JP2009063175A - 流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一方向に回転する回転軸、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部及び前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部の少なくとも一方の空隙部とを連通する連通部を備え、前記連通部の少なくとも前記空隙部側の内面に撥油剤を塗布して、その空隙部内の空気を外部に放出するよう構成する。
【選択図】図10
Description
図23は、従来の流体軸受機構、及び従来のモータの構成を示す断面図である。
図23において、従来の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸52、前記回転軸52との間に形成された所定の隙間にオイル(図示せず)を充填し、そのオイル動圧により回転軸52を支承する回転軸支承部、及び前記回転軸52と一体的に回転する回転子を備えている。この回転子は、ハブ51、磁石55、ヨーク56、及びスラストフランジ58により構成されている。
ハブ51は、図示しないディスク状の記録媒体を搭載するものであり、回転軸52の一端部分に圧入されて、共に一体的に一方向に回転する。また、ハブ51の内周面上には、軟磁性材料製のヨーク56と磁石55が接着されている。磁石55の内周円筒面は、複数のN極及びS極が交互に着磁されている。さらに、回転軸52の他端には、スラストフランジ58がビス60によって固定されて回転軸52と一体的に構成されている。
上述の従来の流体軸受機構を搭載したモータには、上述の回転軸52と回転子を回転するために、ステータコア61、及び複数相のステータコイル54がベース53の外周円筒面上に設けられている。ステータコア61は、上記ベース53の外周円筒面上に接着、固定されている。ステータコイル54は、ステータコア61に巻回されている。
ステータコイル54に回転子の回転位相に応じて順次通電を行うと、磁石55との間でフレミングの左手の法則に従うトルクが発生する。これにより、磁石55、ヨーク56、ハブ51、回転軸52、及びスラストフランジ58からなる一体的構成物は回転を開始する。また、回転軸52とラジアル軸受部57a,57bとの間、及びスラストプレート59の上面とスラストフランジ58の下面との間の軸受隙間部に充填されたオイルは、楔形状、及び螺旋形状の溝によって動圧をそれぞれ発生して、回転軸52及びスラストフランジ58を浮上させる。これにより、回転子は、非接触で回転することが可能となる。
さらに、従来の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載した従来のモータでは、回転軸支承部はほぼ密閉状態に近く、その開放端部は回転子側に設けられた軸受隙間部(ラジアル軸受部57a)のみであった。このため、従来の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載した従来のモータでは、周囲環境の変化によってオイルが上述の回転子側に設けられた軸受隙間部から外部に抜け出すことがあった。具体的にいえば、従来の流体軸受機構を搭載した従来のモータを通常環境(大気圧)下で組み立てた後、例えば航空機により空輸する際に低圧環境下となる貨物室に入れて輸送した場合、組立時に回転軸支承部内に密封された空気が周囲環境の変化によって膨張して、上記軸受隙間部内のオイルを回転軸支承部の開放端部を経て外部に押し出してしまうことがあった。
また、この発明は、周囲環境が変化する場合でも、オイルが密封された空気の膨張により回転軸支承部から押し出され漏れ出ることを防止して、当該モータの外部にオイルが飛散することを防ぐことができる流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータを提供することを目的とする。
また、本発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部とを連通する連通部を備え、前記連通部の少なくとも前記空隙部側の内面に撥油剤を塗布して、その空隙部内の空気を外部に放出するよう構成している。このように構成することにより、周囲環境が変化する場合でも、オイルが回転軸支承部から漏れ出ることを防止して、当該モータの外部にオイルが飛散することを防ぐことができる。
更に、本発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部とを連通する連通部を備え、前記連通部の少なくとも前記空隙部側の内面に撥油剤を塗布して、その空隙部内の空気を外部に放出するよう構成している。このように構成することにより、周囲環境が変化する場合でも、オイルが回転軸支承部から漏れ出ることを防止して、当該モータの外部にオイルが飛散することを防ぐことができる。
また、本発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部とを連通する連通部を備え、前記連通部が、前記スリーブまたは前記スリーブ保持部材に設けられ、かつその断面形状が外部に向かって広くなるよう楔状に形成している。このように構成することにより、周囲環境が変化する場合でも、オイルが回転軸支承部から漏れ出ることを防止して、当該モータの外部にオイルが飛散することを防ぐことができる。
更に、本発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部とを連通する連通部を備え、前記連通部が、前記スリーブまたは前記スリーブ保持部材に設けられ、かつその断面形状が外部に向かって広くなるよう楔状に形成している。このように構成することにより、周囲環境が変化する場合でも、オイルが回転軸支承部から漏れ出ることを防止して、当該モータの外部にオイルが飛散することを防ぐことができる。
また、本発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、前記スリーブと前記スリーブ保持部材との間に設けた円環状溝部、前記円環状溝部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部とを連通する第1の連通部、及び前記第1の連通部と異なる回転位相位置で前記円環状溝部に連結され、その円環状溝部と外部と連通する第2の連通部を備えている。このように構成することにより、たとえオイルが回転軸支承部から漏れ出た場合でも、当該モータの外部に飛散することなく、回転軸支承部にオイルを戻すことができる。
