JP2009057611A - ルテニウムの回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ルテニウム以外に多くの元素を含んだ低濃度ルテニウム含有物から、高い回収率で、高純度のルテニウムを回収できる方法を提供する。
【解決手段】アルカリ溶融工程と、湿式浸出工程と、湿式還元工程と、還元工程とを行い、ルテニウム含有物から金属ルテニウムを回収する。アルカリ溶融工程で、アルカリ融液に水酸化物や炭酸化合物を用いる。ルテニウム含有物を溶解させる際に酸化剤を加える。ルテニウム含有物を銀製又はニッケル製の容器中で溶融させる。ルテニウムの水溶液にアルカリ剤を添加してpHを調整する。ルテニウムの水溶液中にケイ酸塩を添加、撹拌する。湿式還元工程において、還元剤に水素化ホウ素化合物を含む溶液を用いる。湿式還元工程後、水酸化ルテニウムを酸性溶液中で攪拌する酸洗浄工程を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、ルテニウムの回収方法に係り、更に詳細には、例えば、銅などの非鉄金属の製錬工程で副産物として発生する低濃度のルテニウム含有物や、工業製品のスクラップに含まれるルテニウムを回収する方法に関する。
ルテニウムは、その電気的および電磁的特性の面から、電子工業分野において近年の使用量が増大している。特に、パソコンの高容量ハードディスクの薄膜、自動車用ハイブリッドの集積回路およびプラズマディスプレイパネルの電極などに使用されている。また、高い触媒活性を有するため、燃料電池等の触媒化学分野にも使用されている。
近年の需要の高まりから、ルテニウム価格は高騰している一方、市場へのルテニウムの産出元は南アフリカが9割以上を占めており、資源の偏在からも、ルテニウムのリサイクル技術の開発が求められている。
銅製錬に代表される非鉄製錬工程において、副産物として金、白金族、銀およびルテニウムなどを含んだ残渣が発生する。かような副産物のうち、金、白金族および銀は、精製工程で回収されている。一方、ルテニウムは、銀精製の酸化工程でスラグ側へ移行し、大部分は次のセレン、テルル回収工程で残渣中に残留して系外へ排出、あるいは銅製錬の初期工程に戻されており、既存の銅、銀および白金族精製工程中で回収できていないのが現状である。
従来から、ルテニウム含有物からルテニウムを回収する技術としては、次のような方法が知られている。
特許文献1には、ルテニウム含有物を塩素ガスによって、ルテニウムの塩化物として抽出する方法が開示されているが、ルテニウムの分離効率を上げるために、還元剤として添加するカーボンを流動状態に保ちながら捕集剤による捕集効率を維持する必要があるため、ガス流量制御が難しいという問題があった。また、塩素ガスを使用することによって、安全対策および専用炉が必要であり、設備コストが高いという問題もあった。さらには回収品の純度を高める方法が記載されておらず、リサイクル方法としては不十分であった。
特開平1−225730号公報
特許文献2には、ルテニウム含有物を、還元焙焼した後、酸によって溶出する方法が開示されている。しかしながら、ルテニウム以外の元素を多く含有する複雑混合系では、ルテニウムと他元素との分離精度が悪く、他元素を完全には除去することができないため、高純度のルテニウムを得るには適用範囲が限られるという問題があった。
特開2002−206122号公報
特許文献3には、ルテニウム含有物を、アルカリ水酸化物と反応させてルテニウムを抽出した後、アルコール類で還元し、硝酸で精製する方法が開示されている。しかしながら、ルテニウム以外の成分との分離効率が悪く、特に不純物としてガラス成分が含まれ、このガラス中にルテニウムが分散もしくは固溶しているようなスクラップに対しては、ルテニウムを抽出するには大過剰の薬剤を使用しなければならなかった。このため、ルテニウムを経済的に回収することが困難であるという問題があった。
特開2003−201526号公報
上記したように、従来のルテニウムの回収方法には、種々の問題があるため、ルテニウム以外の元素を多く含む物質から、ルテニウムを高純度で回収する方法は、現在までのところ、まだ開発されていない。
本発明は、上記の実情に鑑み開発されたもので、ルテニウム以外に多くの元素を含んだ低濃度ルテニウム含有物から、高い回収率で、高純度のルテニウムを回収できる方法を提供することを目的とする。
さて、発明者らは、ルテニウム含有物から、高回収率で、高純度ルテニウムの回収を図るべく、種々の方法について検討を重ねた。
その結果、ルテニウム含有物中のルテニウム濃度が1%以下と低くとも、ルテニウムを高温のアルカリに融解させ、この融液に還元剤を加えて水酸化ルテニウムとした後、これを還元性雰囲気中で加熱することにより、ルテニウムを高純度で回収できることの知見を得た。
