JP2009029993A - 軟質ポリウレタン発泡体及びその複合材料 - Google Patents

軟質ポリウレタン発泡体及びその複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】表皮材として熱可塑性エラストマーを用いた場合に良好な難燃性を発揮することができると共に、フォギングを抑制することができる軟質ポリウレタン発泡体及びその複合材料を提供する。
【解決手段】軟質ポリウレタン発泡体は難燃剤を含有し、熱可塑性エラストマーより形成される表皮材にラミネートされて用いられるものである。前記難燃剤は、クロロプロピルホスフェート構造又はジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物又はその縮合体であって、質量平均分子量が350〜600のものである。さらに、縮合体中に含まれる質量平均分子量が350未満の未反応の前記化合物の含有量が軟質ポリウレタン発泡体中に1質量%以下であり、かつ軟質ポリウレタン発泡体中の塩素含有量が5〜10質量%である。難燃剤としては、ジクロロプロピルホスフェート構造を有し、質量平均分子量が400〜500の化合物が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば自動車のシートクッションとして表皮材にラミネートされて用いられる軟質ポリウレタン発泡体及びその複合材料に関するものである。
従来、自動車のシートクッションの表皮材裏面には、3〜10mm程度の厚さの軟質スラブポリウレタン発泡体がラミネートされて用いられている。ラミネート法としては、接着剤を用いる接着ラミネート法と、火炎により発泡体の表面を溶融して接着するフレームラミネート法の主に2種類の方法が採用されている。これらの方法により、シートクッションの外観品質の向上(皺の防止、ボリューム感等)が図られると共に、裁断、縫製の作業性向上が図られている。表皮材としては、本革に似た高級感を出すために用いられてきたものが合成皮革であり、その材質として加工性、塗装性、耐久性などに優れている塩化ビニル樹脂が主として用いられてきた。
しかし近年、環境保全、リサイクル等の観点から、塩化ビニル樹脂の使用が敬遠されてきている。その中で代替品として提案されてきたものが熱可塑性ポリウレタン(TPU)(例えば、特許文献1を参照)やポリエステルエラストマー(例えば、特許文献2を参照)である。これらの材料は、いずれも触感、物性としては塩化ビニル樹脂に近いが、塩素が含まれていないため、塩化ビニル樹脂に比べて難燃性が低下する。表皮材の裏面に軟質ポリウレタン発泡体がラミネートされた複合材料は、一般的に表皮材単体よりも難燃性が低下する。これは、表皮材裏面に軟質ポリウレタン発泡体がラミネートされたことで、例えば米国自動車安全基準のFMVSS No.302に基づく燃焼試験のような水平試験の場合、火種が滴下して消火する滴下消火がしにくくなるためである。塩化ビニル樹脂と軟質ポリウレタン発泡体との複合材料の場合も滴下消火はほとんど起らないが、塩化ビニル樹脂自体の高難燃性により複合材料としての難燃性が維持される。
一方、軟質ポリウレタン発泡体は難燃剤が配合されることにより難燃性が付与されるが、難燃剤が低分子量の成分を含有するとその成分が揮散して自動車の窓ガラスの内面に付着し、窓ガラスを曇らせる(フォギング)などの問題が発生する。そのため、係るフォギングを抑えた低フォギング性難燃ポリウレタン用組成物が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。この組成物は、m−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)等の有機リン化合物を主成分とし、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート等の非反応性有機燐化合物などを含有するものである。
特開2003−238796号公報(第2頁、第6頁及び第7頁) 特開2001−114911号公報(第2頁、第3頁及び第6頁) 特開平6−306277号公報(第2頁、第5頁及び第6頁)
しかしながら、特許文献1に記載の熱可塑性ポリウレタンや特許文献2に記載のポリエステルエラストマーなどの熱可塑性エラストマーは難燃性に劣るため、滴下消火が起らないまま、熱可塑性エラストマーに炎が走る形となり、難燃性が大きく低下するという問題があった。ところで、難燃剤に含まれるリンは主として軟質ポリウレタン発泡体の燃焼時に炭化層を形成して延焼を抑制し、火種を落としやすくするという滴下消火の機能を発現し、ハロゲンは不燃性ガスであって主として気相で酸素を遮断するという機能を発現する。
しかし、特許文献3に記載されている難燃剤は、有機リン化合物を主成分とするため滴下消火はできるものの、気相での酸素遮断機能が十分に発揮されず、難燃剤としての機能発現が乏しいものであった。その結果、係る難燃剤は、難燃性の乏しい熱可塑性エラストマーより形成される表皮材にラミネートされる軟質ポリウレタン発泡体として用いる場合には、自動車のシートクッション等に要求される難燃性の条件を満足することができないという問題があった。さらに、軟質ポリウレタン発泡体が表皮材の裏面に接着された複合材料が自動車のシートクッション等に使用される場合にはフォギングの抑制も求められている。
