JP2009084343A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、エポキシ樹脂組成物に関する。更に詳しくは、硬化前の流動性に優れ、硬化速度が良好であり、硬化後の耐熱性及び密着性に優れるエポキシ樹脂組成物に関する。
近年、カメラ一体型VTRや携帯電話機などの小型電子機器は更なる小型化が求められている。このような要求に伴い、小型電子機器に使用されるパッケージの小型化が求められている。このような要求に対して、最近では、パッケージとこのパッケージが実装される配線基板、例えば、プリント配線基板とを接続する方法として、ワイヤーボンディング方式ではなく、半田などを材料とするバンプを用いたフリップチップ方式が採用されている。
また、パッケージはチップが実装されるものであるが、チップの実装に際し、チップとパッケージとを接続する方法として、ワイヤーボンディング方式ではなく、半田などを材料とするバンプを用いたフリップチップ方式が採用されている。
このフリップチップ方式によると、ワイヤーボンディング方式に比べてパッケージを小型化することができる。しかし、パッケージと配線基板との間、またはチップとパッケージ、具体的には、チップが実装されるキャリア基板との間で、これらの熱膨張係数がそれぞれ異なることに起因して熱ストレスが生じると、例えば、半田バンプにクラックが発生するなどの問題があった。このような問題を解決するため、パッケージと配線基板との隙間、及びチップとキャリア基板の隙間に、アンダーフィル材を注入して熱ストレスによる応力を緩和することが行われている。アンダーフィル材としては、例えば、エポキシ樹脂と硬化剤とを含有する樹脂組成物が報告されている(例えば、特許文献1〜3)。
しかしながら、特許文献1〜3に記載の組成物は、硬化前の流動性が悪く、硬化速度が遅いことに加え、硬化後の耐熱性及び密着性が十分ではなかった。
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、硬化前の流動性に優れ、硬化速度が良好であり、硬化後の耐熱性及び密着性に優れるエポキシ樹脂組成物を提供するものである。
本発明により、以下のエポキシ樹脂組成物が提供される。
[1] (A)エポキシ樹脂と、(B)下記一般式(1)で表される化合物と、を含有するエポキシ樹脂組成物。
[2] 25℃におけるBH型粘度計による粘度が、1.0〜200.0Pa・sである前記[1]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[3] アンダーフィル材である前記[1]または[2]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[4] (A)エポキシ樹脂と、(b−1)下記一般式(2)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物を縮合させて得られる化合物と、を含有するエポキシ樹脂組成物。
[5] 前記一般式(3)のR30が、プロピレン基である前記[4]に記載のエポキシ樹脂組成物。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、一般式(1)で表される化合物を用いることによって、硬化前の流動性に優れ、硬化速度が良好であり、硬化後の耐熱性及び密着性に優れるという効果を奏するものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良などが加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
[1]エポキシ樹脂組成物:
本発明のエポキシ樹脂組成物の一実施形態は、(A)エポキシ樹脂と、(B)下記一般式(1)で表される化合物(以下、「(B)化合物」と記す場合がある)と、を含有するものである。なお、一般式(1)中の太線は、各原子の立体配置を意味するものではなく、各原子の結合関係を明確にするために用いているものである。
本発明のエポキシ樹脂組成物の一実施形態は、(A)エポキシ樹脂と、(B)下記一般式(1)で表される化合物(以下、「(B)化合物」と記す場合がある)と、を含有するものである。なお、一般式(1)中の太線は、各原子の立体配置を意味するものではなく、各原子の結合関係を明確にするために用いているものである。
このように、本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、硬化剤として一般式(1)で表される化合物を含有するため、硬化前の流動性に優れ、硬化速度が良好であり、硬化後の耐熱性及び密着性に優れるものである。
