JP4215349B2 - レンチキュラースクリーンを介して観察される画像の作製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンチキュラースクリーンを介して観察される画像の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複数のレンチキュラーレンズからなるレンチキュラースクリーンを用いた立体写真が普及している。これは、紙又は樹脂シートなどの記録媒上に形成された複数の圧縮画像を、レンチキュラースクリーンを介して観察することによって、画像を立体的に見ることができ、又は見る角度によって異なる画像を見ることができるようにしたものである。
【0003】
圧縮画像の形成方法として、視差のある複数の原画像が形成されたフィルムを用い、レンチキュラースクリーンを介して印画紙に写真焼付けによって形成する方法が伝統的に採用されていたが、近年においては、コンピュータによって圧縮画像をコンピュータ上で予め画像データとして作製しておき、その画像データに基づいて印刷装置で用紙などの記録媒体に印刷する方法がしばしば採用されている。
【0004】
コンピュータを用いる後者の方法においては、観察に使用するレンチキュラーレンズの幅寸法(ピッチ)及び圧縮画像の個数などに応じて、圧縮画像のサイズが決定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
さて、立体写真が鮮明な画像で綺麗に見えるためには、レンチキュラーレンズのピッチと記録媒体に形成される圧縮画像のピッチとを正確に合わせておく必要がある。
【0006】
ところが、レンチキュラーレンズは、通常、プラスチックを用いた型成形によって作製されるので、設計上のピッチと実際の製品のピッチとの間に誤差が生じる。
【0007】
そのため、記録媒体に形成された圧縮画像の上にレンチキュラースクリーンを載せた際に、レンチキュラーレンズと圧縮画像とが、ある部分においては正確に合うが、他のある部分においてはずれが生じることがある。
【0008】
したがって、従来においては、形成される圧縮画像のピッチとレンチキュラーレンズのピッチとが各部において正確に一致せず、立体写真が綺麗に見えないという問題があった。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、形成される圧縮画像の幅寸法(ピッチ)を実際のレンチキュラーレンズの幅寸法と一致させ、立体写真などをより一層綺麗に観察できることを可能とした、レンチキュラースクリーンを介して観察される画像の作製方法を提供することを目的とする。
【0010】
請求項1の発明に係る方法は、レンチキュラースクリーンを介して観察される画像の作製方法であって、前記レンチキュラースクリーンを構成する各レンチキュラーレンズの幅寸法を計測して計測値を取得し、計測値と基準値とを比較し、レンチキュラーレンズの下に形成される圧縮画像の配置、数、又は寸法を可変することにより、各レンチキュラーレンズについて、それぞれのレンチキュラーレンズの下に形成される圧縮画像の幅寸法を当該レンチキュラーレンズの計測値に一致させる。
【0011】
請求項2の発明に係る方法では、前記レンチキュラースクリーンを樹脂成形するための成形型の寸法を計測することによって前記計測値を取得する。
請求項3の発明に係る方法では、同じ成形型によって樹脂成形された1つ又は複数のレンチキュラースクリーンの寸法を計測することによって前記計測値を取得する。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る圧縮画像の作製方法を説明するための図である。
図1(A)において、レンチキュラースクリーンLSは、レンチキュラーレンズLLからなっている。それぞれのレンチキュラーレンズLLは、断面がかまぼこ型を呈しており、且つ線状に互いに平行に伸びている。
【0013】
各レンチキュラーレンズLLの幅寸法Pは、その設計値(基準値)はすべて同じ値であるが、実際には、それらは製品誤差のために完全には一致しない。製品誤差の原因として、例えば次の要因がある。
【0014】
すなわち、レンチキュラースクリーンLSは、通常、成形型を用いて樹脂成形される。成形型の製作過程において、ダイヤモンドバイトの微妙な歪み、精度の狂い、又は研削過程の精度の狂いなどによって、成形型において、各レンチキュラーレンズLLとなる部分の幅寸法が設計値から誤差を持ってしまう。また、成形型によって樹脂成形した際に、樹脂の温度、圧力、成分などの微妙な差異によって、成形型の寸法から誤差を持ってしまうことがある。