そこで本発明の目的とするところは、表皮材として熱可塑性エラストマーを用いた場合に良好な難燃性を発揮することができると共に、フォギングを抑制することができる軟質ポリウレタン発泡体及びその複合材料を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の軟質ポリウレタン発泡体は、熱可塑性エラストマーより形成される表皮材にラミネートされて用いられ、難燃剤を含有するものである。そして、前記難燃剤がクロロプロピルホスフェート構造又はジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物又はその縮合体であって、質量平均分子量が350〜600のものであると共に、前記縮合体中に含まれる質量平均分子量が350未満の未反応の前記化合物の含有量が軟質ポリウレタン発泡体中に1質量%以下であり、かつ軟質ポリウレタン発泡体中の塩素含有量が5〜10質量%であることを特徴とする。
請求項2の軟質ポリウレタン発泡体は、請求項1に係る発明において、前記難燃剤はジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物であって、質量平均分子量が400〜500のものであることを特徴とする。
請求項3の軟質ポリウレタン発泡体は、請求項2に係る発明において、前記軟質ポリウレタン発泡体中のリンの含有量に対する塩素の含有量の比が質量基準で3.5〜7.0であることを特徴とする。
請求項4の軟質ポリウレタン発泡体は、請求項3に係る発明において、前記熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリウレタンであることを特徴とする。
請求項5の軟質ポリウレタン発泡体は、請求項1から請求項4のいずれか1項に係る発明において、前記ラミネートは、フレームラミネート法によるものであることを特徴とする。
請求項6の複合材料は、熱可塑性エラストマーより形成される表皮材に、請求項1に記載の軟質ポリウレタン発泡体がラミネートされて構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1の軟質ポリウレタン発泡体では、難燃剤としてクロロプロピルホスフェート構造又はジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物又はその縮合体が用いられている。これらの含塩素リン酸エステル系難燃剤は、軟質ポリウレタン発泡体の燃焼時に良好な炭化層を形成し、かつ可塑化効果も有するため、火種を落としやすくすることができ、滴下消火を促すことができる。しかも、軟質ポリウレタン発泡体中の塩素含有量が5〜10質量%であることから、この塩素が気相から燃焼部位に供給される酸素を遮断する機能を発現する。従って、表皮材として熱可塑性エラストマーを用いた場合に良好な難燃性を発揮することができる。
また、難燃剤の質量平均分子量が350〜600という高分子量であると共に、縮合体中に含まれる質量平均分子量が350未満の未反応の前記化合物の含有量が軟質ポリウレタン発泡体中に1質量%以下に抑えられていることから、難燃剤からの蒸気発生を抑えることができ、フォギングを抑制することができる。
請求項2の軟質ポリウレタン発泡体では、難燃剤はジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物であって、質量平均分子量が400〜500のものである。このため、請求項1に係る発明の効果に加えて、難燃剤の塩素含有量を高めて難燃性を向上させることができると共に、分子量を高めてフォギングを一層抑制することができる。
請求項3の軟質ポリウレタン発泡体では、軟質ポリウレタン発泡体中のリンの含有量に対する塩素の含有量の比が質量基準で3.5〜7.0である。従って、請求項2に係る発明の効果に加えて、難燃作用を発現するリンと塩素についてそれらの比が上記の適切な範囲に設定されることにより、リンと塩素との相乗的作用を発現することができ、フォギングを発生させることなく難燃性を向上させることができる。
請求項4の軟質ポリウレタン発泡体では、熱可塑性エラストマーが熱可塑性ポリウレタンであることから、請求項3に係る発明の効果に加え、表皮材として良好な物性を発揮することができると共に、塩化ビニル樹脂に比べて環境保全やリサイクルなどの点で有利である。
請求項5の軟質ポリウレタン発泡体では、ラミネートがフレームラミネート法によるものである。このため、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、表皮材と軟質ポリウレタン発泡体との間に接着剤を介することなく良好に接着することができると共に、表皮材の柔軟性を損なうおそれもない。
請求項6の複合材料では、熱可塑性エラストマーより形成される表皮材に、請求項1に記載の軟質ポリウレタン発泡体がラミネートされて構成されている。従って、複合材料は請求項1に係る軟質ポリウレタン発泡体の効果を発揮することができると同時に、表皮材に熱可塑性エラストマーを用いることから、表皮材として良好な物性を発揮することができ、しかも塩化ビニル樹脂に比べて環境保全やリサイクルなどの点で有利である。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態における軟質ポリウレタン発泡体(以下、単にポリウレタン発泡体又は発泡体ともいう)は、熱可塑性エラストマーより形成される表皮材にラミネートされて用いられるものであって、難燃剤を含有するものである。係る難燃剤は、クロロプロピルホスフェート構造又はジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物又はその縮合体であって、質量平均分子量が350〜600のものであると共に、前記縮合体(オリゴマー)中に含まれる未反応の前記化合物(主にモノマー成分。以下、未反応化合物と称する)の含有量が発泡体中に1質量%以下のものである。ここで、難燃剤の含有量を増加させると、縮合体中に残存する未反応化合物も増え、フォギング要因として無視できなくなることが確認されている。また、クロロエチルホスフェート構造を有する難燃剤は、縮合体中の未反応化合物の分子量も特に低くなるため、フォギングへの影響がより高くなって不適当である。さらに、軟質ポリウレタン発泡体は、その中に含まれる塩素の含有量が5〜10質量%である。このような要件を満たすポリウレタン発泡体は、難燃性が良く、フォギングの抑制も図ることができる。