特に、本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、アンダーフィル材として好適に用いることができる。アンダーフィル材は、パッケージと配線基板との隙間、またはチップと配線基板との隙間に注入して使用されるものであるため、隙間に良好に浸入することができる程度の流動性を有することが必要であり、隙間に注入された後には低温で硬化が可能であること及び短時間で硬化が可能であることが必要であり、硬化後は、チップなどに起因する熱に対して耐熱性を有するものである必要があり、更に、パッケージと配線基板、またはチップと配線基板との密着性に優れることが必要であり、熱的応力、物理的応力を受けた場合であってもバンプによる接続が良好に維持される(即ち、接続信頼性が優れる)ことが必要であり、電気絶縁性を有することが必要であるためである。
[2](A)エポキシ樹脂:
本実施形態のエポキシ樹脂組成物に含有される(A)エポキシ樹脂は、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する構造のものである。このような(A)エポキシ樹脂としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などを挙げることができる。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラックとエピクロルヒドリンとの反応で得られるポリグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシド、アリサイクリックジエポキシ−アジペイド、1、6−ビス(2、3−エポキシプロポキシ)ナフタレンなどを挙げることができる。なお、これらのエポキシ樹脂は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物に含有される(A)エポキシ樹脂は、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する構造のものである。このような(A)エポキシ樹脂としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などを挙げることができる。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラックとエピクロルヒドリンとの反応で得られるポリグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシド、アリサイクリックジエポキシ−アジペイド、1、6−ビス(2、3−エポキシプロポキシ)ナフタレンなどを挙げることができる。なお、これらのエポキシ樹脂は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物に含有される(A)エポキシ樹脂は、従来公知の一般的なエポキシ樹脂を使用することができる。例えば、多官能性エポキシ樹脂に、希釈剤(「架橋密度調節剤」と呼ばれることもある)として単官能エポキシ樹脂を、この単官能エポキシ樹脂が全エポキシ樹脂に対して、0〜30質量%の範囲(好ましくは0〜20質量%の範囲)で含まれるように加えて得られるものを挙げることができる。(A)エポキシ樹脂は、希釈剤の量を調整することによって、任意の粘度に調節することができる。単官能エポキシ樹脂としては、例えば、炭素数6〜28のアルキル基を有するものが好ましい。炭素数6〜28のアルキル基を有するものとしては、例えば、炭素数6〜28のアルキルグリシジルエーテル、炭素数6〜28の脂肪酸グリシジルエーテル、炭素数6〜28アルキルフェノールグリシジルエーテルなどを挙げることができる。これらの中でも、炭素数6〜28のアルキルグリシジルエーテルが好ましい。なお、これらは一種単独でまたは2種以上を混合して用いても良い。
[3](B)一般式(1)で表される化合物:
本実施形態のエポキシ樹脂組成物に含有される(B)一般式(1)で表される化合物は、1置換または非置換のレゾルシノール環を複数有する化合物である。このようなレゾルシノール環を複数有する化合物は、分子中に存在する水酸基が容易に化学修飾を受ける(即ち、分子中に存在する水酸基が容易に(A)エポキシ樹脂と反応する)ため、硬化速度が良好であるエポキシ樹脂組成物の材料として好適である。(B)一般式(1)で表される化合物は、(A)エポキシ樹脂に溶解して低粘度化するため、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化前の流動性が優れる。また、(B)一般式(1)で表される化合物が、芳香環を多数有し、結晶性が高いため、硬化後の耐熱性が優れる。更に、分子中に水酸基を多数有するため、硬化後のエポキシ樹脂組成物は、チップ、パッケージ、基板などに対する密着性が優れる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物に含有される(B)一般式(1)で表される化合物は、1置換または非置換のレゾルシノール環を複数有する化合物である。このようなレゾルシノール環を複数有する化合物は、分子中に存在する水酸基が容易に化学修飾を受ける(即ち、分子中に存在する水酸基が容易に(A)エポキシ樹脂と反応する)ため、硬化速度が良好であるエポキシ樹脂組成物の材料として好適である。(B)一般式(1)で表される化合物は、(A)エポキシ樹脂に溶解して低粘度化するため、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化前の流動性が優れる。また、(B)一般式(1)で表される化合物が、芳香環を多数有し、結晶性が高いため、硬化後の耐熱性が優れる。更に、分子中に水酸基を多数有するため、硬化後のエポキシ樹脂組成物は、チップ、パッケージ、基板などに対する密着性が優れる。
