JP2009062630A - 溶融型静電紡糸方法及び極細繊維 - Google Patents

溶融型静電紡糸方法及び極細繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂で構成された極細繊維を効率良く製造する。
【解決手段】レーザー光線7を照射して熱可塑性樹脂を加熱溶融させる加熱溶融工程と、熱可塑性樹脂の溶融部に電圧を作用させて、前記熱可塑性樹脂を繊維状に伸長させる静電紡糸工程と、伸長された繊維をコレクター8に捕集する捕集工程とを経て極細繊維を製造する。この方法では、静電紡糸工程において、伸長する繊維を熱可塑性樹脂の融点(又は軟化点)近傍で加熱して紡糸する。特に、静電紡糸工程において、平均繊維径5μm以下の繊維を100回/秒以上の振動数及び10mm以上の振幅でホイッピングさせ、捕集工程において、ホイッピング振動数に対して1/3000倍以下の振動数でコレクターを前後左右に移動させて繊維を捕集する。
【選択図】図1

Description

本発明は、加熱手段としてレーザー光線を用いる溶融型静電紡糸法及びこの方法により得られる極細繊維(特に繊維径がナノメータサイズの極細繊維)に関する。
近年、サブミクロン又はナノメータオーダの繊維径を有する繊維(ナノ繊維)は、高い比表面積と繊維形態とを活用した新規な材料を開発可能な点から注目されている。一般に、極細繊維を製造する方法としては、高分子の溶融液を高圧で押出すと共に熱風で吹き飛ばして極細(微細)繊維を製造するメルトブロー法がある。この方法においては、ノズル内の溶融物への圧力及び熱風によるせん断力によって極細繊維が製造される。しかし、このような方法では、直径1〜10μmを有する極細繊維を製造できるものの、ナノ繊維の製造は困難である。
そこで、ナノ繊維を製造する方法として、高分子溶液又は高分子融液に高電圧を作用させて繊維を形成する静電紡糸法が利用されている。以下、前者の高分子溶液を用いる方法を溶媒型静電紡糸法(S−ELSP)と称し、後者の高分子融液を用いる方法を溶融型静電紡糸法(M−ELSP)と称する。なお、溶融型静電紡糸法は溶媒型静電紡糸法から派生した方法であるため、これらの紡糸原理は基本的には同一である。
溶媒型静電紡糸法においては、先ず、高分子溶液をシリンジに入れ、シリンジ先端に取り付けられたノズルとコレクターとの間に高電圧を印加し、高い電位差を発生させる。その結果、電荷が導入された高分子溶液は、ノズル先端から反対の電荷を持ったコレクター方向に静電引力を受けて飛翔し、ホイッピングモーション(whipping motion)を起こしながら、この過程で溶媒が蒸発することによりナノ繊維が形成される。なお、ここでいうホイッピングモーション(又はホイッピング振動)とは、静電紡糸で牽引された繊維がコレクターまでの間に1秒間に何百回〜何万回も回転を伴う綾振り運動をしながら繊維形成される挙動を意味する。このような溶媒型静電紡糸法の装置は簡単に作製できるため広く普及し、溶媒に溶解する多くの高分子材料からナノ繊維が開発されている。従って、現状では、静電紡糸法は溶媒型静電紡糸法を指すと言っても過言でない状況である。
他方、溶融型静電紡糸法は、前述のメルトブロー法と類似する方法であり、溶融高分子に電荷を付与し、この電荷を帯びた溶融物と異種の電荷を持つ電極(コレクター)間での電気的引力により、溶融物を自発的に伸張させ、微細繊維を作製する方法である。溶融型静電紡糸法は、電荷が非常に小さく、得られる繊維の径は、メルトブロー法で得られる繊維の径よりも小さくすることは可能であるものの、ホイッピングモーションを起こしてナノ繊維を得るまでには至っていなかった。しかし、溶融型静電紡糸法では、溶媒を使用しないため、溶媒を回収する必要もなく、また、捕集された繊維から残存溶媒の除去も必要ない。従って、溶融型静電紡糸法は、溶媒型静電紡糸法に比較して、環境に優しく、高い生産性で極細繊維を製造できることが期待されていた。
このように、溶融型静電紡糸法は、その開発が切望されているにもかかわらず、現状ではあまり研究されていない。その理由としては、以下の理由が考えられる。
1)静電紡糸は、コレクター方向への電気的引力が高分子の表面張力や粘弾性力に勝ると生じる機構であるため、溶融型静電紡糸法の場合、より高い電圧とより高い温度とより低い粘度とが融液に要求されること
2)溶媒型静電紡糸法の場合、紡糸中に高分子溶液のドラフト延伸に加えて、溶液からの溶媒の揮発が生じ、ドラフト延伸と相まって繊維径がこの揮発により小さくなるのに対して、溶融型静電紡糸法の場合、溶媒を含まないため、繊維径はドラフト延伸のみに依存し、ナノ繊維の作製が原理上危惧されること
3)溶融型静電紡糸法の場合、高電圧を溶融物に付与可能な加熱装置を必要とするが、加熱装置として一般的に採用される電気加熱方式では、高電圧作用の際に電源部に放電を惹起し、このような放電を防止するために装置全体が複雑かつ不安定になること
4)固体状態の樹脂は電気伝導性が低いため、固体状態の樹脂に印加した高電圧が有効に溶融部に伝達し難いこと。
溶融型静電紡糸法において、電気加熱方式における前記の弊害や溶融粘度を下げるための長期間の加熱滞留による樹脂の物性低下などを改良する目的で、特開2005−154927号公報(特許文献1)には、(1)ポリマーを供給する工程、(2)前記供給したポリマーに対してレーザーを照射してポリマーが変形可能な状態にする照射工程、(3)前記変形可能なポリマーを電気的に牽引し、細径化するとともに引き伸ばして繊維化する繊維化工程、及び(4)前記繊維を集積して繊維集合体を形成する繊維集合体形成工程とを備えている繊維集合体の製造方法が提案されている。この文献には、ポリマーにレーザーを照射して熱を与え、変形可能(静電紡糸可能)な状態としているため、溶液静電紡糸法と異なり、溶媒を必要としないと記載されている。さらに、繊維を供給するのに替えて、棒状のポリマーを供給する方法も記載されている。
しかし、この文献には、得られる繊維の径やレーザー照射や電圧印加などの製造条件について具体的に記載されていない。さらに、溶媒型静電紡糸法(S−ELSP)で得られる不織布(均一なナノ繊維で構成された不織布)を得るためには、十分な長さの極細繊維が高い牽引力の作用下で1秒間に数百回以上のホイッピングモーションを繰り返す必要があるが、この文献のような既存のM−ELSPにはその運動を誘起する技術が欠落していた。とりわけ、固体状態の熱可塑性樹脂は電気抵抗が高いため、この部分への印加電圧を単純に高くしても、電極部分からの放電を生起するのみで繊維先端部まで有効に電荷を導入できず、牽引力不足となる。その結果、この方法では、伸長する繊維のホイッピングモーションを起こすまでには至らず、繊維のより一層の微細化は図れず、ナノ繊維の製造は困難である。さらに、繊維に高電圧を印加してレーザー光線を照射すると、局部的細化は、牽引力の弱い電気的牽引により進むため、極細繊維が相互に集積する状態にはなりえず、均一な不織布の製造も困難である。
特開2005−154927号公報(請求項1、段落[0006][0015][0018]〜[0020][0025]、図1〜3)
