JP2009058788A - 電子写真装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 DC接触帯電方式を採用した場合においても、高解像度化と耐リーク性を高次元で両立した電子写真装置を提供する。
【解決手段】 支持体上に導電層、バリア層および感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体と、該電子写真感光体に接触配置された帯電部材を有し、該帯電部材に直流電圧のみの電圧を印加することによって該電子写真感光体を帯電するための帯電手段とを有する電子写真装置において、該感光層の膜厚が12μm以下であり、該導電層の平均膜厚が27μm以上であり、該導電層の体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×10Ω・cm未満であることを特徴とする電子写真装置。
【選択図】 なし

Description

本発明は電子写真装置に関するものであり、詳しくは直流電圧のみで接触帯電が行われる電子写真装置に関するものである。
近年、有機光導電性物質を用いた電子写真感光体(有機感光体)の研究開発が盛んに行われている。
なかでも、複写機、プリンター、ファクシミリおよび電子写真製版機などの電子写真装置において高画質化が要求されるようになり、それらに使用される電子写真感光体にも高解像度化の要求が高まってきている。
その要求に応えるために、電子写真感光体を高解像度化する手段として、電子写真感光体の感光層の静電容量を大きくする手段が挙げられる。これは、たとえば非特許文献1にも記載されているように、感光層の静電容量を大きくすれば静電潜像のMTF(modulation transfer function)劣化が抑えられ、電子写真感光体の高解像度化が達成できるという事実に基づくものである。
そこで、電子写真感光体を高解像度化するために、
Q=CV
(Q:表面電荷密度、C:感光層の静電容量、V:電子写真感光体の表面電位)
C=εε0S/d
(ε:感光層の比誘電率、ε0:真空の誘電率、S:感光層の表面積、d:感光層の膜厚)
という関係を利用し、感光層の膜厚dを小さくすることによって静電容量を大きくした有機感光体が使用されている。
一方、電子写真方式によって画像を形成する際、電子写真感光体を帯電するプロセスには、従来、金属ワイヤーに高電圧(3〜5kV)を印加し、グリッド電極で所望の帯電電位を得るコロナ帯電方式(スコロトロン方式)が用いられていた。
しかし、この方式では、コロナ発生時にオゾンやNOなどのコロナ生成物により、電子写真感光体の表面を変質させ、画像ボケや劣化を進行させたり、ワイヤーの汚れが画像品質に影響し、画像白抜けや黒スジを生じさせたりするなどの問題があった。特に、有機感光体は、無機感光体に比べて化学的安定性が低く、コロナ生成物に曝されると化学反応(主に酸化反応)が起こり、劣化しやすい傾向にある。したがって、コロナ帯電下で繰り返し使用した場合には、前述の劣化による画像ボケや感度の低下による濃度薄が起こり、耐印刷寿命が短くなる傾向にあった。
また、コロナ帯電は電力的にも電子写真感光体に向かう電流のほとんどがシールド板に流れ、帯電手段としては効率の悪いものであった。
さらには近年、省スペース化も求められており、コロナ帯電方式は、その要求を必ずしも満足する方式ではない。
このような問題点を補うために、スコロトロンを利用しないで電子写真感光体を帯電する手段として、たとえば、特許文献1、2および3などには、接触帯電方式が提案されている。具体的には、1〜2kV程度の直流電圧を外部より印加した導電性弾性ローラーなどの帯電部材を電子写真感光体の表面に接触させることにより、電子写真感光体の表面を所定の電位に帯電するものである。
近年、接触帯電方式は多数の電子写真装置に搭載され、帯電方法の主流になってきており、また、そのほとんどは導電性ローラーに電圧印加する方式である。この接触帯電方式には、直流電圧のみの電圧を帯電部材に印加する方式(DC接触帯電方式)と、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を帯電部材に印加する方式(AC/DC接触帯電方式)がある。
AC/DC接触帯電方式の場合、直流電源および交流電源が必要となる。したがって、電子写真装置自体のコストアップを招く、電子写真装置のサイズが大きくなる、交流電流を多量に消費することによって帯電部材および電子写真感光体の耐久性が低下する、などのデメリットがある。
したがって、電子写真装置のコスト削減および小型化ならびに高耐久性を考慮すると、DC接触帯電方式がより好ましいといえる。
しかしながら、DC接触帯電方式を採用した電子写真装置は、AC/DC接触帯電方式を採用した電子写真装置に比べて、帯電時の電子写真感光体の表面電位の均一性(帯電均一性)が劣る。そのため、ハーフトーン画像などで帯電ムラに起因する不良画像が問題となりやすい。
また、DC接触帯電方式の場合、電子写真感光体の支持体の表面に凹凸や汚れがある場合や、感光層中に異物が混入している場合など、電子写真感光体に局所的な欠陥部位がある場合、接触帯電時に電子写真感光体の欠陥部位に局所的に高電場がかかりやすい。そうすると、リーク(電気的なピンホール)が生じ、これが画質欠陥を招くという問題が発生しやすい。
そのため、支持体の欠陥を隠蔽するために、支持体と感光層との間の中間層として導電性金属酸化物を含有させた層を設けた電子写真感光体の検討が行われている。
しかしながら、導電性金属酸化物の選択には制約があり、また、選択できる導電性金属酸化物のイオン化ポテンシャルが大きいため、導電性金属酸化物を含有させた導電層のみを中間層として形成した場合、支持体からの電荷の注入を防ぐことは困難である。
