JP2016004710A - 固体電解質形燃料電池および該燃料電池の反応抑止層形成用材料 - Google Patents

固体電解質形燃料電池および該燃料電池の反応抑止層形成用材料 Download PDF

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Abstract

【課題】固体酸化物形燃料電池における反応抑止層と固体電解質層との間の剥離を防ぎ、かかる2つの層の界面の接着性を向上させたSOFCを提供する。
【解決手段】反応抑止層形成用材料は、希土類元素がドープされたセリウム酸化物粒子成分として、相互に粒度分布および平均粒子径が異なる大粒径セリウム酸化物粒子成分と小粒径セリウム酸化物粒子成分とを含む。大粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径は2μm以下であり、小粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径は0.5μm以下であり、且つ、大粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径は、小粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径の3倍以上30倍以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、反応抑止層を備えた固体酸化物形燃料電池に関する。詳しくは、該固体酸化物形燃料電池の反応抑止層を形成するために用いられる材料に関する。
固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell、以下「SOFC」ともいう。)は、種々のタイプの燃料電池の中でも発電効率が高く、環境への負荷も低いことから、次世代のエネルギー供給源として期待され、開発が進められている。
SOFCを構成する最小単位のセル(単セル)は、酸素イオン伝導体からなる緻密構造の層状の固体電解質と、該固体電解質層の一方の面に形成された多孔質構造の空気極(カソード)と、該固体電解質層の他方の面に形成された多孔質構造の燃料極(アノード)とから構成されている。そして、単セルのカソード形成側の固体電解質の表面に空気等に代表されるO含有ガスが供給され、アノード形成側の固体電解質の表面にはH等の燃料ガスが供給される。そして電池反応として、空気中のOガスがカソードで還元されて生成された酸素イオンが固体電解質を通過し、アノードにおいてHガス等の燃料ガスを酸化することによって外部負荷に電子を放出する。これに伴い、電気エネルギーを発生させる。
SOFCの固体電解質を構成する材料としては、イオン伝導性や安定性の観点からイットリア、スカンジア等がドープされた安定化ジルコニア(YSZ、ScSZ等)が広く用いられている。かかる固体電解質の層は薄くなるほどSOFC(単セル)の性能が向上するため、近年、アノードを構成する多孔質基材上に固体電解質を薄膜として形成するいわゆるアノード支持型SOFCの開発が進んでいる。
典型的には、酸化ニッケル(NiO)およびYSZの混合物に、造孔剤、溶剤、ビヒクル(樹脂)等を添加し混合して得たスラリー状(ペースト状)の材料をドクターブレード法等によってシート状に成形し、さらに当該シートを所望数だけ積層してアノード支持体層を形成する。そして形成したアノード支持体層上に固体電解質層、反応抑止層、カソード層を順次積層(形成)し、得られた積層体を焼成(即ち共焼成)することによって、アノード支持型SOFC(単セル)を製造する。例えば、以下の特許文献1には、従来のアノード支持型SOFCの一例が記載されている。
従来、SOFCは、700℃以上、典型的には800℃〜1000℃程度の高温域で作動させていたが、耐久性の向上や低コスト化の観点から、近年ではかかる作動温度をより低温化することが望まれている。例えば、SOFCの作動温度を600℃程度にまで低減することが検討されている。
低温作動化を効果的に実現する一助としてカソード材料が検討されている。例えば、電子導電性と酸素イオン導電性とを示すいわゆる電子−酸素イオン混合導電体材料を用いてカソードを構成することによって、電極/電解質/気相の接する三相界面だけでなく、カソード表面においても電極反応を進行させ、電極活性を高めることが期待されている。かかるカソード材料として、ペロブスカイト型酸化物材料であるランタンコバルタイト系材料(例えばLaSrCoO3−δ系材料)やランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF)系材料が挙げられる。例えば、以下の特許文献2には、低温作動タイプのSOFCで使用され得るカソード材料の一例が記載されている。
特開2008−258064号公報 特開2008−010325号公報
上記のようなペロブスカイト型酸化物材料からなるカソードは、YSZのような安定化ジルコニアからなる固体電解質との反応性が高く、比較的容易に固体電解質層とカソードとの間に固相反応による高抵抗相が形成され得る。このため、典型的にはセリア系材料(例えば、ガドリニウムがドープされたGDC)から構成される反応抑止層を固体電解質層とカソードとの間に配置することが行われている。
