JP2009099552A - 固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法および固体酸化物形燃料電池用セル - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法および固体酸化物形燃料電池用セル Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、固体電解質膜と空気極との間の反応がより一層抑制されていることから、耐久性に極めて優れ経時的な出力の劣化が低減された固体酸化物形燃料電池用のセルを製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、当該方法で製造された固体酸化物形燃料電池用セルを提供することも目的とする。
【解決手段】本発明に係る電解質膜と空気極との間に中間層を備える固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法は、セリア粉体をペースト化する工程;および、当該ペーストを電解質膜に塗布後、焼成する工程;とを含み、中間層の材料である上記セリア粉体として、2種以上の特定のセリア粉体を特定の割合で混合したものを用いることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池用のセルを製造する方法、および当該方法で製造した固体酸化物形燃料電池用セルに関するものである。
近年、燃料電池はクリーンなエネルギー源として注目されており、その用途は家庭用発電から業務用発電、更には自動車用発電などを主体にして急速に改良研究や実用化研究が進められている。かかる燃料電池の中でも固体酸化物形燃料電池は、効率が良好で長期安定性にも優れるものとして家庭用や業務用の電力源として期待されている。
この固体酸化物形燃料電池の代表的な構造としては、固体電解質膜の片面側に燃料極、他方面側に空気極を設けた自立膜型セルを縦方向に多数積層したスタックが基本である。そして空気極材料としては、一般にペロブスカイト型酸化物(ABO3:A,Bは金属元素を表す)が使用されている。その中でも、Aサイトがランタン、Bサイトがマンガンからなるランタンマンガネート系材料が広く使用されている。しかし、このランタンマンガネート系材料の電極活性は低い。一方、900℃未満でも発電可能な、より高活性のランタンコバルタイト系材料が空気極の材料として用いられることもある。しかし何れにせよ、電解質膜に電極等を形成する場合には、高温で焼成する必要がある。
この際、高温により空気極材料のランタン等が電解質膜に拡散し、両者の界面に電気抵抗の高い反応相が形成される場合がある。かかる反応相は燃料電池内部の抵抗の原因となり、ひいては出力が低下する結果となり得る。
そこで特許文献1の技術では、電解質膜と空気極との間にセリア系の中間層を形成し、電解質膜と空気極との間の反応を抑制している。
しかし、かかる中間層に過剰な気孔が存在すると、気孔を通じて空気極材料と電解質膜とが反応するおそれがある。また、中間層としては酸素イオン導電性の高い緻密な構造を有するものが好適である。かかる観点から、特許文献2には気孔率が25%以下である中間層が開示されており、特許文献3には緻密な中間層を形成するための、比表面積が6〜45m2/gであるセリア原料粉末が記載されている。これら中間層を形成する原料粉末の平均粒子径は、それぞれ0.3〜3μmと0.1〜1μmとされている。
特開平5−67473号公報 特開2003−173801号公報 特開2004−164878号公報
上述した様に、従来、固体酸化物形燃料電池用セルにおいて、高温により固体電解質膜と空気極との間に抵抗の高い反応相が形成されることが知られていた。かかる反応相の形成を抑制するために、固体電解質膜と空気極との間に緻密な中間層を設ける技術が開発されている。しかし、固体酸化物形燃料電池の実用化に向けての要求はさらに厳しくなってきており、従来技術では必要とされる耐久性を満足できない。
そこで本発明が解決すべき課題は、固体電解質膜と空気極との間の反応がより一層抑制されていることから、耐久性に極めて優れ経時的な出力の劣化が低減された固体酸化物形燃料電池用のセルを製造する方法を提供することにある。また、本発明は、当該方法で製造された固体酸化物形燃料電池用セルを提供することも目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、従来は中間層材料として1種のみの原料粉体が用いられていたが、中間層の材料として2種以上の特定のセリア粉体を適切な割合で混合したものを用いれば、非常に緻密な中間層を形成することができ、ひいては耐久性の高いセルを製造できることを見出して本発明を完成した。
