JP2009084433A - 表皮材一体発泡成形品用の軟質ポリウレタン発泡体 - Google Patents

表皮材一体発泡成形品用の軟質ポリウレタン発泡体 Download PDF

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Abstract

【課題】表皮一体発泡成形において、モールドウレタンの発泡原液の浸透量を抑制することができると共に、湿熱老化性に優れ、かつ揮発性有機化合物の発生を抑えることができる表皮材一体発泡成形品用の軟質ポリウレタン発泡体を提供する。
【解決手段】表皮材一体発泡成形品は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤、触媒及び難燃剤を含有する発泡体原料を反応及び発泡させてなる軟質ポリウレタン発泡体の外面に表面材がラミネートされて表皮材が形成され、その内面にポリウレタンの発泡原液がモールド一体発泡成形されて形成される。前記ポリオールは、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られる水酸基含有ウレタンプレポリマーがポリオール中に30質量%以上含まれるものである。そして、軟質ポリウレタン発泡体のセル数は50〜80個/25mm及び通気量は0.3〜10cc/cm/secである。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば自動車のヘッドレスト、アームレストなどとして用いられ、外面に表面材がラミネートされ、内面にポリウレタンの発泡原液がモールド一体発泡成形されて構成される表皮材一体発泡成形品用の軟質ポリウレタン発泡体に関するものである。
従来、自動車のヘッドレスト、アームレスト、シートクッション等の表皮材を構成する表面材の裏面には、2〜15mm程度の厚さの軟質スラブポリウレタン発泡体がラミネートされて用いられている。ラミネート法としては、接着剤を用いる接着ラミネート法と、火炎(フレーム)により発泡体の表面を溶融して接着するフレームラミネート法の主に2種類の方法が採用されている。これらの方法のうち、生産性が高く、柔らかい感触が得られる点からフレームラミネート法が主に採用されている。係るラミネート法により、表皮材の外観品質の向上(皺の防止、ボリューム感等)が図られると共に、裁断、縫製の作業性向上が図られている。表面材としては、ファブリック(織物)、本革に似た合成皮革等が用いられている。
前記用途の中でも、ヘッドレスト及びアームレストは外観品質の向上とコスト低減のため、表皮材より内側に位置するモールドウレタン(型成形による軟質ポリウレタン発泡体)との一体発泡成形が主流となってきた。しかし、シートクッションにおいては、大型でかつ構造が複雑であることから、モールドウレタンとの一体発泡成形は難しい。
前記ヘッドレスト及びアームレストで用いられている表皮材は、一般的に表面側から表面材〔織物(ファブリック)、合成皮革〕、軟質ポリウレタン発泡体及び樹脂フィルムの3層構造を有している。樹脂フィルムはモールドウレタンの発泡原液が軟質ポリウレタン発泡体から表面材へ浸透するのを防止するために必要なものであり、主にウレタン系樹脂フィルムが用いられている。この樹脂フィルムは、表皮材の機能には何ら寄与せず、成形のためにのみ必要なものであり、これをラミネートすることは成形工程の増加及び材料費の増大の観点、蒸れ(水蒸気の遮断)の観点、さらに樹脂フィルムによる感触の低下(違和感)の観点から好ましくない。そのため、樹脂フィルムを省略し、表皮材及びモールドウレタンの2層のみで一体発泡成形することが検討されてきた。
そのような一体発泡成形品としては、具体的には車両用座席の表皮一体発泡成形品が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この表皮一体発泡成形品では、表面材の裏面側にセル数80〜90個/25mmの微細セル構造を有するポリエステル系の発泡スラブをワディング材として積層した二層構造の表皮部材を備え、発泡層を表皮部材と一体に発泡成形してなるものである。
また、液状樹脂不透過性ポリウレタンシートと表皮とを一体化した表皮一体発泡成形用表皮材が知られている(例えば、特許文献2を参照)。すなわち、液状樹脂不透過性ポリウレタンシートを構成する液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームの通気度が5cc/cm/sec以下で、透湿度が100g/m・h以上に設定されている。
特開2005−192634号公報(第2〜4頁) 特開2004−268406号公報(第2頁及び第8頁)
しかしながら、特許文献1に記載の表皮一体発泡成形品においては、ワディング材としてポリエステル系の発泡スラブが用いられているため加水分解しやすく、長期使用に耐え得る耐久性が不足するという問題があった。また、特許文献2に記載の表皮一体発泡成形用表皮材では、ポリウレタンフォームを形成するポリオール成分が具体的にはポリマーポリオール、すなわちポリエーテルポリオールにスチレンなどのビニル系単量体をグラフト重合したものである。そのため、ポリウレタンフォームを製造する際にポリマーポリオールが分解し、得られるポリウレタンフォーム中には揮発性有機化合物(VOC)としてスチレンなどのビニル系単量体が基準値を超える量で含まれてしまうという問題があった。
