JP2007196474A - ポリアミド系積層成形体 - Google Patents

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知英 中川
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Abstract

【課題】本発明はポリアミド樹脂の持つ優れた機械特性や耐熱性および耐薬品性を保持した成形品で、高熱伝導性を必要とする多くの用途分野で使用することが出来て、かつコスト/性能の優れた成形品の提供を課題とする。
【解決手段】ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂と反応する官能基を有するオレフィン系樹脂および非晶性ポリアミド樹脂を含有したポリアミド樹脂組成物からなる成形体に高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物を積層、接着することを特徴とするポリアミド系積層成形体。
【選択図】なし

Description

本発明はポリアミド樹脂組成物からなる成形体に良好な熱伝導性を有するオレフィン系樹脂組成物を積層したポリアミド系積層成形体に関する。詳しくは本発明のポリアミド系積層成形体のオレフィン系樹脂組成物層は熱伝導性に優れた特性を有し、ポリアミド樹脂からなる成形体はポリアミド樹脂が持つ優れた機械的特性や耐熱性および耐薬品性等の特性を有して、かつ両材料が一体成形によって良好な接着性を発現しうるポリアミド系積層成形体に関する。
ポリアミド樹脂に熱伝導性を持たせるために、ポリアミド樹脂に熱伝導率の高い無機フィラーを配合することはよく知られている。ポリアミド樹脂の熱伝導性を向上させるため無機フィラーの配合量を増すと、その組成物の溶融流動性が著しく低下し、射出成形等の成形加工が困難となる。また、その組成物から得られる成形品は衝撃強度等の機械的特性が低下して好ましくない。そのため流動性を改良するため、ポリアミド樹脂に熱伝導率の高い無機フィラーと変性されたエチレン共重合体を配合することが提案されている。
特開平7−304946公報
しかし、これらの方法では流動性や成形性は改良されるが、ポリアミド樹脂組成物の耐衝撃性等の機械特性の改良が十分でない。また、熱伝導性を向上させるためには、変性されたエチレン共重合体を含むポリアミド樹脂組成物に高価な熱伝導性無機フィラーを大量に配合する必要があり、材料コストが著しく高くなり好ましくない。そのため高価な熱伝導フィラーを含む樹脂組成物で一体的に成形された成形品は、熱伝導率は高い値を示しても、コスト/機械特性能が悪く経済的でない。また、例えば電気、電子部品の筐体ではきわめて高い衝撃特性が必要であり、熱伝導性樹脂単独の成形品では耐衝撃性が不十分なために用途分野が限定されて好ましくない。
そこで本発明はポリアミド樹脂の持つ優れた機械特性や耐熱性および耐薬品性を保持した成形品で、熱伝導性を必要とする多くの用途分野で使用することが出来て、かつコスト/性能の優れた成形品の提供を課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、熱伝導性を必要とする成形品の任意部分と耐熱性や機械特性等の物性が必要な任意部分とが別材料で構成され、これらを一体成形品とすることで多くの用途分野で要求特性を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、(1)(A)結晶性ポリアミド樹脂35〜58質量%、(B)非晶性ポリアミド樹脂10〜25質量%および(C)ポリアミド樹脂と反応する官能基を含有するオレフィン系樹脂32〜50質量%からなるポリアミド樹脂組成物100質量部に対し無機強化材0〜120質量部を配合、混錬してなるポリアミド樹脂組成物からなる成形体に高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物を積層、接着することを特徴とするポリアミド系積層成形体。(2)高熱電導性のオレフィン系樹脂組成物の体積固有抵抗が0.8W/m・K以上であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド積層成形体。(3)ポリアミド樹脂組成物からなる成形体と高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物との積層部の接着強度が、引張り強さで引張破断強度で80gf/mm2以上であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド系積層成形体。
本発明はポリアミド樹脂の優れた特性を保持した成形品であって、その成形品の熱伝導部では極めて優れた熱伝導特性を有する積層成形品である。なおかつ、成形体としての機械強度特性に優れ、高い衝撃強度や曲げ強度を発現させることが可能であるため高い熱伝導性を必要とする電子機器の放冷部品などにおいて、本発明のポリアミド系積層成形体は幅広い用途分野で使用することが出来る。したがって産業界に寄与すること大である。