本発明に係る電解質膜と空気極との間に中間層を備える固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法は、中間層の材料であるセリア粉体をペースト化する工程;および、当該ペーストを電解質膜に塗布後、焼成する工程;とを含み、中間層の材料である上記セリア粉体を、平均粒子径が0.3μm以上、1.0μm以下で比表面積が2m2/g以上、9m2/g以下のセリア粉体Aと、平均粒子径が0.1μm以上、0.25μm以下で比表面積が10m2/g以上、62m2/g以下のセリア粉体Bを含む混合物とし;
上記セリア粉体Bの平均粒子径に対する上記セリア粉体Aの平均粒子径の比を1.5以上、6.0以下とし;且つ
上記セリア粉体において、上記セリア粉体Aの割合を50質量%以上、95質量%以下、上記セリア粉体Bの割合を5質量%以上、50質量%以下にすることを特徴とする。
上記製造方法においては、上記セリア粉体へ、さらに平均粒子径が0.01μm以上、0.09μm以下で比表面積が20m2/g以上、120m2/g以下のセリア粉体Cを配合することが好ましい。この場合、上記セリア粉体Aの割合を50質量%以上、95質量%以下、上記セリア粉体Bの割合を5質量%以上、50質量%以下、上記セリア粉体Cの割合を1質量%以上、30質量%以下(但し、上記セリア粉体A、上記セリア粉体Bおよび上記セリア粉体Cの割合の合計を100質量%とする)にすることが好ましい。さらに微細なセリア粉体Cを添加することによって、緻密な中間層の形成がより一層確実になる。
上記製造方法においては、比表面積が10m2/g以上、14m2/g以下のセリア粉体Bを用いることが好ましい。本発明者らによる知見によれば、かかるセリア粉体Bを用いた燃料電池用セルの耐久性は、より一層優れている。
上記セリア粉体A、上記セリア粉体Bおよび上記セリア粉体Cを構成するセリアの化学式としては、それぞれ独立にCe1-xx2-y(式中、MはY、Sm、Gd、Nd、Pr、Sc、Ga、Alからなる群より選択される1種または2種以上の金属を示し;0.05≦x≦0.4であり;0≦y<0.5である)を挙げることができる。当該化学式を有するセリア粉体は、中間層の材料として優れている。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池用セルは、上記の本発明方法で製造されたものであって、中間層における空隙率が10%以下であることを特徴とする。
本発明の製造方法によれば、特定のセリア粉体を2種以上適切な割合で混合して用いることによって、比較的大きなセリア粉体の隙間に比較的小さなセリア粉体を存在せしめ、非常に緻密な中間層を形成することができ、固体電解質膜と空気極との間における反応の抑制が可能になる。その結果、本発明方法で製造されたセルを含む燃料電池は、発電時における内部抵抗の上昇が抑制されており、ひいては経時的な出力低下が低減されていることから、耐久性が顕著に向上している。従って本発明は、固体酸化物形燃料電池の実用化に寄与し得るものとして、産業上極めて有用である。
本発明方法は、固体電解質膜の両面側にそれぞれ燃料極と空気極を有し、且つ固体電解質膜と空気極との間に中間層を備える固体酸化物形燃料電池用セルの製造に関するものである。よって本発明方法は、少なくとも中間層の形成工程、燃料極の形成工程、および空気極の形成工程を含むが、特に中間層の形成工程で特定の原料粉体を用いる点に特徴を有する。以下に、各工程ごとに本発明を説明する。
(1) 中間層の形成工程
本発明は、中間層の原料粉体として、平均粒子径が比較的大きいセリア粉体Aと、平均粒子径が比較的小さいセリア粉体Bを適切な割合で含むものを用いる。かかる構成によって、セリア粉体A同士の隙間にセリア粉体Bが入り込み、結果として緻密な中間層を得ることができる。
本発明で用いるセリア粉体の材料としては、固体電解質膜と空気極との反応を抑制できるものであれば特に制限されないが、例えば、Y、Sm、Gd、Nd、Pr、Sc、Ga、Alからなる群より選択される1種または2種以上の金属にドープされたセリア、より具体的にはCe1-xx2-y(式中、MはY、Sm、Gd、Nd、Pr、Sc、Ga、Alからなる群より選択される1種または2種以上の金属を示し;0.05≦x≦0.4であり;0≦y<0.5である)で表される化学式で示されるものを挙げることができる。
なお、上記式におけるyの値はドーパントであるM23の量や酸素分圧に依存する。即ち、Mの価数は2価であることもあるが通常は3価であり、その酸化物の化学式はM23となるので、ドーパント量が増えるほどyの値は小さくなる。また、Ceの価数は酸素分圧などの影響により2価または3価となるので、セリア中にはCeO2とCeO1.5が混在する。よって、yの値は一義的に定まるものではない。しかしこのことは、当業者にとり技術常識である。
