JP2004083884A - 液状樹脂不透過性ポリウレタンフォーム、その積層品及び防音床材 - Google Patents
液状樹脂不透過性ポリウレタンフォーム、その積層品及び防音床材 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ポリオール、イソシアネート化合物、触媒、発泡剤及び整泡剤を少なくとも用いて得られ、かつ、液状樹脂不透過性ポリウレタンシートとして用いられる連続気泡軟質ポリウレタンフォームであって、通気性が10cc/cm2/sec以下で、かつセル膜に複数の微細な穴が空いていることを特徴とする液状樹脂不透過性ポリウレタンフォーム。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状樹脂不透過性ポリウレタンフォーム、この不透過性ポリウレタンフォームを用いた表皮材,防音床材用緩衝材等の積層品、及び防音床材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車輌等のヘッドレスト、アームレスト、シートクッションとして、ポリウレタンフォーム等からなるクッション材と表皮材を一体化した一体発泡成形品が使用されている。
【0003】
ところで、従来の一体発泡成形品の一構成である表皮材としては、例えば表皮とワディング材(連続気泡軟質ポリウレタンフォームシート)と樹脂フィルムの3層構造のもの、あるいはさらに不織布を積層させた4層構造のものが知られている。
【0004】
しかし、特に車輌用シートクッションの場合、ポリウレタン液状樹脂発泡原料と表皮材を一体発泡成形させる際には、樹脂フィルムと発泡原料との接着性の問題から、次のような表皮材を用いていた。
1)コストの高い同一樹脂であるウレタン製フィルムを用いた、表皮−ワディング材−ウレタンフィルムの3層構造とした表皮材。
2)コストの低いポリエチレン製フィルムを用いるが、それだけではポリウレタン液状樹脂発泡原料と接着しないので、さらに不織布を積層させた、表皮−ワディング材−ポリエチレンフィルム−不織布の4層構造とした表皮材。
【0005】
図6は、従来のヘッドレストの一例を示す図である。ヘッドレスト40は、表皮41にワディング材42及び樹脂フィルム43を順次積層した3層構造の表皮材44を、ポリウレタンフォーム45と一体化した構成となっている。
【0006】
上記のように、本来不要な樹脂フィルム等を介在させるのは、表皮材とワディング材だけの2層構造では液状樹脂発泡原料が浸み出し(透過)、その後硬化してしまうのを防ぐためである。
【0007】
また、従来、化粧合板・制振材及び合板等の複数の基材を積層してなる床材本体に、ゴムスポンジやポリウレタンフォームからなる緩衝材を貼着した防音床材が知られている。
【0008】
こうした防音床材では、下記の1)、2)の目的のため緩衝材の必要な箇所に不織布や樹脂フィルムを積層させていた。
1)床材本体と緩衝材との貼り合わせ、叉は設置面であるコンクリートへの接着剤での設置の際に緩衝材に接着剤が浸み込み(透過)、その防音性能を低下させてしまうのを防ぐため。
2)コンクリートの養生が不十分な場合に水が浸み出してきて緩衝材が水を吸い上げてしまうのを回避するため。
【0009】
図7は、従来の防音床材の一例を示す図である。防音床材50は、表裏両面に凹凸が形成された熱圧縮ポリウレタンフォーム51と、該フォーム51の両面に接着剤層52を介して接着された不織布53a,53bからなる緩衝材54を、接着剤層52を介して床材本体55に貼り合わせた構成となっている。なお、図中の符番56は、前記凹凸の凹部に相当する空気層を示す。
【0010】
また、従来、以下に述べるクッション体の製法、ヘッドレスト用表皮、床材等が知られている。
【0011】
特許文献1は、一の面に布を積層し、他の面に非通気性又は難通気性のスキン層を設けた弾性発泡体の表皮材を縫製又は溶着して所望の袋形状とし、該袋内に液状発泡プラスチック原料を注入し、発泡することを特徴とするクッション体の製造方法について開示されている。
【0012】
特許文献2には、複数の表皮片を縫合することによって袋状に形成されるこれらの表皮片すべてが、ファブリック表皮と該ファブリック表皮裏面に配される独立気泡タイプの発泡体シートとを結合一体化した二層構造の表皮材を所定の形状に裁断したことを特徴とするヘッドレスト用表皮について開示されている。
特許文献3には、発泡体の両面に接着剤しみ込み防止層を形成した床用緩衝材及びこれを利用した床材について開示されている。
【0013】
【特許文献1】
特開昭60−36085号公報(第2頁左上欄13行〜同頁左下欄17行及び第1図〜第6図)
【0014】
【特許文献2】
特開2002−273298号公報(段落[0008]〜[0011]及び図1、図2)
【0015】
【特許文献3】
