JP2008138052A - 軟質ポリウレタン発泡体の製造方法 - Google Patents

軟質ポリウレタン発泡体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低硬度で底突き感、座屈感が少なく、着座感に優れると共に、通気性を向上させることができる軟質ポリウレタン発泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】軟質ポリウレタン発泡体のブロックは、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒、発泡剤及び補助発泡剤を含有する原料を反応及び発泡させて製造される。この場合、補助発泡剤として液化炭酸ガスを用い、その含有量がポリオール類100質量部当たり2.0〜5.0質量部、触媒として金属触媒を用い、その含有量がポリオール類100質量部当たり0.05〜0.15質量部である。かつ、イソシアネート指数が90〜108である。そして、発泡体ブロックの側面を開放状態とし、ブロックの元厚に対して圧縮率25〜65%となるように、ブロックの上下面を160〜240℃の熱盤で1〜5分間圧縮してブロックを塑性変形させ、CI値を4.0〜7.0に形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば自動車のシートクッション材等の車両用クッション材などとして好適に使用することができる軟質ポリウレタン発泡体の製造方法に関するものである。
従来、自動車用シートクッションの表皮材(生地、本革等)の表面には、軟質スラブウレタン発泡体が接着又は縫製によって一体化されて使用されてきた。これは、シートクッションの皺の防止、ボリューム感の向上等の外観品質の向上や、裁断、縫製等の作業性の向上のためであった。しかし、近年特に高級車において、シートの乗り心地を向上させるため、表面ソフト化のニーズが高まっている。このため、これら表面材として用いられてきた軟質ポリウレタン発泡体もソフト化や座り心地の向上に対する要求が高まっている。
この種のクッション材の座り心地を評価する指標として、CI値(Comfort Index)が使用されている。このCI値はクッション材の硬さの比として表され、クッション材に加圧板を押し込んだとき、又は加圧板で圧縮したときの反作用である抵抗、すなわち硬さでもって表される値を、押し込み変位量が25%と65%の場合について測定し、25%の場合に対する65%の場合の比で表される。このCI値は、その値が大きいほど着座時の触感がソフトであって、底突き感がないとされ、CI値の高いクッション材が好まれている。
係るCI値を高めた車両用シートクッションの製造方法について、本出願人は既に提案している(例えば、特許文献1を参照)。すなわち、この製造方法は、所定の連続気泡発泡体ブロックを用い、該ブロックの上下面を加熱、圧縮して塑性変形させ、CI値を4.0〜8.0にするものである。
特開2005−186499号公報(第2頁、第5頁及び第6頁)
ところが、特許文献1に記載されている車両用シートクッションの製造方法では、連続気泡発泡体ブロックの上下面を加熱、圧縮して塑性変形させることから、ブロックの表層部の見掛け密度が内部(コア)の見掛け密度に比べて2〜4倍程度まで増大してしまう。この場合、連続気泡発泡体ブロックのセルは内部では連続しているが、表層部では遮断されることから、通気性が大きく低下する。その結果、係る発泡体ブロックに着座したとき、ムレ、不快感などが発生するという問題があった。従って、発泡体の機械的物性を維持しつつ、通気性を向上させる方法が求められている。
そこで本発明の目的とするところは、低硬度で底突き感、座屈感が少なく、着座感に優れると共に、通気性を向上させることができる軟質ポリウレタン発泡体の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法では、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒、発泡剤及び補助発泡剤を含有する軟質ポリウレタン発泡体の原料を反応及び発泡させて軟質ポリウレタン発泡体のブロックを製造する。この場合、補助発泡剤として液化炭酸ガスを用い、その含有量がポリオール類100質量部当たり2.0〜5.0質量部であり、触媒として金属触媒を用い、その含有量がポリオール類100質量部当たり0.05〜0.15質量部であり、かつ前記原料中の活性水素基に対するポリイソシアネート類のイソシアネート基の当量比を百分率で表したイソシアネート指数が90〜108に設定される。そして、得られる発泡体のブロックの側面を開放状態とし、ブロックの元厚に対して圧縮率25〜65%となるように、ブロックの上下面を160〜240℃の熱盤で1〜5分間圧縮してブロックを塑性変形させ、上下方向に対する(65%圧縮時の硬さ)/(25%圧縮時の硬さ)の値を4.0〜7.0に形成することを特徴とする。
請求項2の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法は、請求項1に係る発明において、軟質ポリウレタン発泡体のブロックは、見掛け密度が16〜30kg/mであり、硬さが40〜70Nであることを特徴とする。
請求項3の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法は、請求項1又は請求項2に係る発明において、触媒としてアミン触媒を用い、該アミン触媒はゲル化触媒定数に対する泡化触媒定数の比が10×10−1〜40×10−1である泡化触媒であることを特徴とする。
請求項4の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法は、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明において、上下方向に対して5%圧縮時の硬さが0.3〜3.0Nであることを特徴とする。
