JP2009067978A - 包接化合物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記式(1)で表わされる構造を有する化合物に金属塩を包接させた包接化合物。
(式中、R1は炭素数1〜20の2価の有機基、ケトン基、−C6H4−、−C6H4−CO−、−C6H4−(CH2)i−(iは1〜20の整数を示す。)、−C6H4−O−(Rx)i−(Rxはアルキレン基又はアルキレンオキシ基を表し、iは1〜20の整数を示す。)、−CO2−、又は−CO2−CH2−を表し、R2及びR3はそれぞれ水素、ハロゲン、重水素、又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、M1は炭素数2〜50のエチレン性不飽和結合を有する単量体由来の基を表し、mは0〜1000の整数を示し、nは1〜1000の整数を示す。Aは環状化合物を有する基を表わす。)
【選択図】なし
Description
光学用素子に用いられる透明なプラスチック材料としては、ポリメタクリレート、ポリカーボネート等が代表的であるが、これらは透明性、軽量性に優れているものの、屈折率がガラスに比べると低いという欠点を有している。
高屈折率の樹脂は、例えば、レンズにした場合に厚みを薄くでき、製品をコンパクトにすることが出来るという利点を有している。また、球面収差等の面でも有利となることから、近年、高屈折率樹脂の研究が盛んに進められている。
しかしながら、これまで報告されている含ヨウ素ポリマーの報告例はほとんどなく、合成例はあっても重合度の高いポリマーは得られていない(非特許文献1)。
以上のように、含ヨウ素ポリマーの合成と屈折率特性に関する報告例は少ない。
A.Jayakrishnan et al, J. Appl. Polym. Sci., 44, 743 (1992)
本発明によれば、以下の包接化合物及びその製造方法等が提供される。
1.下記式(1)で表わされる構造を有する化合物に金属塩を包接させた包接化合物。
2.前記M1が側鎖に重合性基を有する1に記載の包接化合物。
3.下記式(2)で表わされる構造を有する化合物に金属塩を包接させた包接化合物。
4.前記M2が側鎖に重合性基を有する3に記載の包接化合物。
5.前記Aの環状化合物がアザクラウンエーテル化合物である1〜4のいずれかに記載の包接化合物。
6.前記金属塩の対カチオンがLi、Na、K、Mg又はCaのイオンである1〜5のいずれかに記載の包接化合物。
7.前記金属塩の対アニオンがヨウ素、臭素又は塩素のイオンである1〜6のいずれかに記載の包接化合物。
8.上記1〜7のいずれかに記載の包接化合物から得られる薄膜。
9.上記1〜7のいずれかに記載の包接化合物、又は8に記載の薄膜を硬化させて得られる3次元硬化物。
10.上記1〜7のいずれかに記載の包接化合物、又は8に記載の薄膜を加熱又は活性エネルギー線を照射して硬化させる3次元硬化物の製造方法。
11.上記1〜7のいずれかに記載の包接化合物、8に記載の薄膜又は9に記載の3次元硬化物からなる光学用材料。
12.上記屈折率が1.45〜2.00である11に記載の光学用材料。
13.上記11又は12に記載の光学用材料からなる光学部品。
尚、包接化合物とは、空孔を持つ分子又は分子の集合体(ホスト)の中に、他の分子(ゲスト)が取り込まれている化合物の総称である。ホスト化合物として、シクロデキストリンやクラウンエーテル等の筒状、環状化合物が有名である。これらの化合物は空孔の大きさにより、取り込むゲスト分子の大きさに制約があることが知られている。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等がある。
R2及びR3は、それぞれ水素、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
クラウンエーテルの例としては、12−クラウン−4−エーテル、14−クラウン−4−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、18−クラウン−6−エーテル、ナフチル−12−クラウン−4、ジベンゾ−14−クラウン−4−エーテル、ベンゾ−12−クラウン−4−エーテル、ベンゾ−15−クラウン−5−エーテル、ベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、ジベンゾ−12−クラウン−4−エーテル、ジベンゾ−15−クラウン−5−エーテル、ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6−エーテル等を挙げることができる。
アザクラウンエーテルの例としては、1−アザ−15−クラウン−5−エーテル、1−アザ−18−クラウン−6−エーテル、ベンゾ−1−アザ−18−クラウン−6−エーテル、4,10−ジアザ−12−クラウン−4−エーテル、4,10−ジアザ−15−クラウン−5−エーテル、4,13−ジアザ−18−クラウン−6−エーテル、5,6,14,15−ジベンゾ−1,4−ジオキサ−8,12−ジアザシクロペンタデカ−5,14−ジエン等を挙げることができる。
チアクラウンエーテルの例としては、1−チア−15−クラウン−5−エーテル、1−チア−18−クラウン−6−エーテル、1,4,8,11−テトラチアシクロテトラデカン等が挙げられる。
