JP2009072382A - パタークラブ - Google Patents

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Abstract

【課題】スイングの際の打球面の地面に対する角度を維持することにより、正確なパッティングを行うことが可能なパタークラブを提供する。
【解決手段】
競技者がグリップ111を両手で把持してアドレス位置からバックスイングをする際、シャフト110はX軸プラス側に傾く。この際、ヘッド130は自己の重量によって揺動し、打球面131は地面に対する角度を維持する。また、スイングが開始されてからインパクトを経てフォロースルーに至るまでの間、シャフト110の地面に対する角度はX軸マイナス側に傾くが、この間もヘッド130は自己の重量によって揺動し、打球面131は地面に対する角度を維持する。
【選択図】図3

Description

本発明は、ゴルフにおいて、主としてグリーン上でゴルフボールを打つために使用されるパタークラブに関する。
通常、パッティングにおいて、インパクト時における打球面の地面に対する角度は、直接ボールの速度及び距離に影響する。そのため、シャフト及びヘッドが一体となり固定されている通常のパタークラブでは、競技者が、その角度が適切になるように意識してスイングを調整する。また、特許文献1に示すパタークラブでは、シャフト部とグリップ部間に回転支持手段を介在しており、競技者は片手でグリップ部を支えつつ、他方の片手でシャフト部を振り子のように振ることにより、支えたグリップ部をできるだけぶれないようにして、前記角度を適切にすることができる。
特開平9−192277号公報(図5)
しかしながら、通常のパタークラブによるパッティングでは、前記角度をスイングにより調整することは相当の熟練を要する。特に初心者は、スイング中にその角度が変動するため、インパクト時に本来の角度よりも小さく又は大きくなってしまい、いわゆるダフり気味又はトップ気味の打球となることも多い。また、特許文献1に示すパタークラブであっても、片手でグリップ部を支えていることから、この支持点は容易にスイング方向又はこれと逆方向にぶれるため、これによってダフり気味又はトップ気味の打球となることが考えられる。
本発明は、このような背景のもとになされたものであり、その目的は、スイングの際の打球面の地面に対する角度を維持することにより、正確なパッティングを行うことが可能なパタークラブを提供することにある。
本発明は、前記課題を解決するために、次のような手段を採る。なお後述する発明を実施するための最良の形態の説明及び図面で使用した符号を参考のために括弧書きで付記するが、本発明の構成要素は該付記したものには限定されない。
まず請求項1に係る発明は、両手で把持するグリップ(111)を有するシャフト(110)と、該シャフトの先端に設けられ打球面(131)を有するヘッド(130)と、を備えるパタークラブ(100)であって、該パタークラブのスイングの際に、前記ヘッドを、前記グリップの範囲よりも当該ヘッド寄りに設けられ、前記打球面及び地面に平行な回転軸(両回転軸124を結ぶ直線)を中心として、当該ヘッドの重量によって揺動させることにより、前記地面に対する前記打球面の角度を維持するための打球面角度維持機構(回転軸124,軸孔133)をさらに備えることを特徴とするパタークラブである。
また請求項2に係る発明は、請求項1に記載したパタークラブ(100)であって、前記回転軸(両回転軸124を結ぶ直線)は前記ヘッド(130)の重心を通過することを特徴とするパタークラブである。
さらに請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載したパタークラブ(100)であって、前記シャフト(110)を、前記打球面(131)に直交かつ前記地面に平行な第2回転軸(ボルト孔113及びボルト孔123を結ぶ直線)を中心として回動させた後に固定することにより、ライ角を調整するためのライ角調整機構(凸部112,ボルト孔113,ボルト121,凹部122,ボルト孔123)をさらに備えることを特徴とするパタークラブである。
