JP5498040B2 - ルテニウムの回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ルテニウムの回収方法に係り、更に詳細には、従来、低減することが難しいとされた不純物金属元素、特にニオブ、モリブデン、タングステンを効果的に低減したルテニウムの回収方法に関する。
ルテニウムは、その電気的および電磁的特性の面から、電子工業分野において近年使用量が増大している。特に、パソコンの高容量ハードディスクの薄膜、自動車用ハイブリッドの集積回路およびプラズマディスプレイパネルの電極などに使用されている。また、高い触媒活性を有するため、燃料電池等の触媒化学分野にも使用されている。
近年の需要の高まりから、ルテニウムの価格が高騰している一方、市場へのルテニウムの産出元は南アフリカが9割以上を占めており、資源の偏在からも、ルテニウムのリサイクル技術の開発が求められている。
銅製錬に代表される非鉄金属製錬工程において、副産物として金、ルテニウム等の白金族元素、銀などを含んだ残渣が発生する。かような副産物のうち、金、ルテニウムを除く白金族元素および銀は、精製工程で回収されている。一方、ルテニウムは、銀精製の酸化工程でスラグ側へ移行し、大部分は次のセレン、テルル回収工程で残渣中に残留して系外へ排出、あるいは銅製錬の初期工程に戻されており、既存の銅、銀および白金族元素の精製工程中で回収できていないのが現状である。
従来から、ルテニウム含有物からルテニウムを回収する技術としては、次のような方法が知られている。
特開平1−225730号公報(特許文献1)には、ルテニウム含有物を塩素ガスによってルテニウムの塩化物として抽出する方法が開示されているが、ルテニウムの分離効率を上げるために、還元剤として添加するカーボンを流動状態に保ちながら捕集剤による捕集効率を維持する必要があるため、ガス流量制御が難しいという問題があった。また、塩素ガスを使用することによって、安全対策および専用炉が必要であり、設備コストが高いという問題もあった。さらには回収品の純度を高める方法が示されておらず、リサイクル方法としては不十分であった。
特開2002−206122号公報(特許文献2)には、ルテニウム含有物を還元焙焼した後、酸によって溶出する方法が開示されている。しかしながら、ルテニウム以外の元素を多く含有する複雑混合系では、ルテニウムと他元素との分離精度が悪く、他元素を完全には除去することができないため、高純度のルテニウムを得るには適用範囲が限られるという問題があった。
特開2003−201526号公報(特許文献3)には、ルテニウム含有物をアルカリ水酸化物と反応させてルテニウムを抽出した後、アルコール類で還元し、硝酸で精製する方法が開示されている。しかしながら、ルテニウム以外の成分との分離効率が悪く、特に不純物としてガラス成分が含まれてこのガラス中にルテニウムが分散もしくは固溶しているようなスクラップに対しては、ルテニウムを抽出するには大過剰の薬剤を使用しなければならなかった。このため、ルテニウムを経済的に回収することが困難であるという問題があった。
すなわち、上記の特許文献1〜3に記載されたいずれの方法も、ルテニウム以外の元素を多く含む物質からルテニウムを高純度で経済的に回収する方法としては十分ではなかった。
上記の問題を解決するものとして、発明者らは先に、アルカリ溶融工程と湿式浸出工程と湿式還元工程と還元工程とを行いルテニウム含有物から金属ルテニウムを回収する方法であって、アルカリ溶融工程でアルカリ融液に水酸化物や炭酸化合物を用いる、ルテニウム含有物を溶解させる際に酸化剤を加える、ルテニウム含有物を銀製又はニッケル製の容器中で溶融させる、ルテニウムの水溶液にアルカリ剤を添加してpH調整する、ルテニウムの水溶液中にケイ酸塩を添加し撹拌する、湿式還元工程において還元剤に水素化ホウ素化合物を含む溶液を用いる、湿式還元工程後に水酸化ルテニウムを酸性溶液中で攪拌する酸洗浄工程を行う、などの特徴を有するルテニウムの回収方法を開発し、特願2007−226755(以下、先願1という。)明細書に開示した。
この新しいルテニウムの回収方法により、ルテニウム含有物質から高い回収率の下でのルテニウムの回収が可能になった。しかし、ルテニウム原料に鉄、銅、ビスマス、マンガン、鉛といった不純物金属元素が混入している場合、これらの不純物元素の混入を阻止することが難しい問題があった。
