JP2009096903A - 溶着接合性に優れたポリアミド系成形材料。 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザー光照射による溶着部が強度上の欠陥とならないような溶着特性を発現でき、さらには、接合面での残留歪みが除去でき、溶着接合部の耐久性をも向上させることができるような成形品が得られる溶着接合性に優れたポリアミド系成形材料を提供することである。
【解決手段】ポリキシリレンアジパミド55〜97重量%およびヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸およびε−カプロラクタムとが重縮合した共重合ポリアミド45〜3重量%を含むポリアミド樹脂100重量部に対し、充填材1〜100重量部を含有させてなることを特徴とする溶着接合性に優れたポリアミド系成形材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶着接合性に優れたポリアミド系成形材料に関する。さらに詳しくは、特に、レーザー光照射で溶着接合させる成形部品用に好適なレーザー溶着接合性に優れたポリアミド系成形材料に関する。
近年、樹脂部品の大型化や複雑な形状に伴い、一般的な射出成形法やブロー成形法では製造することが困難になる場合があり、このような場合、二つ以上の部品に分割して成形した後、ぞれぞれの部品を接合することにより一つの樹脂部品が製造される。
従来より、樹脂部材間の接合する方法として多くの方法が知られている。例えば接着剤を用いて接合する方法は作業工程が多く、溶剤を使う場合が多く作業環境が悪くなり、環境汚染の問題もある。また、接着剤の効果が発揮されるまでかなり長い時間、接合面を固定しておく必要がある。
一方、熱板溶着、振動溶着および超音波溶着等の樹脂を溶融して接合する方法も良く知られているが、それぞれ一長一短がある。例えば熱板溶着法は接合のサイクルが長く、充填材を多く配合された樹脂組成物では溶着強度が極めて弱くなる。振動溶着法では振動により精密部品が内蔵された製品の接合には不向きであり、かつバリの問題がある。また超音波溶着法ではバリの問題があるうえ、大型製品の溶着は装置上の問題がある。
これらの問題を解消し、複雑な接合面の溶着、高い溶着接合強度、溶着強度の耐久性等の要求特性を満足させようとして、レーザー溶着法が採用されることが多くなっている。
ポリアミド樹脂の場合、レーザー溶着法においても溶着接合強度が不足することがあり、接合強度をより高くするため種々の方法が提案されている。例えば、特許文献1には、溶着接合部材としてナイロン66やナイロン6等の結晶性ポリアミド樹脂にポリヘキサメチレンイソフタラミド(NY6I)の非晶性ポリアミド樹脂を少量配合し、溶着接合強度を高める方法が提案されている。
また、特許文献2には、溶着接合部材としてナイロン11やナイロン12等の比較的低温で溶融する結晶性ポリアミド樹脂に結晶化促進材として高融点のナイロン6やナイロン66等の高結晶性ポリアミド樹脂を少量配合してレーザー溶着工程で溶融時の体積膨張による圧力で接合部の溶着接合強度を高めることが提案されている。
特開2002−348371号公報 特開2004−299396号公報
上記の方法により溶着接合強度の改善は認められるものの、溶着接合部が強度上の欠陥となり、耐久性の点では十分とは言えない場合があり、さらなる特性の改善が求められている。
すなわち、実際の複雑な形状の部品のレーザー溶着接合においては、溶着接合部が強度上の欠陥とならないような溶着接合強度が求められ、さらには、接合するために重ね合わせた接合部のレーザー光透過部とレーザー光吸収部との接合部分でソリ変形が発生しないような特性も求められる。接合部分でソリ変形が発生すると、正常なレーザー溶着接合が困難となり、ソリ変形が大きいと接合面での剥離や欠陥にまで至る場合がある。また、レーザー溶着接合された部品が高温雰囲気で使用されると、ソリ変形が大きくなり、接合面の内部歪みが増大し、接合面での溶着剥離が起こる場合がある。
上記のように、溶着法、特にレーザー溶着法を採用する成形品のための成形材料においては、溶着接合部が強度上の欠陥とならないような溶着接合強度を得ること、さらには、溶着強度だけでなく、ソリ変形や後収縮等の形状や寸法変化の少ない成形材料とすることが重要である。
そこで 本発明はレーザー光照射による溶着部が強度上の欠陥とならないような溶着特性を発現できるポリアミド系成形材料を提供することであり、さらには、接合面での残留歪みが除去でき、溶着接合部の耐久性をも向上させることができるようなポリアミド系成形材料の提供を課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の構成を採用するものである。