更に、本発明の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸、少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、前記スリーブと前記スリーブ保持部材との間に設けた円環状溝部、前記円環状溝部と、前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部とを連通する第1の連通部、及び前記第1の連通部と異なる回転位相位置で前記円環状溝部に連結され、その円環状溝部と外部と連通する第2の連通部を備えている。このように構成することにより、たとえオイルが回転軸支承部から漏れ出た場合でも、当該モータの外部に飛散することなく、回転軸支承部にオイルを戻すことができる。
前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、
前記回転軸と一体的に回転する回転子、及び
前記回転子と前記回転軸支承部の間に設けられ、前記回転軸支承部の開放端部から漏れ出たオイルを吸収するオイル吸収部材を備え、
前記オイル吸収部材が、前記回転子と前記回転軸支承部との間の間隙内で、その回転子の回転によって生じる気流中のオイルを吸着し吸収するよう構成している。
このように構成することにより、たとえオイルが回転軸支承部から漏れ出た場合でも、当該モータの外部に飛散すること抑制できる。
図1は、本発明の第1の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。
図1において、本実施例の流体軸受機構は、一方向に回転する回転軸2、及び前記回転軸2との間に形成された所定の隙間にオイル(図示せず)を充填して、そのオイル動圧により回転軸2を回転自在に支承する回転軸支承部を具備している。さらに、本実施例の流体軸受機構は、上記回転軸2と一体的に回転する回転子、及び前記回転子と一体的に回転し、かつ前記回転軸支承部の開放端部に所定の空隙を介して対向配置され、この対向配置面に螺旋溝部を有するオイル封止部を備えている。
回転子は、ハブ1、磁石5、ヨーク6、及びスラストフランジ8により構成されている。
ハブ1は、図示しないディスク状の記録媒体を搭載するものであり、回転軸2の一端部分に圧入されて、共に一体的に一方向に回転する。また、ハブ1の内周面上には、軟磁性材料製のヨーク6と磁石5が接着されている。磁石5の内周円筒面は、複数のN極及びS極が交互に着磁されている。さらに、回転軸2の他端には、スラストフランジ8がビス10によって固定されて回転軸2と一体的に構成されている。
本実施例の流体軸受機構を搭載したモータには、上述の回転軸2と回転子を回転するために、ステータコア30、及び複数相のステータコイル4がベース3の外周円筒面上に設けられている。ステータコア30は、複数の円盤状の磁性材料を回転軸方向に積み重ねたものであり、上記ベース3の外周円筒面上に接着、固定されている。ステータコイル4は、ステータコア30に巻回されている。
このラジアル掻き戻し部材13について、図2、図3の(a)、及び図3の(b)を参照して、具体的に説明する。
図2は、図1に示したラジアル掻き戻し部材近傍の流体軸受機構の詳細な構成を示す拡大断面図である。図3の(a)及び図3の(b)は、図1に示したラジアル掻き戻し部材の構成及び機能を示す説明図である。
図2に示すように、円盤状のラジアル掻き戻し部材13は、その外周面、及び内周面がそれぞれ回転子のハブ1の内周壁面1a、及び回転軸2の外周面に接して、ハブ1の一内側端面に接着固定されている。また、ラジアル掻き戻し部材13は、同図に示すように、上記所定の空隙である開放端空隙部40を介してベース3の開放端部に対向して配置されている。尚、同図に示すように、上述のオイル101が回転軸2とベース3(ラジアル軸受部7a)との間の隙間に充填されている。
まず、図1を用いて、モータの基本動作について説明する。
ステータコイル4に回転子の回転位相に応じて順次通電を行うと、磁石5との間でフレミングの左手の法則に従うトルクが発生する。これにより、磁石5、ヨーク6、ハブ1、回転軸2、スラストフランジ8、及びラジアル掻き戻し部材13は、一体的に回転を開始する。また、回転軸2とラジアル軸受部7a,7b、及びスラストプレート9の上面とスラストフランジ8との間に注入されたオイルは、楔状溝、及び螺旋溝によって動圧をそれぞれ発生して、回転軸2及びスラストフランジ8を浮上させる。これにより、回転子は、非接触で回転することが可能となる。
本実施例の流体軸受機構では、スラスト軸受手段を構成するスラストプレート9は、ベース3に圧入接着にて固定されているので、スラスト軸受手段側からのオイルの漏れ出しは発生しない。一方、ベース3の上記開放端部側はオイルを封止していないので、輸送途中やハードディスク装置の設置時等に強い振動などにより、モータの外部から力が加わると、オイルが開放端部近傍のラジアル軸受部7aから漏れ出ることがある。この漏れ出した漏洩オイル滴100は、ラジアル掻き戻し部材13の表面に接触し付着する。詳細には、図3の(a)に示すように、溝谷部13bの表面に付着した漏洩オイル滴100は、モータ(ハブ1)が時計方向に回転を始めると、螺旋溝(溝谷部13b)に沿ってラジアル掻き戻し部材13の内周部側、すなわち再び封止される方向である回転軸2及びラジアル軸受部7aの方に戻される。また、図3の(b)に示すように、溝山部13aに付着した漏洩オイル滴100は、遠心力によって一旦外周側に飛散しようとするが、溝谷部13bの壁面もしくはハブ1の内周壁面1aにて飛散が防止され、溝谷部13bに落ち込み再び封止される方向に戻される。また、ラジアル掻き戻し部材13に付着せずにベース3の開放端面に付着した漏洩オイル滴は、ラジアル掻き戻し部材13の回転によって生じる気流により、その溝山部13aまたは溝谷部13bの表面に付着して、再び封止される方向に戻される。
図4は、本発明の第2の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、オイル封止部の螺旋溝部を回転軸と同軸をなす円筒面上に配置した。それ以外の各部は、第1の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。
図4に示すように、本実施例の流体軸受機構では、オイル封止部であるスラスト掻き戻し部材17がベース3の開放端部の周りを囲むようにハブ1の内周部分に接着固定されている。詳細にいえば、スラスト掻き戻し部材17は、その斜視図である図5に示すように、円筒形状に形成されて、その内周円筒面には複数本、例えば4本の螺旋溝を有する螺旋溝部が設けられている。この螺旋溝部は互いに交互に配設された溝山部17aと溝谷部17bとで構成されている。このスラスト掻き戻し部材17は回転子と一体的に反時計方向(図の”回転方向”で図示)に回転するが、螺旋溝である溝谷部17bは漏洩オイル滴100を再び封止する方向に形成されている。すなわち、回転子が反時計方向に回転する場合、溝谷部17bは左ねじを成す方向に形成されている。尚、回転子が逆の時計方向に回転する場合、溝谷部17bもまた逆の右ねじを成す方向に形成される。また、溝山部17aとベース3の開放端部近傍の外周部分との距離は、20〜300μmの範囲に設定されている。
