(第1の実施の形態)
以下、本発明の印刷装置の第1の実施の形態について、図1から図18に基づいて説明する。なお、プリンタ10と、コンピュータ120とが接続され、これらが協働することによって、印刷装置が実現される。また、以下の実施の形態では、プリンタ10は、インクジェット式のプリンタであるが、かかるインクジェット式プリンタは、インクを吐出して印刷可能な装置であれば、いかなる吐出方法を採用した装置でも良い。
なお、以下の説明においては、下方側とは、プリンタ10が設置される側を指し、上方側とは、設置される側から離間する側を指す。また、後述するキャリッジ30が移動する方向を主走査方向、主走査方向に直交する方向であってレンズシート12が搬送される方向を副走査方向とする。また、レンズシート12が供給される側を給紙側(後端側)、レンズシート12が排出される側を排紙側(手前側)として説明する。
最初に、印刷対象物であるレンズシート12について説明する。図1に示すように、レンズシート12は、表面に位置するレンチキュラーレンズ12Aと、このレンチキュラーレンズ12Aの裏面と接するインク吸収層12Bと、該レンズシート12の裏面に位置するインク透過層12Cとを具備している。これらのうち、レンチキュラーレンズ12Aは、一方向を長手とする複数のシリンドリカル凸レンズ(凸レンズ12A1)が、一定のピッチで並列配置された構成となっている。レンチキュラーレンズ12Aにおいては、それぞれの凸レンズ12A1を進行する光の焦点が、レンチキュラーレンズ12Aの裏面(インク吸収層12Bとの境界面Q)に位置するように、凸レンズ12A1の曲率が形成されている。
なお、本実施の形態では、レンチキュラーレンズ12Aにおける凸レンズ12A1の並びのピッチとしては、後述する符号板81のラインパターンの並びのピッチの整数倍とするものがある。例えば、符号板81が1/180インチである場合、凸レンズ12A1のピッチは、30lpi(lens per inch;1インチ当たりの凸レンズ12A1の本数)、45lpi、60lpi、90lpiとするものがある。しかしながら、凸レンズ12A1のピッチは、該例示には限られず、例えば100lpiのように、種々変更するようにしても良い。また、レンズシート12においては、通常は、製造誤差等によって、上述の凸レンズ12A1のピッチから、若干ずれが生じている。
また、インク透過層12Cは、ノズルから吐出されたインク滴が最初に付着する部分であり、該付着したインクが透過していく部分である。このインク透過層12Cは、例えば酸化チタン、シリカゲル、PMMA(メタクリル樹脂)等を材質として形成されている。また、インク吸収層12Bは、インク透過層12Cを透過したインクを吸収/固着させる部位である。このインク吸収層12Bは、例えばPVA(ポリビニルアルコール)等の親水性ポリマー樹脂、カチオン化合物、シリカ等の微粒子等を材質として形成されている。なお、インク吸収層12B/インク透過層12Cは、共に白色であるが、本実施の形態では、インク透過層12Cの方が、インク吸収層12Bよりも、白色の度合いが強くなっている。
また、図2他に示すように、プリンタ10は、キャリッジモータ(CRモータ22)によってキャリッジ30を主走査方向に往復動させるキャリッジ機構20、PFモータ41(紙送りモータに対応)によってレンズシート12を搬送する用紙搬送機構40等があり、その他、図2および図13等に示す制御部100が存在する。
ここで、キャリッジ機構20について説明する。キャリッジ機構20は、図2他に示すように、キャリッジ30を具備している。また、キャリッジ機構20は、キャリッジ30を摺動可能に保持するキャリッジ軸21と、キャリッジモータ(CRモータ22)と、このCRモータ22に取り付けられている歯車プーリ23と、無端のベルト24と、歯車プーリ23との間にこの無端のベルト24を張設する従動プーリ25と、リニアエンコーダ80と、を備えている。
また、図3等に示すように、プラテン50に対向する状態で、キャリッジ30が設けられている。キャリッジ30には、図2等に示すように、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、K(ブラック)、の各インクをそれぞれ収納している、例えば4つのカートリッジ31が、着脱可能に搭載される。なお、搭載されるカートリッジ31は、4色以外、6色〜8色等、何色分としても良い。また、カートリッジ31に充填されるインクは、染料系インク/顔料系インク等、いずれの種類のインクを搭載しても良い。
図3等に示すように、キャリッジ30の下部には、印刷ヘッド32が設けられている。図4に示すように、印刷ヘッド32には、ノズル33aがレンズシート12の搬送方向(副走査方向)に列状に配置され、それぞれの色のインクに対応したノズル列33を形成している。なお、本実施の形態では、ノズル列33は、例えば180個のノズル33aから構成されており、このうち、180番目のノズル33aが給紙側、1番目のノズル33aが排紙側に位置している。
また、キャリッジ30の下部に設けられ、各インクに対応づけられたノズル列33には、ノズル33a毎に、ピエゾ素子(不図示)が配置されている。このピエゾ素子の作動により、インク通路の端部にあるノズル33aからインク滴を吐出することが可能となっている。なお、印刷ヘッド32は、ピエゾ素子を用いたピエゾ駆動方式に限られず、その他の方式を用いても良い。その他の方式としては、例えば、インクをヒータで加熱し、発生する泡の力を利用するヒータ方式、磁歪素子を用いる磁歪方式、静電気力を利用した静電方式、ミストを電界で制御するミスト方式等が、主な方式として挙げられる。