しかしながら、かかるセリア系材料は、焼結性が低く、例えば一般的な構成のSOFCの焼結温度である1300〜1400℃の温度域では緻密化が充分とはいえない場合があった。また、焼結時の収縮率が固体電解質と比較して低いため、固体電解質ならびに反応抑止層を共焼成する場合や予め固体電解質を焼成した後に反応抑止層を焼成する場合において、固体電解質層と反応抑止層との間の界面で剥離が発生する虞があった。
本発明はかかる従来の課題を解決すべく創出されたものであり、固体酸化物形燃料電池における反応抑止層と固体電解質層との間の剥離を防ぎ、かかる2つの層の界面の接着性(界面の接合性)を向上させたSOFC(例えば上述した低温で作動させるアノード支持型SOFC)の提供を目的とする。また、本発明の他の目的は、そのようなSOFCを実現するための反応抑止層形成用材料を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明が提供する材料は、固体酸化物形燃料電池の反応抑止層を形成するための材料であって、希土類元素がドープされたセリウム酸化物粒子成分として、相互に粒度分布および平均粒子径が異なる大粒径セリウム酸化物粒子成分と小粒径セリウム酸化物粒子成分とを含む材料である。好ましくは、該大粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径は2μm以下であり、該小粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径は0.5μm以下である。また、好ましくは、かかる大粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径は、小粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径の3倍以上30倍以下である。かかる平均粒子径の差は、4倍以上であって10倍以下であることがより好ましい。
かかる構成の反応抑止層形成用材料では、反応抑止層の主体をなすセリウム酸化物の粒子成分が、相互に異なる2種類の粉粒体、即ち上記条件を具備する大粒径セリウム酸化物粒子成分と小粒径セリウム酸化物成分とから構成される。このことによって、固体電解質上に形成される反応抑止層の焼結性を向上させることができる。結果、形成(焼成)された反応抑止層と固体電解質層との間の界面の接着性(界面接着率)を高め、両者間の剥離を防止することができる。
また、ここで開示される反応抑止層形成用材料として好適な一態様は、さらにチタン化合物を含む。好ましくは、チタン化合物がチタンを構成元素とする有機金属化合物であることを特徴とする。
酸化チタンのような無機チタン化合物、好ましくはチタンアルコキシド類やチタンキレート類等の有機チタン化合物を含むことにより、反応抑止層と固体電解質層との間の界面の接着性(界面接着率)をより向上させることができる。このため、本態様の反応抑止層形成用材料によると、例えばカソード(空気極)材料としてYSZ等の固体電解質層と反応性の高いペロブスカイト型酸化物材料を採用した場合においても、当該固体電解質層とカソードとの間に良好な反応抑止層を形成することができる。しかも、反応抑止層と固体電解質層との間の接着性(界面接着率)が高いため、発電性能に優れる固体酸化物形燃料電池(特には低温作動タイプのSOFC)を製造することができる。
特に好ましくは、前記チタン化合物の含有量が全体の0.001質量%〜10質量%であることを特徴とする。この程度の含有量でチタン化合物を含むことにより、反応抑止層と固体電解質層との間の高い接着性(界面接着率)が実現することができる。
また、好ましくは、ここで開示される反応抑止層形成用材料は、さらに有機溶媒およびバインダを含み、ペースト状(スラリー状、インク状を包含する。以下同じ。)に調製されたことを特徴とする。
このようなペースト状反応抑止層形成用材料(以下、「反応抑止層形成用ペースト」ともいう。)によると、当該反応抑止層形成用ペーストを対象とする固体電解質層(或いは該固体電解質層を焼成により形成するためのグリーンシート)上に塗布等によって付与することにより、容易に所定厚さの反応抑止層を形成することができる。
かかる反応抑止層形成用ペーストの好適な一態様は、上記チタン化合物が分散または溶解して含まれるペースト材料である。特にチタンアルコキシド類やチタンキレート類等の有機チタン化合物が有機系溶媒に溶解した状態で存在する(即ちTiレジネートを含む)ペースト材料によると、高い接着性(界面接着率)を有し、剥離し難い固体電解質層と反応抑止層の積層構造を備えた固体酸化物形燃料電池を製造することができる。
また、本発明は、上記目的を実現するべく固体酸化物形燃料電池を提供する。即ち、本発明によって提供される固体酸化物形燃料電池は、ジルコニア(酸化ジルコニウム)を主体とする固体電解質層と空気極(カソード)との間に反応抑止層が配置された固体酸化物形燃料電池であって、上記反応抑止層は、希土類元素がドープされたセリウム酸化物粒子を焼成して形成されたものである。典型的には、上記反応抑止層は、ここで開示されるいずれかの反応抑止層形成用材料から形成されたものである。
そして、固体酸化物形燃料電池の断面を電子顕微鏡観察(典型的にはSEM観察)することによって導き出される反応抑止層と該反応抑止層に隣接する固体電解質層との間の界面全体の長さに占める該界面の接着部分の長さの割合を百分率で示す界面接着率(%)が、60%以上であることを特徴とする。ここで「接着部分」とは電顕観察によって当該界面における剥離の認められない部分(換言すれば電顕観察下で反応抑止層と固体電解質層の固相同士が密着している部分)をいう。