本発明では、特に高温のアルカリ融液中でルテニウムを溶解させ、還元速度を制御することが最大の特徴であり、これにより、人体に有害なガスを使用あるいは発生させることなく、簡便かつ比較的安全な方法で、多種類の元素が含まれた状態からルテニウムを分離でき、ルテニウムを高純度かつ薬剤の使用量を少なくできるため経済的に抽出してリサイクル製品とできるという所望の効果を有利に達成することができる。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
1.ルテニウム含有物から金属ルテニウムを回収する方法であって、
(1)該ルテニウム含有物を、高温のアルカリ中に溶融させるアルカリ溶融工程と、
(2)冷却後、水を加えて浸出液とした後、固液分離によりルテニウムの水溶液とする湿式浸出工程と、
(3)該ルテニウムの水溶液中に、還元剤を添加し、水酸化ルテニウムを生成させる湿式還元工程と、
(4)該水酸化ルテニウムを、還元性雰囲気中で加熱することにより金属ルテニウムとする還元工程と、
を行うことを特徴とするルテニウムの回収方法。
2.前記(1)のアルカリ溶融工程において、アルカリが、水酸化物及び/又は炭酸化合物であることを特徴とする上記1に記載のルテニウムの回収方法。
3.前記(1)のアルカリ溶融工程において、ルテニウム含有物を溶解させる際、酸化剤を加えて金属ルテニウムを酸化ルテニウムとすることを特徴とする上記1又は2に記載のルテニウムの回収方法。
4.前記(1)のアルカリ溶融工程において、ルテニウム含有物を、銀製又はニッケル製の容器中で溶融させることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のルテニウムの回収方法。
5.前記(2)の湿式浸出工程において、ルテニウムの水溶液中にアルカリ剤を添加してpHを調整することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のルテニウムの回収方法。
6.前記(2)の湿式浸出工程において、浸出液中にケイ酸塩を添加、撹拌した後、固液分離することによって不純物を除去することを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載のルテニウムの回収方法。
7.前記(2)の湿式浸出工程において、固液分離に際し、該固液分離を複数回行うこと又はろ過助剤を添加することを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載のルテニウムの回収方法。
8.前記(3)の湿式還元工程において、還元剤が、水素化ホウ素化合物を含む溶液であることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載のルテニウムの回収方法。
9.前記(3)の湿式還元工程において、還元剤を一定速度で添加することを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載のルテニウムの回収方法。
10.前記(3)の湿式還元工程後、水酸化ルテニウムを酸性溶液中で攪拌する酸洗浄工程を行うことを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載のルテニウムの回収方法。
本発明によれば、ルテニウムの濃度が、ある程度高いルテニウム含有物については勿論のこと、ルテニウムの濃度が数%と低い低濃度ルテニウム含有物であっても、回収率:80%以上で、かつ純度:99.9%以上の高純度ルテニウムを回収することが可能である。
このように、本発明のルテニウムの回収方法は、低濃度ルテニウム含有物に適用できることから、非鉄金属の製錬工程で発生する副産物や、ルテニウムを含有する工業製品のスクラップなどのリサイクルにも適用できる利点がある。
以下、本発明の代表的な実施形態を、図1に示す一連の工程に従って、具体的に説明する。
1.アルカリ溶融工程
ルテニウムは、一般的に使用される塩酸、硝酸、フッ酸、王水などの酸性液に不溶であるが、高温のアルカリ中には速やかに溶解する性質がある。この性質を利用すると、多くの元素を含むルテニウム含有物からルテニウムを抽出できる。抽出液中で、ルテニウムは、RuO4 2-の形態で存在する。このアルカリを使用する方法は、ルテニウム含有物を、塩素ガスで塩素化合物化させてルテニウムを溶解する方法と比べて、より低コストで安全性の高い方法である。
アルカリ溶融工程において、アルカリ融液は300〜1000℃とすることが好ましい。より好ましくは600〜800℃の範囲である。これは、温度が低いと反応速度が低下することがあり、温度が高いと容器の耐久性が低下することがあるためである。
アルカリとしては、例えば、水酸化物、炭酸化物のいずれか一方又は双方を使用できる。好ましくは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどを使用できる。特に好ましいのはアルカリ度の高い水酸化カリウムである。