そこで本発明の目的とするところは、表皮一体発泡成形において、モールドウレタンの発泡原液の浸透量を抑制することができると共に、湿熱老化性に優れ、かつ揮発性有機化合物の発生を抑えることができる表皮材一体発泡成形品用の軟質ポリウレタン発泡体を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の表皮材一体発泡成形品用の軟質ポリウレタン発泡体は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤、触媒及び難燃剤を含有する発泡体原料を反応及び発泡させてなる軟質ポリウレタン発泡体の外面に表面材がラミネートされて表皮材が形成され、その内面にポリウレタンの発泡原液がモールド一体発泡成形されて構成される表皮材一体発泡成形品に用いられるものである。そして、前記ポリオールは、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られる水酸基含有ウレタンプレポリマーがポリオール中に30質量%以上含まれるものであると共に、軟質ポリウレタン発泡体のセル数が50〜80個/25mm及び通気量が0.3〜10cc/cm/secであることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に係る発明において、前記整泡剤は、ポリジメチルシロキサンとポリオキシアルキレンとのグラフト共重合体であって、ポリオキシアルキレン鎖の末端が水酸基のものと、水素のものとの混合物であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記ポリオールは、ポリエステル変性ポリエーテルポリオールを含有するものであることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に係る発明において、前記発泡体原料には、ジオール又はトリオールよりなる架橋剤を含有することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に係る発明において、前記ラミネートは、フレームラミネート法によるものであることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に係る表皮材一体発泡成形品用の軟質ポリウレタン発泡体では、ポリオールとしてポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られる水酸基含有ウレタンプレポリマーがポリオール中に30質量%以上含まれるものを用いることから、発泡体原料の粘度を高くすることができる。このため、得られる発泡体中のセルの合体が抑えられ、微細なセルが形成される。その結果、軟質ポリウレタン発泡体のセル数が50〜80個/25mm及び通気量が0.3〜10cc/cm/secに設定される。
従って、表皮一体発泡成形において、モールドウレタンの発泡原液の浸透量を抑制することができる。また、水酸基含有ウレタンプレポリマーがポリエーテルポリオールより形成されているため、加水分解しやすいポリエステルポリオールに比べて湿熱老化性に優れている。さらに、水酸基含有ウレタンプレポリマーはビニル系単量体をグラフト共重合したポリマーポリオールとは異なり、分解によるビニル系単量体等の揮発性有機化合物の発生を抑えることができる。
請求項2の発明では、整泡剤がポリジメチルシロキサンとポリオキシアルキレンとのグラフト共重合体であって、ポリオキシアルキレン鎖の末端が水酸基のものと、水素のものとの混合物である。このため、整泡剤のうちポリオキシアルキレン鎖の末端が水素であるグラフト共重合体は界面活性作用(整泡作用)が強く、セルが細かくなって通気性が低くなる傾向を示すものと考えられる。一方、ポリオキシアルキレン鎖の末端が水酸基であるグラフト共重合体は界面活性作用は弱く、セルが粗くなると共に独立気泡性が強くなって通気性が一層低下する傾向を示すものと考えられる。従って、請求項1に係る発明の効果に加え、それら整泡剤の作用が相俟って軟質ポリウレタン発泡体の通気性を効果的に抑制することができる。
請求項3の発明では、ポリオールがポリエステル変性ポリエーテルポリオールを含有するものである。このため、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加え、軟質ポリウレタン発泡体の外面に表面材をラミネートする場合、特にフレームラミネートする場合、そのフレームラミネートを容易に行うことができると共に、接着強度を向上させることができる。
請求項4の発明では、発泡体原料にはジオール又はトリオールよりなる架橋剤を含有する。このため、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加えて、軟質ポリウレタン発泡体の架橋密度を高めることができ、機械的物性を向上させることができると同時に、フレームラミネート性を付与することも可能となる。
請求項5の発明では、ラミネートはフレームラミネート法によるものである。従って、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、ラミネートを効率良く行うことができると共に、柔らかい触感の表皮材を得ることができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
自動車部品としてのヘッドレストやアームレストは、表皮材一体発泡成形品で構成されている。すなわち、表皮材は軟質ポリウレタン発泡体の外面に織物、合成皮革等で形成された表面材がラミネートされて構成されている。さらに、この表皮材の内面にポリウレタンの発泡原液がモールド一体発泡成形されることにより、表皮材一体発泡成形品が形成される。軟質ポリウレタン発泡体(以下、単にポリウレタン発泡体又は発泡体ともいう)は、係る表皮材一体発泡成形品用として使用されるものである。