請求項5の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法は、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明において、上下3分の1の両側表層部の見掛け密度が前記表層部間の中央部の見掛け密度に対して1.5〜4.0倍であることを特徴とする。
請求項6の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法は、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明において、軟質ポリウレタン発泡体は、車両用クッション材であることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法では、補助発泡剤として液化炭酸ガスを用いることから、発泡体に対する溶解性がほとんどなく、樹脂化反応を阻害するおそれがない。さらに、発泡体原料を混合、吐出するときに既に液化炭酸ガスの気化が始まるため、液体状態から発泡する場合に比べて気泡が安定し、セル膜が形成され難く、樹脂化のための金属触媒の使用量を抑えることができる。この液化炭酸ガスをポリオール類100質量部当たり2.0〜5.0質量部という適正量使用することから、発泡を安定した状態で進行させることができ、得られる発泡体の通気性を高めることができる。
また、触媒として金属触媒を用い、その含有量がポリオール類100質量部当たり0.05〜0.15質量部であることから、発泡体の破裂や崩壊を抑制できると共に、セル膜の形成を抑えることができる。かつ、イソシアネート指数を90〜108に設定することで、発泡を円滑に進行させると共に、樹脂化を抑えて架橋密度を抑制することができる。
さらに、発泡体のブロックの元厚に対して圧縮率25〜65%となるように加熱、圧縮してブロックを塑性変形させ、上下方向に対する(65%圧縮時の硬さ)/(25%圧縮時の硬さ)の値を4.0〜7.0に形成する。このため、圧縮時における硬さが適切なものとなり、着座時におけるクッション性が改善される。従って、得られる発泡体の機械的物性を維持することができ、低硬度で底突き感、座屈感が少なく、着座感に優れると共に、通気性を向上させることができる。
請求項2の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法では、軟質ポリウレタン発泡体のブロックは、見掛け密度が16〜30kg/mであり、硬さが40〜70Nである。このため、請求項1に係る発明の効果に加えて、軟質ポリウレタン発泡体の柔軟性と軽量化を図ることができる。
請求項3の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法では、アミン触媒はゲル化触媒定数に対する泡化触媒定数の比が10×10−1〜40×10−1である。ゲル化触媒定数はポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化(ゲル化)反応の速度を決定する定数を表し、その値が大きくなると発泡体の架橋密度が高くなってセルの連通性が低下する。一方、泡化触媒定数はポリイソシアネート類と発泡剤としての水との泡化反応の速度を決定する定数を表し、その値が大きくなると発泡体のセルの連通性が高められる。従って、その比が上記範囲となるアミン触媒を用いることにより、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加え、発泡体の通気性を向上させることができる。
請求項4の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法では、上下方向に対して5%圧縮時の硬さが0.3〜3.0Nであることから、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加えて、圧縮時における柔軟性を向上させることができる。
請求項5の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法では、上下3分の1の両側表層部の見掛け密度が前記表層部間の中央部の見掛け密度に対して1.5〜4.0倍である。このため、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、表層部が中央部に比べて硬く形成され、底突き感や座屈感が改善され、座り心地を良くすることができる。
請求項6の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法では、軟質ポリウレタン発泡体は車両用クッション材であることから、車両用クッション材について請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果を発揮させることができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態における軟質ポリウレタン発泡体(以下、ポリウレタン発泡体又は単に発泡体ともいう)の製造方法では、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒、発泡剤及び補助発泡剤を含有する発泡体の原料を反応及び発泡させて発泡体のブロックを製造する。この場合、補助発泡剤として液化炭酸ガスを用い、その含有量がポリオール類100質量部当たり2.0〜5.0質量部であり、触媒として金属触媒を用い、その含有量がポリオール類100質量部当たり0.05〜0.15質量部である。かつ、前記原料中の活性水素基に対するポリイソシアネート類のイソシアネート基の当量比を百分率で表したイソシアネート指数が90〜108に設定される。ここで、軟質ポリウレタン発泡体は、軽量で、一般にセル(気泡)が連通する連続気泡構造を有し、柔軟性があり、かつ復元性を有するものをいう。
そして、得られる発泡体ブロックの側面を開放状態とし、ブロックの元厚に対して圧縮率25〜65%となるように、ブロックの上下面を160〜240℃の熱盤で1〜5分間圧縮してブロックを塑性変形させ、上下方向に対する(65%圧縮時の硬さ)/(25%圧縮時の硬さ)の値(以下、CI値ともいう)を4.0〜7.0に形成する。このような条件の下に製造される発泡体は、機械的物性に優れ、良好な通気性を発現でき、例えば車両用クッション材として使用したとき底突き感、座屈感が少なく、着座感に優れている。