これを改善するために発明者らは、ルテニウム含有物を、アルカリとともに加熱しアルカリ熔融液とするアルカリ熔融工程と、該アルカリ熔融液を冷却してアルカリ熔融塊とし、水を加えて浸出液とした後、固液分離によりルテニウム溶解液とする湿式浸出工程と、該ルテニウム溶解液中に還元剤を酸化還元電位が50〜120mVの範囲になるまで添加し、固液分離により不純物を除去する湿式部分還元工程と、該不純物を除去したルテニウム溶解液にさらに還元剤を酸化還元電位が30〜−300mVの範囲になるまで添加し、水酸化ルテニウムを生成させる湿式還元工程と、該水酸化ルテニウムを還元性雰囲気中で加熱することにより金属ルテニウムとする加熱還元工程とを行うルテニウムの回収方法を開発し、特願2008−84253(以下、先願2という。)明細書に開示した。
この新しいルテニウムの回収方法により、ルテニウム以外に多くの元素を含んだ低濃度ルテニウム含有物から、高純度のルテニウムを回収することが可能になった。しかし、ルテニウム原料に高濃度に鉛が混入している場合、鉛の混入を阻止することが難しいという問題があった。
これを改善するために発明者らは、ルテニウム含有物をアルカリとともに加熱しアルカリ熔融液とするアルカリ熔融工程と、該アルカリ熔融液を冷却してアルカリ熔融塊とし、水を加えて浸出液とした後に固液分離によりルテニウム溶解液とする湿式浸出工程と、前記浸出液に酸化剤を添加する工程と、ルテニウム溶解液中に還元剤を酸化還元電位が50mV〜120mVの範囲になるまで添加し固液分離により不純物を除去する湿式部分還元工程と、該不純物を除去したルテニウム溶解液にさらに還元剤を酸化還元電位が30〜−300mVの範囲になるまで添加し水酸化ルテニウムを生成させる湿式還元工程と、該水酸化ルテニウムを還元性雰囲気中で加熱することにより金属ルテニウムとする加熱還元工程とを行うルテニウムの回収方法を開発し、特願2008−237514(以下、先願3という。)明細書に開示した。
これにより、ルテニウム以外に高濃度の鉛を含んだルテニウム含有物から、高純度のルテニウムを回収することが可能になった。
特開平1−225730号公報 特開2002−206122号公報 特開2003−201526号公報
しかし、上述した特許文献1〜3及び先願1〜3のいずれの方法でも、ルテニウム含有物にモリブデン(Moと示す。)、タングステン(Wと示す。)、ニオブ(Nbと示す。)が含まれている場合には、低いMo、W、Nb濃度の金属ルテニウムを回収することが困難であった。
具体例を挙げて説明すると、回収原料として、ルテニウム94.1質量%(以下、質量%を単に%と示す。)、Nb5.6%を含むルテニウム含有物を使用した場合には、特許文献1〜3及び先願1〜3のいずれの方法を採用しても、回収されるルテニウム中のNb濃度が1.0%以上になってしまった。
本発明は、係る課題に鑑みてなされたものであり、ニオブ、モリブデン及びタングステンの元素のうちの少なくとも一種の不純物を含むルテニウム含有物から金属ルテニウムを回収する方法であって、(1)該ルテニウム含有物を、アルカリ金属化合物(単にアルカリともいう。)とともに加熱し、アルカリ溶融液とするアルカリ溶融工程と、(2)該アルカリ溶融液を冷却して固化し、次いで水を添加してルテニウムを浸出したスラリーを得る湿式浸出工程と、(3)該スラリー中にカルシウム化合物を添加して前記不純物の化合物を析出させた後に固液分離することによって該不純物を除去したルテニウム溶液を得るカルシウム添加工程と、(4)該ルテニウム溶液に還元剤を酸化還元電位が30〜−300mVの範囲になるまで添加し水酸化ルテニウムを生成させ固液分離して該水酸化ルテニウムを回収する湿式還元工程と、(5)該水酸化ルテニウムを還元性雰囲気中で加熱することにより金属ルテニウムとする加熱還元工程と、を行うことにより解決するものである。
すなわち、前記湿式還元工程以前に、前記不純物をカルシウムとの複合酸化物として沈殿させることを特徴とするものである。
また、前記不純物は前記カルシウム化合物と不溶性の化合物を形成することを特徴とするものである。
ここで、前記カルシウム化合物の添加量は、湿式浸出工程で得られた前記スラリー中の液に溶解している不純物量のうち、Mo、W、Nbの総量に対してモル比で1倍〜20倍であることが好ましい。前記Mo、W、Nbの総量は、回収原料の蛍光X線分析結果(検出された元素の比率)から回収原料中に含まれるMo、W、Nbの含有率(質量%)を算出し、この算出した含有率に回収原料質量を乗じて計算した値をMo、W、Nbの含有質量として、前記モル比を計算した。
また、前記カルシウム化合物は、カルシウムの塩化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酸化物のうちの少なくとも一種とすることができる。
また、前記加熱還元工程後に、前記金属ルテニウムを酸性溶液中で攪拌する酸洗浄工程を行うことが好ましい。
本発明によれば、ニオブ、モリブデン及びタングステンの元素のうちの少なくとも一種の不純物を含むルテニウム含有物であっても、これら不純物を効率的に除去し高純度の金属ルテニウムを回収できる。
