JP2009074456A - ポンプ - Google Patents

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靖之 石原
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Abstract

【課題】シリンダに対してプランジャをセンタリングさせるようにしたポンプにおいて、プランジャとシリンダの焼き付きを防止する。
【解決手段】プランジャ14に、プランジャ14の一端面からプランジャ14の軸方向に延びる縦孔143と、一端が縦孔143に連通すると共に他端がプランジャ14の外周面に開口する横孔144を設ける。そして、高圧流体が横孔144から噴出される際の反作用により、シリンダ13に対してプランジャ14がセンタリングされ、プランジャ14とシリンダ13の焼き付きが防止される。また、エッジ(横孔144の開口部)はプランジャ14の外周面の一部にしか形成されないため、プランジャ14とシリンダ13との間にクリアランスが確保されない状態が発生した場合でも、シリンダ13の内周面にエッジが当たり難く、焼き付きが発生し難い。
【選択図】図2

Description

本発明は、流体を吸入・吐出するポンプに関する。
燃料を加圧して吐出するポンプとして特許文献1に示されたポンプがある。このポンプは、プランジャの外周面に環状溝を設け、その環状溝とシリンダ内周面との間に高圧部を形成している。そして、この高圧部に発生する圧力によりプランジャがシリンダに対してセンタリングされるようにして、すなわち、プランジャとシリンダとの間にクリアランスが確保されるようにして、プランジャとシリンダの焼き付きを防止するようにしている。
特開平11−173240号公報
しかしながら、近年の噴射圧力高圧化に伴い、プランジャとシリンダの摺動部に焼き付きが発生するという問題が生じている。その要因の一つとして、従来のポンプでは、環状溝を設けたことによりプランジャの外周面の全周にわたってエッジが形成されるため、噴射圧力高圧化によりプランジャとシリンダとの間にクリアランスが確保されない状態が発生した場合には、シリンダの内周面にエッジが当たって焼き付きが発生することが考えられる。
本発明は上記点に鑑みて、シリンダに対してプランジャをセンタリングさせるようにしたポンプにおいて、プランジャとシリンダの焼き付きを防止することを目的とする。
本発明は、シリンダ(13)内でプランジャ(14)が往復動してポンプ室(15)内の流体が加圧されるポンプにおいて、プランジャ(14)は、プランジャ(14)の一端面からプランジャ(14)の軸方向に延びる縦孔(143)と、一端が縦孔(143)に連通すると共に他端がプランジャ(14)の外周面に開口する横孔(144)とを備えることを特徴とする。
このようにすれば、ポンプ室(15)の高圧流体が横孔(144)から噴出される際の反作用により、シリンダ(13)に対してプランジャ(14)をセンタリングさせることができる。そして、従来のポンプでは、エッジがプランジャ(14)の外周面の全周にわたって形成されるのに対し、本発明のポンプでは、エッジ(横孔の開口部)はプランジャ(14)の外周面の一部にしか形成されないため、プランジャ(14)とシリンダ(13)との間にクリアランスが確保されない状態が発生した場合でも、シリンダ(13)の内周面にエッジが当たり難く、焼き付きが発生し難い。
この場合、横孔(144)を複数とし、横孔(144)におけるプランジャ(14)の外周面側の開口部を、プランジャ(14)の周方向に沿って均等な間隔で配置すれば、プランジャ(14)とシリンダ(13)との間に全周にわたって均一なクリアランスが確保され易い。
また、縦孔(143)をプランジャ(14)の径方向中心部に配置し、複数の横孔(144)をプランジャ(14)の中心軸に対して対称に配置すれば、プランジャ(14)とシリンダ(13)との間に全周にわたって均一なクリアランスが確保され易い。
また、プランジャ(14)におけるシリンダ(13)と摺動する部位に横孔(144)を開口させることができる。
このようにすれば、プランジャ(14)とシリンダ(13)とが摺動する部位の圧力は低圧であるため、ポンプ室(15)の高圧流体が横孔(144)から摺動部に噴出され易く、シリンダ(13)に対してプランジャ(14)を確実にセンタリングさせることができる。
また、プランジャ(14)が大径部(141)と小径部(142)とを備える場合、大径部(141)の外周面に横孔(144)を開口させることができる。
このようにすれば、ポンプ室(15)の高圧流体がシリンダ(13)とプランジャ大径部(141)との摺動部に噴出され、シリンダ(13)に対してプランジャ(14)を確実にセンタリングさせることができる。
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の一実施形態について説明する。本実施形態に係るポンプは、圧縮着火式内燃機関に燃料を噴射するための燃料噴射装置において、高圧の燃料を蓄えるコモンレールに高圧の燃料を供給するサプライポンプとして用いられる。
図1は本実施形態に係るポンプの構成を示すもので、ポンプハウジング10には、その下端側に位置するカム室10aと、このカム室10aからポンプハウジング10の上方に向かって延びる円柱状の摺動子挿入孔10bと、この摺動子挿入孔10bからポンプハウジング10の上端面まで延びる円柱状のシリンダ挿入孔10cとが形成されている。
カム室10aには、図示しない圧縮着火式内燃機関にて駆動されるカム軸11が配置され、このカム軸11はポンプハウジング10に回転自在に支持されている。また、カム軸11にはカム12が形成されている。
シリンダ挿入孔10cには、シリンダ挿入孔10cを塞ぐようにしてシリンダ13が取り付けられている。このシリンダ13には、円柱状のプランジャ挿入穴13aが形成されており、このプランジャ挿入穴13aに、円柱状のプランジャ14が往復動自在に挿入されている。そして、このプランジャ14の上端面とシリンダ13の内周面とによりポンプ室15が形成されている。
プランジャ14の下端にシート14aが連結されており、このシート14aはスプリング16によって摺動子17に押し付けられている。この摺動子17は、円筒状に形成されており、摺動子挿入孔10bに往復動自在に挿入されている。また、摺動子17にはカムローラ18が回転自在に取り付けられており、このカムローラ18はカム12に当接している。そして、カム軸11の回転によりカム12が回転すると、シート14a、摺動子17およびカムローラ18とともに、プランジャ14が往復駆動されるようになっている。