ここで開示されるSOFCでは、ジルコニア(典型的にはYSZ等の安定化ジルコニア)を主体とする固体電解質層と、セリウム酸化物からなる反応抑止層との間の上記界面接着率が60%以上の高値である。従って、例えばペロブスカイト型酸化物材料から成る空気極(カソード)を備えた低温作動タイプのSOFCであって、耐久性が高く良好な発電性能を奏するSOFCを提供することができる。
ここで開示されるSOFCのうち、より好ましいものでは、上記界面接着率が70%以上であることを特徴とする。また、ここで開示されるSOFCのうち、特に好ましいものでは、反応抑止層はチタンを構成金属元素として有する酸化物を含むことを特徴とする。
例えば、上記チタン化合物を含む反応抑止層形成用材料から形成された反応抑止層は適当量のチタン酸化物を含み、結果、反応抑止層と固体電解質層との間の剥離を防止し、熱耐久性と発電性能の高いSOFCが提供される。
ここで開示されるSOFC(単セル)の積層構造を模式的に示す断面図である。 一実施例に係るSOFC(単セル)における反応抑止層と固体電解質層との間の界面の接着状態を示す電顕写真(SEM像)である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けないSOFCの一般的事項、製造プロセス、SOFCの作動方法等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術知識とに基づいて実施することができる。
<セリウム酸化物粒子成分>
ここで開示される反応抑止層形成用材料は、主成分として粒径分布と平均粒子径が相互に異なる2種類のセリウム酸化物粒子成分を含む。即ち、上述した構成の大粒径セリウム酸化物粒子成分と小粒径セリウム酸化物粒子成分とを含む。ここで「平均粒子径」は、レーザ回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置により測定された粒度分布における積算値50%での粒径(50%累積体積平均粒子径(メジアン径);D50)を意味する。
希土類元素がドープされたセリウム酸化物としては、サマリアがドープされたセリア (SDC)、イットリアがドープされたセリア(YDC)、ガドリニアがドープされたセリア(GDC)等が挙げられる。なかでもGDCが好適である。また、好適な希土類元素のドープ量は、5〜20モル%(好ましくは5〜15モル%)程度である。このようなセリウム酸化物成分から成る反応抑止層を形成することにより、YSZ等のジルコニアを主体とする固体電解質層とペロブスカイト型酸化物材料から成る空気極(カソード)との反応を抑止することができる。
<平均粒子径>
大粒径セリウム酸化物粒子成分としては、平均粒子径(D50)が2μm以下であるものが好ましく、特には1μm以下のものが好ましい。取扱性や反応抑止層と固体電解質層との間の界面接着性を高める観点から、大粒径セリウム酸化物粒子成分として、平均粒子径が0.8μm以下のセリウム酸化物粒子を好ましく採用することができる。例えば、平均粒子径が0.1μm以上2μm以下の大粒径セリウム酸化物粒子成分が好ましく、0.3μm以上1μm以下のものがより好ましく、0.5μm以上0.8μm以下のものが特に好ましい。
一方、小粒径セリウム酸化物粒子成分としては、平均粒子径が大粒径セリウム酸化物粒子成分よりも少なくとも1/3倍小さければよく、特に限定されない。通常は、小粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径が0.5μm以下であることが好ましい。取扱性や反応抑止層と固体電解質層との間の界面接着性を高める観点から、小粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径は、好ましくは0.4μm以下、より好ましくは0.3μm以下、特に好ましくは0.2μm以下である。例えば、平均粒子径が0.005μm以上0.5μm以下の小粒径セリウム酸化物粒子成分が好ましく、0.01μm以上0.4μm以下のものがより好ましく、0.05μm以上0.2μm以下のものが特に好ましい。
大粒径セリウム酸化物粒子成分と小粒径セリウム酸化物粒子成分とを併用することによる効果をより良く発揮させる観点から、大粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径は、小粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径の3倍以上であることが好ましく、3.3倍以上であることがより好ましく、4倍以上であることが特に好ましい。応抑止層と固体電解質層との間の界面接着性を高める観点から、ここに開示される反応抑止層形成用材料は、例えば、大粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径が小粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径の3倍以上30倍以下、より好ましくは3.3倍以上20倍以下、さらに好ましくは4倍以上10倍以下、特に好ましくは4倍以上5倍以下である態様で好ましく実施され得る。