本発明の処理フローの例である。
以下、本発明の代表的な実施形態を、図1に示す一連の工程に従って、一層具体的に説明する。
1.アルカリ熔融工程
ルテニウムは、一般的に使用される塩酸、硝酸、フッ酸、王水などの酸性液に不溶であるが、高温のアルカリ中には速やかに溶解する性質がある。この性質を利用すると、多くの元素を含むルテニウム含有物からルテニウムを抽出できる。
このアルカリを使用する方法は、ルテニウム含有物を塩素ガスで塩素化合物としてルテニウムを溶解する方法と比べて、より低コストで安全性の高い方法である。
アルカリ熔融工程において、ルテニウム含有物をアルカリとともに加熱して融解し、ルテニウムを含有したアルカリ融液(以下、ルテニウム融液ともいう。)を得る。ルテニウム融液は300〜1000℃とすることが好ましい。より好ましくは600〜800℃の範囲である。これは、温度が低いと反応速度が低下することがあり、温度が高いと容器の耐久性が低下することがあるためである。
アルカリとしては、例えば、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩のいずれか一方又は双方を使用できる。好ましくは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどである。この中で、特に好ましいのはアルカリ度の高い水酸化カリウムである。
なお、アルカリとして水酸化カリウムを用いたときの化学反応式は、次のとおりである。
2KOH + RuO2 + 1/2O2 = K2RuO4 + H2
なお、対象とするルテニウム含有物が金属ルテニウムを含む場合は、アルカリ熔融時に、酸化剤を添加することがよい。このときは、金属ルテニウムを酸化剤によって酸化ルテニウム(IV)とし、アルカリ熔融を速やかに進行させうる。
酸化剤としては、例えば、硝酸カリウムや過酸化ナトリウムが好適である。特に好ましいのは、酸化力が強い硝酸カリウムである。
アルカリ熔融時に用いる容器としては、銀製又はニッケル製の容器が好適である。これは、高温のアルカリ融液に対する耐久性に優れ、回収するルテニウムの品質に悪影響を与えないからである。
2.湿式浸出工程
アルカリ熔融したルテニウム融液は、冷却して固化させた後、水を加えて浸出する。浸出液中で、ルテニウムはRuO4 2-の形態で存在する。
浸出液のpHは10以上とすることができるが、12以上とすることが好ましい。pHが12未満の場合には、下記A式の反応が進み、ルテニウムが固体として存在する割合が増加し、ろ過工程で他の不純物とともに除去されるルテニウム量が増加し、結果としてルテニウムの収率が低下する場合がある。
RuO4 2- + 5H+ + 3e- → Ru(OH)3+ H2O・・・A式
3.カルシウム添加工程
水を加えて得た前記浸出液(スラリー)には、アルカリで溶解する性質を持つ不純物が含まれる。具体的にはニオブ、モリブデン、タングステンで、それぞれNbO3 -、MoO4 2-、WO4 2-の形態で存在する。後の(4)の湿式還元工程以前にルテニウム含有物中のこれらの不純物元素を不溶化するため、浸出液にカルシウム化合物を添加する。
不純物としてMoまたはNbを0.1質量%以上含有する原料を使用する場合には、カルシウム化合物を添加した後の浸出液のpHを12以上、14.5以下とすることが望ましい。pHが14.5を超える場合、下記B式またはC式の反応が進行することがあり、水酸化カルシウムとモリブデン酸イオンまたはニオブ酸イオンとに分解し、モリブデンまたはニオブが浸出液中に溶解した状態で存在する比率が増え、ろ過工程で十分除去できない恐れがある。前述の理由により、pHを10以上とすることができるが、12〜14.5が望ましい。
CaMoO4+ 2OH-→ Ca(OH)2 + MoO4 2-・・・B式
CaNb26+ 2OH- →Ca(OH)2 + 2NbO3 -・・・C式
なお、CaWO4についてはpH12〜15の範囲ではWO4 2-に再溶解することはない。
従来の方法(特許文献1〜3及び先願1〜3)では、回収用原料中にニオブ、モリブデン、タングステンが含有される場合、回収されるルテニウム中にこれらの不純物元素が含まれてしまうことが問題であった。そこで発明者らはこれについて以下のように検討した。
まず、重金属としてニオブ、モリブデン、タングステンのみを、それぞれ1g/L(リットル)ずつ含有する溶液(浸出液)100Lを、その酸化還元電位を−30mVに調整したところ、ニオブ、モリブデン、タングステンは沈殿しなかった。なお、本発明における酸化還元電位の値は、銀/塩化銀電極に対する酸化還元電位の値である。