従って、本発明の目的は、熱可塑性樹脂で構成された極細繊維を効率良く製造できる溶融型静電紡糸方法、その方法により得られる極細繊維及び溶融型静電紡糸装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、ナノメータサイズの極細繊維で構成された均一な極細繊維集合体を製造できる溶融型静電紡糸方法、その方法により得られる繊維集合体及び溶融型静電紡糸装置を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、溶融型静電紡糸法において、加熱手段として、加熱溶融部へのレーザー光線を用いるだけでは細化時間及び熱量が不足し、伸長する繊維にホイッピングモーションが形成されないことを見出し、ホイッピングモーションを行うには十分な熱空間が必要であるが、熱風では伸長する繊維の動きを阻害するため、熱輻射による熱空間形成が有効であることを突き止めた。さらに、本発明者らは、伸長する繊維を熱可塑性樹脂の融点(又は軟化点)近傍の雰囲気で加熱して、毎秒100回以上のホイッピング振動をさせながらコレクターに捕集することで、極細繊維を効率良く製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の極細繊維の製造方法は、レーザー光線を照射して熱可塑性樹脂を加熱溶融させる加熱溶融工程と、前記熱可塑性樹脂の溶融部に電圧を作用させて、前記熱可塑性樹脂を繊維状に伸長させる静電紡糸工程と、伸長された繊維をコレクターに捕集する捕集工程とを経て極細繊維を製造する方法であって、前記静電紡糸工程において、伸長する繊維を加熱して紡糸する。前記静電紡糸工程において、熱可塑性樹脂の融点又は軟化点をmp(℃)としたとき、(mp−70)℃〜(mp+100)℃の温度で、伸長する繊維を加熱してもよい。さらに、前記静電紡糸工程において、輻射熱線の照射による加熱機構を有する加熱部を30mm以上通過させることにより、伸長する繊維を加熱してホイッピング振動させてもよく、特に、平均繊維径5μm以下の繊維を100回/秒以上の振動数でホイッピングさせ、捕集工程において、ホイッピング振動数に対して1/3000倍以下の振動数でコレクターを前後左右に移動させて繊維を捕集してもよい。この製造方法では、熱可塑性樹脂として複数の放射方向からレーザー光線を照射可能な線状樹脂を用い、熱可塑性樹脂の溶融部に電荷を付与するための電極部に形成された通路部に挿入された前記線状樹脂を連続的に加熱溶融部に供給するともに、前記加熱溶融部と前記電極部との距離を10mm以下としてもよい。前記線状樹脂の平均径に対して2倍以上のビーム径を有するレーザー光線を用いてもよい。
本発明には、前記製造方法により得られた極細繊維又は極細繊維集合体も含まれる。
本発明には、レーザー光線の照射により熱可塑性樹脂を加熱溶融するための加熱溶融ユニットと、加熱溶融した熱可塑性樹脂に電圧を作用させて、前記熱可塑性樹脂を繊維状に伸長させる静電紡糸ユニットと、伸長された繊維をコレクターに捕集するための静電紡糸ユニットとを備えている溶融型静電紡糸装置であって、前記静電紡糸ユニットが伸長する繊維を加熱するための加熱部を有している溶融型静電紡糸装置も含まれる。この装置において、前記加熱部は、輻射熱線を照射可能な機構を有し、繊維が通過可能で30mm以上の加熱空間部を有していてもよい。前記捕集ユニットは、前後左右に移動して繊維を捕集可能なコレクターを有していてもよい。前記加熱溶融ユニットは、コレクターとの間で電圧が印加され、かつ熱可塑性樹脂の溶融部に電荷を付与するための電極部を有していてもよい。
本発明では、レーザー光線を照射して溶融させた熱可塑性樹脂を加熱して静電紡糸するため、熱可塑性樹脂で構成された極細繊維(特にナノサイズの繊維であっても)を高い作業性で効率良く製造できる。
また、従来の溶融型静電紡糸法では、電気的牽引力が小さいため、繊維が充分に微細化できない。さらに、コレクター上の気流に阻害されて繊維がコレクター上に均一に捕集できないため、均一な繊維集合体(シート状不織布)を得ることはできなかった。これに対して、本発明では、ホイッピングモーションを可能とする装置と条件によって、均一なシート状極細繊維不織布を得ることができる。特に、このようなシート状不織布を形成させるためには、ホイッピングモーションを生起させて、極細繊維が相互に重なり合って集積する必要があり、熱可塑性樹脂の溶融部に電圧を作用させて、伸長する繊維を熱可塑性樹脂の融点(又は軟化点)近傍の雰囲気で少なくとも30mm以上の通過距離を有する加熱部を経てから、綾振り機構を有するコレクターに捕集することにより、平均繊維径が5μm以下(特に50〜1000nm程度)の極細繊維で構成された均一なシート状不織布を得ることができる。
さらに、レーザー光線によって、局所的かつ瞬時に熱可塑性樹脂を溶融できるため、装置上の制約もなく、高い融点を有するエンジニアリングプラスチックであっても、ナノメータサイズの極細繊維を製造できる。
[溶融型静電紡糸方法]
以下に、必要に応じて添付図面を参照しつつ、本発明の溶融型静電紡糸方法を詳細に説明する。本発明の製造方法では、レーザー光線を照射して熱可塑性樹脂を加熱溶融させる加熱溶融工程と、熱可塑性樹脂の溶融部に電圧を作用させて、前記熱可塑性樹脂を繊維状に伸長させる静電紡糸工程と、伸長された繊維を電気的引力によってコレクター(繊維捕集部)に捕集するための捕集工程とを経て極細繊維を製造する。特に、本発明の製造方法では、前記静電紡糸工程において、伸長する繊維を加熱してホイッピングさせて紡糸する。
図1及び図2は、本発明の溶融型静電紡糸方法における製造工程及び製造装置の一例を示す概略模式図である。
加熱溶融工程において、線状熱可塑性樹脂1は、電極部2の通路部3に挿入され、供給ユニット4によって、通路部から所定距離離れた加熱溶融部5に連続的に供給される。なお、図示していないが、通路部3の内周面に亘り銅細線集合体が配設されている。加熱溶融部5において、線状樹脂1は、レーザー光源6からスポット状レーザー光線7が照射され、瞬時にして加熱溶融される。
静電紡糸工程において、電極部2とコレクター8との間には、電圧発生部9から電圧が印加され、電極部2が正に帯電されるとともに、コレクター8は負に帯電される。そして、線状樹脂1は電極部2の通路部3に挿入されているため、電極部2を介して正に帯電される。加熱溶融部5において、線状樹脂1の先端部は溶融され、かつ正に帯電されているため、負に帯電し、コレクター8に向けて飛翔して伸長する繊維を形成する。さらに、電極部2とコレクター8との間には、加熱部10が設けられ、伸長する繊維は、加熱部10の加熱空間部11を通過することにより加熱され、ホイッピング振動する。
捕集工程において、ホイッピングモーションを繰り返しながら飛翔する繊維は、螺旋状に伸長し、コレクター8で捕集される。
(加熱溶融工程)
熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂など)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂など)、ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニルなどの塩化ビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂など)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンナフタレート系、ポリブチレンテレフタレート系、ポリトリメレチンテレフタレート系、ポリエチレンテレフタレート系などの芳香族ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリアリレートなどの全芳香族ポリエステル系樹脂、液晶ポリエステル系樹脂など)、ポリアミド系樹脂(例えば、ポリアミド6などの脂肪族ポリアミド系樹脂、ナイロン9MTなどの半芳香族ポリアミド系樹脂、MXD6などの芳香族ポリアミド系樹脂、液晶ポリアミド系樹脂など)、ポリイミド系樹脂(例えば、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミドなど)、ポリカーボネート系樹脂(例えば、ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂(例えば、ポリフェニレンサルファイドなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(例えば、ポリフェニレンエーテルなど)、ポリアセタール樹脂(例えば、ポリオキシメチレンなど)、ポリエーテルケトン系樹脂(ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなど)、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの熱可塑性樹脂のうち、電荷を先端の溶融部まで充分に到達させて静電牽引力を向上できる点から、高分子の主鎖又は側鎖に、官能基(極性基)を有する樹脂、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などが好ましい。このような樹脂は、高温時の電気抵抗が下がり易く、極細繊維を形成し易い。さらに、ナノ繊維などの極細繊維を形成し易い点からは、低粘度の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが好ましい。これらの熱可塑性樹脂を使用すると、ナノメータサイズの繊維径でありながら、均一な径の極細繊維を製造できる。特に、本発明の方法では、溶媒の選択が困難な生分解性プラスチックや、高い融点を有するエンジニアリングプラスチックであっても簡便に紡糸できる。
