JP2009063916A - 電子写真捺染方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】帯電特性、分散性が良好で、布との固着染着性に優れ画像濃度が高い捺染用電子写真トナー及びその捺染方法を提供すること。また、捺染の作業性を大幅に効率化し、オンデマンド性を持たせた、ムダのない捺染方法を提供する。
【解決手段】感光体上の静電潜像を現像剤担持体上の現像剤により現像する工程、及び、現像された像を転写する工程を含む電子写真捺染方法において、該現像剤が着色剤を担体液又は/及び樹脂に分散させたトナーからなり、該トナーの該着色剤として、3,6−ナフタレン−ジスルホン酸成分を含有する酸性染料を含有することを特徴とする電子写真捺染方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式による捺染用トナー及びその捺染方法に関する。
捺染法は、糸、編織物、二次製品等色々な形態の繊維品に適用され、版形式及び機械操作によって凹版を用いるローラ捺染、孔版によるスクリーン、型紙捺染が主流である。スクリーン捺染には手工捺染、半自動スクリーン捺染機、自動走行スクリーン捺染機による捺染、フラット型及びロータリー式自動スクリーン捺染機による捺染などがある。しかし、ローラ捺染は、金属ローラに図柄を彫刻する工程が煩雑でローラの取り扱い等も大変であり、スクリーン捺染は、スクリーンの製造に時間がかかり、捺染作業に手間がかかる等の問題があった。また、ロータリー式スクリーン捺染もスクリーンの製作、ローラの彫刻等に時間がかかる等の問題があった。このように従来からの捺染法はその製作工程が煩雑で、出来上がりまで長期間費やされるため、簡便な捺染法が望まれていた。
近年、従来の彫刻製版工程を省略し、短期間で製作が可能なインクジェットを用いた捺染方法が提案されている(特許文献1〜5等)。しかし、インクジェットによる捺染方式は、濃度を上げることができないこと、捺染していくうちに濃度が変化してしまうこと等の欠点があった。
これらの問題を解決するため、最近、電子写真方式を用いた捺染方法が開発されている。この方法は、感光体上に静電潜像を形成し、トナーを付着させ、これを布類に転写し、熱によりトナーを定着させるものである(特許文献6、7等)。しかし、この電子写真方式による捺染方法は乾式トナーを用いたものであり、トナー層厚が厚いため、肌触りが良くないこと、樹脂により物理的に繊維に付着させているため、摩擦堅牢度、耐洗濯特性が劣ること等の問題があった。
液体トナーを用いた電子写真方式による捺染法が、特許文献8、9等で提案されている。これは、昇華染料を用いた液体トナーをイオン流により現像し、図柄を転写物に印刷し、これを布類に重ね合せ昇華熱転写するものである。この方法は、肌触り等も自然で、簡便な方法であるが、カラーの場合、2色目に重ねた濃度が出にくいこと、耐洗濯性に劣ること等の欠点があった。また、布の裏面までトナーが染込まず、両面捺染する必要があった。加えて作業が煩雑で、布に転写後、不要になった紙(転写物)がムダになるなどの問題があった。
特開平10−195776号公報 特許第2995135号公報 特開2003−96340号公報 特開平7−278482号公報 特開平8−226083号公報 特開平5−027474号公報 特開平5−033275号公報 特開平9−73198号公報 特開平10−239916号公報
本発明の目的は、帯電特性、分散性が良好で、布との固着染着性に優れ画像濃度が高い捺染用電子写真トナー及びその捺染方法を提供することである。また、捺染の作業性を大幅に効率化し、オンデマンド性を持たせた、ムダのない捺染方法を提供することである。
上記課題は、以下の本発明によって解決される。
(1)「感光体上の静電潜像を現像剤担持体上の現像剤により現像する工程、及び、現像された像を転写する工程を含む電子写真捺染方法において、該現像剤が着色剤を担体液又は/及び樹脂に分散させたトナーからなり、該トナーの該着色剤として下記一般式(1)で表わされる染料を含有することを特徴とする電子写真捺染方法;
Figure 2009063916

(式中R〜R10は、それぞれ独立に、H、CH、SOH、OCH、COOH、又はNOである)」、
(2)「前記捺染トナーにおいて染料純度が80〜100%であることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真捺染方法」、