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明の(A)結晶性ポリアミド樹脂とは、DSC測定において融点を示す吸熱ピークが存在する分子中に酸アミド結合(−CONH−)を有する樹脂であり、ε―カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ω―エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α―ピロリドン、α―ピペリジンなどから得られる重合体または共重合体もしくはこれらのブレンド物、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミンとテレフタール酸、イソフタール酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸とを重縮合して得られる融点を有する結晶性重合体または結晶性共重合体もしくはこれらのブレンド物等を例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。更に具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロンMXD−6、ナイロン6/ナイロン66共重合体、ナイロン6T/ナイロン66共重合体等が挙げられる。本発明においてはナイロン6および/又はナイロン66が特に好ましい。
これらの結晶性ポリアミド樹脂の数平均分子量は7000〜30000のものが好ましく用いられる。数平均分子量が7000以下ではタフネスが低下して好ましくない。また30000以上では流動性が低下して好ましくない。結晶性ポリアミド樹脂の配合量は35質量%〜58質量%である。
本発明の(B)非晶性ポリアミド樹脂とは、DSC測定において融点を示す吸熱ピークが存在しない分子中に酸アミド結合(−CONH−)を有する樹脂であり、アジピン酸、テレフタール酸、イソフタール酸、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン等より得られる共重合体である。更に具体的には、ナイロン6T/ナイロン66共重合体、ナイロン6T/ナイロン6I共重合体、ナイロンTMD―T/ナイロン6共重合体等を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
これらの非晶性ポリアミド樹脂の数平均分子量は7000〜30000のものが好ましく用いられる。数平均分子量が7000以下ではタフネスが低下して好ましくない。また30000以上では流動性が低下して好ましくない。非晶性ポリアミド樹脂の配合量は10質量%〜25質量%である。好ましくは15質量%〜25質量%である。配合量が10質量%未満ではポリアミド樹脂組成物からなる系成形体と共に形成する高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物との接着性が悪くなり好ましくない。一方配合量が25質量%を超えるとポリアミド樹脂組成物からなる成形体の耐熱性が悪くなり好ましくない。
本発明の(C)ポリアミド樹脂と反応しうる官能基を含有するオレフィン系樹脂とは高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1等の重合体およびエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/オクテン−1共重合体、エチレン/ヘキセン−1共重合体、エチレン/4メチルペンテン−1共重合体、エチレン/環状オレフィン共重合体等を挙げることが出来るがこれらに限定されるものではない。これらの中で特に好ましいのはポリプロピレンである。官能基を含有するオレフィン系樹脂の配合量は32質量%〜50質量%である。好ましくは35質量%〜45質量%である。配合量が32質量%以下では高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物との接着強度が弱くなる。一方50質量%を超えるとではポリアミド樹脂組成物の耐熱性や耐薬品性等が悪くなるので好ましくない。
本発明におけるポリアミド樹脂と反応しうる官能基とはポリアミド樹脂の末端基であるアミノ基、カルボキシル基および主鎖のアミド基と反応しうる基であり、具体的にはカルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、オキサドリン基、アミノ基、イソシアネート基等が例示されるが、これらの中で酸無水物基が最も反応性に優れているので好ましい。これらの官能基を有する化合物の含有量はオレフィン系樹脂に対して0.05〜8質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。これらの官能基を有するオレフィン系樹脂の製造法はオレフィン系樹脂を製造する工程で上記の官能基を持つ化合物を反応させる方法やオレフィン系樹脂のペレットと官能基を持つ化合物等を混合し、押出機等で混錬して反応させる方法等があるがこれらに限定されるものではない。