一方、重金属として、ニオブ、モリブデン、タングステンを、それぞれ1g/Lずつ含有し、ルテニウムを10g/L含有する溶液(浸出液)100Lを、その酸化還元電位を−30mVに調整したところ、ニオブ、モリブデン、タングステンは沈殿した。このことから、ニオブ、モリブデン、タングステンはルテニウムと共沈することで、回収ルテニウム中に混入すると推定した。
次に、重金属として、ニオブ、モリブデン、タングステンをそれぞれ1g/L含有し、ルテニウムを10g/L含有する溶液(浸出液)100Lを、先願2〜3の湿式部分還元工程終了時の酸化還元電位である75mVに調整したところ、ニオブが55g、モリブデンが47g、タングステンは22g沈殿した。つまり、湿式部分還元後の溶液中には、ニオブが45g、モリブデンが53g、タングステンが78g溶存した。
そこで、得られた沈殿物を除去した後に、湿式部分還元後の溶液を、その酸化還元電位を−30mVに調整したところ、ニオブが33g、モリブデンが45g、タングステンが57g沈殿した。このことから、ニオブ、モリブデン、タングステンは、湿式部分還元工程開始直後から、湿式還元工程終了時までの広い酸化還元電位範囲でルテニウムと共沈すると推定した。
そこで、湿式部分還元工程もしくは湿式還元工程以前に工程を追加することにより、ニオブ、モリブデン、タングステンを除去することとした。すなわち、カルシウム化合物を添加することで、ニオブ、モリブデン、タングステンをカルシウムとの複合酸化物として沈殿させ、除去が可能と考えた。
具体的には、以下の通りである。上記の如く、湿式部分還元工程もしくは湿式還元工程以前のアルカリ熔融工程後の浸出液の状態では、ニオブ、モリブデン、タングステンはそれぞれNbO3 -、MoO4 2-、WO4 2-の形態で存在していると考えられる。そこで、湿式部分還元工程もしくは湿式還元工程以前にカルシウム化合物を添加し、ニオブ、モリブデン、タングステンをカルシウム化合物として沈殿させる。これにより、湿式部分還元工程もしくは湿式還元工程前の液に溶解するニオブ、モリブデン、タングステン濃度を低減することが可能と考えた。
第一に、カルシウム化合物を抽出液に添加すると水酸化カルシウムCa(OH)2となり、以下の反応が起きる。
Ca2+ + 2OH- = Ca(OH)2
第二に、ニオブ、モリブデン、タングステンはアルカリ溶液中で水酸化カルシウムと反応してカルシウムとの複合酸化物の沈殿を形成し、以下の反応が起こる。
2NbO3 - + Ca(OH)2 = CaNb26 + 2OH-
MoO4 2- + Ca(OH)2 = CaMoO4 + 2OH-
WO4 2− + Ca(OH)2 = CaWO4 + 2OH-
この際、カルシウムを添加した浸出液のpHは10〜15とすることが好ましい。更に好ましくは、12〜14.5、より一層好ましくは13.5〜14.5の範囲である。これは、pHが低いとルテニウムが析出してしまい回収率が低下することがあり、pHが高いとカルシウムとの複合酸化物が浸出液中に再溶解することがあるためである。
ここで、前記カルシウム化合物の添加量は、湿式浸出工程で得られた前記スラリー(浸出液)中の液に溶解している不純物であるニオブ、モリブデン、タングステンの量に対してモル比で1倍以上であることが好ましい。量が1倍未満であると十分にニオブ、モリブデン、タングステンを除去できないことがある。ニオブ、モリブデン、タングステンの除去効果の観点からは、カルシウム化合物の添加量の上限は特に規定されないが、20倍以上とした場合、ニオブ、モリブデン、タングステンの除去効果は十分得られることに変化はないが、カルシウム化合物のコストが高くなる。カルシウム化合物のコストを考慮すると、カルシウム化合物の添加量は、ニオブ、モリブデン、タングステンの量に対してモル比で1倍〜20倍であることが更に好ましく、1倍〜5倍が一層好ましい。
前記カルシウム化合物として、カルシウムの塩化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩及び酸化物のうちから選択される一種または二種以上を使用することができる。
この際、得られたニオブ、モリブデン、タングステンなどの不純物とカルシウムとの複合酸化物の沈殿は固液分離により除去してルテニウム溶液を得る。固液分離する際は、例えば、ガラス製のフィルターを使用できる。これはアルカリに対する耐久性に優れるためである。
なお、固液分離は複数回行っても良く、また、ろ過助剤を使用してもよい。好適なろ過助剤としては、活性炭がある。
以上のことから、本実施形態では、湿式部分還元工程もしくは湿式還元工程以前にカルシウム添加工程を追加した。また、これによりニオブ、モリブデン、タングステンの除去に十分な効果が得られることを確認した。
4.湿式還元工程