次に、前記発泡体の原料について順に説明する。
ポリオール類としては、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールが用いられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、それらの変性体、グリセリンにアルキレンオキサイドを付加した化合物等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のポリオールと反応させることによって得られる縮合系ポリエステルポリオールのほか、ラクトン系ポリエステルポリオール及びポリカーボネート系ポリオールが挙げられる。このポリオール類は、原料成分の種類、分子量、縮合度等を調整することによって、水酸基の数や水酸基価を変えることができる。
ポリオール類の水酸基価は、50〜70(mgKOH/g)であることが好ましい。このような水酸基価を有するポリエーテルポリオールを用いることにより、ポリイソシアネート類との反応性に優れ、適度に架橋された軟質ポリウレタン発泡体を得ることができる。ポリオール類の水酸基価が70(mgKOH/g)を超える場合、架橋密度が高くなり過ぎて発泡体の通気性が低下すると共に、硬度が高くなりやすい。一方、水酸基価が50(mgKOH/g)未満の場合、水酸基価が小さくなり過ぎ、発泡体の架橋密度が低くなって発泡体の強度や硬度が低下する傾向を示す。
発泡体原料には架橋剤を配合することができる。架橋剤はポリイソシアネート類等と反応し、発泡体に架橋構造を形成するもので、例えば水酸基価が250〜650(mgKOH/g)で分子量が150〜500のポリオールが用いられる。係るポリオールとして具体的には、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。これらの架橋剤のうち、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルジオールが好ましい。ポリエーテルジオールを用いることにより、発泡体を形成する重合体の連鎖が直鎖状に延びる構造が形成され、発泡体の柔軟性を良好にすることができる。
架橋剤の水酸基価が250(mgKOH/g)未満の場合には、ポリイソシアネート類との架橋反応が不足し、発泡体の架橋密度が小さくなる。一方、650(mgKOH/g)を超える場合には、過度の架橋反応によって発泡体の架橋密度が大きくなり、通気性が低下する。また、架橋剤の分子量が150未満のときには発泡体が硬くなり過ぎて、触感を損ない、500を超えるときには発泡体が軟らかくなり過ぎる傾向を示す。架橋剤の含有量は、ポリオール類100質量部当たり1〜5質量部であることが好ましい。架橋剤の含有量が1質量部未満の場合には、発泡体に十分な架橋構造を形成することができず、発泡体の機械的強度が不足しやすくなる。一方、5質量部を超える場合には、発泡体の架橋構造が密になり過ぎて、通気性に欠ける傾向を示す。
次に、ポリオール類と反応させるポリイソシアネート類はイソシアネート基を複数有する化合物であって、具体的にはトリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が用いられる。
ポリイソシアネート類のイソシアネート指数(イソシアネートインデックス)は90〜108に設定される。ここで、イソシアネート指数は、ポリオール類の水酸基、架橋剤であるポリオールの水酸基及び発泡剤(水)等の活性水素基に対するポリイソシアネート類のイソシアネート基の当量比を百分率で表したものである。イソシアネート指数が100を超えるということは、イソシアネート基が活性水素基より過剰であることを意味する。イソシアネート指数が90未満の場合には、ポリオール類などに対するポリイソシアネート類の反応が不足し、発泡体の破裂、崩壊が起きやすくなると共に、得られる発泡体の架橋密度が低下し、発泡体が軟らかくなって機械的物性が不足する。その一方、イソシアネート指数が108を超える場合には、発泡体の架橋密度が高くなってセルの連通性が悪くなると共に、軟質ポリウレタン発泡体としての軟らかい感触が得られなくなる。
触媒はポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化反応(ウレタン化反応)を促進すると共に、ポリイソシアネート類と発泡剤としての水との泡化反応などを促進するためのものである。樹脂化反応を選択的に促進する触媒としては特に金属触媒が用いられ、泡化反応を促進するための触媒としては特にアミン触媒が用いられる。金属触媒として具体的には、オクチル酸スズ(スズオクトエート)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルジ酢酸スズ、ジ(2−エチルヘキシル)ジラウリン酸スズ、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズ等の有機スズ化合物やジ(2−エチルヘキサン酸)鉛等が挙げられる。これらのうち、オクチル酸スズが、ポリオール類としてポリエーテルポリオールを用いるワンショット法の場合に好ましい。アミン触媒として具体的には、N,N´,N´−トリメチルアミノエチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン等の第3級アミンが挙げられる。
アミン触媒としては、発泡体の通気性を高めるために、ゲル化触媒定数に対する泡化触媒定数の比(以下、触媒定数比ともいう)が10×10−1〜40×10−1である泡化触媒を用いることが好ましい。ここで、泡化触媒は、ポリイソシアネート類と発泡剤としての水との反応を促進し、炭酸ガスを発生する傾向の強い触媒を意味する。樹脂化触媒は、ポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化(ゲル化)反応を促進し、ウレタン結合を生成する傾向の強い触媒を意味する。
