JP2009094367A - 多層プリント配線板とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 絶縁基板上に層間絶縁膜を介して複数の厚膜銅導体層を積層した多層プリント基板であって、前記層間絶縁層として感光性ポリイミド樹脂層を用い、かつ該層間絶縁層の表面にはハロゲンに対して耐食性を有する金属層を設けた多層プリント配線板とする。
【選択図】 なし
Description
グリッド状端子配設の半導体素子あるいは半導体パッケージを搭載するプリント配線基板では、接続のためのI/Oパッドと引き出し線を配設するために、配線幅と配線間隔をそれぞれ20μm以下としなければならず、非常に高密度、高精細な配設ルールと多層化が要求されている。
従来の多層化技術として、例えば、コア材となるプリント配線板の表面に絶縁樹脂層を形成し、必要に応じて必要な箇所に導体層間を導通するための孔、すなわち非貫通型のスルーホールを形成したのち、該孔の側壁も含め絶縁樹脂層表面をエッチング処理することによって粗面化し、無電解めっきなどにより導通化処理した後、必要に応じさらに所望な厚みまで電気めっきにより銅皮膜を形成し、パターニングして回路を形成する工程を所望なだけ繰り返すことによって多層プリント配線板を製造する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
感光性ポリイミド樹脂を層間絶縁層とした場合には、ポリイミド樹脂とその上に形成する銅被膜の密着力が低くなったり、ポリイミド樹脂中に設けたスルーホール配線のスルーホール抵抗が高くなったりするなどの問題が発生し易い。これらの問題を解消する方法として前記特許文献1では、前記エッチング処理後に該絶縁基板を100〜300℃で熱処理することを提案している。
ところで、感光性ポリイミドには、それ自身に残留ハロゲンが多く、高温、高湿下で使用したり、高電圧下で使用したりすると配線が腐食されたり、イオンマイグレーションが起こりやすいという問題が指摘されているが、配線幅が20μm以下となると、こうした問題は無視できないものとなってくる。
本発明の多層プリント配線板では、前記ハロゲンに対して耐食性を有する金属層としてNi,Cr,Moもしくはこれらの合金からなる金属層を使用することができる。
これらの金属もしくは合金は、ハロゲンに対して耐食性を有するので、極薄い層であっても高電圧下で使用する場合に配線が腐食されたりイオンマイグレーションが起こる心配は無い。
このような構造の配線板とすれば、高密度の回路配線をコンパクトにまとめて形成することができるので、半導体素子や半導体パッケージの集積度を増大させることが可能となる。
また、本発明の多層プリント配線板では、前記絶縁基板として、両面銅張り基板を利用することができる。
両面銅張り基板は電子部品として安価に出まわっているので、これを利用すれば容易に多層プリント配線板を得ることができる。
また、前記ハロゲンに対して耐食性を有する金属層と銅導体層との間には、銅薄膜下地層を有することが好ましい。
ハロゲンに対して耐食性を有する金属層と銅導体層との間の接合強度を確保するためである。
また、前記ハロゲンに対して耐食性を有する金属層を形成する方としては、真空蒸着法又はスパッタリング法を利用することができる。
欠陥の少ない薄膜を容易に形成することができるからである。
また、前記導体層として湿式めっき法により銅厚膜を形成するのが好ましい。
安価に安定した厚膜が得られるからである。
また、中間層として所望の厚さの銅層をめっき法により得るので、強固な厚膜が容易に得られ電気的特性についても良好な状態が確保される。
以上のことより、本発明に従って製造された多層基板は高密度で微細な配線を可能とし、微細配線であっても信頼性の高い多層化されたものとなる。
本発明では、多層プリント配線板を製造するに際して、コア材として両面銅張り基板を利用する。通常、両面銅張り基板はポリイミド等の絶縁性フィルムの両面に厚膜の銅めっきを施したり、あるいは銅箔を貼り合わせて全面に銅層を形成したものである。また、これらの銅層に必要により配線回路を形成したものであっても良い。両面銅張り基板は広く普及しており、この両面銅張り基板を利用して、両側の面に同時に多層回路配線を形成すれば、多層の回路基板を容易に製造することができる。
先ず、両面銅張り基板の必要な箇所に、表裏の導体層間を導通するためのビアホールを形成する。ビアホールを形成するには、例えばビアホールパターンが設けられたマスクを用いて両面をパターニングした後、導体層、絶縁性フィルムをエッチングして貫通させ、ビアホールを形成する。
ビアホール内面には、乾式めっき法や湿式めっき法等適当な手段で導体金属層を形成し、両面銅張り基板両面の導体層を電気的に接続させる。
なお、耐食層としてステンレス系の合金を用いる場合、ステンレス合金の中でもオーステナイト系ステンレスは、ハロゲンと接触すると孔蝕を起こすものがあるので注意を要する。孔蝕を防止するにはMoや、Nbの添加が有効である。