この軟質ポリウレタン発泡体は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤、触媒及び難燃剤を含有する発泡体原料を反応及び発泡させて得られるものである。その場合、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られる水酸基含有ウレタンプレポリマーがポリオール中に30質量%以上含まれるものが使用される。さらに、軟質ポリウレタン発泡体のセル数は50〜80個/25mmに設定され、通気量は0.3〜10cc/cm/secに設定される。
軟質ポリウレタン発泡体は、軽量で、一般にセル(気泡)が連通する連続気泡構造を有し、柔軟性があり、かつ復元性を有するものをいう。該軟質ポリウレタン発泡体は、前述のようにポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤、整泡剤、難燃剤等を含有する発泡体の原料を反応及び発泡させて製造される。そこで、係る発泡体の原料について順に説明する。
ポリオールとしては、必須成分としてポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られる水酸基含有ウレタンプレポリマーが用いられる。このウレタンプレポリマーはプレポリマー化されているため、その粘度が高く、発泡体の形成時にセルの合体が抑えられ、微細なセルを形成することができる。従って、該ウレタンプレポリマーは、ポリオール中に30質量%以上含まれていることが必要である。このウレタンプレポリマーの含有量がポリオール中に30質量%より少ない場合には、上記の作用、効果が得られないため、表皮一体発泡成形において、軟質ポリウレタン発泡体へのモールドウレタンの発泡原液の浸透を抑えることができなくなる。
ポリオールとしては、前記水酸基含有ウレタンプレポリマーに加えて、ポリエステル変性ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等を含有することができる。これらのポリオールのうち、ポリエステル変性ポリエーテルポリオールは、軟質ポリウレタン発泡体の外面に表面材をラミネートする場合、特にフレームラミネートする場合、フレーム(炎)によって発泡体表面が溶融しやすくなってフレームラミネートを速やかに行うことができ、発泡体と表面材との接着強度を高めることができる。
ポリエステル変性ポリエーテルポリオールとしては、グリセリンにアルキレンオキサイドを付加した化合物に、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を反応させたものが用いられる。また、ポリエーテルポリオールとしては、多官能グリコール、例えばエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等にプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加した化合物が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のポリオールと反応させることによって得られる縮合系ポリエステルポリオールのほか、ラクトン系ポリエステルポリオール及びポリカーボネート系ポリオールが挙げられる。これらのポリオールは、原料成分の種類、分子量、縮合度等を調整することによって、水酸基の数や水酸基価を変えることができる。
加えて、ポリオールの一部としてジオール又はトリオールよりなる架橋剤を含有することにより、軟質ポリウレタン発泡体の架橋密度を高め、機械的物性を向上させることができる。この架橋剤としては、例えばポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のジオール又はトリオール又は該ジオール又はトリオールにアルキレンオキサイド等で鎖延長をしたジオール又はトリオールを用いることができる。架橋剤としては、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多官能アルコール又は該多官能アルコールにアルキレンオキサイド等で鎖延長をしたもの等も使用することができる。
前述したフレームラミネート用の軟質ポリウレタン発泡体を得るためには、前記のポリエステル変性ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等のエステル結合を有するポリオールを使用するか、又はそれらのポリオールとポリエーテルポリオールとを併用するか、或いは低分子量のポリオール(前記架橋剤)等を併用することで得ることができる。
次に、ポリオールと反応させるポリイソシアネートはイソシアネート基を複数有する化合物であって、具体的にはトリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が用いられる。
ポリイソシアネートのイソシアネート指数(イソシアネートインデックス)は、好ましくは90〜130、より好ましくは100〜120に設定される。ここで、イソシアネート指数は、ポリオールの水酸基、架橋剤であるポリオールの水酸基及び発泡剤(水)等の活性水素基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比を百分率で表したものである。イソシアネート指数が100を超えるということは、イソシアネート基が活性水素基より過剰であることを意味する。イソシアネート指数が90未満の場合には、ポリオールなどに対するポリイソシアネートの反応が不足し、発泡体の破裂、崩壊が起きやすくなると共に、得られる発泡体の架橋密度が低下し、発泡体が軟らかくなって機械的物性が不足する。その一方、イソシアネート指数が130を超える場合には、発泡体の架橋密度が高くなってセルの連通性が悪くなると共に、軟質ポリウレタン発泡体としての軟らかい感触が得られなくなる。