ゲル化触媒定数は、ポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化反応の速度を決定する定数であり、その値が大きくなると発泡体の架橋密度が高くなって発泡体の機械的物性が良好になる。具体的には、トリレンジイソシアネートとジエチレングリコールとのゲル化反応の反応定数が用いられる。一方、泡化触媒定数は、ポリイソシアネート類と水との泡化反応の速度を決定する定数であり、その値が大きくなると発泡体のセルの連通性が高められる。具体的には、トリレンジイソシアネートと水との泡化反応の反応定数が用いられる。そのため、触媒定数比は、それら2つの触媒定数のバランスを図るものである。触媒定数比が10×10−1を下回る場合には、泡化反応が不足してセルの連通性が悪くなる傾向を示す。その一方、触媒定数比が40×10−1を上回る場合には、樹脂化反応が不足して発泡体の硬さなどで表される機械的物性が低下する。
触媒定数比が上記範囲にあるアミン触媒として具体的には、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(触媒定数比=39.0×10−1)、N,N,N´,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(触媒定数比=37.3×10−1)、N,N,N´−トリメチルアミノエチルエタノールアミン(泡化触媒比=15.0×10−1)、ジメチルアミノエトキシエタノール(泡化触媒比=13.9×10−1)等が挙げられる。
前記金属触媒の含有量は、ポリオール類100質量部当たり0.05〜0.15質量部である。金属触媒の含有量が0.05質量部より少ない場合には、樹脂化反応の進行が不足し、発泡体が破裂、崩壊しやすく、得られる発泡体の架橋密度が低下して機械的物性が損なわれる。その一方、0.15質量部より多い場合には、樹脂化反応が過度に進行して発泡体の架橋密度が高く、セル膜が多くなり、セルの連通性が阻害されて通気性が悪化する。また、アミン触媒の含有量は、ポリオール類100質量部当たり0.2〜0.5質量部であることが好ましい。アミン触媒の含有量が0.2質量部より少ない場合には、泡化反応の進行が十分ではなく、得られる発泡体のセルの連通性が低下し、通気性が損なわれる傾向となる。その一方、0.5質量部より多い場合には、泡化反応の進行が過剰になり、発泡体の機械的物性が低下する。
発泡剤はポリウレタンを発泡させてポリウレタン発泡体とするためのものである。この発泡剤としては、水のほか酸アミド等が用いられる。これらの発泡剤のうち、泡化反応の反応性に優れ、取扱性の良好な水が最も好ましい。発泡剤の含有量は、通常より少なくして泡化反応(硬化反応)の進行を抑えるために、ポリオール類100質量部当たり2.0〜5.0質量部であることが好ましい。発泡剤の含有量が2.0質量部より少ない場合には泡化反応が不十分となり、発泡体にセルの十分な連通構造を形成することができなくなる。一方、発泡剤の含有量が5.0質量部より多い場合には、泡化反応が過剰となり、発泡体の架橋密度が低下して機械的強度が不足しやすい。
補助発泡剤は、ポリオール類とポリイソシアネート類とに対して非反応性の液化炭酸ガスであり、発泡体の通気性を良くし、硬度を下げるために用いられる。液化炭酸ガスは、塩化メチレン等の有機溶剤と異なり、発泡体を溶解しないため、樹脂化反応などの反応を阻害せず、反応を円滑に進行させる。そして、発泡体の強度低下や圧縮残留ひずみの悪化を引き起こすことが回避される。液化炭酸ガスを使用することにより、発泡体原料中で液化炭酸ガスが気化し、安定した泡が微細に分散して高粘度のソフトクリーム状に形成され、その状態から泡化反応が開始されるため、セル膜が形成され難いものと考えられる。従って、その状態から泡化反応により発生する炭酸ガスによって、セルが膨張し、セルの連通化が図られるものと推測される。さらに、補助発泡剤は、樹脂化反応、泡化反応などの反応に対して以下に示すような影響を及ぼす。
ポリイソシアネート類とポリオール類との反応による樹脂化反応(ウレタン結合の生成反応)は、次の反応式(1)に基づいて進行する。
−R−NCO+R′OH → −R−NH−CO−O−R′ ・・・(1)
また、ポリイソシアネート類と水との反応による泡化反応は次の反応式(2)に従って進行する。
−R−NCO+HO → −R−NH+CO ・・・(2)
さらに、反応式(2)で生成したアミン化合物(−R−NH)がポリイソシアネート類と反応し、ウレア(尿素)結合を生成する反応は、次の反応式(3)に従って進行する。
−R−NCO+−R−NH → −R−NH−CO−NH−R ・・・(3)
なお、ウレア結合がイソシアネート基と反応し、或いはウレタン結合がイソシアネート基と反応して架橋(硬化)が進行する。
補助発泡剤として液化炭酸ガスを使用すると、反応式(2)において炭酸ガス(CO)の濃度が高くなるため、反応の進行が抑制され、アミン化合物(−R−NH)の生成が抑えられる。そのため、反応式(3)において左辺の反応原料が少なくなって反応の進行が規制される。ウレア結合は、ウレタン結合に比べて水素結合による凝集力が強く、その存在により発泡体の硬度が高くなるが、ウレア結合の生成が規制されることで、発泡体の硬度を下げることができる。
補助発泡剤の含有量は、ポリオール類100質量部当たり2.0〜5.0質量部である。補助発泡剤の含有量が2.0質量部未満のときには補助発泡剤の効果が十分に発揮されず、発泡体のセルの連通化を図ることができなくなる。その一方、5.0質量部を超えるときには過剰な発泡により樹脂骨格の強度が不足し、発泡体の機械的強度が不足する結果を招く。液化炭酸ガスを発泡体原料に供給する場合には、例えばポリオール類に溶解させて供給される。その際には5〜7MPaの圧力及び−12〜−20℃の温度で炭酸ガスが液化状態を保持できる条件にて行われる。