特開平9−273298号公報(段落[0007]〜[0008]及び図1)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、液状樹脂発泡原料や接着剤等を用いて軟質ポリウレタンフォームとの積層品を得るには、液状樹脂発泡原料や接着剤等の液状樹脂が透過するのを防ぐために、樹脂フィルムや不織布等のバリアー層を設けているが、本来不必要なものである。
【0017】
また、上記したように、このようなバリアー層として、ポリエチレンフォームのような独立気泡発泡体が使用されることはあったが、連続気泡軟質ポリウレタンフォームでは実現されたことがなかった。それは独立気泡(半硬質叉は硬質)のフォーム体でなければ液体樹脂発泡原料や接着剤等の液状樹脂が透過するのを防止できなかったからである。
【0018】
そのため、バリアー層としてポリエチレンフォームのような硬い発泡体を使用して風合いを落とすか、コストは上がるが、上述した1)、2)のように3層、4層の表皮材としたり、不織布や樹脂フィルムを積層させた緩衝材にすることにより液状樹脂発泡原料や接着剤等が透過するのを防止しなければならかった。しかし、このようなバリアー層を用いることは、製造工程の複雑化、材料費・人件費のアップをもたらし、コスト削減が叫ばれている昨今当業者においては改善が期待されている。
【0019】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、ポリオール、イソシアネート化合物、触媒、発泡剤及び整泡剤を少なくとも用いて得られ、かつ、液状樹脂不透過性ポリウレタンシートとして用いられる連続気泡軟質ポリウレタンフォームであって、通気性が10cc/cm2/sec以下で、かつセル膜に複数の微細な穴が空いた構造とすることにより、従来、液状樹脂発泡原料や接着剤等の液状樹脂が透過するのを防ぐために用いた樹脂フィルムや不織布あるいはポリエチレンフォームのような独立気泡体等のバリアー層を不要にし、製造工程の簡素化、コスト低減を図ることができる液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームを提供することを目的とする。
【0020】
また、本発明は、前記液状不透過性ポリウレタンシートを用いた表皮材、防音床材用緩衝材及び防音床材等の積層品を提供することを目的とする。
更に、本発明は、前記積層品を床材本体の設置面側に貼着した防音床材を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリオール、イソシアネート化合物、触媒、発泡剤及び整泡剤を少なくとも用いて得られ、かつ、液状樹脂不透過性ポリウレタンシートとして用いられる連続気泡軟質ポリウレタンフォームであって、通気性が10cc/cm2/sec以下で、かつセル膜に複数の微細な穴が空いていることを特徴とする液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームである。
【0022】
また、この発明は、請求項1若しくは請求項2記載の液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームをスライスして得られる液状樹脂不透過性ポリウレタンシート叉はそのシートを熱圧縮したものと、他のシート材料とを少なくとも積層させたことを特徴とする積層品である。
【0023】
更に、この発明は、請求項6記載の積層品を床材本体の設置面側に貼着したことを特徴とする防音床材である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームについて更に詳しく説明する。
本発明の液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームは、ポリオール、イソシアネート化合物、触媒、発泡剤及び整泡剤を少なくとも用いて得られ、かつ、液状樹脂不透過性ポリウレタンシートとして用いられる連続気泡軟質ポリウレタンフォームであって、通気性が10cc/cm2/sec以下で、かつセル膜に複数の微細な穴が空いていることを特徴とする。
【0025】
本発明において、液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームの通気性を上記のように規定するのは、通気性が10cc/cm2/secを越えると、液状樹脂発泡原料や接着剤が透過してしまうからであり、好ましくは5cc/cm2/sec以下、より好ましくは1cc/cm2/sec以下である。また、不透過性ポリウレタンフォームのセル膜に空けられる穴の径は、1〜100μmが好ましく、更に5〜50μmの範囲であることがより好ましい。更に、セル数は50〜100個/25mm程度が好ましく、更に60〜80個/25mmがより好ましい。
【0026】