(1)ポリキシリレンアジパミド55〜97重量%およびヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸およびε−カプロラクタムとが重縮合した共重合ポリアミド45〜3重量%を含むポリアミド樹脂100重量部に対し、充填材1〜100重量部を含有させてなることを特徴とする溶着接合性に優れたポリアミド系成形材料。
(2)充填剤が、タルクおよびタルク以外の充填材である前記(1)に記載の溶着接合性に優れたポリアミド系成形材料。
(3)タルク以外の充填材が、ガラス繊維、扁平ガラス繊維、ガラスフレークおよびマイカから選ばれる少なくとも1種であるである前記(2)に記載の溶着接合性に優れたポリアミド系成形材料。
本発明のポリアミド系成形材料は、特定のポリアミドが配合され、かつ充填材が配合され、組成物の溶融固化速度と結晶性をコントロールすることができるため、溶着接合強度試験で溶着接合部以外の部分で破壊が発生(母材破壊)するほどに溶着接合性に優れ、溶着接合部が強度上の欠陥とならないような溶着接合強度を得ることができる。さらには、レーザー光の照射と停止による「加熱溶融―溶着接合―固化」の状態変化の中で、固化により発生する収縮を低く抑え、接合面での残留歪みが少なく、溶着強度だけでなく、ソリ変形や後収縮等の形状や寸法変化の少ない成形材料とすることができる。
したがって、本発明によれば、溶着接合性、特にレーザー溶着接合性に優れ、かつ成形性にも優れたポリアミド系成形材料を提供することができる。
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は主としてポリアミド樹脂から構成され、ポリキシリレンアジパミドと、ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸およびε−カプロラクタムとが重縮合した共重合ポリアミドとを含有する。主としてポリアミド樹脂としたのは、後述するように充填剤の含有や本発明の目的を損なわない範囲に他の成分を含有せしめることを許容することを示している。
ポリアミド樹脂のうちのポリキシリレンアジパミド(XD6)としては、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)、ポリパラキシリレンアジパミド、これらの混合物、これらの共重合物などである。また、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリカプロアミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリテトラメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカミドなどが共重合されていてもよい。これらの中で、成形性、溶着安定性などの点でMXD6が好ましい。
ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸およびε−カプロラクタムとが重縮合した共重合ポリアミド(6T/6)としては、6Tと6の共重合割合は特に限定されないが、6T/6(モル比)は、90/10〜10/90が好ましく、より好ましくは80/20〜30/70、特に好ましくは70/30〜40/60である。
ポリアミド樹脂中におけるそれぞれの配合量はXD6が55〜97重量%、6T/6は45〜3重量%の配合割合である。好ましくはXD6が70〜95重量%、6T/6が30〜3重量%である。XD6が55重量%未満では成形性が困難となる。
一方、XD6が95重量%以上では成形品を高温で熱処理するとソリ変形が著しく大きくなる傾向がある。
ポリアミド樹脂の相対粘度は98%硫酸法で測定して1.8〜3.6であり、好ましくは2.1〜3.4である。相対粘度が1.8未満では強度やタフネスが充分でなく、3.6以上では流動性が不足して良好な成形品が得られなくなる。
本発明における前記ポリアミド樹脂は、溶着接合性、特にレーザー溶着性を向上させるために、溶融固化速度を遅くしている。このため、充填材の配合が必須である。
かかる充填材としては有機、無機あるいは繊維状充填材、非繊維状充填材いずれの態様としても用いることができる。繊維状充填材としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、石コウ繊維、金属繊維などが挙げられる。非繊維状充填材としては、例えばワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、タルク、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ミルドガラスファイバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素などが挙げられ、これらの充填材は中空であってもよく、複数種類併用することも可能である。また、これら充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤をポリアミド樹脂への配合時に同時に配合し、もしくは予め充填材に処理して配合することは、より優れた機械的特性や外観性を得る意味において好ましい。
