JP2009066032A - 取手部材及びこの取手部材を備えた遊技機用筐体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 遊技機の筐体等の装着対象に形成された貫通孔に装着される取手部材10であって、貫通孔の一側開口から挿入され、一端側が当該貫通孔の一側開口周縁に当接して係止するとともに、他端側が当該貫通孔の他側開口から突出するベース部20と、ベース部20の貫通孔からの突出部分に嵌合し、当該ベース部20を貫通孔に脱落不能に固定するカバー部30とを備え、嵌合したベース部20及びカバー部30が、貫通孔の一側開口から他側開口に連通するとともに当該他側開口側で閉塞される手掛け用空間を形成する構成としてある。
【選択図】 図1
Description
ところで、テレビなどの電気製品や厨房機器、大型の家具、スロットマシン等の遊技機などは、かなりの本体重量を有するものもあるため、それらに備えられる取手も、運搬者が運搬し易い形状、大きさであることが望ましい。
ここで、このような取手部材は、構成する部品点数や製造コスト、筐体側に取り付ける際の作業負担や作業コスト等を考慮する必要があり、過度のコストや労力を費やすことは、取手の機能とコストとのバランスを損なうことになる。
従って、可能な限り労力やコストをかけることなく、取手部材を構成することが重要である。
このような構造の取手部材の場合、筐体に穿設した貫通孔から湿気や異物、害虫等が侵入し、筐体内部に変質、故障等が生じる可能性があり、また、特にスロットマシン等の遊技機の場合には、貫通孔を介して筐体内の装置を不正に操作されるおそれがある。
例えば、特許文献1には、ヒンジ部を介して連結された枠体を組み立てて断面L字形状の手掛け空間を構成した取手孔カバーを、遊技機用筐体に形成した取手孔に嵌着する取手構造が提案されている。
また、特許文献2には、有底筒状の取手孔カバーを遊技機用筐体の取手孔に挿入して手掛け空間を形成し、取手孔カバーに一体的に形成された可動式のフックを取手孔の周縁に係止させて取手孔カバーを固定する取手構造が提案されている。
一方、特許文献4には、手指を差し込むための手掛け空間を袋状に大きく確保した手掛け部材を筐体の取付開口部に挿入し、フランジ部と挟持片で筐体開口部の壁縁を挟持することで手掛け部を筐体側に簡易かつ堅固に装着させることができる取手構造が提案されている。
以上のような取手部材を備えた取手構造によれば、運搬の際の労力の軽減と筐体内の外部からの密閉・遮断の両立を図ることが可能となった。
まず、特許文献1記載の取手構造は、ヒンジ構造によって取手部材で形成される手掛け空間の奥行きを確保しつつワンパーツでの製品化を実現しているが、取手部材の筐体への固定手段が具体的に示されておらず、また、筐体の取り付け孔に対して一方向(外側)から挿入して取り付ける構造となっているため、取手部材が外部から容易に取り外されてしまうおそれがあり、安全性やセキュリティの面で問題があった。
このため、手掛け空間のホールド性が悪く、運搬時に非常に持ちにくい形状となってしまい、特に大重量の筐体や遊技機の取手構造としては作業者への負担が増大する等の問題があった。
最近のスロットマシン遊技機では、多くの部品に加えて液晶表示装置などの大重量のユニットが備えられ、筐体の重量が増しており、特許文献2に記載されているようなホールド性の悪い取手部材では、作業者への負担が増大する等、操作性・作業性の面で問題があった。
また、取手部材のパーツ同士の組立、及び筐体側への取り付けが、ネジを用いて固定される構造となっているため、作業工数やコストが増大するという問題もあった。