(3)「前記トナーが体積抵抗10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に分散されてなる電子写真液体捺染トナーであることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の電子写真捺染方法」、
(4)「前記担体液が、常圧で沸点100〜350℃の脂肪族飽和炭化水素であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の電子写真捺染方法」、
(5)「前記トナーが樹脂を含有し、該樹脂の少なくとも一部にアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の電子写真捺染方法」、
(6)「前記アルカリ可溶性又は水溶性樹脂は、酸価が0〜2000mg/KOHのものであることを特徴とする前記第(5)項に記載の電子写真捺染方法」、
(7)「前記液体トナー中に分散されたトナー粒子のζ電位の絶対値が10〜200mVであることを特徴とする前記第(2)項乃至第(6)項のいずれかに記載の電子写真捺染方法」、
(8)「前記液体トナー粒子の重量平均粒径が0.1〜5μmであることを特徴とする前記第(2)項乃至第(7)項のいずれかに記載の電子写真捺染方法」、
(9)「静電潜像を感光体上に現像後、転写ローラで圧力をかけ、画像を転写させる各工程をさらに含むことを特徴とする前記第(1)項乃至第(8)項のいずれかに記載の電子写真捺染方法」、
(10)「前記静電潜像を感光体上に現像し、中間転写体にトナー像を1次転写後、画像を2次転写させる各工程をさらに含むことを特徴とする前記第(1)項乃至第(9)項のいずれかに記載の電子写真捺染方法」、
(11)「前記2次転写前に中間転写体に溶媒を吹きかける工程を含むことを特徴とする前記第(10)項に記載の電子写真捺染方法」、
(12)「前記現像剤担持体として現像ローラ及び現像後に過剰の現像液を除去するリバースローラを用い、感光体の線速に対して現像ローラの線速が1.2倍〜6倍、リバースローラの線速が1.2〜4倍であることを特徴とする前記第(3)項乃至第(11)項のいずれかに記載の電子写真捺染方法」、
(13)「タンデム型に複数の感光体を配置し、ベルト上に貼りつけた布に画像を転写しフルカラー捺染することを特徴とする前記第(1)項乃至第(12)項のいずれかに記載の電子写真捺染方法」。
本発明の捺染トナーにおいては、電子写真方式で着色剤として前記一般式(1)の染料を含有するため、オンデマンド性に優れ帯電特性が良好で布への固着性が高く、高画像濃度の捺染が可能になる。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明は、前記のように、感光体上の静電潜像を現像剤担持体上の現像剤により現像し、現像された像を転写する電子写真捺染方法において、該現像剤が着色剤を分散させたトナーからなり、該トナーの該着色剤に下記一般式(1)で表わされる染料を含有することを特徴とする電子写真捺染方法である。
Figure 2009063916

(式中R〜R10は、それぞれ独立にH、CH、SOH、OCH、COOH又はNOである)
体積抵抗10Ω・cm以上高抵抗低誘電率の担体液中に分散されてなる電子写真液体捺染トナーにおいては特に高品質の捺染が得られる。
綿、麻などのセルロース系天然繊維は繊維中の官能基と化学反応して共有結合により染着する反応性染料が良好である。前記一般式(1)の染料を用いることにより帯電特性、画像濃度、染着性において優れた性能が得られる。前記一般式(1)中のトリアジン基と繊維との化学反応は以下の式で表わされる。
Figure 2009063916
前記一般式(1)の染料は染料構造中に反応基であるモノクロルトリアジン基が2個あるため、反応基1個の染料に比べて分子量全体に占める色素母体の比率が低下するため、染料1分子あたりの着色力は低下する傾向にある。しかし、反応基の数が2倍になるため、繊維の官能基と反応する確率が増え、反応性、染着性が向上する。また、最適染色温度範囲が広がるなど反応基1個の染料では得られなかった特性が得られる。
色素母体の比率が低下して着色力が下がった分は、トナー中の染料濃度を上げるなどして対応することができる。
また、一般の捺染インクでは版を用いて画像を作成するためインクの電気的な特性は意味を持たないが、電子写真の場合はプラスあるいはマイナスの電気的な特性により像を形成しているため帯電特性は非常に重要である。前記一般式(1)の染料を用いることにより帯電特性が良好になる明確な理由は不明であるが、染料骨格と電子吸引基、電子供与基との微妙なバランスによるものと考えられる。