セリア粉体Aの平均粒子径は、0.3μm以上、1.0μm以下が好ましい。当該平均粒子径が0.3μm未満であるとセリア粉体Bとの大きさの差異が小さくなって粉体間の隙間が多くなり、緻密な中間層が得られないおそれがある。一方、当該平均粒子径が1.0μmを超えるとセリア粉体A同士間の隙間が大きくなり過ぎ、やはり緻密な中間層が得られない可能性があり得る。当該平均粒子径としては、0.35μm以上、0.8μm以下がより好ましい。
本発明で用いるセリア粉体Aおよびセリア粉体Bの平均粒子径(50体積%径)は、例えば堀場製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置「LA−920」を用い、蒸留水中に分散剤として0.2質量%のメタリン酸ナトリウムを添加した水溶液を分散媒とし、当該分散媒中へ各粉体を添加し、3分間超音波処理して分散させた後の測定値である。なお、50体積%径とは、体積を基準とする粒度分布の測定結果において、累積グラフにおける50体積%での粒径をいう。
セリア粉体Aの比表面積は、2m2/g以上、9m2/g以下が好ましい。当該比表面積が2m2/g以上であれば焼結が良好に進行し、十分に緻密な中間層が形成される。一方、当該比表面積が9m2/gを超えると中間層形成のためのバインダー等が多く必要となり逆に緻密化が阻害されることがあり得る。当該比表面積としては、3m2/g以上、8m2/g以下が好ましい。本発明における粉体の比表面積はBET法により求めることができる。
セリア粉体Bの平均粒子径は、0.1μm以上、0.25μm以下が好ましい。当該平均粒子径が0.1μm未満であると、細か過ぎるためにセリア粉体A間の隙間を十分に埋めきれなくなるおそれがある。一方、0.25μm以下であればセリア粉体A間の隙間を良好に埋めることができ、結果として緻密な中間層が得られる。当該平均粒子径としては、0.12μm以上、0.25μm以下がより好ましい。
セリア粉体Bの比表面積は、10m2/g以上、62m2/g以下が好ましい。当該比表面積が10m2/g以上であれば焼結が良好に進行し、十分に緻密な中間層が形成される。一方、当該比表面積が62m2/gを超えると焼結が過剰に進行し、中間層の表面にクラック等の不良が発生することがあり得る。当該比表面積としては、10m2/g以上、20m2/g以下がより好ましく、10m2/g以上、14m2/g以下がさらに好ましい。
本発明においては、上記セリア粉体Aおよびセリア粉体Bに加えて、さらに平均粒子径が0.01μm以上、0.09μm以下で比表面積が20m2/g以上、120m2/g以下のセリア粉体Cを添加することが好ましい。かかる微細なセリア粉体Cは、セリア粉体Aとセリア粉体Bとの隙間へさらに入り込み、結果として一層緻密な中間層を形成すると考えられる。
当該セリア粉体Cの平均粒子径が0.01μm未満であると、セリア粉体C同士が凝集するおそれがある。一方、当該平均粒子径が0.09μm以下であれば、セリア粉体Aとセリア粉体Bとの隙間を良好に埋めることができると共に、セリア粉体C自体が焼結を促進することから、結果としてより一層緻密な中間層が得られる。当該平均粒子径としては、0.02μm以上、0.08μm以下がより好ましい。
本発明で用いるセリア粉体Cの平均粒子径は、セリア粉体Aおよびセリア粉体Bのようにレーザー回折式の測定装置では測定できないので、透過型電子顕微鏡を用いて測定した実測値とする。即ち、例えば日立ハイテクノロジーズ社製の「H−7600」などの透過型電子顕微鏡を用い、電子銃:LaB6、エミッション電流:5〜10μmA、加速電圧:100kVという条件の下でセリア粉体Cを拡大観察し、視野内における各セリア粉体Cの粒子径を測定し、その平均値を算出する。また、測定に当たってはセリア粉体Cを溶媒に分散させ、当該分散液を銅製のコロジオン膜グリットに移して測定した。溶媒としては、水やエタノールなどの極性溶媒、ヘキサンなどの無極性溶媒を用いることができる。後述する実施例では、蒸留水を用いた。なお、セリア粉体Cは球であるとは限らないが、例えば楕円形の場合には長径と短径の中間値をとるなど、おおよその値を採用するものとする。
当該セリア粉体Cの比表面積が20m2/g以上であれば、焼結が良好に進行し、十分に緻密な中間層がより確実に得られる。一方、当該比表面積が120m2/gを超えると、焼結が過剰に進行して中間層の表面にクラック等の不良が発生することがあり得る。当該比表面積としては、20m2/g以上、80m2/g以下がより好ましい。