ただ、この特許文献4の取手構造は、手指のホールド性を確保するために内部空間を大きくしており、そのために、取手部材にヒンジを設ける構造となっており、使用できる樹脂(PPなど)が限定されるとともに、必要な強度が十分に得られない場合もあった。また、ヒンジを介して連結されるパーツは、成型のための金型構造もやや複雑なものとなり、成型性・生産性の点で改良の余地があった。
また、請求項5に記載するように、ベース部とカバー部が嵌合した状態で、当該カバー部から貫通孔の一側開口に向かって湾曲する屈曲部を備える構成とすることができる。
そして、以上のような本発明に係る取手部材は、請求項6に記載するように、取手部材装着用の貫通孔と、この貫通孔に装着される取手部材を備えた遊技機用筐体において、取手部材を上記のような本発明に係る取手部材により構成することができる。
そして、取手部材を装着することで、貫通孔を閉塞して密閉・封止でき、外部からの筐体内部への侵入等を確実に防止することができる。
本発明に係る取手部材は、ベース部を貫通孔内に挿入し、そのベース部の貫通孔から突出する突出部にカバー部を嵌合させるだけで、ワンタッチで取手部材を貫通孔に固定でき、簡易かつ堅固に筐体側に装着でき、ネジ止め等の固定手段等も一切必要なく、筐体内への不正な侵入・アクセス等を防止することができる。
一方、筐体内側からはベース部とカバー部の嵌合を随時解除することができ、取手部材を筐体側に簡易かつ確実に着脱させることができ、組立や交換等の作業は容易に行うことができる。
特に、ベース部とカバー部の間に、嵌合位置を位置決めして、嵌合状態を保持するための爪部とアンカー部等からなる係脱可能な係合手段を備えることで、ベース部とカバー部を確実かつ安定して嵌合させることができる。
従って、ベース部及びカバー部を任意の形状・大きさに形成することで、筐体の保持・運搬の際の作業者の手指の収容スペースが確保され、指先が取手部材の内面に当接・干渉することがなくなり、取手部材の存在によって作業者の手や指が制限されず、作業者が作業を行い易いように、好みに応じた持ち方を自由に選択することができ、筐体を安定して保持・運搬等することができるようになる。
また、取手部材の内周面の手指に最も負荷が係る上側内面は、カバー部を延設して湾曲状の屈曲部を形成することにより、作業者の手指を傷めることなく、手や指への負担の軽減と安全が確保されるとともに、手にしっかり馴染むことで筐体を確実に保持できるようになる。
また、ベース部及びカバー部は左右不問に取り付け可能な形状とすることができ、筐体の左右等に装着される取手部材は共通のものを使用でき、部品点数を削減できるとともに、取手部材の取り付けも、作業者が部品の左右等を意識することなく行うことができ、作業効率も向上する。
従って、本発明の取手部材によれば、きわめて単純で安価な構造のみによって、掴みやすく、運びやすく、かつ、手指等を傷めることのない、保持・運搬等の作業を円滑に行うことができる取手部材を提供することができる。特に、スロットマシン遊技機や、テレビや厨房機器、大型家具のような比較的大重量の製品に備えられる取手部材に好適である。
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る取手部10の外観を示す斜視図である。
図3は、本実施形態に係る取手部材10が装着されるスロットマシン遊技機を示す、遊技機の前扉を開いた状態の斜視図である。
図4は、本実施形態に係る取手部材10のベース部20を遊技機筐体に装着する場合の斜視図であり、図5は、遊技機筐体に装着された取手部材10のベース部20を示す要部断面側面図である。
また、図6は、本実施形態に係る取手部材10のカバー部30の装着手順を示す要部断面側面図である。
さらに、図7は、本実施形態に係る取手部材10を装着した筐体を手で保持した状態を示す要部断面側面図である。
ここで、本実施形態では、取手部材10が備えられる筐体1aが、スロットマシン1を構成する筐体となっている。