整泡剤は、発泡剤によって行われる発泡を円滑に進行させるために必要に応じて用いられる。そのような整泡剤としては、軟質ポリウレタン発泡体を製造する際に通常使用されるものを用いることができる。整泡剤として具体的には、シリコーン化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリエーテルシロキサン、フェノール系化合物等が用いられる。この整泡剤の含有量は、ポリオール類100質量部当たり0.5〜3.0質量部であることが好ましい。この含有量が0.5質量部より少ない場合、発泡体原料の発泡時における整泡作用が十分に発現されず、良好な発泡体を得ることが難しくなる。一方、3.0質量部より多い場合、整泡作用が強く働き、セルの連通性が低下する傾向を示す。
発泡体原料には、前記各原料のほか、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、破泡剤(充填剤)等を常法に従って配合することができる。難燃剤としては、ハロゲン化リン酸エステル、縮合リン酸エステル等が用いられる。破泡剤としては、珪藻土、珪酸ジルコニウム、シリカ等が用いられる。
次に、前記ポリオール類とポリイソシアネート類との反応は常法に従って行われるが、ワンショット法又はプレポリマー法が採用される。ワンショット法は、ポリオール類とポリイソシアネート類とを直接反応させる方法である。プレポリマー法は、ポリオール類とポリイソシアネート類との各一部を事前に反応させて末端にイソシアネート基又は水酸基を有するプレポリマーを得、それにポリオール類又はポリイソシアネート類を反応させる方法である。ワンショット法はプレポリマー法に比べて製造工程が一工程で済み、製造条件の制約も少ないことから好ましい方法であり、製造コストを低減させることができる。
軟質ポリウレタン発泡体としては、スラブ発泡法により得られる軟質スラブポリウレタン発泡体が好ましい。スラブ発泡法は、上記ワンショット法により混合攪拌された反応原料(反応混合液)をベルトコンベア上に吐出し、該ベルトコンベアが移動する間に反応原料が常温、大気圧下で自然発泡し、硬化することで得られる。その後、乾燥炉内で硬化(キュア)し、所定形状に裁断される。その他、モールド成形法、現場施工スプレー成形法等によって軟質ポリウレタン発泡体を得ることもできる。
このようにして得られる発泡体のブロックは、例えば見掛け密度が14〜42kg/m、好ましくは16〜30kg/m、硬さが30〜85N、好ましくは40〜70N及び圧縮残留ひずみが1.0〜2.2%であり、良好な機械的物性を有している。さらに、通気量が例えば155〜215ml/cm/secであって、高い通気性を有している。ここで、見掛け密度はJIS K 7222:1999に準拠して測定される値であり、硬さはJIS K 6400−2:2004に準拠して測定される値であり、圧縮残留ひずみはJIS K 6400−4:2004に準拠して測定される値である。また、通気量は、JIS K 6400−7:2004に準拠して測定される値である。
次に、以上のようにして得られる発泡体ブロックの圧縮による塑性変形に関し、車両用クッション材(以下、単にクッション材ともいう)の場合について説明する。
図1に示すように、車両用シートクッション10は、モールドクッション11と、該モールドクッション11の座部12の表面に積層された車両用クッション材13とより構成されている。モールドクッション11は、公知の発泡成形型を用いるモールド成形によって車両用シート形状に発泡成形されたポリウレタン発泡体等からなり、図示の例では、座部12の両側部が高く形成され、着座者のホールド性を高める形状を有している。このモールドクッション11は、見掛け密度を35〜65kg/m、硬さを140〜300N(25%圧縮硬さ、圧盤直径200mm)にしたものが、着座感を良好にするために好ましい。
車両用クッション材13は、CI値が4.0〜7.0であると共に、厚さ方向(製造時及び使用時の上下方向)に対して3分の1の両側表層部分の見掛け密度が、該表層部分間の中央部分の見掛け密度に対して1.5〜4倍のものである。また、厚さ方向(製造時及び使用時の上下方向)に対して5%圧縮時の硬度、すなわち初期硬度が、0.3〜3.0Nであって、厚さが8〜20mmのものである。クッション材13の製造は、図2(a)、(b)及び(c)に示すように、平板に切り出した発泡体ブロック14を用いる。そして、発泡体ブロック14の側面15を解放状態とし、発泡体ブロック14の元厚tに対して圧縮率25〜65%の範囲となるように、発泡体ブロック14の上下面のみを、加熱温度160〜240℃の熱盤16、17で1〜5分間圧縮する。
この圧縮で厚さdにすることにより、発泡体ブロック14を塑性変形させ、CI値が4.0〜7.0となるようにする。次いで、前記熱盤16、17による所定時間の熱プレス後に熱盤16、17間を開けて成形品を取り出すことにより車両用クッション材13が得られる。上記CI値が4.0未満の場合には、クッション材13が柔らかくなり過ぎて、着座したときの沈み込みが大きく、満足な着座感が得られない。一方、CI値が7.0を超える場合には、クッション材13が過度に硬くなり、着座したときのソフト感に欠け、底突き感が強くなる。なお、前記元厚tと、元厚tに対して圧縮率X(%)での圧縮後の厚さdとの関係は、{(t−d)/t}×100=X(%)で表される。ここで、Xの値は25〜65(%)である。
発泡体ブロック14を構成する軟質スラブポリウレタン発泡体は、オープン発泡により連続的に発泡成形されたもので、製造が容易で低コストで済むため好適である。特に、見掛け密度14〜60kg/m、硬さ30〜100N、より好ましくは見掛け密度16〜30kg/m、硬さ40〜70Nの軟質スラブポリウレタン発泡体は、クッション材13がクッション性の良好なものになるのみならず、軽量性にも優れ、しかも入手も容易なため、好ましいものである。軟質スラブポリウレタン発泡体の見掛け密度が14kg/m、硬さが30Nよりも低いものは、質量感が乏しく、しかも硬さが低すぎて適していない。さらに、軟質スラブポリウレタン発泡体の見掛け密度が14kg/m未満のものは、熱盤16、17によるプレス時に発熱温度が高くなりすぎて好ましくなく、クッション材13の量産に適さない。それに対して、見掛け密度が60kg/m、硬さが100Nより高いものは、得られるクッション材13が硬くなりすぎて着座感が損なわれるという欠点がある。また、発泡体ブロック14は、軟質スラブポリウレタン発泡体の発泡方向に対して直交方向に沿って、通常は上下方向の発泡方向に対して直交する水平方向に沿って裁断され、裁断面が熱盤16、17でプレスされるのが好ましい。