本発明における無機強化材とはガラス繊維、炭素繊維、セラミックス繊維、各種ウイスカーおよび針状ワラストナイト等の繊維状無機強化材、シリカ、アルミニウム、タルク、カオリン、石英、粉状ガラス、マイカ、グラファイト等の粉状無機強化材が挙げられる。これら無機強化材は単体又は二種類以上の併用で使用することも出来る。また、これらの無機強化材は表面処理剤としてシランカップリング剤で処理しても良い。特にアミノシランカップリング剤が好ましい。無機強化材の配合量はポリアミド系樹脂組成物100質量部に対し0〜120質量部である。
本発明における高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物とはオレフィン樹脂に各種の熱伝導フィラーを練り込んだ組成物である。オレフィン樹脂とは高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1等の重合体およびエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/オクテン−1共重合体、エチレン/ヘキセン−1共重合体、エチレン/4メチルペンテン−1共重合体、エチレン/環状オレフィン共重合体等を挙げることが出来るがこれらに限定されるものではない。これらの中で特に好ましいのはポリプロピレンである。
オレフィン系樹脂に練り込む熱伝導フィラーとしては、銅、銀、スチール等の金属材料の粉末又は繊維状物質、炭素繊維、黒鉛等の炭素系物質、又はシリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウムや、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物を含む各種の高熱伝導性フィラーである。これら熱伝導性フィラーに関して種類は限定しないが熱伝導率として1W/m・K以上のものが好ましい。熱伝導フィラーの配合量は高熱伝導性オレフィン系樹脂組成物の熱伝導率が0.8W/m・K以上になるように配合する必要があり、オレフィン樹脂に対する熱伝導フィラー配合量、配合方法は熱伝導フィラーの種類によって最適な方法選定される。例えばポリプロピレンに酸化マグネシウムを70質量%配合する場合、熱伝導率が約0.9W/m・Kの熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物が得られる。
本発明における高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物の熱伝導性は、0.8W/m・K以上であることが好ましく、更に好ましくは1.0W/m・K以上である。
本発明のポリアミド系樹脂組成物には上述した(A)、(B)、(C)および無機強化材の他に、通常のポリアミド系樹脂組成物に用いられる耐候性改良材である銅酸化物および/又はハロゲン化アルカリ金属、光又は熱安定剤としてフェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤、離型剤、結晶核剤、滑剤、顔料、染料、および難燃化に必要な各種難燃剤および難燃助剤等を配合しても良い。
本発明のポリアミド系樹脂組成物の製造法は特に限定されるものではなく、混錬装置として一般の単軸押出機や二軸押出機、加圧ニーダー等が使用できるが、本発明においては二軸押出機が特に好ましい。一実施様態としては、前記(A)、(B)、(C)、および必要に応じて 酸化防止剤や離型剤等を混合して二軸押出機に投入する。無機強化材は二軸押出機のベント口から投入して均一混合する。混錬温度は220℃〜300℃で混錬時間は2〜15分程度が好ましい。このようにして得られたポリアミド系樹脂組成物のペレットを射出成形することによりポリアミド樹脂組成物からなる成形体を製造することが出来る。
本発明における高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物の製造法はオレフィン樹脂とアルミナ等の高熱伝導フィラーを計量・混合して二軸押出機等で混錬することにより製造できる。高熱伝導フィラーの配合量が多くなり、均一混錬が困難なときは二度練りや、サイドフィード等によりオレフィン樹脂中に高熱伝導フィラーを均一に分散させることが可能となる。
本発明におけるポリアミド系積層成形体の製造法は特に限定されるものではなく、ポリアミド樹脂組成物からなる成形体に高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物を積層・複合化し、熱融着する製造法は全て含まれる。具体的な製造法をとしては、ポリアミド系樹脂組成物を射出成形した後、ただちに金型を回転してポリアミド樹脂組成物からなる成形体の一部表面に高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物を更に射出成形して積層・複合化、熱融着させる「二色射出成形法」、ポリアミド系樹脂組成物で予め射出成形したポリアミド樹脂組成物からなる成形体を金型のキャビティー中に装着し成形体の一部分に高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物で追加成形を行う「アウトサート又はインサート成形法」、予め成形したポリアミド樹脂組成物からなる成形体にこれもまた予め成形した導電性のオレフィン系樹脂組成物のシート又は成形品を接触させ超音波溶着機や振動溶着機等で融着させる「熱ラミー法」等があるが、これらの製造法に限定されるものではない。