カルシウム添加後の浸出液(スラリー)をろ過してその沈殿物を不純物として除去した溶液(以下、ルテニウム含有溶液ともいう。)に、さらに還元剤を添加してルテニウムを水酸化ルテニウムとして沈殿させる。還元剤の添加量は、溶液の酸化還元電位によって制御する。還元剤の添加を停止する酸化還元電位が、銀/塩化銀電極に対して−300mV未満では、アルミニウムやシリコン等の不純物が沈殿し、水酸化ルテニウムRu(OH)3の純度が低下する。また、ルテニウムの回収率が向上せず不経済である。一方、酸化還元電位が銀/塩化銀電極に対して30mVを超えると水酸化ルテニウムが十分に沈殿せずルテニウムの回収率が低下することがある。従って、還元剤の添加を停止する酸化還元電位は、銀/塩化銀電極に対して30〜−300mVの範囲とする。好ましくは、0〜−250mVの範囲である。より好ましくは、0〜−60mVの範囲である。これは、ルテニウムの回収率が安定し、余剰の薬剤および処理時間を必要としないからである。ルテニウム溶液に還元剤を添加する際は、ルテニウム溶液を攪拌することが好ましい。
還元剤の添加時間については1時間以上が好ましい。1日に1反応バッチを処理する場合には、16時間程度とすることもできる。添加速度が速すぎると電位の制御が困難となる。
なお、還元剤としては、特に制限はないが、水素化ホウ素化合物がとりわけ有利に適合する。水素化ホウ素化合物は、安価なだけでなく、ルテニウムの品質に影響を及ぼさず、また処理後の排水処理が比較的容易であるためである。特に好ましくは、より安全な水素化ホウ素ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合溶液を使用できる。
なお、水素化ホウ素ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合溶液を用いた場合におけるルテニウムの化学反応式は、次のとおりである。
8K2RuO4+3NaBH4+14H2O → 8Ru(OH)3+3NaBO2+16KOH
還元剤の添加終了後は、1時間ほど撹拌を継続するのが好ましい。これは、未反応の水素化ホウ素ナトリウムを完全に反応させ、回収率を向上させるためである。
ルテニウム含有溶液を湿式還元した後に固液分離する際、ろ液が中性になるまで純水を繰り返し添加してろ過することができる。これにより、残留する液中に含まれる成分によって回収ルテニウムの純度が低下することを抑制できる。すなわち、ルテニウム以外の不純物は、(3)カルシウム添加工程の沈殿物および(4)湿式還元工程の液中にほとんど含まれているため、ろ過後の殿物のルテニウム純度を高めることができる。この殿物を乾燥することにより、固体の水酸化ルテニウムが得られる。
なお、還元して得られた水酸化ルテニウムから不純物を除去するために、水酸化ルテニウムを一定時間酸性溶液中で攪拌する酸洗浄工程を加えても良い。酸性溶液としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、王水などを、対象とする不純物によって適切に選択して使用できる。特に、亜鉛に対しては硫酸、鉛に対しては硝酸、ニオブに対しては塩酸を用いることが好ましい。
酸性溶液中で撹拌後、固液分離する際、ろ液が中性になるまで純水をくりかえし添加してろ過する。これにより、残留する液中に含まれる成分によって回収ルテニウムの純度が低下することを抑制できる。
5.加熱還元工程
次に、湿式還元工程で得られた水酸化ルテニウムを還元雰囲気の炉内に装入し加熱して、金属ルテニウムへ還元させる。還元雰囲気とする際は、水素ガスと、ルテニウムと反応しない窒素ガスやアルゴンガスとを混合して、一定流量で炉内へ通気させる。この際、還元雰囲気は、400〜800℃の範囲であることが望ましい。より好適には、500〜700℃の範囲であることがよい。
なお、還元反応時の化学反応式は、次の通りである。
2Ru(OH)3 + 3H2 = 2Ru + 6H2
かくして、還元処理により得られた金属ルテニウムに不純物が含まれる場合は、さらに酸性溶液中で撹拌することが好ましい。用いる酸性溶液は、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、王水など、対象とする不純物によって適切に選択すればよい。特に、亜鉛に対しては硫酸、鉛に対しては硝酸を用いることが好ましい。酸性溶液中で撹拌後、固液分離する際、ろ液が中性になるまで純水を繰り返し添加してろ過することがよい。
かくして、ルテニウム以外の多くの元素を含むルテニウム含有物から高純度のルテニウムを回収することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、ルテニウムおよび不純物の濃度は、特に記載がない限り、次の装置を用いて測定した。
