JP5720460B2 - 金型構造及び射出成形装置 - Google Patents

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Description

本発明は、金型構造及び射出成形装置に関し、詳しくは、射出成形装置に配設される金型構造を形成する技術に関する。
従来、例えば射出成形装置に配設される、固定型と可動型との間にキャビティが形成された金型構造の技術が知られている。このような金型構造が備えられた射出成形装置で射出成形を行った際に、射出時の固定型と可動型との間における接触面(パーティング部)の圧力分布に部分的な差が発生することがある。この場合、射出時の圧力によって、固定型と可動型とのキャビティ周辺におけるパーティング部に隙間が発生し、成形品にバリなどの成形不良が発生することがあった。
このような問題を解決するために、パーティング部の変形量を測定する機器を配設し、測定した変形量を補償するための変形補償装置を固定型又は可動型に配設する技術が公知となっている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平4−27516号公報
しかし、前記特許文献1に記載の技術においては、金型構造に対して前記の如く別途機器を配設する必要があるため、設備コストが増大する原因となっていた。
一方、図3に記載した金型構造においては、射出時の圧力よりも大きな圧力がパーティング部に加わるように成形機によって型締めを行い、バリなどの成形不良を防止する構成としている。このように構成した場合は、固定型及び可動型(成形部及びサポート部)の強度を確保するため、型材料として例えばJIS S55Cなどの機械構造用炭素鋼鋼材を用いて補強する必要があった。
しかし、上記の如く構成した場合は、鋼材の塊から製品形状部を一体構造で削り出す必要がある。つまり、強度確保のために重量の大きな鋼材を加工することから、作業時間が長くかかり、加工コスト及び材料コストの肥大化の原因となっていた。また、金型に加わる圧力に対して変形やたわみを起こさない剛性を確保するために、複雑な機械加工を行う必要があるため、加工コストの増加に繋がっていた。
そこで本発明は、別途機器を配設せずに、射出時に受ける圧力によって固定型と可動型とのキャビティ周辺のパーティング部におけるバリなどの成形不良の発生を防止し、加工コストや材料コストを抑制することが可能な、金型構造及び射出成形装置を提供するものである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、固定型と、該固定型に対して近接離間可能に配設された可動型と、を備え、前記可動型が前記固定型に近接した際に、前記固定型と前記可動型との間にキャビティが形成される、金型構造であって、前記固定型と前記可動型とのうち少なくとも何れか一方は、前記キャビティを形成するキャビティ面が形成された成形型と、前記成形型における前記キャビティ面の反対側に配設されて前記成形型を支持し、前記可動型の近接離間方向に弾性変形可能なサポート部材と、を備え、前記サポート部材は、前記可動型の近接離間方向に軸心方向を有し、前記成形型における前記キャビティ面の反対側で分散して配置される複数のサポート柱を備えるとともに、前記固定型と前記可動型とが近接した際に前記サポート柱が前記軸心方向に弾性変形することによって、前記固定型と前記可動型との接触面に発生する成形圧力のエネルギーを吸収し、前記軸心方向に直交する平面における、それぞれのサポート柱の断面積を調整することにより、前記接触面に発生する成形圧力が均一になるように、前記サポート部材における剛性の分布が定められるものである。
請求項2においては、前記サポート部材は鋳造によって成形されるものである。
請求項3においては、請求項1又は請求項2に記載の金型構造を備えるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
本発明により、別途機器を配設せずに、射出時の圧力によって固定型と可動型とのキャビティ周辺におけるパーティング部におけるバリなどの成形不良の発生を防止し、加工コストや材料コストを抑制することが可能となる。
本実施形態に係る金型構造を備えた射出成形装置の開口状態を示した概略図。 (a)は本実施形態に係る金型構造を備えた射出成形装置の閉塞状態を示した概略図、(b)は(a)におけるA−A線断面図、(c)は(a)におけるB−B線断面図。 (a)は従来技術に係る金型構造の閉塞状態を示した概略図、(b)は(a)におけるX−X線断面図。
次に、発明の実施の形態を説明する。
なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
[射出成形装置10の構成]
本発明の一実施形態に係る金型構造を備えた射出成形装置10の概略について、図1及び図2を用いて説明する。
図1及び図2に示す如く、射出成形装置10は、鋼製の固定型20と、固定型20より下方に、固定型20に対して近接離間可能に配設された可動型30と、を備えた金型構造を具備する。そして、可動型30が固定型20に近接した際に、図2(a)及び(b)に示す如く固定型20におけるキャビティ面20aと可動型30におけるキャビティ面33aとの間にキャビティCが形成されるのである。
また、固定型20にはキャビティCの内部に溶融樹脂を射出するノズル15が配設されている。そして、射出成形装置10は射出成形装置10の各部を制御する制御装置11と、この制御装置11により制御される、ノズル15に溶融樹脂を供給する射出機13、及び、可動型30を作動(本実施形態においては上下動)させることにより金型構造を開閉する駆動装置12、とを備えている。
そして、射出成形装置10は、図1に示す開口状態から、制御装置11によって駆動装置12を駆動し、可動型30を上方の固定型20に近接させてキャビティCを形成し、図2(a)に示す閉塞状態とする。その後、制御装置11によって射出機13を駆動し、ノズル15を介してキャビティCに溶融樹脂を射出し、射出成形を行うのである。
本実施形態においては、図1に示す如く、正面視で固定型20を凹形状に、可動型30を凸形状に形成している。これにより、図2(a)及び(b)に示す如くキャビティCを曲面形状に形成し、前後左右に略U字状に湾曲した成形品を成形する構成としている。
本実施形態における可動型30は、基部31と、サポート部材32と、成形型33と、を備えている。具体的には、成形型33は鋼材又は鋳物を加工することにより、前記の如くキャビティCを形成するキャビティ面33aが形成されている。
なお、本実施形態においては、可動型30のみがサポート部材32と成形型33とを備える構成としたが、固定型20のみ、又は、固定型20と可動型30との双方がサポート部材及び成形型を備える構成とすることも可能である。
また、サポート部材32は鋳造によって成形され、成形型33におけるキャビティ面33aの反対側で鋼製又は鋳物製の基部31の上面に配設されて成形型33を支持する。さらにサポート部材32は、可動型30の近接離間方向である上下方向に軸心方向を有する複数のサポート柱32a・32a・・・を備えることにより、上下方向に弾性変形可能な剛性を有する。
そして、本実施形態に係る金型構造は、固定型20と可動型30とが近接した際にサポート部材32が弾性変形するように構成されている。具体的には、図1に示す射出成形装置10の開口状態におけるサポート部材32の上下方向長さD1に対して、図2に示す射出成形装置10の閉塞状態においては、サポート部材32は固定型20からの型締め圧によって弾性変形し、上下方向長さD2がD1よりも短くなるのである。
このように構成することにより、固定型20と可動型30とが近接した際に、サポート部材32が固定型20と可動型30との接触面であるパーティング部Pに発生する成形圧力のエネルギーを吸収している。
そして、サポート部材32における剛性の分布は、接触面であるパーティング部Pに発生する成形圧力が略均一になるように定められている。即ち、サポート部材32の弾性変形による反力を、パーティング部Pにおいて略均一に作用させることにより、キャビティC周辺におけるパーティング部Pに隙間が発生することを防止し、バリなどの成形不良を防止しているのである。
具体的には、軸心方向に直交する平面による、それぞれのサポート柱32a・32a・・・の断面積を調整することにより、サポート部材32における剛性の分布が定められるのである。つまり、図2(c)に示す如く、サポート部材32の部位によって、サポート柱32a・32a・・・の径を変更することにより、剛性の大きい部分(サポート柱32aの断面積が大きい部分)及び剛性の小さい部分(サポート柱32aの断面積が小さい部分)を形成し、剛性の分布を定めるのである。
なお、このようにサポート部材32の剛性の分布を定める際には、サポート部材32の鋳造後の冷却時における縦弾性係数の変化を考慮することにより、サポート部材32の弾性変形及びそれによる反力の設定精度を高めることが可能となる。
上記の如く、本実施形態に係る金型構造を備えた射出成形装置10によれば、金型構造に対して別途機器を配設する構成ではないため、設備コストが増大することがない。
また、固定型20と可動型30とが近接した際にサポート部材32が弾性変形して、パーティング部Pに発生する成形圧力のエネルギーを吸収する構成としている。このように、本実施形態は剛体構造によって強度を確保する構成ではなく、弾性変形を許容する柔構造であるため、重量の大きな鋼材を加工する必要がない。つまり、金型の成形のために長い作業時間を必要としないことから、加工コスト及び材料コストを低減させることができる。また、剛性を確保するための複雑な機械加工も不要となることも加工コストの抑制に繋がるのである。
さらに、本実施形態に係る金型構造においては、それぞれのサポート柱32a・32a・・・の断面積を調整することにより、サポート部材32における剛性の分布を簡易な構成で定めることができる。
また、サポート部材32を鋳造によって成形することにより、金型構造に加わる圧力に対して、成形型33や基部31などの剛体構造を適切に配置することが可能となる。このため、金型に加わる圧力に対する剛性を確保するための複雑な機械加工を最小限とすることができ、加工コストを抑制することが可能となるのである。
上記の如く、本実施形態に係る金型構造を備えた射出成形装置10によれば、別途機器を配設せずに、射出時の圧力によって固定型20と可動型30とのキャビティC周辺におけるパーティング部Pにおけるバリなどの成形不良の発生を防止し、加工コストや材料コストを抑制することが可能となるのである。
10 射出成形装置
20 固定型
30 可動型
32 サポート部材
32a サポート柱
33 成形型
33a キャビティ面