一般式(1)で表される化合物の中でも、下記一般式(1−1)で表される化合物が好ましい。一般式(1−1)で表される化合物は、一般式(2)で表される化合物に由来する水酸基が置換されずに存在している。即ち、一般式(1)中の各Z1〜Z24が全て水素原子である。このような一般式(1−1)で表される化合物は、エポキシ樹脂と更に良好に反応して短時間で硬化物を形成することができることに加え、形成した硬化物の硬化収縮率が小さく耐熱性に非常に優れる。
一般式(1)中の各X1〜X12は、相互に独立に炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、または置換若しくは非置換のフェノキシ基である。ここで、各X1〜X12は、同一であっても各々異なっていてもよく、目的に応じて種々選択することができる。これらの中でも、各X1〜X12が炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基であると、溶解性が向上するという利点がある。
また、一般式(1)中のqは、0であることが好ましい。ここで、qが0である場合とは、レゾルシノール環が非置換であること、即ち、水素が結合していることをいう。一般式(1)中のqが0であると、(A)エポキシ樹脂との反応性に優れるという利点がある。
一般式(1)中の各R1〜R6は、相互に独立に炭素数1〜8の置換または非置換のアルキレン基である。これらの中でも、炭素数3、5、7若しくは8のアルキレン基、またはこれらを基本骨格とする置換のアルキレン基である場合、耐熱性に優れ、炭素数3である場合、特に耐熱性に優れるという利点がある。
一般式(1)中の各Z1〜Z24は、相互に独立に、水素原子、重合性官能基を有する基、アルカリ可溶性基を有する基、または、炭素数1〜8の置換アルキル基であるか、隣り合う2つのZが結合して形成した炭素数1〜8の置換若しくは非置換アルキレン基である(但し、Z1〜Z24のうちの少なくとも2つは、水素原子である)。これらの中でも、Z1〜Z24の全てが水素原子であることが好ましい。Z1〜Z24の全てが水素原子であると、(A)エポキシ樹脂との反応性に優れるという利点がある。
重合性官能基としては、例えば、重合性不飽和構造を有する基、環状エーテル構造を有する基等が挙げられる。具体的には、ビニル基、ビニリデン基、アクリロイル基、メタクリロイル基、置換若しくは非置換のグリシジル基、置換若しくは非置換のオキセタニル基、置換若しくは非置換のスピロオルトエステル基等が挙げられる。
アルカリ可溶性基としては、例えば、カルボキシル基、アミノ基、スルホンアミド基、スルホン酸基及びリン酸基等が挙げられる。
炭素数1〜8の置換アルキル基は、その置換基をアルキル鎖の先端に配置すると、アルキル鎖をスペーサーとすることができるため、官能基の自由度が向上する。そのため、反応性をコントロールすることができる(即ち、硬化速度を調節することができる)という利点がある。
(B)化合物の使用量は、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、5〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることが更に好ましく、5〜15質量部であることが特に好ましい。上記使用量が5質量部未満であると、硬化密度が低くなり耐熱性が不足するおそれがある。一方、50質量部超であると、水酸基が過剰に存在することになるため吸湿性が高くなり、密着性が低下するおそれがある。
(B)化合物は、例えば、下記一般式(2)で表される化合物と下記一般式(3)で表される化合物とを縮合させることにより製造することができる。このようにして製造される化合物((b−1)化合物)は、硬化速度が良好であり、硬化後の耐熱性及び密着性に優れるエポキシ樹脂組成物の原料として好適に用いることができる。なお、(b−1)化合物は、一般式(2)で表される化合物に由来する水酸基が置換されずに存在しているものである。