本発明におけるポリアミド樹脂組成物からなる成形体と高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物との接着界面での接着強度は、引張破断強度で80gf/mm2以上である。接着強度の評価法は図1に示すようにISOに準拠した1Aタイプの引張試験片で、予めポリアミド樹脂組成物からなる成形体で引張試験片の半分のみ成形して金型のキァビテイに装着し、更に高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物で追加成形するインサート成形法で成形した。追加成形の成形条件はシリンダー温度265℃、金型温度60℃で成形した。引張り試験片の中央部に接着面があり、その接着面積は厚さ4mm×幅10mm=40mm2である。また接着強度測定における引張り速度は50mm/分である。この積層界面での接着強度が引張破断強度で80gf/mm2未満の場合は耐久性のある積層成形体は得られない。接着強度の上限は特に無いが、5000gf/mm2を超える接着強度を得るのは難しい。
本発明によるポリアミド系積層成形体は特別な接着剤を使用することなく、ポリアミド樹脂組成物からなる成形体と高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物との接着が可能となる。特に「インサート成形法」のように予め成形したポリアミド樹脂組成物からなる成形体であっても、高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物を追加成形することで両成分を融着、接合することが可能である。通常ポリアミド樹脂からなる成形体に対してポリオレフィン系樹脂組成物は熱のみでは十分に融着せず、物理的なアンカー効果等で積層・複合化されているが、本発明で見出されたポリアミド樹脂組成物であれば、常温のポリアミド樹脂組成物からなる成形体に高熱伝導性のポリオレフィン系組成物を追加成形するだけで、融着させることが可能となった。
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
(評価方法)
1.融点
試料を下記条件でDSC測定し、融点(融解ピーク温度Tpm)をJIS K7121に準拠して求めた。
(DSC測定条件)
装置名 ; MacScience社製DSC3100
パン ; アルミニウム製パン(非気密型)
試料重量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min.
雰囲気 ; アルゴン
2.引張破断強度、引張破断伸度
ISO294に準拠した試験片をシリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で射出成形(東芝機械株式会社製:IS射出成形機)により作製し、ISO527に準拠し、各物性を求めた。
3.曲げ強度、曲げ弾性率
ISO178およびISO527−1、−2に準拠した曲げ試験片をシリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で射出成形(東芝機械株式会社製:IS射出成形機)により作製し、曲げ試験はISO178に準拠し、各物性を求めた。
4.熱伝導率
ASTM E1530に準拠し、測定した。
5.接着性評価(インサート成形品の接着強度)
ポリアミド系樹脂組成物からなる成形体とオレフィン系樹脂組成物との接着強度の評価は、前述したようにオレフィン系樹脂組成物を追加成形するインサート成形法で接着性評価用ダンベル型試験片を作製し、引張試験で接着強度を測定した(図1参照)。ポリアミド樹脂組成物の試験片は上記同様に作製した。高熱伝電性のオレフィン系樹脂組成物の追加成形の条件は、シリンダー温度250℃、金型温度60℃で成形した。引張試験片の中央に接着面があり、その接着面積は厚さ4mm×幅10mm=40mm2である。強度測定時の引張速度は50mm/分で測定した。引張試験は、引張試験機(島津製作所株式会社製、オートグラフ(商品名)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分で引張破断強度を求め接着強度とした。
(原材料)
実施例、比較例に用いた原材料は次のとおりである。
・結晶性ポリアミド樹脂:ナイロン6(東洋紡ナイロン T−800、東洋紡株式会社製、融点222℃)。
・非晶性ポリアミド樹脂:ナイロン6T/ナイロン6I共重合体(グリボリーG21、株式会社EMS昭和電工製、融点を示すDSC吸熱ピークは存在しない)。