触媒はポリオールとポリイソシアネートとの樹脂化反応(ウレタン化反応)を促進すると共に、ポリイソシアネートと発泡剤としての水との泡化反応などを促進するためのものである。樹脂化反応を選択的に促進する触媒としては特に金属触媒が用いられ、泡化反応を促進するための触媒としては特にアミン触媒が用いられる。金属触媒として具体的には、オクチル酸スズ(スズオクトエート)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルジ酢酸スズ、ジ(2−エチルヘキシル)ジラウリン酸スズ、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズ等の有機スズ化合物やジ(2−エチルヘキサン酸)鉛等が挙げられる。アミン触媒として具体的には、N,N´,N´−トリメチルアミノエチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン等の第3級アミンが挙げられる。
前記金属触媒の含有量は、ポリオール100質量部当たり0.05〜0.40質量部であることが好ましい。なお、発泡体の各原料の含有量について基準となるポリオールは、架橋剤を除くポリオールである。金属触媒の含有量が0.05質量部より少ない場合には、樹脂化反応の進行が不足し、発泡体が破裂、崩壊しやすく、得られる発泡体の架橋密度が低下して機械的物性が損なわれる。その一方、0.40質量部より多い場合には、樹脂化反応が過度に進行して発泡体の架橋密度が高く、セル膜が多くなり、セルの連通性が阻害されて通気性が悪化する。また、アミン触媒の含有量は、ポリオール100質量部当たり0.1〜0.5質量部であることが好ましい。アミン触媒の含有量が0.1質量部より少ない場合には、泡化反応の進行が十分ではなく、得られる発泡体のセルの連通性が低下し、通気性が損なわれる傾向となる。その一方、0.5質量部より多い場合には、泡化反応の進行が過剰になり、発泡体の機械的物性が低下する。
発泡剤はポリウレタンを発泡させてポリウレタン発泡体とするためのものである。この発泡剤としては、軟質ポリウレタン発泡体の製造で一般的に使用される水(ポリイソシアネートと反応して炭酸ガスを発生する)の使用、水と補助発泡剤としてハロゲン化脂肪族炭化水素、例えばメチレンクロライド、トリクロロエタン、炭酸ガス等との併用、酸アミドとの併用が採用される。これらの発泡剤のうち、泡化反応の反応性に優れ、取扱性の良好な水が好ましい。軽量な発泡体を求める場合には水のみではなく、補助発泡剤であるハロゲン化炭化水素、炭酸ガス等との併用が好ましい。
発泡剤の含有量は、水の場合にはポリオール100質量部当たり1.5〜5.0質量部であることが好ましい。発泡剤の含有量が1.5質量部より少ない場合には泡化反応が不十分となり、発泡体を安定した状態で得ることができなくなる。その一方、発泡剤の含有量が5.0質量部より多い場合には、水とポリイソシアネートとの反応による発熱の問題が生じたり、発泡体の連続気泡構造が十分に形成されず好ましくない。
次に、整泡剤は、発泡剤によって行われる発泡を円滑に進行させると共に、発泡体の通気性を抑え表皮一体発泡成形において、モールドウレタンの発泡原液の浸透を抑制するために用いられる。そのような整泡剤としては、ポリジメチルシロキサンとポリオキシアルキレンとのグラフト共重合体であって、ポリオキシアルキレン鎖の末端が水酸基のものと、水素のものとの混合物が好ましい。この整泡剤のうちポリオキシアルキレン鎖の末端が水素であるグラフト共重合体は界面活性作用が強く働き、セルが細かくなって通気性が低くなるものと考えられる。一方、ポリオキシアルキレン鎖の末端が水酸基であるグラフト共重合体は界面活性作用は弱く、セルが粗くなると共に独立気泡性が強く働いて通気性が一層低下するものと考えられる。そのため、両整泡剤を混合して用いることにより、両整泡剤の作用が相乗的に働いて発泡体の通気性を有効に抑制することができる。
係る整泡剤の含有量は、ポリオール100質量部あたり1〜5質量部であることが好ましく、1〜3質量部であることがより好ましい。この整泡剤の含有量が1質量部を下回るときには、整泡剤による前記界面活性作用などが十分に発現されず、発泡体の通気性を抑制する効果を得ることが難しくなる。その一方、5質量部を上回るときには、整泡剤の界面活性作用が強く作用するなど、得られる発泡体の物性、特に軟質発泡体としての物性が低下する。また、前記グラフト共重合体でポリオキシアルキレン鎖の末端が水酸基のものに対するポリオキシアルキレン鎖の末端が水素のものの割合は、両整泡剤の作用を相乗的に発揮させるために質量比で1〜3倍であることが好ましい。この質量比が1倍未満又は3倍を超える場合、両整泡剤の使用量が偏り、所望とする相乗効果を得ることができなくなる。
整泡剤としては、上記整泡剤のほかに軟質ポリウレタン発泡体を製造する際に通常使用されるものを併用することができる。そのような整泡剤として具体的には、シリコーン化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリエーテルシロキサン、フェノール系化合物等が用いられる。これらの整泡剤の含有量は常法に従って設定される。
