JP2009067027A - 型盤、型締め装置、射出成形機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可動型盤3の背面プレート32において、ピン孔100が形成されている領域の背面プレート32の板厚t3を、ピン孔100が形成されていない領域の板厚t4よりも大きくして形成する。また、ピン孔100の背面プレート32側の端部を、長円形または楕円形の断面形状とするのも好ましい。一方向に長い金型を金型取付プレート31に取り付ける場合、長円形または楕円形状とするピン孔100の端部は、その長径方向を、金型の長手方向に直交させる。背面プレート32において、ピン孔100が形成された部分の近傍に、金型取付プレート31側に凹となる凹部を形成したり、背面プレート32に開口部を形成するのも有効である。
【選択図】図2
Description
型盤を大型化した場合、成形のための圧力(型締力)を加えたときの、特に型盤の金型取付面側の変形を防ぐため、型盤を補強する必要が生じる。型盤を補強する構造としては、型盤の金型取付面の背面側にリブを設ける構造や、型盤を箱型とし、内部にリブを設ける構造のものがある(例えば、特許文献1参照。)。
このように、型盤の設計においては、型盤の変形を強く意識する必要がある。
このエジェクタは、可動型盤に形成されたピン孔にエジェクタピンが挿通され、このエジェクタピンをモータ・ボールねじ等によって可動型盤に対して相対的に進退駆動させることで、成形品を押し出す。
このとき、可動型盤には、前記のエジェクタピン用のピン孔が存在しているため、可動型盤の設計時においては、これらピン孔の周囲に作用する引張応力を考慮する必要があり、これをどう扱うかが設計時における大きな課題となっている。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、エジェクタピン用のピン孔による可動型盤への悪影響を抑え、型盤設計時の課題を軽減することのできる型盤、型締め装置、射出成形機を提供することを目的とする。
まず、背面プレートにおいてピン孔が形成された周囲の部分の板厚が、背面プレートにおいて残る部分の板厚よりも大きく形成された構成である。これにより、背面プレートにおいてピン孔が形成された周囲の部分の剛性が向上し、ピン孔の周囲に作用する引張応力を軽減することができる。
さらに、ピン孔は、背面プレートの金型取付プレートに対向する側において、エジェクタピンの外形形状に応じた断面形状とされ、エジェクタピンをその軸線方向に移動自在に保持するのが好ましい。
このような型締め装置は、射出成形機やダイカスト機に適用することができる。
図1に示すように、射出成形機1の型締め装置は、基台18に固定側の固定型盤2が固設され、固定型盤2に固定側金型4が取り付けられている。固定側金型4に対向する可動側金型5は、基台18に敷設されたガイドレール19にガイドされ、リニアベアリングを介して固定型盤2に対向して移動する可動側の可動型盤(型盤)3に取り付けられている。可動型盤3の移動(金型開閉移動)には油圧駆動の油圧シリンダまたは、モーター駆動のボールねじ22が用いられる。
なお、本実施例では、可動型盤3の支持構造をガイドレール19とリニアベアリングを使用する例を示しているが、ガイドレール19とリニアベアリングの代わりに、シューと摺動板を使用しても支障はない。
なお、本実施例では、タイバー15の先端部と半割りナット17との噛み合い部分をねじ溝15aとしているが、ねじ溝15aの溝形状は、三角ねじ、台形ねじなどの螺旋溝や、ノコ歯状などの平行溝など、半割りナット17とタイバー15とを、軸方向に締結できる溝形状であれば支障はない。
射出ユニットは、固定側金型4と可動側金型5が型締されることによって形成された金型キャビティの中に溶融樹脂を射出する。成形品が冷却固化した後は、可動側金型5は固定側金型4との型締結合を解き、移動用の油圧シリンダ22の作動により固定側金型4から離れて成形品を取出すようになっている。
図2に示すように、可動型盤3は、固定側金型4が取り付けられる金型取付面30Aが、所定の厚さを有した金型取付プレート31によって形成されている。金型取付プレート31から所定寸法離間した位置に、金型取付プレート31とほぼ平行に背面プレート32が配置されており、この背面プレート32が、可動型盤3において金型取付面30Aの反対面30Bを形成している。