セリア粉体Aとセリア粉体Bは、市販のセリア粉体の平均粒子径と比表面積を測定し、適切なものを選択して用いることができるが、調製することもできる。例えば、所望の割合のセリウム塩とドープすべき金属の塩の水溶液に、シュウ酸塩など不溶性の混合金属塩を形成できる塩の水溶液を混合し、析出した混合金属塩を乾燥する。当該混合金属塩を予備的に粉砕した後、300〜1500℃程度で1〜15時間程度焼成する。得られたセリア粉体をボールミル等で所望の粒径に粉砕すればよい。平均粒子径は、粉砕工程におけるメディアの構成、回転数、粉砕時間などを調節することにより調整することができる。必要に応じて、さらに篩分けを行って平均粒子径を調整してもよい。また、比表面積は焼成条件などにより調整することができる。具体的な粉砕条件や比表面積は、予備実験などにより決定すればよい。
上記セリア粉体Cとしては、市販のナノパウダーを用いてもよいし、機械的粉砕法、メカノケミカル法、噴霧熱分解法、プラズマ法など公知のナノ粒子製造方法で調製した微細セリア粉体を用いてもよい。
本発明では、中間層の原料であるセリア粉体において、上記セリア粉体Aの割合を50質量%以上、95質量%以下、上記セリア粉体Bの割合を5質量%以上、50質量%以下にする。当該セリア粉体Aの割合が50質量%以上であれば、セリア粉体A間の隙間をセリア粉体Bにより好適に埋めることができ、緻密な中間層を形成できる。一方、当該セリア粉体Bの割合が95質量%を超えると、セリア粉体A間の隙間をセリア粉体Bで十分に埋めきれないおそれがあり得る。セリア粉体Aおよびセリア粉体Bの当該含量としては、セリア粉体Aの割合を60質量%以上、90質量%以下、セリア粉体Bの割合を10質量%以上、40質量%以下とすることが好ましい。
セリア粉体Aとセリア粉体Bを混合する際には、セリア粉体Bの平均粒子径に対するセリア粉体Aの平均粒子径の比を、1.5以上、6.0以下にすることが好ましい。当該比が1.5以上、6.0以下であれば、両粉体の焼成収縮開始温度の差異による閉気孔や開気孔、ひび割れやクラックの発生を適度に緩和できると共に、両粉体の大きさの差が明確となり、セリア粉体Aの隙間をセリア粉体Bでより確実に埋めることができ、緻密な中間層の形成がより確実になる。一方、当該比が1.5未満であると、両粉体の粒子径に大きな差異がないので焼成収縮開始温度にも大きな差異が認められず、焼成収縮による開気孔、ひび割れやクラックの発生は多くはないものの、逆にセリア粉体Aの隙間をセリア粉体Bでより確実に埋めることができ難くなるため閉気孔が多く発生し易くなる。多量の閉気孔の発生は、中間層の導電率の低下を引き起こし易くなるという問題が生じる。また、当該比が6.0を超えると、両粉体の粒子径の差異が大きくなり過ぎ、セリア粉体Bの焼成収縮開始温度がセリア粉末Aのそれよりもより低温側で起こるようになり、焼成収縮に大きな差が生じる結果、焼成後に開気孔、ひび割れやクラック発生が起こり易く、緻密な中間層の形成ができなくなるという問題が生じる。当該比としては、2.0以上、5.0以下がより好適である。
セリア粉体Cを用いる場合には、上記セリア粉体において、上記セリア粉体Aの割合を50質量%以上、95質量%以下、上記セリア粉体Bの割合を5質量%以上、50質量%以下、上記セリア粉体Cの割合を1質量%以上、30質量%以下(但し、上記セリア粉体A、上記セリア粉体Bおよび上記セリア粉体Cの割合の合計を100質量%とする)にすることが好ましい。各セリア粉体の割合を当該範囲とすることで、セリア粉体A同士の隙間にセリア粉体Bが入り込む上に、セリア粉体A同士の隙間、セリア粉体B同士の隙間、またセリア粉末Aとセリア粉末Bの隙間にセリア粉末Cが良好に入り込み、結果としてより緻密な中間層を得ることができる。セリア粉末Cが1質量%を下回るとその添加効果が十分に現れず、30質量%を上回るとセリア粉末Cの収縮が大きくなって緻密な中間層が得られ難くなる。セリア粉体Cの割合としてより好ましくは、1.5質量%以上、10質量%以下である。
セリア粉体Aとセリア粉体Bの混合物、或いはセリア粉体A、BおよびCの混合物は、適量のバインダー等と共に溶媒に添加して3本ロールミル等でよく練合することによりペースト化する。バインダーとしてはポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等を選択することができる。また、溶媒としてはα−テルピネオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ノニルアルコール、グリセリン、ブチルカルビトールなどを挙げることができ、さらに必要に応じて分散剤やチキソ剤等を添加してもよい。