前記一般式(1)の例として以下のようなものがある。
Figure 2009063916
本発明の染料の母体部分は、例えばスルファトエチルスルホン基やビニルスルホン基等を持った下記芳香族アミン化合物など
Figure 2009063916

を常法によってジアゾ化し、得られたジアゾ化合物を8−アミノ−1ヒドロキシナフタレン−3,6ジスルホン酸
Figure 2009063916

とカップリングさせて得られる。
トリアジン環の反応基部分は、例えば以下のような反応から合成できる。
Figure 2009063916
前記一般式(1)の染料と一緒に他の染料を混合して使用することもできる。他の染料を使用する場合は全染料分の30%以下が望ましい。
市販の粉体染料は、染料純度50%程度で、食塩、芒硝が多量に入っている場合が多く、液の抵抗、帯電性に悪影響を与えるため、精製するか、初めから塩類含有量の少ない染料を用いる方が好ましい。純度80%以上が望ましい。
染料の純度は以下の溶解、再沈殿法で求められる。
(1):食塩、芒硝などの無機塩類を溶解せずに染料のみを溶解する溶媒(N、N−ジメチルホルムアミドなど)を用いて抽出する。
(2):(1)の染料溶解液に染料を溶解しない溶媒(アセトンなど)を混合し染料を析出させる。
(3):(析出させた染料重量/初めの染料重量)×100%で純度を算出する。
布への染着処理はアルカリ濃度0.1〜10%のパッド・スチーム法で行なうことが好ましい。
アルカリ成分としてはナトリウムやカルシウム、バリウムなどの水酸化物や炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、リン酸ナトリウム等を濃度0.1〜10%の水溶液にしたものを用いる。これらどのような材料でも効果は得られるが、特に炭酸水素ナトリウム(重曹)(NaHCO)が好ましい。
アルカリ水溶液濃度は0.1〜10%、好ましくは0.5〜5%、更に好ましくは0.5〜2%である。アルカリ濃度が0.1%よりも低い場合は反応性が低下し、アルカリ濃度が10%よりも高くなると綿布(セルロース)との反応前に染料自体の反応基が加水分解して,つぶれてしまう場合がある。
処理温度は80〜140℃、好ましくは95〜110℃である。処理温度が80℃よりも低い場合は樹脂や染料の溶解が不十分で反応性が低下する。処理温度が140℃よりも高い場合は布との反応前に染料反応基がつぶれてしまう場合がある。
また、温度だけでなく加熱蒸気を用いる蒸熱法で行なうことが必要である。
本発明の液体現像剤に使用される担体液としては、高抵抗で低誘電率のものが良く、イソパラフィン系炭化水素、シリコーン系オイル等が良好である。イソパラフィン系炭化水素は、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、アイソパーV、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、エクソール100/140、エクソールD30、エクソールD40、エクソールD80、エクソールD110、エクソールD130(以上エクソンモービル社製)(エクソン化学)などがあり、シリコーン系オイルとしては、KF96 1〜10000cst(信越シリコン)、SH200、SH344(東レシリコン)、TSF451(東芝シリコン)などがある。
沸点は100〜350℃が望ましい。100℃未満であると転写前に溶媒が揮発しやすく転写性向上の効果が低減したり、臭気、安全性の点や、揮発溶剤蒸気が作業者にとって好ましくない。350℃を超えると、溶剤が揮発しにくく、発色工程で溶剤が除去できず発色特性に問題が生じる。350℃以下であれば、後工程の加熱、スチーミングの段階で蒸発させることができる。
また、本発明に併用することが好ましい分散用樹脂としては、下記一般式(A)で表わされるビニルモノマーAと、一般式(B)で表わされるビニルモノマー及びビニルピリジン、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンより選ばれるモノマーBの各一種づつもしくは、数種の共重合体、グラフト共重合体が挙げられる。
Figure 2009063916

(RはHまたはCHを、nは6〜20の整数を表わす。)
Figure 2009063916

(RはHまたはCHを、RはH又は炭素数が1〜4のアルキル基を表わす。)
本発明に好ましいアクリル系樹脂は例えば以下のように合成できる。