近年のスロットマシン遊技機は、多くの部品に加えて液晶表示装置などの大重量のユニットが備えられ、筐体の重量が増している。そこで、本実施形態では、このように大重量化したスロットマシンの取手構造として、本発明に係る取手部材10を適用するものである。
但し、スロットマシン以外の遊技機の筐体について、本発明に係る取手部材10を適用できることは勿論である。
スロットマシン1は、図3に示すように、正面側に開口した筐体1aと、筐体1aの正面側開口を開閉可能に覆う前扉1bを備えるスロットマシン遊技機であり、複数のリールを回転させることによって入賞遊技媒体を獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
そして、この筐体1aの左右両側面に、手掛け用の貫通孔2が穿設され、この貫通孔2に取手部材10が装着されることで、貫通孔2が取手部材10によって覆われ、筐体内が貫通孔2を介した外部から密閉・封止されるようになっている。
前扉1bは、スロットマシン1の筐体1aにヒンジ等を介して開閉自在に取り付けられる扉体で、この前扉1bに前面パネルとその他各部が備えられてスロットマシン1の正面部を構成している。
なお、スロットマシン1を構成する各部・各所の機械、装置等やそれらの制御は、従来公知のものと同様であり、ここでは詳細な説明は省略する。
そして、このような構成からなるスロットマシン1の筐体1aの左右側壁に貫通孔2が穿設され、この貫通孔2にそれぞれ取手部材10が装着されることにより、スロットマシン1の内部を遮蔽しつつ、ホールド性の良い広い手掛け用空間が形成されるようになっている。
例えば、開閉可能な前扉は、スロットマシン1の筐体1aでは、図3に示すように、片開きタイプの扉となっているが、これが両開きタイプの2枚の前扉が備えられるものであってもよく、また、スライド開閉されるタイプの扉であってもよい。また、テレビなどの電気製品の筐体であれば、開閉可能な扉体も備えられなくてよい。
貫通孔2は、筐体1aの壁面に穿設された筐体内外に連通した貫通孔で、本実施形態では、筐体1aの左右両側面に形成されている。
具体的には、貫通孔2は、それぞれが、長方形状や長楕円形状等に穿設され、少なくとも作業者(一般成人)の手の平が挿入可能な大きさに形成されている。
これにより、筐体1aを持ち上げる場合に、荷重の掛かる手指の根元付近の挿入を確保することができ、筐体1aを確実に保持することができる。
なお、本実施形態では、貫通孔2の筐体外側の周縁が掘り下げられた形状となっており、貫通孔2に装着された取手部材10のフランジ部21が、筐体表面から突出しないでほぼ面一となるようになっている(図5参照)。
このようにすることで、取手部材10の厚みを筐体壁部の厚みとほぼ同様にすることができ(図6(d)参照)、取手のホールド性を向上させることができる。
取手部材10は、貫通孔2に装着されることで、筐体1aの内側から貫通孔2を覆う密閉・封止部材であり、本実施形態では、図1及び図2に示すように、互いに嵌脱可能に嵌合するベース部20とカバー部30とで構成されている。
そして、ベース部20とカバー部30が嵌合した状態で、貫通孔2に脱落不能に装着され、嵌合したベース部20及びカバー部30によって、貫通孔2の筐体外側開口から筐体内側開口に連通する手掛け空間が形成され、この手掛け空間が筐体内側で閉塞されるようになっている。
なお、取手部材10のベース部20及びカバー部30は、容易に変形・破損しないABS等の合成樹脂により形成することが好ましい。
また、ベース部20とカバー部30は、各々独立した別パーツによって構成されるため、手指の挿入空間は最適な形状・大きさに構成でき、成型用の金型も単純化できる。
具体的には、ベース部20は、貫通孔2の開口周縁に当接するフランジ部21と、フランジ部21から連続して、貫通孔2の筐体外側開口から挿入されて筐体内側開口から突出する、上方及びフランジ部21側に開口した中空状の突出部22とで構成されている。