生分解性プラスチックとしては、例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂や脂肪族ポリアミド系樹脂などが挙げられる。これらのうち、脂肪族ポリエステル系樹脂が好ましい。脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリネオペンチレンサクシネートなどのポリアルキレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチレンアジペートなどのポリアルキレンアジペート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸などのポリオキシカルボン酸、ポリプロピオラクトン、ポリカプロラクトンなどのポリラクトンなどが挙げられる。
エンジニアリングプラスチックとしては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂などが挙げられる。これらのうち、溶融異方性を有するサーモトロピック液晶ポリマー(液晶ポリエステル系樹脂、液晶ポリアミド系樹脂、液晶ポリエステルアミド系樹脂など)、特に、液晶ポリエステル系樹脂が好ましい。液晶ポリエステル系樹脂は、p−置換芳香族環、直鎖状ビフェニル基、置換ナフチル基などのメソーゲン基(液晶形成能を有する基)を構造単位として有するポリエステル系樹脂であってもよい。具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸と、ジオール(ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族ジオール、エチレングリコールなどのC2−6アルカンジオールなど)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸など)及び芳香族ヒドロキシカルボン酸(オキシナフトエ酸など)から選択された少なくとも一種の単量体との共重合体などが例示できる。より具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸と4,4′−ジヒドロキシビフェニルとの共重合体、p−ヒドロキシ安息香酸と4,4′−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸との共重合体、p−ヒドロキシ安息香酸単位とエチレンテレフタレート単位との共重合体、p−ヒドロキシ安息香酸と2−オキシ−6−ナフトエ酸との共重合体などが挙げられる。このような液晶ポリエステル系樹脂は、「ベクトラ」、「ザイダー」、「エコノール」、「X−7G」などの商品名で上市されている。液晶ポリマーは、高い機械的特性を有しているにも拘わらず、その配向性から、溶融流動性に優れるため、本発明の方法に特に適している。
なお、熱可塑性樹脂は、繊維に用いられる各種の慣用の添加剤、例えば、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、充填剤、滑剤、抗菌剤、防虫・防ダニ剤、防カビ剤、つや消し剤、畜熱剤、香料、蛍光増白剤、湿潤剤、可塑剤、増粘剤、分散剤、発泡剤などを含有してもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの添加剤は、それぞれ、熱可塑性樹脂100質量部に対して、50質量部以下の割合で使用でき、例えば、0.01〜30質量部、好ましくは0.1〜20質量部程度の割合である。
熱可塑性樹脂は、室温で固体状である。なお、固体状熱可塑性樹脂は、加熱溶融部に供給される前に、予め溶融して半固体状又は液状にしてもよいが、簡便性や作業性の点から、固体状が好ましい。
熱可塑性樹脂の形状は、レーザー光線の照射により溶融可能であれば特に限定されず、不定形であってもよいが、連続的に加熱溶融部に供給するとともに、複数の放射方向からレーザー光線を照射して局所的かつ瞬時に溶融できる観点から、線状体が好ましい。線状体において、断面形状は、特に限定されず、多角形状(三角や四角形状など)、楕円形状、不定形状などであってもよいが、通常、円形状や長方形状である。なお、本発明では、線状体は、断面が長方形状や楕円状である面状(テープ状)体も含む概念として用いる。
線状樹脂の供給に関して、ポリマー種の異なる複数本の線状樹脂を同時に加熱溶融部に供給し、別々に溶融させた後、別々の状態で静電紡糸させ、複数種の繊維で構成された繊維集合体を得てもよい。また、複数種の線状樹脂を予め複合形成した材料、あるいは別々の複数種の材料を同時に加熱溶融させて、複数種のポリマーを積層させた溶融ポリマー液を静電紡糸して、複合繊維で構成された繊維集合体を得てもよい。
線状樹脂の平均径は、照射するレーザー光線のビーム径よりも大きくてもよいが、小さい径であるのが好ましい。そのような平均径は、レーザー光線の種類に応じて選択できるが、例えば、0.1〜2mm、好ましくは0.2〜1.5mm、さらに好ましくは0.3〜1mm(特に0.4〜0.8mm)程度である。
線状樹脂の長さは、特に限定されず、必要な繊維の量に応じて選択すればよく、例えば、10mm以上であるが、通常、連続的に供給される場合には、1m以上(例えば、1〜1000m程度)で使用される。
熱可塑性樹脂を加熱溶融部に供給する手段は、所定方向に送出可能であれば、特に限定されないが、通常、電気的な駆動力(モータの回転など)を利用して、線状樹脂を一定速度で移動可能な機構(例えば、モータの回転運動を直線運動に変換する機構)を有する装置である。特に、線状樹脂の場合には、線状樹脂を固定可能な保持部(チャック)を有する装置であってもよい。熱可塑性樹脂の供給速度は、繊維が製造可能であれば、生産性の点からは高い方が好ましく、例えば、1〜1000mm/時間、好ましくは5〜500mm/時間、さらに好ましくは10〜300mm/時間(特に50〜200mm/時間)程度である。熱可塑性樹脂は、加熱溶融部に、ストランド状(ロッド状)などの形態で複数の同種又は異種の線状樹脂を連続的に供給してもよい。
加熱溶融部に供給された熱可塑性樹脂は、レーザー光線を照射して溶融される。本発明では、レーザー光線を照射することにより、熱可塑性樹脂(特に線状熱可塑性樹脂)を局所的かつ瞬時に溶融できるため、高温の溶融液を長時間保持する必要がない。その結果、本発明では、従来の溶融型静電紡糸とは異なり、生じる熱エネルギーの拡散や熱可塑性樹脂の熱分解を抑制でき、また、放電に対する特別な工夫を必要とせず、溶融静電紡糸が可能である。さらに、融点の高い熱可塑性樹脂、例えば、液晶ポリマーの静電紡糸が可能になり、高融点樹脂(液晶ポリマーなど)で構成された繊維、特に極細繊維が得られる。
レーザー光線には、YAGレーザー、炭酸ガス(CO)レーザー、アルゴンレーザー、エキシマレーザー、ヘリウム−カドミウムレーザー、固体半導体レーザーなどの光源から発生されるレーザー光線が含まれる。これらのレーザー光線のうち、電源効率が高く、熱可塑性樹脂の溶融性が高い点から、炭酸ガスレーザーによるレーザー光線が好ましい。
なお、ファイバー伝送可能で、変換効率が高く、装置コスト及び運転コストが低くなる点から、固体半導体レーザーであってもよい。レーザー光線の波長は、例えば、200nm〜20μm、好ましくは500nm〜18μm、さらに好ましくは1〜16μm(特に5〜15μm)程度である。
レーザー光線の照射方法は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂に対して、局所的に照射できる点から、スポット状にレーザー光線又は帯状レーザー光束を照射する方法が好ましい。このスポット状レーザー光線を熱可塑性樹脂に照射するビーム径の大きさは、熱可塑性樹脂の形状に応じて選択できる。具体的なビーム径は、例えば、線状樹脂の断面が円や正方形などの場合、線状(又はロッド状)樹脂の平均径よりも大きい径であればよく、例えば、0.5〜30mm、好ましくは1〜20mm、さらに好ましくは2〜15mm(特に3〜10mm)程度である。線状樹脂の平均径とビーム径との比率は、線状樹脂の平均径に対して、1〜100倍程度のビーム径であってもよく、好ましくは2〜50倍、さらに好ましくは3〜30倍(特に5〜20倍)程度のビーム径である。