また、大粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径は、小粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径よりも0.3μm以上大きいことが好ましく、0.5μm以上大きいことがさらに好ましい。ここに開示される反応抑止層形成用材料は、例えば、大粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径が小粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径よりも0.6μm以上大きい態様で実施され得る。このことによって、固体電解質層と反応抑止層とのより良好な界面接着性が実現され得る。
<含有量>
大粒径セリウム酸化物粒子成分の含有量と小粒径セリウム酸化物粒子成分の含有量との比(質量比)は特に限定されない。大粒径セリウム酸化物粒子成分と小粒径セリウム酸化物粒子成分とを併用することによる効果をより良く発揮させる観点から、大粒径セリウム酸化物粒子成分の含有量が小粒径セリウム酸化物粒子成分の含有量以上であることが好ましい。例えば、固体電解質層に対する界面接着性の観点からは、大粒径セリウム酸化物粒子成分と小粒径セリウム酸化物粒子成分との質量比が10:1〜1:1であることが適当であり、5:1〜1:1であることが好ましく、4:1〜2:1であることがより好ましく、4:1〜3:1であることが特に好ましい。
ここに開示される反応抑止層形成用材料は、希土類元素がドープされたセリウム酸化物粒子成分として、相互に粒度分布および平均粒子径が異なる大粒径セリウム酸化物粒子成分と小粒径セリウム酸化物粒子成分とを含む。大粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径は2μm以下であり、小粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径は0.5μm以下であり、且つ、大粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径は、小粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径の3倍以上30倍以下である。このように平均粒子径が異なる2種類のセリウム酸化物粒子を特定の平均粒子径比となるように組み合わせて用いることにより、固体電解質上に形成される反応抑止層の焼結性を向上させることができる。結果、形成(焼成)された反応抑止層と固体電解質層との間の界面の接着性(界面接着率)を高め、両者間の剥離を防止することができる。
大粒径セリウム酸化物粒子成分および小粒径セリウム酸化物粒子成分を含む反応抑止層形成用材料は、例えば、大粒径セリウム酸化物粒子成分と小粒径セリウム酸化物粒子成分と分散媒と必要に応じて用いられる任意成分(後述するチタン化合物やバインダ)とを所望の量比で混合することによりペースト状に調製され得る。
<分散媒(溶媒)>
ここで開示される反応抑止層形成用材料は、上述の大粒径セリウム酸化物粒子成分、小粒径セリウム酸化物粒子成分以外の添加物を含んでいてもよい。例えば、上述したように、ここで開示される反応抑止層形成用材料は、ペースト状に調製されていてもよい。当該ペースト状の反応抑止層形成用材料(以下、反応抑止層形成用ペーストともいう。)には、少なくとも1種の分散媒(溶媒)が含まれている。この分散媒としては、上記セリウム酸化物粒子を好適に分散できるもののうち、一種または二種以上を特に限定することなく用いることができる。かかる分散媒は有機系溶媒、無機系溶媒のいずれを用いてもよい。後述するチタン化合物がチタンを構成元素とする有機金属化合物である場合、該有機金属化合物が可溶な有機系溶媒を用いることが好ましい。かかる有機系溶媒としては、例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、または他の有機溶剤が挙げられる。例えば、テルピネオール、ブチルジグリコールアセテート、イソブチルアルコール、チルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、エチレングリコール、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット等が好適に用いられる。また、無機系溶媒としては、水または水を主体とする混合溶媒であることが好ましい。該混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、例えば、水と均一に混合し得る有機系溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。かかるペーストにおける分散媒(溶媒)の含有率は、特に限定されないが、ペースト全体の凡そ10質量%〜50質量%(典型的には20質量%〜35質量%)が好ましい。かかる反応抑止層形成用ペーストは、当該反応抑止層形成用ペーストを対象とする固体電解質層(或いは該固体電解質層を焼成により形成するためのグリーンシート)上に付与することが容易であるため好ましい。また、塗布等によって付与することにより、容易に所定厚さの反応抑止層を形成できるため好ましい。
<チタン化合物>