表皮材は熱可塑性エラストマーより形成され、環境保全等の観点から優れた材料であり、自動車のシートクッション、家具のソファなどの表皮材として用いられる。この熱可塑性エラストマーは合成皮革の材料として使用され、加工性、塗装性、耐久性などが良好である。このような熱可塑性エラストマーとして具体的には、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリオレフィン等が挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーのうち、触感、加工性、塗装性、耐久性などの点で熱可塑性ポリウレタンが好ましい。
軟質ポリウレタン発泡体は、軽量で、一般にセル(気泡)が連通する連続気泡構造を有し、柔軟性があり、かつ復元性を有するものをいう。該軟質ポリウレタン発泡体は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒、発泡剤、整泡剤、難燃剤等を含有する発泡体の原料を反応及び発泡させて製造される。そこで、係る発泡体の原料について順に説明する。
ポリオール類としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールが用いられる。ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のポリオールと反応させることによって得られる縮合系ポリエステルポリオールのほか、ラクトン系ポリエステルポリオール及びポリカーボネート系ポリオールが挙げられる。また、ポリエーテルポリエステルポリオールとしては、グリセリンにアルキレンオキサイドを付加した化合物に、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を反応させたものが用いられる。さらに、ポリエーテルポリオールとしては、多官能グリコール、例えばエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等にプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加した化合物が挙げられる。このポリオール類は、原料成分の種類、分子量、縮合度等を調整することによって、水酸基の数や水酸基価を変えることができる。
加えて、ポリオール類の一部として架橋剤を配合することができる。この架橋剤としては、例えばポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多官能グリコール又は該多官能グリコールにアルキレンオキサイド等で鎖延長をしたもの等が挙げられる。
フレームラミネート用の軟質ポリウレタン発泡体を得るためには、前記のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリエステルポリオール等のエステル結合を有するポリオールを使用するか、又はそれらのポリオールとポリエーテルポリオールとを併用するか、或いは低分子量のポリオール(架橋剤)等を併用することで得ることができる。
次に、ポリオール類と反応させるポリイソシアネート類はイソシアネート基を複数有する化合物であって、具体的にはトリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が用いられる。
ポリイソシアネート類のイソシアネート指数(イソシアネートインデックス)は、好ましくは90〜130、より好ましくは100〜120に設定される。ここで、イソシアネート指数は、ポリオール類の水酸基、架橋剤であるポリオールの水酸基及び発泡剤(水)等の活性水素基に対するポリイソシアネート類のイソシアネート基の当量比を百分率で表したものである。イソシアネート指数が100を超えるということは、イソシアネート基が活性水素基より過剰であることを意味する。イソシアネート指数が90未満の場合には、ポリオール類などに対するポリイソシアネート類の反応が不足し、発泡体の破裂、崩壊が起きやすくなると共に、得られる発泡体の架橋密度が低下し、発泡体が軟らかくなって機械的物性が不足する。その一方、イソシアネート指数が130を超える場合には、発泡体の架橋密度が高くなってセルの連通性が悪くなると共に、軟質ポリウレタン発泡体としての軟らかい感触が得られなくなる。
触媒はポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化反応(ウレタン化反応)を促進すると共に、ポリイソシアネート類と発泡剤としての水との泡化反応などを促進するためのものである。樹脂化反応を選択的に促進する触媒としては特に金属触媒が用いられ、泡化反応を促進するための触媒としては特にアミン触媒が用いられる。金属触媒として具体的には、オクチル酸スズ(スズオクトエート)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルジ酢酸スズ、ジ(2−エチルヘキシル)ジラウリン酸スズ、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズ等の有機スズ化合物やジ(2−エチルヘキサン酸)鉛等が挙げられる。アミン触媒として具体的には、N,N´,N´−トリメチルアミノエチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン等の第3級アミンが挙げられる。