線状樹脂の断面形状が長方形や楕円形であり、線状樹脂がテープ状又は面状である場合、帯状レーザー光束を照射するのが好ましい。レーザー光束の場合、線状樹脂の幅(断面形状の長径)に対する光束の幅は、線状樹脂の幅にほぼ等しい幅で照射すればよいが、通過する樹脂に均等に熱を付与するために、線状樹脂の長手方向に対しても、ある程度の幅で照射するのが好ましい。線状樹脂の長手方向に対するレーザー光束の幅は、例えば、線状樹脂の厚み(断面形状の短径)の2倍以上が好ましく、さらに好ましくは10〜50倍程度である。長手方向のレーザー光束の照射部位(幅)が短いと、樹脂内部の加熱溶融に時間的な遅れが発生し、樹脂先端部の均一な加熱溶融ができず、先端部にカールなどの変形が発生する。
熱可塑性樹脂を溶融するために必要なレーザー光線の出力は、熱可塑性樹脂の融点(又は軟化点)以上であり、かつ熱可塑性樹脂の発火点以下の温度となる範囲に制御すればよいが、極細繊維を製造する観点からは、大きい方が好ましい。具体的なレーザー光線の出力は、用いる熱可塑性樹脂の物性値(融点、LOI値(限界酸素指数))や形状、熱可塑性樹脂の供給速度などに応じて適宜選択できるが、例えば、0.1〜50W、好ましくは1〜35W、さらに好ましくは5〜30W(特に10〜25W)程度であってもよい。レーザー光線の照射条件は、熱可塑性樹脂の融点(又は軟化点)を測定して制御してもよいが、熱可塑性樹脂が径の小さな線状体であり、高電圧が付与される場合には、簡便性の点から、レーザー光線の出力により制御するのが好ましい。
さらに、レーザー光線の照射方法は、一方向から照射してもよいが、熱可塑性樹脂を均一かつ充分に溶融できる点から、同一の溶融部(特に、線状樹脂の場合、先端部)に対して、複数の方向、例えば、複数の放射方向から局所的に照射するのが好ましい。複数方向からの照射回数は、例えば、2方向以上、好ましくは2〜6方向、さらに好ましくは3〜5方向であってもよい。
このような複数方向からの照射は、複数のレーザー光源を用いて照射してもよいが、効率よく熱可塑性樹脂を溶融するために、単独のレーザー光源により照射されたレーザー光線を、反射鏡を用いて複数の方向から照射するのが好ましい。反射鏡は、樹脂の加熱溶融部を中心として、レーザー光線の照射側に対して反対側に位置する第1の反射鏡と、この反射鏡から反射されたレーザー光線を熱可塑性樹脂の加熱溶融部に再反射させるための第2の反射鏡とで構成できる。さらに、反射鏡の位置は、レーザー光線が等間隔で放射状に照射されるように配置されるのが好ましい。具体的には、レーザー光源から出射した光は、熱可塑性樹脂を照射した後、熱可塑性樹脂に吸収されなかった光は、第1の反射鏡により反射され、隣接して配置された第2の反射鏡に入射する。第2の反射鏡は、第1の反射鏡から入射したレーザー光線を再度熱可塑性樹脂に照射可能な位置に配置され、第2の反射鏡に入射したレーザー光線は再度熱可塑性樹脂を照射する。このような反射を繰り返し、所望の回数でレーザー光線を熱可塑性樹脂に照射した後、最終的には、レーザー光線吸収部でレーザー光線を吸収してもよい。例えば、レーザー光線をn個の方向から照射する場合には、熱可塑性樹脂を中心に放射状に2n個の方向に等間隔で分割した方向に、(2n−2)個の反射鏡と1個のレーザー光線吸収部を配置し、残る1個の方向からレーザー光線を照射し、(2n−2)個の反射鏡の反射によって、レーザー光線が熱可塑性樹脂にn個の方向から照射させればよい。
図2は、線状熱可塑性樹脂にレーザー光線を3方向から照射した工程を示す概略平面図である。レーザー照射部から照射されたレーザー光線21は、線状樹脂22を照射した後、線状樹脂22に吸収されなかった光は、第1の反射鏡23aで反射される。第1の反射鏡23aで反射された光は、線状樹脂22を中心とする放射方向において角度60°で第1の反射鏡23aに隣接して配置された第2の反射鏡23bによって反射される。第2の反射鏡23bは、第1の反射鏡23aからの光を反射させて、線状樹脂22を再度照射可能な角度で配置されている。さらに、再度の照射後、線状樹脂22に吸収されなかった光は、同様に、第3の反射鏡23c及び第4の反射鏡23dによって反射された後、三度線状樹脂22を照射した後、レーザー光線吸収部24によって吸収される。この結果、この工程では、4個の反射鏡を用いて、線状樹脂を中心とした放射方向において、お互いに120°の間隔で3方向からレーザー光線が照射される。従って、線状樹脂22は、単独の方向から照射された樹脂に比べて、均一に加熱されることとなる。
(静電紡糸工程)
静電紡糸工程では、前記工程で溶融させた熱可塑性樹脂の溶融部に電圧を作用させて、伸長する繊維を加熱してホイッピングさせながら電気的引力によってコレクターに捕集する。
詳細には、この工程では、熱可塑性樹脂をコレクターとは反対極の電荷を付与して帯電させ、熱可塑性樹脂の加熱溶融部とコレクターとの間で発生した電位差を利用することにより、溶融状態の樹脂をコレクターに向けて飛翔させる。コレクターに向けて飛翔して伸長する繊維は、融点(又は軟化点)近傍の雰囲気で伸長する繊維を加熱可能な加熱部を経て、ホイッピングモーションを繰り返しながら飛翔して伸長することにより極細繊維が形成され、伸長又は延伸した極細繊維がコレクターに捕集されて静電紡糸する。
熱可塑性樹脂の溶融部に電圧を作用させる方法としては、具体的には、熱可塑性樹脂に電荷を付与するための電極部とコレクターとの間に電位差を発生させて、熱可塑性樹脂の溶融部に電圧を作用させる方法を使用する。本発明では、このように電圧を印加された電極部を介して熱可塑性樹脂に電荷が付与される。詳細は後述するが、例えば、熱可塑性樹脂が線状体の場合、電極部に形成された通路部に線状樹脂が挿入されることにより、電極部を介して、熱可塑性樹脂に電荷が付与される。熱可塑性樹脂の帯電は、正及び負のいずれでもよく、反対の極に帯電されたコレクターとの静電引力により静電紡糸される。通常、熱可塑性樹脂は正に帯電され、コレクターは負に帯電される。
熱可塑性樹脂の溶融部に電圧を印加する方法は、溶融部に充分な電荷を供給し易い点から、レーザー光線の照射部(熱可塑性樹脂の加熱溶融部)と電荷を付与するための電極部とを一致させる直接印加方法が好ましいが、簡便に装置を作製できる点、レーザー光線を有効に熱エネルギーに変換できる点、レーザー光線の反射方向を容易に制御でき、安全性が高い点などから、レーザー光線の照射部と電荷を付与するための電極部とを別個の位置に設ける間接印加方法(特に、熱可塑性樹脂の供給方向における下流側にレーザー光線の照射部を設ける方法)であってもよい。間接印加方法の場合、電極部と加熱溶融部とは可能な限り近接することが好ましく、特に、本発明では、電極部よりも下流側で熱可塑性樹脂にレーザー光線を照射するとともに、電極部とレーザー光線照射部との距離(例えば、電極部の下流端と、レーザースポット外周の上流端との距離)を特定の範囲(例えば、10mm以下、好ましくは5mm以下程度)に調整するのが好ましい。この距離は、熱可塑性樹脂の導電率、熱伝導率、ガラス転移点、レーザー光線の照射量などに応じて選択でき、例えば、0.5〜10mm、好ましくは1〜8mm、さらに好ましくは1.5〜7mm(特に2〜5mm)程度である。両者の距離がこの範囲にあると、レーザー光線照射部近傍での熱可塑性樹脂の分子運動性が高まり、溶融状態の熱可塑性樹脂に充分な電荷を付与できるため、静電紡糸の生産性を向上できる。
電極部に印加する電圧は、放電しない範囲で高電圧であるのが好ましく、要求される繊維径、電極とコレクターとの距離、レーザー光線の照射量などに応じて適宜選択できる。一般的な電圧は、例えば、0.1〜40kV/cm、好ましくは1〜30kV/cm、さらに好ましくは5〜25kV/cm(特に10〜20kV/cm)程度である。本発明では、電極部に印加する電圧は、レーザー光線によって熱可塑性樹脂が溶融する際に印加されて、溶融部に電荷が付与され、電極部とコレクターとの間で電位差が生じる状態になっていればよく、印加する時期は特に限定されないが、電極部に電圧が印加された後、樹脂にレーザーが照射される。