攪拌機、温度計、冷却管、滴下ロートを備えた3LのフラスコにアイソパーH500gを仕込み、90℃に加熱し、攪拌しながらラウリルメタアクリレート(三菱レイヨン社製アクリエステルL)100g、グリシジルメタアクリレート(アクリエステルG)20g、メタクリル酸(三菱レイヨン社製)15g、アズビスイソブチロニトリル1gよりなるモノマー溶液を2時間かけて滴下する。その後、95℃に保ち5時間重合を行なう。
その後、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製アクリエステルM)30g、アズビスイソブチロニトリル0.2gよりなるモノマー溶液を2時間かけて滴下し、85℃に保ち1時間重合を行なう。合成されたアクリル樹脂の重合率は95%以上、分子量Mnは約8000〜約50000、Mwは約10000〜約80000が好ましい。
また、樹脂の一部にはアルカリ可溶性樹脂、水溶性樹脂を含有させると、発色、水洗工程でトナー中の樹脂が溶解し、布から脱離するため、風合の良好な捺染布が得られる。
発色水洗工程では、100℃前後でスチーミング後、0.1〜2%程度のアルカリで処理する場合があり、アルカリ可溶性樹脂、水溶性樹脂を含有させないと、樹脂分が残り、風合を劣化させる原因となるが、アルカリ可溶性樹脂、水溶性樹脂を含有させることにより、発色水洗工程で樹脂が離脱し、風合の良好な捺染が得られる。
アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂としては、水溶性メラミン樹脂、水溶性ロジン変性樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、コラーゲン、ゼラチン、デンプン、キトサン等がある。
商品としては、クラレ社製ポバール(PVA)、イソバン(イソブチレン/マレイン酸樹脂)、ハリマ化成製ネオトール、ハリディプ(アルキッド樹脂、アクリル樹脂)、日本合成化学社製エコアティ(PVA)、ナガセケムテックス社製デコナール(エポキシ樹脂)、日本純薬社製ジュリアー(アクリル樹脂)、カブセン(ポリエステル樹脂)などが挙げられる。
酸価は0〜2000mg/KOHであることが望ましい。樹脂酸価はトナーの帯電特性に大きな影響を及ぼす。酸価が低いほど帯電性への影響は少なくなり、酸価が高くなるほどマイナス帯電性が高まる傾向にある。このため酸価が高い場合、トナーをプラス帯電性にするときには、その制御が困難になる。望ましくは1〜150mg/KOHである。
乾式捺染トナーの場合、その他に結着樹脂としてはスチレン・アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂を入れることが好ましい。
乾式捺染トナー粒子の平均粒径は3〜20μmが望ましく、3μm未満ではチリが生じ、20μmを超えると色彩、解像性が悪くなる。
乾式トナーの粒径はコールターカウンター法により求める。コールターカンウター法は乾式トナーの粒径測定で通常用いられる方法であり、トナーを電解質溶液中に分散し小孔の開いた隔壁の両側から電圧をかける。小孔から粒子体積分の電解質溶液が排除されるため、左右の電極間の電気抵抗が瞬間的に増し、電圧パルスを生じるためこのパルス数と大きさから粒度分布を求める。
液体捺染トナーの場合、ζ電位は10〜200mVが良好である。ζ電位が10mVよりも低いとトナー粒子が凝集したり、電気泳動性が低下し地汚れしたり、濃度が低下する。またζ電位が200mVよりも高いと感光体付着量が低下し濃度が低下する場合がある。
液体捺染トナーのトナー粒子の重量平均粒径は0.1〜5μmが望ましく、0.1μm未満では、十分な濃度が得られない場合やニジミが発生しやすくなる場合があり、5μmを超えると、色彩、解像性が悪くなる場合がある。
感光体に現像後、転写ローラで0.1〜3Kg/cmの圧力をかけ転写した場合、平滑性の悪い転写紙や捺染の場合は転写性が向上し、高濃度の画像を形成できる。
また、中間転写体を用いて転写する場合も、更に高い圧力がかけられるため転写性が向上する。しかし、中間転写体を用いない場合よりも転写時の溶媒量が少なくなるため、捺染の場合は、2次転写前に中間転写体上に脂肪族炭化水素やシリコーンオイル等の溶媒を吹き付け転写に必要な溶媒量を確保することが望ましい。
吹き付け量は0.20〜0.70mg/cm程度が良好である。
また、捺染の場合、濃度を向上のためには現像付着量を上げたり、あるいは、現像後リバースローラの溶剤スクイズ量を少なくすることにより、感光体上の現像液量を多くして布への溶剤染込み量を増やすと効果がある。