ここに開示される反応抑止層形成用材料は、さらにチタン化合物を含有してもよい。チタン化合物としては、酸化チタンのような無機チタン化合物、チタンアルコキシド類やチタンキレート類等の有機チタン化合物が挙げられる。このようなチタン化合物を含むことにより、反応抑止層と固体電解質層との間の界面の接着性(界面接着率)をより向上させることができる。
ここに開示される反応抑止層形成用材料は、チタン化合物として少なくとも有機チタン化合物(チタン原子と有機成分とを結合させた化合物)を含む態様で特に好ましく実施され得る。常温常圧下で扱えるものであれば、有機成分の種類は特に制限されず、かかる有機成分とチタン元素とから構成される有機チタン化合物を本発明に係るチタン化合物として好ましく用いることができる。上記有機チタン化合物の具体例としては、オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、アビエチン酸、オレイン酸、ナフテン酸、リノレン酸、ネオデカン酸等の比較的高炭素数(例えば炭素数8以上)のカルボン酸のTi塩、スルホン酸のTi塩、あるいは、上記Tiを含むアルキルメルカプチド(アルキルチオラート)、アリールメルカプチド(アリールチオラート)、メルカプトカルボン酸エステル等が挙げられる。なかでもオクチル酸のTi塩が好ましい。これらの一種または二種以上を特に限定することなく用いることができる。
反応抑止層と固体電解質層との間の界面接着性を高める観点から、上記チタン化合物の酸化物(TiO)換算の含有量は、典型的には全体の0.001質量%以上であり、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましく、5質量%以上であることが特に好ましい。チタン化合物の含有量の増大によって、より良好な反応抑止層と固体電解質層との間の界面接着性が実現され得る。他方、発電性能の観点からは、通常、上記含有量としては、10質量%以下が適当であり、好ましくは8質量%以下、より好ましく5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
<バインダ>
ここに開示される反応抑止層形成用材料は、さらにバインダとして種々の樹脂成分を含むことができる。このような樹脂成分を加えることによって、反応抑止層形成用材料の固体電解質層上への付与が更に容易になる。かかる樹脂成分はペーストを調製するのに良好な粘性および塗膜形成能(例えば、印刷性や付着性等を含む。)を付与し得るものであればよく、従来のこの種のペーストに用いられているものを特に制限なく使用することができる。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、セルロース系高分子、ポリビニルアルコール、ロジン樹脂等を主体とするものが挙げられる。このうち、特にエチルセルロース等のセルロース系高分子が含まれているのが好ましい。
特に限定されるものではないが、反応抑止層形成用材料全体に占めるセリウム酸化物粒子(大粒径セリウム酸化物粒子成分および小粒径セリウム酸化物粒子成分の合計量)の割合は凡そ40質量%以上(典型的には40〜80質量%)であることが好ましく、凡そ55〜70質量%であることが好ましい。また、バインダを含む組成では、反応抑止層形成用材料全体に占めるバインダの割合を例えば1〜15質量%とすることができ、凡そ3〜10質量%であることが好ましい。
ここに開示される反応抑止層形成用材料は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、分散剤や可塑剤等のこの種の反応抑止層形成用材料に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。
<SOFC>
以上、ここで開示される反応抑止層形成用材料について説明した。かかる反応抑止層形成用材料は、例えば、固体酸化物形燃料電池(すなわちSOFC)の固体電解質層と空気極(カソード)との反応を抑止する反応抑止層形成用材料として好適に用いることができる。以下、ここに開示される反応抑止層形成用材料を用いて構成されるSOFCの具体的な実施態様を示しながら、本発明が提供するSOFCについて説明する。
かかる実施態様における固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、図1に示すように、燃料極支持型のSOFC100を備えている。このSOFC100は、多孔質構造の燃料極(アノード)支持体12および該支持体12上に形成された燃料極(アノード)14の表面(上面)に、順に、ジルコニアを主体とする酸化物イオン伝導体からなる緻密な層状の固体電解質層20、多孔質構造の反応抑止層30および多孔質構造の空気極(カソード)40が形成されることで構成されている。SOFCの作動時には、燃料極14を通じて燃料極14側の固体電解質層20表面に燃料ガス(典型的には水素(H))が、空気極40を通じて空気極40側の固体電解質層20表面に酸素(O)含有ガス(典型的には空気)が、それぞれ供給される。一般的な動作においては、酸素(O)含有ガス中のOガスが空気極40で還元されてO2−アニオンとなり、固体電解質層20を通って燃料極14に移動し、Hガス燃料を酸化する。そしてかかる酸化反応に伴い、電気エネルギーを発生させている。