単量体として、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸−β−エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸−β−プロピルグリシジル、α−エチルアクリル酸−β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸−3−メチル−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−3−エチル−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−メチル−4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸−5−メチル−5,6−エポキシヘキシル、3−エチル−3−オキセタニルメタクリレート、3−エチル−3−オキセタニルアクリレート等の不飽和二重結合を有する環状エーテル類;メチルアクリレート、イソプロピルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシルメタクリレート、2−メチルシクロヘキシルメタクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル メタクリレート(当該技術分野で慣用名として「ジシクロペンタニルメタクリレート」といわれている)、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート等のメタクリル酸環状アルキルエステル;シクロヘキシルアクリレート、2−メチルシクロヘキシルアクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル アクリレート(当該技術分野で慣用名として「ジシクロペンタニルアクリレート」といわれている)、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート等のアクリル酸環状アルキルエステル;フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸アリールエステル;フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアクリル酸アリールエステル;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシアルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、フェニルマレイミド、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート等が挙げられる。
mは0〜1000の整数であり、好ましくは1〜300である。
尚、m=0かつn=1の場合は、単量体を意味し、この場合も本発明に属する。
CHR2=CR3−R1−A (I)
CHR2=CR3−R1−X’ (II)
(式中、R1、R2、R3及びAは上記式(1)と同様である。X’は塩素原子等のハロゲン原子を示す。)
R6は、炭素数1〜20の2価の有機基である。例えば、メチレン基、エチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等の芳香族基、及びそれらの置換化合物、エステル基、カルボニル基が挙げられる。好ましくは、メチレン基、エステル基、カルボニル基である。
オキセタニル基を有する単量体として、例えば3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−ブチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−へキシル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
式(2)中のi、j又はkは、それぞれ0〜1000の整数であり、j+kは1以上である。i、j、kは、好ましくはそれぞれ0〜500である。
金属塩の対アニオンとしては、ヨウ素、臭素、塩素、フッ素等の各イオンが挙げられる。材料の屈折率を高めるためには、分極率を高めることが一般的な手法であり、分極率を高める要素して、分子屈折率の高いフッ素以外のハロゲン原子(ヨウ素、臭素、塩素)を導入することが好ましい。これらのD線に基づく分子屈折率は、ヨウ素:5.844、臭素:8.741、塩素:5.844、フッ素:0.81であり、ヨウ素の屈折率が極めて高いことから、金属塩の対アニオンとしてヨウ素原子を用いるのが好適である。
溶媒としては極性有機溶媒が使用でき、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルプロピオネート、ジメトキシエタン、グリコール類を用いることが好ましい。
ホスト化合物である上記式(1)又は(2)の化合物の溶液を撹拝しながら金属塩を含む溶液を添加、撹拌することで選択的に包接させることができる。
このような重合性基を有する単量体としては、例えば、上記の(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、オキセタニルメチル(メタ)アクリレート等を用いることが好ましい。
尚、上記式(1)のM1の骨格はラジカル重合で構成されているため、側鎖にはカチオン重合性基を導入することが好ましい。一方、上記式(2)のM2の骨格はカチオン重合で構成されているため、側鎖にはラジカル重合性基を導入することが好ましい。
熱ラジカル重合開始剤としては、特に制限されず公知のものが使用できる。代表的なものを例示すると、ベンゾイルパーオキシド、p−クロルベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシド、アゾイソブチロニトリル等のアゾ化合物である。
これらの重合開始剤は、重合性基に対して0.001〜5当量%の範囲で用いるのが一般的である。
アニオン重合開始剤としては、特に制限されず公知のものが使用できる。代表的なものを例示すると、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム、金属リチウム等が用いられる。
さらに、3次元硬化物の特性を高める目的で、シリカや酸化チタン等無機フィラーや有機フィラーを任意の割合で加えてもよい。
添加物としては、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリオレフィン、シロキサンポリマー等の各種ポリマーや、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、濡れ性改良剤等の各種添加剤を挙げることができる。また、各種感光剤を添加してもよい。
