JP2009063175A - 流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータ - Google Patents

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茂雄 小幡
Kaoru Matsuoka
薫 松岡
Masafumi Omura
雅史 尾村
Hiroshi Inoue
洋 井上
Hiromichi Inomata
拓道 猪又
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Abstract

【課題】周囲環境が変化する場合でも、オイルが回転軸支承部から漏れ出ることを防止して、モータの外部にオイルが飛散することを防ぐこと。
【解決手段】一方向に回転する回転軸、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部及び前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部の少なくとも一方の空隙部とを連通する連通部を備え、前記連通部の少なくとも前記空隙部側の内面に撥油剤を塗布して、その空隙部内の空気を外部に放出するよう構成する。
【選択図】図10

Description

本発明は、オイル動圧を利用して回転子を支承する流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータ、特に情報機器や映像機器を含むデジタル技術分野で用いられる電気機器に内蔵されたモータに関する。
近年、デジタル技術分野では、情報(データ)の高記録密度化及びデータ転送を高速に行うことが強く要望されている。このような要望に伴って、ハードディスク装置や記録再生装置を含んだ情報機器及び映像機器では、ディスク状またはテープ状の記録媒体を回転駆動するために内蔵したモータにおいても、その回転精度の向上と高速回転化が要求されている。これらの要求を同時に満足し得るモータとして、オイル動圧を発生して回転体を支承する流体軸受機構を搭載したモータが開発、実用化されている。
以下、従来の流体軸受機構及びこれを搭載した従来のモータについて、図23を参照して具体的に説明する。尚、以下の説明では、ハードディスク装置に内蔵されたモータを例示して説明する。
図23は、従来の流体軸受機構、及び従来のモータの構成を示す断面図である。
図23において、従来の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸52、前記回転軸52との間に形成された所定の隙間にオイル(図示せず)を充填し、そのオイル動圧により回転軸52を支承する回転軸支承部、及び前記回転軸52と一体的に回転する回転子を備えている。この回転子は、ハブ51、磁石55、ヨーク56、及びスラストフランジ58により構成されている。
ハブ51は、図示しないディスク状の記録媒体を搭載するものであり、回転軸52の一端部分に圧入されて、共に一体的に一方向に回転する。また、ハブ51の内周面上には、軟磁性材料製のヨーク56と磁石55が接着されている。磁石55の内周円筒面は、複数のN極及びS極が交互に着磁されている。さらに、回転軸52の他端には、スラストフランジ58がビス60によって固定されて回転軸52と一体的に構成されている。
回転軸支承部は、ラジアル方向で回転軸52を支承するラジアル軸受手段とスラスト方向で回転軸52を支承するスラスト軸受手段とにより構成されている。詳細にいえば、回転軸支承部のベース53には、回転軸52の直径よりも数μm直径が大きいラジアル軸受部57a,57bが回転軸方向に沿って形成されている。したがって、回転軸52と各ラジアル軸受部57a,57bとの間には、上記数μm単位の所定の隙間をもつ軸受隙間部が形成されている。ラジアル軸受部57a,57bの内周円筒面には、動圧発生用の楔形状の溝(図示せず)が転造加工方法によって複数本設けられている。これらの楔形状の溝には、動圧を発生するオイルが注入される。これにより、上記軸受隙間部にオイルが充填され、ラジアル軸受手段が構成される。
スラストフランジ58には、スラストプレート59が対向配置されている。このスラストプレート59は、ベース53の開口端に圧入接着されて固定されている。スラストフランジ58の下面、またはスラストプレート59の上面には、動圧発生用の複数本の螺旋形状の溝(図示せず)がエッチング方法またはコイニング方法により形成されている。これらの螺旋形状の溝には、動圧を発生するオイルが注入される。これにより、スラストフランジ58の下面とスラストプレート59の上面との間に形成された軸受隙間部にオイルが充填され、スラスト軸受手段が構成される。
上述の従来の流体軸受機構を搭載したモータには、上述の回転軸52と回転子を回転するために、ステータコア61、及び複数相のステータコイル54がベース53の外周円筒面上に設けられている。ステータコア61は、上記ベース53の外周円筒面上に接着、固定されている。ステータコイル54は、ステータコア61に巻回されている。
以上のように構成された従来の流体軸受機構及びこれを搭載したモータについて、その動作について説明する。
ステータコイル54に回転子の回転位相に応じて順次通電を行うと、磁石55との間でフレミングの左手の法則に従うトルクが発生する。これにより、磁石55、ヨーク56、ハブ51、回転軸52、及びスラストフランジ58からなる一体的構成物は回転を開始する。また、回転軸52とラジアル軸受部57a,57bとの間、及びスラストプレート59の上面とスラストフランジ58の下面との間の軸受隙間部に充填されたオイルは、楔形状、及び螺旋形状の溝によって動圧をそれぞれ発生して、回転軸52及びスラストフランジ58を浮上させる。これにより、回転子は、非接触で回転することが可能となる。
上記のような従来の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載した従来のモータでは、オイルはその表面張力によって狭い軸受隙間部内に保持されているだけであった。このため、従来の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載した従来のモータでは、振動や衝撃による外部からの加振力や衝撃力がモータに加わると、オイルに作用する慣性力、特にオイル自身の比重が大きい場合、その慣性力が上記表面張力に打ち勝って、そのオイルは軸受隙間部から漏れ出てしまうことがあった。その結果、従来の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載した従来のモータでは、軸受隙間部のオイルが不足によって必要なオイル動圧を得ることができなくなり、回転体が傾いて回転精度の低下を招いた。
さらに、従来の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載した従来のモータでは、回転軸支承部はほぼ密閉状態に近く、その開放端部は回転子側に設けられた軸受隙間部(ラジアル軸受部57a)のみであった。このため、従来の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載した従来のモータでは、周囲環境の変化によってオイルが上述の回転子側に設けられた軸受隙間部から外部に抜け出すことがあった。具体的にいえば、従来の流体軸受機構を搭載した従来のモータを通常環境(大気圧)下で組み立てた後、例えば航空機により空輸する際に低圧環境下となる貨物室に入れて輸送した場合、組立時に回転軸支承部内に密封された空気が周囲環境の変化によって膨張して、上記軸受隙間部内のオイルを回転軸支承部の開放端部を経て外部に押し出してしまうことがあった。
さらに、従来の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載した従来のモータでは、上記のように漏れ出たオイルが、回転軸及び回転子の回転によって霧状となり、そのモータの外部に飛散することがあった。その結果、飛散したオイルが、例えばディスク状の記録媒体に付着して、その記録媒体に記録したデータを読み出せないという問題点を生じた。さらに、ヘッドと記録媒体の間でオイルが凝着して、そのハードディスク装置を破損することがあった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、たとえ振動や衝撃による外部からの加振力や衝撃力によりオイルが回転軸支承部から漏れ出た場合でも、当該モータの外部に飛散することなく、回転軸支承部にオイルを戻すことができる流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータを提供することを目的とする。
また、この発明は、周囲環境が変化する場合でも、オイルが密封された空気の膨張により回転軸支承部から押し出され漏れ出ることを防止して、当該モータの外部にオイルが飛散することを防ぐことができる流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータを提供することを目的とする。
本発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とを備え、一端部及び他端部に閉鎖端部及び開放端部をそれぞれ有する回転軸支承部、前記回転軸と一体的に回転する回転子、及び前記回転子と一体的に回転し、かつ前記回転軸支承部の開放端部に所定の空隙を介して対向配置され、この対向配置面に螺旋溝部を有するオイル封止部を備え、前記空隙に漏れ出たオイルが、前記回転子の回転に伴って、前記回転軸支承部側に移動するよう前記螺旋溝部を形成している。このように構成することにより、たとえ振動や衝撃による外部からの加振力や衝撃力によりオイルが回転軸支承部から漏れ出た場合でも、当該モータの外部に飛散することなく、回転軸支承部にオイルを戻すことができる。
別の観点による発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部及び前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部の少なくとも一方の空隙部とを連通する連通部を備え、前記連通部の少なくとも前記空隙部側の内面に撥油剤を塗布して、その空隙部内の空気を外部に放出するよう構成している。このように構成することにより、周囲環境が変化する場合でも、オイルが回転軸支承部から漏れ出ることを防止して、当該モータの外部にオイルが飛散することを防ぐことができる。
また、本発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部とを連通する連通部を備え、前記連通部の少なくとも前記空隙部側の内面に撥油剤を塗布して、その空隙部内の空気を外部に放出するよう構成している。このように構成することにより、周囲環境が変化する場合でも、オイルが回転軸支承部から漏れ出ることを防止して、当該モータの外部にオイルが飛散することを防ぐことができる。
更に、本発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部とを連通する連通部を備え、前記連通部の少なくとも前記空隙部側の内面に撥油剤を塗布して、その空隙部内の空気を外部に放出するよう構成している。このように構成することにより、周囲環境が変化する場合でも、オイルが回転軸支承部から漏れ出ることを防止して、当該モータの外部にオイルが飛散することを防ぐことができる。
別の観点による発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部及び前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部の少なくとも一方の空隙部とを連通する連通部を備え、前記連通部が、前記スリーブまたは前記スリーブ保持部材に設けられ、かつその断面形状が外部に向かって広くなるよう楔状に形成している。このように構成することにより、周囲環境が変化する場合でも、オイルが回転軸支承部から漏れ出ることを防止して、当該モータの外部にオイルが飛散することを防ぐことができる。
また、本発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部とを連通する連通部を備え、前記連通部が、前記スリーブまたは前記スリーブ保持部材に設けられ、かつその断面形状が外部に向かって広くなるよう楔状に形成している。このように構成することにより、周囲環境が変化する場合でも、オイルが回転軸支承部から漏れ出ることを防止して、当該モータの外部にオイルが飛散することを防ぐことができる。