また、図3等に示すように、プリンタ10は、用紙搬送機構40を具備している。用紙搬送機構40は、レンズシート12等を搬送するためのPFモータ41(図2参照)、および普通紙等の給紙に対応する給紙ローラ42を具備している。また、給紙ローラ42よりも排紙側には、レンズシート12を搬送/挟持するためのPFローラ対43が設けられている。なお、PFローラ対43のうち、PF駆動ローラ43aは、PFモータ41からの駆動力が伝達され、レンズシート12の1ステップずつの搬送を可能としている。
また、PFローラ対43の排紙側には、プラテン50および上述の印刷ヘッド32が上下に対向する様に配設されている。プラテン50は、PFローラ対43によって印刷ヘッド32の下へ搬送されてくるレンズシート12を、下方側から支持する。また、プラテン50よりも排紙側には、上述のPFローラ対43と同様の、排紙ローラ対44が設けられている。この排紙ローラ対44のうち、排紙駆動ローラ44aには、PF駆動ローラ43aと共に、PFモータ41からの駆動力が伝達される。
また、プリンタ10のうち、排紙側とは逆の後端側かつ給紙ローラ42の下方側には、開口部45が設けられている。開口部45は、レンズシート12等の折り曲げ困難な印刷対象物を、プリンタ10の後端側で通過させるための開口部分である。なお、レンズシート12は、単体で開口部45を通過する以外に、トレイ等に載置された状態で通過するようにしても良い。
また、図1および図6に示すように、キャリッジ30の下面とプラテン50の間の部位には、レンズシート12における凸レンズ12A1のレンズピッチを検出する、レンズ検出手段に対応するレンズ検出センサ60が配置されている。レンズ検出センサ60は、光の投受光方式(透過方式)のセンサであり、図1および図6等に示すように、発光部61と、受光部62とを有している。これらのうち、発光部61は、搬送されるレンズシート12よりもプラテン50側(下方側)に設けられている。また、受光部62は、搬送されるレンズシート12よりもキャリッジ30側(上方側)に設けられている。
図1に示すように、本実施の形態における発光部61は、光の出射側とは反対側に光源612が配置される直下方式の構成を採用しており、光源群611と、この光源群611を覆う拡散板613とを有している。発光部61は、プラテン50の後端側(レンズシート12の給紙側)に設けられている。なお、発光部61が設けられる部位は、プラテン50には限られず、その他の固定的な部位に設けるようにしても良く、また、プラテン50の前端側に設けるようにしても良い。このように、発光部61をプラテン50の後端側に設けることにより、後述する発光部61と受光部62とが対向している。
また、発光部61は、プラテン50の後端側に存在する凹陥部51に設けられている。凹陥部51は、プラテン50の他の部分よりも窪んでいる部分である。この凹陥部51は、光源群611(光源612)が拡散板613に対して一定の距離だけ離間可能となるように、一定以上の深さ寸法を有する状態に設けられている。
また、図1に示すように、光源群611は、多数の光源612が主走査方向に並べられている。これら光源612は、所定色の光を発する発光ダイオード(LED;light emitting diode)である。なお、LEDとしては、可視光または赤外光等の種々の波長の光を発するものがあるが、ユーザにとって眩しさが感じ難いという観点から見ると、赤外光を発する赤外LEDを用いることが望ましい。また、これらの光源612は、所定の間隔毎に配置されていると共に、光源612の指向性を考慮して、レンズシート12に対して一定の間隔だけ離間する状態で配置されている。それにより、光源612から出射された光は、拡散板613に対して、若干の広がりを有した状態で照射される。また、拡散板613は、光源612から出射された光の進行方向を種々変更する。それにより、拡散板613を通過した光は、コントラストの均一化が図られた状態で、レンズシート12に向かって出射される。
なお、本実施の形態では、光源612が並べられた光源群611は、レンズシート12の規定の幅よりも大きくなるように設けられている。そのため、レンズシート12に対して入射される光のコントラストに、大きな差異が生じないように設けられている。また、光のコントラストを一層低減したい場合には、光源群611を構成する光源612の配置を変更して、多数の光源612を千鳥状となるように配置するようにしても良い。また、上述の拡散板613は、省略する構成を採用しても良い。
また、キャリッジ30の下面には、受光部62が設けられている。この受光部62は、キャリッジ30の下面に取り付けられていて、しかも、主走査方向において、例えばホームポジションから離間する部位、かつ副走査方向において給紙側に取り付けられている。しかしながら、受光部62の取付位置は、かかる部位には限られず、キャリッジ30の下面のうち、例えば主走査方向の中央部に取り付けられる構成としても良い。
本実施の形態では、受光部62は、基体部621、受光素子623およびスリット板624を有している。このうち、基体部621は、受光素子623を取り付ける部分であり、該受光素子623を取り付ける収納部622を有している。この収納部622は、四方が板状部材で囲まれる状態となっている。そして、板状部材で囲まれた収納部622に受光素子623が取り付けられ、下面側のみが開放している。それによって、一定の拡散光の受光を防止するように構成されている。
また、受光素子623は、例えばフォトトランジスタ、フォトダイオード、フォトIC等のような、受光した光を電気信号に変換することが可能な素子である。また、収納部622の下面側には、スリット板624が取り付けられている。このスリット板624には、光の通過を許容するスリット624aが形成されていて、該スリット624aを介して所定の方向の光(図1においては光軸Lに沿う方向の光)の受光を許容する構成となっている。