発泡体ブロック14の圧縮率が25%未満の場合、すなわち圧縮程度が少ない場合、得られるクッション材13は、表裏面(上下面)の高密度層が薄くなって中央部(コア)の低密度層が厚いまま残されるため、底突き感が避けられない。その一方、発泡体ブロック14の圧縮率が65%を超える場合、すなわち圧縮程度が大きい場合、得られるクッション材13は、表裏面(上下面)の高密度層が厚くなると共に中央部(コア)の低密度層が薄く或いは殆ど存在しなくなるため、着座時のソフト感が無くなり、クッション性に乏しくなる。
発泡体ブロック14に対する熱盤16、17の加熱温度は160〜240℃、加熱圧縮時間は1〜5分が好ましい。加熱温度が160℃未満の場合には、発泡体ブロック14を完全に塑性変形させるのが難しく、得られるクッション材13の長期使用によって、クッション材13が形状復元し、それ以降は良好な着座感が得られなくなるおそれがある。それに対し、加熱温度が240℃を超える場合には、発泡体ブロック14の表面に焼けや劣化を生じ、得られるクッション材13の品質が損なわれるようになる。また、加熱時間が1分未満の場合には、発泡体ブロック14の塑性変形が難しく、クッション材13の長期使用によって復元し易くなる。一方、加熱時間が5分を超える場合には、発泡体ブロック14の表面に焼けや劣化を生じ、得られるクッション材13の品質が損なわれるようになる。
発泡体ブロック14の圧縮は、図2(a)、(b)に示すような加熱プレス装置18で行うことができる。加熱プレス装置18は、受け側の熱盤17と押し側の熱盤16とに水蒸気等の熱媒用配管を設け、熱媒で加熱された熱盤17と熱盤16とで発泡体ブロック14の上下面を圧縮できるようにし、圧縮時に発泡体ブロック14の周囲の側面15については解放状態として規制しないものを用いることができる。このような塑性変形により、図2(c)に示すようなクッション材13が製造される。
このようにして得られるクッション材13は、熱盤16、17で押圧される表裏面(上下面)付近のセル(気泡)が上下に潰れた扁平形状又は略球形状からなって見掛け密度が高いのに対して、中央部分(コア)のセルが、軟質スラブポリウレタン発泡体の発泡方向である上下方向に細長い形状となって圧縮が少なく、見掛け密度が低くなる。係るセル構造からなるクッション材13は、熱盤16、17による圧縮時における上下方向に対して上下3分の1の両側表層部分の見掛け密度が、これら表層部分間の中央部分の見掛け密度に対して1.5〜4倍であると共に、上下方向に対して5%圧縮時の硬度、すなわち初期硬度が、0.3〜3.0Nとなる。そして、クッション材13は、CI値が4.0〜7.0であり、図1に示したモールドクッション11の座部12の表面に、所要形状に裁断されて積層されることにより、底突き感が小さい、或いは底突き感がない、良好な着座感が得られる。前記両側表層部分の見掛け密度が中央部分の見掛け密度に対して1.5〜4倍の範囲外又は初期硬度が0.3〜3.0Nの範囲外である場合には、上記の各効果が得られなくなる。
さて、本実施形態の作用について説明すると、発泡体ブロック14を製造するときには、発泡体原料をスラブ発泡法により反応させ、発泡させると共に、硬化させることによって行なわれる。この製造過程において、液化炭酸ガスは発泡体を溶解しないため、樹脂化反応が円滑に進行する。しかも、液化炭酸ガスは発泡体原料を混合、吐出するときに気化し、原料中に微細な気泡が安定して分散形成され、セル膜が形成され難くなる。加えて、液化炭酸ガスの含有量がポリオール類100質量部当たり2.0〜5.0質量部という適正量に設定されているため、発泡が安定した状態で進行し、発泡体のセルの連通性が高められる。
また、金属触媒の含有量がポリオール類100質量部当たり0.05〜0.15質量部という少量に設定されているため、樹脂化反応が抑制され、発泡体の破裂や崩壊が抑えられ、セル膜の形成が抑制される。さらに、イソシアネート指数が90〜108に設定されているため、発泡が円滑に行われると同時に、樹脂化が抑えられて発泡体の架橋密度が抑制される。これらの作用が相俟って得られる発泡体の通気性と機械的物性とがバランス良く発現される。
次いで、得られた発泡体ブロック14の側面15を開放状態とし、発泡体ブロック14の元厚tに対して圧縮率25〜65%となるように、発泡体ブロック14の上下面を160〜240℃の熱盤で1〜5分間圧縮して発泡体ブロック14を塑性変形させる。このとき、CI値が4.0〜7.0に形成される。このため、圧縮時における硬さが適正範囲となり、着座時におけるクッション性が改善される。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法においては、補助発泡剤として液化炭酸ガスを所定量用いることから、得られる発泡体の通気性を高めることができる。また、触媒として金属触媒を所定量用いることから、発泡体の破裂や崩壊を抑制できると共に、セル膜の形成を抑えることができる。かつ、イソシアネート指数を90〜108に設定することで、発泡を円滑に進行させ、樹脂化を抑えて架橋密度を抑制することができる。さらに、発泡体ブロック14の元厚tに対して圧縮率25〜65%となるように加熱、圧縮して発泡体ブロック14を塑性変形させ、CI値を4.0〜7.0に形成するため、圧縮時における硬さが適切なものとなり、着座時におけるクッション性が改善される。従って、得られる発泡体の機械的物性を維持することができ、低硬度で底突き感、座屈感が少なく、着座感に優れると共に、通気性を向上させることができる。その結果、この発泡体に着座したとき、ムレ、不快感などの発生を抑制することができる。よって、係る軟質ポリウレタン発泡体をクッション材をはじめ、吸音材、制振材などとして好適に使用することができる。
・ また、発泡体ブロック14は、見掛け密度が16〜30kg/mであり、硬さが40〜70Nである。このため、発泡体の柔軟性と軽量化を図ることができる。