難燃剤は、発泡体に難燃性を付与するために配合されるが、さらにフォギングの発生を抑えることも考慮して、その種類及び含有量が規定される。当該難燃剤としては、含塩素リン酸エステル系の難燃剤が高い難燃効果を得るために好ましく、特にクロロプロピルホスフェート構造又はジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物又はその縮合体が用いられる。クロロプロピルホスフェート構造を有する化合物としては、トリスクロロプロピルホスフェート等が挙げられる。ジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物としては、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。また、それらの縮合体としては、トリス(クロロプロピル)ホスフェートの2量体、トリスクロロエチルホスフェートの2量体等が挙げられる。
含塩素リン酸エステル系難燃剤はリン及び塩素を含有し、滴下消火機能と酸素遮断機能を発現することができる。すなわち、含塩素リン酸エステル系難燃剤は、発泡体の燃焼時に炭化層の形成を促すと共に、発泡体を可塑化させるため、火種を落としやすくし、滴下消火を促進することができ、さらに気相から燃焼部位に供給される酸素を遮断する酸素遮断機能を発現するものと考えられる。この場合、リンは主に滴下消火機能を発現し、塩素は主に酸素遮断機能を発現する。
難燃剤の含有量は、ポリオール100質量部当たり5〜20質量部であることが好ましい。難燃剤の含有量が5質量部より少ない場合には発泡体に所望の難燃性を付与することができず、20質量部より多い場合には発泡体原料による発泡に支障を来たし、良好な発泡体を得ることが難しくなる。発泡体原料には、前記各原料のほか、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、破泡剤(充填剤)等を常法に従って配合することができる。
前述したポリオールとポリイソシアネートとの反応は常法に従って行われる。軟質ポリウレタン発泡体としては、スラブ発泡法により得られる軟質スラブポリウレタン発泡体が好ましい。スラブ発泡法は、ワンショット法により混合攪拌された反応原料(反応混合液)をベルトコンベア上に吐出し、該ベルトコンベアが移動する間に反応原料が常温、大気圧下で自然発泡し、硬化することで得られる。その後、乾燥炉内で硬化(キュア)し、所定形状に裁断される。その他、モールド成形法、現場施工スプレー成形法等によって軟質ポリウレタン発泡体を得ることもできる。
このようにして得られる発泡体は、例えば見掛け密度が好ましくは20〜70kg/mのものである。ここで、見掛け密度はJIS K 7222:1999に準拠して測定される値である。発泡体のセル数は50〜80個/25mmであり、微細なセルが形成される。セル数が50個/25mmより少ない場合には、セル径が大きくなってモールド成形用ポリウレタンの発泡原液の浸透が避けられなくなる。その一方、80個/25mmより多い場合には、セルが微細になり過ぎて軟質ポリウレタン発泡体としてのクッション性等の物性が悪くなる。
また、発泡体の通気量は0.3〜10cc/cm/sec、好ましくは1〜10cc/cm/secである。この通気量が0.3cc/cm/secよりも少ない場合には、クッション性等の軟質ポリウレタン発泡体としての物性が悪くなる。一方、10cc/cm/secより多い場合には、モールド成形用ポリウレタンの発泡原液の浸透が回避できなくなる。
発泡体のセル数及び通気量を上記範囲に設定することにより、軟質ポリウレタン発泡体へのモールド成形用ポリウレタンの発泡原液の浸透を抑えることができる。具体的には、表皮材一体発泡成形後の軟質ポリウレタン発泡体中へのモールド成形用ポリウレタンの発泡原液の浸透量を2mm以下に抑えることができる。
この発泡体をフレームラミネート法により前記表面材に接着した複合材料について、FMVSS No.302(米国自動車安全基準)の燃焼試験法MVSS302に従って測定される燃焼速度の最大値は、好ましくは100mm/min以下であり、不燃材として判断されるものである。さらに、180度剥離強度は、好ましくは2〜7N/25mmで、より好ましくは材料破壊を示す接着強度である。
次に、軟質ポリウレタン発泡体の外面に表面材を接着する方法としては、前述のフレームラミネート法のほかに、エマルジョン系又は溶剤系の接着剤を介して接着する方法、ホットメルト接着剤による接着法等が採用される。これらの接着法のうち、接着剤等の異なる材料を介在させることなく、表皮材の柔軟性を損なうことのないフレームラミネート法が好ましい。フレームラミネート法は、シート状の軟質ポリウレタン発泡体に表面材を接着させるために発泡体表面にフレームを当てて溶かし、その部分に粘着性を発現させることにより、表面材に接着させるものである。係る軟質ポリウレタン発泡体は、ポリオール成分としてポリエステル成分を含有するものや、低分子量のポリオール成分を含有するものが好ましい。その場合、軟質ポリウレタン発泡体がフレームによって溶融しやすくなり、その溶融部分が増えて接着性が高められる。従って、ポリウレタン発泡体は、剥離強度などの優れた接着強度を発揮することができる。その上、接着をフレームラミネート法により行うことにより、接着剤を用いることなくポリウレタン発泡体を表皮材に接着でき、伸び等の物性低下を防止することができる。