更に、本発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部とを連通する連通部を備え、前記連通部が、前記スリーブまたは前記スリーブ保持部材に設けられ、かつその断面形状が外部に向かって広くなるよう楔状に形成している。このように構成することにより、周囲環境が変化する場合でも、オイルが回転軸支承部から漏れ出ることを防止して、当該モータの外部にオイルが飛散することを防ぐことができる。
別の観点による発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、前記スリーブと前記スリーブ保持部材との間に設けた円環状溝部、前記円環状溝部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部及び前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部の少なくとも一方の空隙部とを連通する第1の連通部、及び前記第1の連通部と異なる回転位相位置で前記円環状溝部に連結され、その円環状溝部と外部と連通する第2の連通部を備えている。このように構成することにより、たとえオイルが回転軸支承部から漏れ出た場合でも、当該モータの外部に飛散することなく、回転軸支承部にオイルを戻すことができる。
また、本発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、前記スリーブと前記スリーブ保持部材との間に設けた円環状溝部、前記円環状溝部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部とを連通する第1の連通部、及び前記第1の連通部と異なる回転位相位置で前記円環状溝部に連結され、その円環状溝部と外部と連通する第2の連通部を備えている。このように構成することにより、たとえオイルが回転軸支承部から漏れ出た場合でも、当該モータの外部に飛散することなく、回転軸支承部にオイルを戻すことができる。
更に、本発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、前記スリーブと前記スリーブ保持部材との間に設けた円環状溝部、前記円環状溝部と、前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部とを連通する第1の連通部、及び前記第1の連通部と異なる回転位相位置で前記円環状溝部に連結され、その円環状溝部と外部と連通する第2の連通部を備えている。このように構成することにより、たとえオイルが回転軸支承部から漏れ出た場合でも、当該モータの外部に飛散することなく、回転軸支承部にオイルを戻すことができる。
別の観点による発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、
前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、
前記回転軸と一体的に回転する回転子、及び
前記回転子と前記回転軸支承部の間に設けられ、前記回転軸支承部の開放端部から漏れ出たオイルを吸収するオイル吸収部材を備え、
前記オイル吸収部材が、前記回転子と前記回転軸支承部との間の間隙内で、その回転子の回転によって生じる気流中のオイルを吸着し吸収するよう構成している。
このように構成することにより、たとえオイルが回転軸支承部から漏れ出た場合でも、当該モータの外部に飛散すること抑制できる。
以下、本発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの好ましい実施例について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、従来例との比較を容易なものとするために、ハードディスク装置に内蔵するモータを例示して説明する。
《第1の実施例》
図1は、本発明の第1の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。
図1において、本実施例の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸2、及び前記回転軸2との間に形成された所定の隙間にオイル(図示せず)を充填して、そのオイル動圧により回転軸2を回転自在に支承する回転軸支承部を具備している。さらに、本実施例の流体軸受機構は、上記回転軸2と一体的に回転する回転子、及び前記回転子と一体的に回転し、かつ前記回転軸支承部の開放端部に所定の空隙を介して対向配置され、この対向配置面に螺旋溝部を有するオイル封止部を備えている。
回転子は、ハブ1、磁石5、ヨーク6、及びスラストフランジ8により構成されている。
ハブ1は、図示しないディスク状の記録媒体を搭載するものであり、回転軸2の一端部分に圧入されて、共に一体的に一方向に回転する。また、ハブ1の内周面上には、軟磁性材料製のヨーク6と磁石5が接着されている。磁石5の内周円筒面は、複数のN極及びS極が交互に着磁されている。さらに、回転軸2の他端には、スラストフランジ8がビス10によって固定されて回転軸2と一体的に構成されている。
回転軸支承部は、ラジアル方向で回転軸2を支承するラジアル軸受手段とスラスト方向で回転軸2を支承するスラスト軸受手段とにより構成されている。詳細にいえば、回転軸支承部のベース3には、回転軸2の直径よりも数μm直径が大きいラジアル軸受部7a,7bが回転軸方向に沿って形成されている。したがって、回転軸2と各ラジアル軸受部7a,7bとの間には、上記数μm単位の所定の隙間をもつ軸受隙間部が形成されている。さらに、ラジアル間空隙部11が、回転軸2及びラジアル軸受部7a,7bの間に設けられている。このラジアル間空隙部11は、ベース3の内周円筒面をラジアル軸受部7a,7bよりも10〜500μm程度で削ることにより形成される。
ラジアル軸受部7a,7bの内周円筒面には、動圧発生用の楔形状の溝(図示せず)が、例えば転造加工方法によって複数本設けられている。これらの楔形状の溝には、動圧を発生するオイルが注入される。これにより、上記軸受隙間部にオイルが充填され、ラジアル軸受手段が構成される。尚、このラジアル軸受手段において、上記動圧発生用の溝をラジアル軸受部7a,7bの内周円筒面に設ける代わりに、転造加工方法、フォトリソ・エッチング方法、あるいはブラスト加工方法を用いて回転軸2の外周面に上述の溝を形成してもよい。また、上記動圧発生用の溝の具体的な形状には、スクイズ型、へリングボーン型、及びスパイラル型がある。
スラストフランジ8には、スラストプレート9が対向配置されている。このスラストプレート9は、ベース3の開口端に圧入され、その開口端を気密として接着剤にて固定されている。スラストフランジ8の下面、またはスラストプレート9の上面には、動圧発生用の複数本の螺旋溝(図示せず)がエッチング方法またはコイニング方法により形成されている。これらの螺旋形状の溝には、動圧を発生するオイルが注入される。これにより、スラストフランジ8の下面とスラストプレート9の上面との間に形成された軸受隙間部にオイルが充填され、スラスト軸受手段が構成される。ラジアルスラスト間空隙部12が、スラスト軸受手段とラジアル軸受手段のラジアル軸受部7bの間に設けられている。詳細にいえば、ラジアルスラスト間空隙部12は、10〜500μm程度の空隙により構成され、ラジアル軸受部7bの下方で回転軸2、ベース3、及びスラストフランジ8の間に設けられている。
本実施例の流体軸受機構を搭載したモータには、上述の回転軸2と回転子を回転するために、ステータコア30、及び複数相のステータコイル4がベース3の外周円筒面上に設けられている。ステータコア30は、複数の円盤状の磁性材料を回転軸方向に積み重ねたものであり、上記ベース3の外周円筒面上に接着、固定されている。ステータコイル4は、ステータコア30に巻回されている。
本実施例の流体軸受機構では、上述のオイル封止部として、ラジアル掻き戻し部材13を設けている。
このラジアル掻き戻し部材13について、図2、図3の(a)、及び図3の(b)を参照して、具体的に説明する。
図2は、図1に示したラジアル掻き戻し部材近傍の流体軸受機構の詳細な構成を示す拡大断面図である。図3の(a)及び図3の(b)は、図1に示したラジアル掻き戻し部材の構成及び機能を示す説明図である。
図2に示すように、円盤状のラジアル掻き戻し部材13は、その外周面、及び内周面がそれぞれ回転子のハブ1の内周壁面1a、及び回転軸2の外周面に接して、ハブ1の一内側端面に接着固定されている。また、ラジアル掻き戻し部材13は、同図に示すように、上記所定の空隙である開放端空隙部40を介してベース3の開放端部に対向して配置されている。尚、同図に示すように、上述のオイル101が回転軸2とベース3(ラジアル軸受部7a)との間の隙間に充填されている。
ラジアル掻き戻し部材13の上記開放端部に対向する対向配置面には、図3に示すように、複数本、例えば4本の螺旋溝を有する螺旋溝部が形成されている。この螺旋溝部は、ハブ1(図1)の回転に伴ってベース3との空隙である開放端空隙部40(図1)に漏れ出たオイルを回転軸支承部のラジアル軸受部7a側に移動するよう形成されている。詳細にいえば、図3において、螺旋溝部は斜線部で示した溝山部13aと、前記溝山部13aと互いに交互に配設され、上述の4本の各螺旋溝を形成する溝谷部13bとにより構成されている。このラジアル掻き戻し部材13は、上述したように、ハブ1に固定されているので、同図の回転方向で図示する時計方向に回転軸2及び回転子と一体的に回転する。一方、螺旋溝(溝谷部13b)は、同図に示すように、上述の回転方向と反対方向の反時計方向に形成されている。これにより、図2に示した開放端空隙部40内に漏洩した漏洩オイル滴100は、後に詳述するように、ハブ1の回転により回転軸2及びラジアル軸受部7aの方に移動する。尚、溝山部13aとベース3の開放端面との距離(開放端空隙部40の最小寸法)は、50μm〜0.3mmの範囲に設定されている。
以下、本実施例の流体軸受機構及びモータの動作について説明する。
まず、図1を用いて、モータの基本動作について説明する。
ステータコイル4に回転子の回転位相に応じて順次通電を行うと、磁石5との間でフレミングの左手の法則に従うトルクが発生する。これにより、磁石5、ヨーク6、ハブ1、回転軸2、スラストフランジ8、及びラジアル掻き戻し部材13は、一体的に回転を開始する。また、回転軸2とラジアル軸受部7a,7b、及びスラストプレート9の上面とスラストフランジ8との間に注入されたオイルは、楔状溝、及び螺旋溝によって動圧をそれぞれ発生して、回転軸2及びスラストフランジ8を浮上させる。これにより、回転子は、非接触で回転することが可能となる。
次に、図1、図3の(a)、及び図3の(b)を用いて、ラジアル掻き戻し部材13の機能について説明する。
本実施例の流体軸受機構では、スラスト軸受手段を構成するスラストプレート9は、ベース3に圧入接着にて固定されているので、スラスト軸受手段側からのオイルの漏れ出しは発生しない。一方、ベース3の上記開放端部側はオイルを封止していないので、輸送途中やハードディスク装置の設置時等に強い振動などにより、モータの外部から力が加わると、オイルが開放端部近傍のラジアル軸受部7aから漏れ出ることがある。この漏れ出した漏洩オイル滴100は、ラジアル掻き戻し部材13の表面に接触し付着する。詳細には、図3の(a)に示すように、溝谷部13bの表面に付着した漏洩オイル滴100は、モータ(ハブ1)が時計方向に回転を始めると、螺旋溝(溝谷部13b)に沿ってラジアル掻き戻し部材13の内周部側、すなわち再び封止される方向である回転軸2及びラジアル軸受部7aの方に戻される。また、図3の(b)に示すように、溝山部13aに付着した漏洩オイル滴100は、遠心力によって一旦外周側に飛散しようとするが、溝谷部13bの壁面もしくはハブ1の内周壁面1aにて飛散が防止され、溝谷部13bに落ち込み再び封止される方向に戻される。また、ラジアル掻き戻し部材13に付着せずにベース3の開放端面に付着した漏洩オイル滴は、ラジアル掻き戻し部材13の回転によって生じる気流により、その溝山部13aまたは溝谷部13bの表面に付着して、再び封止される方向に戻される。