・ 前記アミン触媒はゲル化触媒定数に対する泡化触媒定数の比が10×10−1〜40×10−1であることから、発泡体の通気性を向上させることができる。
・ さらに、上下方向に対して5%圧縮時の硬さが0.3〜3.0Nであることから、圧縮時における柔軟性を向上させることができる。
・ また、上下3分の1の両側表層部の見掛け密度が前記表層部間の中央部の見掛け密度に対して1.5〜4.0倍であるため、表層部が中央部に比べて硬く形成され、底突き感や座屈感が改善され、座り心地を良くすることができる。
・ 加えて、軟質ポリウレタン発泡体は車両用クッション材13であることにより、車両用クッション材13において上記の効果を有効に発揮させることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜7及び比較例1〜11)
ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤、補助発泡剤、整泡剤及び触媒を含有する軟質ポリウレタン発泡体の原料を、表1、表2及び表3に示す組成にて調製した。そして、軟質ポリウレタン発泡体の原料を常温で混合し、常法に従って反応及び発泡(スラブ発泡)させることにより軟質ポリウレタン発泡体を製造した。なお、液化炭酸ガスは、6MPaの圧力及び−12℃以下の温度で液化状態を保持し、ポリエーテルポリオールに溶解させて供給した。
ここで、比較例1では、補助発泡剤としての液化炭酸ガスを使用せず、かつ金属触媒の含有量が過剰である例を示す。比較例2では、金属触媒の含有量が過剰で、しかも発泡体の圧縮を行わなかった例を示す。比較例3では、比較例1の発泡体に除膜処理を施した例を示す。比較例4では金属触媒の含有量が過少である例を示し、比較例5ではイソシアネート指数が過小であると共に、金属触媒の含有量が過剰である例を示す。比較例6では、液化炭酸ガスの含有量が過剰である例を示す。比較例7〜9では、イソシアネート指数が過大で、かつ金属触媒の含有量が過剰であり、しかも加熱温度を変更した例を示す。比較例10では、イソシアネート指数が過大で、金属触媒の含有量が過剰であり、かつ圧縮率が過大である例を示す。比較例11では、イソシアネート指数が過大である例を示す。
表1、表2及び表3における略号の意味を以下に示す。また、各成分の含有量は、ポリオール類100質量部に対する質量部を表す。
ポリエーテルポリオール:グリセリンにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを付加重合したポリオール、官能基数3のポリエーテルポリオール、水酸基価56.1mgKOH/g、分子量3000
トリレンジイソシアネート:2,4-トリレンジイソシアネート80質量%と2,6-トリレンジイソシアネート20質量%の混合物、日本ポリウレタン工業(株)製、T−80
整泡剤B8050:ジメチルシリコーン、デグサ(株)製、B8050
整泡剤L−580:ジメチルシリコーンに界面活性剤を配合したもの、東レ・ダウコーニング(株)製、L−580
アミン触媒1:ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、泡化触媒定数/ゲル化触媒定数=39.0×10−1、GE東芝シリコーン(株)製、Niax A-1
アミン触媒2:N,N,N´,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、泡化触媒定数/ゲル化触媒定数=37.3×10−1、花王(株)製、KAO-3
アミン触媒3:N,N,N´−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、泡化触媒定数/ゲル化触媒定数=15.0×10−1、東ソー(株)製、RX5
アミン触媒4:トリエチレンジアミン、泡化触媒定数/ゲル化触媒定数=3.8×10−1、花王(株)製、KAO-10
アミン触媒5:トリエチレンジアミンとプロピレングリコールとの質量比が1:2の混合物、泡化触媒定数/ゲル化触媒定数=1.3×10−1、中京油脂(株)製、LV33
金属触媒:オクチル酸第1スズ、城北化学(株)製、MRH110
得られた軟質ポリウレタン発泡体について、見掛け密度、硬さ、圧縮残留ひずみ、通気量及び発泡挙動を下記に示す方法で測定した。硬さ、圧縮残留ひずみ及び通気量に関しては、圧縮前及び圧縮後について測定した。それらの結果を表1、表2及び表3に併せて記載した。
見掛け密度(kg/m):JIS K 7222:1999に準拠して測定した。
硬さ(N):JIS K 6400−2:2004に準拠して測定した。
圧縮残留ひずみ(%):JIS K 6400−4:2004に準拠して測定した。
通気量(ml/cm/sec):JIS K 6400−7:2004に準拠して測定した。
クッション性:発泡体上に着座したとき又は手で触れたときの触感によって評価した。
発泡挙動:発泡体原料の発泡時における状態(挙動)を目視により観察した。そして、破裂(パンク)、崩壊などがなく、発泡が円滑に行われた場合を良好とした。
Figure 2008138052
表1に示した結果より、実施例1〜7の軟質ポリウレタン発泡体においては、補助発泡剤として液化炭酸ガス及び金属触媒を所定量用いると共に、イソシアネート指数を所定範囲に設定したことから、発泡状態は良好で、得られた発泡体は硬さ、圧縮残留ひずみが良好で、十分な通気量を示した。また、圧縮後の物性も良好に維持された。従って、係る発泡体はクッション性が良く、底突き感、座屈感が少なく、着座感に優れるものであった。
Figure 2008138052
これに対して、表2に示したように、比較例1では、液化炭酸ガスを使用せず、かつ金属触媒の含有量が過剰であったため、セル膜が過度に形成され、通気性が不足した。比較例2では、特に発泡体の圧縮による塑性変形を行わなかったため、通気性は良好であったが、クッション性が不良であった。比較例3では、比較例1の発泡体に除膜処理を施したため、通気性及びクッション性は良好であるが、除膜処理により加熱されて発泡体が損傷を受け、圧縮後の圧縮残留ひずみが極端に悪化し、クッション材として使用できないものであった。