まず請求項1に係るパタークラブによれば、スイングの際の打球面の地面に対する角度を維持することにより、いわゆるダフり気味又はトップ気味の打球を防ぎ、正確なパッティングを行うことが可能となる。
また請求項2に係るパタークラブによれば、スイングの際にヘッドの重心がスイング方向又はこれと逆方向にぶれることを防止し、スイングを安定させることができる。
さらに請求項3に係るパタークラブによれば、競技者のパッティングスタイルに応じたライ角に設定することができる。
以下、本発明に係るパタークラブについて、図面を参照して説明する。本発明に係るパタークラブは、打球面及び地面に平行な回転軸を中心として揺動自在に構成されたヘッドを有することを特徴とするものである。以下、本発明に係るパタークラブの実施形態について図1〜図4を用いて説明し、さらに変形例について図5を用いて説明する。
本発明のパタークラブ100は、図1に示すように、シャフト110、シャフト110とヘッド130を連結するための嵌合部材120,及びヘッド130から構成されている。円柱状のシャフト110はスチールやカーボン等の材質からなり、シャフト110上端の一定範囲はグリップ111として、把持し易いラバー等の材質で被覆されている。また、直方体状のヘッド130は主として軟鉄や特殊ステンレス等の金属で構成され、その前面が打球面131となる。
次に図2を用いてパタークラブ100の主要部分の構造,機能について詳細に説明する。シャフト110の下方先端に逆凸型の凸部112が形成されており、凸部112の先端は四隅の角取りがなされ、中央から周辺にかけて滑らかな凸球面状の加工がされている。この凸部側壁の中央には、X軸(スイング方向)と平行なボルト孔113が凸部112を貫通するように設けられている。
嵌合部材120は、シャフト110とヘッド130との連結を行い、かつ両部位との相互可動を実現するための機構を有する。嵌合部材120の上端には凹部122が形成されており、凹部122の中央底面部分は、中央から周辺にかけて滑らかな凹球面状の加工がされている。さらに凹部を形成する両側壁の中央には、X軸(スイング方向)と平行なボルト孔123が、それぞれ側壁を貫通するように設けられている。
凹部122の凹球面状に、凸部112の凸球面状部分を合致させた状態で、凹部両側壁のボルト孔123と凸部112のボルト孔113とが一直線となり、X軸と平行な円柱状の孔を形成する。そして、この孔の両側からボルト121が挿入されることでシャフト110と嵌合部材120が連結される。
ここで凹部122の凹球面状と凸部112の凸球面状部分はボルト121を回転軸として摺動可能であるため、シャフト110と嵌合部材120との角度を適切な角度に調整することができる。そして、両端のボルト121を締めることにより、その角度に固定することができる。即ち、ヘッド130を、打球面131に直交かつ地面に平行なボルト孔113及びボルト孔123を結ぶ直線を中心として回動させた後に固定することにより、ライ角を調整することができるようになっている。
即ち、上記凸部112,ボルト孔113,ボルト121,凹部122,及びボルト孔123は、ヘッド130を、打球面に直交かつ地面に平行な第2回転軸を中心として回動させた後に固定することにより、ライ角を調整するためのライ角調整機構を形成している。これにより、競技者は、ボルト121を緩めた状態で、ライ角をパッティングスタイルに応じた適切な角度に調整し、ボルト121を締めることでその角度に固定することが可能である。
さらに嵌合部材120の凹部122より下方の表面には、打球面及び地面に平行な回転軸124が突設されており、嵌合部材本体を挟んだ同円周上の反対側にも同様に回転軸124が突設されている。これらの回転軸124は後述する軸孔133に組み込まれる。