電極部は、導電性材料(通常、金属成分)で構成されていればよく、例えば、クロムなどの6A族元素、白金などの8族金属元素、銅や銀などの1B族元素、亜鉛などの2B族元素、アルミニウムなどの3B族元素などの金属単体や合金(アルミニウム合金やステンレス合金など)、又はこれらの金属を含む化合物(酸化銀、酸化アルミニウムなどの金属酸化物など)などが例示できる。これらの金属成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの金属成分のうち、銅、銀、アルミニウム、ステンレス合金などが特に好ましい。
電極部により熱可塑性樹脂を効率よく帯電させるためには、電極部に通路部(孔部)を形成し、この通路部に挿入された熱可塑性樹脂に対して、通路部を介して電荷を付与するのが好ましい。電極部の通路部は、線状熱可塑性樹脂の形状に応じて選択でき、例えば、断面円状の線状樹脂の場合には、断面円状の通路部(中空部)であってもよく、断面矩形状の線状樹脂の場合には、矩形であってもよい。
さらに、電極部の通路部には、熱可塑性樹脂に電荷を付与し易いように、通路部の表面に(特に略全表面に亘り)、コイル状金属線や金属細線集合体などの金属線が配設されていてもよい。金属線を構成する金属成分としては、前記電極部で例示された金属成分などが使用でき、通常、銅、銀、アルミニウム、ステンレス合金などが使用される。金属細線集合体は金属繊維であってもよい。金属繊維としては、例えば、アモルファス金属繊維、ステンレス繊維、超弾性NT(ニッケル・チタン)合金ワイヤ、チタンワイヤなどが挙げられる。
通路部にコイル状金属線を配設すると、コイル内部の熱可塑性樹脂に対して、容易に高電圧が付与できる。一方、通路部に金属細線集合体を配設すると、金属細線が熱可塑性樹脂(特に線状樹脂)を柔らかく取り囲むとともに、電荷を熱可塑性樹脂に付与できる。このような金属線は、熱可塑性樹脂の供給方向が重力と平行方向と同一である場合に特に有用である。
このようにして熱可塑性樹脂の溶融部に電荷が付与されると、溶融部は、その表面に電荷が集まり反発することにより、次第に円錐状(いわゆるテーラーコーン)となる。さらに、形成されたテーラーコーンにおいて、電荷の反発力が表面張力を超えると、溶融液は円錐の先端から静電引力によりコレクターに向けて噴射され、繊維となる。
加熱溶融部(レーザー光線照射部)とコレクターとの間には、前述の如く、電圧が作用されているため、例えば、0.1〜40kV/cm、好ましくは1〜30kV/cm、さらに好ましくは5〜25kV/cm(特に10〜20kV/cm)程度の電場が形成されていてもよい。
熱可塑性樹脂の溶融部(テーラーコーン先端部)とコレクターとの距離(コレクター距離)は、加熱部を形成でき、繊維にホイッピングモーションを付与可能であれば特に限定されず、50mm以上であればよいが、効率よく極細繊維を製造するため、例えば、60〜300mm、好ましくは70〜200mm程度であってもよい。本発明では、後述する加熱部を形成することにより、電極部とコレクターとの間の距離を溶媒型静電紡糸法(S−ELSP)と同様の短い距離で、極細繊維を得ることができる。
加熱溶融部とコレクターとの間の空間(紡糸空間)は、不活性ガス雰囲気であってもよい。紡糸空間を不活性ガス雰囲気とすることにより、繊維の発火を抑制できるため、レーザー光線の出力を高めることができる。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、炭酸ガスなどが挙げられる。これらのうち、通常、窒素ガスが使用される。不活性ガスは、例えば、通路部を有する電極部に、不活性ガスを供給するための通路を設けて前記通路部と合流させることにより、この通路部から紡糸空間に供給してもよい。
さらに、本発明では、得られる繊維の繊維径を小さくするため、紡糸空間を加熱する。具体的には、紡糸空間に加熱部を設けて、伸長する繊維が加熱部を通過することにより加熱される。
加熱部は、紡糸空間の空気又は不活性ガスを介して、伸長する繊維を加熱できる機構を有していれば特に限定されず、例えば、ヒーター(ハロゲンヒーター、電気ヒーターなど)で加熱する機構、レーザー光線を照射する機構などであってもよい。これらのうち、電熱線が露出する電気ヒーターなどの加熱体では、放電電流によって装置が故障する虞があるため、ハロゲンランプなどの加熱体を用いる機構やレーザーを照射する機構、特に、加熱効率の点から、ハロゲンランプを用いたハロゲンヒーターで加熱する機構が好ましい。さらに、加熱方法としては、熱風を用いる方法では、伸長する繊維の動きを阻害するため、輻射熱線を照射する方法が好ましい。さらに、輻射熱の付与方法は、ハロゲンランプなどによる直接輻射法や、セラミック製電気絶縁性チューブに絶縁性熱媒を循環させる方法などであってもよいが、簡便性や温度を制御し易い点から、放射加熱用蓄熱ブロックを設け、これをハロゲンランプなどの加熱体で加熱して輻射熱線を照射する方法が好ましい。なお、このような蓄熱ブロックを用いる方法では、加熱体の種類は、特に限定されない。
加熱部での加熱温度は、熱可塑性樹脂の発火点未満の温度であればよいが、ホイッピングモーションを促進し、極細繊維を形成可能な点から、熱可塑性樹脂の融点(又は軟化点)近傍であるのが好ましい。熱可塑性樹脂の融点近傍とは、熱可塑性樹脂の種類や溶融粘度、耐熱安定性などによっても変わるので一律には決めがたいが、具体的には、熱可塑性樹脂の融点(又は軟化点)をmp(℃)としたとき、(mp−70)℃〜(mp+100)℃、好ましくは(mp−50)℃〜(mp+80)℃、さらに好ましくは(mp−30)℃〜(mp+60)℃[特に(mp)℃〜(mp+50)℃]程度である。なお、軟化点について、熱可塑性樹脂には融点を有さない樹脂もあるため、そのような熱可塑性樹脂は、融点の代わりに軟化点を基準とすることを意味する。樹脂の軟化点の測定方法としては、ASTM D 1525又はJIS K 6724に準じて、ビカット法により測定する。
このような温度で伸長する繊維を加熱すると、熱可塑性樹脂の流動性維持及び細化の優位性だけでなく、電荷をより長い繊維の先端に行き渡らせることができるという効果を有している。すなわち、固体状態の熱可塑性樹脂は一般的物性として電気抵抗が大きいが、加熱部の雰囲気温度を熱可塑性樹脂の融点(又は軟化点、以下同様)近傍とすることにより、熱可塑性樹脂を溶融状態にして電気抵抗を低下させることができる。その結果、電極部の印加に伴って熱可塑性樹脂に注入された電荷が、よりコレクター側の繊維先端まで行き渡ることになる。
さらに、加熱部は、繊維が通過可能な加熱空間部(孔部など)を有しているのが好ましく、加熱温度や熱線の種類によっても変化するが、加熱空間部の長さ(繊維が伸長する方向、通常、重力方向の長さ)は、繊維が30mm以上通過可能な長さであるのが好ましい。特に、熱可塑性樹脂の融点近傍の雰囲気で少なくとも30mm以上の通過距離を形成すると、融点近傍の雰囲気に安定に制御することができる。なお、前述の蓄熱ブロックを用いると、融点近傍の雰囲気は、通過想定部分に熱電対などの温度センサーで雰囲気温度を計測し、蓄熱ブロックの温度を制御することにより雰囲気を調整できる。
加熱空間部の長さは、30mm以上であれば、上限は特にないが、作業性の点から、例えば、30〜300mm、好ましくは35〜200mm程度であってもよい。
また、加熱空間部の幅又は径(繊維が伸長する方向(重力方向)に対して垂直な方向の幅又は径)は、加熱空間部の内壁と伸長する繊維との最短距離が、例えば、20〜400mm、好ましくは25〜200mm、さらに好ましくは30〜100mm(特に35〜60mm)程度となる径であってもよい。本発明では、この最短距離は、繊維が紡糸方向に沿って直線状に伸長したと仮定した場合における繊維と加熱部の内面との最短距離とし、例えば、加熱空間部が断面真円の円筒状であり、1本の繊維を加熱空間部の中心に向けて紡糸する場合、前記最短距離は、断面真円の半径に相当する。加熱空間部の幅又は径が狭く、伸長する繊維と加熱部との距離が近すぎると、繊維が加熱部(蓄熱ブロックなど)の内面に接触して、ホイッピングモーションが阻害され易い。