金型取付プレート31と背面プレート32との間には、金型取付プレート31、背面プレート32の中央部に円筒状の中央リブ(筒状リブ)34が設けられている。
さらに、金型取付プレート31、背面プレート32の間には、金型取付プレート31、背面プレート32の対角線方向に延びる対角補強リブ37が、四隅の筒状部33のそれぞれと中央リブ34との間に設けられている。
これら外周補強リブ36、対角補強リブ37は、金型取付プレート31、背面プレート32の間を塞ぐように設けられている。
このようにして、可動型盤3は、全体として箱型形状をなしている。
本実施の形態においては、これらピン孔100の周囲に作用する応力の問題を解決するために、ピン孔100の周囲に関わる構成について複数の例を示す。
まず図2に示す例では、可動型盤3の背面プレート32において、ピン孔100が形成されている領域の背面プレート32の板厚t3を、ピン孔100が形成されていない領域の板厚t4よりも大きくして形成する。これにより、成形時に引張応力が作用する背面プレート32の剛性を、ピン孔100の周囲において有効に高めることができる。また、ピン孔100が形成されていない領域においては、板厚を大きくしないため、重量増を最小限に抑えることができる。
可動型盤3は射出時に移動するため、重量を低減すれば慣性力が減少し、可動型盤3の駆動機構に必要とされる力が少なくて済む。したがって、上記のように、可動型盤3の重量を抑えつつ、有効に剛性向上を図るのは非常に有効である。
例えば、上下方向に長い金型を可動型盤3に取り付けて型締めを行った場合、金型の取り付けられた上下方向は可動型盤3の剛性が向上する。したがって、型締めによって可動型盤3は水平方向に湾曲する変形が発生し、これに伴って背面プレート32に流れる力は水平方向が主体となる。このとき、ピン孔100の端部100aを、金型の長手方向に直交する方向、つまり水平方向に長径方向を有する長い長円形または楕円形としておけば、背面プレート32の力の流れる方向が、ピン孔100の長径方向に沿ったものとなるため、ピン孔100の孔周囲への応力集中を低減することが可能となる。
ところで、成形時には、背面プレート32の表面(金型取付プレート31からの距離が最も大きい位置)に引張応力が大きく作用する。したがって、ピン孔100の断面形状を長円形または楕円形とする範囲(端部100aの深さ)はわずかであっても上記したような効果が得られる。また、ピン孔100は、断面形状を長円形または楕円形とするのであれば、図3(b)に示すように、所定深さまで一定の断面形状を有するようにしても良いし、図3(c)に示すように、所定深さまで、その断面積が徐々に縮小するテーパ形状等としても良い。
また、断面形状を長円形または楕円形とする端部100aよりも金型取付プレート31側の部分100bは、エジェクタピンをその軸線方向に摺動自在に支持するよう、エジェクタピンの直径よりもわずかに大きい内径を有し、断面形状が一定なストレート孔とするのが好ましい。
背面プレート32においては、成形時には、金型取付プレート31からの距離が大きいほど、引張応力が大きく作用する。したがって、ピン孔100が形成された部分の近傍において、背面プレート32の表面32bを、他の部分の表面32bよりも可動型盤3の中立面よりに形成することで、この部分に作用する引張応力を低減することができる。
このようにして、可動型盤3の重量を増加させることなく、ピン孔100の周囲に生じる応力を低減させることができる。
このため、ピン孔100は、例えば円筒状の中央リブ34に形成するようにしても良い。中央リブ34以外に、ピン孔100を形成するための専用の柱状部または壁状部を、金型取付プレート31から背面プレート32側に延びるように設けても良い。
また、開口部60により、背面プレート32に、ピン孔100自体が形成されないため、可動型盤3の重量を増加させることもなく、ピン孔100の周囲に生じる応力という問題自体を回避することができる。
また、可動型盤3の構成については、上記したような箱型のものに限らず、様々な構成の可動型盤に本発明を適用することが可能であり、それにより上記と同様の効果を得ることが可能である。
さらに、上記実施の形態においては、射出成形機1を対象として本発明の例を説明したが、同様の型締め装置は、ダイカスト機にも適用することが可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