ヘッド130の中央部分には、ヘッド上面から底面にかけて貫通する孔132が設けられている。この孔132の中心は、ヘッド130の中心と一致しており、X軸と水平かつ垂直なZ軸方向(スタンス方向)の長さが嵌合部材120の直径よりも若干長く、X軸方向の長さがヘッド130のおおよそ3/4程度である。この孔132を形成しているX軸に平行な各々の側壁には、それぞれZ軸に平行な軸孔133が孔132に連なって設けられている。
両軸孔133は、Z軸と平行な同一直線上に並ぶ配置となっており、かつこの直線はヘッド130の重心を通過する配置となっている。また、軸孔133は、それぞれ回転軸124が収まる程度の幅,長さとなっている。なお、図示しないが、回転軸124を軸孔133に誘導するための誘導溝がヘッド130の底面から軸孔133にかけて設けられている。
嵌合部材120とヘッド130を連結するときには、回転軸124をヘッド130の底面から誘導溝に沿って軸孔133まで移動させる。これにより、グリップ111を握ってパタークラブ100を構えたときに、回転軸124の最上部と軸孔133の最上部が接し、回転軸124の最上部でヘッド130の重量を支える状態となる。これにより、ヘッド130が、打球面及び地面に平行な回転軸124を中心として揺動自在となる。そして後述する図3に示すように、ヘッド130が、スイングの際に当該ヘッドの重量によって揺動することにより打球面の地面に対する角度が維持される。
即ち、両回転軸124を結ぶ直線によって、グリップ111の範囲よりもヘッド130寄りに設けられ、かつ打球面131及び地面に平行な回転軸が形成される。そして、パタークラブ100のスイングの際に、ヘッド130を、前記回転軸を中心として、当該ヘッド130の重量によって揺動させることにより、地面に対する打球面131の角度を維持するための打球面角度維持機構が、回転軸124及び軸孔133によって形成される。なお、嵌合部材120とヘッド130を連結した後、ヘッド130の底面から軸孔133に至る誘導溝には樹脂が注入され、嵌合部材120からのヘッド130の離脱を防止する。
次に図3を用いて本発明パタークラブ100の作用について説明する。競技者がグリップ111を両手で把持してアドレス位置からバックスイングをする際、シャフト110はX軸プラス側に傾く。この際、ヘッド130は自己の重量によって揺動し、打球面131は地面に対する角度を維持する。
また、スイングが開始されてからインパクトを経てフォロースルーに至るまでの間、シャフト110の地面に対する角度はX軸マイナス側に傾くが、この間もヘッド130は自己の重量によって揺動し、打球面131は地面に対する角度を維持する。つまり、バックスイング時にはシャフト110に対してヘッド130が相対的に反時計回りに揺動し、スイング時にはシャフト110に対してヘッド130が相対的に時計回りに揺動することで打球面の地面に対する角度を維持する。これにより、ヘッド130の姿勢はアドレス時からスイングが終了するまで維持されることになる。
このように、スイングの際の打球面131の地面に対する角度を維持することにより、いわゆるダフり気味又はトップ気味の打球を防ぎ、正確なパッティングを行うことが可能となる。また、その角度を維持するためには、過度の揺動による打球面の不安定を防止する必要がある。そのためには、アドレス時からスイング終了まで、ある程度ゆっくりしたスイングをする必要があるので、必然的に正確なパッティングに繋がる。
ここで図4に示すように、ヘッドを揺動させるための回転軸を、図3の如くヘッド内部ではなく、ヘッド外部に設けるようにしても良い。このようにしてもバックスイングからフォロースルーにかけて、回転軸を中心として、ヘッドを含む回転軸以下の部分が自重により揺動し、打球面の地面に対する角度を維持する。そして上記と同様の効果を奏する。しかしながら、図4の如く回転軸をヘッド外部に設けた場合、次に示すような問題が生ずる。
図4に示すように、バックスイングにおいては、ヘッドの重心がグリップ軸の延長線上に存在せず、これよりもX軸プラス方向,即ちスイング方向にぶれた状態となる。またスイングを開始して、インパクトを経てフォロースルーに至るまでは、シャフトに対して相対的に、ヘッドを含む回転軸以下がX軸マイナス方向,即ちスイングと逆方向に振り子のように回転運動する。その結果、ヘッドの重心がスイングと逆方向に移動し、フォロースルーの段階では、ヘッドの重心がグリップ軸の延長線上よりもX軸マイナス方向,即ちスイングと逆方向にぶれた状態となる。