ホットメルト接着剤による接着法では、通常のホットメルト接着剤のほか、湿気硬化型のホットメルト接着剤を使用することもできる。通常のホットメルト接着剤としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等が用いられる。それらの樹脂は、溶融温度以上に加熱、溶融して使用される。
湿気硬化型のホットメルト接着剤は空気中の湿気と反応して硬化する接着剤であって、例えば4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)系のホットメルト接着剤のほか、過剰量の脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートと、ポリオールとを反応させて得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー等が用いられる。脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートとしては、前記軟質ポリウレタン発泡体の原料として挙げた各ポリイソシアネートが使用される。MDI系のホットメルト接着剤やウレタンプレポリマーは水蒸気などの水によって反応、硬化するが、硬化触媒としてトリエチルアミン、塩化第2スズ、塩化アンモニウム等を配合し、反応、硬化を促進させることもできる。ホットメルト接着剤の使用量は接着面積などに応じて常法に従い適宜定められる。
このように、難燃剤を含有する発泡体が表面材の裏面にラミネートされることによって表皮材が得られる。該表皮材はモールドウレタンの発泡原液の浸透量を抑制することができると同時に、優れた難燃性を発揮することができるため、自動車のヘッドレスト、アームレスト、シートクッション等の内装材として好適に用いることができる。
以上の実施形態により発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態の軟質ポリウレタン発泡体では、前記水酸基含有ウレタンプレポリマーがポリオール中に30質量%以上含まれるものを用いることから、発泡体原料の粘度を高くすることができ、発泡体中のセルの合体が抑えられ、微細なセルを形成することができる。このため、発泡体のセル数が50〜80個/25mm及び通気量が0.3〜10cc/cm/secに設定される。
従って、表皮一体発泡成形において、モールドウレタンの発泡原液の浸透量を抑制することができる。また、水酸基含有ウレタンプレポリマーがポリエーテルポリオールより形成されているため、加水分解しやすいポリエステルポリオールに比べて湿熱老化性に優れている。さらに、水酸基含有ウレタンプレポリマーはビニル系単量体をグラフト共重合したポリマーポリオールとは異なり、分解によるスチレン等の揮発性有機化合物の発生を抑えることができる。
・ 整泡剤としてポリジメチルシロキサンとポリオキシアルキレンとのグラフト共重合体であって、ポリオキシアルキレン鎖の末端が水酸基のものと、水素のものとの混合物を用いることにより、それら整泡剤が相乗的に作用して発泡体の通気性を効果的に抑制することができる。
・ ポリオールとしてポリエステル変性ポリエーテルポリオールを含有することにより、発泡体の外面に表面材をラミネートする場合、特にフレームラミネートする場合、そのフレームラミネートを容易に行うことができると共に、接着強度を向上させることができる。
・ 発泡体原料にジオール又はトリオールよりなる架橋剤を含有することにより、発泡体の架橋密度を高めることができ、機械的物性を向上させることができると同時に、フレームラミネート性を付与することも可能となる。
・ 発泡体と表面材とのラミネートをフレームラミネート法で行うことにより、ラミネートを効率良く行うことができると共に、柔らかい触感の表皮材を得ることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれら実施例の範囲に限定されるものではない。
(実施例1〜7及び比較例1〜5)
ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤、触媒及び難燃剤を含有する軟質ポリウレタン発泡体の原料を、表1及び表2に示す組成にて調製した。表1及び表2における発泡体原料の数値は質量部を表す。そして、発泡体原料を常温で混合し、常法に従って反応及び発泡(スラブ発泡)させることにより軟質ポリウレタン発泡体を製造した。
ここで、比較例1〜3では水酸基含有ウレタンプレポリマーを用いない場合、比較例4では水酸基含有ウレタンプレポリマーの含有量がポリオール中に30質量%未満である場合の例を示す。また、比較例5では、発泡体のセル数が50個/25mm未満である場合の例を示す。
表1及び表2に示す原料について以下に説明する。
水酸基含有プレポリマーA:ポリエーテルポリオール(三洋化成工業(株)製、GP3050)96質量部とポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートT−80)4質量部とを反応させて得られたもので、粘度は27000mPa・s)
水酸基含有プレポリマーB:ポリエーテルポリオール(三洋化成工業(株)製、GP3050)97質量部とポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートT−80)3質量部とを反応させて得られたもので、粘度は7000mPa・s)
水酸基含有プレポリマーC:ポリエーテルポリオール(三洋化成工業(株)製、GP3050)95.5質量部とポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートT−80)4.5質量部とを反応させて得られたもので、粘度は40000mPa・s)