なお、アルカリとして水酸化カリウムを用いたときの化学反応式は、次のとおりである。
2KOH + RuO2 + 1/2O2 = K2RuO4 + H2O
なお、対象とするルテニウム含有物が金属ルテニウムを含む場合は、アルカリ溶融時に、酸化剤を添加することがよい。このときは、金属ルテニウムを酸化剤によって酸化ルテニウム(IV)とし、アルカリ溶融を速やかに進行させうる。
酸化剤としては、例えば、硝酸カリウムや過酸化ナトリウムが好適である。特に好ましいのは、酸化力が強い硝酸カリウムである。
アルカリ溶融時に用いる容器としては、銀製又はニッケル製の容器が好適である。これは、高温のアルカリ融液に対する耐久性に優れ、回収するルテニウムの品質に悪影響を与えないからである。
2.湿式浸出工程
アルカリ溶融したルテニウム融液は、冷却して固化させた後、水に溶解させて水溶液とする。この際、溶解しなかった不純物は固液分離により除去する。固液分離する際は、例えば、ガラス製のフィルターを使用できる。これはアルカリに対する耐久性に優れるためである。
なお、ルテニウム含有物が鉛を含む場合は、得られたルテニウム溶液中にケイ酸塩を添加して一定時間撹拌反応させることが好ましい。これにより、添加したケイ酸塩と溶液中の鉛成分が反応してケイ酸鉛となって析出し、ルテニウム溶液と分離できる。
得られたルテニウム水溶液のpHが14未満である場合は、アルカリ剤を添加してpHを14以上へ上昇させることが望ましい。pHが14に満たない場合には、次の還元工程で不純物が析出しやすい。
3.湿式還元工程
次に、得られた水溶液に対して還元剤を添加してルテニウムを水酸化ルテニウムとして析出させる。ここに、還元剤としては特に制限はないが、水素化ホウ素化合物がとりわけ有利に適合する。水素化ホウ素化合物は、安価なだけでなく、ルテニウムの品質に影響を及ぼさず、また処理後の排水処理が比較的容易であるためである。特に好ましくは、より安全な水素化ホウ素ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合溶液を使用できる。
なお、水素化ホウ素ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合溶液を用いた場合の化学反応式は、次のとおりである。
8K2RuO4+3NaBH4 +14H2O → 8Ru(OH)3 + 3NaBO2 + 16KOH
還元剤の使用量は、溶液の酸化還元電位によって調整できる。例えば、酸化還元電位が銀/塩化銀電極に対して50〜-100mVの範囲まで低下した時点で添加を終了させることが望ましい。より望ましくは20〜0mVの範囲である。添加量が多すぎるとルテニウム以外の不純物が析出してくるおそれがあり、逆に添加量が少ない場合は、ルテニウムの回収率が低下することがある。
還元剤を添加するにあたっては、高純度の水酸化ルテニウムを析出させるために、還元剤を一定速度で徐々に添加していくのが望ましい。この添加に際しては撹拌を併用することが好ましい。さらに、添加する水素化ホウ素化合物は、5%以下の低濃度とすることが望ましい。還元剤の添加速度は、例えば、水素化ホウ素ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合溶液を用いる場合では、水素化ホウ素ナトリウム換算で、0.01〜1g/分 程度とすることが好ましい。
還元剤の添加終了後は、1時間ほど撹拌を継続するのが好ましい。これは、未反応の水素化ホウ素ナトリウムを完全に反応させ、回収率を向上させるためである。
還元液を固液分離する際、ろ液のpHが中性になるまで純水を繰り返し添加してろ過することができる。これにより、残留する液中に含まれる成分によって回収ルテニウムの純度が低下することを抑制できる。
4.酸洗浄工程
次に、還元して得られた水酸化ルテニウムから不純物を除去するために、該水酸化ルテニウムを一定時間酸性溶液中で攪拌してもよい。酸性溶液としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、王水などを、対象とする不純物によって適切に選択して使用できる。特に、亜鉛に対しては硫酸、鉛に対しては硝酸を用いることが好ましい。
酸性溶液中で撹拌後、固液分離する際、ろ液のpHが中性になるまで純水をくりかえし添加してろ過する。これにより、残留する液中に含まれる成分によって回収ルテニウムの純度が低下することを抑制できる。
5.還元工程
次に、不純物を除去した水酸化ルテニウムを還元雰囲気の炉内に装入し加熱して、金属ルテニウムへ還元させる。還元雰囲気とする際は、水素ガスと、ルテニウムと反応しない窒素ガスやアルゴンガスとを混合して、一定流量で炉内へ通気させる。この際、還元雰囲気は、400〜800℃の範囲であることが望ましい。より好適には、500〜700℃の範囲であることがよい。