以上のように、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、ラジアル掻き戻し部材13は、ハブ1の回転に伴って、ベース3との間の空隙(開放端空隙部40)に漏れ出たオイルがラジアル軸受部7a側に移動するよう形成された螺旋溝部を備えている。さらに、ラジアル掻き戻し部材13は、その螺旋溝部が回転軸2と直角方向の平面上に配置されるように、ベース3の開放端部に対向してハブ1に固定されている。これにより、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、たとえ振動や衝撃による外部からの加振力や衝撃力によりオイルが軸受隙間部から漏れ出た場合でも、ラジアル掻き戻し部材13はハブ1が回転することによって漏れ出たオイルをモータの外部に飛散することなく、再び封止する方向に移動して元の軸受隙間部に戻すことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、オイルが軸受隙間部で不足することを防止できる。さらに、オイルがモータの外部に飛散することを防止できるので、飛散したオイルによる汚染を防ぐことができ、例えばハードディスク装置に内蔵した場合でも、飛散したオイルの付着によるデータの読み出し不能を生じない。
尚、上述の説明では、ラジアル掻き戻し部材13はハブ1とは別部材としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ハブ1上に螺旋溝である溝谷部13bをフライス加工方法やコイニング方法によって形成しラジアル掻き戻し部材13とハブ1とを一体的に構成してもよい。また、螺旋溝の数は4本に限定されるものではない。
《第2の実施例》
図4は、本発明の第2の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、オイル封止部の螺旋溝部を回転軸と同軸をなす円筒面上に配置した。それ以外の各部は、第1の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。
図4に示すように、本実施例の流体軸受機構では、オイル封止部であるスラスト掻き戻し部材17がベース3の開放端部の周りを囲むようにハブ1の内周部分に接着固定されている。詳細にいえば、スラスト掻き戻し部材17は、その斜視図である図5に示すように、円筒形状に形成されて、その内周円筒面には複数本、例えば4本の螺旋溝を有する螺旋溝部が設けられている。この螺旋溝部は互いに交互に配設された溝山部17aと溝谷部17bとで構成されている。このスラスト掻き戻し部材17は回転子と一体的に反時計方向(図の”回転方向”で図示)に回転するが、螺旋溝である溝谷部17bは漏洩オイル滴100を再び封止する方向に形成されている。すなわち、回転子が反時計方向に回転する場合、溝谷部17bは左ねじを成す方向に形成されている。尚、回転子が逆の時計方向に回転する場合、溝谷部17bもまた逆の右ねじを成す方向に形成される。また、溝山部17aとベース3の開放端部近傍の外周部分との距離は、20〜300μmの範囲に設定されている。
以下、本実施例の流体軸受機構及びモータの動作について、図5を用いて説明する。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、スラスト掻き戻し部材17の機能についてのみ説明する。
図5に示すように、漏れ出した漏洩オイル滴100は、スラスト掻き戻し部材17の表面に接触し付着する。詳細には、溝谷部17bの表面に付着した漏洩オイル滴100は、モータ(ハブ1)が反時計方向に回転を始めると、螺旋溝(溝谷部17b)に沿って掻き揚げられ、再び封止される方向に戻される。また、溝山部17aまたはベース3の外周部分に付着した漏洩オイル滴100は、スラスト掻き戻し部材17の回転によってベース3との間で発生する気流により、その回転に対して徐々に遅れていく。すなわち、その漏洩オイル滴100は、図5の矢印で示すように、移動して溝谷部17bに落ち込んだ後、スラスト掻き戻し部材17の回転に伴って掻き揚げられ、再び封止されるラジアル軸受部7aの方向に戻される。
以上のように、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、スラスト掻き戻し部材17は、ハブ1の回転に伴って、ベース3との間の空隙に漏れ出たオイルがラジアル軸受部7a側に移動するよう形成された螺旋溝部を備えている。さらに、スラスト掻き戻し部材17は、その螺旋溝部が回転軸2と同軸をなす円筒面上に配置されるように、回転軸支承部の開放端部の周りを囲んでハブ1に固定されている。これにより、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、たとえ振動や衝撃による外部からの加振力や衝撃力によりオイルが軸受隙間部から漏れ出た場合でも、スラスト掻き戻し部材17はハブ1が回転することによって漏れ出たオイルをモータの外部に飛散することなく、再び封止する方向に移動して元の軸受隙間部に戻すことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、オイルが軸受隙間部で不足することを防止できる。さらに、オイルがモータの外部に飛散することを防止できるので、飛散したオイルによる汚染を防ぐことができ、例えばハードディスク装置に内蔵した場合でも、飛散したオイルの付着によるデータの読み出し不能を生じない。尚、上述の説明では、4本の溝谷部17bを設けた場合について説明したが、溝谷部17bの本数はこれに限定されるものではない。
《第3の実施例》
図6は、本発明の第3の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、オイル封止部の螺旋溝部を回転軸と直角方向の平面上、及び同軸をなす円筒面上に配置した。それ以外の各部は、第2の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。図6に示すように、本実施例の流体軸受機構では、オイル封止手段であるラジアルスラスト掻き戻し部材17’が、ベース3の開放端面に対向し、かつその開放端部の周りを囲むように、ハブ1の内周部分に接着固定されている。すなわち、ラジアルスラスト掻き戻し部材17’は、上述の第1、第2の実施例に示したラジアル掻き戻し部材13(図1)とスラスト掻き戻し部材17(図4)とを一体的に構成したものであり、それらの各溝谷部13b,17bは互いに連結している(図示せず)。
以下、本実施例の流体軸受機構及びモータの動作について、図6を用いて説明する。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、ラジアルスラスト掻き戻し部材17’の機能についてのみ説明する。
図6において、漏洩オイル滴(図示せず)がラジアルスラスト掻き戻し部材17’の円筒面上の溝谷部(図示せず)に付着した場合、その漏洩オイル滴は、第2の実施例と同様に、モータ(ハブ1)の回転に伴って溝谷部に沿って掻き揚げられる。その後、その漏洩オイル滴は、第1の実施例のものと同様に、平板上の溝谷部(図示せず)に沿ってラジアルスラスト掻き戻し部材17’の内周部側、すなわち再び封止されるラジアル軸受部7aの方向に戻される。
以上のように、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、ラジアルスラスト掻き戻し部材17’は、ハブ1の回転に伴って、ベース3との間の空隙に漏れ出たオイルがラジアル軸受部7a側に移動するよう形成された螺旋溝部を備えている。さらに、ラジアルスラスト掻き戻し部材17’は、その螺旋溝部が回転軸2と直角方向の平面上、及び同軸をなす円筒面上にそれぞれ配置されるように、ベース3の開放端面、及びその開放端部の周りを囲んでハブ1に固定されている。これにより、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、たとえ振動や衝撃による外部からの加振力や衝撃力によりオイルが軸受隙間部から漏れ出た場合でも、ラジアルスラスト掻き戻し部材17’はハブ1が回転することによって漏れ出たオイルをモータの外部に飛散することなく、再び封止する方向に移動して元の軸受隙間部に戻すことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、オイルが軸受隙間部で不足することを防止できる。さらに、オイルがモータの外部に飛散することを防止できるので、飛散したオイルによる汚染を防ぐことができ、例えばハードディスク装置に内蔵した場合でも、飛散したオイルの付着によるデータの読み出し不能を生じない。
《第4の実施例》
図7は、本発明の第4の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、オイル封止部の螺旋溝部を回転軸と同軸をなす円錐面上に配置した。それ以外の各部は、第3の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。図7に示すように、本実施例の流体軸受機構では、オイル封止手段であるテーパ状掻き戻し部材23が、ベース3の開放端部に対向してハブ1の内周部円錐面上に設けられている。このテーパ状掻き戻し部材23は、回転軸2に対して所定の傾斜角をもつハブ1の内周部円錐面に、回転軸2の回転方向と反対方向に形成された螺旋溝をもつ螺旋溝部をフライス加工方法やコイニング方法によって切り欠き(又は切削)形成または塑性加工形成したものである。また、螺旋溝は、上述の第1〜第3の実施例のものと同様に、例えば4本形成されている。さらに、ベース3の開放端部は、テーパ状掻き戻し部材23の溝山部と所定の距離(例えば、50〜500μmの範囲)をおいて配置されるようテーパ状に形成している。
以下、本実施例の流体軸受機構及びモータの動作について、図7を用いて説明する。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、テーパ状掻き戻し部材23の機能についてのみ説明する。
図7において、漏洩オイル滴(図示せず)がテーパ状掻き戻し部23の円筒面上の溝谷部(図示せず)に付着した場合、その漏洩オイル滴は、第2の実施例と同様に、モータ(ハブ1)の回転に伴って溝谷部に沿って掻き揚げられ、回転軸2の外周面側、すなわち再び封止されるラジアル軸受部7aの方向に戻される。
以上のように、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、テーパ状掻き戻し部材23は、ハブ1の回転に伴って、ベース3との間の空隙に漏れ出たオイルがラジアル軸受部7a側に移動するよう形成された螺旋溝部を備えている。さらに、テーパ状掻き戻し部材23は、その螺旋溝部が回転軸2と同軸をなす円錐面上に配置されるように、ベース3の開放端部に対向してハブ1に設けられている。これにより、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、たとえ振動や衝撃による外部からの加振力や衝撃力によりオイルが軸受隙間部から漏れ出た場合でも、テーパ状掻き戻し部材23はハブ1が回転することによって漏れ出たオイルをモータの外部に飛散することなく、再び封止する方向に移動して元の軸受隙間部に戻すことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、オイルが軸受隙間部で不足することを防止できる。さらに、オイルがモータの外部に飛散することを防止できるので、飛散したオイルによる汚染を防ぐことができ、例えばハードディスク装置に内蔵した場合でも、飛散したオイルの付着によるデータの読み出し不能を生じない。
《第5の実施例》
図8は、本発明の第5の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。図9は、図8の一点鎖線Tで囲んだ部分の構成を示す拡大断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、回転軸の直径が回転軸支承部に向かって大きくなるようテーパ形状に形成した回転軸テーパ部を当該回転軸に設けた。それ以外の各部は、第1の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。
図8、及び図9に示すように、本実施例の流体軸受機構では、回転軸テーパ部24がラジアル掻き戻し部13と対向する回転軸2の外周部分に設けられている。この回転軸テーパ部24は、ラジアル軸受部7a(回転軸支承部)に近づくにつれて直径が大きくなるようテーパ形状に形成されている。
以下、本実施例の流体軸受機構及びモータの動作について、図9を用いて説明する。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、回転軸テーパ部24の機能についてのみ説明する。