シリンダ13とポンプハウジング10との間には、燃料溜り19が形成されている。この燃料溜り19には、図示しないフィードポンプから吐出される低圧の燃料が、図示しない低圧燃料配管を介して供給されるようになっている。また、燃料溜り19は、シリンダ13に形成された吸入通路13b、および電磁弁30内の吸入通路31aを介して、ポンプ室15に連通されている。
シリンダ13の側面には、ポンプ室15に常時連通する吐出通路13cが形成されている。そして、ポンプ室15は、この吐出通路13c、吐出弁20、および図示しない高圧燃料配管を介して図示しないコモンレールに接続されている。
吐出弁20は、吐出通路13cの下流側においてシリンダ13に取り付けられている。この吐出弁20は、吐出通路13cを開閉する弁体20aと、この弁体20aを閉弁向きに付勢するスプリング20bとを備えている。そして、ポンプ室15で加圧された燃料は、スプリング20bの付勢力に抗して弁体20aを開弁向きに移動させ、コモンレールに圧送されるようになっている。
電磁弁30は、プランジャ14の上端面に対向した位置において、ポンプ室15を閉塞するようにしてシリンダ13に螺合固定されている。電磁弁30のボディ31には、一端がポンプ室15に連通し他端が吸入通路13bに連通する吸入通路31aと、この吸入通路31a中に配置されたシート部(図示せず)とが形成されている。
また、この電磁弁30は、通電時に吸引力を発生するソレノイド32、ソレノイド32により吸引されるアーマチャ33、このアーマチャ33を反吸引側に向かって付勢するスプリング34、アーマチャ33と一体に移動してシート部に接離することにより吸入通路31aを開閉する弁体35、この弁体35の開弁時の位置を規制するストッパ36とを有している。ストッパ36は、電磁弁30とシリンダ13に挟持されており、吸入通路31aとポンプ室15とを連通させる連通孔(図示せず)が多数形成されている。
次に、本実施形態になるポンプの要部の構成について詳述する。図2は図1のポンプにおけるプランジャ14の頂部近傍を示す断面図、図3は図2のA−A線に沿う断面図である。
図2、図3に示すように、プランジャ14は、その軸方向中間部にシリンダ13と摺動するプランジャ大径部141を備えている。また、プランジャ14は、ポンプ室15側の端部に、プランジャ大径部141よりも小径のプランジャ小径部142を備えている。このプランジャ大径部141とプランジャ小径部142は同軸である。
プランジャ14には、その径方向中心部に縦孔143が形成されている。この縦孔143は、プランジャ小径部142の端部からプランジャ大径部141にかかる位置までプランジャ14の軸方向に沿って延びる止まり穴である。
プランジャ14には、一端が縦孔143に連通すると共に他端がプランジャ14の外周面に開口する横孔144が複数個(本例では8個)形成されている。これらの横孔144は、プランジャ14の径方向に延びると共に、プランジャ14の中心軸に対して対称に配置されている。換言すると、横孔144におけるプランジャ外周面側の開口部が、プランジャ14の周方向に沿って均等な間隔で配置されている。また、横孔144は、プランジャ大径部141の外周面に開口している。換言すると、横孔144は、プランジャ14におけるシリンダ13と摺動する部位に開口している。
上記構成になるポンプの作動を説明する。まず、電磁弁30のソレノイド32に通電されていないときには、弁体35はスプリング34の付勢力により開弁位置に移動されている。すなわち、弁体35がボディ31のシート部から離れており、吸入通路31aが開かれている。
そして、吸入通路31aが開かれている状態でプランジャ14が下降するときには、フィードポンプから吐出される低圧の燃料が、燃料溜り19、吸入通路13b、および吸入通路31aを介して、ポンプ室15に供給される。
次いで、プランジャ14が上昇し始めると、プランジャ14はポンプ室15内の燃料を加圧しようとする。しかし、プランジャ14の上昇開始初期においては、電磁弁30に通電されておらず、吸入通路31aが開かれているため、ポンプ室15内の燃料は、吸入通路31aおよび吸入通路13bを介して燃料溜り19側に溢流し、加圧されない。
このポンプ室15内の燃料の溢流中に電磁弁30に通電されると、アーマチャ33および弁体35がスプリング34に抗して吸引され、弁体35がボディ31のシート部に着座して吸入通路31aが閉塞される。これにより、燃料溜り19側への燃料の溢流が停止されて、プランジャ14によるポンプ室15内の燃料の加圧が開始される。そして、ポンプ室15内の燃料圧力により吐出弁20が開弁され、燃料がコモンレールに圧送される。
ここで、ポンプ室15内の燃料の加圧が開始されると、プランジャ14とシリンダ13とが摺動する部位はポンプ室15内の圧力よりも低圧であるため、ポンプ室15の高圧燃料が縦孔143および横孔144を介してプランジャ14とシリンダ13とが摺動する部位に噴出される。そして、高圧燃料が横孔144から噴出される際の反作用により、シリンダ13に対してプランジャ14がセンタリングされ、プランジャ14とシリンダ13との間にクリアランスが確保されて、プランジャ14とシリンダ13の焼き付きが防止される。
また、横孔144は、プランジャ14の中心軸に対して対称に配置されているため、換言すると、横孔144におけるプランジャ外周面側の開口部が、プランジャ14の周方向に沿って均等な間隔で配置されているため、高圧燃料が横孔144から噴出される際の反作用により、プランジャ14とシリンダ13との間に全周にわたって均一なクリアランスが確保され易い。
さらに、エッジ(横孔144の開口部)はプランジャ14の外周面の一部にしか形成されないため、プランジャ14とシリンダ13との間にクリアランスが確保されない状態が発生した場合でも、シリンダ13の内周面にエッジが当たり難く、焼き付きが発生し難い。
(他の実施形態)
上記実施形態では、本発明を内燃機関用燃料噴射装置のサプライポンプに適用したが、本発明は、流体を吸入・吐出するポンプに広く適用することができる。
また、上記実施形態では、横孔144をプランジャ大径部141の外周面に開口させたが、横孔144をプランジャ小径部142の外周面に開口させてもよい。
さらに、上記実施形態では、プランジャ大径部141およびプランジャ小径部142を備えるプランジャ14を用いたが、プランジャ小径部142を備えていないプランジャ14を用いるポンプにも本発明を適用することができる。
本発明の一実施形態に係るポンプの構成を示す断面図である。 図1のポンプにおけるプランジャ14の頂部近傍を示す断面図である。 図2のA−A線に沿う断面図である。
符号の説明
13…シリンダ、14…プランジャ、15…ポンプ室、143…縦孔、144…横孔。