このようなパタークラブの場合、競技者は、バックスイングの際にはグリップよりも前方にヘッドの重みを感じ、スイング中にはグリップがヘッドを追い越す感覚を覚え、フォロースルーの際にはグリップよりも後方にヘッドの重みを感じることになる。即ち、グリップとヘッド重心との相対的な位置関係の変動によって非常な打ちずらさを覚えることになる。
これに対して本実施形態に係るパタークラブ100は、両回転軸133が打球面131及び地面に平行な一直線上に並んでおり、かつこの直線がヘッド130の重心を通過するようになっている。そして、この直線をヘッド130の回転軸として、これを中心にヘッド130が揺動するように設計されている。従って、図3に示すように、バックスイングからインパクトを経てフォロースルーに至るまで、グリップとヘッド重心との相対的な位置関係は変動せず、図4のようなパタークラブと比較して打ちやすい。特に、本実施形態の場合は、グリップ軸の延長線上に回転軸及びヘッド130の重心が配置される構造となっているので、競技者は、バックスイングからインパクトを経てフォロースルーに至るまで、一貫してグリップの延長線上にヘッド130の重みを感じることになる。
このように、本実施形態に係るパタークラブ100によれば、スイングの際にヘッド130の重心がスイング方向又はこれと逆方向にぶれることを防止し、スイングを安定させることができる。つまり回転軸の位置は、ヘッドの重心が最良であり、遠くともヘッドの重心から10cm以内が良く、前述した引用文献1のようなグリップ寄りのものは打ちずらく、適切ではない。
最後に、本発明の変形例について説明する。
上記の実施形態では、パタークラブのヘッドが直方体状であり、中央に孔132及び軸孔133が設けられ、その中に嵌合部材120を組み込む例について説明したが、これに限らず、図5に示すパタークラブ100’のような構造であっても良い。図5に示すヘッド130’は、原型が直方体であり、その上面から底面にかけて、Z軸と平行に二等辺三角柱の溝が設けられている。そして二等辺三角柱の頂角が位置する底面部分に沿って円柱状の溝が形成されており、その溝には回転子135’が埋設されている。この回転子135’は、溝の内壁と摺動自在に回転し、打球面131及び地面に平行であり、かつヘッド130’の重心を通過する。
また、嵌合部材120’は、上記の実施形態の嵌合部材120と異なり、回転軸124が設けられておらず、嵌合部材120’の底面には、二等辺三角柱の三角部材125’が、下方を頂角として接合されている。さらに二等辺三角柱の頂角を形成する頂線が、ヘッド130’の底面部分に埋設された回転子135’に接合されている。
図5に示すように、上記ヘッド130’の溝の形状に係る二等辺三角形と、上記三角部材125’に係る二等辺三角形とは、高さが同じであり、頂角は前者の方が大きい。従って、図5に示すように互いの頂角に係る頂線を回転子135’に合致させ,かつ互いの底辺を平行にした状態では、三角部材125’のX軸方向両側に、ヘッド130’との空隙126’が形成される。
これにより競技者がバックスイングを行う際には、ヘッド130’が回転子135’を中心として、自重によってシャフト110と相対的に反時計回りに揺動することにより、前方の空隙126’が狭まると共に後方の空隙126’が広がり、打球面131’の地面に対する角度が維持される。一方、スイングを開始してからインパクトを経てフォロースルーに至るまでは、ヘッド130’が回転子135’を中心として、自重によってシャフト110と相対的に時計回りに揺動することにより、前方の空隙126’が広がると共に後方の空隙126’が狭まり、打球面131’の地面に対する角度が維持される。即ち、前方及び後方の各空隙126’は、シャフト110の傾きを吸収するためのバッファ領域としての役割を果たす。