得られた中間層ペーストは、固体電解質膜に塗布した後に乾燥する。塗布方法は常法を用いればよく、例えばスクリーン印刷やコーティング法により塗布すればよい。乾燥条件は溶媒を蒸発できる程度にすればよく、例えば、70〜120℃程度で1〜10時間程度加熱すればよい。さらに焼成することにより、中間層を形成する。焼成条件は適宜調節すればよいが、例えば900〜1500℃程度で2〜10時間程度焼成すればよい。
なお、製造効率の観点から、一般的には中間層ペーストの乾燥後、固体電解質膜の反対側面に燃料極ペーストを塗布してから乾燥し、さらに焼成して中間層と燃料極を同時に形成する。また、中間層ペーストの塗布乾燥と燃料極ペーストの塗布乾燥は、何れを先に行ってもよい。
中間層の厚さは適宜調節すればよいが、通常は3μm以上、30μm以下とする。3μm以上であれば、固体電解質膜と空気極との反応をより確実に抑制できる。一方、当該厚さが30μmを超えると内部抵抗が大きくなり発電性能が低下するおそれがあり得る。より好適には5μm以上、20μm以下とする。中間層の厚さは、塗布する中間層ペーストの量により調節することができる。
本発明で用いる固体電解質膜は、固体電解質形燃料電池で一般的に用いられるものであれば特に制限されない。例えば、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化イッテリビウム等で安定化されたジルコニアからなるものを使用することができる。より好適には、3〜10モル%の酸化イットリウムで安定化されたジルコニア、4〜12モル%の酸化スカンジウムで安定化されたジルコニア、4〜15モル%の酸化イッテルビウムで安定化されたジルコニアからなるものを用いることが好ましい。また、これらの安定化ジルコニアへ、アルミナ、シリカ、チタニア、セリアなどを焼結助剤として添加した材料も好適に用いることができる。
固体電解質膜の厚さも適宜調節すればよいが、通常は5〜500μmのものを用いる。また、形状等も制限されず、平板状、円筒状、円筒平板状などいずれであってもよい。
(2) 燃料極の形成工程
本発明方法では、固体電解質膜において、中間層を形成した或いは形成すべき面とは逆の面上に燃料極を形成する。なお、前述した様に、中間層と燃料極の形成の順序は特に制限されず、また、固体電解質膜の各面にそれぞれ中間層ペーストと燃料極ペーストを塗布乾燥した後に焼結することによって、中間層と燃料極を同時に形成してもよい。
燃料極の材料としては、例えば、NiOに、イットリウム、サマリウム、ガドリニウムから選ばれる元素の酸化物の少なくとも1種によりドープされたセリア、および/または、イットリウム、スカンジウム、イッテルビウムから選ばれる元素の酸化物の少なくとも1種で安定化されたジルコニアを添加したものを挙げることができる。より具体的な燃料極材料は、例えば、NiO:50〜70質量%と、10モル%スカンジア1モル%セリア安定化ジルコニア:30〜50質量%の混合粉末などである。
燃料極ペーストは、上記材料をバインダー等と共に溶媒に添加してよく練合すればよい。また、燃料極ペーストには、必要に応じて可塑剤、分散剤、造孔剤などを添加してもよい。
燃料極ペーストの塗布方法や乾燥条件、焼成条件などは、中間層の形成工程と同様に実施できる。
(3) 空気極の形成工程
固体電解質膜の各面にそれぞれ中間層と燃料極を形成した後には、当該中間層上に空気極ペーストを塗布乾燥した上で焼成することによってセルとする。
空気極の材料としては、電子導電性に優れ、酸化雰囲気下でも安定なペロブスカイト形酸化物からなるものが一般的に用いられる。具体的には、La0.8Sr0.2MnO3、La0.6Sr0.4CoO3、La0.6Sr0.4FeO3、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83等、ランタンの一部をストロンチウムで置換したランタンマンガナイト、ランタンフェライトやランタンコバルタイト等が空気極材料として好ましい。また、空気極に酸素イオン導電性を付与するために、希土類などをドープしたセリアを適宜混合することもできる。
空気極ペーストは、燃料極ペーストと同様に、上記材料をバインダー等と共に溶媒へ添加し、必要に応じてさらに分散剤等を添加して調製することができる。空気極ペーストの塗布方法や乾燥条件、焼成条件なども、燃料極の形成工程と同様に実施できる。
以上で説明した本発明方法によれば、極めて緻密な中間層を有する固体酸化物燃料電池用セルを製造できる。より具体的には、中間層の空隙率が10%以下に抑制されており、発電時等における固体電解質膜と空気極との反応がより一層抑制されていることから耐久性に極めて優れたセルを製造できる。即ち、本発明に係る固体酸化物燃料電池用セルは、耐久性に優れていることから実用的である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