Claims (5)

  1. シリンダ(13)の内周面とプランジャ(14)の一端面とによってポンプ室(15)が形成され、前記シリンダ(13)内で前記プランジャ(14)が往復動して前記ポンプ室(15)内の流体が加圧されるポンプにおいて、
    前記プランジャ(14)は、前記プランジャ(14)の一端面から前記プランジャ(14)の軸方向に延びる縦孔(143)と、一端が前記縦孔(143)に連通すると共に他端が前記プランジャ(14)の外周面に開口する横孔(144)とを備えることを特徴とするポンプ。
  2. 前記横孔(144)は、複数であり、前記横孔(144)における前記プランジャ(14)の外周面側の開口部が、前記プランジャ(14)の周方向に沿って均等な間隔で配置されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
  3. 前記縦孔(143)は、前記プランジャ(14)の径方向中心部に配置され、
    前記横孔(144)は、複数であり、前記プランジャ(14)の中心軸に対して対称に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
  4. 前記横孔(144)は、前記プランジャ(14)における前記シリンダ(13)と摺動する部位に開口していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のポンプ。
  5. 前記プランジャ(14)は、前記シリンダ(13)と摺動するプランジャ大径部(141)と、前記プランジャ(14)の一端面側に位置すると共に前記プランジャ大径部(141)よりも小径のプランジャ小径部(142)とを備え、
    前記横孔(144)は、前記プランジャ大径部(141)の外周面に開口していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のポンプ。
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