図5に示すように、漏れ出した漏洩オイル滴100は、スラスト掻き戻し部材17の表面に接触し付着する。詳細には、溝谷部17bの表面に付着した漏洩オイル滴100は、モータ(ハブ1)が反時計方向に回転を始めると、螺旋溝(溝谷部17b)に沿って掻き揚げられ、再び封止される方向に戻される。また、溝山部17aまたはベース3の外周部分に付着した漏洩オイル滴100は、スラスト掻き戻し部材17の回転によってベース3との間で発生する気流により、その回転に対して徐々に遅れていく。すなわち、その漏洩オイル滴100は、図5の矢印で示すように、移動して溝谷部17bに落ち込んだ後、スラスト掻き戻し部材17の回転に伴って掻き揚げられ、再び封止されるラジアル軸受部7aの方向に戻される。
図6は、本発明の第3の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、オイル封止部の螺旋溝部を回転軸と直角方向の平面上、及び同軸をなす円筒面上に配置した。それ以外の各部は、第2の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。図6に示すように、本実施例の流体軸受機構では、オイル封止手段であるラジアルスラスト掻き戻し部材17’が、ベース3の開放端面に対向し、かつその開放端部の周りを囲むように、ハブ1の内周部分に接着固定されている。すなわち、ラジアルスラスト掻き戻し部材17’は、上述の第1、第2の実施例に示したラジアル掻き戻し部材13(図1)とスラスト掻き戻し部材17(図4)とを一体的に構成したものであり、それらの各溝谷部13b,17bは互いに連結している(図示せず)。
図6において、漏洩オイル滴(図示せず)がラジアルスラスト掻き戻し部材17’の円筒面上の溝谷部(図示せず)に付着した場合、その漏洩オイル滴は、第2の実施例と同様に、モータ(ハブ1)の回転に伴って溝谷部に沿って掻き揚げられる。その後、その漏洩オイル滴は、第1の実施例のものと同様に、平板上の溝谷部(図示せず)に沿ってラジアルスラスト掻き戻し部材17’の内周部側、すなわち再び封止されるラジアル軸受部7aの方向に戻される。
図7は、本発明の第4の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、オイル封止部の螺旋溝部を回転軸と同軸をなす円錐面上に配置した。それ以外の各部は、第3の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。図7に示すように、本実施例の流体軸受機構では、オイル封止手段であるテーパ状掻き戻し部材23が、ベース3の開放端部に対向してハブ1の内周部円錐面上に設けられている。このテーパ状掻き戻し部材23は、回転軸2に対して所定の傾斜角をもつハブ1の内周部円錐面に、回転軸2の回転方向と反対方向に形成された螺旋溝をもつ螺旋溝部をフライス加工方法やコイニング方法によって切り欠き(又は切削)形成または塑性加工形成したものである。また、螺旋溝は、上述の第1〜第3の実施例のものと同様に、例えば4本形成されている。さらに、ベース3の開放端部は、テーパ状掻き戻し部材23の溝山部と所定の距離(例えば、50〜500μmの範囲)をおいて配置されるようテーパ状に形成している。
図7において、漏洩オイル滴(図示せず)がテーパ状掻き戻し部23の円筒面上の溝谷部(図示せず)に付着した場合、その漏洩オイル滴は、第2の実施例と同様に、モータ(ハブ1)の回転に伴って溝谷部に沿って掻き揚げられ、回転軸2の外周面側、すなわち再び封止されるラジアル軸受部7aの方向に戻される。
図8は、本発明の第5の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。図9は、図8の一点鎖線Tで囲んだ部分の構成を示す拡大断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、回転軸の直径が回転軸支承部に向かって大きくなるようテーパ形状に形成した回転軸テーパ部を当該回転軸に設けた。それ以外の各部は、第1の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。
図8、及び図9に示すように、本実施例の流体軸受機構では、回転軸テーパ部24がラジアル掻き戻し部13と対向する回転軸2の外周部分に設けられている。この回転軸テーパ部24は、ラジアル軸受部7a(回転軸支承部)に近づくにつれて直径が大きくなるようテーパ形状に形成されている。
図9に示すように、漏洩オイル滴100がラジアル掻き戻し部13の溝谷部(図示せず)に付着した場合、その漏洩オイル滴(図の破線で図示)は、第1の実施例のものと同様に、モータの回転に伴って溝谷部に沿ってラジアル掻き戻し部13の内周部側、すなわち再び封止される方向に戻される。その後、この漏洩オイル滴100(図の実線で図示)は、回転軸テーパ部24に付着する。そして、この漏洩オイル滴100は、回転軸2の回転に伴い遠心力によって外周側に移動しようとするが、回転軸テーパ部24上に付着しているため、回転軸支承部の方に移動する。これにより、漏洩オイル滴100は、ラジアル軸受部7aに封止されたオイル101と一体となる。
図10は、本発明の第6の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、外部と内部(空隙部)とを連通する連通部を回転軸支承部に設けて、この連通部の少なくとも空隙部側の内面に撥油剤を塗布した。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、第1の実施例のものと同一部材には同一符号を付してその重複した説明は省略する。
図10に示すように、本実施例の流体軸受機構では、換気孔15がベース3に設けられている。この換気孔15は、ベース3の外部とラジアルスラスト間空隙部12とを連通する連通部を構成するものであり、後に詳述するように、周囲環境の変化によって回転軸支承部に密封された空気が膨張した場合でもオイルが漏れ出ることを防止できる。さらに、換気孔15をベース3に設けることにより、ベース3への回転軸2の挿入組立作業を容易に行うことができる。尚、上記密封された空気には、ラジアル間空隙部11及びラジアルスラスト間空隙部12に閉じこめられた空気だけでなく、オイルに混入した微小な気泡も含んでいる。
換気孔15では、撥油剤25が少なくともラジアルスラスト間空隙部12の近傍部分の内面に塗布されている。この撥油剤25は、オイルの濡れ性を劣化させることにより、オイルが換気孔15を伝って外部に漏れ出すことを防止するものである。具体的には、撥油剤25は、好ましくはフッ素系有機化学物を揮発性溶媒に溶解させたものであり、シリンジ等のディスペンサで所定部に塗布した後に乾燥させる。