図9に示すように、漏洩オイル滴100がラジアル掻き戻し部13の溝谷部(図示せず)に付着した場合、その漏洩オイル滴(図の破線で図示)は、第1の実施例のものと同様に、モータの回転に伴って溝谷部に沿ってラジアル掻き戻し部13の内周部側、すなわち再び封止される方向に戻される。その後、この漏洩オイル滴100(図の実線で図示)は、回転軸テーパ部24に付着する。そして、この漏洩オイル滴100は、回転軸2の回転に伴い遠心力によって外周側に移動しようとするが、回転軸テーパ部24上に付着しているため、回転軸支承部の方に移動する。これにより、漏洩オイル滴100は、ラジアル軸受部7aに封止されたオイル101と一体となる。
以上のように、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、回転軸2はその直径が回転軸支承部に向かって大きくなるようテーパ形状に形成した回転軸テーパ部24を有している。これにより、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、たとえ振動や衝撃による外部からの加振力や衝撃力によりオイルが軸受隙間部から漏れ出た場合でも、回転軸テーパ部24は漏れ出たオイルをモータの外部に飛散することなく、再び封止する方向に移動して元の軸受隙間部に戻すことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、オイルが軸受隙間部で不足することを防止できる。さらに、オイルがモータの外部に飛散することを防止できるので、飛散したオイルによる汚染を防ぐことができ、例えばハードディスク装置に内蔵した場合でも、飛散したオイルの付着によるデータの読み出し不能を生じない。
《第6の実施例》
図10は、本発明の第6の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、外部と内部(空隙部)とを連通する連通部を回転軸支承部に設けて、この連通部の少なくとも空隙部側の内面に撥油剤を塗布した。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、第1の実施例のものと同一部材には同一符号を付してその重複した説明は省略する。
図10に示すように、本実施例の流体軸受機構では、換気孔15がベース3に設けられている。この換気孔15は、ベース3の外部とラジアルスラスト間空隙部12とを連通する連通部を構成するものであり、後に詳述するように、周囲環境の変化によって回転軸支承部に密封された空気が膨張した場合でもオイルが漏れ出ることを防止できる。さらに、換気孔15をベース3に設けることにより、ベース3への回転軸2の挿入組立作業を容易に行うことができる。尚、上記密封された空気には、ラジアル間空隙部11及びラジアルスラスト間空隙部12に閉じこめられた空気だけでなく、オイルに混入した微小な気泡も含んでいる。
換気孔15は、同図に示すように、ラジアルスラスト間空隙部12から上方に傾斜して外部と連通することが好ましい。尚、換気孔15の具体的な直径は、例えば0.5mmである。
換気孔15では、撥油剤25が少なくともラジアルスラスト間空隙部12の近傍部分の内面に塗布されている。この撥油剤25は、オイルの濡れ性を劣化させることにより、オイルが換気孔15を伝って外部に漏れ出すことを防止するものである。具体的には、撥油剤25は、好ましくはフッ素系有機化学物を揮発性溶媒に溶解させたものであり、シリンジ等のディスペンサで所定部に塗布した後に乾燥させる。
以下、本実施例の流体軸受機構及びモータの動作について、図10を用いて説明する。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、換気孔15の機能についてのみ説明する。
図10において、モータを組み立てたときに回転軸支承部に密封された空気は、周囲環境の変化、例えば航空機等により搬送する場合に周囲の気圧低下に伴って膨張する。このように、周囲環境の変化によって空気が膨張したとき、換気孔15を設けていない場合、図23に示した従来例と同様に、オイルは空気の膨張分だけ回転軸支承部からオイルを押し出される。
これに対して、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、換気孔15がラジアルスラスト間空隙部12とベース3の外部とを連通しているので、密封された空気が膨張しても、その膨張した空気の圧力を換気孔15によって逃がすことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、膨張した空気が軸受隙間部からオイルを押し出してしまうことを抑制することが可能となる。さらに、換気孔15の内面に撥油剤25を塗布しているので、膨張した空気によってオイルが換気孔15を伝って外部に漏れ出ようとしても、換気孔15の内面における濡れ性が悪いため、そのオイルはすぐにラジアルスラスト間空隙部12に戻され、さらにスラストプレート9上の軸受隙間部に戻される。
以上のように、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、ベース3の外部とラジアルスラスト間空隙部12とを連通する換気孔15を設けている。さらに、少なくともラジアルスラスト間空隙部12の近傍部分において、換気孔15の内面に撥油剤25を塗布している。これにより、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、回転軸支承部に密封された空気が周囲環境の変化によって膨張した場合でも、オイルが回転軸支承部から外部に漏れ出ることを防止することができる。さらに、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、オイルがモータの外部に漏れ出ることを防止できるので、漏れ出たオイルによる汚染を防ぐことができる。
尚、上述の説明では、ラジアルスラスト間空隙部12とベース3の外部とを連通する換気孔15のみを設けた構成について説明したが、例えば図11に示すように、ラジアル間空隙部11とベース3の外部とを連通する別の換気孔15を設けてもよい。また、同図に示すように、スラストフランジを用いずに、スラスト軸受手段を回転軸2の端面とスラストプレート9とで構成してもよい。
《第7の実施例》
図12は、本発明の第7の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、スリーブと前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材とによってベースを構成して、外部に向かって広くなるよう楔状に形成した連通部をスリーブに設けた。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、第1の実施例のものと同一部材には同一符号を付してその重複した説明は省略する。
図12に示すように、本実施例の流体軸受機構では、ベース3は円筒形状のスリーブ14、及び前記スリーブ14を嵌合し保持するスリーブ保持部材34を具備している。スリーブ14には、その内周部分にラジアル軸受部7a,7bが設けられている。
スリーブ14の外周部分には、複数、例えば3つの楔状隙間部19aが転造加工方法によって形成されている。これらの楔状隙間部19aは、回転軸2の同心円周上で等間隔に配設されている。各楔状隙間部19aは、スリーブ14の外部とスラストフランジ8及びスリーブ14の間のラジアルスラスト間空隙部12とを連通する連通部を構成している。さらに、各楔状隙間部19aは、スリーブ14の外部に向かって広くなるよう形成されている。これにより、楔状隙間部19aは、上述の第6の実施例に示した撥油剤25を塗布することなく、当該楔状隙間部19a内に進入したオイルをラジアルスラスト間空隙部12に戻すことができる。詳細には、オイルが楔状隙間部19a内に進入した場合でも、そのオイルは表面張力によってより隙間の狭い部分、すなわちラジアルスラスト間空隙部12に近づく方向に再び戻される。さらに、楔状隙間部19aをスリーブ14に設けることにより、スリーブ保持部材34へのスリーブ14の嵌合組立作業を容易に行うことができる。
以下、本実施例の流体軸受機構及びモータの動作について、図12を用いて説明する。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、楔状隙間部19aの機能についてのみ説明する。
図12において、モータを組み立てたときに回転軸支承部に密封された空気は、周囲環境の変化、例えば航空機等により搬送する場合に周囲の気圧低下に伴って膨張する。このように、周囲環境の変化によって空気が膨張したとき、楔状隙間部19aを設けていない場合、図23に示した従来例と同様に、オイルは空気の膨張分だけ回転軸支承部からオイルを押し出される。
これに対して、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、楔状隙間部19aがラジアルスラスト間空隙部12とスリーブ14の外部とを連通しているので、密封された空気が膨張しても、その膨張した空気の圧力を楔状隙間部19aによって逃がすことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、膨張した空気が軸受隙間部からオイルを押し出してしまうことを抑制することが可能となる。さらに、楔状隙間部19aはスリーブ14の外部に向かって広くなるように形成されているので、この楔状隙間部19aに進入したオイルは自らの表面張力によってより隙間の狭い部分、すなわちラジアルスラスト間空隙部12に戻され、さらにスラストプレート9上の軸受隙間部に戻される。
以上のように、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、スリーブ14の外部とラジアルスラスト間空隙部12とを連通する楔状隙間部19aを設けている。これにより、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、回転軸支承部に密封された空気が周囲環境の変化によって膨張した場合でも、オイルが回転軸支承部から外部に漏れ出ることを防止することができる。さらに、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、オイルがモータの外部に漏れ出ることを防止できるので、漏れ出たオイルによる汚染を防ぐことができる。
《第8の実施例》
図13は、本発明の第8の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、円環状溝部をスリーブとスリーブ保持部材との間に設けた。それ以外の各部は、第7の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。
図13に示すように、本実施例の流体軸受機構では、ベース3は円筒形状のスリーブ14’、及び前記スリーブ14’を嵌合し保持するスリーブ保持部材35を具備している。スリーブ14’とスリーブ保持部材35との間には、ラジアル間空隙部11とスリーブ14’に設けられた楔状隙間部19aとを連結するための円環状溝部20が設けられている。つまり、スリーブ14’はその一端面がスリーブ保持部材35に対して所定の距離をおいて嵌合保持されて、スリーブ保持部材35との間で円環状溝部20を形成している。
スリーブ14’には、その内周部分にラジアル軸受部7aが設けられている。また、スリーブ14’の外周部分には、上述の第7の実施例と同様に、3つの楔状隙間部19aが転造加工方法によって形成されている。各楔状隙間部19aは、円環状溝部20を介してスリーブ14’の外部とラジアル間空隙部11とを連通する連通部を構成している。さらに、各楔状隙間部19aは、スリーブ14’の外部に向かって広くなるよう形成されている。これにより、オイルが楔状隙間部19a内に進入した場合でも、そのオイルは表面張力によってより隙間の狭い部分、すなわち円環状溝部20に近づく方向に再び戻ろうとする。スリーブ保持部材35には、その円周内筒面にラジアル軸受手段に含まれるラジアル軸受部7bが設けられている。
以下、本実施例の流体軸受機構及びモータの動作について、図13を用いて説明する。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、楔状隙間部19a及び円環状溝部20の機能についてのみ説明する。