上記の実施形態では、図3に示すように、ヘッド130の重心がグリップ軸の延長線上に位置する例について説明したが、これに限らず、必ずしもヘッド130の重心はグリップ軸の延長線上に位置していなくとも良く、幾分延長線上からずれていても良い。この場合であっても、ヘッド130の回転軸がヘッド130の重心を通過することで、シャフト110に対しての重心の位置は固定されるからである。
図1は、本実施形態に係るパタークラブの斜視図である。 図2は、本実施形態に係るパタークラブの構造を表す組立図である。 図3は、本実施形態に係るパタークラブの作用を表す図である。 図4は、他の実施形態に係るパタークラブの作用を表す図である。 図5は、変形例に係るパタークラブの斜視図である。
符号の説明
100…パタークラブ
111…グリップ
112…凸部
113…ボルト孔
121…ボルト
122…凹部
123…ボルト孔
124…回転軸
130…ヘッド
131…打球面
133…軸孔
本発明は、ゴルフにおいて、主としてグリーン上でゴルフボールを打つために使用されるパタークラブに関する。
通常、パッティングにおいて、インパクト時における打球面の水平に対する角度は、直接ボールの速度及び距離に影響する。そのため、シャフト及びヘッドが一体となり固定されている通常のパタークラブでは、競技者が、その角度が適切になるように意識してスイングを調整する。また、特許文献1に示すパタークラブでは、シャフト部とグリップ部間に回転支持手段を介在しており、競技者は片手でグリップ部を支えつつ、他方の片手でシャフト部を振り子のように振ることにより、支えたグリップ部をできるだけぶれないようにして、前記角度を適切にすることができる。
特開平9−192277号公報(図5)
しかしながら、通常のパタークラブによるパッティングでは、前記角度をスイングにより調整することは相当の熟練を要する。特に初心者は、スイング中にその角度が変動するため、インパクト時に本来の角度よりも小さく又は大きくなってしまい、いわゆるダフり気味又はトップ気味の打球となることも多い。また、特許文献1に示すパタークラブであっても、片手でグリップ部を支えていることから、この支持点は容易にスイング方向又はこれと逆方向にぶれるため、これによってダフり気味又はトップ気味の打球となることが考えられる。
本発明は、このような背景のもとになされたものであり、その目的は、スイングの際の打球面の水平に対する角度を維持することにより、正確なパッティングを行うことが可能なパタークラブを提供することにある。
本発明は、前記課題を解決するために、次のような手段を採る。なお後述する発明を実施するための最良の形態の説明及び図面で使用した符号を参考のために括弧書きで付記するが、本発明の構成要素は該付記したものには限定されない。
まず請求項1に係る発明は、両手で把持するグリップ(111)を有するシャフト(110)と、該シャフトの先端に設けられ打球面(131)を有するヘッド(130)と、を備えるパタークラブ(100)であって、該パタークラブのスイングの際に、前記ヘッドが、前記打球面に平行かつ当該ヘッドの重心を通過する回転軸(両回転軸124を結ぶ直線)を中心として、当該ヘッドの重量によって揺動自在な、ヘッド揺動機構(回転軸124,軸孔133)をさらに備えることを特徴とするパタークラブである。
また請求項に係る発明は、請求項に記載したパタークラブ(100)であって、前記シャフト(110)を、前記打球面(131)に直交する第2回転軸(ボルト孔113及びボルト孔123を結ぶ直線)を中心として回動させた後に固定することにより、ライ角を調整するためのライ角調整機構(凸部112,ボルト孔113,ボルト121,凹部122,ボルト孔123)をさらに備えることを特徴とするパタークラブである。
まず請求項1に係るパタークラブによれば、スイングの際に、打球面に平行かつヘッドの重心を通過する回転軸を中心として、ヘッドの重量によってヘッドが揺動するので、スイングの際の打球面の水平に対する角度を維持することにより、いわゆるダフり気味又はトップ気味の打球を防ぎ、正確なパッティングを行うことが可能となると共に、スイングの際にヘッドの重心がスイング方向又はこれと逆方向にぶれることを防止し、スイングを安定させることができる。