ポリオールA:ポリエーテルポリオール、水酸基価56.1mgKOH/g、三洋化成工業(株)製、GP3050
ポリオールB:ポリエステル変性ポリエーテルポリオール、水酸基価56.1、三井化学(株)製、L−50
ポリオールC:コポリマーポリオール(ポリエーテルポリオールにスチレン(約40質量%)等がグラフト共重合されたポリオール)、旭硝子(株)製、EX941
ポリオールD:ポリエステルポリオール、日本ポリウレタン工業(株)製、N2200
整泡剤A:ポリジメチルシロキサン(繰返し単位数50〜100)−ポリオキシアルキレン(繰返し単位数5〜20)グラフト共重合体、ポリオキシアルキレン鎖の末端は水素、エーテル系ウレタン用高活性タイプ、デグサジャパン(株)製、B8110
整泡剤B:ポリジメチルシロキサン(繰返し単位数5〜30)−ポリオキシアルキレン(繰返し単位数2〜15)グラフト共重合体、ポリオキシアルキレン鎖の末端は水素、エステル系ウレタン用中活性タイプ、デグサジャパン(株)製、B8300
整泡剤C:ポリジメチルシロキサン(繰返し単位数50〜100)−ポリオキシアルキレン(繰返し単位数5〜20)グラフト共重合体、ポリオキシアルキレン鎖の末端は水酸基、エーテル系ウレタン用反応型タイプ、東レ・ダウコーニング(株)製、SZ−1919
整泡剤D:ポリジメチルシロキサン(繰返し単位数50〜100)−ポリオキシアルキレン(繰返し単位数5〜20)グラフト共重合体、ポリオキシアルキレン鎖の末端は水素、エーテル系ウレタン用高活性タイプ、東レ・ダウコーニング(株)製、SH−192
アミン触媒:トリエチレンジアミン、エアープロダクツジャパン(株)製、33LV
金属触媒:オクチル酸スズ、城北化学工業(株)製、MRH−110
ポリイソシアネート(T−80):2,4-トルエンジイソシアネート80質量%と2,6-トルエンジイソシアネート20質量%との混合物、日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートT−80
ポリイソシアネート(T−65):2,4-トルエンジイソシアネート65質量%と2,6-トルエンジイソシアネート35質量%との混合物、日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートT−65
架橋剤(ジオール):ポリエチレングリコール、三洋化成工業(株)製、PEG−200
架橋剤(トリオール):ポリエチレングリコール、エアープロダクツジャパン(株)製、Dabco2035
難燃剤A:含塩素リン酸エステル、トリス(クロロプロピル)ホスフェートの縮合タイプ、リン含有量11質量%、塩素含有量23質量%
そして、得られた軟質ポリウレタン発泡体について、見掛け密度、平均セル数、通気量、スチレンモノマー量、燃焼試験、剥離強度、ウレタン発泡原液透過量及び湿熱老化性を下記に示す方法によって測定した。それらの結果を表1及び表2に示した。
見掛け密度(kg/m):JIS K 7222(1999)に準拠して測定した値である。
平均セル数(個/25mm):JIS K 6400−1:2004の付属書1(参考)に準拠して測定した値である。
通気量(cc/cm/sec):JIS L 1096に準拠し、厚さ10mmの軟質ポリウレタン発泡体のサンプルについて測定した値である。
スチレンモノマー量(ppm):軟質ポリウレタン発泡体中に含まれるスチレンモノマー量を測定した。
燃焼試験(MVSS302):表面材としての織物に厚さ3mmの軟質ポリウレタン発泡体をラミネートした複合材料について、FMVSS No.302(米国自動車安全基準)の燃焼試験法MVSS302に従って燃焼速度(mm/min)の最大値を求め、判断した。
剥離強度(N/25mm):表面材としての織物に対して軟質ポリウレタン発泡体がフレームラミネート法により接着されて得られた複合材料を24時間放置した試験片を幅25mm、長さ150mm、厚さ10mmに切断した。そして、表面材と発泡体とをそれぞれ剥離強度試験機のチャックに取付け、180度反対方向に200mm/minの速度で引張って180度剥離強度試験を実施した。なお、フレームラミネート法は、軟質ポリウレタン発泡体より発泡体片(長さ200mm、幅50mm、厚み10mm)を切り出し、幅100mmのLPガスバーナーの火炎上を8m/minで通過させて表面を溶融させ、その表面に表皮材を重ね合せ、ロールにて圧着することにより行った。また、表1及び表2中の*印は、剥離強度試験において材料破壊であったことを示す。
ウレタン発泡原液透過量(mm):剥離強度試験で用いた複合材料(厚さ10mm)を金型内に配置し、一般的な一体発泡ヘッドレストの発泡原料で一体成形を行った。発泡成形後、前記複合材料を構成する発泡体を切断し、発泡原料の軟質ポリウレタン発泡体中への浸透量(深さ)を測定した。
湿熱老化性:軟質ポリウレタン発泡体について、温度70℃、相対湿度95%の条件下に1000時間置いた後の引張強度を、初期の引張強度と比較して引張強度保持率(%)を算出し、判断した。
Figure 2009084433
表1に示した結果より、実施例1〜7では、ポリオールとして水酸基含有ウレタンプレポリマーを30質量%以上用い、軟質ポリウレタン発泡体のセル数が50〜80個/25mm及び通気量が10cc/cm/sec以下である。このため、樹脂フィルムを使用しない一体発泡成形においてウレタン発泡原液透過量を0.1〜1.5mmに抑えることができた。さらに、フレームラミネート法により、剥離強度として2.4N/25mm以上の接着強度が得られ、引張強度の保持率が90%以上で優れた湿熱老化性を得ることができた。加えて、燃焼試験により不燃であることが示され、スチレンモノマーの揮散も見られなかった。