一般式(2)で表される化合物は、1置換または非置換のジヒドロキシベンゼンであり、一般式(2)におけるX81及びq81は、一般式(1)におけるX1〜X12及びq1〜q12に各々対応する。一般式(2)で表される化合物としては、例えば、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、2−ブチルレゾルシノールなどを挙げることができる。これらの化合物は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、レゾルシノール及び2−メチルレゾルシノールが好ましい。
2−メチルレゾルシノールであると、即ち、X81がメチル基であり、q81が1であると、(B)化合物を高収率で製造することができる。また、レゾルシノールであると、即ち、q81が0であると、(B)化合物を更に高収率で製造することができる。
一般式(3)で表される化合物は、ジアルデヒド系の化合物であり、一般式(3)におけるR30は、一般式(1)におけるR1〜R6に対応する。一般式(3)で表される化合物としては、例えば、1,5−ペンタンジアール、1,7−ヘプタンジアール、1,9−ノナンジアール、1,10−デカンジアールなどを挙げることができる。これらの化合物は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
一般式(3)においてR30が炭素数3、5、7若しくは8のアルキレン基、またはこれらを基本骨格とする置換のアルキレン基である化合物は、(B)化合物を高収率で製造することができる。更に、一般式(3)においてR30が炭素数3の直鎖のアルキレン基(プロピレン基)である化合物は、(B)化合物を更に高収率で製造することができる。
(B)化合物の製造に際し、一般式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」と記す場合がある)と、一般式(3)で表される化合物(以下、化合物(3)と記す場合がある)との配合比(化合物(2):化合物(3))(モル比)は、特に制限はないが、(B)化合物を高収率で製造することができるという観点から、5:100〜85:100であることが好ましく、7.5:100〜60:100であることが更に好ましく、10:100〜30:100であることが特に好ましい。化合物(3)100モルに対して化合物(2)が5モル未満であると、(B)化合物の収率が低くなるおそれがある。一方、化合物(3)100モルに対して化合物(2)が85モル超であると、(B)化合物の収率が低くなるおそれがある。
反応溶液中の、化合物(2)と化合物(3)との合計の濃度は、特に制限はないが、(B)化合物を高収率で製造することができるという観点から、2モル/L以上であることが好ましく、4モル/L以上であることが更に好ましく、4〜10モル/Lであることが特に好ましい。上記合計の濃度が、2モル/L未満であると、(B)化合物の収率が低下するおそれがある。
化合物(2)と化合物(3)との縮合は、例えば、これらの化合物を溶媒中、酸触媒などの触媒の存在下で行うことができる。このように化合物(2)と化合物(3)とを脱水縮合させることによって、逐次的に反応が進み、最終的に(B)化合物を得ることができる。
また、(B)化合物は、一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物とを縮合させて縮合化合物((b−1)化合物)を得た後、得られた縮合化合物の水酸基に、重合性官能基を有する化合物、アルカリ可溶性基を有する化合物、及び、炭素数1〜8の置換アルキル基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を反応させることによって製造することもできる。このようにして、Z1〜Z24が相互に独立に、重合性官能基を有する基、アルカリ可溶性基を有する基、または、炭素数1〜8の置換アルキル基である(但し、Z1〜Z24のうちの少なくとも2つは、水素原子である)(B)化合物を得ることができる。
[4]添加剤:
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、(B)下記一般式(1)で表される化合物以外に、必要に応じて、硬化剤、溶剤、触媒、希釈剤、顔料、カップリング剤、難燃剤、レベリング剤、消泡剤などの添加物を含有することができる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、(B)下記一般式(1)で表される化合物以外に、必要に応じて、硬化剤、溶剤、触媒、希釈剤、顔料、カップリング剤、難燃剤、レベリング剤、消泡剤などの添加物を含有することができる。
硬化剤は、エポキシ樹脂用の硬化剤として従来一般的に用いられるものを用いることができる。なお、これらは一液性のものでも、二液性ものものでもよい。このような硬化剤としては、例えば、アミン化合物、イミダゾール化合物、変性アミン化合物、変性イミダゾール化合物、フェノール系樹脂などを挙げることができる。これらの硬化剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