本実施形態において、かかる燃料極支持型のSOFC100は、以下のようにして構築され得る。すなわち、燃料極支持体材料として、平均粒子径0.1〜10μmの8族〜10族の金属元素の粒子(例えば酸化ニッケル粉末)と平均粒子径0.1〜10μmのセラミック(例えば8mol%イットリア安定化ジルコニア)粉末とを混合し、混合粉末とする。この混合粉末と、バインダ(例えばポリビニルブチラール)と、造孔材(例えばカーボン粒子)と、可塑剤(例えばフタル酸オクチル)と、溶剤(例えばトルエン:エタノール)とを所定の質量比で配合し、混合することで、ペースト状の燃料極支持体形成用組成物を調製する。次いで、この燃料極支持体形成用組成物をドクターブレード法によりシート状に塗布、乾燥させて、厚みが0.3mm〜1mmの燃料極支持体グリーンシートを形成する。
次に、燃料極材料として、平均粒子径0.1〜10μmの8族〜10族の金属元素の粒子(例えば酸化ニッケル粉末)と、平均粒子径0.1〜10μmのセラミック(例えば8mol%イットリア安定化ジルコニア)粉末と、バインダ(例えばエチルセルロース)と、溶媒(例えばα−テルピネオール)とを所定の質量比率で混練することにより、ペースト状の燃料極形成用組成物を調製する。これを上記燃料極支持体グリーンシートの上にスクリーン印刷法によってシート状に供給することで、燃料極グリーンシートを形成する。
次に、固体電解質材料として、平均粒子径0.1〜10μmのジルコニアを主体とするセラミック(例えば8mol%イットリア安定化ジルコニア)粉末と、バインダ(例えばエチルセルロース)と、溶媒(例えばテルピネ系)とを、所定の質量比率で混練することにより、ペースト状の固体電解質層形成用組成物を調製する。これを上記燃料極グリーンシートの上にスクリーン印刷法によってシート状に供給することで、厚みが約1〜20μmの固体電解質層グリーンシートを形成する。
また、反応抑止層形成用材料として、前述した大粒径セリウム酸化物粒子成分と小粒径セリウム酸化物粒子成分とを、所定の質量比で混合し、混合粉末とする。この混合粉末と、バインダ(例えばエチルセルロース)と、溶媒(例えばテルピネオール)とを、所定の質量比率で混練することにより、ペースト状の反応抑止層形成用組成物を調製する。さらに、チタン化合物を添加する。これを上記固体電解質層グリーンシートの上にスクリーン印刷法によってシート状に供給することで、厚みが約1〜10μmの反応抑止層グリーンシートを形成する。
このようにして用意した積層グリーンシートを、1200℃〜1400℃(好ましくは1300℃〜1400℃)で共焼成することで、SOFCのハーフセルを得る。
次いで、空気極材料として、平均粒子径0.1〜10μmのペロブスカイト型酸化物(例えばランタンコバルタイト系材料、典型的にはランタンストロンチウム鉄コバルタイト(LSCF))粉末と、バインダ(例えばエチルセルロース)と、溶剤(例えばアルコール系)とを、所定の質量比率で混練することにより、ペースト状の空気極形成用組成物を調製する。これを上記ハーフセルの反応抑止層の上にスクリーン印刷法によってシート状に供給することで、空気極グリーンシートを形成する。次いで、これを1000℃〜1200℃(例えば1100℃)で焼成して空気極40を焼成し、SOFCを得る。
このようにして得られた固体酸化物形燃料電池(SOFC)100は、ジルコニアを主体とする固体電解質層20と空気極(カソード)40との間に反応抑止層30が配置された固体酸化物形燃料電池であって、反応抑止層30は、希土類元素がドープされたセリウム酸化物粒子を焼成して形成されたものである。また典型的には、上記反応抑止層30は、ここで開示される反応抑止層形成用材料から形成されたものである。そのため、得られたSOFC100は、反応抑止層30と固体電解質層20との間の界面の接着性(界面接着率)が良好なものであり得る。例えば、SOFC100の断面を電子顕微鏡観察(典型的にはSEM観察)することによって導き出される反応抑止層30と該反応抑止層30に隣接する固体電解質層20との間の界面全体の長さに占める該界面の接着部分の長さの割合を百分率で示す界面接着率(%)が、概ね60%以上であり、好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは75%以上であり、特に好ましくは80%以上である。例えば、上記界面接着率が85%以上のSOFCが好ましく、90%以上のものがより好ましく、95%以上のものが特に好ましい。このような上記界面接着率の範囲内であると、反応抑止層30と固体電解質層20との間の接着性(界面接着率)が高いため、発電性能に優れる固体酸化物形燃料電池(特には低温作動タイプのSOFC)を構築することができる。
また、ここで開示されるSOFCのうち、特に好ましいものでは、反応抑止層30はチタンを構成金属元素として有する酸化物を含む。例えば、上記チタン化合物を含む反応抑止層形成用材料から形成された反応抑止層30は適当量のチタン酸化物を含む。その結果、反応抑止層30と固体電解質層20との間の剥離を防止し、熱耐久性と発電性能の高いSOFC100が実現される。
なお、燃料極14を構成する材料としては、上記例示した遷移金属成分(NiO)と8YSZとの組み合わせからなる混合物以外に、様々な態様を考慮することができる。例えば、具体的には、遷移金属成分としては、コバルト(Co)、酸化コバルト(CoO,Co,Co),銅(Cu),酸化銅(CuO,CuO),銀(Ag),酸化銀(AgO,AgO),タングステン(W),酸化タングステン(WO,W,WO,WO),白金(Pt),白金−パラジウム合金,白金−ロジウム合金等が考慮される。