また請求項に係るパタークラブによれば、競技者のパッティングスタイルに応じたライ角に設定することができる。
以下、本発明に係るパタークラブについて、図面を参照して説明する。本発明に係るパタークラブは、打球面に平行かつヘッドの重心を通過する回転軸を中心として揺動自在に構成されたヘッドを有することを特徴とするものである。以下、本発明に係るパタークラブの実施形態について図1〜図3を用いて説明する。
本発明のパタークラブ100は、図1に示すように、シャフト110、シャフト110とヘッド130を連結するための嵌合部材120,及びヘッド130から構成されている。円柱状のシャフト110はスチールやカーボン等の材質からなり、シャフト110上端の一定範囲はグリップ111として、把持し易いラバー等の材質で被覆されている。また、直方体状のヘッド130は主として軟鉄や特殊ステンレス等の金属で構成され、その前面が打球面131となる。
次に図2を用いてパタークラブ100の主要部分の構造,機能について詳細に説明する。シャフト110の下方先端に逆凸型の凸部112が形成されており、凸部112の先端は四隅の角取りがなされ、中央から周辺にかけて滑らかな凸球面状の加工がされている。この凸部側壁の中央には、X軸(スイング方向)と平行なボルト孔113が凸部112を貫通するように設けられている。
嵌合部材120は、シャフト110とヘッド130との連結を行い、かつ両部位との相互可動を実現するための機構を有する。嵌合部材120の上端には凹部122が形成されており、凹部122の中央底面部分は、中央から周辺にかけて滑らかな凹球面状の加工がされている。さらに凹部を形成する両側壁の中央には、X軸(スイング方向)と平行なボルト孔123が、それぞれ側壁を貫通するように設けられている。
凹部122の凹球面状に、凸部112の凸球面状部分を合致させた状態で、凹部両側壁のボルト孔123と凸部112のボルト孔113とが一直線となり、X軸と平行な円柱状の孔を形成する。そして、この孔の両側からボルト121が挿入されることでシャフト110と嵌合部材120が連結される。
ここで凹部122の凹球面状と凸部112の凸球面状部分はボルト121を回転軸として摺動可能であるため、シャフト110と嵌合部材120との角度を適切な角度に調整することができる。そして、両端のボルト121を締めることにより、その角度に固定することができる。即ち、ヘッド130を、打球面131に直交するボルト孔113及びボルト孔123を結ぶ直線を中心として回動させた後に固定することにより、ライ角を調整することができるようになっている。
即ち、上記凸部112,ボルト孔113,ボルト121,凹部122,及びボルト孔123は、ヘッド130を、打球面に直交する第2回転軸を中心として回動させた後に固定することにより、ライ角を調整するためのライ角調整機構を形成している。これにより、競技者は、ボルト121を緩めた状態で、ライ角をパッティングスタイルに応じた適切な角度に調整し、ボルト121を締めることでその角度に固定することが可能である。
さらに嵌合部材120の凹部122より下方の表面には、打球面に平行な回転軸124が突設されており、嵌合部材本体を挟んだ同円周上の反対側にも同様に回転軸124が突設されている。これらの回転軸124は後述する軸孔133に組み込まれる。
ヘッド130の中央部分には、ヘッド上面から底面にかけて貫通する孔132が設けられている。この孔132の中心は、ヘッド130の中心と一致しており、X軸と水平かつ垂直なZ軸方向(スタンス方向)の長さが嵌合部材120の直径よりも若干長く、X軸方向の長さがヘッド130のおおよそ3/4程度である。この孔132を形成しているX軸に平行な各々の側壁には、それぞれZ軸に平行な軸孔133が孔132に連なって設けられている。
両軸孔133は、Z軸と平行な同一直線上に並ぶ配置となっており、かつこの直線はヘッド130の重心を通過する配置となっている。また、軸孔133は、それぞれ回転軸124が収まる程度の幅,長さとなっている。なお、図示しないが、回転軸124を軸孔133に誘導するための誘導溝がヘッド130の底面から軸孔133にかけて設けられている。