前記金属触媒の含有量は、ポリオール類100質量部当たり0.05〜0.40質量部であることが好ましい。金属触媒の含有量が0.05質量部より少ない場合には、樹脂化反応の進行が不足し、発泡体が破裂、崩壊しやすく、得られる発泡体の架橋密度が低下して機械的物性が損なわれる。その一方、0.40質量部より多い場合には、樹脂化反応が過度に進行して発泡体の架橋密度が高く、セル膜が多くなり、セルの連通性が阻害されて通気性が悪化する。また、アミン触媒の含有量は、ポリオール類100質量部当たり0.1〜0.5質量部であることが好ましい。アミン触媒の含有量が0.1質量部より少ない場合には、泡化反応の進行が十分ではなく、得られる発泡体のセルの連通性が低下し、通気性が損なわれる傾向となる。その一方、0.5質量部より多い場合には、泡化反応の進行が過剰になり、発泡体の機械的物性が低下する。
発泡剤はポリウレタンを発泡させてポリウレタン発泡体とするためのものである。この発泡剤としては、軟質ポリウレタン発泡体の製造で一般的に使用される水(ポリイソシアネート類と反応して炭酸ガスを発生する)の使用、水と補助発泡剤としてハロゲン化脂肪族炭化水素、例えばメチレンクロライド、トリクロロエタン、炭酸ガス等との併用、酸アミドとの併用が採用される。これらの発泡剤のうち、泡化反応の反応性に優れ、取扱性の良好な水が好ましいが、軽量な発泡体を求める場合には水のみではなく、補助発泡剤であるハロゲン化炭化水素、炭酸ガス等との併用が好ましい。
発泡剤の含有量は、水の場合にはポリオール類100質量部当たり1.5〜5.0質量部であることが好ましい。発泡剤の含有量が1.5質量部より少ない場合には泡化反応が不十分となり、発泡体を安定した状態で得ることができなくなる。その一方、発泡剤の含有量が5.0質量部より多い場合には、水とポリイソシアネート類との反応による発熱の問題が生じたり、発泡体の連続気泡構造が十分に形成されず好ましくない。補助発泡剤の含有量は、発泡体の見掛け密度を調整するために適宜使用されるが、ポリオール類100質量部当たり1.0〜10質量部であることが好ましい。補助発泡剤の含有量が1.0質量部より少ない場合には、補助発泡剤の気化量が少なく、補助発泡剤としての効果が不足する。一方、10質量部より多い場合には、発熱による十分な気化がなされず、補助発泡剤として満足できる効果が得られなくなる。
整泡剤は、発泡剤によって行われる発泡を円滑に進行させるために必要に応じて用いられる。そのような整泡剤としては、軟質ポリウレタン発泡体を製造する際に通常使用されるものを用いることができる。整泡剤として具体的には、シリコーン化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリエーテルシロキサン、フェノール系化合物等が用いられる。この整泡剤の含有量は常法に従って設定される。
難燃剤は、発泡体に難燃性を付与するために配合されるが、フォギングの発生を抑えるために、その種類及び含有量が規定される。当該難燃剤としては、含塩素リン酸エステル系の難燃剤が高い難燃効果を得るために好ましく、特にクロロプロピルホスフェート構造又はジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物又はその縮合体が用いられる。クロロプロピルホスフェート構造を有する化合物としては、トリスクロロプロピルホスフェート等が挙げられる。ジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物としては、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。また、それらの縮合体としては、トリス(クロロプロピル)ホスフェートの2量体、トリスクロロエチルホスフェートの2量体等が挙げられる。この難燃剤のうち、質量平均分子量が350〜600のものであると共に、縮合体の場合にはその中に含まれる未反応化合物の含有量が発泡体中に1質量%以下となるように用いられる。さらに、難燃剤は発泡体中の塩素含有量が5〜10質量%となるように配合される。
上記の含塩素リン酸エステル系難燃剤はリン及び塩素を含有し、滴下消火機能と酸素遮断機能を発現することができる。すなわち、含塩素リン酸エステル系難燃剤は、発泡体の燃焼時に炭化層の形成を促すと共に、発泡体を可塑化させるため、火種を落としやすくし、滴下消火を促進することができる。さらに、発泡体中の塩素含有量が5〜10質量%であることから、この塩素が気相から燃焼部位に供給される酸素を遮断する酸素遮断機能を発現するものと考えられる。この場合、リンは主に滴下消火機能を発現し、塩素は主に酸素遮断機能を発現する。そのため、表皮材として塩素を含まない熱可塑性エラストマーを用いた場合に良好な難燃性を発現することができる。
また、含塩素リン酸エステル系難燃剤の質量平均分子量が350〜600という高い分子量であることにより、係る難燃剤の揮散性が抑えられ、フォギングを抑制することができる。この質量平均分子量が350より低分子量である場合、難燃剤の揮散性が高くなり、フォギングを抑制することができなくなって不適当である。その一方、質量平均分子量が600より高分子量である場合、難燃剤自体がフォギング性へ及ぼすマイナス要素は一般的にないが、原料の粘度上昇によって製造工程での取扱いが困難になり、発泡体を得る段階で発泡体の物性が低下し、さらには難燃剤自体の製造が困難になる。