比較例4では金属触媒の含有量が過少であったため、発泡体の樹脂強度が不足し、発泡体が破裂する結果を招いた。比較例5ではイソシアネート指数が過小で、かつ金属触媒の含有量が過剰であったため、架橋が不十分で、発泡体が破裂に到った。比較例6では、液化炭酸ガスの含有量が過剰であったため、発泡体が硬化する前に炭酸ガスの気化が進行し、発泡体が崩壊する結果となった。
Figure 2008138052
表3に示したように、比較例7〜9では、イソシアネート指数が過大で、かつ金属触媒の含有量が過剰であったため、樹脂化反応や架橋反応が過度に進行し、発泡体の通気性等の物性が悪化したり、成形ができなくなったりする結果に到った。比較例10では、イソシアネート指数が過大で、金属触媒の含有量が過剰であり、かつ圧縮率を過大にした結果、発泡体のクッション性が損なわれた。比較例11では、イソシアネート指数が過大であったことから、架橋が過度なものとなり、通気性が不足し、クッション性も低下した。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 5%圧縮時の硬さに代え、車両用クッション材13に加わる荷重に応じて、圧縮率の基準を変えて例えば10%等の圧縮時における好ましい硬さを設定することも可能である。
・ 触媒として、前記触媒定数比の異なるアミン触媒を複数組合せて使用し、泡化反応を調整することもできる。
・ 触媒として、前記触媒定数比が10×10−1〜40×10−1の範囲外の触媒、例えばトリエチルアミン等を併用することもできる。
・ 実施例1〜7において、発泡体原料には、ポリエチレングリコール等の架橋剤を配合し、得られる軟質ポリウレタン発泡体の架橋密度を調整するように構成することもできる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記軟質ポリウレタン発泡体は、JIS K 6400−7:2004に準拠して測定される通気量が150〜220ml/cm/secであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。この場合、請求項1から請求項6のいずれかに係る発明の効果に加え、発泡体は低密度で、高い通気性を発揮することができる。
・ 前記軟質ポリウレタン発泡体は、スラブ発泡法により得られるものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。この場合、請求項1から請求項6のいずれかに係る発明の効果に加え、通気性の高い連続気泡構造を有する軟質ポリウレタン発泡体を容易に得ることができる。
・ 前記ポリオール類は、ポリエーテルポリオールであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。この場合、請求項1から請求項6のいずれかに係る発明の効果に加え、良好な通気性を有する発泡体を容易に製造することができる。
・ 前記発泡剤は水であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。この場合、請求項1から請求項6のいずれかに係る発明の効果に加え、発泡剤の取扱性が良好で、泡化反応を速やかに進行させることができる。
実施形態における車両用クッションの概略を示す断面図。 (a)は発泡体ブロックを加熱プレス装置で圧縮する前の状態を示す断面図、(b)は圧縮後の状態を示す断面図及び(c)は車両用クッション材を示す断面図。
符号の説明
13…車両用クッション材。

Claims (6)

  1. ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒、発泡剤及び補助発泡剤を含有する軟質ポリウレタン発泡体の原料を反応及び発泡させて軟質ポリウレタン発泡体のブロックを製造するに際し、前記補助発泡剤として液化炭酸ガスを用い、その含有量がポリオール類100質量部当たり2.0〜5.0質量部であり、触媒として金属触媒を用い、その含有量がポリオール類100質量部当たり0.05〜0.15質量部であり、かつ前記原料中の活性水素基に対するポリイソシアネート類のイソシアネート基の当量比を百分率で表したイソシアネート指数が90〜108であると共に、
    前記ブロックの側面を開放状態とし、ブロックの元厚に対して圧縮率25〜65%となるように、ブロックの上下面を160〜240℃の熱盤で1〜5分間圧縮してブロックを塑性変形させ、上下方向に対する(65%圧縮時の硬さ)/(25%圧縮時の硬さ)の値を4.0〜7.0に形成することを特徴とする軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。
  2. 前記軟質ポリウレタン発泡体のブロックは、見掛け密度が16〜30kg/mであり、硬さが40〜70Nであることを特徴とする請求項1に記載の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。
  3. 前記触媒としてアミン触媒を用い、該アミン触媒はゲル化触媒定数に対する泡化触媒定数の比が10×10−1〜40×10−1である泡化触媒であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。
  4. 前記上下方向に対して5%圧縮時の硬さが0.3〜3.0Nであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。
  5. 上下3分の1の両側表層部の見掛け密度が前記表層部間の中央部の見掛け密度に対して1.5〜4.0倍であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。
  6. 前記軟質ポリウレタン発泡体は、車両用クッション材であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタン発泡体の製造方法。
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