フランジ部21の中央部分は、手指が挿入可能な正面開口部21aが形成され、突出部22と連通している。この正面開口部21aは、少なくとも作業者の手の平が挿入可能な大きさに形成されている。
また、正面開口部21aの開口内周縁は、フィレット加工等により丸みをもって形成された屈曲部21bが形成されており、作業者の手指を傷つけることなく良好に保持・運搬できる形状となっている(図7参照)。
なお、上述したように、本実施形態では、貫通孔2の筐体外側の周縁が掘り下げられた形状となっており、貫通孔2の周縁に当接するフランジ部21は、周縁掘り下げ部分に係合して、筐体表面から突出しないでほぼ面一となって装着されるようになっている(図5、図7参照)。
この上方開口部22aに、カバー部30の下端(下端嵌合部31)が嵌入されて、ベース部20とカバー部30が嵌合されるとともに、正面開口部21aから上方開口部22a、カバー部30と連通する手掛け空間が形成されるようになっている。
そして、この突出部22の側面には、図1に示すように、爪部23が形成されており、後述するように、カバー部30のアンカー部33と係合し、ベース部20とカバー部30の嵌合が位置決めされて、嵌合状態が保持・固定されるようになっている。
リブ24は、突出部22の挿入方向に向かって傾斜する斜面を備え、本実施形態では、3つの斜面突条からなるリブ24が、突出部22のほぼ中央に突設されている。
このリブ24は、突出部22が貫通孔2に挿入される際に、斜面が貫通孔2の下側内周に摺接するようになっている。そして、フランジ部21が貫通孔2に当接する位置まで突出部22が挿入された状態で、リブ24は貫通孔2を通過して斜面後端の立ち上がり面が、貫通孔2の筐体内側の開口周縁に当接・係止するようになっている(図5参照)。
このようなリブ24を備えることにより、突出部22の挿入時はリブ24の斜面が貫通孔2の下側内周に摺接して、突出部22は滑らかに貫通孔2内を移動する。そして、突出部22が完全に挿入された状態では、リブ24が貫通孔2の開口周縁に係止してストッパとなり、突出部22の戻り(脱落)が防止されるようになる。なお、リブ24の数や形成位置、斜面の傾斜等は、適宜設定することができる。
具体的には、カバー部30は、図1に示すように、ベース部20の突出部22に上方から嵌合する下端嵌合部31と、下端嵌合部31から連続する、突出部22の上方開口(上方開口部22a)を閉塞する中空状の閉塞部32とで構成されている。本実施形態では、カバー部30の下端嵌合部31が、ベース部20の突出部22の上方開口部22aの内側に嵌入されるようになっており、嵌合したベース部20及びカバー部30が、貫通孔2の筐体外側開口から筐体内側に連通するとともに、筐体内側において閉塞部32により閉塞された断面ほぼL字形状の手掛け用空間を形成するようになっている(図6(d)、図7参照)。
そして、この下端嵌合部31には、カバー部30の底面及び底面から連続する下側正面に開口した連通開口部31aが形成され、この連通開口部31aが、ベース部20の上方開口部22a及び正面開口部21aと連通することで、筐体外側から筐体内側に連通する手掛け空間が構成されるようになっている。
具体的には、屈曲部31bは、連通開口部31aの正面上側の開口内周縁が湾曲形状に延設されて、ベース部20とカバー部30が嵌合した状態で、カバー部30から貫通孔2の一側開口に向かって湾曲形状となるように形成されている。
このような屈曲部31bを備えることで、ベース部20側の屈曲部21bとともに連続して、取手部材10の内周面の手指に最も負荷が係る上側内面を湾曲状にすることができ、作業者の手指を傷めることなく、手や指への負担の軽減と安全が確保されるとともに、手にしっかり馴染むことで筐体を確実に保持できるようになる。