なお、スリット624aの幅寸法は、凸レンズ12A1のレンズ幅の1/2以下であることが望ましい。しかしながら、スリット624aの幅寸法が狭すぎる場合、プラテン50とキャリッジ30との間のギャップ調整がシビアになり、良好な検出が行えなくなる虞がある。このため、スリット624aの幅寸法は、一定の寸法値以上とする必要がある。また、スリット板624のうち、スリット624a以外の部分に照射された光は、該スリット板624によって遮断される。かかる構成により、光軸Lに沿う方向以外の拡散光が受光素子623で受光されるのが防止されている。
また、上述のようなスリット板624を設けない構成を採用しても良い。この場合には、受光素子623におけるレンズピッチの検出精度は悪化するものの、各凸レンズ12A1の有する集光作用等により、レンズシート12のレンズピッチの検出は可能である。
また、本実施の形態では、受光部62は、レンズシート12の搬送状態において、該レンズシート12に接触しないものの、このレンズシート12に対して搬送性を悪化させない程度に近接する配置となっている。それにより、発光部61から出射された光は、境界面Qのうち各凸レンズ12A1の曲率中心を焦点として拡散するが、光はさほど拡散しない状態で受光部62に入射される。
なお、発光部61が直下方式を採用する場合、その構成は、発光ダイオードを多数並べるものには限られず、主走査方向を長手とするライン状光源を用いるようにしても良い。ライン状光源としては、具体的には、陰極蛍光ランプ(CFL;Cathode Fluorescent Lamp)、冷陰極蛍光ランプ(CCFL;Cold Cathode Fluorescent Lamp)、またはエレクトロルミネセンス(EL;Electro Luminescence)等を用いることが可能である。また、発光部61は、その他、可視光または赤外光のようなレーザ光を生じさせることが可能なレーザ発振器、ランプ等を用いるようにしても良い。
また、発光部としては、直下方式を採用せずに、エッジライト方式の構成を採用するようにしても良い。この場合、発光部は、主走査方向の端部に配置される光源と、光源の光を主走査方向側に向けて反射するリフレクタと、光が内部を進行すると共に主走査方向を長手とする導光板と、導光板の下面側、側面側および導光板の長手方向の他端側に取り付けられ光を反射する反射部材と、上面側に向かって出射される光を拡散させる拡散フィルムと、導光板の下面に配置され光を拡散させる反射ドットと、を有する状態となる。
また、レンズシート12とノズル33aとの間の距離PGを測定すべく、キャリッジ30の下面には、レンズ検出センサ60以外に、ギャップ検出センサ70が存在するのが好ましい。図7は、距離PGを検出するギャップ検出センサ70の説明図である。図7に示すように、ギャップ検出センサ70は、発光部71と、2つの受光部(第1受光部72a及び第2受光部72b)とを有する。発光部71は、発光ダイオードを有し、レンズシート12に光を照射する。第1受光部72aおよび第2受光部72bは、受光した光量に応じた電気信号を出力する受光素子をそれぞれ有する。なお、第2受光部72bは、第1受光部72aと比較して、発光部71から遠い位置に設けられている。
発光部71から発せられた光は、レンズシート12に照射されると共に、反射される。反射された光は、上述の受光素子に入射され、この受光素子において入射した光量に応じた電気信号に変換される。ここで、距離PGが小さい場合、レンズシート12によって反射された光は、主に第1受光部72aに入射されるが、第2受光部72bには拡散光しか入射されない。したがって、第1受光部72aの出力信号は、第2受光部72bの出力信号よりも大きくなる。
一方、距離PGが大きい場合、反射された光は、主に第2受光部72bに入射され、第1受光部72bには拡散光しか入射されない。したがって、第2受光部72bの出力信号は、第1受光部72aの出力信号よりも大きくなる。このため、第1受光部72aと第2受光部72bの出力信号の比と距離PGとの関係を予め求めておけば、該出力信号の比に基づいて、レンズシート12等に対応する距離PGを検出することが可能である。この場合、受光部72a,72bの出力信号の比と距離PGとの関係に関する情報をテーブルとしてROM102や不揮発性メモリ110に記憶しておくのが良い。
このような出力信号の検出を、キャリッジ30を主走査方向へ駆動させつつ行う。この駆動に際して、後述するリニアエンコーダ80の位置検出と対応させることにより、レンズシート12の主走査方向における距離PGを検出することが可能となる。
なお、ギャップ検出センサ70は、上述のレンズ検出センサ60と兼用可能である。この場合、発光部61の光軸が傾斜するように配置し、距離PGに応じて第1受光部72aと第2受光部72bとの間における出力信号の比が変化するようにすれば、ギャップ検出センサ70とレンズ検出センサ60とを兼用させることが可能となる。
また、図2等に示すように、キャリッジ機構20には、リニアエンコーダ80が設けられている。リニアエンコーダ80は、ラインパターンが繰り返される符号板81と、符号板81に向けて光を出力すると共に、該符号板81から反射される光を、電気的な信号に変換して制御部100に送信するリニアセンサ82とを有している。
次に、信号形成部90の構成について説明する。図8に示すように、信号形成部90は、フィルタ91と、アンプ(AMP)92と、2値化処理部93とを具備している。これらのうち、フィルタ91は、信号線94の一端側と接続されている。信号線94の他端側は、上述した受光部62(受光素子623)に接続されている。このため、受光部62で発生したアナログ信号は、この信号線94を介してフィルタ91に伝達されるが、フィルタ91では、アナログ信号(図9参照)のうち所定の帯域以外の周波数成分が除去される。それにより、図9に示すようなデジタル信号が生成される。
また、フィルタ91を通過した信号は、AMP92に入力され、所定の電圧等(一例として、40倍等)に増幅される。かかる増幅が為された信号は、続いて2値化処理部93に入力され、該入力された信号をしきい値を超えたか否かで、HレベルまたはLレベルの、2値の信号(2値化信号)とする。この状態で、後述する制御部100に2値化信号を入力し、H/Lの信号の切り替わりタイミングを検出することにより、レンズシート12のレンズピッチが計測可能となる。