図13において、モータを組み立てたときに回転軸支承部に密封された空気は、周囲環境の変化、例えば航空機等により搬送する場合に周囲の気圧低下に伴って膨張する。このように、周囲環境の変化によって空気が膨張したとき、楔状隙間部19a及び円環状溝部20を設けていない場合、図23に示した従来例と同様に、オイルは空気の膨張分だけ回転軸支承部から押し出される。
これに対して、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、楔状隙間部19aが円環状溝部20を介してスリーブ14’の外部とラジアル間空隙部11とを連通しているので、密封された空気が膨張しても、その膨張した空気の圧力を楔状隙間部19a及び円環状溝部20によって逃がすことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、膨張した空気が軸受隙間部からオイルを押し出してしまうことを抑制することが可能となる。さらに、楔状隙間部19aはスリーブ14’の外部に向かって広くなるように形成されているので、この楔状隙間部19aに浸入したオイルは自らの表面張力によってより隙間の狭い部分、すなわち円環状溝部20(ラジアル間空隙部11)に近づく方向に再び戻される。
以上のように、本実施例流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、スリーブ14’の外部に連結された楔状隙間部19aとラジアル間空隙部11とを連結するための円環状溝部20をスリーブ14’とスリーブ保持部材35との間に設けている。これにより、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、回転軸支承部に密封された空気が周囲環境の変化によって膨張した場合でも、オイルが回転軸支承部から外部に漏れ出ることを防止することができる。さらに、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、オイルがモータの外部に漏れ出ることを防止できるので、漏れ出たオイルによる汚染を防ぐことができる。
《第9の実施例》
図14は、本発明の第9の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、軸方向で分割した複数個のスリーブを用いて、円環状溝部をスリーブ保持部材と複数個の各スリーブの間に配置した。それ以外の各部は、第7の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。
図14に示すように、本実施例の流体軸受機構では、ベース3は円筒形状のスリーブ14a,14b、及び前記スリーブ14a,14bを保持するスリーブ保持部材36を具備している。スリーブ14aの内周部分にはラジアル軸受部7aが設けられ、スリーブ14bの内周部分にはラジアル軸受部7bが設けられている。スリーブ14a,14bの外周部分には、複数、例えば3つの楔状隙間部19a,19bがそれぞれ転造加工方法によって形成されている。これらの楔状隙間部19a,19bは、回転軸2の同心円周上で等間隔に配設されている。各楔状隙間部19aはスリーブ14aの外部に向かって広くなるよう形成されている。同様に、各楔状隙間部19bはスリーブ14bの外部に向かって広くなるよう形成されている。
スリーブ14aとスリーブ14bとの間には、ラジアル間空隙部11とスリーブ14aに設けられた楔状隙間部19aとを連結するための円環状溝部20が設けられている。つまり、スリーブ14aはその一端面がスリーブ14bに対して所定の距離をおいて嵌合保持されて、スリーブ14bとの間で円環状溝部20を形成している。同様に、スリーブ14bとスリーブ保持部材36との間には、ラジアルスラスト間空隙部12とスリーブ14bに設けられた楔状隙間部19bとを連結するための円環状溝部20が設けられている。つまり、スリーブ14bはその一端面がスリーブ保持部材36に対して所定の距離をおいて嵌合保持されて、スリーブ保持部材36との間で円環状溝部20を形成している。
以下、本実施例の流体軸受機構及びモータの動作について、図14を用いて説明する。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、楔状隙間部19a,19b及び2つの円環状溝部20の機能についてのみ説明する。
図14において、モータを組み立てたときに回転軸支承部に密封された空気は、周囲環境の変化、例えば航空機等により搬送する場合に周囲の気圧低下に伴って膨張する。このように、周囲環境の変化によって空気が膨張したとき、楔状隙間部19a,19b及び2つの円環状溝部20を設けていない場合、図23に示した従来例と同様に、オイルは空気の膨張分だけ回転軸支承部から押し出される。
これに対して、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、楔状隙間部19aが連結された円環状溝部20を介してスリーブ14aの外部とラジアル間空隙部11とを連通し、楔状隙間部19bが連結された円環状溝部20を介してスリーブ14bの外部とラジアルスラスト間空隙部12とを連通している。このため、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、密封された空気が膨張しても、その膨張した空気の圧力を楔状隙間部19a,19b及び2つの円環状溝部20によって逃がすことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、膨張した空気が軸受隙間部からオイルを押し出してしまうことを抑制することが可能となる。さらに、楔状隙間部19a,19bはそれぞれスリーブ14a,14bの外部に向かって広くなるように形成されているので、楔状隙間部19a,19bに進入したオイルは自らの表面張力によってより隙間の狭い部分、すなわち円環状溝部20(ラジアル間空隙部11及びラジアルスラスト間空隙部12)に近づく方向に再び戻される。
以上のように、本実施例流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、ラジアル軸受部7a,7bをそれぞれ有するスリーブ14a,14bに外部に連結された楔状隙間部19a,19bをそれぞれ設けている。さらに、2つの円環状溝部20により、ラジアル間空隙部11、及びラジアルスラスト間空隙部12を楔状隙間部19a,19bにそれぞれ連結している。これにより、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、回転軸支承部に密封された空気が周囲環境の変化によって膨張した場合でも、オイルが回転軸支承部から外部に漏れ出ることを防止することができる。さらに、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、オイルがモータの外部に漏れ出ることを防止できるので、漏れ出たオイルによる汚染を防ぐことができる。
尚、上述の説明では、スリーブ14aをスリーブ14bに嵌合保持する構成について説明したが、実施例はこれに限定されるものではなく、スリーブ14a,14bを別個にスリーブ保持部材36に嵌合保持する構成でもよい。
《第10の実施例》
図15は、本発明の第10の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、空隙部と円環状溝部とを連通する第1の連通部をスリーブに設け、その第1の連通部と異なる位置で円環状溝部に連結され、当該円環状溝部と外部と連通する第2の連通部をスリーブ保持部材に設けた。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、第1の実施例のものと同一部材には同一符号を付してその重複した説明は省略する。
図15に示すように、本実施例の流体軸受機構では、ベース3は円筒形状のスリーブ16、及び前記スリーブ16を嵌合し保持するスリーブ保持部材37を具備している。スリーブ16には、その内周部分にラジアル軸受部7a,7bが設けられている。また、スリーブ16とスリーブ保持部材37の間には、円環状溝部20が形成されている。
スリーブ16には、ラジアルスラスト間空隙部12と円環状溝部20とを連通する第1の連通部である換気孔15bが設けられている。換気孔15bは、同図に示すように、ラジアルスラスト間空隙部12から上方に傾斜して外部と連通することが好ましい。
スリーブ保持部材37には、円環状溝部20とベース3の外部とを連通する第2の連通部である換気孔15aが設けられている。
上述の第1、第2の連通部は、円環状溝部20に互いに異なる位相に配設されている。具体的にいえば、換気孔15bと換気孔15aは、互いに異なる位相に配設されている。つまり、換気孔15b,15aは、直接的に連接されることなく、円環状溝部20の異なる位置に連結されている。これにより、例えば極めて強い振動による大きい力が外部からモータに加わった場合でも、オイルは換気孔15aから外部に漏れ出ることなく、換気孔15bを伝って円環状溝部20に溜められるだけである。それゆえ、本実施例の流体軸受機構では、極めて強い振動が加わっても、オイルがモータの外部に飛散することを防止できる。尚、換気孔15a,15bの具体的な直径は、それぞれ例えば0.4mm,0.5mmである。
以下、本実施例の流体軸受機構及びモータの動作について、図15を用いて説明する。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、換気孔15a,15b及び円環状溝部20の機能についてのみ説明する。
図15において、モータを組み立てたときに回転軸支承部に密封された空気は、周囲環境の変化、例えば航空機等により搬送する場合に周囲の気圧低下に伴って膨張する。このように、周囲環境の変化によって空気が膨張したとき、換気孔15a,15b及び円環状溝部20を設けていない場合、図23に示した従来例と同様に、オイルは空気の膨張分だけ回転軸支承部から押し出される。
これに対して、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、換気孔15bがラジアルスラスト間空隙部12と円環状溝部20とを連通し、換気孔15bと異なる位置に連結された換気孔15aが円環状溝部20とベース3の外部とを連通している。このため、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、密封された空気が膨張しても、その膨張した空気の圧力を換気孔15a,15b及び円環状溝部20によって逃がすことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、膨張した空気が軸受隙間部からオイルを押し出してしまうことを抑制することが可能となる。
さらに、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、例えば極めて強い振動が外部から加わった場合、オイルは換気孔15bを伝って円環状溝部20に漏れ出る可能性はある。しかしながら、換気孔15a,15bは円環状溝部20上で互いに異なる位相に配設されているので、換気孔15aを伝って外部に漏れ出ることはなく、オイルは円環状溝部20に溜められる。
以上のように、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、第1の連通部である換気孔15bがラジアルスラスト間空隙部12と円環状溝部20とを連通している。さらに、第2の連通部である換気孔15aが円環状溝部20上で換気孔15bと異なる位置に連結され、その円環状溝部20とモータの外部とを連通している。これにより、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、回転軸支承部に密封された空気が周囲環境の変化によって膨張した場合でも、オイルが回転軸支承部から外部に漏れ出ることを防止することができる。さらに、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、オイルがモータの外部に漏れ出ることを防止できるので、漏れ出たオイルによる汚染を防ぐことができる。
《第11の実施例》
図16は、本発明の第11の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、スリーブ保持部材に設けた換気孔の代わりに、楔状隙間部を第2の連通部としてスリーブに設けた。それ以外の各部は、第10の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。