従って、この閉塞部32の中空部分の形状、大きさが、手掛け空間を規制することになるので、ホールド性や筐体内部の部品配置、空きスペース等を考慮して、閉塞部32を最適な形状、大きさ等に設定することが好ましい。
本実施形態では、図7に示すように、作業者の手指が第二関節まで挿入されても指先が閉塞部32の奥端に接触・干渉しないギリギリの大きさに形成してあり、また、閉塞部32の先端(奥端)の形状は、図1及び図2に示すように、手指の先端形状に対応して角部に丸みを持たせた形状としてある。
このアンカー部33とベース部20の爪部23は、ベース部20とカバー部30の嵌合が完了する位置において、アンカー部33が爪部に係合し、ベース部20とカバー部30の嵌合が位置決めされるようになっている。そして、互いに係合したアンカー部33と爪部23の係合によって、ベース部20とカバー部30の嵌合状態が保持・固定されるようになっている。
このような爪部23とアンカー部33を備えることで、カバー部30をベース部20の上方開口部22aに嵌入させると、アンカー部33の先端が爪部23の斜面に摺接しながら移動して、アンカー部33が爪部23の斜面頂点部を乗り越えた時点で、アンカー部33の凹部が爪部23に係合し、嵌合が完了・位置決めされる。
これによって、ベース部20とカバー部30の嵌合は、カバー部30をベース部20に向かって押し込むだけで自動的に完了し、容易、迅速かつ確実に取手部材10の組立、筐体1aへの装着が行える。
なお、アンカー部33と爪部23は、いずれか一方がベース部20に備えられ、もう一方がカバー部30に備えられれば、本実施形態とは逆に、アンカー部33をベース部20に備え、爪部23をカバー部30に備えるようにしても良い。
また、互いに係脱可能な係合構造であれば、爪部とアンカー部という構成以外のものであっても良い。
具体的には、リブ34は、カバー部30のベース部20(突出部22)への嵌入方向に向かって傾斜する斜面を備え、本実施形態では、3つの斜面突条がカバー部30の背面の中央及び左右にほぼ等間隔に突設されている。
このリブ34は、カバー部30の下端嵌合部31が突出部22の上方開口部22aに嵌入される際に、斜面が上方開口部22aの内側に摺接するようになっている。そして、カバー部30がベース部20と嵌合した状態で、斜面の頂点部から連続するカバー部背面と平行となる直線部分が突出部22の内壁に当接し、カバー部30を貫通孔2側に付勢するようになっている(図6(d)参照)。
そして、下端嵌合部31が完全に嵌入された状態では、リブ34が、嵌入されたカバー部30を筐体側に密着させるスペーサとなり(図6(d)参照)、組み立てられた取手部材10を筐体側に密着させて、手指のホールド性を向上させることができる。
そして、爪部23とアンカー部33の係合により嵌合が完了すると、カバー部30は、リブ34の斜面から連続する直線部分によって筐体1a側に付勢・押圧されて、筐体1aと密着した状態となる。
これにより、取手部材10を装着した状態で作業者が把持する厚みD(=B+C)を、筐体1aの厚みBに可能な限り近づけることができる。すなわち、取手部材10を装着しても、作業者が把持する厚みDは、取手部材10の肉厚分(厚みC)しか寸法が変わらず、運搬しやすいホールド性を確保することができる。
また、このようにカバー部30を筐体側に引き込めることで、カバー部30をベース部20と隙間なく連続させることができ、作業者の手指に最も荷重がかかる手掛け空間の上側内周面に大きな丸みを持たせることができ、運搬時に手を痛めることのない取手構造を実現することができる。
なお、リブ34の数や形成位置、斜面の傾斜等は、適宜設定することができる。