難燃剤として縮合体を用いる場合には、その中に質量平均分子量が350未満の未反応化合物(いわゆる未反応モノマー)が通常3〜15質量%程度含まれる。この未反応化合物は、フォギングを引き起こす原因となる。そこで、係る未反応化合物の含有量は、発泡体中に1質量%以下であり、0〜1質量%であることが好ましい。未反応化合物の含有量が1質量%を超える場合には、未反応化合物が揮散してフォギングが生ずる原因となる。
また、前述のように含塩素リン酸エステル系難燃剤を配合することにより、発泡体中の塩素含有量が5〜10質量%に設定される。塩素含有量が5質量%より少ないときには、塩素による酸素遮断機能、さらには滴下消火機能が得られず、難燃効果が不足する。一方、10質量%より多いときには、軟質ポリウレタン発泡体を製造する際に過剰の塩素が発泡を阻害し、製造が不安定となって良好な発泡体を得ることができなくなる。
この難燃剤のうち、ジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物であって、質量平均分子量が400〜500のものであることが好ましい。当該化合物は塩素含有率が高く、少ない配合量で発泡体中の塩素含有量を増大させることができる。質量平均分子量が400未満の場合、難燃剤が揮散する傾向が大きく、フォギングの抑制が難しくなる。一方、質量平均分子量が500を超える場合、可塑化効果が強くなる傾向を示し、発泡体としての性質が低下して好ましくない。係る難燃剤としては、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。
また、軟質ポリウレタン発泡体中のリンの含有量に対する塩素の含有量の比が質量基準で3.5〜7.0であることが好ましい。リン及び塩素は滴下消火機能及び酸素遮断機能に基づく難燃性に大きく関わり、その比が前記範囲であることにより難燃性を有効に発現することができる。前記比が3.5より小さいと塩素のもつ機能の発現が不足して難燃性が低下し、7.0より大きいとリンのもつ機能の発現が不十分となって難燃性が低下する。
発泡体原料には、前記各原料のほか、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、破泡剤(充填剤)等を常法に従って配合することができる。
前述したポリオール類とポリイソシアネート類との反応は常法に従って行われるが、ワンショット法又はプレポリマー法が採用される。ワンショット法は、ポリオール類とポリイソシアネート類とを直接反応させる方法である。プレポリマー法は、ポリオール類とポリイソシアネート類との各一部を事前に反応させて末端にイソシアネート基又は水酸基を有するプレポリマーを得、それにポリオール類又はポリイソシアネート類を反応させる方法である。軟質ポリウレタン発泡体としては、スラブ発泡法により得られる軟質スラブポリウレタン発泡体が好ましい。スラブ発泡法は、上記ワンショット法により混合攪拌された反応原料(反応混合液)をベルトコンベア上に吐出し、該ベルトコンベアが移動する間に反応原料が常温、大気圧下で自然発泡し、硬化することで得られる。その後、乾燥炉内で硬化(キュア)し、所定形状に裁断される。その他、モールド成形法、現場施工スプレー成形法等によって軟質ポリウレタン発泡体を得ることもできる。
このようにして得られる発泡体は、例えば見掛け密度が好ましくは15〜40kg/m、より好ましくは20〜30kg/mという低密度のものである。ここで、見掛け密度はJIS K 7222:1999に準拠して測定される値である。この発泡体をフレームラミネート法により表皮材としての熱可塑性ポリウレタンエラストマーの裏面に接着した複合材料について、FMVSS No.302(米国自動車安全基準)の燃焼試験法MVSS302に従って測定される燃焼速度の最大値は、好ましくは100mm/min以下、より好ましくは90mm/min以下である。また、フォギング量は、欧州のフォギングテスト法(DIN75201)に準ずる方法で、可視光線透過率として好ましくは10%以下、より好ましくは6%以下である。さらに、180度剥離強度は、好ましくは2〜6N/25mmで、材料破壊を示す接着強度である。
次に、表皮材に軟質ポリウレタン発泡体を接着する方法としては、フレームラミネート法、エマルジョン系又は溶剤系の接着剤を介して接着する方法、ホットメルト接着剤による接着法等が採用される。これらの接着法のうち、接着剤等の異なる材料を介在させることなく、表皮材の柔軟性を損なうことのないフレームラミネート法が好ましい。フレームラミネート法は、シート状の軟質ポリウレタン発泡体に表皮材を接着させるために発泡体表面に炎(フレーム)を当てて溶かし、その部分に粘着性を発現させることにより、表皮材に接着させるものである。係る軟質ポリウレタン発泡体は、ポリオール成分としてポリエステル成分を含有するものや、低分子量のポリオール成分を含有するものが好ましい。その場合、軟質ポリウレタン発泡体がフレームによって溶融しやすくなり、その溶融部分が増えて接着性が高められる。従って、ポリウレタン発泡体は、剥離強度などの優れた接着強度を発揮することができる。その上、接着をフレームラミネート法により行うことにより、接着剤を用いることなくポリウレタン発泡体を表皮材に接着でき、伸び等の物性低下を防止することができる。