次に、ナスフラスコに、1−アザ−18−クラウン−6−エーテル0.790g(3mmol)をクロロホルム5mLに溶解させ、微量のヒドロキノンモノメチルエーテル、トリエチルアミン0.364g(3.6mmol)を加えて窒素雰囲気下にした。その後、4−ビニルベンゾイルクロリド0.60g(3.6mmol)をクロロホルム5mLで希釈し、1N塩酸で1回、飽和炭化水素ナトリウム水溶液で2回、水で2回洗浄を行い、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤をろ過後、溶液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)により単離を行った。得られた溶液を減圧留去することにより無色粘性液体の(6)を得た。構造確認は、IR、1H−NMRにより行った。
・IR(KRS、cm−1):1630、1510、1463、1121
・1H−NMR(600MHz、CDCl3):
δ(ppm) 3.59〜3.60(m、24H)、5.29〜5.31(m、1H)、5.77〜5.80(m、1H)、6.69〜6.70(t、1H)、7.37〜7.38(d、2H)、7.41〜7.42(d、2H)
室温にて解凍後、60℃で20時間反応させた。反応終了後、良溶媒としてテトラヒドロフラン、貧溶媒としてn−へキサンを用い、再沈精製を2回行った、溶液をデカンテーションし、減圧乾燥させることにより白色粘性固体である(7)を0.25g(収率:83%)得た。
得られた化合物の分子量をGPC法で測定したところ、数平均分子量1.29×104、分散度2.3であった。GPC法の測定条件は以下の通りであった。
(a)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(SEC):
東ソー株式会社製、ゲル浸透クロマトグラフィー(SEC)HLC−8020型
(b)カラム:TSKgelG1000H
(c)展開溶媒:DMF
(d)標準物質:ポリスチレン
ナスフラスコ(10ml)に式(6)の化合物0.3g(0.75mmol)をとり、DMF 1.0mlに溶解させた。開始剤としてAIBN 0.0040g(3mol%)を加え、60℃で20時間反応させた。反応母液をクロロホルムで希釈した後、ヘキサンに沈殿し乾燥させ固体を得た。1H−NMRにより式(7)の化合物であることを確認した。
図1に1H−NMRスペクトルを示す。
DMF 1.0mlに代えて、トルエン1.0mlを使用した他は、合成例3と同様にして式(7)の化合物を得た。
ナスフラスコ(10ml)に式(6)の化合物0.38g(1.0mmol)、開始剤としてAIBN 0.0049g(3mol%)をとり、DMF 0.33mlに溶解させた。それをアンプル管に移し、数回凍結・脱気をした後封管して60℃で20時間反応させた。反応母液をクロロホルムで希釈した後ヘキサンに沈殿し乾燥させそれぞれ固体を得た。1H−NMRにより式(7)の化合物であることを確認した。
図2に1H−NMRスペクトルを示す。
合成例3〜5の反応条件及び結果を表1に示す。
反応終了後、良溶媒としてクロロホルム、貧溶媒としてヘキサンを用いて沈殿させた。デカンテーション後、析出した固体を減圧乾燥させることにより固体を得た。構造確認は1H−NMRスペクトルにて行った。
式(6)の化合物の量を0.143g(0.375mmol)、スチレンの量を0.0389g(0.375mmol)(仕込み比50:50)とした他は、合成例6と同様にして、合成した。
式(6)の化合物の量を0.0746g(0.188mmol)、スチレンの量を0.0585g(0.563mmol)(仕込み比25:75)とした他は、合成例6と同様にして、合成した。
図3に1H−NMRスペクトルを示す。また、合成例6〜8の反応条件及び結果を表2に示す。
上記で合成した(7)0.1gをテトラヒドロフラン(1ml)に溶解させた。この溶液にそれぞれヨウ化カリウム(KI)、塩化カリウム(KCl)、又は臭化カリウム(KBr)0.1gを加え、60分間撹拌し、包接化合物を合成した。
包接前後の屈折率差を表3に示す。
Claims (13)
- 下記式(1)で表わされる構造を有する化合物に金属塩を包接させた包接化合物。
- 前記M1が側鎖に重合性基を有する請求項1に記載の包接化合物。
- 前記M2が側鎖に重合性基を有する請求項3に記載の包接化合物。
- 前記Aの環状化合物がアザクラウンエーテル化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の包接化合物。
- 前記金属塩の対カチオンがLi、Na、K、Mg又はCaのイオンである請求項1〜5のいずれかに記載の包接化合物。
- 前記金属塩の対アニオンがヨウ素、臭素又は塩素のイオンである請求項1〜6のいずれかに記載の包接化合物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の包接化合物から得られる薄膜。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の包接化合物、又は請求項8に記載の薄膜を硬化させて得られる3次元硬化物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の包接化合物、又は請求項8に記載の薄膜を加熱又は活性エネルギー線を照射して硬化させる3次元硬化物の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の包接化合物、請求項8に記載の薄膜又は請求項9に記載の3次元硬化物からなる光学用材料。
- 屈折率が1.45〜2.00である請求項11に記載の光学用材料。
- 請求項11又は12に記載の光学用材料からなる光学部品。
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