次に、制御部100について、図10等に基づいて説明する。制御部100は、制御手段に対応する部分であり、不図示の紙幅検出のためのPWセンサ、レンズ検出センサ60、ギャップ検出センサ70、リニアセンサ82、後述するロータリエンコーダ112、プリンタ10の電源をオン/オフする電源SW等)の各出力信号が入力される。より詳細には、制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103、ASIC104、DCユニット105、信号処理部106、PFモータドライバ107、CRモータドライバ108、ヘッドドライバ109、不揮発性メモリ110等を備えている。
これらのうち、DCユニット105は、DCモータであるCRモータ22、PFモータ41の速度制御を行うための制御回路である。DCユニット105は、CPU91から送られてくる制御命令、後述する信号処理部106からの出力信号等に基づいて、PFモータ41およびCRモータ22の速度制御を行うための各種演算を行い、その演算結果に基づいて、PFモータドライバ107およびCRモータドライバ108へ、モータ制御信号を送信する。
また、信号処理部106は、上述の2値化処理部93から出力される2値化信号、およびリニアセンサ82から出力されるエンコーダ信号が入力される。信号処理部106では、かかる2値化信号およびエンコーダ信号に基づき、レンズピッチの情報を有する2値化信号を反映させた、モータ駆動信号をCRモータ22に出力する。それにより、CRモータ22においては、検出されたレンズピッチに応じた駆動速度で駆動される。
また、上述の制御部100における各構成は、バス100aによって接続され、各構成の間でデータの授受を可能としている。また、プリンタ10は、インターフェース111を具備している。このインターフェース111を介して、コンピュータ120が接続されている。
なお、ロータリエンコーダ112は、上述のリニアエンコーダ80とは異なり、符号板112aが円盤状に設けられている。しかしながら、それ以外の構成は、リニアエンコーダ80と同様となっている。
次に、コンピュータ120の内部構成について、図11に基づいて説明する。コンピュータ120は、CPU121、ROM122、RAM123、HDD(Hard Disk Drive)124、ビデオ回路125、I/F126、バス127、表示装置128、入力装置129および外部記憶装置130によって構成されている。
これらのうち、CPU121は、ROM122やHDD124に格納されているプログラムに従って各種演算処理を実行すると共に、装置の各部を制御する。また、ROM122は、CPU121が実行する基本的なプログラムやデータを格納している。あるRAM123は、CPU121が実行途中のプログラムや、演算途中のデータ等を一時的に格納するメモリである。HDD124は、CPU121からの要求に応じて、記録媒体であるハードディスクに記録されているデータや後述するプログラムを読み出すと共に、データを前述したハードディスクに記録する記録装置である。
ビデオ回路125は、CPU121から供給された描画命令に応じて描画処理を実行し、得られた画像データを映像信号に変換して表示装置128に出力する回路である。また、供給手段であるI/F126は、入力装置129および外部記憶装置130から出力された信号の表現形式を適宜変換すると共に、プリンタ10に対して印刷信号PSを出力する回路である。バス127は、コンピュータ120の各構成を相互に接続し、これらの間でデータの授受を可能とする信号線である。また、表示装置128は、ビデオ回路125から出力された映像信号に応じた画像を表示する装置である。入力装置129は、例えば、キーボードやマウスを指し、ユーザの操作に応じた信号を生成して、I/F126に供給する装置である。
外部記憶装置130は、例えば、CD−R/RWドライブユニット等によって構成され、CD−Rディスク等の記録メディアに記録されているデータまたはプログラムを読み出してCPU121に供給し、またはCPU121から供給されたデータを、MOディスクまたはFDに記録する装置である。
次に、コンピュータ120に実装されているプログラムおよびドライバの機能について、図12に基づいて説明する。なお、コンピュータ120のハードウエアと、HDD124に記録されているソフトウエアとが協働することにより、各手段が実現される。この図12に示すように、コンピュータ120には、変化イメージ作成プログラム141、ビデオドライバプログラム142、およびプリンタドライバプログラム150等の各種のプログラムが記憶されており、これらが所定のオペレーティングシステム(OS)の下で動作している。
これらのうち、変化系画像形成手段を実現するための変化イメージ作成プログラム141が起動されて、表示されるイメージを図13に示す。この変化イメージ作成プログラム141は、ユーザが変化系画像を作成したい場合に起動するプログラムである。ここで、変化系画像とは、レンズシート12を、凸レンズ12A1の長手に平行を為す所定の回転軸に沿って回転させた場合に、ユーザが視認される絵柄が、視認角度によって切り替わるタイプの印刷画像である。ユーザが視認する絵柄が切り替わるものであれば、モーション、チェンジング等、そのタイプは問わない。
変化イメージ作成プログラム141の起動により表示されるウインドウ141aは、表示エリア141bと、ファイル読み込みボタン141cと、表示ボタン141dと、印刷ボタン141eと、を備えている。ファイル読み込みボタン141cは、変化系画像を構成する画像を指定/読み込むためのボタンである。また、表示ボタン141dは、変化系画像を構成する複数の画像データを、所定の時間毎に切り替えて、そのイメージを表示させるためのボタンである。また、印刷ボタン141eは、読み込まれた複数の画像データに基づいて、印刷を実行するためのボタンである。