そのため、支持体上に導電性金属酸化物を含有させた導電層を形成し、この導電層上に正孔の注入を防ぐための電気的バリア機能を有する層(バリア層)を形成した、中間層2層構成の電子写真感光体とする方法が好ましい。
特開昭57−178267号公報 特開昭58−40566号公報 特開昭58−150975号公報 A Study of High Resolution Latent Image Forming and Development (IS&TsNIP15:International Conference on Digital Printing Technologies(1999))
しかしながら、上記の中間層2層構成を採る場合、バリア層用塗布液用の溶剤に不溶な架橋構造の樹脂を導電層に用いることが必要となり、また、導電層で支持体の欠陥を隠蔽するためには、導電層の厚膜化が必要となってしまう。導電層に架橋構造の樹脂を用いる場合、導電層用塗布液は高固形分にする必要があり、そのため、厚膜の導電層の塗膜形成において、大きな膜厚偏差を生じさせてしまう。
この膜厚偏差は、従来であれば許容できるレベルのものであったが、高解像度化のために感光層の膜厚を下げ、さらにはDC接触帯電方式を用いた場合においては、帯電ムラが顕著になり、不良画像が発生することが明らかとなった。
本発明は、DC接触帯電方式を採用した場合においても、高解像度化と耐リーク性を高次元で両立した電子写真装置を提供することにある。
本発明は、支持体上に導電層、バリア層および感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体と、
該電子写真感光体に接触配置された帯電部材を有し、該帯電部材に直流電圧のみの電圧を印加することによって該電子写真感光体を帯電するための帯電手段と
を有する電子写真装置において、
該感光層の膜厚が12μm以下であり、
該導電層の膜厚が27μm以上であり、
該導電層の体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×10Ω・cm未満である
ことを特徴とする電子写真装置である。
本発明により、DC接触帯電方式を採用した場合においても、高解像度化と耐リーク性を高次元で両立した電子写真装置を提供することが可能となった。
以下、本発明をより詳細に説明する。
上述のとおり、本発明の電子写真装置は、支持体上に導電層、バリア層および感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体と、
該電子写真感光体に接触配置された帯電部材を有し、該帯電部材に直流電圧のみの電圧を印加することによって該電子写真感光体を帯電するための帯電手段と
を有する電子写真装置において、
該感光層の膜厚が12μm以下であり、
該導電層の膜厚が27μm以上であり、
該導電層の体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×10Ω・cm未満である
ことを特徴とする電子写真装置である。
まず、電子写真感光体の導電層について説明する。
導電層を設ける目的は様々あるが、主な目的は、支持体の欠陥を隠蔽することである。その他、導電性付与や、干渉縞抑制などもある。
支持体の欠陥の中には、高さ20μmを超える突起物も確認されており、この欠陥を隠蔽するためには27μm以上の膜厚が必要であり、好ましくは30μm以上50μm以下である。
なお、本発明において、導電層を含む電子写真感光体の各層の膜厚は、フィッシャーインストルメンツ社製のFISHERSCORPE mmsで測定した。測定箇所は20箇所とし、その平均値(平均膜厚)をその層の膜厚とした。また、20箇所の膜厚測定値の最大値と最大値との差を膜厚偏差とした。
また、導電層の体積抵抗率は、画像不良の発生を抑制するためには、1.0×10Ω・cm未満である必要がある。一方、DC接触帯電方式を有する電子写真装置においては、導電層の体積抵抗率が低すぎると、接触帯電時に電子写真感光体の欠陥部位に局所的に高電場がかかり、電気的なピンホールを生じ、これが画質欠陥を招くという問題が発生しやすい。そのため、導電層の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以上である必要がある。
本発明における、導電層の体積抵抗率の測定方法は、以下のとおりである。
まず、アルミニウム製の支持体上に測定対象の導電層を15〜40μm程度の膜厚で形成する。次に、この導電層上にシルバー両面粘着シート(応研商事(株)製)を一定面積貼り付け、支持体とシルバー両面粘着シートの両電極間を流れる電流値をpAメーターで測定した。測定環境は23℃、60%RHであり、印加電圧は1.0Vである。電流値測定開始1分後の安定した値を読み取り、その電流値とシルバー両面粘着シートの面積から導電層の体積抵抗率を導き出した。
導電層に用いる導電性材料としては、各種の金属、導電性金属酸化物、導電性ポリマーなどがあるが、それらの中でも、導電性金属酸化物は耐酸化性、耐久性にも優れており好ましい。また、導電性金属酸化物の中でも、特に導電性酸化スズ(以下、酸化スズを「SnO」ともいう。)は、抵抗特性にも優れており好ましい。
導電性酸化スズには、通常の粉体抵抗率10〜10Ω・cmのものや、SnOの導電性材料の製造時に酸化アンチモンなどのスズとは異なる価数の金属の化合物や非金属元素などを混合して(ドープして)、粉体抵抗率を1/1000〜1/100000に小さくしたものや、構成元素を増やさずにノンドープでSnOの抵抗をアンチモンドープと同程度に小さくした酸素欠損型のSnOなどがある。