また、空気極40を構成する材料としては、上記例示したLSCFに変えて、例えば、以下の導電性ペロブスカイト型酸化物を用いることができる。すなわち、具体的には、(LaSr)MnO、(LaCa)MnOに代表されるランタンマンガネート(LaMnO)系ペロブスカイト型酸化物や、LaCoO、(LaSr)CoO、(LaSr)(CoFe)O等に代表される、ランタンコバルタイト(LaCoO)系のペロブスカイト型酸化物、さらには、(LaSr)(TiFe)O等に代表される、ランタンチタネート(LaTiO)系のペロブスカイト型酸化物からなるものが例示される。なお、ここに列挙した一般式は、当業者において慣用的に使用されているように、かかる酸化物を構成する主元素の組み合わせを簡略的に示すものであって、実際の電極材料の組成を示すものではない。また、上記に示した主元素以外の元素をドープするようにしても良い。
以下、本発明に関する幾つかの試験例を説明するが、本発明をかかる試験例に示すものに限定することを意図したものではない。ここでは燃料極φ20mm−空気極φ10mm程度の円形の燃料極支持型のSOFCを以下の手順で作製した。
<実施例1>
燃料極支持体材料として、平均粒子径0.5μmの酸化ニッケル(NiO)粉末と平均粒子径0.5μmの8mol%イットリア安定化ジルコニア(8mol%Y2O3‐ZrO2;以下、8YSZ)粉末とを、NiO:8YSZ=60:40の質量比で混合し、混合粉末とした。この混合粉末と、バインダ(ポリビニルブチラール;PVB)と、造孔材(カーボン粒子、平均粒子径:約5μm)と、可塑剤(フタル酸オクチル)と、溶剤(トルエン:エタノール=1:3)とを、58:8.5:5:4.5:24の質量比で配合し、混合することで、ペースト状の燃料極支持体形成用組成物を調製した。次いで、この燃料極支持体形成用組成物をドクターブレード法によりシート状に塗布、乾燥させて、厚みが0.5mm〜1mmの燃料極支持体グリーンシートを形成した。
次に、燃料極材料として、平均粒子径0.4μmの酸化ニッケル(NiO)粉末と、平均粒子径0.3μmの8YSZ粉末と、バインダ(エチルセルロース;EC)と、溶媒(α−テルピネオール;TE)とを、48:32:2:18の質量比率で混練することにより、ペースト状の燃料極形成用組成物を調製した。これを上記燃料極支持体グリーンシートの上にスクリーン印刷法によってシート状に供給することで、燃料極グリーンシートを形成した。
次に、固体電解質材料として、平均粒子径0.5μmの8YSZ粉末と、バインダ(エチルセルロース;EC)と、溶媒(テルピネ系)とを、65:4:31の質量比率で混練することにより、ペースト状の固体電解質層形成用組成物を調製した。これを上記燃料極グリーンシートの上にスクリーン印刷法によってシート状に供給することで、厚みが約10μmの固体電解質層グリーンシートを形成した。
また、反応抑止層形成用材料として、大粒径セリウム酸化物粒子成分(以下、「大粒径Ce粒子A」とも表記する。)としての平均粒子径2.0μmの10mol%ガドリニアドープセリア(10GDC)と、小粒径セリウム酸化物粒子成分(以下、「小粒径Ce粒子B」とも表記する。)としての平均粒子径0.4μmの10GDCとを、大粒径Ce粒子A:小粒径Ce粒子B=3:1の質量比で混合し、混合粉末とした。この混合粉末と、バインダ(エチルセルロース)と、溶媒(テルピネオール)とを、65:4:31の質量比率で混練することにより、ペースト状の反応抑止層形成用組成物を調製した。さらに、有機チタン化合物としてのオクチル酸のTi塩を添加して前記溶媒中に溶解した(即ちTiレジネートを含む)。チタン化合物の酸化物(TiO)換算の含有量は全体(すなわち組成物全体を100質量%とした場合)の0.001質量%とした。これを上記固体電解質層グリーンシートの上にスクリーン印刷法によってシート状に供給することで、厚みが約5μmの反応抑止層グリーンシートを形成した。このようにして用意した積層グリーンシートを、1350℃で共焼成することで、SOFCのハーフセルを得た。
次いで、空気極材料として、平均粒子径1.0μmのランタンストロンチウム鉄コバルタイト(La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8;LSCF)粉末と、バインダ(エチルセルロース)と、溶剤(アルコール系)とを、80:3:17の質量比率で混練することにより、ペースト状の空気極形成用組成物を調製した。これを上記ハーフセルの反応抑止層の上にスクリーン印刷法によってシート状に供給することで、空気極グリーンシートを形成した。次いで、これを1100℃で焼成して空気極を焼成し、SOFCを得た。
<実施例2〜9および比較例1〜6>
実施例2〜9および比較例1〜6は、反応抑止層形成用材料における大粒径Ce粒子Aの平均粒子径、小粒径Ce粒子Bの平均粒子径、およびチタン化合物の含有量が実施例1とは異なる。それ以外は実施例1と同様の手順でSOFCを作製した。各例の構成を表1に纏めて示す。
<界面接着率>
上記作製した実施例1〜9および比較例1〜6のSOFCの断面を10視野とり、図2に示すように、SEM観察することによって、反応抑止層と固体電解質層との間の界面全体の長さに占める該界面の接着部分の長さの割合を界面接着率として百分率で算出した。ここで「接着部分」はSEM観察によって当該界面における剥離の認められない部分(換言すればSEM観察下で反応抑止層と固体電解質層の固相同士が密着している部分)と定義した。結果を表1の該当欄に示す。