なお、前記ポリウレタンフォームについてのセル数は、25mm当たりのセル数を示す。また、ポリウレタンフォームについての通気性は、次の方法により測定する。
通気性:10mm厚みのウレタンフォームサンプルを、JIS K 6400通気性A法にて測定した。
【0027】
次に、その製造方法の一例を示す。
本発明に係わる液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームの製造において使用されるポリオールとしては、軟質ポリウレタンフォームの製造に一般に使用されているものを特に制限されることなく用いることができる。例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ダイマー酸系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ブタジエン系ポリオール、ひまし油系ポリオール等が挙げられ、これらを1種叉は2種以上使用できる。これらの中でも特に好ましいものはポリエーテルポリオールで、中でもより微細なセルを形成するためにエチレンオキサイド含有量の少ないものが更に好ましい。
【0028】
また、本発明に係わる液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームの製造において、特に好ましくはポリオール成分としてポリエーテルポリオールとイソシアネート化合物からなる末端基が水酸基であるポリウレタンプレポリマーを使用する方法であり、更にセルが微細で低通気性の液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームが得られる。
【0029】
上記ポリウレタンプレポリマーとして用いられるポリオールは、分子量300〜10000のポリエーテルポリオールで特に好ましい分子量は3000〜5000である。また、イソシアネート化合物としては該ポリウレタンプレポリマーの粘度が製造を困難にすることさえなければ特に制限されることはないが、トリレンジイソシアネートが有効であり、好ましい粘度範囲は30℃で1500cp〜20000cp、特に好ましくは3000cp〜10000cpである。
【0030】
上記のポリウレタンプレポリマーの組成比は特に限定しないが、ポリエーテルポリオール/イソシアネート化合物=2モル/1モル、または3モル/2モルが好ましい。
【0031】
本発明に係わる液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームの製造において使用されるイソシアネート化合物としては、軟質ポリウレタンフォームブロックの製造に一般に使用されているものを特に制限されることなく用いることができる。例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどのような芳香族系、脂肪族系又は芳香環族系のイソシアネート化合物やこれらの誘導体1種又は2種以上使用できる。これらの中でも特に好ましいものはトリレンジイソシアネートである。
【0032】
本発明に係わる液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームの製造において使用される触媒としては、軟質ポリウレタンフォームブロックの製造に一般に使用されている第3級アミン類や有機金属化合物を特に制限されることなく用いることができる。第3級アミン類としては、例えばビス(2,2’―ジメチルアミノ)エチルエーテル、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’、N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、トリエタノールアミン、1,4−ジヘキサメチレンテトラアミン、ピリジンオキシドなどが挙げられ、また有機金属化合物としてはジブチル錫ジラウレート、ジラウリル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート等が挙げられる。
【0033】
本発明に係わる液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームの製造において使用される発泡剤には特に制限はなく、軟質ポリウレタンフォームブロックの製造に一般に使用されるものを用いることができる。例えば、水、ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチレンクロライド等が挙げられる。
【0034】