製造例1
(1)GDC粉体Aの調製
関東化学社製の硝酸セリウムと硝酸ガドリニウムを、GdとCeのモル比:Gd/Ceが1/4となるように水に溶解した。また、関東化学社製のシュウ酸アンモニウムを水に溶解した。シュウ酸アンモニウム水溶液の量は、そのNH3 +のモル数が硝酸セリウム−硝酸ガドリニウム水溶液中のNO3 -のモル数の1.2倍となる量とした。硝酸セリウム−硝酸ガドリニウム水溶液へシュウ酸アンモニウム水溶液を滴下し、ガドリニウムおよびセリウムのシュウ酸塩を析出沈殿させた。得られた沈殿物を濾別して蒸留水で洗浄した後、乾燥機を用いて60℃で乾燥した。得られた塩をアルミナ製の乳鉢と乳棒で粉砕した。得られた粉体を坩堝に移し、200℃/hの速度で1000℃まで昇温し、空気中、1000℃で5時間加熱することにより焼成した。得られた粉体25gを遊星ボールミルで粉砕した。粉砕条件は以下の通りである。
溶媒: 水(25g)
遊星ミルポット: 250mL容、ジルコニア製
ジルコニアボール: φ1mm(150g)、φ3mm(100g)、φ5mm(50g)
回転速度: 300rpm
粉砕時間: 60分間
得られた粉体の平均粒子径(50体積%径)を測定した。より具体的には、蒸留水中に分散剤として0.2質量%のメタリン酸ナトリウムを添加した水溶液を分散媒とし、当該分散媒に各粉体を添加し、3分間超音波処理して分散させた分散液を使い、また、測定装置としては堀場製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置「LA−920」を使って体積基準の粒度分布を測定し、得られた粒度分布から平均粒子径を求めた。レーザーとしては、青色タングステンランプまたはHe−Neレーザーを用いた。また、分散媒への粉体の添加量は、透過率が70〜90%程度になるように調整した。なお、他の粉体の平均粒子径も同様の方法で測定したが、青色タングステンランプとHe−Neレーザーを用いた場合で透過率が大幅に異なる場合には青色タングステンランプを優先して用いて透過率を調整した。得られたGDC粉体Aの平均粒子径は0.39μmであった。
(2)GDC粉体Bの調製
上記(1)において、焼成温度を800℃、焼成時間を6時間とし、粉砕で用いたジルコニアボールをφ1mm(200g)とφ3mm(100g)とした以外は同様にして、GDC粉体Bを得た。当該粉体Bの平均粒子径は0.18μmであった。
(3)電極ペーストの調製
NiO粒子(ナカライテスク製、EPグレード、平均粒子径:1.3μm)60質量%と、10Sc1CeSZ粒子(第一稀元素化学工業製、平均粒子径:0.63μm)40質量%からなる混合物100質量部に対して、バインダーとしてエチルセルロースを3質量部、溶媒としてα−テルピネオールを40質量部加え、3本ロールミルを用いて混練し、燃料極ペーストとした。
また、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83(セイミケミカル製、平均粒子径:0.5μm)に、バインダーとしてエチルセルロースを3質量%、溶媒としてα−テルピネオールを30質量%の割合で加え、十分に混合することにより空気極ペーストとした。
(4)セルの作製
6モル%スカンジア安定化ジルコニアからなるシート(5cm×5cm×厚さ100μm)の片面に、スクリーン印刷により、上記燃料極ペーストを直径1cmの円の形状に塗布し、90℃で5時間乾燥した。
また、上記(1)で得たGDC粉体Aと上記(2)で得たGDC粉体Bを、質量比(粉体A/粉体B):7/3の割合で混合した。当該混合粉末100質量部に対して、エチルセルロース0.5質量部とグリセリン30質量部を加え、3本ロールミルで十分に混合することにより中間層ペーストとした。当該中間層ペーストを、燃料極と反対側へスクリーン印刷により直径1cmの円の形状に塗布し、同様に乾燥した。これを1300℃で5時間焼成した。
続いて、中間層の上に上記空気極ペーストを直径1cmの円の形状にスクリーン印刷し、90℃で5時間乾燥後、1000℃で3時間焼成することによりセルを得た。燃料極、空気極、中間層の各膜厚は、それぞれ約40μm、30μm、10μmとした。
製造例2〜9
表1に示す条件でそれぞれ粉体Aと粉体Bを調製し、上記製造例1と同様にセルを作製した。なお、表中、製造例nで調製したセリア粉体Aを調製例nAと表し、セリア粉体Bを調製例nBと表す。また、例えば「GDC」は酸化ガドリニウムをドープしたセリアを示す。同様に、「SDC」および「YDC]は、それぞれ酸化サマリウムおよび酸化イットリウムをドープしたセリアを示す。また、「SA」は比表面積を示し、使用した原料は全て6水和物である。