導電層の結着樹脂としては、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらは1種または2種以上用いることができる。これらの中でも、他層へのマイグレーション(溶け込み)の抑制、支持体への密着性、導電性粒子の分散性・分散安定性、成膜後の耐溶剤性などの観点から、導電層の結着樹脂は、架橋構造の樹脂である硬化性樹脂が好ましく、特には熱硬化性樹脂がより好ましい。具体的には、熱硬化性フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂などが好ましい。
導電層用塗布液に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールや、アセトン、メチルエチルケトン、シクロへキサノンなどのケトンや、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルや、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステルや、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。
また、導電層の表面で反射した光が干渉して出力画像に干渉縞が発生することを抑制するために、導電層に、結着樹脂および導電性材料に加えて、導電層の表面を粗面化するための表面粗し付与材を添加することも可能である。表面粗し付与材としては、平均粒径1〜3μmの樹脂粒子が好ましく、たとえば、硬化性ゴム、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、アクリル−メラミン樹脂などの硬化性樹脂の粒子などが挙げられる。これらの中でも、凝集しにくいシリコーン樹脂の粒子が好ましい。
また、導電層の表面性を高めるためにレベリング剤を添加してもよく、また、導電層の隠蔽性を向上させるために、顔料粒子を導電層に含有させてもよい。
分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、液衝突型高速分散機などを用いた方法が挙げられる。
導電層用塗布液を塗布する際には、たとえば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
次に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。
図1に示すように、本発明の電子写真感光体は、支持体1上に導電層2、バリア層3、感光層4(電荷発生層41、電荷輸送層42)をこの順に有する電子写真感光体である。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型の感光層4であっても(図1(a))、電荷発生物質を含有する電荷発生層41と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層42とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。電子写真特性の観点からは積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層には、支持体1側から電荷発生層41、電荷輸送層42の順に積層した順層型感光層(図1(b))と、支持体1側から電荷輸送層42、電荷発生層41の順に積層した逆層型感光層(図1(c))がある。電子写真特性の観点からは順層型感光層が好ましい。
また、感光層4(電荷発生層41、電荷輸送層42)上に、保護層5を設けてもよい(図1(d)参照)。
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましく、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属製の支持体を用いることができる。アルミニウム、アルミニウム合金の場合は、押し出し工程および引き抜き工程を含む製造方法により製造されるアルミニウム管や、押し出し工程およびしごき工程を含む製造方法により製造されるアルミニウム管などが使用可能である。また、これらを切削、電解複合研磨(電解作用を有する電極と電解質溶液による電解および研磨作用を有する砥石による研磨)、湿式または乾式ホーニング処理したものも用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着によって形成された膜を有する金属製支持体や樹脂製支持体を用いることもできる。樹脂製支持体の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子を樹脂や紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチック製の支持体などを用いることもできる。
導電層の電荷(キャリア)をアースに流すためには、支持体の体積抵抗率、または、支持体の表面が導電性を付与するために設けられた膜である場合はその膜の体積抵抗率は、1×1010Ω・cm以下であることが好ましく、特には1×10Ω・cm以下であることがより好ましい。
なお、支持体が非導電性の支持体である場合には、本発明の電子写真感光体の導電層からアースを取る構成を採ることもできる。
導電層上にはバリア層が設けられる。
バリア層は、導電層から感光層への電荷注入を阻止するために電気的バリア機能を有する必要がある。
バリア層の結着樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸、カゼイン、でんぷんなどの水溶性樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリグルタミン酸エステル樹脂などが挙げられる。
さらには導電層からの正孔の注入を防ぎ、電荷発生層で発生した電子を積極的に流すためにn型顔料あるいは電子輸送物質(アクセプターなどの電子受容性物質)などを含有させても良い。