充填材の配合量は、前記ポリアミド樹脂100重量部に対し、1〜100重量部である。好ましくは10〜55重量部、より好ましくは10〜35重量部である。充填材の配合量が1重量部未満では成形性が悪く、100重量部を超えると、レーザー溶着性が低下する傾向がある。
これらの充填材の中で、結晶核剤効果を示すタルクやカオリンなどが好ましく、特にタルクが好ましい。タルクの配合量が1重量部未満では結晶核剤の効果が乏しく、100重量部を超えると、レーザー溶着性が低下する傾向がある。タルク以外の充填材として、ガラスフレーク、扁平ガラス繊維、マイカ等の板状の無機充填材が、ソリ変形が抑制できる点で好ましい。
タルク以外の充填材の含有量は、1重量部未満では成形収縮が大きすぎたり、成形直後の剛性が低すぎてソリ変形が大きくなる傾向がある。100重量部を超えると溶着強度の低下や外観が劣るようになる傾向がある。また、充填材の配合量が多くなりすぎるとレーザー光の透過性に影響を与えるので注意が必要である。
本発明において、好ましい組み合わせは、ガラスフレークおよび/または扁平ガラス繊維とタルクを併用する組み合わせである。配合量は前記ポリアミド樹脂100重量部に対してガラスフレークおよび/または扁平ガラス繊維10〜55重量部、タルク5〜55重量部であり、好ましくはガラスフレークおよび/または扁平ガラス繊維10〜35重量部、タルクは5〜20重量部である。これらの充填材はシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤およびボラン系カップリング剤等で予め処理をして配合することも出来る。
本発明のポリアミド系成形材料は、溶着接合性に優れることが特徴であり、超音波溶着法、振動溶着法、レーザー溶着法などの公知の溶着法を採用することができるが、以下、より高度な溶着性が要求されるレーザー溶着法を代表例として説明する。
本発明のポリアミド系成形材料は、レーザー溶着法を採用する場合、レーザー光線透過材料とレーザー光線吸収材料の両材料として使用することが出来る。レーザー光線透過材料として使用する時は、前記ポリアミド樹脂に充填材等を配合したポリアミド樹脂組成物をそのまま使用することが出来る。
一方、レーザー光吸収材料として使用する時は、レーザー光を吸収して発熱させる添加剤を前記ポリアミド系成形材料に均一に含有させることが必要である。
本発明におけるレーザー光に対して吸収性のある添加剤としては、カーボンブラック、複合酸化物系顔料等の無機系着色剤、フタロシアニン系顔料、ポリメチン系顔料等の有機系着色剤が用いられる。配合量は添加剤の種類によって異なるが、前記ポリアミド樹脂100重量部に対して0.05〜5重量部である。
本発明のポリアミド系成形材料を主として構成するポリアミド樹脂には本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他のポリアミド樹脂や他のポリマー類を含有しても構わない。
他のポリアミド樹脂とは、分子中に酸アミド結合(−CONH−)を有するものであり、具体的には、ε−カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ω−エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリジンなどから得られる重合体または共重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸とを重縮合して得られる重合体または共重合体もしくはブレンド物等を例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。具体例としてナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン66T、ナイロン66/6T、等を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
一方、他のポリマー類としては、例えばポリスチレン系樹脂やポリオレフィン系樹脂を挙げることが出来る。これらのポリマーではポリアミド樹脂と反応する極性基を含有させることにより、前記ポリアミド樹脂との相容性が向上し好ましい。具体的には酸変性ポリスチレン系樹脂や酸変性ポリオレフィン系樹脂を例示することが出来る。