<発電性能>
上記作製した実施例1〜9および比較例1〜6のSOFCを下記の条件で運転させた際の出力密度を測定し、電圧0.8Vにおける出力(W/cm)を発電性能として、表1に示した。
運転温度:700℃
燃料極供給ガス:Hガス(50ml/min)
空気極供給ガス:Air(100ml/min)
表1に示すように、実施例1〜9は、大粒径Ce粒子の平均粒子径は2μm以下であり、小粒径Ce粒子の平均粒子径は0.5μm以下であり、且つ、大粒径Ce粒子の平均粒子径は小粒径Ce粒子の平均粒子径の3倍以上30倍以下である。かかる実施例1〜9は、界面接着率が何れも60%以上であり、比較例1〜6に比べて、反応抑止層と固体電解質層との間の界面接着性が良好であった。また、発電性能も0.6W/cmを超えており、SOFCとして好適であった。この結果から、平均粒子径が異なる2種類のセリウム酸化物粒子を特定の平均粒子径比となるように組み合わせて用いることにより、反応抑止層と固体電解質層間の界面接着性を高め、両者間の剥離を防止し得ることが確認された。
なお、実施例3〜7および比較例4は、いずれも大粒径Ce粒子の平均粒子径が0.8μmであり、かつ小粒径Ce粒子の平均粒子径が0.2μmである。かかる実施例3〜7および比較例4を比較すると、チタン化合物を用いなかった比較例4は、チタン化合物を用いた実施例3〜7ほどは性能向上効果が認められなかった。この結果から、平均粒子径が異なる2種類のセリウム酸化物粒子を組み合わせて用いる場合、チタン化合物を含有させる方がより高い性能向上効果が発揮されることが確認された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
12 燃料極支持体
14 燃料極
20 固体電解質層
30 反応抑止層
40 空気極
100 固体酸化物形燃料電池(SOFC)

Claims (9)

  1. 固体酸化物形燃料電池の反応抑止層を形成するための材料であって、
    希土類元素がドープされたセリウム酸化物粒子成分として、相互に粒度分布および平均粒子径が異なる大粒径セリウム酸化物粒子成分と小粒径セリウム酸化物粒子成分とを含み、
    ここで、前記大粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径は2μm以下であり、前記小粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径は0.5μm以下であり、且つ、
    前記大粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径は、前記小粒径セリウム酸化物粒子成分の平均粒子径の3倍以上30倍以下であることを特徴とする、反応抑止層形成用材料。
  2. チタン化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の反応抑止層形成用材料。
  3. 前記チタン化合物がチタンを構成元素とする有機金属化合物であることを特徴とする、請求項2に記載の反応抑止層形成用材料。
  4. 前記チタン化合物の含有量が全体の0.001質量%〜10質量%であることを特徴とする、請求項2または3に記載の反応抑止層形成用材料。
  5. さらに有機溶媒およびバインダを含み、ペースト状に調製されたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の反応抑止層形成用材料。
  6. ジルコニアを主体とする固体電解質層と空気極との間に反応抑止層が配置された固体酸化物形燃料電池であって、
    前記反応抑止層は、希土類元素がドープされたセリウム酸化物粒子を焼成して形成されたものであり、
    ここで、固体酸化物形燃料電池の断面を電子顕微鏡観察することによって導き出される前記反応抑止層と該反応抑止層に隣接する前記固体電解質層との間の界面全体の長さに占める該界面の接着部分の長さの割合を百分率で示す界面接着率(%)が、60%以上であることを特徴とする、固体酸化物形燃料電池。
  7. 固体電解質層と空気極との間に反応抑止層が配置された固体酸化物形燃料電池であって、
    前記反応抑止層は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の反応抑止層形成用材料から形成されたものであり、
    ここで、固体酸化物形燃料電池の断面を電子顕微鏡観察することによって導き出される前記反応抑止層と該反応抑止層に隣接する前記固体電解質層の隣接面との間の界面全体の長さに占める該界面の接着部分の長さの割合を百分率で示す界面接着率(%)が、60%以上であることを特徴とする、固体酸化物形燃料電池。
  8. 前記界面接着率が70%以上であることを特徴とする、請求項6または7に記載の固体酸化物形燃料電池。
  9. 前記反応抑止層は、チタンを構成金属元素として有する酸化物を含むことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
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