加熱溶融部と加熱部との距離(例えば、加熱溶融部の先端と加熱部の上端との距離)は、例えば、50mm以下、好ましくは1〜30mm、さらに好ましくは3〜10mm程度である。
このような加熱部で加熱された繊維はホイッピング振動する。ホイッピング振動(モーション)の振動回数は、例えば、100回/秒以上(例えば、100〜100000回/秒)、好ましくは150回/秒以上(例えば、150〜10000回/秒)、さらに好ましくは200回/秒以上(例えば、200〜5000回/秒)程度である。本発明では、このような高い振動数で繊維をホイッピングさせることにより、伸長する繊維の径をナノメータサイズにまで細くできると推定される。一方、1秒間に100回未満では、適切な細径の繊維を形成するのは困難である。
このようなホイッピング振動した繊維は、飛翔途中から、螺旋状に回転しながら伸長する。ホイッピング振動によって伸長した繊維の振幅は、例えば、10mm以上(例えば、10〜100mm)、好ましくは15mm以上(例えば、15〜50mm)、さらに好ましくは20mm以上(例えば、20〜40mm)程度である。このようなホイッピング振動の振幅、すなわち空中における回転運動を伴う綾振り運動の振幅は、飛翔途中で一定の振幅となって、そのままコレクター上に捕集される。従って、繊維における空中でのホイッピング振動の振幅は、空中で一定の幅となった螺旋状構造の半径(重量方向に対して垂直な方向の略円形状における半径)に相当し、コレクター上に堆積された繊維集合体の半径として測定又は評価できる。
ホイッピングの観察は、熱可塑性樹脂(特に線状樹脂)が1個の場合に明確に観察できる。ホイッピングモーションにより螺旋状に回転しながら伸長する繊維は、略円盤状に拡がって、コレクターに捕集される。ホイッピングモーション特性の定量は、高速度ビデオカメラなどの機器でも測定できるが、コレクターに集積した繊維集合体の状態から算出してもよい。具体的には、極細繊維の平均直径と、コレクターに供給された一定時間当たりの繊維集合体の重量とから平均繊維長さが算出できるので、1秒間当たりの平均繊維長さをコレクター状に形成された略円盤状の円周長で除すると最小振動数Hz(回/秒)が求められ、略円盤状の短径の2倍で除すると最大振動数Hz(回/秒)が求められ、両者の平均値として振動数を算出する。ホイピングモーションが大きく、集積した集合体の略円盤状の面積が大きい場合に好ましい極細繊維が得られる。
(捕集工程)
コレクター(繊維捕集部)としては、捕集した繊維の用途に応じて選択でき、例えば、平板(例えば、固定された平板、回転ディスクなど)、回転ドラム、ベルトコンベヤーなどが挙げられる。例えば、連続繊維(フィラメント)を作製する場合は、回転ディスクを使用してもよく、繊維集合体を作製する場合には、回転ドラムやベルトコンベヤーを使用してもよい。繊維集合体の中でも、マット状繊維堆積物を作製する場合は、ベルトコンベヤーを使用してもよく、筒状繊維堆積物を作製する場合は、綾振り機構のある回転ドラムを使用してもよい。さらに、回転ディスクやドラムの回転速度を高くすると、繊維の配列が向上し、高性能繊維を得ることができる。
特に、極細繊維は、飛翔途中からホイッピングモーションにより螺旋状に伸長するため、不織布などの繊維集合体を製造する場合、均一な密度の繊維集合体を形成する点から、前後左右に移動可能な綾振り機構を有するコレクターを使用するのが好ましい。このような綾振り機構を有するコレクターは、例えば、ホイッピング振動している繊維のホイッピング振動数に対して1/3000倍以下(例えば、1/10000〜1/3000倍程度)の振動数に相当する低速の振動数で前後左右に移動させて繊維を捕集することにより、略円盤状に集積する繊維集合体を均一に重ねることができる。
本発明では、連続的に線状熱可塑性樹脂を加熱溶融部に供給することにより、連続した長繊維を得ることができるとともに、繊維長が100mm以上のフィラメントや、均一な繊維集合体(密度分布の均一な不織布)を得ることができる。
加熱部(例えば、加熱空間部の下端)とコレクターとの距離は、ホイッピング振動しながら螺旋運動し、繊維を細く伸長可能な空間が確保されればよく、例えば、30mm以上(例えば、30〜300mm)、好ましくは50〜200mm、さらに好ましくは80〜150mm程度である。
コレクターは、電極部との間で高電圧を印加する場合、捕集する繊維の取り扱い性の点から、接地(アース)してもよい。
[極細繊維]
本発明では、このような溶融型静電紡糸方法により、繊維、特に繊維径の小さい極細繊維が得られる。極細繊維の平均繊維径は、例えば、5μm以下であり、好ましくは100nm〜3μm程度である。このような平均繊維径を有する極細繊維には、例えば、50〜1000nm(特に100〜500nm)程度の繊維径を有する繊維が含まれていてもよい。さらに、熱可塑性樹脂の種類や製造条件などを調整することにより、均一なナノメータサイズを有する極細繊維を得ることもできる。本発明で得られる極細繊維は、ホイッピングモーションを発生させて採取するので、高速回転ドラムなどの特殊な採取方法を選択しない限り、シート状不織布を構成する極細繊維は反転部分(折り返し部分)を有しているのが特徴である。
また、本発明では、溶媒の選択が困難な生分解性プラスチックや、高融点のエンジニアリングプラスチックであっても、簡便な方法で、極細繊維が得られる。特に、従来では、融点が高く、通常の溶融紡糸方法ではナノサイズの極細繊維を得ることが困難であった溶融異方性を有する液晶ポリマーの紡糸に適しており、液晶ポリマーであっても、繊維径1μm以下の極細繊維(ナノ繊維)の製造が可能である。さらに、本発明の方法で得られた極細繊維は、一回の製造において、幅広い繊維径を有する繊維を製造可能であり、ナノ繊維の製造も容易である。本発明の静電紡糸装置のレーザー光の出力を調整することにより、幅広い繊維径を有する繊維を製造できる。
繊維の繊維長は、特に限定されず、製造条件などを調整することにより、用途に応じて選択すればよいが、例えば、平均繊維長0.5mm以上であり、不織布などの繊維集合体として用いる場合には、例えば、1〜50mm、好ましくは2〜30mm、さらに好ましくは3〜10mm程度であってもよい。なお、極細繊維は一般的に繊維集合体として得られるが、本発明では、連続的に供給する樹脂にレーザー光線を照射するため、平均繊維長100mm以上のフィラメント状繊維として得ることもできる。この場合、平均繊維長は、例えば、150mm以上、好ましくは200mm以上(例えば、200〜1000mm程度)の連続的なフィラメントであってもよい。
繊維の断面形状は、特に限定されず、異形断面であってもよいが、通常、丸型断面である。
さらに、本発明の溶融型静電紡糸法により得られた繊維集合体は、ナノ繊維を含む極細繊維(特に、連続したナノメータサイズの極細繊維)で構成されている。さらに、本発明の方法では、繊維径に高い分散度を有する繊維集合体も製造可能である。例えば、このような繊維集合体において、最大繊維径と最小繊維径との差は、例えば、200nm〜5μm、好ましくは300nm〜4μm、さらに好ましくは400nm〜3μm(特に500nm〜2μm)程度であってもよい。
このような繊維集合体は、通常、不織布(マット状堆積物、筒状堆積物など)である。不織布は、慣用の方法、例えば、バインダーを用いた方法や、部分的な熱圧融着(熱エンボス加工など)、機械的圧縮(ニードルパンチ処理)、交絡処理(水流絡合処理など)などの方法を用いて複数枚の不織布を貼り合わせたり、積層して得ることもできる。また、不織布は、本発明の極細繊維の効果を損なわない範囲(例えば、0.1〜50質量%、好ましくは1〜30質量%程度)で、他の繊維(合成繊維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維など)を含んでいてもよい。
他の繊維で構成された基布と積層する場合、基布は電気の漏洩性を有する基布の方がシート状に積層しやすい。電気漏洩性の目安として、導電性金属のスパッタリングや蒸着でもよいが、通常の静電気の帯電防止加工レベルでもよい。電気漏洩性能を全く有していない場合には、帯電反発によりシート状に集積するのが困難になり易い。基布としては、例えば、織編物、組み物(円筒又はチューブ形状であってもよい網、ネット、レースなど)、不織布(例えば、スパンボンド不織布など)などが挙げられ、その形状は、通常、シート又はフィルム状である。