また、ビデオドライバプログラム142は、ビデオ回路125を駆動するためのプログラムであり、変化イメージ作成プログラム141から供給された画像データに対してガンマ処理やホワイトバランスの調整等を行った後、映像信号を生成して表示装置128に供給して表示させる際に実行される。
また、図12に示すように、プリンタドライバプログラム150は、判断モジュール151(判断手段を構成)、反転処理モジュール152(反転処理手段を構成)、回転モジュール153(画像回転手段を構成)、解像度変換モジュール154(画像変換手段の一部および解像度変換手段を構成)、細分化モジュール155(画像変換手段の一部および細分化画像作成手段を構成)、合成モジュール156(画像変換手段の一部および合成画像作成手段を構成)、色変換モジュール157、ハーフトーンモジュール158(ハーフトーン手段を構成)、印刷データ生成モジュール159(印刷データ作成手段を構成)、送信モジュール160を備えている。なお、これら各モジュールが行う処理の詳細については、後述する。
以上のような構成を用いて、プリンタ10を作動させる場合の制御の詳細について、図13、図14等に基づいて、以下に説明する。
まず、ユーザは、変化イメージ作成プログラム141を起動する(S10)。すると、表示装置128には、図13に示されるイメージのウインドウ141aが表示される。かかる起動の後に、ユーザは、ウインドウ141a内の表示エリア141bに、変化系画像として印刷される画像データを、所定の枚数分だけ読み込む(S11)。それにより、ユーザは、絵柄が切り替わる変化系画像の仮想イメージを、視認することが可能となる。
次に、ユーザが変化系画像を作成したい場合には、絵柄の確認後に、印刷ボタン141eを押す。すると、画像データは、変化イメージ作成プログラム141からドライバプログラム150側に受け渡される(S12)。すると、ドライバプログラム150の判断モジュール151により、受け取った画像データが、変化系画像に対応するか否かが判断される(S13;判断工程に対応)。なお、変化イメージ作成プログラム141の印刷ボタン141eが押された場合、その時点で、画像データが変化系画像に対応すると判断される。
なお、変化系画像に対応するか否かを判断する他の手法としては、個々の画像データに、変化系画像に対応するか否かを識別するためのフラグ情報を持たせ、このフラグ情報に基づいて、画像データが変化系画像に対応するか否かを判断するようにしても良い。さらに、複数の画像データのうち、所定の範囲における平均の階調値を比較し、該比較の結果、これらが一定のしきい値を超える程度離間しているか否か(階調値の差分が一定のしきい値を超えるか否か;この場合、離散的なデータであるか否かに対応)を判断するようにしても良い。
上述の判断において、変化系画像に対応すると判断される場合(Yesの場合)、続いて、反転処理モジュール152により、画像データを反転させる反転処理が行われる(S14)。なお、同様の処理は、変化系画像に対応しないと判断された場合でも行われる(S22に対応)。
S14を経過した後に、回転モジュール153により、画像データを90度回転させる回転処理が行われる(S15;画像回転工程に対応)。この場合、画像データの回転イメージは、図15に示す状態となり、その基準方向が、主走査方向に対応する状態から、副走査方向に対応する状態となる。
続いて、細分化画像データを作成する処理が行われる(S16;画像変換工程の一部)。この細分化画像データを作成するに当たっては、図16に示されるフローに基づく処理が為される。まず、解像度変換モジュール154により、製造時のレンズ解像度と、印刷解像度、印刷サイズに応じて、解像度変換が為され複数枚の画像データが合成された後の画像データの画像サイズの計算が行われる(S161)。例えば、印刷サイズが100mm(横;主走査方向に対応)×148mm(縦;副走査方向に対応)、レンズ解像度が60lpi、印刷解像度が1440dpiである場合、解像度変換後の画像データは、横が約236画素(≒100/(25.4/60);凸レンズ12A1の本数に対応)であり、縦が8390画素(≒148/(25.4/1440))となる。
次に、個々の凸レンズ12A1内の画素数Rを求める(S162)。それを求めるために、まず、個々の凸レンズ12A1内に打てるドット数を求める。これが画素数Rとなるが、上述の例では、Rは24(=1440/60)となる。次に、個々の凸レンズ12A1内における、1画像データ当たりの画素数(ドット数)Lを求める(S163)。画素数Lの求め方は、画像データが4つある場合、画素数Lは6(=24/4)となる。もちろん、必ずしも各画像データのドット数が均一になるとは限らなく、その場合には、1つの凸レンズ12A1内または複数の凸レンズ12A1に跨って、ドット配分を調整すれば良い。以上のようにして、解像度変換がなされる。
以上の計算に基づいて、画像データのそれぞれに対して、解像度変換を行い、例えば横が約236画素、縦が8390画素の画像データを得ることができる。そのためには、まず、細分化モジュール155により、S163で求められた画素数Lの分だけ、同じ画素を並べて配置(補完)する処理を行い(S164)、1視差分の細長い画像データを形成する。なお、他の画像データについても同様に処理する。さらに、細分化モジュール155により、画像が変化する順(視認角度順)に、画素L個からなる画像データを並べて配置する(S165)。それにより、1つの凸レンズ12A1内に配置される、短冊状の細分化画像データ画作成される。
また、作成された細分化画像データに基づき、合成モジュール156により、合成画像データを作成する(S17;画像変換工程の一部)。この場合、細分化画像データを、凸レンズ12A1の短手方向の並びの順に配置することにより、図17に示すような、複数の画像データの情報が反映された、合成画像データが作成される。