なお、還元反応時の化学反応式は、次の通りである。
2Ru(OH)3 + 3H2 = 2Ru+ 6H2O
上記の還元処理により得られた金属ルテニウムに不純物が含まれる場合は、さらに酸性溶液中で撹拌することが好ましい。用いる酸性溶液は、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、王水など、対象とする不純物によって適切に選択すればよい。特に、亜鉛に対しては硫酸、鉛に対しては硝酸を用いることが好ましい。酸性溶液中で撹拌後、固液分離する際、ろ液のpHが中性になるまで純水を繰り返し添加してろ過することがよい。
かくして、ルテニウム以外の多くの元素を含むルテニウム含有物から、高い回収率の下で、高純度のルテニウムを回収することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
試料としては、ルテニウム含有量が25質量%で、その他に鉄:20質量%、ビスマス:10質量%、亜鉛:10質量%、クロム:10質量%、コバルト:10質量%を含むものを用いた。この試料において、ルテニウムは、主にビスマスとの複合酸化物(Bi2Ru2O6.5)の形態をとっており、その他、金属Ru、RuO2が認められた。この試料:86gに対して、アルカリとして、質量比で4倍の水酸化カリウムと、酸化剤として、質量比で0.4倍の硝酸カリウムを加えて坩堝に封入し、固定炉で昇温した。坩堝はニッケル製のものを用いた。固定炉の温度は750℃とし、2時間保持した。その後、炉内で自然放冷した。
常温まで冷却した坩堝に、水を添加して坩堝内に残留する固体を浸出した。
得られた浸出液をガラス性フィルターで吸引ろ過し、固液分離した。固体として分離した浸出残渣にはルテニウムが2%含まれていた。
分離した液体中に、12%濃度の水素化ホウ素ナトリウムと、40%濃度の水酸化ナトリウムの混合溶液を、純水で10倍に希釈した後、約1g/分の一定速度で、撹拌機で撹拌しながら添加した。混合溶液の添加は、分離液の酸化還元電位が、添加前360mVから0〜20mVになるまで添加した。添加終了後、1時間撹拌を継続した。
還元終了後、捕集粒子径1μmのろ紙を用いて吸引ろ過し固液分離した。この際、ろ液のpHが中性になるまで純水をくりかえし添加してろ過した。
得られた固体にはルテニウムの他、亜鉛が5%含まれていた。この固体を、質量比で10倍の7.5%濃度の硫酸溶液中に添加して2時間撹拌し、吸引ろ過した。
得られた固体の亜鉛濃度は0.1%以下であった。この固体を、水素と窒素ガスを流した炉内で加熱した。加熱温度は600℃とした。加熱後冷却して得られた固体は、質量:20gでルテニウム濃度は、99.96%であった。ルテニウムの回収率は、約93%であった。
(実施例2)
試料としては、ルテニウム含有量が、40質量%の固体であり、その他にケイ素:20質量%、鉛:4質量%、チタン:2質量%を含むものを用いた。ルテニウムは、主に鉛との複合酸化物(Pb2Ru2O6.5)の形態をとっており、その他、金属Ru、RuO2が認められた。この試料:150gに対して、アルカリ融液として、質量比で4倍の水酸化カリウムと、質量比で等倍の水酸化ナトリウムと、酸化剤として、質量比で0.9倍の硝酸カリウムを、坩堝に充填し、固定炉で昇温した。坩堝はニッケル製のものを用いた。固定炉の温度は750℃とし、2時間保持した。その後、炉内で自然放冷した。
常温まで冷却した坩堝に水を添加して坩堝内に残留する固体を浸出した。
得られた浸出液に、鉛を除去するための珪酸塩として、オルト珪酸ナトリウムを52g加えて2時間撹拌した後、ガラス性フィルターで吸引ろ過し、固液分離した。固体として分離した浸出残渣には、ルテニウムが1.3%含まれていた。
分離した液体中に、12%濃度の水素化ホウ素ナトリウムと40%濃度の水酸化ナトリウムの混合溶液を、純水で10倍に希釈した後、約1g/分の一定速度で、撹拌機で撹拌しながら添加した。混合溶液の添加は、分離液の酸化還元電位が、添加前300mVから0〜20mVになるまで添加した。添加終了後、1時間撹拌を継続した。
還元終了後、捕集粒子径1μmのろ紙を用いて吸引ろ過し、固液分離した。この際、ろ液のpHが中性になるまで純水をくりかえし添加してろ過した。
得られた固体の鉛濃度は0.1%以下であった。この固体を、水素と窒素ガスを流した炉内で加熱した。加熱温度は600℃とした。加熱後冷却して得られた固体に、質量比で10倍の6.5%濃度の硝酸を加えて2時間撹拌し、吸引ろ過した。得られた固体は、質量:53gで、ルテニウム濃度は99.92%であった。ルテニウムの回収率は、約89%であった。
(実施例3)