本発明のポリアミド系成形材料には、同様に発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて結晶核剤、滑剤、離型剤、可塑剤、光または熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料あるいは他種ポリマーなどを添加できる。
本発明のポリアミド系成形材料とは、成形品を成形するためのポリアミド樹脂組成物及び成形されて溶着される成形部材を意味する。
本発明におけるポリアミド樹脂組成物を製造する方法としては特に限定されるものではなく、混錬装置として一般の単軸押出機、二軸押出機および加圧ニーダー等が使用できるが、本発明においては二軸押出機が特に好ましい。
一実施形態として、ポリアミド樹脂のMXD6および6T/6、充填剤と必要に応じてレーザー光を吸収する添加剤および他の配合剤等を混合し、二軸押出機に投入し、均一に溶融混錬することによりポリアミド樹脂組成物を製造することが出来る。混錬温度は230℃〜320℃で混錬時間は0.5〜10分程度が好ましい。
本発明においてレーザー溶着に用いられるレーザー光としては特に限定されるものではないが、一般的に、ルビー、ガラス、YAG等の固体レーザー、GaAs、InGaAsP等の半導体レーザー、ヘリウムーネオン、アルゴン、炭酸ガス、エキシマ等の気体レーザー等を挙げることが出来る。 より好ましいレーザーは半導体レーザー(LDレイザーダイオード、波長808〜940nm)やYAGレーザー(イットリウム・アルミニュウム・ガーネット結晶、波長1064nm)であるが、これらに限定されるものではない。 レーザーの波長が400nmより短いと樹脂が著しく劣化する可能性があり、好ましくない。
本発明においてレーザー溶着法で溶着される成形部材は、レーザー溶着工程でレーザー光の透過部材と吸収部材との接合面にソリがなく容易に密着でき、しかもレーザー光照射によりレーザー光吸収材が溶融してレーザー光透過材と溶着し、さらに固化する工程でレーザー光吸収材のソリ変形や収縮が低く抑えられることにより、優れた溶着接合特性が得られる。このため、本発明のポリアミド系成形材料を用い、レーザー溶着法で製造された成形品は、長期にわたり接合強度を保持することが可能となり、レーザー溶着接合成形品の信頼性を高めることが可能となった。
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
本発明の実施例、比較例に使用した原材料は以下のものである。
ポリアミドMXD6:ナイロンT−600 (東洋紡績社製)
ポリアミド6T/6:6T/6=56/44(モル比)、融点295℃(東洋紡績社製)
非晶性ポリアミド:T−714H(東洋紡績社製)
扁平ガラス繊維:CSG 3PA−820 (日東紡社製)
ガラス繊維:03MA411 (オーウェンスコーニング社製)
ガラスフレーク:REFG101 (日本板硝子社製)
タルク:SK2−BB (勝光山鉱業所社製)
評価試料の製造は表1に示した配合割合で各原料を計量し、タンブラーで混合した後、二軸押出機に投入し溶融混錬した。二軸押出機の設定条件は250〜300℃であり、混錬時間は0.5〜5分である。得られたペレットは射出成形機で各種の評価試料を成形した。射出成形機のシリンダー温度は250〜270℃であり、金型温度は150℃であった。
各種の評価方法は以下のようである。
物性の評価として曲げ強度および曲げ弾性率の評価はISO 178に準じて測定した。シャルピー衝撃強度の評価は、ISO179/leA(ノッチあり)に準じて測定した。また熱変形温度は、ISO 75(高荷重)に準じて測定した。
成形収縮率の測定は、金型寸法 100×100×3mmt の平板(フィルムゲート)を用いて測定した。
ソリ変形の測定は、図1に示した「リブ付き平板」(2mmt フィルムゲート)を用い、図1(b)側面図の符号Aで示した変形量の大きさでソリ変形を評価した。
ソリ変形量は、成形上がりのソリ変形量と150℃で1時間の熱処理をした後のソリ変形量を測定した。
レーザー溶着強度は図2に示した試験片(100×13×1.5mmt)および下記溶着法で測定した。
図2の符合4はレーザー光線透過材料からなる試験片であり、符合5はレーザー光線吸収材料からなる試験片である。レーザー光線吸収材料は表1及び表2の各組成物100重量部に対してカーボンブラックを0.4重量部添加し、溶融混練りした材料を使用した。
レーザー溶着機は半導体レーザーであり、レーザー照射条件は波長940nm、出力は130W、照射径は0.8mmφ、照射速度は5m/分であった。
図2(b)の符合7の方からレーザー光を照射し、符合6の部分が溶融溶着した部分である。溶着接合強さは符合4および5の部分を測定機のチャックに挟み、5mm/分の速度で引っ張り、破断強さを測定した。
表1及び表2の溶着強さの欄の母材破壊とは、試験による破断が溶着した接合部界面からの破壊でなく、母材自体が破断することによる破壊であることを示している。