図16に示すように、本実施例の流体軸受機構では、ベース3は円筒形状のスリーブ16’、及び前記スリーブ16’を嵌合し保持するスリーブ保持部材37’を具備している。回転軸2には、上述の第5の実施例のものと同様に、回転軸テーパ部24を設けている。これにより、ラジアル軸受部7aから回転子の方に漏れ出たオイルを元の軸受隙間部に戻すことができる。
スリーブ16’には、その内周部分にラジアル軸受部7a,7bが設けられている。スリーブ16’の外周部分には、スリーブ16’の外部に向かって広くなるよう形成された楔状隙間部19aが設けられている。この楔状隙間部19aは、外部と円環状溝部20を連通する第2の連通部として機能する。また、スリーブ16’とスリーブ保持部材37’の間には、円環状溝部20が形成されている。
スリーブ16’には、ラジアルスラスト間空隙部12と円環状溝部20とを連通する第1の連通部である換気孔15bが設けられている。換気孔15bは、同図に示すように、ラジアルスラスト間空隙部12から上方に傾斜して外部と連通することが好ましい。さらに、スリーブ16’には、別の第1の連通部として、ラジアル間空隙部11と円環状溝部20とを連通する換気孔15cが設けられている。尚、換気孔15cの具体的な直径は、例えば0.5mmである。
上述の第1、第2の連通部は、円環状溝部20に互いに異なる位相に配設されている。具体的にいえば、各換気孔15b,15cと楔状隙間部19aとは、直接的に連結されることなく、円環状溝部20の異なる位置に連結されている。これにより、本実施例の流体軸受機構では、第10の実施例のものと同様に、極めて強い振動が加わっても、オイルがモータの外部に飛散することを防止できる。
以下、本実施例の流体軸受機構及びモータの動作について、図16を用いて説明する。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、換気孔15b,15c、楔状隙間部19a、及び円環状溝部20の機能についてのみ説明する。
図16において、モータを組み立てたときに回転軸支承部に密封された空気は、周囲環境の変化、例えば航空機等により搬送する場合に周囲の気圧低下に伴って膨張する。このように、周囲環境の変化によって空気が膨張したとき、換気孔15b,15c、楔状隙間部19a、及び円環状溝部20を設けていない場合、図23に示した従来例と同様に、オイルは空気の膨張分だけ回転軸支承部からオイルを押し出される。
これに対して、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、換気孔15b,15cが円環状溝部20とラジアルスラスト間空隙部12及びラジアル間空隙部11とをそれぞれ連通し、換気孔15b,15cと異なる位置に連結された楔状隙間部19aが円環状溝部20とベース3の外部とを連通している。このため、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、密封された空気が膨張しても、その膨張した空気の圧力を換気孔15b,15c、円環状溝部20、及び楔状隙間部19aによって逃がすことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、膨張した空気が軸受隙間部からオイルを押し出してしまうことを抑制することが可能となる。
さらに、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、例えば極めて強い振動が外部から加わった場合、オイルは換気孔15b,15cを伝って円環状溝部20に漏れ出る可能性はある。しかしながら、楔状隙間部19aと換気孔15b,15cとは円環状溝部20上で互いに異なる位相に配設されているので、楔状隙間部19aを伝って外部に漏れ出ることはなく、オイルは円環状溝部20に溜められる。
以上のように、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、第1の連通部である換気孔15b,15cが円環状溝部20とラジアルスラスト間空隙部12、及びラジアル間空隙部11とをそれぞれ連通している。さらに、第2の連通部である楔状隙間部19aが円環状溝部20上で換気孔15b,15cと異なる位置に連結され、その円環状溝部20とモータの外部とを連通している。これにより、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、回転軸支承部に密封された空気が周囲環境の変化によって膨張した場合でも、オイルが回転軸支承部から外部に漏れ出ることを防止することができる。さらに、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、オイルがモータの外部に漏れ出ることを防止できるので、漏れ出たオイルによる汚染を防ぐことができる。
《第12の実施例》
図17は、本発明の第12の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。図18の(a)、及び図18の(b)はそれぞれ図17に示したスリーブ18aの構成を示す側面図、及びスラストフランジ8からみた底面図であり、図18の(c)、及び図18の(d)はそれぞれ図17に示したスリーブ18bの構成を示す側面図、及びスラストフランジ8からみた底面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、軸方向で分割した複数個の各スリーブに楔状隙間部を設けて、楔状隙間部と円環状溝部を用いて回転軸支承部の外部と内部とを連通した。それ以外の各部は、第10の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。
図17、及び図18の(a)乃至図18の(d)に示すように、本実施例の流体軸受機構では、ベース3は円筒形状のスリーブ18a,18b、及び前記スリーブ18a,18bを保持するスリーブ保持部材38を具備している。スリーブ18aの内周部分にはラジアル軸受部7aが設けられ、スリーブ18bの内周部分にはラジアル軸受部7bが設けられている。スリーブ18a,18bの外周部分には、面取部21a,21bがそれぞれ設けられている。これにより、スリーブ18a,18bを上下2段に重ねてスリーブ保持部材38内に配置したとき、円環状溝部20がスリーブ保持部材38との間で形成される。
また、スリーブ18a,18bの外周部分には、複数、例えば3つの楔状隙間部19a,19bがそれぞれ転造加工方法によって形成されている。また、スリーブ18aのスリーブ18b側の底面には、複数、例えば3つの楔状隙間部19cが転造加工方法によって形成されている。これらの楔状隙間部19a,19b,19cは、回転軸2の同心円周上で等間隔に配設されている。各楔状隙間部19a,19cはスリーブ18aの外部に向かって広くなるよう形成されている。同様に、各楔状隙間部19bはスリーブ18bの外部に向かって広くなるよう形成されている。
各楔状隙間部19aは、第2の連通部を構成するものであり、ベース3の外部と円環状溝部20とを連通している。各楔状隙間部19bは、第1の連通部を構成するものであり、円環状溝部20とラジアルスラスト間空隙部12とを連通している。同様に、各楔状隙間部19cは、第1の連通部を構成するものであり、円環状溝部20とラジアル間空隙部11とを連通している。
上述の第1、第2の連通部は、円環状溝部20に互いに異なる位相に配設されている。具体的にいえば、楔状隙間部19b,19cと楔状隙間部19aとは、直接的に連結されることなく、円環状溝部20の異なる位置に連結されている。これにより、本実施例の流体軸受機構では、第10の実施例のものと同様に、極めて強い振動が加わっても、オイルがモータの外部に飛散することを防止できる。
以下、本実施例の流体軸受機構及びモータの動作について、図17を用いて説明する。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、楔状隙間部19a,19b,19c、及び円環状溝部20の機能についてのみ説明する。
図17において、モータを組み立てたときに回転軸支承部に密封された空気は、周囲環境の変化、例えば航空機等により搬送する場合に周囲の気圧低下に伴って膨張する。このように、周囲環境の変化によって空気が膨張したとき、楔状隙間部19a,19b,19c、及び円環状溝部20を設けていない場合、図23に示した従来例と同様に、オイルは空気の膨張分だけ回転軸支承部からオイルを押し出される。
これに対して、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、楔状隙間部19b,19cが円環状溝部20とラジアルスラスト間空隙部12及びラジアル間空隙部11とをそれぞれ連通し、楔状隙間部19b,19cと異なる位置に連結された楔状隙間部19aが円環状溝部20とベース3の外部とを連通している。このため、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、密封された空気が膨張しても、その膨張した空気の圧力を楔状隙間部19b,19c、円環状溝部20、及び楔状隙間部19aによって逃がすことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、膨張した空気が軸受隙間部からオイルを押し出してしまうことを抑制することが可能となる。
さらに、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、例えば極めて強い振動が外部から加わった場合、オイルは楔状隙間部19b,19cを伝って円環状溝部20に漏れ出る可能性はある。しかしながら、楔状隙間部19aと楔状隙間部19b,19cとは円環状溝部20上で互いに異なる位相に配設されているので、楔状隙間部19aを伝って外部に漏れ出ることはなく、オイルは円環状溝部20に溜められる。
以上のように、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、第1の連通部である楔状隙間部19b,19cが円環状溝部20とラジアルスラスト間空隙部12、及びラジアル間空隙部11とをそれぞれ連通している。さらに、第2の連通部である楔状隙間部19aが円環状溝部20上で楔状隙間部19b,19cと異なる位置に連結され、その円環状溝部20とモータの外部とを連通している。これにより、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、回転軸支承部に密封された空気が周囲環境の変化によって膨張した場合でも、オイルが回転軸支承部から外部に漏れ出ることを防止することができる。さらに、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、オイルがモータの外部に漏れ出ることを防止できるので、漏れ出たオイルによる汚染を防ぐことができる。
《第13の実施例》
図19は、本発明の第13の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。図20の(a)は、図19に示したスラストフランジからみたスリーブの構成を示す底面図である。図20の(b)は、図20の(a)のA−O−B線で断面をとったスリーブの構成を示す断面図であり、図20の(c)のA−O−C線で断面をとったスリーブの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、スリーブ及びスリーブ保持部材に設けた換気孔の代わりに、楔状隙間部を第1、第2の連通部としてスリーブに設けた。それ以外の各部は、第10の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。
図19、及び図20の(a)乃至図20の(c)に示すように、本実施例の流体軸受機構では、ベース3は円筒形状のスリーブ18、及び前記スリーブ18を保持するスリーブ保持部材38を具備している。これらのスリーブ18とスリーブ保持部材38との間には、円環状溝部20が形成されている。スリーブ18の内周部分にはラジアル軸受部7a,7bが設けられている。スリーブ18には、第1の連通部である換気孔22が設けられ、上記円環状溝部20とラジアル間空隙部11とを連通している。
スリーブ18の外周部分には、複数、例えば3つの楔状隙間部19a,19bがそれぞれ転造加工方法によって形成されている。これらの楔状隙間部19a,19bは、回転軸2の同心円周上で等間隔に配設されている。各楔状隙間部19a,19bはスリーブ18の外部に向かって広くなるよう形成されている。
各楔状隙間部19aは、第2の連通部を構成するものであり、ベース3の外部と円環状溝部20とを連通している。各楔状隙間部19bは、第1の連通部を構成するものであり、円環状溝部20とラジアルスラスト間空隙部12とを連通している。