【0015】
そこで、各レンチキュラーレンズLLの幅寸法Pの実際の値をP1,P2,P3…とする。これらの値P1,P2,P3…は、各レンチキュラーレンズLLの幅寸法を計測することによって取得される。つまり、この場合に、値P1,P2,P3…は計測値である。
【0016】
レンチキュラースクリーンLSにおいて、レンチキュラーレンズLLの計測値P1,P2,P3…を取得するには、例えば次の方法が用いられる。1つの方法は、投影機を用い、レンチキュラーレンズLLの端面形状を拡大投影して測定する。この場合には、例えば1μm程度の精度で測定可能である。他の1つの方法は、表面粗さ計を用い、レンチキュラースクリーンLSの表面状態を拡大して計測する。また、他の方法では、適当な冶具を用い、マイクロメータなどにより測定する。
【0017】
計測値P1,P2,P3…を取得する際に、レンチキュラースクリーンLSそれ自体を計測してもよい。その場合には、1つの同じ成形型から作製された数個のレンチキュラースクリーンLSについて計測を行い、それらの平均値などを求めればよい。得られた計測値P1,P2,P3…は、それと同じ成形型を用いて作製されたレンチキュラースクリーンLSに対して適用される。
【0018】
また、成形型を計測することによって計測値P1,P2,P3…を得てもよい。この場合には、得られた計測値P1,P2,P3…は、その成形型を用いて作製されたレンチキュラースクリーンLSに対して適用される。
【0019】
図2は3種類のレンチキュラースクリーンLS1〜3についての計測値P1,P2,P3…の例を示す図である。なお、基準値は全てについて「38.2」である。単位はミクロンである。
【0020】
図2に示すように、1つ目のレンチキュラースクリーンLS1についての計測値は、基準値に対して一定のリズムで漸増しており、その誤差は等差級数的に誤差が増大している。
【0021】
2つ目のレンチキュラースクリーンLS2についての計測値は、基準値に対して同じ一定の誤差を有している。3つ目のレンチキュラースクリーンLS3についての計測値は、基準値に対して不規則な誤差を有している。このように、計測値の基準値に対する誤差には種々のパターンがある。
【0022】
図1(B)に戻って、1つのレンチキュラーレンズLLの下に、5つの圧縮画像1,2,3,4,5が形成されるものとする。5つの圧縮画像のセットを圧縮画像FPと記載する。この場合に、各レンチキュラーレンズLLの幅寸法の計測値P1,P2,P3…の中に、それぞれ5つの圧縮画像FP1,2,3…がきっちりと配置されるのが好ましい。
【0023】
しかし、上に述べたように計測値P1,P2,P3…には誤差があるので、全ての圧縮画像FP1,2,3…を、同じ配置、数、及び寸法で形成した場合には、レンチキュラーレンズLLの下からはみ出したり、隣のレンチキュラーレンズLLの下に入ってしまったり、レンチキュラーレンズLLの下に配置される圧縮画像の配置がでたらめなものとなってしまう可能性がある。
【0024】
そこで、本実施形態においては、計測値P1,P2,P3…と基準値とを比較し、その差に応じて、各レンチキュラーレンズLLの下に形成される圧縮画像FP1,2,3…の配置、数、又は寸法を可変する。
【0025】
図3は計測値Paを有する1つのレンチキュラーレンズLLの下に形成される圧縮画像FPaの配置例を示す図である。
図3(A)は、計測値Paが基準値よりも大きい場合であり、5つ目の圧縮画像5が2回形成されている。その場合に、2回目に形成される圧縮画像5は、計測値Paに合うように、幅方向に圧縮され又は一部が削除されている。
【0026】
図3(B)は、計測値Paが基準値よりも小さい場合であり、5つ目の圧縮画像5は、計測値Paに合うように、幅方向に圧縮され又は一部が削除されている。なお、この場合に、5つの圧縮画像1〜5の全てについて、均等に幅方向に圧縮し又は一部を削除することによって、計測値Paに合わせてもよい。
【0027】
図3(C)は、計測値Paが基準値よりも小さい場合であり、レンチキュラーレンズLLの計測値Paの下に、4つの圧縮画像1〜4のみが入っている。この場合に、4つの圧縮画像1〜4は、計測値Paに合うように、それぞれの幅方向に少し拡大されている。
【0028】
図3(D)は、計測値Paが基準値よりも大きい場合であり、5つ目の圧縮画像5が形成された後、余りの部分は空白となっている。その結果、次のレンチキュラーレンズLLの下には、圧縮画像が1つ目から正しく配置される。