嵌合部材120とヘッド130を連結するときには、回転軸124をヘッド130の底面から誘導溝に沿って軸孔133まで移動させる。これにより、グリップ111を握ってパタークラブ100を構えたときに、回転軸124の最上部と軸孔133の最上部が接し、回転軸124の最上部でヘッド130の重量を支える状態となる。これにより、ヘッド130が、打球面131に平行かつ当該ヘッド130の重心を通過する回転軸124を中心として揺動自在となる。そして後述する図3に示すように、ヘッド130が、スイングの際に当該ヘッドの重量によって揺動することにより打球面の水平に対する角度が維持される。
即ち、両回転軸124を結ぶ直線によって、打球面131に平行かつ当該ヘッド130の重心を通過する回転軸が形成される。そして、パタークラブ100のスイングの際にヘッド130前記回転軸を中心として当該ヘッド130の重量によって揺動自在なヘッド揺動機構が、回転軸124及び軸孔133によって形成される。なお、嵌合部材120とヘッド130を連結した後、ヘッド130の底面から軸孔133に至る誘導溝には樹脂が注入され、嵌合部材120からのヘッド130の離脱を防止する。
次に図3を用いて本発明パタークラブ100の作用について説明する。競技者がグリップ111を両手で把持してアドレス位置からバックスイングをする際、シャフト110はX軸プラス側に傾く。この際、ヘッド130は自己の重量によって揺動し、打球面131は水平に対する角度を維持する。
また、スイングが開始されてからインパクトを経てフォロースルーに至るまでの間、シャフト110の水平に対する角度はX軸マイナス側に傾くが、この間もヘッド130は自己の重量によって揺動し、打球面131は水平に対する角度を維持する。つまり、バックスイング時にはシャフト110に対してヘッド130が相対的に反時計回りに揺動し、スイング時にはシャフト110に対してヘッド130が相対的に時計回りに揺動することで打球面の水平に対する角度を維持する。これにより、ヘッド130の姿勢はアドレス時からスイングが終了するまで維持されることになる。
このように、スイングの際の打球面131の水平に対する角度を維持することにより、いわゆるダフり気味又はトップ気味の打球を防ぎ、正確なパッティングを行うことが可能となる。また、その角度を維持するためには、過度の揺動による打球面の不安定を防止する必要がある。そのためには、アドレス時からスイング終了まで、ある程度ゆっくりしたスイングをする必要があるので、必然的に正確なパッティングに繋がる。
ここで図4に示すように、回転軸をヘッド外部に設けた場合、次に示すような問題が生ずる。
図4に示すように、バックスイングにおいては、ヘッドの重心がグリップ軸の延長線上に存在せず、これよりもX軸プラス方向,即ちスイング方向にぶれた状態となる。またスイングを開始して、インパクトを経てフォロースルーに至るまでは、シャフトに対して相対的に、ヘッドを含む回転軸以下がX軸マイナス方向,即ちスイングと逆方向に振り子のように回転運動する。その結果、ヘッドの重心がスイングと逆方向に移動し、フォロースルーの段階では、ヘッドの重心がグリップ軸の延長線上よりもX軸マイナス方向,即ちスイングと逆方向にぶれた状態となる。
このようなパタークラブの場合、競技者は、バックスイングの際にはグリップよりも前方にヘッドの重みを感じ、スイング中にはグリップがヘッドを追い越す感覚を覚え、フォロースルーの際にはグリップよりも後方にヘッドの重みを感じることになる。即ち、グリップとヘッド重心との相対的な位置関係の変動によって非常な打ちずらさを覚えることになる。