次に、色変換モジュール157により、色変換処理が実行される(S18)。色変換処理においては、予め記憶されている色変換テーブル161にしたがい、合成画像データのR,G,B系で表現される色成分が、プリンタ10で印刷/表現可能なシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)系の色成分に変換される。
続いて、ハーフトーンモジュール158により、色変換が為された合成画像データに対して、ハーフトーン処理が行われる(S19;印刷データ作成工程の一部)。ここで、ハーフトーン処理とは、原画像データの階調値(本実施の形態では256階調)をプリンタ10が画素毎に表現可能な階調値に減色する処理をいう。ここで、「減色」とは、色を表現する階調の数を減らすことをいう。なお、具体的には、記録率テーブル162を参照して、例えば、「ドットの形成なし」、「小ドットの形成」、「中ドットの形成」、および「大ドットの形成」の4階調への減色を行う。なお、かかるハーフトーン処理においては、誤差拡散法、ディザ法といった手法を用いて、ドットの分散処理が行われる。
さらに、印刷データ生成モジュール159により、ハーフトーン処理が為された画像データから、印刷データを生成する処理が実行される(S20;印刷データ作成工程の一部)。ここで、印刷データとは、各主走査時のドットの記録状態を示すラスタデータと、副走査送り量を示すデータとを含むデータであり、分散テーブル163の分散データを参照して作成される。また、送信モジュール160は、生成された印刷データを、プリンタ10に対して出力する(S21)。
以上のようにして、コンピュータ120側での処理が終了し、プリンタ10が印刷データを受信すると、制御部100のCPU101は、制御指令を発し、この制御指令に基づいて、CRモータ22および印刷ヘッド32が駆動される。それにより、キャリッジ30は、主走査方向に移動しながら、ノズル33aよりインク滴をレンズシート12に吐出させる。
ここで、プリンタ10は、レンズシート12の凸レンズ12A1のレンズピッチの検出動作を、印刷動作よりも先に行うか、または印刷動作と共に行う。かかるレンズピッチの検出動作は、図18に示すフローにしたがって為される。
レンズピッチの検出を行う場合、または印刷を実行する場合、ユーザは、レンズシート12をプリンタ10にセットする(S31)。この場合、凸レンズ12A1の長手が副走査方向に沿う状態となるようにセットする。レンズシート12がセットされると、制御部100のCPU101は、印刷データに基づく制御指令を発し、この制御指令に基づいて、CRモータ22が駆動される。それにより、キャリッジ30は、主走査方向に移動して、凸レンズ12A1のレンズピッチの検出を開始する(S32;レンズ検出工程の一部)。
レンズ検出センサ60が作動すると、光源612から光が出射され(S33;レンズ検出工程の一部)、出射された光は、拡散板613を通過して拡散され、面光源に近づく状態となった後に、レンズシート12に向けて出射される。拡散板613を通過した光がレンズシート12に到達すると、その光のうち一部は、境界面Qに焦点が位置するように集光(結像)される。この焦点を仮想的な光源として、光が受光部62に向かい進行する。
光が上面12Caから出射されると、その一部は拡散された状態で、受光部62に入射される(S34)。そして、受光素子623では、受光した反射光の光量に対応する電圧のアナログ信号(図9参照)を生じさせる(S35;レンズ検出工程の一部)。このアナログ信号においては、そのピークが凸レンズ12A1の突出の頂点と略一致する状態となる。そして、このアナログ信号が信号線94を介してフィルタ91に伝達され、このフィルタ91において所定の帯域以外の周波数成分が除去される(S36;レンズ検出工程の一部)。
その後、信号はAMP92に入力されて、所定の電圧等に増幅され(S37;レンズ検出工程の一部)、続いて2値化処理部93に入力される。2値化処理部93では、入力された信号をしきい値を超えたか否かで、HレベルまたはLレベルの、2値の信号(2値化信号)とする(S38;レンズ検出工程の一部)。なお、レンチキュラーレンズ12Aの下面が発光部61とほとんど平行であり、反射される光量が多い場合には、2値化処理部93は、Hレベルの信号を出力するが、レンチキュラーレンズ12Aの下面が発光部61と平行を為さず、一定以上の傾斜角度で傾斜している場合には、Lレベルの信号を出力する。
以上のようにして、レンズシート12のレンズピッチがH/Lレベルの2値化信号で表現される。そして、この2値化信号が、信号処理部106に入力され、該信号処理部106では、2値化信号と、リニアセンサ82からのエンコーダ信号に基づいて、2値化信号が有するレンズピッチ情報を反映させた制御信号を、DCユニット105に出力し、DCユニット105は、この制御信号に基づく駆動信号を印刷ヘッド32等に出力する(S39;制御工程の一部)。それにより、印刷ヘッド32等は、検出されたレンズピッチに応じた駆動タイミングで駆動され、印刷が実行される(S40)。
なお、レンズピッチの検出を印刷の実行と共に行う場合には、レンズピッチの検出結果に応じてインク滴をレンズシート12に吐出させるタイミングを調整する。かかる調整は、いずれかの凸レンズ12A1のピッチが理想的なピッチに対して若干伸縮している場合、この伸縮状態に比例させてインク滴の吐出タイミングを遅延/早めることにより行う。すると、吐出タイミングの調整前に存在していた該凸レンズ12A1の境界部分における白すじ/インクの重なりが打ち消され、良好な印刷状態を得ることが可能となる。