【0029】
またレンチキュラーレンズLLの下に空白部分ができてしまう場合に、その空白部分が左右の端部に振り分けられて配置されるよう、圧縮画像を中央に配置してもよい。
【0030】
また、レンチキュラーレンズLLの下に形成される圧縮画像を幅方向に拡大又は縮小する場合に、中央部に配置される圧縮画像の拡大率又は縮小率を、端部に配置される圧縮画像のそれらよりも小さくし、又は大きくしておいてもよい。
【0031】
このように、圧縮画像の配置、数、又は寸法を可変するには、圧縮画像を形成するためのデータ処理装置において、データ処理又は画像処理を行えばよい。その際に、レンチキュラーレンズLLの計測値P1,P2,P3…に応じて、圧縮画像の配置、数、又は寸法を各計測値に合うように可変するための適当なアルゴリズムが用いられる。そのようなアルゴリズムは、処理装置のCPUによって実行されるプログラムとして提供される。データ処理装置として、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、又は専用機などが用いられる。
【0032】
図4はレンチキュラースクリーンを介して観察される画像の作成手順を示すフローチャートである。
図4において、レンチキュラースクリーンLSの各レンチキュラーレンズLLの幅寸法Pを計測する(#11)。これによって計測値P1,P2,P3…が得られる。計測値と基準値とが比較される(#12)。基準値として、例えば設計値が用いられる。なお、ここでの比較は、必ずしも1対1で比較するものではなく、計測値に対し、基準値を意識した何らかのデータ処理を行う場合を含む。そして、圧縮画像をどのように配置するかを演算する(#13)。
【0033】
演算された結果に基づいて、圧縮画像を用紙などの記録媒体に形成する(#14)。ここで、圧縮画像の形成のために、例えば、印刷又は写真焼付けなどが行われる。圧縮画像の形成された記録媒体をレンチキュラーレンズLLと一体化して完成させる(#15)。
【0034】
本実施形態によると、形成される圧縮画像の幅寸法(ピッチ)を実際のレンチキュラーレンズの幅寸法と一致させることができる。したがって、立体写真などをより一層綺麗に観察できることが可能となる。
【0035】
上に述べた実施形態において、圧縮画像の形成のために、例えば、特開平10−65899号に記載の技術、その他の公知の種々の技術を適用することが可能である。
【0036】
【発明の効果】
本発明によると、形成される圧縮画像の幅寸法(ピッチ)を実際のレンチキュラーレンズの幅寸法と一致させ、立体写真などをより一層綺麗に観察できることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧縮画像の作製方法を説明するための図である。
【図2】種々のレンチキュラースクリーンについての計測値の例を示す図である。
【図3】1つのレンチキュラーレンズの下に形成される圧縮画像の配置例を示す図である。
【図4】レンチキュラースクリーンを介して観察される画像の作成手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
LS レンチキュラースクリーン
LL レンチキュラーレンズ
P1,P2,P3… 計測値
Claims (3)
- レンチキュラースクリーンを介して観察される画像の作製方法であって、
前記レンチキュラースクリーンを構成する各レンチキュラーレンズの幅寸法を計測して計測値を取得し、
レンチキュラーレンズの下に形成される圧縮画像の配置、数、又は寸法を可変することにより、各レンチキュラーレンズについて、それぞれのレンチキュラーレンズの下に形成される圧縮画像の幅寸法を当該レンチキュラーレンズの計測値に一致させる、
ことを特徴とするレンチキュラースクリーンを介して観察される画像の作製方法。 - 前記レンチキュラースクリーンを樹脂成形するための成形型の寸法を計測することによって前記計測値を取得する、
請求項1記載のレンチキュラースクリーンを介して観察される画像の作製方法。 - 同じ成形型によって樹脂成形された1つ又は複数のレンチキュラースクリーンの寸法を計測することによって前記計測値を取得する、
請求項1記載のレンチキュラースクリーンを介して観察される画像の作製方法。
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