変性アミン化合物としては、例えば、エポキシ化合物にアミン化合物を付加させたエポキシ化合物付加ポリアミンなどを挙げることができる。変性イミダゾール化合物としては、例えば、エポキシ化合物にイミダゾール化合物を付加させたイミダゾール付加物などを挙げることができる。
イミダゾール化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどを挙げることができる。
変性アミン化合物としては、例えば、エポキシ化合物にアミン化合物を付加させたエポキシ化合物付加ポリアミンなどを挙げることができる。変性イミダゾール化合物としては、例えば、エポキシ化合物にイミダゾール化合物を付加させたイミダゾール付加物などを挙げることができる。
フェノール系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ピロガロールカテコール、レゾルシン、クレゾール、アリル化ビスフェノールAなどのフェノール化合物、ノボラック型フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、ベンジルエーテル型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、アルケニル基含有フェノール樹脂、アリル基含有フェノール樹脂、ポリ−P−ビニルフェノールなどを挙げることができる。
硬化剤の使用量は、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることが更に好ましく、0.1〜3量部であることが特に好ましい。上記使用量が0.1質量部未満であると、硬化不足となるおそれがある。一方、10質量部超であると、エポキシ樹脂組成物の保存安定性が悪くなるおそれがある。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物の25℃における粘度は、使用目的などによって適宜選択することができるが、例えば、本実施形態のエポキシ樹脂組成物をアンダーフィル材として用いる場合には、毛管現象により実装後のパッケージと配線基板の隙間に浸透し易くするため、粘度を1.0〜200.0Pa・sとすることが好ましく、1.0〜100.0Pa・sとすることが更に好ましく、1.0〜50.0Pa・sとすることが特に好ましい。上記粘度が1.0Pa・s未満であると、取り扱いが困難になるおそれがある。一方、200.0Pa・s超であると、毛管現象によってパッケージと配線基板の隙間に浸透させ難くなるおそれがある。ここで、本明細書において「粘度」は、BH型粘度計を用い、25℃における粘度を測定したときの値である。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)化合物、及び、必要に応じて添加物(硬化剤、希釈剤など)を、例えば、二軸混練機によって分散混練して混練物を得た後、この混練物を真空下で脱泡処理して製造することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、実施例中の各種の測定は、下記の方法により行った。
(実施例1)
レゾルシノール2.20g(20mmol)をエタノール4.5mLに溶解させ塩酸1.5mL加えた。この溶液を撹拌しながら5℃まで氷冷し、グルタルアルデヒドの50%水溶液0.40g(2mmol)をゆっくりと滴下した。その後、80℃で48時間加熱し、濁った黄色の溶液を得た。この懸濁液をメタノール中に注ぎ、沈殿物をろ過により取得後、メタノールで3回洗浄した。得られた固体は室温で24時間減圧乾燥した。その結果、粉末状の淡黄色固体が得られた。得られた淡黄色固体の構造確認は、MALDI−TOF−MS(型番SHIMAZU/KRATOSマトリックス支援レーザーイオン化飛行時間型質量分析装置 KOMPACT MALDI IV tDE、島津製作所社製)、IR(型番FT−IR 420型、日本分光社製)及び1H−NMR(型番JNM−ECA−500型、日本電子社製)で行った。淡黄色固体の構造を下記式(4)に示す。
レゾルシノール2.20g(20mmol)をエタノール4.5mLに溶解させ塩酸1.5mL加えた。この溶液を撹拌しながら5℃まで氷冷し、グルタルアルデヒドの50%水溶液0.40g(2mmol)をゆっくりと滴下した。その後、80℃で48時間加熱し、濁った黄色の溶液を得た。この懸濁液をメタノール中に注ぎ、沈殿物をろ過により取得後、メタノールで3回洗浄した。得られた固体は室温で24時間減圧乾燥した。その結果、粉末状の淡黄色固体が得られた。得られた淡黄色固体の構造確認は、MALDI−TOF−MS(型番SHIMAZU/KRATOSマトリックス支援レーザーイオン化飛行時間型質量分析装置 KOMPACT MALDI IV tDE、島津製作所社製)、IR(型番FT−IR 420型、日本分光社製)及び1H−NMR(型番JNM−ECA−500型、日本電子社製)で行った。淡黄色固体の構造を下記式(4)に示す。
