のプリンタで実行される、印刷データを作成するための処理フローを示す図である。 図4のプリンタで印刷される連続画素配置を示す図で、そのデータ配置を示す図である。 図4のプリンタで印刷される離間画素配置を示す図で、そのデータ配置を示す図である。 図4のプリンタにおいて、印刷を実行するための処理フローを示す図である。 図4のプリンタに揺動機構が存在している場合に、その揺動機構におけるドット形成の様子を示す図である。 図4のプリンタに他の揺動機構が存在している場合に、その揺動機構におけるドット形成の様子を示す図である。 図4のプリンタに採用可能なドット形成方法を説明する図で、各ノズルの駆動タイミング調整でドットを形成する様子を示す図である。 図4のプリンタで印刷する際に生成されるレンズ信号を説明するための図で、(A)は、レンズシートに対するキャリッジの副走査方向における走査位置を示す図で、(B)は、レンズシートのシート端でパルス幅が狭くなるレンズ信号を示す図である。 図4のプリンタで印刷する際に生成される補完レンズ信号を説明するための図で、(A)は、レンズシートシート端で補完処理を行った補完レンズ信号を示す図で、(B)は、さらに補完処理を行った後の補完レンズ信号を示す図である。 図4のプリンタのレンズ信号処理制御部の構成を示す図である。 図4のプリンタで実行される補完レンズ信号の生成を説明するフローである。 図4のプリンタで生成される補完レンズ信号の生成過程を説明する図で、(A)は、レンズ信号自体を示す図で、(B)は、バッファに記録される状態を示す図で、(C)は、生成された補完レンズ信号を示す図である。 図4のプリンタにおける、レンズシートの印刷終了側のシート端における印刷ヘッド、受光部、凸レンズおよびレンズ信号の位置関係を示す図である。
符号の説明
10…プリンタ、12…レンズシート(斜めレンズシートに相当)、12A1…凸レン
ズ(レンズに相当)、12E…シート端、12Et…副走査方向シート端、60…レンズ
検出センサ、θ…傾斜角度。

Claims (7)

  1. 長手方向に伸びるレンズが複数並列して形成された第1の面と、この第1の面とは反対
    側の面であって、印刷される面、または印刷された媒体が貼付される面となる第2の面を
    備え、外形が長方形または正方形となるレンズシートにおいて、
    上記各レンズがシート端に対して傾いて配置されていることを特徴とするレンズシート
  2. 前記傾きの角度が、印刷される際の移動方向に沿う前記シート端(以下、副走査方向シ
    ート端という。)に対して5度〜15度の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のレ
    ンズシート。
  3. 前記副走査方向シート端に直交する方向に、印刷されたドットが並んでいることを特徴
    とする請求項2記載のレンズシート。
  4. 前記シート端が交わる部分に丸みを持たせたことを特徴とする請求項1,2または3記
    載のレンズシート。
  5. 前記シート端部分であって、前記第1の面または前記第2の面の少なくとも一方側がま
    るみ形成されまたはテーパー状とされていることを特徴とする請求項1,2,3または4
    記載のレンズシート。
  6. 長手方向に伸びるレンズが複数並列して形成された第1の面と、この第1の面とは反対
    側の面であって、印刷される面となる第2の面を備え、外形が長方形または正方形となる
    レンズシートに文字または画像の少なくとも一方を印刷可能なプリンタにおいて、
    上記レンズシートが、シート端に対して上記各レンズが傾いて配置されている斜めレン
    ズシートである場合、
    上記各レンズの幅に対応する周期幅の信号が継続することで形成され出力されるレンズ
    信号に基づいて、上記レンズ信号の最初に出力される欠損したパルス部分に対応する信号
    を、後に出力される信号のパルス幅と同じパルス幅の欠損が無い信号とした補完レンズ信
    号を生成し、この補完レンズ信号に基づいて、上記斜めレンズシートへ印刷することを特
    徴とするプリンタ。
  7. 前記補完レンズ信号は、前記レンズ信号であって、最後に出力されるパルス部分に対応
    する欠損した信号を、前に出力された信号のパルス幅と同じパルス幅の欠損が無い信号と
    したことを特徴とする請求項6記載のプリンタ。
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