(1)投入原料(以下、試料という。):蛍光X線装置(ポニー工業社製、ポータブル蛍光X線分析計 Model XT−260S)
(2)投入原料以外:誘導結合プラズマ発光分光分析装置(SII社製、SPS5100)
誘導結合プラズマ発光分光分析装置によるルテニウム濃度は、検出限界以上の濃度で検出された全元素の濃度の合計値を100質量%から差し引くことにより求めた。
[実施例1]
ルテニウム回収原料としては、蛍光X線測定により求めた組成(質量%を単に%と示す。)が、下記の3種類の原料(固体)を用いた。
原料1:ルテニウム含有率:94.1%、ニオブ含有率:5.6%、その他元素:残部
原料2:ルテニウム含有率:96.5%、モリブデン含有率:2.8%、その他元素:残部
原料3:ルテニウム含有率:89.8%、タングステン含有率:8.8%、その他元素:残部
この原料1;2000gに対して、アルカリとして質量比で5倍の水酸化カリウムと、酸化剤として質量比で0.6倍の硝酸カリウムを加えて坩堝に封入し、固定炉で昇温した。坩堝は銀製のものを用いた。固定炉の温度は700℃とし、3時間保持した。その後、炉内で自然放冷した(アルカリ熔融工程)。
坩堝を常温まで冷却してアルカリ熔融塊とし、これに水を添加して坩堝内に残留する固体を浸出した(湿式浸出工程)。得られた浸出液(スラリー)にカルシウム化合物として、モル比で液中に溶解しているニオブ含有量の4倍の塩化カルシウムを、攪拌機を用いて攪拌しながら添加した(カルシウム添加工程)。この時の浸出液のpHをpH計で測定したところ、14.3であった。
塩化カルシウムを添加後に、生成した固体と液体からなるスラリーを、捕集粒子径1μmのろ紙を用いて吸引ろ過して固液分離した。得られた固体中には、ルテニウムの他、ニオブが49.4%含まれていた。
固液分離して得られた液体中に、12%濃度の水素化ホウ素ナトリウムと、40%濃度の水酸化ナトリウムの混合溶液を純水で10倍に希釈した溶液を、酸化還元電位が−30mVになるまで撹拌機を用いて撹拌しながら添加した(湿式還元工程)。
添加終了後、生成した固体と液体からなるスラリーを、捕集粒子径1μmのろ紙を用いて吸引ろ過して固液分離した。この際、ろ液が中性になるまで純水をくりかえし添加してろ過し、乾燥させた。得られた固体の成分組成は、ルテニウム:99.95%以上、ニオブ:0.01%およびその他の微量元素からなるものであった。
得られた乾燥粉末を、水素と窒素ガスを流した炉内で500℃に加熱し、Ru(OH)3を還元した(加熱還元工程)。
加熱後冷却して得られた粉末を45%塩酸水溶液中で加熱しながら2時間攪拌し、洗浄した。洗浄後の残渣とろ液を、ろ紙を用いて吸引ろ過して固液分離した(酸洗浄工程)。
酸洗浄工程の固液分離後、残渣を乾燥して金属ルテニウムを回収した。最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:99.99%、ニオブ:0.005%未満、およびその他の微量元素からなるものであった。
つまり、回収されるルテニウム中のニオブの含有量は0.005%未満であった。また、ルテニウムの回収率は、91%であった。
(ルテニウムの回収率 = (回収物質量 × 回収物ルテニウム含有率) / (投入原料質量 × 投入原料ルテニウム含有率)
Figure 0005498040
[比較例1]
実施例1と同一の試料(原料1)を用いて、カルシウム添加工程を省略した以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。この例は、先願1に開示の技術に相当する。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:98.65%、ニオブ:1.25%およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率は93%であった。
実施例1と比較例1とを対比すれば明らかなように、本発明によれば、先願1の技術を用いた場合と比較して、回収された固体中に含まれるニオブの量を約250分の1以下まで低減することができた。
[実施例2]
実施例1と同一の試料(原料1)を用いて、塩化カルシウムの添加量をモル比でニオブ含有量の3倍とした以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:99.90%、ニオブ:0.02%およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率92%であった。
[実施例3]
実施例1と同一の試料(原料1)を用いて、塩化カルシウムの添加量を、モル比でニオブ含有量の1倍とした以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:99.45%、ニオブ:0.40%およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率は93%であった。