(A)エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(「エピクロン840」、大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量:180〜190、粘度:9〜11Pa・s)100部、(B)一般式(1)で表される化合物として上記淡黄色固体(上記式(4)で表される化合物)20部を、二軸混練機によって分散混練して混練物を得た後、この混練物を真空下で脱泡処理してエポキシ樹脂組成物を調製した。
調製したエポキシ樹脂組成物は、以下に示す方法によって、粘度、硬化速度、耐熱性及び密着性の評価を行った。
[粘度]
調整したエポキシ樹脂組成物についてBH型粘度計を用い、25℃における粘度を測定した。
調整したエポキシ樹脂組成物についてBH型粘度計を用い、25℃における粘度を測定した。
[密着性]
まず、チップの片面にポリイミド(「CRC−6050」、住友ベークライト社製)を塗布し、ポリイミド塗布層を備えたチップを得た。その後、ビスマレイミド−トリアジン(BT)レジン製基板上にソルダーレジスト(「PSR−4000」、太陽インキ社製)を形成した有機基板を用意し、この有機基板のソルダーレジスト上にエポキシ樹脂組成物を塗布し、エポキシ樹脂塗膜を得た。次に、ポリイミド塗布層を備えたチップのポリイミド塗布層とエポキシ樹脂塗膜とが向き合うように、有機基板にチップを搭載した。これを、対流式オーブンを用いて、窒素下、200℃で1時間加熱してエポキシ樹脂塗膜を硬化させ、硬化試験片を得た。この硬化試験片をプレッシャークッカー試験装置(タバイエスペック社製)を用いて、温度121℃、湿度100%、圧力2.1気圧の条件下で168時間処理した。上記処理前後での密着性を、JIS K 5400に準拠してクロスカット試験(碁盤目テープ法)を行いて評価した。
まず、チップの片面にポリイミド(「CRC−6050」、住友ベークライト社製)を塗布し、ポリイミド塗布層を備えたチップを得た。その後、ビスマレイミド−トリアジン(BT)レジン製基板上にソルダーレジスト(「PSR−4000」、太陽インキ社製)を形成した有機基板を用意し、この有機基板のソルダーレジスト上にエポキシ樹脂組成物を塗布し、エポキシ樹脂塗膜を得た。次に、ポリイミド塗布層を備えたチップのポリイミド塗布層とエポキシ樹脂塗膜とが向き合うように、有機基板にチップを搭載した。これを、対流式オーブンを用いて、窒素下、200℃で1時間加熱してエポキシ樹脂塗膜を硬化させ、硬化試験片を得た。この硬化試験片をプレッシャークッカー試験装置(タバイエスペック社製)を用いて、温度121℃、湿度100%、圧力2.1気圧の条件下で168時間処理した。上記処理前後での密着性を、JIS K 5400に準拠してクロスカット試験(碁盤目テープ法)を行いて評価した。
調製したエポキシ樹脂組成物の粘度は、20Pa・sであり、流動性に優れていることが確認できた。また、硬化速度が良好であり、硬化後の耐熱性及び密着性に優れていることが確認できた。
実施例1のエポキシ樹脂組成物は、硬化前の流動性に優れ、硬化速度が良好であり、硬化後の耐熱性及び密着性に優れることが確認できた。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、カメラ一体型VTRや携帯電話機などの小型電子機器の製造分野に用いるための材料として好適である。
Claims (5)
- (A)エポキシ樹脂と、
(B)下記一般式(1)で表される化合物と、
を含有するエポキシ樹脂組成物。
- 25℃におけるBH型粘度計による粘度が、1.0〜200.0Pa・sである請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- アンダーフィル材である請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- (A)エポキシ樹脂と、
(b−1)下記一般式(2)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物を縮合させて得られる化合物と、
を含有するエポキシ樹脂組成物。
- 前記一般式(3)のR30が、プロピレン基である請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物。
Priority Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2007-09-28 JP JP2007253613A patent/JP2009084343A/ja active Pending
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