ホットメルト接着剤による接着法では、通常のホットメルト接着剤のほか、湿気硬化型のホットメルト接着剤を使用することもできる。通常のホットメルト接着剤としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等が用いられる。それらの樹脂は、溶融温度以上に加熱、溶融して使用される。
湿気硬化型のホットメルト接着剤は空気中の湿気と反応して硬化する接着剤であって、例えば4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)系のホットメルト接着剤のほか、過剰量の脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートと、ポリオールとを反応させて得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー等が用いられる。脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートとしては、前記軟質ポリウレタン発泡体の原料として挙げた各ポリイソシアネートが使用される。MDI系のホットメルト接着剤やウレタンプレポリマーは水蒸気などの水によって反応、硬化するが、硬化触媒としてトリエチルアミン、塩化第2スズ、塩化アンモニウム等を配合し、反応、硬化を促進させることもできる。ホットメルト接着剤の使用量は接着面積などに応じて常法に従い適宜定められる。
このように、難燃剤を含有する発泡体が熱可塑性エラストマーより形成される表皮材の裏面にラミネートされることによって複合材料が得られる。該複合材料は優れた難燃性を発揮することができると共に、フォギングを抑制することができるため、自動車のシートクッションをはじめ、自動車の内装部品、家具としてのソファ等として好適に用いることができる。
以上の実施形態により発揮される作用、効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態の軟質ポリウレタン発泡体では、難燃剤としてクロロプロピルホスフェート構造又はジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物又はその縮合体が用いられている。これらの含塩素リン酸エステル系難燃剤は、発泡体の燃焼時に良好な炭化層を形成し、かつ可塑化作用を発揮するため、火種が落下しやすくなり、滴下消火が促進される。加えて、発泡体中の塩素含有量が5〜10質量%であるため、塩素により気相から燃焼部位に供給される酸素が遮断される。その結果、表皮材として熱可塑性エラストマーを用いた場合に燃焼速度を抑えることができ、優れた難燃性を発揮することができる。
また、難燃剤の質量平均分子量が350〜600という高分子量であり、かつ縮合体中に含まれる質量平均分子量が350未満の未反応化合物の含有量が発泡体中において1質量%以下に抑えられているため、難燃剤から揮散する蒸気の発生が抑えられ、フォギングを抑制することができる。
・ 前記難燃剤がジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物であって、質量平均分子量が400〜500のものであることにより、難燃剤の塩素含有量を高めて難燃性を向上させることができると共に、分子量を高めてフォギングを一層抑制することができる。
・ さらに、発泡体中のリンの含有量に対する塩素の含有量の比が質量基準で3.5〜7.0であることにより、難燃作用を発現するリンと塩素についてそれらの比が上記適切な範囲であり、リンと塩素との相乗的作用を発現することができ、フォギングを発生させることなく難燃性を向上させることができる。
・ 前記表皮材を形成する熱可塑性エラストマーが熱可塑性ポリウレタンであることにより、表皮材として良好な物性を発揮することができると共に、塩化ビニル樹脂に比べて環境保全やリサイクルに貢献することができる。
・ また、前記ラミネートがフレームラミネート法であることにより、表皮材と発泡体との間に接着剤を介することなく良好に接着することができると共に、表皮材の柔軟性を損なうおそれもない。
・ 複合材料は、熱可塑性エラストマーより形成される表皮材に、前述の難燃剤を含む発泡体がラミネートされて形成される。そのため、複合材料は前記発泡体の効果を発揮することができると同時に、表皮材に熱可塑性エラストマーを用いることから、表皮材として塩化ビニル樹脂のもつ欠点を解消でき、自動車のシートクッション等として好適に利用することができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれら実施例の範囲に限定されるものではない。
(実施例1〜11及び比較例1〜8)
ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤、補助発泡剤、整泡剤、触媒及び難燃剤を含有する軟質ポリウレタン発泡体の原料を、表1及び表2に示す組成にて調製した。そして、軟質ポリウレタン発泡体の原料を常温で混合し、常法に従って反応及び発泡(スラブ発泡)させることにより軟質ポリウレタン発泡体を製造した。なお、炭酸ガス(液化炭酸ガス)は、6MPaの圧力及び−12℃以下の温度で液化状態を保持し、ポリオール類に溶解させて供給した。また、メチレンクロライドは常温で液体であり、そのまま配合した。
ここで、比較例1、2及び4では発泡体中の塩素含有量が5質量%より少ない場合、比較例3では難燃剤(2量体)中の未反応化合物量が発泡体中に1質量%を超える場合の例を示す。また、比較例5では発泡体中の塩素含有量が10質量%を超える場合、及び比較例6では発泡体中の塩素含有量が5質量%より少なく、かつ表皮材が塩化ビニル樹脂である場合の例を示す。比較例7では難燃剤として難燃剤B(未反応化合物の含有量が13質量%)が20質量部含まれ、すなわち難燃剤中の未反応化合物の含有量が1.3質量%である場合、及び比較例8では難燃剤として質量平均分子量が350未満の難燃剤Dを発泡体中に1質量%を超える量含有する場合の例を示す。