図10において、モータを組み立てたときに回転軸支承部に密封された空気は、周囲環境の変化、例えば航空機等により搬送する場合に周囲の気圧低下に伴って膨張する。このように、周囲環境の変化によって空気が膨張したとき、換気孔15を設けていない場合、図23に示した従来例と同様に、オイルは空気の膨張分だけ回転軸支承部からオイルを押し出される。
これに対して、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、換気孔15がラジアルスラスト間空隙部12とベース3の外部とを連通しているので、密封された空気が膨張しても、その膨張した空気の圧力を換気孔15によって逃がすことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、膨張した空気が軸受隙間部からオイルを押し出してしまうことを抑制することが可能となる。さらに、換気孔15の内面に撥油剤25を塗布しているので、膨張した空気によってオイルが換気孔15を伝って外部に漏れ出ようとしても、換気孔15の内面における濡れ性が悪いため、そのオイルはすぐにラジアルスラスト間空隙部12に戻され、さらにスラストプレート9上の軸受隙間部に戻される。
図12は、本発明の第7の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、スリーブと前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材とによってベースを構成して、外部に向かって広くなるよう楔状に形成した連通部をスリーブに設けた。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、第1の実施例のものと同一部材には同一符号を付してその重複した説明は省略する。
図12に示すように、本実施例の流体軸受機構では、ベース3は円筒形状のスリーブ14、及び前記スリーブ14を嵌合し保持するスリーブ保持部材34を具備している。スリーブ14には、その内周部分にラジアル軸受部7a,7bが設けられている。
図12において、モータを組み立てたときに回転軸支承部に密封された空気は、周囲環境の変化、例えば航空機等により搬送する場合に周囲の気圧低下に伴って膨張する。このように、周囲環境の変化によって空気が膨張したとき、楔状隙間部19aを設けていない場合、図23に示した従来例と同様に、オイルは空気の膨張分だけ回転軸支承部からオイルを押し出される。
これに対して、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、楔状隙間部19aがラジアルスラスト間空隙部12とスリーブ14の外部とを連通しているので、密封された空気が膨張しても、その膨張した空気の圧力を楔状隙間部19aによって逃がすことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、膨張した空気が軸受隙間部からオイルを押し出してしまうことを抑制することが可能となる。さらに、楔状隙間部19aはスリーブ14の外部に向かって広くなるように形成されているので、この楔状隙間部19aに進入したオイルは自らの表面張力によってより隙間の狭い部分、すなわちラジアルスラスト間空隙部12に戻され、さらにスラストプレート9上の軸受隙間部に戻される。
図13は、本発明の第8の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、円環状溝部をスリーブとスリーブ保持部材との間に設けた。それ以外の各部は、第7の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。
図13に示すように、本実施例の流体軸受機構では、ベース3は円筒形状のスリーブ14’、及び前記スリーブ14’を嵌合し保持するスリーブ保持部材35を具備している。スリーブ14’とスリーブ保持部材35との間には、ラジアル間空隙部11とスリーブ14’に設けられた楔状隙間部19aとを連結するための円環状溝部20が設けられている。つまり、スリーブ14’はその一端面がスリーブ保持部材35に対して所定の距離をおいて嵌合保持されて、スリーブ保持部材35との間で円環状溝部20を形成している。
図13において、モータを組み立てたときに回転軸支承部に密封された空気は、周囲環境の変化、例えば航空機等により搬送する場合に周囲の気圧低下に伴って膨張する。このように、周囲環境の変化によって空気が膨張したとき、楔状隙間部19a及び円環状溝部20を設けていない場合、図23に示した従来例と同様に、オイルは空気の膨張分だけ回転軸支承部から押し出される。
これに対して、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、楔状隙間部19aが円環状溝部20を介してスリーブ14’の外部とラジアル間空隙部11とを連通しているので、密封された空気が膨張しても、その膨張した空気の圧力を楔状隙間部19a及び円環状溝部20によって逃がすことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、膨張した空気が軸受隙間部からオイルを押し出してしまうことを抑制することが可能となる。さらに、楔状隙間部19aはスリーブ14’の外部に向かって広くなるように形成されているので、この楔状隙間部19aに浸入したオイルは自らの表面張力によってより隙間の狭い部分、すなわち円環状溝部20(ラジアル間空隙部11)に近づく方向に再び戻される。
図14は、本発明の第9の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、軸方向で分割した複数個のスリーブを用いて、円環状溝部をスリーブ保持部材と複数個の各スリーブの間に配置した。それ以外の各部は、第7の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。
図14に示すように、本実施例の流体軸受機構では、ベース3は円筒形状のスリーブ14a,14b、及び前記スリーブ14a,14bを保持するスリーブ保持部材36を具備している。スリーブ14aの内周部分にはラジアル軸受部7aが設けられ、スリーブ14bの内周部分にはラジアル軸受部7bが設けられている。スリーブ14a,14bの外周部分には、複数、例えば3つの楔状隙間部19a,19bがそれぞれ転造加工方法によって形成されている。これらの楔状隙間部19a,19bは、回転軸2の同心円周上で等間隔に配設されている。各楔状隙間部19aはスリーブ14aの外部に向かって広くなるよう形成されている。同様に、各楔状隙間部19bはスリーブ14bの外部に向かって広くなるよう形成されている。
図14において、モータを組み立てたときに回転軸支承部に密封された空気は、周囲環境の変化、例えば航空機等により搬送する場合に周囲の気圧低下に伴って膨張する。このように、周囲環境の変化によって空気が膨張したとき、楔状隙間部19a,19b及び2つの円環状溝部20を設けていない場合、図23に示した従来例と同様に、オイルは空気の膨張分だけ回転軸支承部から押し出される。