また、印刷の実行に先立って、レンズピッチの検出を行う場合には、レンズピッチの検出結果を反映させた細分化画像データを新たに作成するか、または先にレンズピッチの検出結果が存在する場合には、初めの段階からレンズピッチの検出結果を反映させた細分化画像データを作成する。レンズピッチの検出結果を反映させる場合、レンズピッチに応じて、細分化画像データにおける画素数を変更する処理を行うようにすれば良い。
このような構成のプリンタ10によれば、画像データが変化系画像に対応するか否かを判断し、変化系画像に対応すると判断されると、画像データが回転させられる。ここで、画像データは、デフォルトの段階では、その基準方向が主走査方向に沿う状態(レンズシート12の搬送方向に垂直を為す状態)となっている。このため、画像データが回転させられると、該画像データの基準方向は、副走査方向に沿う(レンズシート12の搬送方向に沿う)状態となる。
かかる回転後に、変化系画像に対応する複数の画像データから、画像変換手段により合成画像データが作成される。このようにすれば、デフォルトの段階では、画像データの基準方向および凸レンズ12A1の長手が、レンズシート12の搬送方向に垂直となっていたものを、変更後(画像データ回転後)に、凸レンズ12A1の長手を、レンズシート12の搬送方向に沿う状態として、印刷を実行可能となる。それにより、変化系画像/立体画像によらずに、レンズシート12の設置方向を、凸レンズ12A1の長手が副走査方向に沿う状態へと、固定できる。そのため、レンズシート12への印刷実行時に、印刷ヘッド32の駆動タイミングを調整するだけで、レンズピッチに対応させることができ、印刷精度を向上させることができる。
すなわち、変化系画像の視認の際のイメージで、凸レンズ12A1の長手をプリンタの主走査方向に沿わせると、凸レンズ12A1のレンズピッチが紙送りピッチに対応していないため、印刷を実行し、紙送りが進行するにつれて、ずれが累積し、印刷精度が悪化していく。しかしながら、上述のように、変化系画像に対応する画像データを回転させることにより、凸レンズ12A1の長手が副走査方向に沿う状態となり、変化系画像を印刷する場合でも、印刷精度を向上させることが可能となる。また、ノズル列33の全てのノズル33aからインク滴を吐出可能となるため、印刷速度を早くすることも可能となる。
また、変化系画像/立体画像の別を問わずに、レンズシート12の設置方向を、凸レンズ12A1の長手が副走査方向に沿う状態に固定できるため、案内メッセージを出す等の別途の手段を講じることにより、レンズシート12の誤設置を防止することが可能となる。
さらに、判断モジュール151では、印刷ボタン141eが押された場合に、画像データが変化系画像に対応する、と判断するため、待ち時間を生じさせずに次の処理を行うことが可能となる。なお、同様のことは、画像データに変化系画像に対応するか否かを識別するためのフラグ情報を持たせた場合、上述のように離散的であるか否かを判断する場合についても言える。
また、反転処理モジュール152では、画像データの反転処理を行うため、印刷に際して、レンズシート12の裏面への印刷に対応させることが可能となる。
さらに、画像データに対して、解像度変換、細分化画像データの作成、合成画像データの作成、の各処理を実行する。そのため、1つの凸レンズ12A1内に、複数の画像データに関する細分化画像データが配置され、プリンタ10での印刷後に変化系画像または立体画像(印刷画像に対応)を視認することが可能となる。また、ハーフトーン処理を実行することにより、印刷画像におけるドットのオン/オフが設定されたり、ドットの分散処理が為され、レンズシート12への印刷に適した状態となる。
また、レンズ検出センサ60により、レンズシート12のレンズピッチに対応する検出信号が生成され、制御部100において、印刷データおよび検出信号に基づいて、CRモータ、および印刷ヘッド32の駆動が制御されると共に、PFモータ41の駆動も制御される。そのため、印刷精度を一層向上させることが可能となる。
さらに、レンズ検出センサ60は、透過方式のセンサである。そのため、反射方式のセンサを用いる場合と比較して、レンズピッチの検出精度を向上させることが可能となる。
また、受光部62は、キャリッジ30の下面のうち、搬送方向の上流側の部位、かつ主走査方向におけるホームポジションから離間する側に取り付けられている。このため、レンズシート12の紙送りの早い段階で、レンズピッチを検出することが可能となる。また、印刷を開始する初期段階では、印刷ヘッド32よりも先にレンズ検出センサ60がレンズシート12に差し掛かるため、1走査でレンズピッチの検出と印刷とを同時に行うことが可能となる。
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態について、図19〜図21に基づいて説明する。なお、本実施の形態では、上述の第1の実施の形態で説明したのと同様の構成については、同一の符号を付して説明する。
本実施の形態では、ドライバプログラム150は、上述の第1の実施の形態で説明した各モジュールと同様のモジュールを有している。しかしながら、判断モジュール151、解像度変換モジュール154等によって行われる処理が、異なっている。また、画像データを処理する順序がやや異なっており、回転モジュール153による画像データの回転処理が2回存在する。そのため、回転モジュール153は、第1画像回転手段および第2画像回転手段を構成する。
図19に示すように、上述のS10〜S12と同様の動作が実行された後に(図19においては、S10〜S12の順序にしたがって、順次S50〜S52とする。)、さらに、上述のS13と同様に受け取った画像データが、変化系画像に対応するか否かを判断する(S53)。ここで、本実施の形態では、上述の第1の実施の形態とは異なり、変化系画像に対応しないと判断される場合(立体画像に対応する場合;Noの場合)に、上述したS14と同様の反転処理を経て(S54)、上述のS15と同様の画像データの回転処理を行う(S55)。すなわち、画像データが立体画像に対応すると共に、この画像データが所定の種類に対応する場合に、回転モジュール153による回転処理が為される。なお、変化系画像に対応すると判断される場合(Yesの場合)にも、上述のS22と同様の反転処理が為される(S63)。