Claims (9)
- 金型が装着される型盤であって、
前記金型が装着される金型取付プレートと、
前記金型取付プレートと対向して設けられた背面プレートと、
前記金型取付プレートおよび前記背面プレートの四隅にて、タイバーに連結される連結部と、を備え、
前記金型取付プレートおよび前記背面プレートに、前記金型によって成形された成形品を脱型するためのエジェクタピンが挿通するピン孔が形成され、
前記金型で成形を行うために型締め力を作用させたときに、前記背面プレートの前記金型取付プレートから離間する側において、前記ピン孔の周囲に作用する引張応力を軽減する構造とされていることを特徴とする型盤。 - 前記背面プレートにおいて前記ピン孔が形成された周囲の部分の板厚が、前記背面プレートにおいて残る部分の板厚よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の型盤。
- 前記ピン孔は、少なくとも前記背面プレートの前記金型取付プレートから離間する側において長円形または楕円形の断面形状とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の型盤。
- 前記型盤に一方向に長い前記金型が装着されるとき、前記ピン孔は、その長径方向が、前記金型の長手方向に直交するよう形成されることを特徴とする請求項3に記載の型盤。
- 前記ピン孔は、前記背面プレートの前記金型取付プレートに対向する側において、前記エジェクタピンの外形形状に応じた断面形状とされ、前記エジェクタピンをその軸線方向に移動自在に保持することを特徴とする請求項3または4に記載の型盤。
- 前記背面プレートに、前記ピン孔が形成された位置を含む範囲に、開口部または前記金型取付プレート側に凹となる凹部が形成されていることとを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の型盤。
- 前記金型取付プレートと前記背面プレートの間に設けられ、前記金型取付プレートおよび前記背面プレートの中央部に位置する筒状リブと、
前記金型取付プレートと前記背面プレートの間に設けられ、前記筒状リブから前記連結部のそれぞれに延びる対角補強リブと、
前記金型取付プレートと前記背面プレートの間に設けられ、前記金型取付プレートおよび前記背面プレートの外周部に沿って、互いに隣接する前記連結部の間に設けられた外周補強リブと、をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の型盤。 - 金型が装着される一対の型盤と、
前記金型を開閉するため、一対の前記型盤の少なくとも一方を他方に対して進退駆動させる型盤駆動部と、を備え、
前記型盤のそれぞれは、
前記金型が装着される金型取付プレートと、
前記金型取付プレートと対向して設けられた背面プレートと、
前記金型取付プレートおよび前記背面プレートの四隅にて、タイバーに連結される連結部と、を備え、
前記金型取付プレートおよび前記背面プレートに、前記金型によって成形された成形品を脱型するためのエジェクタピンが挿通するピン孔が形成され、
前記金型で成形を行うために型締め力を作用させたときに、前記背面プレートの前記金型取付プレートから離間する側において、前記ピン孔の周囲に作用する引張応力を軽減する構造とされていることを特徴とする型締め装置。 - 金型が装着される一対の型盤と、
前記金型を開閉するため、一対の前記型盤の少なくとも一方を他方に対して進退駆動させる型盤駆動部と、
前記金型のキャビティに成形材料を射出する射出シリンダと、を備え、
前記型盤のそれぞれは、
前記金型が装着される金型取付プレートと、
前記金型取付プレートと対向して設けられた背面プレートと、
前記金型取付プレートおよび前記背面プレートの四隅にて、タイバーに連結される連結部と、を備え、
前記金型取付プレートおよび前記背面プレートに、前記金型によって成形された成形品を脱型するためのエジェクタピンが挿通するピン孔が形成され、
前記金型で成形を行うために型締め力を作用させたときに、前記背面プレートの前記金型取付プレートから離間する側において、前記ピン孔の周囲に作用する引張応力を軽減する構造とされていることを特徴とする射出成形機。
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