[比較例2]
実施例1と同一の試料(原料1)を用いて、塩化カルシウムの添加量を、モル比でニオブ含有量の0.5倍とした以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:98.85%、ニオブ:1.02%およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率は93%であった。
[実施例4]
実施例1と同一の試料(原料1)を用いて、塩化カルシウムの添加量を、モル比でニオブ含有量の5.0倍とした以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:99.99%、ニオブ:0.005%未満およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率は91%であった。
[実施例5]
実施例1に記載の原料2:2000gに対して、塩化カルシウムの添加量を、モル比でモリブデン含有量の2.0倍とした以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:99.99%、モリブデン:0.005%未満およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率は92%であった。
Figure 0005498040
[比較例3]
実施例5と同一の試料(原料2)を用いて、カルシウム添加工程を省略した以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:99.25%、モリブデン:0.68%およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率は93%であった。
[実施例6]
実施例5と同一の試料(原料2)を用いて、塩化カルシウムの添加量をモル比でモリブデン含有量の1.5倍とした以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:99.95%、モリブデン:0.01%およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率は92%であった。
[実施例7]
実施例5と同一の試料(原料2)を用いて、塩化カルシウムの添加量をモル比でモリブデン含有量の1.0倍とした以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:99.65%、モリブデン:0.25%およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率は92%であった。
[比較例4]
実施例5と同一の試料(原料2)を用いて、塩化カルシウムの添加量をモル比でモリブデン含有量の0.2倍とした以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:99.20%、モリブデン:0.64%およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率は93%であった。
[実施例8]
実施例5と同一の試料(原料2)を用いて、塩化カルシウムの添加量をモル比でモリブデン含有量の3.0倍とした以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:99.99%、モリブデン:0.005%未満およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率は92%であった。
[実施例9]
実施例1に記載の原料3:2000gに対して、塩化カルシウムの添加量をモル比でタングステン含有量の3.0倍とした以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:99.99%、タングステン:0.005%未満およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率は91%であった。
Figure 0005498040
[比較例5]
実施例9と同一の試料(原料3)を用いて、カルシウム添加工程を省略した以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:98.90%、タングステン:0.95%およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率は92%であった。