上述の第1、第2の連通部は、円環状溝部20に互いに異なる位相に配設されている。具体的にいえば、楔状隙間部19b及び換気孔22と、楔状隙間部19aとは、直接的に連結されることなく、円環状溝部20の異なる位置に連結されている。これにより、本実施例の流体軸受機構では、第10の実施例のものと同様に、極めて強い振動が加わっても、オイルがモータの外部に飛散することを防止できる。
以下、本実施例の流体軸受機構及びモータの動作について、図19を用いて説明する。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、楔状隙間部19a,19b、円環状溝部20、及び換気孔22の機能についてのみ説明する。
図19において、モータを組み立てたときに回転軸支承部に密封された空気は、周囲環境の変化、例えば航空機等により搬送する場合に周囲の気圧低下に伴って膨張する。このように、周囲環境の変化によって空気が膨張したとき、楔状隙間部19a,19b、円環状溝部20、及び換気孔22を設けていない場合、図23に示した従来例と同様に、オイルは空気の膨張分だけ回転軸支承部からオイルを押し出される。
これに対して、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、楔状隙間部19b及び換気孔22が円環状溝部20とラジアルスラスト間空隙部12及びラジアル間空隙部11とをそれぞれ連通し、楔状隙間部19b及び換気孔22と異なる位置に連結された楔状隙間部19aが円環状溝部20とベース3の外部とを連通している。このため、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、密封された空気が膨張しても、その膨張した空気の圧力を楔状隙間部19b及び換気孔22、円環状溝部20、及び楔状隙間部19aによって逃がすことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、膨張した空気が軸受隙間部からオイルを押し出してしまうことを抑制することが可能となる。
さらに、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、例えば極めて強い振動が外部から加わった場合、オイルは楔状隙間部19b及び換気孔22を伝って円環状溝部20に漏れ出る可能性はある。しかしながら、楔状隙間部19aと楔状隙間部19b及び換気孔22とは円環状溝部20上で互いに異なる位相に配設されているので、楔状隙間部19aを伝って外部に漏れ出ることはなく、オイルは円環状溝部20に溜められる。
以上のように、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、第1の連通部である楔状隙間部19b及び換気孔22が円環状溝部20とラジアルスラスト間空隙部12、及びラジアル間空隙部11とをそれぞれ連通している。さらに、第2の連通部である楔状隙間部19aが円環状溝部20上で楔状隙間部19b及び換気孔22と異なる位置に連結され、その円環状溝部20とモータの外部とを連通している。これにより、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、回転軸支承部に密封された空気が周囲環境の変化によって膨張した場合でも、オイルが回転軸支承部から外部に漏れ出ることを防止することができる。さらに、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、オイルがモータの外部に漏れ出ることを防止できるので、漏れ出たオイルによる汚染を防ぐことができる。
《第14の実施例》
図21は、本発明の第14の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、回転軸支承部の開放端部から漏れ出たオイルを回転子と回転軸支承部の間で吸着、吸収するオイル吸収部材を設けた。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、第1の実施例のものと同一部材には同一符号を付してその重複した説明は省略する。
図21において、本実施例の流体軸受機構では、その回転子と回転軸支承部との間には、軟磁性焼結フェライトにより構成したステータコア31が配置されている。このステータコア31は、回転子を回転するための磁気回路を形成するだけでなく、ベース3の開放端部から漏れ出たオイルを回転子とベース3との間で吸着し吸収するオイル吸収部材を兼用している。具体的にいえば、ステータコア31は、回転子に含まれた磁石5との間に所定の間隙をおいて、回転子のハブ1の内周円筒面内でベース3の外周円筒面上に固定されている。ステータコア31を構成する軟磁性焼結フェライトには、その表面に微小な空孔が無数に存在している(図示せず)。このため、本実施例の流体軸受機構では、漏れ出たオイルをステータコア31の微小な空孔に吸着し吸収することができ、オイルがモータの外部に飛散することを抑制できる。
詳細にいえば、オイルは振動や衝撃による外部から力や周囲環境の変化によってラジアル軸受部7aからベース3の開放端部上に漏れ出た後、回転軸2及び回転子の回転によって霧状となり、ステータコア31と磁石5との間の間隙を経て外部に拡散しようとする。これに対して、本実施例の流体軸受機構では、微小な空孔を表面に有する軟磁性焼結フェライトを用いてステータコア31を構成している。それゆえ、本実施例の流体軸受機構では、霧状のオイルがハブ1(回転子)の内周円筒面内でその回転により生じた気流によって上述の間隙を通過するとき、ステータコア31の微小な空孔により吸着、吸収され、モータの外部に飛散することを抑制できる。さらに、本実施例の流体軸受機構を搭載したモータでは、軟磁性焼結フェライトを用いたことによる副次的効果として、渦電流損失をほぼ0にすることができ、高速回転を要求されるハードディスク装置用モータなどにおいて、低消費電力化とモータの小型化を容易に行うことが可能となる。
以上のように、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、微小な空孔を表面に有する軟磁性焼結フェライトによってステータコア31を構成している。さらに、そのステータコア31を回転子に含まれた磁石5との間に所定の間隙をおいて、回転子のハブ1の内周円筒面内でベース3の外周円筒面上に固定している。これにより、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、回転子の回転によって霧状となったオイルをステータコア31の微小な空孔により吸着し吸収することができ、回転軸支承部から漏れ出たオイルがモータの外部に飛散することを抑制できる。
《第15の実施例》
図22は、本発明の第15の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、軟磁性焼結フェライトを用いてステータコアを構成する代わりに、フィルタ部材を回転子の内周円筒面内で回転軸支承部上に設けた。それ以外の各部は、第14の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。
図22に示すように、本実施例の流体軸受機構では、メッシュ状のフィルタ部材32がハブ1の内周円筒面内でベース3上に配置している。このフィルタ部材32は、好ましくはPET等の繊維材料、あるいは多数の空孔を設けた多孔質の熱可塑性樹脂材料により、円環状または円弧状に形成されたものである。具体的にいえば、フィルタ部材32は、ハブ1とベース3との間隙を塞ぐように、磁石5、ヨーク6、及びステータコア30の下方でベース3の外周円筒面の周りに固定されている。これにより、本実施例の流体軸受機構では、漏れ出たオイルをフィルタ部材32によって吸着し吸収することができ、オイルがモータの外部に飛散することを抑制できる。尚、ハブ1の内部で気流は旋回するので、フィルタ部材32は円環状でなくともよく、例えば開き角50°〜90°程度の扇形状でもよい。
詳細にいえば、オイルは振動や衝撃による外部から力や周囲環境の変化によってラジアル軸受部7aからベース3の開放端部上に漏れ出た後、回転軸2及び回転子の回転によって霧状となり、ハブ1とベース3との間隙を経て外部に拡散しようとする。これに対して、本実施例の流体軸受機構は、上記間隙を塞ぐように、ハブ1の内周円筒面内でベース3上にフィルタ部材32を配置している。それゆえ、本実施例の流体軸受機構では、霧状のオイルがハブ1(回転子)の内周円筒面内でその回転により生じた気流によって上述の間隙を通過するとき、フィルタ部材32により吸着、吸収され、モータの外部に飛散することを抑制できる。
以上のように、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、ハブ1とベース3との間隙を塞ぐように、ハブ1の内周円筒面内でベース3上にフィルタ部材32を配置している。これにより、本実施例の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、回転子の回転によって霧状となったオイルをフィルタ部材32により吸着し吸収することができ、回転軸支承部から漏れ出たオイルがモータの外部に飛散することを抑制できる。
尚、フィルタ部材32の形状は円弧状に限定されるものではなく、回転子と回転軸支承部との間の間隙内で、その回転子の回転によって生じる気流により運ばれる霧状のオイルを吸収できる形状であればよい。
尚、上述の第1〜第15の実施例では、ビスによりスラストフランジを回転軸に固定した構成について説明したが、それ以外に回転軸とスラストフランジを一体的に構成した段付き軸を用いた構成でもよい。
また、上述の第7〜第13の実施例では、楔状隙間部をスリーブの外周部分に設けた例について説明したが、外部に向かって広くなるよう形成した楔状隙間部をスリーブ保持部材の内周部分を切り欠くことによりスリーブ保持部材に設けてもよい。
また、オイル吸収部材は、上述の第14、及び第15の実施例に示したものに限定されるものではなく、回転子と回転軸支承部との間の間隙内で、その回転子の回転によって生じる気流中のオイルを吸着し吸収できるものであればよい。例えば、ステータコアに対向する磁石の円筒面上に多数の空孔を有する焼結合金製のリングを接着する構成でもよい。
また、上述の第1〜第15の各実施例を適宜組み合わせて、流体軸受機構及びモータを構成してもよい。
[発明の効果]
本発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータは、回転子と一体的に回転し、かつ回転軸支承部の開放端部に所定の空隙を介して対向配置したオイル封止部を備えている。さらに、このオイル封止部には、空隙に漏れ出たオイルが回転子の回転に伴って回転軸支承部側に移動するよう螺旋溝部を形成している。この発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、たとえ振動や衝撃による外部からの加振力や衝撃力によりオイルが回転軸支承部から漏れ出た場合でも、オイル封止部は回転子が回転することによって漏れ出たオイルをモータの外部に飛散することなく、再び封止する方向に移動する。その結果、この発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、オイルが回転軸支承部で不足することを防止できる。さらに、オイルがモータの外部に飛散することを防止できるので、飛散したオイルによる汚染を防ぐことができ、例えばハードディスク装置に内蔵した場合でも、飛散したオイルの付着によるデータの読み出し不能を生じない。
また、別の観点による発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、回転軸支承部の外部と、ラジアル軸受手段とスラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部及びラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部の少なくとも一方の空隙部とを連通する連通部を備えている。さらに、この発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、この連通部の少なくとも前記空隙部側の内面に撥油剤を塗布している。これにより、この発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、周囲環境が変化する場合でも、オイルが回転軸支承部から漏れ出ることを防止して、当該モータの外部にオイルが飛散することを防ぐことができる。