例えば、リブ34は、本実施形態では、カバー部30側に形成してあるが、これをベース部20側に形成しても良い。すなわち、リブ34などで形成される当接手段は、ベース部20とカバー部30が嵌合した状態で、カバー部30を貫通孔2の開口周縁に付勢、当接させつつ、カバー部30を筐体1a側に密着させることができる限り、ベース部20又はカバー部30のいずれに設けることもでき、ベース部20及びカバー部30の双方に形成することもできる。
まず、取手部材10のベース部20を、筐体1aの貫通孔2に挿入して装着する。
図4(a)に示すように、筐体1aの外側から、ベース部20の突出部22側を貫通孔2に位置合わせして挿入する。
貫通孔2は、ベース部20の突出部22が挿入可能な形状となっており、また、突出部22の底面には、挿入方向に向かって傾斜したリブ24が形成してあるので、ベース部20は貫通孔2内を滑らかに移動して挿入される。
ベース部20のフランジ部21が筐体外側の貫通孔2の開口周縁に当接した時点で、ベース部20の挿入が完了する(図4(d)及び図5に示す状態)。
この状態では、リブ24が貫通孔2の開口周縁に係止してストッパとなり、突出部22の戻り(脱落)が防止される。
まず、図6(a)に示すように、カバー部30の下端嵌合部31の連通開口部31aを筐体側に向けて位置合わせして、突出部22の上方開口部22aに嵌入させる。
具体的には、突出部22の上方開口部22aに位置合わせしたカバー部30を下方に押圧・移動させると、カバー部背面のリブ34の斜面によって、カバー部30は筐体1a側に引き込まれつつベース部20に嵌入されていく(図6(b)参照)。
この状態では、カバー部30は、リブ34の斜面から連続する直線部分によって筐体1a側に付勢・押圧されて、筐体1aと密着した状態となり、下端嵌合部31がベース部20の突出部22の上方開口22a内で水平方向に移動不能に規制された状態で嵌合し、ガタつきなくベース部20に固定される。
そして、ベース部20は、カバー部30が嵌合されたことにより、貫通孔2に対して脱落不能に固定・装着される。
なお、以上のようにして装着される本実施形態の取手部材10は、左右不問に取り付け可能な形状であることから、筐体1aの左右の各貫通孔2について同様にして装着することができる。
従って、本実施形態の取手部材10によれば、部品点数を削減できるとともに、装着作業も、作業者が左右の別を意識することなく行えるので作業効率も向上する。
同図に示すように、本実施形態では、取手部材10の内周面の手指に最も負荷が係る上側内面は、断面形状が丸みを帯びるようにフィレット加工等を施して屈曲部21b,31bが形成してあり、これにより、作業者の手指を傷めることなく、手や指への負担の軽減と安全が確保されるとともに、手にしっかり馴染むことで筐体1aを確実に保持することができる。
また、同図に示すように、取手部材10を装着した筐体1aの厚みは、一般成人の屈曲した指の基節の内側部分の長さとほぼ一致するように、筐体1aの側壁の板厚(例えば約15mm)とほぼ同様の厚みとすることができる(図6(d)参照)。
本実施形態では、この部分を取手部材10の上側に当接させて、筐体1aを保持することができるように、取手部材10を装着した貫通孔2の上側の厚みと屈曲した指の基節の内側部分の長さを一致させることで、取手部材10を装着した貫通孔2の上側と屈曲した指の基節の内側部分の密着性を高めることができ、筐体1aを確実に保持できるようにしてある。
これにより、運搬の際の運搬者の指や手の収容スペースが確保されるため、取手部材10の存在により運搬者の手や指が制限されず、運搬者の好みに応じた持ち方を選択することができ、安定したスロットマシン1の支持が確保される。
本実施形態に係る取手部材10は、ベース部20を貫通孔2内に挿入し、そのベース部20の貫通孔2から突出する突出部22にカバー部30を嵌合させるだけで、ワンタッチで取手部材10を貫通孔2に装着・固定でき、ネジ止め等の固定手段等を一切必要とすることなく、簡易かつ堅固に筐体側に装着でき、筐体内への不正な侵入・アクセス等も有効に防止することができる。