本発明に係わる液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームの製造において使用される整泡剤としては、例えばポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体が挙げられる。具体的には、ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体のポリオキシアルキレン鎖末端にイソシアネート基と化学結合しうる官能基を有し、更にポリオキシアルキレン鎖の数平均分子量が150〜1500、ポリオキシアルキレン鎖中のEO/PO比が70/30〜0/100であるポリシロキサン−ポリアルキレン共重合体を用いると、本願のような低通気性でかつセル膜に複数の微細な穴が空いているポリウレタンフォームの工業的な生産に有効である。
【0035】
本発明に係わる液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームの製造においては、上記発泡剤等の他、湿気、水分の透過をより効果的に防止する目的で、炭化水素化合物を添加してもよい。ここで、炭化水素化合物としては、例えばオイル、ワックス、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂が挙げられる。
【0036】
本発明において、液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームは、上記原料を混合したものをスラブ方式、あるいは離型紙等の基材の上にコートハンガー形ダイ等を用いてシート状に吐出し、目的の厚みに発泡・硬化させるなどして得ることができる。スラブ方式にて得られた前記フォームをスライスした液状樹脂不透過性ポリウレタンシートあるいはシート状に発泡・硬化させて得た液状樹脂不透過性ポリウレタンシート叉はそのシートを熱圧縮したものと、他のシート材料とを積層させて積層品にすることができる。ここで、他のシート材料と液状樹脂不透過性ポリウレタンシートとは、液状樹脂である接着剤を介して他のシート材料と液状樹脂不透過性ポリウレタンシートとが一体化して積層品となる場合、あるいは前記接着剤を介することなく液状樹脂である発泡原料が発泡・硬化したフォームと液状樹脂不透過性ポリウレタンシートが一体化して積層品となる場合、あるいは前記シート状に吐出し発泡・硬化中の液状樹脂不透過性ポリウレタンシート原料の上に他のシート材料を重ねて一体化して積層品となる場合等が挙げられるが、これに限らない。
【0037】
前述した他のシート材料としては、表皮、あるいは床材本体、あるいは熱圧縮ポリウレタンフォーム等が挙げられる。
なお、他のシート材料が床材本体である場合、液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームシートの片面あるいは両面には凹凸が形成されていることが防音性の点から好ましい。
【0038】
また、前記他のシート材料として熱圧縮ポリウレタンフォームを使用する場合、熱圧縮ポリウレタンフォーム片面あるいは両面に凹凸が形成されているものを用いた積層品とすることが好ましい。液状樹脂不透過性ポリウレタンシート叉はそのシートに凹凸が形成されたもの、あるいは前記積層品を、床材本体の設置面側及び床材本体側に貼着することにより、防音床材に使用することができる。
【0039】
前記他のシート材料が表皮であって、表皮一液状樹脂不透過性ポリウレタンシートからなる積層品(表皮材)の液状樹脂不透過性ポリウレタンシート側に、液状樹脂であるポリウレタンフォーム発泡原料を注入あるいは吐出し、発泡硬化させて一体化した成形品は、例えば次のようにして得ることができる。
【0040】
1)上記表皮材(積層品)を所望の形状に縫製し、該表皮材に軟質ポリウレタン発泡原液を一定量注入し、発泡・硬化させて、ヘッドレスト等の成形品(積層品)を得ることができる。
2)離型紙やガラス繊維不織布などの表面材上に硬質系ポリウレタン発泡原液を吐出し、適当なタイミングで発泡・硬化中のウレタン原液に前記表皮材を重ねて、連続してあるいは非連続的に70℃以上の加熱下でプレス成形して、自動車用天井材等の成形品(積層品)を得ることができる。なお、この吐出方法としては、コートハンガー形ダイなどを用いて行うのがよい。
【0041】
また、前記表皮としては、モケット、トリコット等の布製のもの、あるいは塩化ビニール等からなる軟質の合成樹脂シート等、従来公知のものが使用できる。
【0042】
(作用)
ポリウレタンフォームは、12面体で一つのセル(気泡)を構成している。通常、連続気泡というのは、セルを構成するリブ間にあるセル膜に大きな一つの穴が空いている状態であり、12面のセル膜のうち1面だけでも穴が空いていれば隣り合ったセルとつながる。このようにして、隣り合ったセルのほぼ全てがつながった(連通化)構造を連続気泡という。これは、通常の低通気度のポリウレタンフォームでも同様であって、どんなに通気性が低くても、リブに沿うように大きな一つの穴が空いたようなセル構造(図8参照)では、液状樹脂発泡原料や接着剤などが透過するのを防止できない。なお、図8中、符番16はセル膜、符番17は穴、符番18はリブを示す。