バリア層は、結着樹脂を含有するバリア層用塗布液を導電層上に塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
バリア層上には感光層が設けられる。
本発明に用いられる電荷発生物質としては、たとえば、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料や、金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料や、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドなどのペリレン顔料や、アンスラキノン、ピレンキノンなどの多環キノン顔料や、スクワリリウム色素や、ピリリウム塩およびチアピリリウム塩や、トリフェニルメタン色素や、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンなどの無機物質や、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料や、シアニン染料や、キサンテン色素や、キノンイミン色素や、スチリル色素や、硫化カドミウムや、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどの金属フタロシアニンが好ましい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、たとえば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂などが挙げられる。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルなどを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、10:1〜1:10(質量比)の範囲が好ましく、特には3:1〜1:1(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物などが挙げられる。
電荷発生層用塗布液を塗布する際には、たとえば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
また、電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、電荷発生層には、電子輸送物質(アクセプターなどの電子受容性物質)を含有させてもよい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリルメタン化合物などが挙げられる。
感光層が積層型感光層である場合、電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、たとえば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、不飽和樹脂などが挙げられる。特には、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂などが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、2:1〜1:2(質量比)の範囲が好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタンなどのエーテル、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、クロロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン原子で置換された炭化水素などが用いられる。
電荷輸送層用塗布液を塗布する際には、たとえば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
電荷輸送層の膜厚は高解像度化の観点から薄膜であることが好ましく、電荷発生層の膜厚との合計で12μm以下である必要がある。一方、帯電均一性の観点から8μm以上であることが好ましい。
また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
感光層が単層型感光層である場合、該単層型感光層は、上記電荷発生物質および上記電荷輸送物質を上記結着樹脂および上記溶剤と共に分散して得られる単層型感光層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
また、感光層上には、該感光層を保護することを目的とした保護層を設けてもよい。保護層は、上述した各種結着樹脂を溶剤に溶解して得られる保護層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
保護層の膜厚は0.5〜10μmであることが好ましく、特には1〜5μmであることが好ましいが、感光層として機能する場合は感光層の総膜厚が12μm以下になるように設ける。
次に、電子写真装置の一例を示す。
図2に、フルカラー画像の形成が可能な多色電子写真装置の一例を示す。この電子写真装置は、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの4色に分解した画像データにより、各色について帯電、露光、現像の各工程を行ってトナー像を形成し、それらを順次、紙などの記録媒体上に重ね合わせて転写してフルカラー画像を得るものである。
本発明においては、帯電方式はDC接触帯電方式である。