不織布又は基布との積層体の場合、その形態は、通常、シート状であり、その厚みは、用途に応じて適宜すればよく、0.01〜100mm程度の範囲から選択できるが、通常、0.02〜30mm、好ましくは0.03〜10mm程度である。さらに、不織布の目付も、用途に応じて選択できるが、例えば、10〜500g/m程度であり、好ましくは15〜300g/m、さらに好ましくは20〜100g/m程度である。
得られたフィラメントや繊維集合体は、目的に応じ、エレクトレット加工による帯電処理、プラズマ放電処理やコロナ放電処理による親水化処理などの後加工処理をしてもよく、さらに二次加工してもよい。
[溶融型静電紡糸装置]
本発明の溶融型静電紡糸装置は、前記溶融型静電紡糸方法を実現可能な装置であれば、特に限定されないが、例えば、レーザー光線の照射により熱可塑性樹脂を加熱溶融するための加熱溶融ユニットと、加熱溶融した熱可塑性樹脂に電圧を作用させて、前記熱可塑性樹脂を繊維状に伸長させる静電紡糸ユニットと、伸長された極細繊維を電気的引力によってコレクターに捕集するための捕集ユニットとを備えている。
加熱溶融ユニットは、レーザー光線を照射するためのレーザー光源と、熱可塑性樹脂に吸収されなかったレーザー光線を吸収するためのレーザー光線吸収部とで構成されている。レーザー光線吸収部としては、例えば、レーザー光線吸収剤を含有する部材(例えば、カーボンブラックなどの黒色顔料を含有するプラスチック部材など)などが使用できる。さらに、加熱溶融部に対してレーザー光線を反射して複数の方向から照射するための反射鏡を備えていてもよい。
静電紡糸ユニットは、特に、熱可塑性樹脂を加熱溶融部(レーザー光線照射部)に供給するための供給ユニットと、熱可塑性樹脂の溶融部に電荷を付与するための電極部と、伸長する繊維を加熱し、ホイッピングモーションを発生させるための加熱部と、前記電極部と後述するコレクターとの間に電圧を印加するための電圧発生部とで構成されている。加熱部は、放射加熱用蓄熱ブロックを設け、このブロックをハロゲンランプなどで加熱して温度制御可能であり、かつ伸長する繊維を30mm以上通過可能な加熱空間部を有するのが好ましい。
捕集ユニットは、極細繊維を捕集するためのコレクターで構成されていてもよい。
本発明の溶融型静電紡糸装置において、電極部と加熱溶融部との間隔、電極とコレクターとの間隔、加熱溶融部と加熱部との間隔、加熱部とコレクターとの間隔は、前記静電紡糸工程及び捕集工程の項で記載された距離となるように配設されるのが好ましい。
本発明の方法で得られた極細繊維は、ナノ単位の径であるため、柔軟性に優れ、表面積が大きいため、吸液性や濾過性などの各種特性に優れる。従って、各種用途、例えば、絶縁材用セパレータなどのエレクトロニクス用部材、産業用資材(油吸着材、皮革基布、セメント用配合材、ゴム用配合材、各種テープ基材、エアフィルター、液体フィルターなど)、医療・衛生材(紙おむつ、ガーゼ、包帯、医療用ガウン、サージカルテープなど)、生活関連資材(ワイパー、印刷物基材、包装・袋物資材、収納材、フィルターなど)、衣料用材、内装用材(断熱材、吸音材など)、建設資材、農業・園芸用資材、土木用資材(土壌安定材、濾過用資材、流砂防止材、補強材など)、鞄・靴材などに使用できる。
特に、生分解性プラスチックで構成された極細繊維は、高度な性能が要求される医療又は農業用分野などに適しており、例えば、不織布は、組織医学工学材料(人工膜)、細胞増殖用足場材料などに用いることができ、フィラメント又は筒状物は、人工血管などに用いることができる。また、エンジニアリングプラスチックで構成された極細繊維で構成された不織布は、電池用セパレータ(ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池、リチウム二次電池、アルカリ二次電池など)やキャパシター用セパレータなどのエレクトロニクス分野などに用いることができる。
次に本発明を具体的に実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例における繊維径は、以下に示す方法で測定した。なお、実施例中の「%」はことわりのない限り、質量基準である。実施例における繊維径の測定方法、ホイッピング状況及びシートの均斉性の評価方法は次の通りである。
[繊維径の測定方法]
コレクター上に約50mm角に切られたアルミホイルを置き、溶融静電紡糸を各種条件下で行い、アルミホイル上に作製された繊維堆積物を金スパッタコーティングした。このコーティング物の写真を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影し、ネガ上に見られる繊維を任意に30本選び、これらの繊維径をデジタイザーにより計測し、その平均値及び標準偏差を求めた。
[ホイッピング挙動]
実施例の静電紡糸工程において、伸長する繊維のホイッピング挙動を以下の基準で評価した。
○…ホイッピングの振動数が200回/秒を超える
△…ホイッピングの振動数が100〜200回/秒
×…ホイッピングの振動数が100回/秒未満。
[シートの均斉性]
実施例でコレクターに捕集された繊維集合体について、目視で以下の基準で評価した。
○…シートが極めて均一で厚みむらがない
△…シートが概ね均一である
×…シートが不均一で厚み差が大きい。
実施例1(ベクトラ L920の溶融型静電紡糸)
ベクトラ(ポリプラスチックス(株)製、グレードL920)チップから、フローテスター(島津製作所(株)製、CFT500)を用いて約φ0.45mm、長さ70mm以上の線状試料を得た。作製条件は、融解温度280℃、圧力3MPa、ダイス面積1mmである。この試料を用いて、図1に示す製造工程に準じて、レーザー光源、反射鏡及びレーザー光線吸収部を有する加熱溶融ユニットと、供給ユニット、電圧発生部、電極部及び加熱部を有する静電紡糸ユニットと、コレクターを有する捕集ユニットとを備えた溶融型静電紡糸装置を用いて極細繊維を製造した。
まず、供給ユニットの駆動部におけるモータの回転により、押出棒に直線運動を与え、この押出棒にチャックで固定された線状試料は、下方向に一定速度(113mm/h)で移動し、加熱溶融部(レーザ照射部)に連続的に供給した。
電極部には、通路部が形成されており、この通路部には、前記線状試料が挿入されている。電極部には、高電圧が付与されており、線状試料が下方向に移動中に、電極部の通路部を介して線状試料に電荷が付与される。具体的に、電極部は、黒いアルミニウム電極棒に通路部を形成し、その通路部の全表面に、金属繊維である銅細線集合体が配設されている。
さらに、図2に示すレーザー光線の照射工程に準じて、炭酸ガスレーザー光(鬼塚ガラス(株)製、PIN−20R、波長:10.6μm、定格出力:20W(最大35W)、ビーム径:6mm)を放射状に3方向から線状体試料に照射することにより、線状体試料を融解した。なお、この装置において、電極部とレーザー照射部との間の距離は、4mmに設定した。
加熱部は、2台のハロゲンランプ(ウシオ電機(株)製、スポットヒータ「UL−SH−02」)の加熱により輻射熱線を照射可能な放射加熱用蓄熱ブロック(セラミック製パイプ((株)ニッカトー製、HB管「PT−1」)を外径52mm、内径42mm、高さ40mmに加工して作製した蓄熱ブロック)を用いた。このブロックは、内部に繊維が通過可能な円筒状の空間部を有しており、この空間部において、繊維の伸長方向(重力方向)における長さが100mmであり、繊維の伸長方向に垂直な径は42mmである。このブロックは、レーザー照射部と加熱部(上端)との距離は5mmに設定し、加熱部(下端)とコレクターとの距離は80〜90mmに設定した。
さらに、繊維を捕集するコレクターとしては、前後左右に綾振り運動可能なコレクター(カトーテック(株)製、XYステージ)を用いた。また、このコレクターにおける綾振り運動の振動数は、ホイッピングの振動数に応じて変更し、ホイッピングの振動数に対して1/3000倍となる振動数に設定した。