Figure 2009084433
一方、表2に示した結果より、比較例1ではポリオールが低粘度の汎用ポリエーテルポリオールであるため、発泡体のセルが十分に細かくならず、通気性も高いため、ウレタン発泡原液透過量が10mmに達した。比較例2ではコポリマーポリオールを用いているためセルは十分に細かくなり、ウレタン発泡原液の透過を抑えることはできるが、揮発性有機化合物(VOC)であるスチレンモノマーが多量に検出される結果であった。さらに、剥離強度及び難燃性も不足する結果であった。比較例3ではポリエステルポリオールを用いているため、発泡体のセルが十分に細かく、通気性も低いためウレタン発泡原液の透過は抑えられるが、加水分解を起こすことから引張強度保持率が20%まで低下し、湿熱老化性が悪い結果を招いた。
比較例4では水酸基含有ウレタンプレポリマーの含有量がポリオール中に15質量%であったためセルが十分に細かくならず、通気性も高いため、ウレタン発泡原液の透過量が10mmに達する結果であった。また、比較例5では発泡体のセル数が50個/25mm未満であったため、発泡体の通気量が10cc/cm/secを超え、ウレタン発泡原液透過量が2.5mmに達した。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記水酸基含有ウレタンプレポリマーとして、種類の異なるもの、水酸基価の異なるもの、分子量の異なるもの等を複数使用して発泡体原料の粘度などを調整するように構成することもできる。
・ 整泡剤として、ポリジメチルシロキサンとポリオキシアルキレンとのグラフト共重合体であって、ポリオキシアルキレン鎖の末端が水酸基のものと、水素のものについて、ポリジメチルシロキサン又はポリオキシアルキレンの種類の異なるもの、分子量の異なるもの、水酸基価の異なるもの等を適宜組合せて使用することもできる。
・ 発泡体原料に粘度調整剤、増粘剤等を配合して発泡体原料の粘度を高めることも可能である。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記整泡剤のグラフト共重合体は、ポリオキシアルキレン鎖の末端が水酸基のものに対するポリオキシアルキレン鎖の末端が水素のものの割合が質量比で1〜3倍であることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタン発泡体。このように構成した場合、請求項2から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加え、両整泡剤の相乗効果を十分に発揮させることができる。
・ スラブ発泡法により得られるものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタン発泡体。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、発泡体を簡単な操作で容易に得ることができる。
・ 自動車の内装材に用いられるものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタン発泡体。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果を自動車の内装材について有効に発揮させることができる。

Claims (5)

  1. ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤、触媒及び難燃剤を含有する発泡体原料を反応及び発泡させてなる軟質ポリウレタン発泡体の外面に表面材がラミネートされて表皮材が形成され、その内面にポリウレタンの発泡原液がモールド一体発泡成形されて構成される表皮材一体発泡成形品において、
    前記ポリオールは、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られる水酸基含有ウレタンプレポリマーがポリオール中に30質量%以上含まれるものであると共に、軟質ポリウレタン発泡体のセル数が50〜80個/25mm及び通気量が0.3〜10cc/cm/secであることを特徴とする表皮材一体発泡成形品用の軟質ポリウレタン発泡体。
  2. 前記整泡剤は、ポリジメチルシロキサンとポリオキシアルキレンとのグラフト共重合体であって、ポリオキシアルキレン鎖の末端が水酸基のものと、水素のものとの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の表皮材一体発泡成形品用の軟質ポリウレタン発泡体。
  3. 前記ポリオールは、ポリエステル変性ポリエーテルポリオールを含有するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表皮材一体発泡成形品用の軟質ポリウレタン発泡体。
  4. 前記発泡体原料には、ジオール又はトリオールよりなる架橋剤を含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表皮材一体発泡成形品用の軟質ポリウレタン発泡体。
  5. 前記ラミネートは、フレームラミネート法によるものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表皮材一体発泡成形品用の軟質ポリウレタン発泡体。
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