[実施例10]
実施例9と同一の試料(原料3)を用いて、塩化カルシウムの添加量をモル比でタングステン含有量の2.0倍とした以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:99.90%、タングステン:0.03%およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率は92%であった。
[実施例11]
実施例9と同一の試料(原料3)を用いて、塩化カルシウムの添加量をモル比でタングステン含有量の1.0倍とした以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:99.40%、タングステン:0.44%およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率は92%であった。
[比較例6]
実施例9と同一の試料(原料3)を用いて、塩化カルシウムの添加量をモル比でタングステン含有量の0.5倍とした以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:99.05%、タングステン:0.79%およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率は92%であった。
[実施例12]
実施例9と同一の試料(原料3)を用いて、塩化カルシウムの添加量をモル比でタングステン含有量の4.0倍とした以外は実施例1と同一の方法でルテニウムの回収を行った。
酸洗浄工程で最終的に得られた固体の成分組成は、ルテニウム:99.99%、タングステン:0.005%未満およびその他の微量元素からなり、ルテニウムの回収率は91%であった。
[実施例13]
塩化カルシウム添加後の浸出液に硝酸水溶液を添加して浸出液のpHを11.5に調整した以外は、実施例1と同様の試験を行った。その結果、最終的に得られた固体の成分組成はルテニウム:99.99%、ニオブ:0.005%未満であり、ルテニウムの回収率は67%であった。
[実施例14]
塩化カルシウム添加後の浸出液に硝酸水溶液を添加して浸出液のpHを11.5に調整した以外は、実施例5と同様の試験を行った。その結果、最終的に得られた固体の成分組成はルテニウム:99.99%、モリブデン:0.005%未満であり、ルテニウムの回収率は65%であった。
[実施例15]
塩化カルシウム添加後の浸出液に硝酸水溶液を添加して浸出液のpHを11.5に調整した以外は、実施例9と同様の試験を行った。その結果、最終的に得られた固体の成分組成はルテニウム:99.99%、タングステン:0.005%未満であり、ルテニウムの回収率は64%であった。

Claims (6)

  1. ニオブ、モリブデン及びタングステンの元素のうちの少なくとも一種の不純物を含むルテニウム含有物から金属ルテニウムを回収する方法であって、
    (1)該ルテニウム含有物を、アルカリ金属化合物とともに加熱し、アルカリ熔融液とするアルカリ熔融工程と、
    (2)該アルカリ熔融液を冷却して固化し、次いで水を添加してルテニウムを浸出したスラリーを得る湿式浸出工程と、
    (3)該スラリー中にカルシウム化合物を前記不純物の総量に対してモル比で1倍〜20倍添加して前記不純物の化合物を析出させた後に固液分離することによって該不純物を除去したルテニウム溶液を得るカルシウム添加工程と、
    (4)該ルテニウム溶液に還元剤を酸化還元電位が30〜−300mVの範囲になるまで添加し水酸化ルテニウムを生成させ、固液分離して該水酸化ルテニウムを回収する湿式還元工程と、
    (5)該水酸化ルテニウムを還元性雰囲気中で加熱することにより金属ルテニウムとする加熱還元工程と、
    を有するルテニウムの回収方法。
  2. 前記不純物の化合物は該不純物とカルシウムとの不溶性の複合酸化物である、請求項1に記載のルテニウム回収方法。
  3. 前記カルシウム化合物は、カルシウムの塩化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩及び酸化物のうちの少なくとも一種である、請求項1または2に記載のルテニウムの回収方法。
  4. 前記加熱還元工程後に、前記金属ルテニウムを酸性溶液中で洗浄する工程を有する、請求項1〜のいずれかに記載のルテニウムの回収方法。
  5. 前記アルカリ熔融工程において前記アルカリ金属化合物とともに酸化剤を添加する、請求項1または2に記載のルテニウムの回収方法。
  6. 前記酸化剤は硝酸カリウムである、請求項に記載のルテニウムの回収方法。
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