図3は、コレクター距離を125mm、レーザー出力(Lp)4.5W、印加電圧(Hv)30kVに固定して、加熱部の中心部(通過距離が20mmで、かつブロック壁から21mmの距離に位置するブロック内空間の中心部)における加熱雰囲気温度(Ts)を室温、175℃、250℃、300℃と変えて繊維径との関係を示したグラフである。この実験結果から、加熱雰囲気温度の増加に伴って繊維径が減少することが分かる。さらに、繊維径の平均が1μm前後の繊維もあるため、部分的に1μm以下の繊維が得られた。中心部における加熱雰囲気温度が室温の場合、ホイッピングモーションの振動数は毎秒十数回前後と遅く、繊維太さと略円盤状繊維重量からも振動数は小さく円盤の大きさも10mm未満となっていた。温度が増大すると融点付近の雰囲気温度ではホイッピングモーションも速くかつ大きくなり、円盤状の大きさは25mm程に、かつ繊維太さと略円盤状繊維重量から求められる振動数は毎秒250回と大きくなった。
この装置を用いて、ベクトラから極細繊維が作製できる最適な印加電圧、中心部における加熱雰囲気温度(Ts)を融点付近の温度300℃、コレクター距離(Cd)、レーザー出力を見出し、それらの条件から得られる繊維をSEM(日立製作所(株)製、S−2300)で観察した結果を図4に示し、繊維直径分布図を図5示す。なお、図4のSEM写真において、右下部にある横線は、スケールバーを示し、その長さは10μmである。
図5の結果から明らかなように、中心部における加熱雰囲気温度を融点付近の温度300℃にした結果、平均直径は0.5μm以下となり、活発なホイッピングモーションが見られ、円盤状の径は30mmになり、かつ繊維太さと略円盤状繊維重量から求められる振動数は毎秒1500回にまで至った。図4のSEM写真からも、ホイッピングにより繊維が反転し、曲がった部分も認められる。
実施例2(ポリ乳酸の溶融型静電紡糸)
ポリ乳酸(カーギルダウ社製、グレード6200D、数平均分子量Mn:79461、重量平均分子量Mw:148640、RV:3.1、D体:1.8%、L体:98.2%,mp:171℃)チップから、フローテスター(島津製作所(株)製、CFT500)を用いて約φ0.5mm、長さ70mm以上の線状試料を得た。作製条件は、融解温度267℃、押出圧力1MPa、ダイス面積1mmであった。この線状試料を以下の溶融静電紡糸実験に供した。実験方法及び装置の詳細は、実施例1と同様である。
この装置を用いて、静電紡糸により作製される極細繊維シート形状を決定する因子として、レーザー出力(Lp)、中心部における雰囲気加熱の有無を変化させた実験を行った。すなわち、この実験では、コレクター距離を100mm、高電圧を放電直前の41kVと固定して、レーザー出力2〜17Wを変化させ、加熱雰囲気温度(Ts)を150℃加熱した例と、加熱しない例とについて、繊維径、略円盤状の直径、ホイッピング挙動、及びシートの均斉性について調べた。結果を表1に示す。
表1の結果から、レーザー出力が大きくなると、繊維径が指数関数的に小さくなることがみてとれる。さらに、加熱部を形成しない場合でも、繊維径の平均が1μm前後の繊維も作製可能であるが、シート形成とその均斉性にはホイッピングモーションが極めて重要であることがわかる。
実施例3(半芳香族ポリアミド径樹脂の溶融型静電紡糸)
ポリアミド9MT(ポリノナンジアミンテレフタルアミド、(株)クラレ製、ジェネスタ、融点270℃)チップから、フローテスター(島津製作所(株)製、CFT500)を用いて約φ0.8mm、長さ70mm以上の線状試料を得た。作製条件は、融解温度280℃、圧力3MPa、ダイス面積1mm2であった。この線状試料を用いて、実施例1と同様に極細繊維を製造した。
図6は、実施例1と同条件において、加熱雰囲気温度(Ts)を室温、270℃、280℃、290℃、300℃、310℃、330℃と変えて繊維径との関係を示したグラフである。この実験結果から、融点を超えた温度領域でも安定したホイッピングモーションを伴って極細の繊維が得られることがわかる。加熱雰囲気温度が280℃の条件で得られた繊維をSEM(日立製作所(株)製、S−2300)で観察した結果を図7に示す。なお、図7のSEM写真において、左下部にある横線は、スケールバーを示し、その長さは5μmである。図7の写真から、均一な径を有する極細繊維が観察され、ナノメータサイズの繊維も観察できる。
図1は、本発明の溶融型静電紡糸方法における製造工程の一例を示す概略図である。 図2は、線状熱可塑性樹脂にレーザー光線を3方向から照射した工程を示す概略平面図である。 図3は、実施例1で得られた繊維における加熱部の雰囲気温度と繊維径との関係を示すグラフである。 図4は、実施例1で得られた繊維の走査型顕微鏡写真である。 図5は、実施例1で得られた繊維の繊維径分布を示すグラフである。 図6は、実施例3で得られた繊維における加熱部の雰囲気温度と繊維径との関係を示すグラフである。 図7は、実施例3で得られた繊維の走査型顕微鏡写真である。
符号の説明
1…線状樹脂
2…電極部
3…通路部
4…供給ユニット
5…加熱溶融部
6…レーザー光源
7…スポット状レーザー光線
8…コレクター
9…電圧発生部
10…加熱部
11…加熱空間部
21…レーザー光線
22…線状樹脂
23…反射鏡
24…レーザー光線吸収部

Claims (12)

  1. レーザー光線を照射して熱可塑性樹脂を加熱溶融させる加熱溶融工程と、前記熱可塑性樹脂の溶融部に電圧を作用させて、前記熱可塑性樹脂を繊維状に伸長させる静電紡糸工程と、伸長された繊維をコレクターに捕集する捕集工程とを経て極細繊維を製造する方法であって、前記静電紡糸工程において、伸長する繊維を加熱して紡糸する極細繊維の製造方法。
  2. 静電紡糸工程において、熱可塑性樹脂の融点又は軟化点をmp(℃)としたとき、(mp−70)℃〜(mp+100)℃の温度で、伸長する繊維を加熱する請求項1記載の製造方法。
  3. 静電紡糸工程において、輻射熱線の照射による加熱機構を有する加熱部を30mm以上通過させることにより、伸長する繊維を加熱してホイッピング振動させる請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 静電紡糸工程において、平均繊維径5μm以下の繊維を100回/秒以上の振動数でホイッピングさせ、捕集工程において、ホイッピング振動数に対して1/3000倍以下の振動数でコレクターを前後左右に移動させて繊維を捕集する請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 熱可塑性樹脂として複数の放射方向からレーザー光線を照射可能な線状樹脂を用い、熱可塑性樹脂の溶融部に電荷を付与するための電極部に形成された通路部に挿入された前記線状樹脂を連続的に加熱溶融部に供給するともに、前記加熱溶融部と前記電極部との距離を10mm以下とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 線状樹脂の平均径に対して2倍以上のビーム径を有するレーザー光線を用いる請求項5記載の製造方法。
  7. 請求項1記載の製造方法により得られる極細繊維。
  8. 請求項1記載の製造方法により得られる極細繊維集合体。
  9. レーザー光線の照射により熱可塑性樹脂を加熱溶融するための加熱溶融ユニットと、加熱溶融した熱可塑性樹脂に電圧を作用させて、前記熱可塑性樹脂を繊維状に伸長させるための静電紡糸ユニットと、伸長された繊維をコレクターに捕集するための捕集ユニットとを備えている溶融型静電紡糸装置であって、前記静電紡糸ユニットが伸長する繊維を加熱するための加熱部を有している溶融型静電紡糸装置。
  10. 加熱部が、輻射熱線を照射可能な機構を有し、繊維が通過可能で30mm以上の加熱空間部を有している請求項9記載の溶融型静電紡糸装置。
  11. 捕集ユニットが、前後左右に移動して繊維を捕集可能なコレクターを有している請求項9又は10記載の溶融型静電紡糸装置。
  12. 加熱溶融ユニットが、コレクターとの間で電圧が印加され、かつ熱可塑性樹脂の溶融部に電荷を付与するための電極部を有する請求項9〜11のいずれかに記載の溶融型静電紡糸装置。
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