これに対して、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、楔状隙間部19aが連結された円環状溝部20を介してスリーブ14aの外部とラジアル間空隙部11とを連通し、楔状隙間部19bが連結された円環状溝部20を介してスリーブ14bの外部とラジアルスラスト間空隙部12とを連通している。このため、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、密封された空気が膨張しても、その膨張した空気の圧力を楔状隙間部19a,19b及び2つの円環状溝部20によって逃がすことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、膨張した空気が軸受隙間部からオイルを押し出してしまうことを抑制することが可能となる。さらに、楔状隙間部19a,19bはそれぞれスリーブ14a,14bの外部に向かって広くなるように形成されているので、楔状隙間部19a,19bに進入したオイルは自らの表面張力によってより隙間の狭い部分、すなわち円環状溝部20(ラジアル間空隙部11及びラジアルスラスト間空隙部12)に近づく方向に再び戻される。
尚、上述の説明では、スリーブ14aをスリーブ14bに嵌合保持する構成について説明したが、実施例はこれに限定されるものではなく、スリーブ14a,14bを別個にスリーブ保持部材36に嵌合保持する構成でもよい。
図15は、本発明の第10の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、空隙部と円環状溝部とを連通する第1の連通部をスリーブに設け、その第1の連通部と異なる位置で円環状溝部に連結され、当該円環状溝部と外部と連通する第2の連通部をスリーブ保持部材に設けた。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、第1の実施例のものと同一部材には同一符号を付してその重複した説明は省略する。
図15に示すように、本実施例の流体軸受機構では、ベース3は円筒形状のスリーブ16、及び前記スリーブ16を嵌合し保持するスリーブ保持部材37を具備している。スリーブ16には、その内周部分にラジアル軸受部7a,7bが設けられている。また、スリーブ16とスリーブ保持部材37の間には、円環状溝部20が形成されている。
スリーブ保持部材37には、円環状溝部20とベース3の外部とを連通する第2の連通部である換気孔15aが設けられている。
上述の第1、第2の連通部は、円環状溝部20に互いに異なる位相に配設されている。具体的にいえば、換気孔15bと換気孔15aは、互いに異なる位相に配設されている。つまり、換気孔15b,15aは、直接的に連接されることなく、円環状溝部20の異なる位置に連結されている。これにより、例えば極めて強い振動による大きい力が外部からモータに加わった場合でも、オイルは換気孔15aから外部に漏れ出ることなく、換気孔15bを伝って円環状溝部20に溜められるだけである。それゆえ、本実施例の流体軸受機構では、極めて強い振動が加わっても、オイルがモータの外部に飛散することを防止できる。尚、換気孔15a,15bの具体的な直径は、それぞれ例えば0.4mm,0.5mmである。
図15において、モータを組み立てたときに回転軸支承部に密封された空気は、周囲環境の変化、例えば航空機等により搬送する場合に周囲の気圧低下に伴って膨張する。このように、周囲環境の変化によって空気が膨張したとき、換気孔15a,15b及び円環状溝部20を設けていない場合、図23に示した従来例と同様に、オイルは空気の膨張分だけ回転軸支承部から押し出される。
これに対して、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、換気孔15bがラジアルスラスト間空隙部12と円環状溝部20とを連通し、換気孔15bと異なる位置に連結された換気孔15aが円環状溝部20とベース3の外部とを連通している。このため、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、密封された空気が膨張しても、その膨張した空気の圧力を換気孔15a,15b及び円環状溝部20によって逃がすことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、膨張した空気が軸受隙間部からオイルを押し出してしまうことを抑制することが可能となる。
さらに、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、例えば極めて強い振動が外部から加わった場合、オイルは換気孔15bを伝って円環状溝部20に漏れ出る可能性はある。しかしながら、換気孔15a,15bは円環状溝部20上で互いに異なる位相に配設されているので、換気孔15aを伝って外部に漏れ出ることはなく、オイルは円環状溝部20に溜められる。
図16は、本発明の第11の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、スリーブ保持部材に設けた換気孔の代わりに、楔状隙間部を第2の連通部としてスリーブに設けた。それ以外の各部は、第10の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。
図16に示すように、本実施例の流体軸受機構では、ベース3は円筒形状のスリーブ16’、及び前記スリーブ16’を嵌合し保持するスリーブ保持部材37’を具備している。回転軸2には、上述の第5の実施例のものと同様に、回転軸テーパ部24を設けている。これにより、ラジアル軸受部7aから回転子の方に漏れ出たオイルを元の軸受隙間部に戻すことができる。
スリーブ16’には、その内周部分にラジアル軸受部7a,7bが設けられている。スリーブ16’の外周部分には、スリーブ16’の外部に向かって広くなるよう形成された楔状隙間部19aが設けられている。この楔状隙間部19aは、外部と円環状溝部20を連通する第2の連通部として機能する。また、スリーブ16’とスリーブ保持部材37’の間には、円環状溝部20が形成されている。
上述の第1、第2の連通部は、円環状溝部20に互いに異なる位相に配設されている。具体的にいえば、各換気孔15b,15cと楔状隙間部19aとは、直接的に連結されることなく、円環状溝部20の異なる位置に連結されている。これにより、本実施例の流体軸受機構では、第10の実施例のものと同様に、極めて強い振動が加わっても、オイルがモータの外部に飛散することを防止できる。
図16において、モータを組み立てたときに回転軸支承部に密封された空気は、周囲環境の変化、例えば航空機等により搬送する場合に周囲の気圧低下に伴って膨張する。このように、周囲環境の変化によって空気が膨張したとき、換気孔15b,15c、楔状隙間部19a、及び円環状溝部20を設けていない場合、図23に示した従来例と同様に、オイルは空気の膨張分だけ回転軸支承部からオイルを押し出される。