これに対して本実施形態に係るパタークラブ100は、両回転軸124が打球面131に平行かつ水平な一直線上に並んでおり、かつこの直線がヘッド130の重心を通過するようになっている。そして、この直線をヘッド130の回転軸として、これを中心にヘッド130が揺動するように設計されている。従って、図3に示すように、バックスイングからインパクトを経てフォロースルーに至るまで、グリップとヘッド重心との相対的な位置関係は変動せず、図4のようなパタークラブと比較して打ちやすい。特に、本実施形態の場合は、グリップ軸の延長線上に回転軸及びヘッド130の重心が配置される構造となっているので、競技者は、バックスイングからインパクトを経てフォロースルーに至るまで、一貫してグリップの延長線上にヘッド130の重みを感じることになる。
このように、本実施形態に係るパタークラブ100によれば、スイングの際にヘッド130の重心がスイング方向又はこれと逆方向にぶれることを防止し、スイングを安定させることができる。つまり回転軸の位置は、ヘッドの重心が最良であり、前述した引用文献1のようなグリップ寄りのものは打ちずらく、適切ではない。
最後に、本発明の変形例について説明する。
上記の実施形態では、図3に示すように、ヘッド130の重心がグリップ軸の延長線上に位置する例について説明したが、これに限らず、必ずしもヘッド130の重心はグリップ軸の延長線上に位置していなくとも良く、幾分延長線上からずれていても良い。この場合であっても、ヘッド130の回転軸がヘッド130の重心を通過することで、シャフト110に対しての重心の位置は固定されるからである。
図1は、本実施形態に係るパタークラブの斜視図である。 図2は、本実施形態に係るパタークラブの構造を表す組立図である。 図3は、本実施形態に係るパタークラブの作用を表す図である。 図4は、回転軸をヘッド外部に設けたパタークラブの作用を表す図である。
符号の説明
100…パタークラブ
111…グリップ
112…凸部
113…ボルト孔
121…ボルト
122…凹部
123…ボルト孔
124…回転軸
130…ヘッド
131…打球面
133…軸孔
まず請求項1に係る発明は、両手で把持するグリップ(111)を有するシャフト(110)と、該シャフトの先端に設けられ打球面(131)を有するヘッド(130)と、を備えるパタークラブ(100)であって、該パタークラブのスイングにより鉛直面内(図3のXY面内)で傾斜する前記シャフトに対して、前記ヘッドが、水平かつ前記打球面に平行かつ当該ヘッドの重心を通過する回転軸(両回転軸124を結ぶ直線)を中心として、当該ヘッドの重量によって揺動自在な、ヘッド揺動機構(回転軸124,軸孔133)をさらに備えることを特徴とするパタークラブである。
まず請求項1に係るパタークラブによれば、スイングにより鉛直面内で傾斜するシャフトに対して、水平かつ打球面に平行かつヘッドの重心を通過する回転軸を中心として、ヘッドの重量によってヘッドが揺動自在なので、スイングの際の打球面の水平に対する角度を維持することにより、いわゆるダフり気味又はトップ気味の打球を防ぎ、正確なパッティングを行うことが可能となると共に、スイングの際にヘッドの重心がスイング方向又はこれと逆方向にぶれることを防止し、スイングを安定させることができる。

Claims (3)

  1. 両手で把持するグリップを有するシャフトと、該シャフトの先端に設けられ打球面を有するヘッドと、を備えるパタークラブであって、
    該パタークラブのスイングの際に、前記ヘッドを、前記グリップの範囲よりも当該ヘッド寄りに設けられ、前記打球面及び地面に平行な回転軸を中心として、当該ヘッドの重量によって揺動させることにより、前記地面に対する前記打球面の角度を維持するための打球面角度維持機構をさらに備えることを特徴とするパタークラブ。
  2. 請求項1に記載したパタークラブであって、
    前記回転軸は前記ヘッドの重心を通過することを特徴とするパタークラブ。
  3. 請求項1又は2に記載したパタークラブであって、
    前記シャフトを、前記打球面に直交かつ前記地面に平行な第2回転軸を中心として回動させた後に固定することにより、ライ角を調整するためのライ角調整機構をさらに備えることを特徴とするパタークラブ。
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