【0043】
本願の液状樹脂不透過性ポリウレタンシートに用いることのできる不透過性ポリウレタンフォームのセル構造は、セル膜に複数の微細な穴が空いていることを特徴としている(図2参照)。従って、前記シート内部まで液状樹脂発泡原料や接着剤等の液状樹脂が透過するのを防止できる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の各実施例について説明する。
(実施例1)
図1及び図2を参照する。ここで、図1は本発明の実施例1に係るヘッドレストの断面図、図2は同ヘッドレストに使用した液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームのセル部分を模式的に示した図を示す。
【0045】
図中の符番1は表皮材(積層品)1を示す。この表皮材1は、液状樹脂不透過性ポリウレタンシート2と表皮3とをフレームラミネート法にて積層された構成となっている。前記表皮材1の前記シート2側には、ポリウレタンフォーム4が一体に形成されている。なお、図1中の符番10は、前記シート2の表面部に形成された溶融接着層を示す。ここで、前記液状樹脂不透過性ポリウレタンシート2は、通気性が1.0cc/cm2/secで、図2に模式的に示すようにセル膜6に複数の微細な穴7が空いた構成となっている。穴7の径は、10〜30μmである。なお、図2中の符番8はリブを示す。
【0046】
図9は、前記液状樹脂不透過性ポリウレタンシートを走査型電子顕微鏡(商品名:S−2500CX型、日立製作所製)で撮影したときの写真を示す。図9からセル膜6に複数の微細な穴7が空いていることが明らかである。これに対し、図10は、従来の連続気泡低通気性ポリウレタンフォームを同様にして走査型電子顕微鏡により撮影したときの写真を示す。図10の場合、セル膜にリブに沿うように大きな1つの穴が形成されていることがわかる。
【0047】
図1のような構成のヘッドレスト5は、次のようにして製造する。即ち、まず、表皮材1を所望のヘッドレスト型に縫製した後、金型(図示せず)に前記表記材1を表皮3が金型面に接するように配設した。次に、フレーム(図示せず)を挿入し、表皮材3に形成された注入口(図示せず)よりシートクッション用軟質ポリウレタンフォーム原料を注入し、発泡・硬化させて、一体発泡成型品(積層品)としてのヘッドレストを得た。
【0048】
実施例1によれば、通気性が10cc/cm2/sec以下でかつセル膜6に複数の穴7が開いた構成の液状樹脂不透過性ポリウレタンシート2と、表皮材1を一体発泡成形した構成となっているため、従来のように樹脂フィルムや不織布等のバリアー層を用いることなく、表皮材1でポリウレタンフォーム4を一体発泡成形で一体化でき、もって製造工程の簡素化、コスト低減を図ることができる。
【0049】
(実施例2)
図3及び図4を参照する。ここで、図3は本発明の実施例2に係る防音床材の断面図、図4は同防音床材に使用された床材本体の断面図を示す。
【0050】
図中の符番11は、床材本体12と、この床材本体12と接着剤層15を介して接着された液状樹脂不透過性ポリウレタンシート13とからなる防音床材を示す。ここで、床材本体12は、図4に示すように合板21と制振材22と表面化粧板(表面材)23等の複数の基材を積層して構成される。
【0051】
実施例2によれば、従来の緩衝材のように、樹脂フィルムや不織布や防水シート等のバリアー層を用いることなく液状樹脂不透過性ポリウレタンシート13だけで緩衝材として、接着剤層15を介して床材本体12と積層させ防音床材11とすることができ、もって製造工程の簡素化、コスト低減を図ることができる。勿論、このとき、液状樹脂不透過性ポリウレタンシート13は、熱圧縮されたものでも構わない。
【0052】
(実施例3)
本実施例3に係る防音床材について図4、図5を参照して説明する。
防音床材30は、図5に示すように、表裏両面に凹凸が形成された液状樹脂不透過性ポリウレタンシート(防音床材用緩衝材)31を、ポリエチレン製のホットメルト接着剤層32を介して床材本体12の設置面側に積層した構成となっている。ここで、前記液状樹脂不透過性ポリウレタンシート31は、通気性が5cc/cm2/secで、図2に模式的に示すようにセル膜6に複数の微細な穴7が空いた構成となっている。なお、付番33は凹凸の凹部に相当する空気層を示す。
【0053】
このように、上記実施例3に係る防音床材用緩衝材は、従来の緩衝材のように樹脂フィルムや不織布等のバリアー層を用いる代わりに液状樹脂不透過性ポリウレタンシート31のみから構成されている。
【0054】