これに対して、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、換気孔15b,15cが円環状溝部20とラジアルスラスト間空隙部12及びラジアル間空隙部11とをそれぞれ連通し、換気孔15b,15cと異なる位置に連結された楔状隙間部19aが円環状溝部20とベース3の外部とを連通している。このため、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、密封された空気が膨張しても、その膨張した空気の圧力を換気孔15b,15c、円環状溝部20、及び楔状隙間部19aによって逃がすことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、膨張した空気が軸受隙間部からオイルを押し出してしまうことを抑制することが可能となる。
さらに、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、例えば極めて強い振動が外部から加わった場合、オイルは換気孔15b,15cを伝って円環状溝部20に漏れ出る可能性はある。しかしながら、楔状隙間部19aと換気孔15b,15cとは円環状溝部20上で互いに異なる位相に配設されているので、楔状隙間部19aを伝って外部に漏れ出ることはなく、オイルは円環状溝部20に溜められる。
図17は、本発明の第12の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。図18の(a)、及び図18の(b)はそれぞれ図17に示したスリーブ18aの構成を示す側面図、及びスラストフランジ8からみた底面図であり、図18の(c)、及び図18の(d)はそれぞれ図17に示したスリーブ18bの構成を示す側面図、及びスラストフランジ8からみた底面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、軸方向で分割した複数個の各スリーブに楔状隙間部を設けて、楔状隙間部と円環状溝部を用いて回転軸支承部の外部と内部とを連通した。それ以外の各部は、第10の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。
また、スリーブ18a,18bの外周部分には、複数、例えば3つの楔状隙間部19a,19bがそれぞれ転造加工方法によって形成されている。また、スリーブ18aのスリーブ18b側の底面には、複数、例えば3つの楔状隙間部19cが転造加工方法によって形成されている。これらの楔状隙間部19a,19b,19cは、回転軸2の同心円周上で等間隔に配設されている。各楔状隙間部19a,19cはスリーブ18aの外部に向かって広くなるよう形成されている。同様に、各楔状隙間部19bはスリーブ18bの外部に向かって広くなるよう形成されている。
上述の第1、第2の連通部は、円環状溝部20に互いに異なる位相に配設されている。具体的にいえば、楔状隙間部19b,19cと楔状隙間部19aとは、直接的に連結されることなく、円環状溝部20の異なる位置に連結されている。これにより、本実施例の流体軸受機構では、第10の実施例のものと同様に、極めて強い振動が加わっても、オイルがモータの外部に飛散することを防止できる。
図17において、モータを組み立てたときに回転軸支承部に密封された空気は、周囲環境の変化、例えば航空機等により搬送する場合に周囲の気圧低下に伴って膨張する。このように、周囲環境の変化によって空気が膨張したとき、楔状隙間部19a,19b,19c、及び円環状溝部20を設けていない場合、図23に示した従来例と同様に、オイルは空気の膨張分だけ回転軸支承部からオイルを押し出される。
これに対して、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、楔状隙間部19b,19cが円環状溝部20とラジアルスラスト間空隙部12及びラジアル間空隙部11とをそれぞれ連通し、楔状隙間部19b,19cと異なる位置に連結された楔状隙間部19aが円環状溝部20とベース3の外部とを連通している。このため、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、密封された空気が膨張しても、その膨張した空気の圧力を楔状隙間部19b,19c、円環状溝部20、及び楔状隙間部19aによって逃がすことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、膨張した空気が軸受隙間部からオイルを押し出してしまうことを抑制することが可能となる。
さらに、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、例えば極めて強い振動が外部から加わった場合、オイルは楔状隙間部19b,19cを伝って円環状溝部20に漏れ出る可能性はある。しかしながら、楔状隙間部19aと楔状隙間部19b,19cとは円環状溝部20上で互いに異なる位相に配設されているので、楔状隙間部19aを伝って外部に漏れ出ることはなく、オイルは円環状溝部20に溜められる。
図19は、本発明の第13の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。図20の(a)は、図19に示したスラストフランジからみたスリーブの構成を示す底面図である。図20の(b)は、図20の(a)のA−O−B線で断面をとったスリーブの構成を示す断面図であり、図20の(c)のA−O−C線で断面をとったスリーブの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、スリーブ及びスリーブ保持部材に設けた換気孔の代わりに、楔状隙間部を第1、第2の連通部としてスリーブに設けた。それ以外の各部は、第10の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。
図19、及び図20の(a)乃至図20の(c)に示すように、本実施例の流体軸受機構では、ベース3は円筒形状のスリーブ18、及び前記スリーブ18を保持するスリーブ保持部材38を具備している。これらのスリーブ18とスリーブ保持部材38との間には、円環状溝部20が形成されている。スリーブ18の内周部分にはラジアル軸受部7a,7bが設けられている。スリーブ18には、第1の連通部である換気孔22が設けられ、上記円環状溝部20とラジアル間空隙部11とを連通している。
各楔状隙間部19aは、第2の連通部を構成するものであり、ベース3の外部と円環状溝部20とを連通している。各楔状隙間部19bは、第1の連通部を構成するものであり、円環状溝部20とラジアルスラスト間空隙部12とを連通している。