評価結果を表1及び表2に示した。
実施例1および実施例2は流れ方向および直角方向の成形収縮率が比較的小さく、更にソリ変形量が少なく、かつソリ変形率が成形上がりと150℃、1時間の熱処理後での差が少ない。即ちレーザー溶着接合部でレーザー光線透過材料と吸収材料との密着性が優れており、レーザー溶着部材を高温での雰囲気で使用しても、歪みは発生する割合が少ないことを示している。
実施例3では扁平GFを使った実施例であるが、成形収縮率の異方性はあるが、ソリ変形量は小さく、かつ熱処理前と後ではほとんど差がないので接合部分の密着性は良好となる。また実施例1、2および3でのレーザー溶着強さはいずれも母材破壊であり、溶着接合部分の強度が高いことを示している。
一方、比較例1はポリアミド樹脂としてポリアミドMXD6を100重量%使いで使用し、比較例2ではポリアミドMXD6を86重量%、非晶性(透明)ポリアミドを14重量%の割合で配合した場合であり、更に比較例3ではポリアミドMXD6を45重量%、ポリアミド6T/6を55重量%の割合で配合し、本発明よりポリアミド6T/6の配合割合を多く使用した場合である。
比較例1ではソリ変形量が大きく、特に熱処理した後のソリ変形量が大きくなる。比較例2では熱処理前後のソリ変形量の差が大きい。比較例3では、樹脂は結晶化速度が著しく遅く、成形時に固化が不充分となるため金型に貼りついてしまい、無理に成形品を取り出すと変形してしまうため、物性、成形収縮、ソリ、レーザー溶着性の判定ができなかった。
実施例4はポリアミド樹脂100重量部に対してタルクを1重量部のみ添加して、他の充填材を添加しなかった例である。成形収縮は充填材を多く添加した実施例2に比べて大きくなったが、流れ方向と直角方向の成形収縮の差が小さく、同時に熱処理前後のソリ変形量の差も小さくなった。
比較例4は充填材を何も使用しなかった場合である。比較例4は成形時に固化が不充分となって金型に張り付いてしまい、無理に成形品を取り出すと変形してしまうため、物性、成形収縮、ソリ、レーザー溶着性の判定ができなかった。
比較例5ではポリアミドMXD6を100重量%使いとし、ポリアミドMXD6の100重量部に対してタルクを1重量部のみ添加して他の充填材を使用しなかった場合である。成形は問題がなかったがソリ変形量が大きく、特に熱処理した前後のソリ変形量の差が大きく溶着強さが低かった。
実施例5はポリアミドMXD6を74重量%、ポリアミド6T/6を26重量%の割合で100重量部とし、該樹脂成分100重量部に対し、タルク1重量部、ガラス繊維29重量部を添加した場合である。扁平ガラス繊維を使用した実施例3よりソリ変形量は大きくなったが、熱処理前後でソリ変形量の差は小さかった。
一方、ポリアミドMXD6の100重量部に対し、タルク1重量部、ガラス繊維29重量部を使用した比較例6ではソリ変形量も、熱処理前後のソリ変形量の差も大きく溶着強さが低かった。
本発明のポリアミド系成形材料は、溶着接合性、特にレーザー溶着接合性に優れ、かつ成形性にも優れており、更にレーザー溶着接合時に、接合面での残留歪みを除去することができるため、溶着接合強度の耐久性が優れた製品が得られる。このため、接合面の耐久性が要求される自動車のシリンダーカバーやインテークマニュホールド、オイルタンク等の幅広い部品への利用の可能性が広がり、産業界への寄与するところが大である。
成形収縮率、ソリ変形量を評価するためのリブ付き平板を示す概略図である。 (a)平面図、(b)側面図 レーザー溶着接合強さを評価する接合試験片を示す模式図である。 (a)平面図、(b)側面図
符号の説明
1:フイルムケート
2:リブ
3:リブ
L:樹脂の流れ方向(金型寸法:100mm)
W:直角方向(金型寸法:100mm)
4:レーザー光透過側の試験片
5:レーザー光吸収側の試験片
6:レーザー光照射により溶着した部分
7:レーザー光の照射の方向
w: 試料の幅(13mm)
d: 試料の厚み(1.5mm)

Claims (3)

  1. ポリキシリレンアジパミド55〜97重量%およびヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸およびε−カプロラクタムとが重縮合した共重合ポリアミド45〜3重量%を含むポリアミド樹脂100重量部に対し、充填材1〜100重量部を含有させてなることを特徴とする溶着接合性に優れたポリアミド系成形材料。
  2. 充填剤が、タルクおよびタルク以外の充填材である請求項1に記載の溶着接合性に優れたポリアミド系成形材料。
  3. タルク以外の充填材が、ガラス繊維、扁平ガラス繊維、ガラスフレークおよびマイカから選ばれる少なくとも1種であるである請求項2に記載の溶着接合性に優れたポリアミド系成形材料。
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