なお、比表面積は、BET比表面積測定装置(マウンテック社製、「HM model−1210」)を使用して以下の通りBET法で測定した。即ち、測定装置の空セルの重量を測定し、その中に測定する粉体サンプルを入れ、窒素気流下200℃に加温することで乾燥させた。次に当該セルを装置に取り付けて液体窒素に浸し、粉体サンプルの表面に窒素を吸着させた。吸着量が安定化したところでセルを液体窒素中から引き上げ、吸着した窒素を脱離させた。以上の操作において、窒素の吸着量と脱離量、および粉体サンプルの量から比表面積を求めた。
さらに、表2に示す条件で、本発明の範囲外の粉体8A’、9A’および9B’を調製し、粉体8A’は粉体8Bと、粉体9A’は粉体9B’と組合わせ、上記製造例1と同様に製造例8〜9のセルを作製した。表2中の下線は、本発明の規定範囲外であることを示す。
試験例1 空隙率
上記で製造したセルにおける中間層の空隙率を測定した。具体的には、上記製造例1〜9のセルを切断し、走査型電子顕微鏡を用いて断面の10,000倍拡大写真を撮影した。得られた断面拡大写真における任意の厚さ方向5μm×平面方向10μmの領域をMicrosoft社の画像作成用ソフトであるペイント(登録商標)Ver.5.1に取り込み、白黒表示に変換した。かかる画像では、空隙部分は黒色で表示され、充填部分は白色で表示される。得られた画像をImage Metrology社製のイメージ解析ソフトである走査型プローブイメージプロセッサーVer.4.5.1.0(以下、「SPIP」という)を用いて、画像に占める空隙部分の割合を求めた。なお、処理前の画像では黒色と白色の中間である灰色部分が存在するが、誤差を低減するために、SPIPにおける0〜20,000のグレースケールを8,000に設定することにより黒色部分と白色部分とのコントラストを明確にした。本発明に係るセリア粉体Aおよびセリア粉体Bを用いたセルの結果を表3に、本発明の範囲外の粉体を用いたセルの結果を表4に示す。なお、表3〜4中の下線は、本発明の規定範囲外であることを示す。また、平均粒子径の異なる2種のセリア粉体を混合している本発明に係る製造例1の断面写真を図1に、セリア粉体を1種しか用いていない製造例7の断面写真を図2に示す。
表3の通り、比較的大きなセリア粉体(平均粒子径:約0.3〜1.0μm、比表面積:3〜6m2/g)と比較的小さなセリア粉体(平均粒子径:約0.1〜0.25μm、比表面積:約10〜18m2/g)を用いれば、空隙率の低い非常に緻密な中間層が形成できることが分かった。
また、図2の通り、セリア粉体を1種しか用いていない製造例7のセルの断面には空隙が多く見られる。表3の結果でもセリア粉体を1種しか用いていない製造例6〜7のセルの空隙率は高い。また、表4のとおり、2種のセリア粉体を用いた場合であっても本発明の規定範囲外のセリア粉体を用いた場合にも、セル中間層の空隙率は高くなる。
これに対して、図1の通り、特定の平均粒子径をそれぞれ有する2種のセリア粉体を混合して用いている本発明に係る製造例1のセルの断面では、空隙が明らかに低減されていることが観察できる。また、表3の結果のとおり、本発明に係るセルの中間層は空隙率が低く、緻密であることが分かる。
試験例2 電池性能評価試験
連続発電による出力密度の劣化傾向を確認するため、本発明に係る製造例1および製造例4のセルと、セリア粉体を1種しか用いていない製造例7のセル、および2種のセリア粉体を用いてはいるが一方のセリア粉体の平均粒子径が過剰に大きい製造例8のセルについて、試験開始から100時間後と1000時間経過後のセル端子電圧を測定した。具体的には、先ず、燃料極に100mL/分の窒素を、空気極に200mL/分の空気を供給しつつ、200℃/時間の速度でセルを昇温した。次いで、加湿した水素と窒素をそれぞれ100mL/分ずつ燃料極へ、400mL/分の空気を空気極へ供給し、電気化学測定システム(ソーラートロン社製、型式「1260B」)により0.3A/cm2の電流を流した。シール材としてはパイレックス(登録商標)ガラスを使用し、また、測定の直前には起電力が1.0V以上あることを確認し、ガスが漏れていないことを確認した。得られた結果から、下記式により劣化率を算出した。なお、初期電圧を試験開始から100時間後に測定したのは、初期劣化を除外するためである。
劣化率(%)={(V100−Vz)/(V100))}×{Z/(Z−100)}×100
(式中、V100は100時間後におけるセル端子電圧の測定値を示し;Zは試験開始から2回目以降の測定時における経過時間を示し;VzはZ時間後におけるセル端子電圧の測定値を示す。)
本発明に係る粉体Aおよび粉体Bを用いたセルの結果を表5に、また、粉体を1種しか用いないセルと本発明の範囲外の粉体を用いたセルの結果を表6に示す。なお、表6中の下線は、本発明の規定範囲外であることを示す。