上述の第1、第2の連通部は、円環状溝部20に互いに異なる位相に配設されている。具体的にいえば、楔状隙間部19b及び換気孔22と、楔状隙間部19aとは、直接的に連結されることなく、円環状溝部20の異なる位置に連結されている。これにより、本実施例の流体軸受機構では、第10の実施例のものと同様に、極めて強い振動が加わっても、オイルがモータの外部に飛散することを防止できる。
図19において、モータを組み立てたときに回転軸支承部に密封された空気は、周囲環境の変化、例えば航空機等により搬送する場合に周囲の気圧低下に伴って膨張する。このように、周囲環境の変化によって空気が膨張したとき、楔状隙間部19a,19b、円環状溝部20、及び換気孔22を設けていない場合、図23に示した従来例と同様に、オイルは空気の膨張分だけ回転軸支承部からオイルを押し出される。
これに対して、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、楔状隙間部19b及び換気孔22が円環状溝部20とラジアルスラスト間空隙部12及びラジアル間空隙部11とをそれぞれ連通し、楔状隙間部19b及び換気孔22と異なる位置に連結された楔状隙間部19aが円環状溝部20とベース3の外部とを連通している。このため、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、密封された空気が膨張しても、その膨張した空気の圧力を楔状隙間部19b及び換気孔22、円環状溝部20、及び楔状隙間部19aによって逃がすことができる。その結果、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、膨張した空気が軸受隙間部からオイルを押し出してしまうことを抑制することが可能となる。
さらに、本実施例の流体軸受機構及びモータでは、例えば極めて強い振動が外部から加わった場合、オイルは楔状隙間部19b及び換気孔22を伝って円環状溝部20に漏れ出る可能性はある。しかしながら、楔状隙間部19aと楔状隙間部19b及び換気孔22とは円環状溝部20上で互いに異なる位相に配設されているので、楔状隙間部19aを伝って外部に漏れ出ることはなく、オイルは円環状溝部20に溜められる。
図21は、本発明の第14の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、回転軸支承部の開放端部から漏れ出たオイルを回転子と回転軸支承部の間で吸着、吸収するオイル吸収部材を設けた。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、第1の実施例のものと同一部材には同一符号を付してその重複した説明は省略する。
図21において、本実施例の流体軸受機構では、その回転子と回転軸支承部との間には、軟磁性焼結フェライトにより構成したステータコア31が配置されている。このステータコア31は、回転子を回転するための磁気回路を形成するだけでなく、ベース3の開放端部から漏れ出たオイルを回転子とベース3との間で吸着し吸収するオイル吸収部材を兼用している。具体的にいえば、ステータコア31は、回転子に含まれた磁石5との間に所定の間隙をおいて、回転子のハブ1の内周円筒面内でベース3の外周円筒面上に固定されている。ステータコア31を構成する軟磁性焼結フェライトには、その表面に微小な空孔が無数に存在している(図示せず)。このため、本実施例の流体軸受機構では、漏れ出たオイルをステータコア31の微小な空孔に吸着し吸収することができ、オイルがモータの外部に飛散することを抑制できる。
図22は、本発明の第15の実施例である流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータの構成を示す断面図である。この実施例では、流体軸受機構の構成において、軟磁性焼結フェライトを用いてステータコアを構成する代わりに、フィルタ部材を回転子の内周円筒面内で回転軸支承部上に設けた。それ以外の各部は、第14の実施例のものと同様であるのでそれらの重複した説明は省略する。
図22に示すように、本実施例の流体軸受機構では、メッシュ状のフィルタ部材32がハブ1の内周円筒面内でベース3上に配置している。このフィルタ部材32は、好ましくはPET等の繊維材料、あるいは多数の空孔を設けた多孔質の熱可塑性樹脂材料により、円環状または円弧状に形成されたものである。具体的にいえば、フィルタ部材32は、ハブ1とベース3との間隙を塞ぐように、磁石5、ヨーク6、及びステータコア30の下方でベース3の外周円筒面の周りに固定されている。これにより、本実施例の流体軸受機構では、漏れ出たオイルをフィルタ部材32によって吸着し吸収することができ、オイルがモータの外部に飛散することを抑制できる。尚、ハブ1の内部で気流は旋回するので、フィルタ部材32は円環状でなくともよく、例えば開き角50°〜90°程度の扇形状でもよい。
尚、フィルタ部材32の形状は円弧状に限定されるものではなく、回転子と回転軸支承部との間の間隙内で、その回転子の回転によって生じる気流により運ばれる霧状のオイルを吸収できる形状であればよい。
また、上述の第7〜第13の実施例では、楔状隙間部をスリーブの外周部分に設けた例について説明したが、外部に向かって広くなるよう形成した楔状隙間部をスリーブ保持部材の内周部分を切り欠くことによりスリーブ保持部材に設けてもよい。
また、オイル吸収部材は、上述の第14、及び第15の実施例に示したものに限定されるものではなく、回転子と回転軸支承部との間の間隙内で、その回転子の回転によって生じる気流中のオイルを吸着し吸収できるものであればよい。例えば、ステータコアに対向する磁石の円筒面上に多数の空孔を有する焼結合金製のリングを接着する構成でもよい。
また、上述の第1〜第15の各実施例を適宜組み合わせて、流体軸受機構及びモータを構成してもよい。
本発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータは、回転子と一体的に回転し、かつ回転軸支承部の開放端部に所定の空隙を介して対向配置したオイル封止部を備えている。さらに、このオイル封止部には、空隙に漏れ出たオイルが回転子の回転に伴って回転軸支承部側に移動するよう螺旋溝部を形成している。この発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、たとえ振動や衝撃による外部からの加振力や衝撃力によりオイルが回転軸支承部から漏れ出た場合でも、オイル封止部は回転子が回転することによって漏れ出たオイルをモータの外部に飛散することなく、再び封止する方向に移動する。その結果、この発明の流体軸受機構、及びその流体軸受機構を搭載したモータでは、オイルが回転軸支承部で不足することを防止できる。さらに、オイルがモータの外部に飛散することを防止できるので、飛散したオイルによる汚染を防ぐことができ、例えばハードディスク装置に内蔵した場合でも、飛散したオイルの付着によるデータの読み出し不能を生じない。
2 回転軸
3 ベース
5 磁石
6 ヨーク