表1及び表2に示す原料について以下に説明する。
ポリオールA:ポリエーテルポリオール、水酸基価56.1mgKOH/g、三洋化成工業(株)製、GP3000
ポリオールB:ポリエーテルポリエステルポリオール、水酸基価56.1、三井武田ケミカル(株)製、L−50
界面活性剤:ジメチルシリコーン、デグサジャパン(株)製、B−8050
アミン触媒:トリエチレンジアミン、エアープロダクツジャパン(株)製、33LV
金属触媒:オクチル酸スズ、城北化学工業(株)製、MRH−110
ポリイソシアネート(T−80):2,4-トルエンジイソシアネート80質量%と2,6-トルエンジイソシアネート20質量%との混合物、日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートT−80
難燃剤A:トリス(クロロプロピル)ホスフェートの2量体(縮合体)、質量平均分子量574、未反応化合物(質量平均分子量は328)の含有量は5質量%、大八化学(株)製、CR−504
難燃剤B:トリスクロロエチルホスフェートの2量体(縮合体)、質量平均分子量470、未反応化合物(質量平均分子量は285)の含有量は13質量%、大八化学(株)製、CR−530
難燃剤C:トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、質量平均分子量431、大八化学(株)製、CRP
難燃剤D:トリス(クロロプロピル)ホスフェート、質量平均分子量328、大八化学(株)製、TMCPP
TPU:熱可塑性ポリウレタン(熱可塑性ポリウレタン90質量%とアクリル系樹脂10質量%との混合物)
PVC:塩化ビニル樹脂
リン含有量(質量%):軟質ポリウレタン発泡体中のリンの含有量を原料組成に基づいて算出した。
塩素含有量(質量%):軟質ポリウレタン発泡体中の塩素の含有量を原料組成に基づいて算出した。
Cl/P比:軟質ポリウレタン発泡体中のリン(P)の含有量に対する塩素(Cl)の含有量の比を質量基準で算出した。
未反応化合物の含有量(質量%):軟質ポリウレタン発泡体中における難燃剤に含まれる質量平均分子量350未満の未反応化合物の含有量を算出した。
見掛け密度:JIS K 7222(1999)に準拠して測定された値である。
(接着方法)
FL法:フレームラミネート法、すなわち各ポリウレタン発泡体より発泡体片(長さ200mm、幅50mm、厚み10mm)を切り出し、幅100mmのLPガスバーナーの火炎上を8m/minで通過させ、表面を溶融させる。次いで、その表面に表皮材を重ね合せ、ロールにて圧着した。
接着剤法:不織布状のホットメルト接着剤であるポリアミド樹脂(融点85℃、呉羽テック(株)製、LNS3010)を加熱溶融して液状化して接着するホットメルト法。
最大燃焼速度(mm/min):表皮材としての熱可塑性ポリウレタンの裏面に厚さ3mmの軟質ポリウレタン発泡体をラミネートした複合材料について、FMVSS No.302(米国自動車安全基準)の燃焼試験法MVSS302に従って燃焼速度の最大値を求めた。
フォギング量(%):表皮材としての熱可塑性ポリウレタンの裏面に厚さ3mmの軟質ポリウレタン発泡体をラミネートし、さらに軟質ポリウレタン発泡体の裏面に太さ15デニールのナイロン樹脂繊維製のトリコット編物を接合した複合材料について試験を行った。フォギング量は、欧州のフォギングテスト法(DIN75201)に準ずる試験装置を用い、80℃、20時間後におけるガラスの曇り度を可視光線透過率(%)により測定して求めた。さらに、可視光線透過率が10%以下のときに○、10%を超えるときに×と評価した。
剥離強度(N/25mm):フレームラミネート法により得られた複合材料を24時間放置した試験片を幅25mm、長さ150mm、厚さ10mmに切断した。そして、表皮材と発泡体とをそれぞれ剥離強度試験機のチャックに取付け、180度反対方向に200mm/minの速度で引張って180度剥離強度試験を実施した。なお、表1及び表2中の*印は、剥離強度試験において材料破壊であることを示す。
Figure 2009029993
表1に示した結果より、実施例1〜11では、難燃剤がジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物又はそれとクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物の縮合体であって、質量平均分子量が350〜600で、前記縮合体中に含まれる未反応化合物の含有量が発泡体中に1質量%以下である。かつ、発泡体中の塩素含有量が5〜10質量%である。このため、燃焼速度を抑えて難燃性を向上させることができると共に、フォギングを極力抑制することができた。また、実施例10に示すように、接着方法として接着剤を用いた方法では、フレームラミネート法の場合に比べて剥離強度が若干低下した。
Figure 2009029993