また、S55の後に、上述のS16〜S19と同様の各処理が為されるが(図19においては、S16〜S19の順序にしたがって、順次、S56〜S59とする。)、S59のハーフトーン処理が為された後に、回転モジュール153によって、再度、画像データを90度回転させる処理が行われる(S60)。
ここで、上述の第1の実施の形態では、立体画像に対応する画像データから合成画像データを作成する場合、画像データを構成する各画素のデータを全て読み出し、その後に短冊状の細分化画像データ/合成画像データを作成している。そのため、CPU121において、RAM123等に保存されている画像データの処理を行い、合成画像が得られるまでの時間が掛かる状態となっている。
これに対して、本実施の形態では、立体画像に対応する画像データでは、RAM123等に記憶されている順序で画像データを読み出し/送信しながら、処理を行える。このイメージを図20および図21に示す。図19に示すS55の処理を行うと、画像データが読み出されるのは、図21に示すライン順(以下、画像データの1列分に対応するライン状のデータを、ラインデータとする。)となっている。そして、凸レンズ12A1の1つ分に対応する分だけ、ラインデータが読み出されると、解像度変換モジュールにより、上述の図16に示すS161〜S163と同様の処理が為される。
ここで、ラインデータは、RAM123等の各セルに順番に記憶されているため(図21参照)、ラインデータを読み出す速度は、非常に早い。そのため、本実施の形態において、上述の解像度モジュールによるS161〜S163の処理を行う場合、画像データの全てを読み出した後に処理する第1の実施の形態と比較して、早く処理することが可能となっている。
なお、上述の第1の実施の形態においても、ラインデータが記憶されている場合、各ラインデータ毎に解像度変換処理を行うことによって、細分化画像データの1画素分のデータを得ることは可能である(図21(A)参照)。この場合の処理としては、図16におけるS164と同様の処理となるが、S164と異なるのは、1ラインデータごとに、解像度変換処理が為される点である。しかしながら、このように処理する場合、最初の段階では、RAM123等のL間隔だけ間を有する状態で、RAM123等のセルにデータが記憶されて行く(図21の黒塗り部分が対応)。そのため、間隔が空いたセルに対し、上述のS165のように、同じ画素数を並べる処理を行う必要があるため、図21(A)に示すような、各セルの並びを一度に記憶させることが可能な場合と比較して、RAM123等との間の記憶/読み出しに時間が掛かる状態となっている。そのため、結果的に処理が遅くなる。
これに対して、本実施の形態では、解像度変換処理後でも、図21(A)に示す状態で、ラインデータの状態を保ったままRAM122等に記憶できる。そのため、RAM123等からの読み出しの際に高速化が図れる。なお、RAM123等への記憶の際にも、高速化を図ることも可能である。
以上、本発明の第1および第2の実施の形態について述べたが、本発明は、種々変形可能である。以下、それについて述べる。
上述の各実施の形態では、変化系画像を作成するための変化イメージ作成プログラム141がHDD124に記憶されている場合について説明している。しかしながら、HDD124には、立体画像を作成するための立体画像作成プログラムを、別途記憶させるようにしても良い。
また、上述の実施の形態では、画像データの反転処理と回転処理とを別途行う場合について説明したが、これらを同時に実行することは勿論可能である。
また、上述の実施の形態においては、レンズシートとしては、凸レンズ12A1が多数並べて配置した、レンズシート12を用いている。しかしながら、レンズシートとしては、凹レンズを多数並べて配置した、レンズシートを用いるようにしても良い。
また、上述の実施の形態では、印刷装置として、プリンタ10とコンピュータ120とが接続された構成について説明している。しかしながら、プリンタ10を単独で印刷装置としても良い。この場合には、ドライバプログラム150は、プリンタ10側に存在する状態となる。また、プリンタ10は、印刷のみを行うものには限られず、コピー/ファックス/スキャナ機能も兼ねている複合的なプリンタであっても良い。また、上述のドライバプログラム150を、別途の記録媒体に記憶させ、その記録媒体から読み出す構成を採用しても良い。
また、上述の実施の形態においては、レンズシート12に対して印刷画像を直接印刷する、直描型の場合について述べている。しかしながら、別途印刷された印刷物をレンズシートに貼り合わせる、分離型の場合についても、画像データが変化系画像に対応するか否かの判断後に画像データを回転させる本発明を適用することは勿論可能である。
10…プリンタ、12…レンズシート、20…キャリッジ機構、30…キャリッジ、40…用紙搬送機構、50…プラテン、60…レンズ検出センサ、61…発光部、62…受光部、80…リニアエンコーダ、100…制御部、120…コンピュータ、141…変化イメージ作成プログラム、150…ドライバプログラム、151…判断モジュール(判断手段の一部に対応)、152…反転処理モジュール(反転処理手段の一部に対応)、153…回転モジュール(画像回転手段の一部に対応)、154…解像度変換モジュール(画像変換手段および解像度変換手段の一部に対応)、155…細分化モジュール(画像変換手段よび細分化画像作成手段の一部に対応)、156…合成モジュール(画像変換手段および合成画像作成手段の一部に対応)、157…色変換モジュール、158…ハーフトーンモジュール(ハーフトーン手段の一部)、159…印刷データ生成モジュール(印刷データ作成手段の一部)、160…送信モジュール