・官能基を含有するオレフィン系樹脂:マレイン酸変性PP(MMP−006、三井住友ポリオレフィン株式会社)。
・無機強化材:ガラス繊維(旭フィイバー株式会社製、CS03MAFT710)。
・離型剤:エーテル変性シリコーン(ペインタット54、ダウコーニングアジア株式会社製)。
・安定剤:ヒンダードフェノール系安定剤(イルガノックス245、チバガイギー株式会社製)、および次亜燐酸ソーダ(試薬GR、ナカライテスク株式会社製)を用いた。
高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物はポリプロピレンに酸化マグネシウムA25(神島化学工業株式会社製)を80質量%配合、混錬した組成Dと、窒化アルミニウムMAN−2A(三井化学株式会社製)を70質量%配合、混錬した組成Eを使用した。それぞれの熱伝導率ASTM E1530に準拠した試験片で測定方法で測定され、D組成では1.5W/m・K、E組成では2.0W/m・Kであった。
ポリアミド樹脂組成物からなる成形体の製造は表1に記載した各成分により、ガラス繊維以外は表中の割合で混合し、シリンダー温度210〜270℃に設定した40mmφ二軸押出機に投入し、ガラス繊維は表中の割合になるようにサイドフィードで溶融樹脂中に添加した。強度物性の評価用試料はISO 178およびISO 527−1,2に準拠した引張りおよび曲げ試験片を射出成形した。射出成形条件はシリンダー温度260℃、金型温度80℃である。
ポリアミド樹脂組成物からなる成形体と高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物との接着強度の測定は前述したように、図1に示した試験片で、予め射出成形したポリアミド樹脂組成物からなる成形体に高熱伝導性のポリプロピレンを追加成形する「インサート成形法」で成形し、引張破断強度を測定し評価した。
評価結果を表1に示した。
Figure 2007196474
実施例1はポリアミド樹脂組成物からなる成形体が強化系の組成、実施例2は非強化系組成であるが、いずれもポリアミド樹脂組成物からなる成形体と高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物との接着強度は優れてしる。実施例3では変性ポリプロピレンの配合量を少し多くした組成であるが、接着強度は更に強固となっている。実施例4では高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物を変えても両者の接着強度は変わらない。一方比較例1では変性PP量を少なくしたポリアミド樹脂組成物からなる成形体や比較例2では非晶性PAを配合しない組成のポリアミド樹脂組成物からなる成形体では高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物との接着が出来ない。これらのポリアミド樹脂組成物からなる成形体ではインサート成形品を金型のキャビティーから取り出す時の既に両者が分離している。すなわち実施例1〜4はポリアミド樹脂組成物の持つ優れた強度物性を有し、かつ高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物と優れた接着性を有するポリアミド系積層成形体を得ることが出来る。
本発明はポリアミド樹脂の持つ優れた機械特性や耐熱性および耐薬品性を保持した成形品で、高熱伝導性を必要とする多くの用途分野で使用することが出来る。特に電気、電気部品の筐体では高熱伝導性と耐衝撃性の両特性が必要であり、本発明によるポリアミド系積層成形体では一体成形でこの両特性を付与できる。さらに放熱性に優れかつ、機械強度を必要とする幅広い分野で使用することが出来、産業界に寄与することが大である。
積層体の界面の接着強度を評価する試験片(ISOに準拠した1Aタイプ)。
符号の説明
1.ポリアミド樹脂組成物を成形した部分
2.高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物を追加成形した部分
3.両者の接合・接着部分

Claims (3)

  1. (A)結晶性ポリアミド樹脂35〜58質量%、(B)非晶性ポリアミド樹脂10〜25質量%および(C)ポリアミド樹脂と反応する官能基を含有するオレフィン系樹脂32〜50質量%からなるポリアミド樹脂組成物100質量部に対し無機強化材0〜120質量部を配合、混錬してなるポリアミド樹脂組成物からなる成形体に高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物を積層、接着することを特徴とするポリアミド系積層成形体。
  2. 高熱伝導性のオレフィン系樹脂組成物の熱伝導率が0.8W/m・K以上である請求項1記載のポリアミド系積層成形体。
  3. ポリアミド樹脂組成物からなる成形体と導電性のオレフィン系樹脂組成物との積層、接着部の接着強度が、引張破断強度で80gf/mm2以上である請求項1又は2に記載のポリアミド系積層成形体。
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