一方、表2に示した結果より、発泡体中の塩素含有量が少ない比較例1、2及び4では、最大燃焼速度が100mm/minを超え、難燃性が悪くなる結果であった。また、難燃剤の縮合体中に含まれる未反応化合物の含有量が発泡体中に1質量%を超える比較例3では、フォギングが10%を超えるという結果を招いた。発泡体中の塩素含有量が10質量%を超える比較例5の場合には、過剰な塩素により発泡体の製造が難しくなり、良好な発泡体を得ることができなかった。比較例6では、表皮材として塩化ビニル樹脂を用いているため、環境保全、リサイクル等の点で不適当であった。比較例7では、難燃剤として難燃剤B(未反応化合物の含有量が13質量%)が20質量部含まれ、すなわち未反応化合物の含有量が発泡体中に1質量%を超えるため、未反応化合物の揮散量が多く、フォギングが不良となった。比較例8では、難燃剤D(質量平均分子量が350未満)の含有量が発泡体中に1質量%を超えるため、フォギングが不良となる結果であった。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 難燃剤として、ジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物の2量体で、質量平均分子量が350〜600のものを、2量体中に含まれる質量平均分子量が350未満の未反応化合物の含有量が発泡体中に1質量%以下となるように使用することもできる。
・ 難燃剤として、クロロプロピルホスフェート構造又はジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物又はその縮合体を3種類以上組合せて使用することもできる。
・ 前記難燃剤の縮合体中に含まれる未反応化合物の含有量を減少させるため、縮合体を精製して縮合体中の未反応化合物を低減させる操作を施した後に使用することも可能である。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記軟質ポリウレタン発泡体は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒、発泡剤及び難燃剤を含有する発泡体の原料を反応及び発泡させて得られるものであり、前記ポリオール類はエステル結合を有するポリオールであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタン発泡体。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加え、軟質ポリウレタン発泡体を熱可塑性エラストマーより形成される表皮材にフレームラミネート法によって容易に接着させることができる。
・ 前記縮合体は、クロロプロピルホスフェート構造又はジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物の2量体であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタン発泡体。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果を有効に発揮させることができる上に、軟質ポリウレタン発泡体に対する可塑化効果を得ることができる。
・ 前記難燃剤は、トリス(クロロプロピル)ホスフェートの2量体又はトリス(ジクロロプロピル)ホスフェートであることを特徴とする請求項1に記載の軟質ポリウレタン発泡体。このように構成した場合、請求項1に係る発明の効果を最も有効に発揮させることができ、かつ軟質ポリウレタン発泡体に対する可塑化効果を得ることができる。
・ 自動車のシートクッションに用いられるものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタン発泡体。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果を自動車のシートクッションについて有効に発揮させることができる。

Claims (6)

  1. 熱可塑性エラストマーより形成される表皮材にラミネートされて用いられ、難燃剤を含有する軟質ポリウレタン発泡体であって、
    前記難燃剤がクロロプロピルホスフェート構造又はジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物又はその縮合体であって、質量平均分子量が350〜600のものであると共に、前記縮合体中に含まれる質量平均分子量が350未満の未反応の前記化合物の含有量が軟質ポリウレタン発泡体中に1質量%以下であり、かつ軟質ポリウレタン発泡体中の塩素含有量が5〜10質量%であることを特徴とする軟質ポリウレタン発泡体。
  2. 前記難燃剤はジクロロプロピルホスフェート構造を有する化合物であって、質量平均分子量が400〜500のものであることを特徴とする請求項1に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
  3. 前記軟質ポリウレタン発泡体中のリンの含有量に対する塩素の含有量の比が質量基準で3.5〜7.0であることを特徴とする請求項2に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
  4. 前記熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリウレタンであることを特徴とする請求項3に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
  5. 前記ラミネートは、フレームラミネート法によるものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
  6. 熱可塑性エラストマーより形成される表皮材に、請求項1に記載の軟質ポリウレタン発泡体がラミネートされて構成されていることを特徴とする複合材料。
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