表6の結果の通り、セリア粉体を1種しか用いていない製造例7のセル、および2種のセリア粉体を用いてはいるが一方のセリア粉体の平均粒子径が過剰に大きい製造例8のセルでは、1000時間後における劣化率が1.0%を超えてしまっている。この様な劣化率では、実用は難しい。その原因は、おそらく中間層の空隙率が10%を超えていることによると考えられる。
これに対して表5の結果の通り、本発明に係る製造例1と製造例4のセルでは、劣化率が顕著に抑制されている。よって、本発明は、固体酸化物形燃料電池の実用化に寄与し得ることが実証された。
試験例3 電池性能評価試験
本発明に係る製造例4のセルと、2種のセリア粉体を用いてはいるが一方のセリア粉体の平均粒子径が過剰に大きい製造例8のセルについて、上記試験例2と同様の条件により、試験開始から100時間後、500時間後、1000時間後、2000時間後、および3000時間後におけるセル端子電圧を測定した。結果を図3に示す。
図3の通り、従来技術に係る製造例8のセルでは電圧が経時的に低減しているのに対し、本発明に係る製造例4のセルの電圧は明らかに維持されている。よって、本発明は、固体酸化物形燃料電池の実用化に寄与し得ることが実証された。
製造例10〜13および試験例4
製造例1,3,5において、表7のとおり、平均粒子径と比表面積の異なる市販の20モル%酸化ガドリニウムをドープしたセリアをセリア粉体Cとして添加した以外は同様にして、セルを作製した。また、試験例1と同様にして、空隙率を測定した。結果を表7に示す。
表7の結果と表3の結果を比べれば、微細なセリア粉体Cを添加することによって、より緻密な中間層を作製できることが明らかとなった。但し、セリア粉体Cの配合量が30質量%を超えると、中間層の空隙率は多少高くなるので、セリア粉体Cの配合量は30質量%以下が好適であることが分かった。
平均粒子径の異なる2種のセリア粉体を混合している本発明に係る製造例1の固体酸化物形燃料電池用セルの断面写真である。 セリア粉体を1種しか用いていない製造例7の固体酸化物形燃料電池用セルの断面写真である。 本発明に係る製造例4の固体酸化物形燃料電池用セルと、従来技術に係る製造例8の固体酸化物形燃料電池用セルの経時的な電圧の変化を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 電解質膜と空気極との間に中間層を備える固体酸化物形燃料電池用セルの製造方法であって、
    中間層の材料であるセリア粉体をペースト化する工程;および
    当該ペーストを電解質膜に塗布後、焼成する工程;とを含み、
    中間層の材料である上記セリア粉体を、平均粒子径が0.3μm以上、1.0μm以下で比表面積が2m2/g以上、9m2/g以下のセリア粉体Aと、平均粒子径が0.1μm以上、0.25μm以下で比表面積が10m2/g以上、62m2/g以下のセリア粉体Bを含む混合物とし;
    上記セリア粉体Bの平均粒子径に対する上記セリア粉体Aの平均粒子径の比を1.5以上、6.0以下とし;且つ
    上記セリア粉体において、上記セリア粉体Aの割合を50質量%以上、95質量%以下、上記セリア粉体Bの割合を5質量%以上、50質量%以下にすることを特徴とする方法。
  2. 上記セリア粉体へ、さらに平均粒子径が0.01μm以上、0.09μm以下で比表面積が20m2/g以上、120m2/g以下のセリア粉体Cを配合する請求項1に記載の方法。
  3. 上記セリア粉体において、上記セリア粉体Aの割合を50質量%以上、95質量%以下、上記セリア粉体Bの割合を5質量%以上、50質量%以下、上記セリア粉体Cの割合を1質量%以上、30質量%以下(但し、上記セリア粉体A、上記セリア粉体Bおよび上記セリア粉体Cの割合の合計を100質量%とする)にする請求項2に記載の方法。
  4. 比表面積が10m2/g以上、14m2/g以下のセリア粉体Bを用いる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 上記セリア粉体A、上記セリア粉体Bおよび上記セリア粉体Cを構成するセリアの化学式を、それぞれ独立にCe1-xx2-y(式中、MはY、Sm、Gd、Nd、Pr、Sc、Ga、Alからなる群より選択される1種または2種以上の金属を示し;0.05≦x≦0.4であり;0≦y<0.5である)とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で製造された固体酸化物形燃料電池用セルであって、中間層における空隙率が10%以下である固体酸化物形燃料電池用セル。
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