Claims (3)

  1. 固定型と、該固定型に対して近接離間可能に配設された可動型と、を備え、前記可動型が前記固定型に近接した際に、前記固定型と前記可動型との間にキャビティが形成される、金型構造であって、
    前記固定型と前記可動型とのうち少なくとも何れか一方は、
    前記キャビティを形成するキャビティ面が形成された成形型と、
    前記成形型における前記キャビティ面の反対側に配設されて前記成形型を支持し、前記可動型の近接離間方向に弾性変形可能なサポート部材と、を備え、
    前記サポート部材は、前記可動型の近接離間方向に軸心方向を有し、前記成形型における前記キャビティ面の反対側で分散して配置される複数のサポート柱を備えるとともに、前記固定型と前記可動型とが近接した際に前記サポート柱が前記軸心方向に弾性変形することによって、前記固定型と前記可動型との接触面に発生する成形圧力のエネルギーを吸収し、
    前記軸心方向に直交する平面における、それぞれのサポート柱の断面積を調整することにより、前記接触面に発生する成形圧力が均一になるように、前記サポート部材における剛性の分布が定められる、
    ことを特徴とする、金型構造。
  2. 前記サポート部材は鋳造によって成形される、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の金型構造。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の金型構造を備えることを特徴とする、射出成形装置。
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