7a,7b ラジアル軸受部
8 スラストフランジ
9 スラストプレート
11 ラジアル間空隙部
12 ラジアルスラスト間空隙部
13,17,17’,23 オイル封止部
14,14’,14a,14b スリーブ
15,15a,15b,15c 換気孔
16,16’,18,18a,18b, スリーブ
19a,19b,19c 楔状隙間部
20 円環状溝部
24 回転軸テーパ部
25 撥油剤
31 ステータコア
32 メッシュフィルタ部材
40 開放端空隙部
Claims (11)
- 一方向に回転する回転軸、
前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び
前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部及び前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部の少なくとも一方の空隙部とを連通する連通部を備え、
前記連通部の少なくとも前記空隙部側の内面に撥油剤を塗布して、その空隙部内の空気を外部に放出するよう構成した、
ことを特徴とする流体軸受機構。 - 一方向に回転する回転軸、
前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び
前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部とを連通する連通部を備え、
前記連通部の少なくとも前記空隙部側の内面に撥油剤を塗布して、その空隙部内の空気を外部に放出するよう構成した、
ことを特徴とする流体軸受機構。 - 一方向に回転する回転軸、
前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び
前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部とを連通する連通部を備え、
前記連通部の少なくとも前記空隙部側の内面に撥油剤を塗布して、その空隙部内の空気を外部に放出するよう構成した、
ことを特徴とする流体軸受機構。 - 一方向に回転する回転軸、
少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び
前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部及び前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部の少なくとも一方の空隙部とを連通する連通部を備え、
前記連通部が、前記スリーブまたは前記スリーブ保持部材に設けられ、かつその断面形状が外部に向かって広くなるよう楔状に形成された、
ことを特徴とする流体軸受機構。 - 一方向に回転する回転軸、
少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び
前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部とを連通する連通部を備え、
前記連通部が、前記スリーブまたは前記スリーブ保持部材に設けられ、かつその断面形状が外部に向かって広くなるよう楔状に形成された、
ことを特徴とする流体軸受機構。 - 一方向に回転する回転軸、
少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、及び
前記回転軸支承部の外部と、前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部とを連通する連通部を備え、
前記連通部が、前記スリーブまたは前記スリーブ保持部材に設けられ、かつその断面形状が外部に向かって広くなるよう楔状に形成された、
ことを特徴とする流体軸受機構。 - 一方向に回転する回転軸、
少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、
前記スリーブと前記スリーブ保持部材との間に設けた円環状溝部、
前記円環状溝部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部及び前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部の少なくとも一方の空隙部とを連通する第1の連通部、及び
前記第1の連通部と異なる回転位相位置で前記円環状溝部に連結され、その円環状溝部と外部と連通する第2の連通部、
を備えたことを特徴とする流体軸受機構。 - 一方向に回転する回転軸、
少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、
前記スリーブと前記スリーブ保持部材との間に設けた円環状溝部、
前記円環状溝部と、前記ラジアル軸受手段と前記スラスト軸受手段の間に形成されたラジアルスラスト間空隙部とを連通する第1の連通部、及び
前記第1の連通部と異なる回転位相位置で前記円環状溝部に連結され、その円環状溝部と外部と連通する第2の連通部、
を備えたことを特徴とする流体軸受機構。 - 一方向に回転する回転軸、
少なくとも1個のスリーブ、及び前記スリーブを嵌合保持するスリーブ保持部材を有し、前記回転軸との間に形成された所定の隙間にオイルを充填して、そのオイル動圧により前記回転軸を回転自在に支承するラジアル軸受手段とスラスト軸受手段とからなる回転軸支承部、
前記スリーブと前記スリーブ保持部材との間に設けた円環状溝部、
前記円環状溝部と、前記ラジアル軸受手段の間に形成されたラジアル間空隙部とを連通する第1の連通部、及び
前記第1の連通部と異なる回転位相位置で前記円環状溝部に連結され、その円環状溝部と外部と連通する第2の連通部、
を備えたことを特徴とする流体軸受機構。 - 前記第1及び第2の連通部の少なくとも一方は、その断面形状が外部に向かって広くなるよう楔状に形成されたことを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の流体軸受機構。
- 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の流体軸受機構を搭載したことを特徴とするモータ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017108543A (ja) * | 2015-12-10 | 2017-06-15 | 日本電産株式会社 | スピンドルモータ |
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2008
- 2008-12-11 JP JP2008315955A patent/JP2009063175A/ja active Pending
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