フルカラー電子写真装置は、略垂直方向(略重力方向)に4個並設された、図中矢印R1方向に回転可能な円筒状の電子写真感光体101(101A〜101D)を備える。電子写真感光体101の周囲には、電子写真感光体101の表面を均一に帯電するための帯電手段102(102A〜102D)、画像情報に基づきレーザーを照射し、電子写真感光体101上に静電潜像を形成するスキャナー103(103A〜103D)、静電潜像をトナー像として現像する現像装置104(104A〜104D)、電子写真感光体101上のトナー像を記録媒体105に転写するための転写装置106、転写後の電子写真感光体101表面に残った転写残トナーを除去するクリーナー107(107A〜107D)などが配設されている。
転写装置106は、記録媒体105を静電吸着して搬送する静電搬送ベルト109と、その内側に4個の電子写真感光体101に対応して当接配置されるローラー状の転写部材である転写ローラー110(110A〜110D)とを備えている。これら転写ローラー110は、電子写真感光体101と対向して転写部T1〜T4を形成する。たとえば、現像剤として負帯電性のトナーを用いる場合、これら転写ローラー110から静電搬送ベルト109を介して正極性の電荷が記録媒体105に印加される。この電荷による電界によって、電子写真感光体101に接触中の記録媒体105に、電子写真感光体101上の負極性トナーが転写される。記録媒体105に転写された複数色のトナー像は、その後、定着装置108によって定着されて画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
また、電子写真感光体、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。
以下に具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
押し出し・引き抜き工程により製造された、長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体とした。
次に、導電性粒子としての酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子(粉体抵抗率100Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は40%)55部、結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)30部、溶剤としてのメトキシプロパノール30部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
この分散液に、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、GE東芝シリコーン(株)製、平均粒径2μm)3.5部、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を、23℃、60%RH環境下で、支持体上に浸漬塗布し、これを30分間140℃で乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が30μmの導電層を形成した。この導電層の膜厚偏差は3μmであった。
また、この導電層の体積抵抗率は、3.7×10Ω・cmであった。
次に、導電層上に、N−メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学産業(株)製)4.5部および共重合ナイロン樹脂(アミランCM8000、東レ(株)製)1.5部を、メタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解して得られたバリア層用塗布液を浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.6μmのバリア層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン10部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部およびシクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散し、次に、酢酸エチル250部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を、バリア層上に浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式で示されるアミン化合物10部、
Figure 2009058788
および、ポリカーボネート樹脂(商品名:Z400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)10部を、ジメトキシメタン30部/クロロベンゼン70部の混合溶媒に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、これを30分間120℃で乾燥させることによって、膜厚が10μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、支持体上に導電層、バリア層、電荷発生層および電荷輸送層を形成してなる電子写真感光体を作製した。
作製した電子写真感光体を、15℃、10%RHおよび30℃、80%RHの環境下にて、初期と2000枚通紙耐久試験後の出力画像の評価を行った。
評価装置として、キヤノン(株)製レーザービームプリンターLBP−2510(DC接触帯電方式)を用いた。
LBP−2510の現像器シアン色用のプロセスカートリッジに、作製した電子写真感光体を装着してシアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、評価を行った。