従って、ベース部20及びカバー部30は任意の形状・大きさに形成することができ、筐体1aを保持・運搬する作業者の手指の収容スペースが十分に確保され、指先が取手部材の内面に当接・干渉することがなくなり、取手部材10の存在によって作業者の手や指が制限されず、作業者が作業を行い易いように、好みに応じた持ち方を自由に選択することができ、筐体を安定して保持・運搬等することができるようになる。
また、ベース部20及びカバー部30は左右不問に取り付け可能な形状とすることができ、筐体1aの左右等に装着される取手部材は共通のものを使用でき、部品点数を削減できるとともに、取手部材の取り付けも、作業者が部品の左右等を意識することなく行うことができ、作業効率も向上する。
従って、本実施形態の取手部材10によれば、きわめて単純で安価な構造のみによって、掴みやすく、運びやすく、かつ、手指等を傷めることのない、保持・運搬等の作業を円滑に行うことができる取手構造を提供することができる。
特に、スロットマシン遊技機や、テレビや厨房機器、大型家具のような比較的大重量の製品に備えられる取手部材に好適である。
例えば、上述した実施形態では、本発明の取手部材が装着される装着対象として、スロットマシン遊技機の筐体を例にとって説明したが、本発明が適用可能な装着対象としては、スロットマシン遊技機の筐体に限られず、保持・運搬等のための取手部材が必要となる各種製品の筐体等に適用することができる。
1a 筐体
1b 前扉
2 貫通孔
10 取手部材
20 ベース部
21 フランジ部
22 突出部
23 爪部
30 カバー部
31 下端嵌合部
32 閉塞部
Claims (6)
- 装着対象側に備えられる貫通孔に装着される取手部材であって、
前記貫通孔の一側開口から挿入され、一端側が当該貫通孔の一側開口周縁に当接して係止するとともに、他端側が当該貫通孔の他側開口から突出するベース部と、
前記ベース部の前記貫通孔からの突出部分に嵌合し、当該ベース部を前記貫通孔に脱落不能に固定するカバー部と、を備え、
嵌合した前記ベース部及びカバー部が、前記貫通孔の一側開口から他側開口に連通するとともに当該他側開口側で閉塞される手掛け用空間を形成する
ことを特徴とする取手部材。 - 前記ベース部が、前記貫通孔の一側開口周縁に当接するフランジ部と、このフランジ部から連続し、前記貫通孔の一側開口から挿入されて他側開口から突出する、上方及び前記フランジ部側に開口した中空状の突出部と、を有し、
前記カバー部が、前記突出部の上方開口に嵌合する下端嵌合部と、この下端嵌合部から連続する、前記突出部の上方開口を閉塞する中空状の閉塞部と、を有し、
嵌合した前記ベース部及びカバー部が、前記貫通孔の一側開口から他側開口に連通するとともに当該他側開口側において、前記閉塞部により閉塞された断面ほぼL字形状の手掛け用空間を形成する請求項1記載の取手部材。 - 前記カバー部の下端嵌合部が、前記ベース部の突出部の上方開口内に、水平方向に移動不能に規制された状態で嵌入される請求項1又は2項記載の取手部材。
- 前記ベース部とカバー部が嵌合した状態で、当該カバー部を前記貫通孔の他側開口周縁に当接させつつ、当該カバー部を装着対象に密着させる当接手段を備える請求項1乃至3のいずれか一項記載の取手部材。
- 前記ベース部とカバー部が嵌合した状態で、当該カバー部から前記貫通孔の一側開口に向かって湾曲する屈曲部を備える請求項1乃至4のいずれか一項記載の取手部材。
- 取手部材装着用の貫通孔と、この貫通孔に装着される取手部材を備えた遊技機用筐体であって、
前記取手部材が、請求項1乃至5のいずれか一項記載の取手部材からなることを特徴とする遊技機用筐体。
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