実施例3によれば、従来は単にバリアー層として接着剤やコンクリート面からの水等を吸収し、中心の防音層となる熱圧縮ポリウレタンシートを守る働きしかなさなかった不織布や樹脂フィルムを使用せず、熱圧縮ポリウレタンシートを液状樹脂不透過性ポリウレタンシートの表裏両面に凹凸が形成されたものに代えることにより、緩衝材全体としての防音性能を維持しつつ、製造工程の大幅な簡素化、コスト低減を図ることが可能となる。
【0055】
なお、上記実施例では、液状樹脂不透過性ポリウレタンシートを表皮材や防音床材用緩衝材に適用した場合について述べたが、これに限らず、自動車用天井材、断熱壁材や防寒・保温用衣料品など他の用途に適用可能である。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明によれば、ポリオール、イソシアネート化合物、触媒、発泡剤及び整泡剤を少なくとも用いて得られ、かつ、液状樹脂不透過性ポリウレタンシートとして用いられる連続気泡軟質ポリウレタンフォームであって、通気性が10cc/cm2/sec以下で、かつセル膜に複数の微細な穴が空いた構造とすることにより、従来、液状樹脂発泡原料や接着剤等の液状樹脂が透過するのを防ぐために用いていた樹脂フィルムや不織布あるいはポリエチレンフォームのような独立気泡体等のバリアー層を不要にし、製造工程の簡素化、コスト低減を図ることができる液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームの提供が可能となる。
【0057】
また、本発明によれば、前記液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームを用いた表皮材、防音床材用緩衝材等の積層品を提供できる。
更に、本発明によれば、前記積層品を床材本体の設置面側に貼着した防音床材等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係るヘッドレストの断面図。
【図2】図1の表皮材の一構成である液状樹脂不透過性ポリウレタンシートのセル部分を模式的に拡大して示す図。
【図3】本発明の実施例2に係る防音床材用緩衝材として液状樹脂不透過性ポリウレタンシートを適用した防音床材の断面図。
【図4】図3及び図5の防音床材に使用される床材本体の断面図。
【図5】本発明の実施例3に係る防音床材の断面図。
【図6】従来のヘッドレストの断面図。
【図7】従来の防音床材の断面図。
【図8】従来の表皮材の一構成であるワディング材のセル部分を模式的に拡大して示す図。
【図9】本発明に係る不透過性ポリウレタンフォームのセル部分の走査型電子顕微鏡による写真。
【図10】従来の低通気性ポリウレタンフォームのセル部分の走査型電子顕微鏡による写真。
【符号の説明】
1…表皮材(積層品)、
2,13,31…液状樹脂不透過性ポリウレタンシート、 3…表皮、
4…ポリウレタンフォーム、 5…ヘッドレスト、 6,16…セル膜、
7,17…穴、 8,18…リブ、 10…溶融接着層、
11,30…防音床材、 12…床材本体、 15,32…接着剤層、
21…合板、 22…制振材、 23…表面化粧板。
Claims (8)
- ポリオール、イソシアネート化合物、触媒、発泡剤及び整泡剤を少なくとも用いて得られ、かつ、液状樹脂不透過性ポリウレタンシートとして用いられる連続気泡軟質ポリウレタンフォームであって、
通気性が10cc/cm2/sec以下で、かつセル膜に複数の微細な穴が空いていることを特徴とする液状樹脂不透過性ポリウレタンフォーム。 - 前記ポリオールはポリエーテルポリオールであることを特徴とする請求項1記載の液状樹脂不透過性ポリウレタンフォーム。
- 請求項1若しくは請求項2記載の液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームをスライスして得られる液状樹脂不透過性ポリウレタンシート叉はそのシートを熱圧縮したものと、他のシート材料とを少なくとも積層させたことを特徴とする積層品。
- 前記他のシート材料が表皮であることを特徴とする請求項3記載の積層品。
- 前記他のシート材料が床材本体であって、前記液状樹脂不透過性ポリウレタンフォームシートの少なくとも片面に凹凸が施されていることを特徴とする請求項3記載の積層品。
- 前記他のシート材料が熱圧縮ポリウレタンフォームであることを特徴とする請求項3記載の積層品。
- 前記他のシート材料が表皮であり、かつ液状樹脂不透過性ポリウレタンシート側に、ポリウレタンフォーム発泡原料を注入あるいは吐出して発泡してなるポリウレタンフォームを一体化したことを特徴とする請求項3記載の積層品。
- 請求項6記載の積層品を床材本体の設置面側に貼着したことを特徴とする防音床材。
Priority Applications (1)
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