図1は、本発明の電子写真捺染方法に用いる画像形成装置の一例を示す図である。帯電電圧付与部材により、感光体に電荷を与え、露光により非画像部の電荷を消去する。感光体はセレン感光体、有機感光体、アモルファスシリコン感光体が使用できる。感光体の表面電位は、400〜1600Vの範囲が良好である。感光体の電荷の残っている潜像に現像ローラから供給される液体現像剤により現像し、リバースローラで余剰の現像液を除去し、転写電圧付与部剤によりトナーの電荷と逆電荷の電圧をかけ捺染布に転写させる。
現像ローラは感光体と順方向に回転し、リバースローラは逆方向に回転させ、感光体に対する線速は現像ローラが1.2倍〜6倍、リバースローラの線速は1.2倍〜4倍が効果的である。
ローラと感光体のギャップは50〜250μm、リバースローラのギャップは30〜150μmが良好である。転写電圧は500〜4000Vの範囲が良好である。
布に転写されずに感光体に残ったトナーをクリーニングブレード、クリーニングローラで除去後、感光体を除電する。
また、画像部の電荷を消去し非画像部の電荷を残す現像方式でも同様に画像形成できる。
図2は、図1の転写電圧付与部材をチャージャー方式からローラ方式にした例である。チャージャー方式に比べ転写時の圧力を付与できるため、表面性の荒れた凹凸の大きい布の場合でも転写性が良好である。転写圧は0.1〜3Kg/cmが良好である。
図3は、図2の装置に中間転写部材を追加した例である。図2の装置よりもさらに高い転写圧力を付与できるため、表面性の荒れた凹凸の大きい布の場合でも転写性が良好である。一次転写圧は0.1〜3Kg/cm、二次転写圧は0.1〜5Kg/cmが良好である。ただ、中間転写部材への一次転写時にトナー中の溶媒成分が少なくなり、中間転写部材から布への二次転写に必要な溶媒量が少なくなる場合があるため、二次転写前に中間転写部材に溶媒を吹きかける工程を追加すると効果的である。
図4は感光体をタンデムに配置し、布搬送ベルト上に布を貼りつけてフルカラー捺染を行なう装置の一例である。
電子写真乾式捺染トナーは着色剤、樹脂、帯電制御剤を混合し、ブスコニーダなどの混練機で混練後、粗粉砕、微粉砕し所定の粒径になるように粗紛、微紛をカットして得られる。
電子写真液体捺染トナーは着色剤、樹脂、担体液をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミルなどの分散機に投入、分散、混練を行い濃縮トナーを調製し、これを本発明の担持液中に分散させることにより現像液を得ることができる。
乾式トナーにおける着色剤、樹脂、帯電制御剤の濃度は、適宜決定すればよいが、例えば着色剤5〜15質量%、樹脂80〜95質量%、帯電制御剤1〜10質量%である。
また液体トナー(コンクトナー)の場合は、着色剤5〜10質量%、樹脂5〜20質量%、担体液70〜95質量%、帯電制御剤0.1〜1質量%である。
(実施例1)
表1の染料A(純度55%品) 74部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のアイソパーH20%溶液 100部
ロジン変性フェノール樹脂(三井・デュポン) 63部
水溶性樹脂 ポバール(PVA)(クラレ) 55部
アイソパーH 180部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 3部
をピンミルに入れて10時間分散後、さらにアイソパーHを300部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーH1Lを混合した現像剤により図1の装置で電子写真捺染を行なった。
(実施例2)
表1の染料B(純度90%品) 33部
スチレン・アクリル樹脂(St/アクリル=60/40)(三菱レーヨン)
40部
水溶性樹脂 カブセン(水溶性ポリエステル)(ナガセケムテックス)
72部
荷電制御剤(サリチル酸誘導体の金属錯体) 2部
をブスコニーダで混練、冷却後パルペライザーで粗粉砕しジェットミルで粉砕後分級し乾式トナーを得た。布を紙に張り付け、このトナーを用いリコー乾式プリンタImagioで捺染を行なった。
(実施例3)
表1の染料E(純度80%) 53部
エポキシ変性樹脂エピコート802(ジャパンエポキシレジン) 22部
水溶性樹脂 ハリディブ(水溶性アルキド樹脂)(ハリマ化成) 75部
ステアリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のアイソパーH20%溶液 100部
アイソパーH 250部