試料としては、ルテニウム含有量が、20質量%で、その他にビスマス:50質量%、鉄:10質量%、クロム:5質量%、亜鉛:2質量%、コバルト:8質量%を含むものを用いた。ルテニウムは、主にビスマスと複合酸化物(Bi2Ru2O6.5)の形態をとっており、その他、金属Ru、RuO2が認められた。この試料:20gに対して、アルカリ融液として、質量比で2.5倍の水酸化カリウムを加えて坩堝に充填し、固定炉で昇温した。坩堝はニッケル製のものを用いた。固定炉の温度は750℃とし、2時間保持した。その後、炉内で自然放冷した。
常温まで冷却した坩堝に、水を添加して坩堝内に残留する固体を液中に溶解させた。一部溶解しなかった固体は液中に混合して浸出液とした。
得られた浸出液をガラス性フィルターで吸引ろ過し、固液分離した。固体を分離する際、フィルター状に珪藻土を20g敷き詰め、ろ過を3回くりかえした。固体として分離した不純物中には、ルテニウムが0.6%含まれていた。
得られた水溶液のpHは13.6であった。これに水酸化カリウムを70g添加してpHを14.6まで上昇させた。その後、2%濃度の水素化ホウ素ナトリウムと、40%濃度の水酸化ナトリウムの混合溶液を純水で10倍に希釈した後、約1g/分の一定速度で、撹拌機で撹拌しながら添加した。混合溶液の添加は、分離液の酸化還元電位が、添加前360mVから0〜20mVになるまで行い、添加終了後、1時間撹拌を継続した。
還元終了後、捕集粒子径1μmのろ紙を用いて吸引ろ過し、固液分離した。この際、ろ液のpHが中性になるまで純水を繰り返し添加してろ過した。
得られた固体にはルテニウムの他、亜鉛が0.8%含まれていた。この固体を、質量比で10倍の7.5%濃度の硫酸溶液中に添加して2時間撹拌し、吸引ろ過した。これを、水素と窒素ガスを流した炉内で加熱した。加熱温度は600℃とした。加熱後冷却して得られた固体は、質量:3.3gでルテニウム濃度は99.94%であった。ルテニウムの回収率は、83%であった。
本発明に係るルテニウムの分離回収工程を示すフロー図である。

Claims (10)

  1. ルテニウム含有物から金属ルテニウムを回収する方法であって、
    (1)該ルテニウム含有物を、高温のアルカリ中に溶融させるアルカリ溶融工程と、
    (2)冷却後、水を加えて浸出液とした後、固液分離によりルテニウムの水溶液とする湿式浸出工程と、
    (3)該ルテニウムの水溶液中に、還元剤を添加し、水酸化ルテニウムを生成させる湿式還元工程と、
    (4)該水酸化ルテニウムを、還元性雰囲気中で加熱することにより金属ルテニウムとする還元工程と、
    を行うことを特徴とするルテニウムの回収方法。
  2. 前記(1)のアルカリ溶融工程において、アルカリが、水酸化物及び/又は炭酸化合物であることを特徴とする請求項1に記載のルテニウムの回収方法。
  3. 前記(1)のアルカリ溶融工程において、ルテニウム含有物を溶融させる際、酸化剤を加えて金属ルテニウムを酸化ルテニウムとすることを特徴とする請求項1又は2に記載のルテニウムの回収方法。
  4. 前記(1)のアルカリ溶融工程において、ルテニウム含有物を、銀製又はニッケル製の容器中で溶融させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のルテニウムの回収方法。
  5. 前記(2)の湿式浸出工程において、ルテニウムの水溶液中にアルカリ剤を添加してpHを調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のルテニウムの回収方法。
  6. 前記(2)の湿式浸出工程において、浸出液中にケイ酸塩を添加、撹拌した後、固液分離することによって不純物を除去することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のルテニウムの回収方法。
  7. 前記(2)の湿式浸出工程において、固液分離に際し、該固液分離を複数回行うこと又はろ過助剤を添加することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のルテニウムの回収方法。
  8. 前記(3)の湿式還元工程において、還元剤が、水素化ホウ素化合物を含む溶液であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のルテニウムの回収方法。
  9. 前記(3)の湿式還元工程において、還元剤を一定速度で添加することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のルテニウムの回収方法。
  10. 前記(3)の湿式還元工程後、水酸化ルテニウムを酸性溶液中で攪拌する酸洗浄工程を行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のルテニウムの回収方法。
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