耐食層の厚さは10nm〜50nmとすることが好ましい。これより薄いと耐蝕効果が得られず、これより厚いと回路形成時に支障が出たり、経済性が損なわれたりするからである。耐食層の形成には、スパッタ法の他に真空蒸着法、イオンプレーティング法等の公知の乾式めっき法による薄膜形成手段が利用できる。乾式めっき法によれば、感光性ポリイミド樹脂層表面との密着強度が無電解めっき法を採用した場合より高くなるからである。なお、耐食層と感光性ポリイミド樹脂層表面との密着強度が不足する場合は、乾式めっきを施すのに先立ち感光性ポリイミド樹脂の表面を、アルゴンプラズマ等を用いて荒らせばよい。
さらに、感光性ポリイミド樹脂層からなる層間絶縁膜の表面に、前記と同様にして耐食層を形成する。引き続きこの耐食層の表面に、乾式めっき法により下地層を形成する。下地層は、例えば銅などの厚膜導体層と同じ導電性金属の薄膜を、厚さ数十〜数百nmで形成する。この下地層は前記耐食層と次に形成する厚膜導体層との接合力を高めるためのものである。
導体層は安価で電気抵抗が低く、必要な電流容量を満たす必要があるのでめっき法による銅厚膜を使用するのが好ましい。導体層の厚さは数〜数十μmと厚く形成し、必要な電流容量を確保する。
この導体層に所望のパターニングを施し、回路配線を形成する。
ここで、感光性ポリイミド樹脂層からなる層間絶縁膜の表面にレジスト層を設け、このレジスト層をパターニングして回路形成用マスクを得た後、層間絶縁膜、耐食層、導体層を順次選択エッチングした後に、回路形成用マスクを除去して回路配線を形成しても良い。
このようにして導体層両面を耐食層で挟むことにより、感光性ポリイミド樹脂層に含まれるハロゲンが溶出しても、溶出したハロゲンにより導体層が腐食したりイオンマイグレーションが起こることが無く、厚膜銅層により電気的特性についても良好な状態が確保される。
本発明の多層プリント配線板は、少なくとも感光性ポリイミド樹脂表面と接する導体層の界面を、例えば、Ni,Cr,Moもしくはこれらの合金からなるハロゲンに対して耐食性を有する金属を用いて形成してあるので、感光性ポリイミド樹脂層に含まれるハロゲンが溶出して導体層を犯すことはない。
また、中間層として所望の厚さの厚膜銅めっき層で形成してあるので、厚膜が容易に得られ電気的特性についても良好な状態が確保される。
以上のことより、本発明に従って製造された多層基板は微細配線を可能とし、微細配線の多層回路であっても信頼性の高いものとなる。
次いで、京セラケミカル社製感光性ポリイミド樹脂(製品名CT4700)を、コア材の両表面に塗布して厚さ8μmの層間絶縁膜となる感光性ポリイミド樹脂層を設けた。
次に、ビアホールパターンが設けられたマスクを用いて両面をパターニングしてビアホールを得た。なお、この際、感光性ポリイミドが除去された部分がビアホールとなるようにした。
次に、これを真空チャンバー内に移し、アルゴンプラズマで表面処理し、次いでスパッタリング法によりCr5.6重量%、Mo20重量%、残部Niおよび不可避不純物からなる厚さ20nmのNi合金属耐蝕層を両面に設けた。引き続き、耐蝕層の上に厚さ200nmの銅層を設けた。
次に前記銅層の上に、硫酸銅−硫酸からなる銅めっき液を用いて電気銅めっきを施し、厚さ8μmの銅層を設けた。なお、めっき条件としては一般的な条件を用いた。
次に前記と同様にして銅層の上に厚さ20nmのCr5.6重量%、Mo20重量%、残部Niおよび不可避不純物からなるNi合金の耐蝕層を設け、耐蝕層、銅層、耐蝕層からなる導体層を得た。
次に、両面にレジスト層を設け、回路パターンを有するマスクを密接させて両面露光し、現像してエッチングマスクを作成し、導体層をエッチングして両面に回路配線を形成した。
次いで、得られた多層プリント配線板の導通テストを行ったが、異常は認められなかった。
次いで、85℃、湿度90%の環境下に1000時間放置し、再度導通テストを行ったが、異常は認められなかった。
次いで、京セラケミカル社製感光性ポリイミド樹脂(製品名CT4700)をコア材の両表面に塗布して厚さ8μmの感光性ポリイミド樹脂層を設けた。
次に、ビアホールパターンが設けられたマスクを用いて両面をパターニングしてビアホールを得た。なお、この際、感光性ポリイミドが除去された部分がビアホールとなるようにした。
次に、これらの感光性ポリイミド樹脂層の表面にレジスト層を設け、レジスト層に回路パターンを有するマスクを用いて両面露光し、現像して感光性ポリイミド樹脂層が配線部として露出するめっきマスクを両面に作成した。
これを真空チャンバー内に移し、アルゴンプラズマで表面処理し、次いでスパッタリング法によりCr5.6重量%、Mo20重量%、残部Niおよび不可避不純物からなる厚さ20nmの金属層(耐蝕層)を両面に設けた。引き続き、耐蝕層の上に厚さ200nmの銅層を設けた。
次に前記と同様にして銅層の上に厚さ20nmのCr5.6重量%、Mo20重量%、残部Niおよび不可避不純物からなる耐蝕層を設け、耐蝕層、銅層、耐蝕層からなる導体層を得た。
次に、両面のレジスト層と、レジスト層上の導体層を除去して両面に回路を形成した。