通紙時は各色の印字率2%の文字画像をレター紙にて20秒毎に1枚出力する間欠モードでフルカラープリント操作を行い、2000枚の画像出力を行った。
そして、評価開始時と2000枚出力終了時に4枚(ベタ白、ベタ黒、1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像、文字画像)の画像評価用のサンプルを出力した。
なお、画像の評価の基準は以下のとおりである。
すなわち、帯電不良に起因するポチ(リーク)および帯電ムラの画像不良の有無に関しては、桂馬パターンのハーフトーン画像から、A:画像不良が全くなし、B:画像不良がほとんどなし、C:画像不良がわずかに観測される、D:画像不良が観測される、E:画像不良がはっきりわかる、とした。
また、画像の先鋭性に関しては、文字画像の観察から、A:先鋭性に優れている、B:やや文字が太っている、C:文字がつぶれているとした。
(実施例2)
実施例1において、導電層の膜厚を50μmに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。また、この導電層の膜厚偏差は4.5μmであった。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、電荷輸送層の膜厚を8μmに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、以下の点を変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
導電層の導電性粒子としての酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の使用量を45部に、導電層の結着樹脂としてのフェノール樹脂の使用量を40部に変更した。その結果、導電層の体積抵抗率は9.0×10Ω・cmとなった。また、この導電層の膜厚偏差は4.5μmであった。
(実施例5)
実施例1において、導電層の膜厚を70μmに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。また、この導電層の膜厚偏差は6.0μmであった。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、以下の点を変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
導電層の導電性粒子について酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の使用量を75部に変更し、また、導電層の結着樹脂としてのフェノール樹脂の使用量を20部に変更した。その結果、導電層の体積抵抗率は1.5×10Ω・cmとなった。また、この導電層の膜厚偏差は2.8μmであった。
(比較例2)
実施例1において、以下の点を変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
導電層の導電性粒子について酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の使用量を53.2部に変更し、また、導電層の結着樹脂としてのフェノール樹脂の使用量を42.6部に変更した。その結果、導電層の体積抵抗率は1.5×1010Ω・cmとなった。また、この導電層の膜厚偏差は2.7μmであった。
(比較例3)
実施例1において、電荷輸送層の膜厚を30μmに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1において、導電層の膜厚を15μmに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。また、この導電層の膜厚偏差は1.6μmであった。
(比較例5)
実施例1において、バリア層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2009058788
以上の結果からわかるように、本発明によれば、DC接触帯電方式を採用した場合においても、高解像度化と耐リーク性を高次元で両立した電子写真装置を提供することができる。
電子写真感光体の層構成の例を示す図である。 多色電子写真装置の一例を示す図である。
符号の説明
1 支持体
2 導電層
3 バリア層
4 感光層
41 電荷発生層
42 電荷輸送層
5 保護層
101 電子写真感光体
102 帯電手段
103 スキャナー
104 現像装置
105 記録媒体
106 転写装置
107 クリーナー
108 定着装置
109 静電搬送ベルト
110 転写ローラー
T1 転写部
T2 転写部
T3 転写部
T4 転写部

Claims (2)

  1. 支持体上に導電層、バリア層および感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体と、
    該電子写真感光体に接触配置された帯電部材を有し、該帯電部材に直流電圧のみの電圧を印加することによって該電子写真感光体を帯電するための帯電手段と
    を有する電子写真装置において、
    該感光層の膜厚が12μm以下であり、
    該導電層の平均膜厚が27μm以上であり、
    該導電層の体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×10Ω・cm未満である
    ことを特徴とする電子写真装置。
  2. 前記導電層の膜厚が30μm以上50μm以下である請求項1に記載の電子写真装置。
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