荷電制御剤(オクタン酸ジルコニウム) 5部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを250部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーH1Lを混合した現像剤により図2の装置で電子写真捺染を行なった。
(実施例4)
実施例1の染料A(純度50%品)を純度90%に精製して用いた以外は、実施例1と同一にして濃縮トナーを作成した。
この濃縮トナー100gとアイソパーH1Lを混合した現像剤により図2の装置で電子写真捺染を行なった。
(実施例5)
実施例3の分散媒をアイソパーHからシリコーンオイル(KF−96 2cst)に変えた以外は全て実施例3と同様にして濃縮トナーを作成した。
この濃縮トナー100gとシリコーンオイル(KF−96 2cst)を混合した現像剤により図2の装置で電子写真捺染を行なった。
(実施例6)
表1の染料F(純度90%) 46部
ロジン変性フェノール樹脂(三井・デュポン) 5部
水溶性樹脂 カブセン(水溶性ポリエステル)(ナガセケムテックス) 95部
2エチルヘキシルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のアイソパーH20%溶液 120部
アイソパーH 200部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 2部
をバッチ式サンドミルに入れて12時間分散後、さらにアイソパーHを350部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとアイソパーMを混合した現像剤により図2の装置で電子写真捺染を行なった。
(実施例7)
表1の染料G(純度80%) 52部
ロジン変性フェノール樹脂(三井・デュポン) 93部
水溶性樹脂 カブセン(水溶性ポリエステル)(ナガセケムテックス) 5部
2エチルヘキシルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のアイソパーH20%溶液 120部
アイソパーH 200部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 2部
をバッチ式サンドミルに入れて12時間分散後、さらにアイソパーHを350部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮トナー100gとエクソールD30を混合した現像剤により図2の装置で電子写真捺染を行なった。
転写布は全て糸太さ40番手の200本ブロード綿布を用いた。
80℃の温水100gに炭酸ナトリウム1g、硫酸ナトリウム1g、尿素3g、アルギン酸ナトリウム1gを溶解させたものを実施例1〜7の捺染布に塗布し、105℃、0.1Mpa気圧の蒸気で20分処理後、水洗し、アニオン系界面活性剤2g/lにより80℃で5分処理を行ない捺染サンプルを作成した。その結果は表2の通りであった。
また、チャージ転写(転写圧0.1Kg/cm以下)の図1の装置、中間転写体を取り付けた図3の装置で実施例3のトナーを用いて捺染を行なった実施例8、9、更に2次転写前にアイソパーHを0.3mg/cm以上吹きかけた実施例10を実施例1〜7同様に評価した。
(比較例1)
実施例1の染料をリアクティブレッド4 純度50%にした以外は実施例1と同様にして捺染を行なった。
(比較例2)
実施例3の染料をリアクティブレッド46 純度50%にした以外は実施例3と同様にして捺染を行なった。
比較例1、2も実施例と同様の後処理を行ない評価した。
表2の結果より明らかなとおり、本画像形成方法、捺染トナーにより、帯電制御率、転写率、布濃度が高く、高解像な捺染布が得られた。
実施例4は染料純度を上げているため更に濃度が高い。実施例5は分散媒に脂肪族炭化水素以外の溶媒を使用しているため、実施例4に比べて分散性がやや悪い。実施例6は水溶性樹脂量が多いため濃度がやや低い。実施例7は水溶性樹脂量が少ないため風合がやや低い。
実施例10は二次転写前に中間転写ローラ上の画像にアイソパーHを吹きつけているため転写率が上がり画像濃度が向上した。
比較例の捺染トナーは帯電制御性が悪くトナーとしての機能が出せなかった。
Figure 2009063916

画像濃度はX−Riteにより測定。
地汚れは地汚れ段階見本布による。評価は5段階(5:最良、1:最悪)
風合は風合段階見本布による。評価は5段階(5:布のみと同程度の柔らかさ、4:柔らかい、3:中程度、2:やや硬い、1:硬い)