次に、両面に前記感光性ポリイミドを塗布して厚さ8μmの感光性ポリイミド層を設け、その後、前記と同様にして6層からなる多層プリント配線板を得た。
次いで、得られた多層プリント配線板の導通テストを行ったが、異常は認められなかった。
次いで、85℃、湿度90%の環境下に1000時間放置し、再度導通テストを行ったが、異常は認められなかった。
次いで、京セラケミカル社製感光性ポリイミド樹脂(製品名CT4700)を、コア材の両表面に塗布して厚さ8μmの感光性ポリイミド樹脂層を設けた。
次に、ビアホールパターンが設けられたマスクを用いて両面をパターニングしてビアホールを得た。なお、この際、感光性ポリイミドが除去された部分がビアホールとなるようにした。
次に、これらの感光性ポリイミド樹脂層の表面にレジスト層を設け、レジスト層に回路パターンを有するマスクを用いて両面露光し、現像して感光性ポリイミド樹脂層が配線部として露出するめっきマスクを両面に作成した。
これを真空チャンバー内に移し、アルゴンプラズマで表面処理し、次いでスパッタリング法によりCr18重量%、Mo20重量%、残部Niおよび不可避不純物からなる厚20nmの金属層(耐蝕層)を両面に設けた。引き続き、耐蝕層の上に厚さ200nmの銅層を設けた。
次に前記と同様にして銅層の上に厚さ20nmのCr18重量%、Mo20重量%、残部Niおよび不可避不純物からなる耐蝕層を設け、耐蝕層、銅層、耐蝕層からなる導体層を得た。
次に、両面のレジスト層と、レジスト層上の導体層を除去して両面に回路を形成した。
次に、両面に前記感光性ポリイミドを塗布して厚さ8μmの感光性ポリイミド層を設け、その後、前記と同様にして6層からなる多層プリント配線板を得た。
次いで、得られた多層プリント配線板の導通テストを行ったが、異常は認められなかった。
次いで、85℃、湿度90%の環境下に1000時間放置し、再度導通テストを行ったが、異常は認められなかった。
Claims (12)
- 絶縁基板上に層間絶縁膜を介して複数の銅導体層を積層した多層プリント基板であって、前記層間絶縁層として感光性ポリイミド樹脂層を用い、かつ該層間絶縁層の表面にはハロゲンに対して耐食性を有する金属層を設けてなることを特徴とする多層プリント配線板。
- 前記ハロゲンに対して耐食性を有する金属層がNi,Cr,Moもしくはこれらの合金からなる金属層であることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板。
- 前記複数の銅導体層が絶縁基板の両面に設けられており、かつスルーホールで両面の導体層が電気的に繋がっていることを特徴とする請求項1または2に記載の多層プリント配線板。
- 前記絶縁基板が、両面銅張り基板であることを特徴とする請求項3に記載の多層プリント配線板。
- 前記複数の銅導体層が銅めっき層であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の多層プリント配線板。
- 前記ハロゲンに対して耐食性を有する金属層と銅導体層との間に銅薄膜下地層を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の多層プリント配線板。
- コア材をなす両面銅張り基板の表面に感光性ポリイミド樹脂層を形成し、必要に応じて必要な箇所に導体層間を導通するためのビアホールを形成した後、感光性ポリイミド樹脂層表面に導体層を形成し、この導体層をパターニングして回路配線を形成し、得られた積層体を新たなコア材として用いて前記の工程を所望なだけ繰り返すことによって多層回路配線板を製造する方法であって、前記感光性ポリイミド樹脂層上にハロゲンに対して耐食性を有する金属層を形成した後、導体層を形成することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
- 前記ハロゲンに対して耐食性を有する金属層としてNi,Cr,Moもしくはこれらの合金を用いることを特徴とする請求項7記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 前記ハロゲンに対して耐食性を有する金属層を形成する方法が、真空蒸着法又はスパッタリング法であることを特徴とする請求項7または8に記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 前記導体層として、湿式めっき法により銅厚膜を形成することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 前記導体層を形成するに先立ち、感光性ポリイミド樹脂層上に下地層として薄い導体金属層を形成することを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 前記薄い導体金属層を形成する方法が、真空蒸着法又はスパッタリング法であることを特徴とする請求項7から11のいずれか1項に記載の多層プリント配線板の製造方法。
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