また、別の観点による発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、回転軸支承部の外部と、ラジアル軸受手段とスラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部及びラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部の少なくとも一方の空隙部とを連通する連通部とを備えている。さらに、この発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、連通部がスリーブまたはスリーブ保持部材に設けられ、かつ外部に向かって広くなるよう楔状に形成している。これにより、この発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、周囲環境が変化する場合でも、オイルが回転軸支承部から漏れ出ることを防止して、当該モータの外部にオイルが飛散することを防ぐことができる。
また、別の観点による発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、円環状溝部と、ラジアル軸受手段とスラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部及びラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部の少なくとも一方の空隙部とを連通する第1の連通部を設けている。さらに、この発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、第1の連通部と異なる位置で円環状溝部に連結され、その円環状溝部と外部と連通する第2の連通部とを備えている。これにより、この発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、たとえオイルが回転軸支承部から漏れ出た場合でも、当該モータの外部に飛散することなく、回転軸支承部にオイルを戻すことができる。
別の観点による発明の流体軸受機構は、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、回転子と回転軸支承部の間に設けられ、回転軸支承部の開放端部から漏れ出たオイルを吸収するオイル吸収部材とを備えている。さらに、この発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、オイル吸収部材が回転子と回転軸支承部との間の間隙内で、その回転子の回転によって生じる気流中のオイルを吸着し吸収するよう構成している。これにより、この発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、回転軸支承部から漏れ出た場合でも、当該モータの外部に飛散すること抑制できる。
本発明の第1の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図 図1に示したラジアル掻き戻し部材近傍の流体軸受機構の詳細な構成を示す拡大断面図 図1に示したラジアル掻き戻し部材の構成及び機能を示す説明図 本発明の第2の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図 図4に示したスラスト掻き戻し部材の構成及び機能を示す斜視図 本発明の第3の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図 本発明の第4の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図 本発明の第5の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図 図8の一点鎖線Tで囲んだ部分の構成を示す拡大断面図 本発明の第6の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図 図10に示した流体軸受機構の変形例、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図 本発明の第7の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図 本発明の第8の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図 本発明の第9の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図 本発明の第10の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図 本発明の第11の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図 本発明の第12の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図 図17に示したスリーブの詳細な構成を示す構造図 本発明の第13の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図 図19に示したスリーブの詳細な構成を示す構造図 本発明の第14の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図 本発明の第15の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図 従来の流体軸受機構、及び従来のモータの構成を示す断面図
符号の説明
1 ハブ
2 回転軸
3 ベース
5 磁石
6 ヨーク
7a,7b ラジアル軸受部
8 スラストフランジ
9 スラストプレート
11 ラジアル間空隙部
12 ラジアルスラスト間空隙部
13,17,17’,23 オイル封止部
14,14’,14a,14b スリーブ
15,15a,15b,15c 換気孔
16,16’,18,18a,18b, スリーブ
19a,19b,19c 楔状隙間部
20 円環状溝部
24 回転軸テーパ部
25 撥油剤
31 ステータコア
32 メッシュフィルタ部材
40 開放端空隙部

Claims (11)

  1. 一方向に回転する回転軸、
    前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び
    前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部及び前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部の少なくとも一方の空隙部とを連通する連通部を備え、
    前記連通部の少なくとも前記空隙部側の内面に撥油剤を塗布して、その空隙部内の空気を外部に放出するよう構成した、
    ことを特徴とする流体軸受機構。
  2. 一方向に回転する回転軸、
    前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び
    前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部とを連通する連通部を備え、
    前記連通部の少なくとも前記空隙部側の内面に撥油剤を塗布して、その空隙部内の空気を外部に放出するよう構成した、
    ことを特徴とする流体軸受機構。
  3. 一方向に回転する回転軸、
    前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び
    前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部とを連通する連通部を備え、
    前記連通部の少なくとも前記空隙部側の内面に撥油剤を塗布して、その空隙部内の空気を外部に放出するよう構成した、
    ことを特徴とする流体軸受機構。
  4. 一方向に回転する回転軸、
    少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び
    前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部及び前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部の少なくとも一方の空隙部とを連通する連通部を備え、
    前記連通部が、前記スリーブまたは前記スリーブ保持部材に設けられ、かつその断面形状が外部に向かって広くなるよう楔状に形成された、
    ことを特徴とする流体軸受機構。
  5. 一方向に回転する回転軸、
    少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び
    前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部とを連通する連通部を備え、
    前記連通部が、前記スリーブまたは前記スリーブ保持部材に設けられ、かつその断面形状が外部に向かって広くなるよう楔状に形成された、
    ことを特徴とする流体軸受機構。
  6. 一方向に回転する回転軸、
    少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び
    前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部とを連通する連通部を備え、
    前記連通部が、前記スリーブまたは前記スリーブ保持部材に設けられ、かつその断面形状が外部に向かって広くなるよう楔状に形成された、
    ことを特徴とする流体軸受機構。
  7. 一方向に回転する回転軸、
    少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、
    前記スリーブと前記スリーブ保持部材との間に設けた円環状溝部、
    前記円環状溝部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部及び前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部の少なくとも一方の空隙部とを連通する第1の連通部、及び
    前記第1の連通部と異なる回転位相位置で前記円環状溝部に連結され、その円環状溝部と外部と連通する第2の連通部、
    を備えたことを特徴とする流体軸受機構。
  8. 一方向に回転する回転軸、
    少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、
    前記スリーブと前記スリーブ保持部材との間に設けた円環状溝部、
    前記円環状溝部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部とを連通する第1の連通部、及び
    前記第1の連通部と異なる回転位相位置で前記円環状溝部に連結され、その円環状溝部と外部と連通する第2の連通部、
    を備えたことを特徴とする流体軸受機構。
  9. 一方向に回転する回転軸、
    少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、
    前記スリーブと前記スリーブ保持部材との間に設けた円環状溝部、
    前記円環状溝部と、前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部とを連通する第1の連通部、及び
    前記第1の連通部と異なる回転位相位置で前記円環状溝部に連結され、その円環状溝部と外部と連通する第2の連通部、
    を備えたことを特徴とする流体軸受機構。
  10. 前記第1及び第2の連通部の少なくとも一方は、その断面形状が外部に向かって広くなるよう楔状に形成されたことを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の流体軸受機構。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の流体軸受機構を搭載したことを特徴とするモータ。
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