重量平均粒径は島津製作所SA−CP3による。トナーを積分球式濁度計で透過率15%程度になるまでアイソパーで希釈し、SA−CP3用セルに充填する。測定条件はACCEL480、MODE:CENT、3〜16チャンネルで行なった。
ζ電位は大塚電子ELS−8000による。
セル:低誘電率セル、電界:500V/cm、6回測定平均モードで測定。
解像性は、段階見本による。評価は5段階(5:最良、1:最悪)
転写率はテープ剥離法による濃度から算出。
転写率=(転写前感光体上濃度−転写後感光体残濃度)/(転写前感光体上濃度)×100%
帯電制御率は電着法により算出。電極間距離:1cm、電極面積:2cm×2cm、電着時間:100秒で測定した。
固着率はX−Riteによりソーピング前後の濃度を測定して算出。
固着率=(最終サンプル濃度/固着処理後水洗前濃度)×100%
本発明の電子写真捺染方法に用いる画像形成装置の一例を示す図である。 図1の転写電圧付与部材をローラ方式にした例を示す図である。 図2の装置に中間転写部材を追加した例を示す図である。 感光体をタンデムに配置し、布搬送ベルト上に布を貼りつけてフルカラー捺染を行なう装置の一例を示す図である。

Claims (13)

  1. 感光体上の静電潜像を現像剤担持体上の現像剤により現像する工程、及び、現像された像を転写する工程を含む電子写真捺染方法において、該現像剤が着色剤を担体液又は/及び樹脂に分散させたトナーからなり、該トナーの該着色剤として下記一般式(1)で表わされる染料を含有することを特徴とする電子写真捺染方法。
    Figure 2009063916

    (式中R〜R10は、それぞれ独立に、H、CH、SOH、OCH、COOH、又はNOである)
  2. 前記捺染トナーにおいて染料純度が80〜100%であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真捺染方法。
  3. 前記トナーが体積抵抗10Ω・cm以上の高抵抗低誘電率の担体液中に分散されてなる電子写真液体捺染トナーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真捺染方法。
  4. 前記担体液が、常圧で沸点100〜350℃の脂肪族飽和炭化水素であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真捺染方法。
  5. 前記トナーが樹脂を含有し、該樹脂の少なくとも一部にアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真捺染方法。
  6. 前記アルカリ可溶性又は水溶性樹脂は、酸価が0〜2000mg/KOHのものであることを特徴とする請求項5に記載の電子写真捺染方法。
  7. 前記液体トナー中に分散されたトナー粒子のζ電位の絶対値が10〜200mVであることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の電子写真捺染方法。
  8. 前記液体トナー粒子の重量平均粒径が0.1〜5μmであることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の電子写真捺染方法。
  9. 静電潜像を感光体上に現像後、転写ローラで圧力をかけ、画像を転写させる各工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真捺染方法。
  10. 前記静電潜像を感光体上に現像し、中間転写体にトナー像を1次転写後、画像を2次転写させる各工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真捺染方法。
  11. 前記2次転写前に中間転写体に溶媒を吹きかける工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の電子写真捺染方法。
  12. 前記現像剤担持体として現像ローラ及び現像後に過剰の現像液を除去するリバースローラを用い、感光体の線速に対して現像ローラの線速が1.2倍〜6倍、リバースローラの線速が1.2〜4倍であることを特徴とする請求項3乃至11のいずれかに記載の電子写真捺染方法。
  13. タンデム型に複数の感光体を配置し、ベルト上に貼りつけた布に画像を転写しフルカラー捺染することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の電子写真捺染方法。
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