JP6996723B1 - リチウムイオン電池からの金属回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有価金属を含有するリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する際に、対象金属を浸出させる浸出工程において不要成分であるマンガン(Mn)と鉄(Fe)を十分に選別除去した上で、その後のコバルト及びニッケルの抽出を可能にする。【解決手段】本発明の有価金属を含有するリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法は、(a)リチウムイオン電池の電池滓を硫酸に分散させて、水素イオン指数(pH)が1以下であるスラリーを得る工程と、(b)スラリーに酸化剤を添加して、酸化還元電位(ORP)を1200~1350mV(vs.Ag/AgCl)とする工程と、(c)酸化剤の添加後のスラリーから、マンガンとその他の有価金属とを分離する工程と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン電池からの金属回収方法に関し、より具体的には、有価金属を含有するリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法に関する。
リチウムイオン電池は、各種の電子デバイスをはじめとして多くの産業分野で使用されており、マンガン、ニッケルおよびコバルトを含有するリチウム金属複合酸化物を正極材として用いるものが一般的に知られている。近年、その使用量の増加および使用範囲の拡大に伴い、電池の製品寿命や製造過程での不良により廃棄される量が増大している状況にある。かかる状況の下では、大量に廃棄されるリチウムイオン電池の電池滓から、ニッケルおよびコバルト等の高価な元素を再利用するべく比較的低コストで容易に回収することが望まれる。
有価金属の回収のためにリチウムイオン電池の電池滓を処理するには、従来からある一般的な方法として、例えば、はじめに必要に応じて焙焼、破砕および篩選別等の各工程を経て得られた粉状ないし粒状のリチウムイオン電池の電池滓を準備する。その電池滓を酸浸出し、そこに含まれ得るリチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅、アルミニウム等を溶液中に溶解させて浸出液を得る。その浸出液に対して溶媒抽出法を実施して、各金属元素を順次に分離させる。その際、まず鉄およびアルミニウムを回収し、続いてマンガンおよび銅、そしてコバルト、その後にニッケルを回収して、最後に水相にリチウムを残すことで、各有価金属を回収することができる。
特許文献1は、リチウムイオン電池リサイクル原料からの金属の回収方法として、粉状ないし粒状のリチウムイオン電池リサイクル原料を酸に接触させるとともに、過酸化水素水を添加して、対象金属を浸出させる浸出工程において、酸性溶液の水素イオン指数(以下単に「pH」とも呼ぶ。)を0<pH<4とし、酸化還元電位(以下単に「ORP」とも呼ぶ。)を600~1400mVvs.Ag/AgClとして、マンガンの酸化物を残渣に取り込むことを開示する。また、特許文献1は、対象金属の浸出をより一層促進させるとの観点から酸性溶液中にマンガンを含む化合物を添加することが好ましいことを開示する。
特許文献2は、リチウムイオン電池リサイクル原料からの金属の回収方法として、粉状ないし粒状のリチウムイオン電池リサイクル原料を硫酸等の酸性溶液に添加して浸出させる浸出工程において、浸出をより一層促進させるためにマンガン化合物を添加し、酸性溶液のpHを0<pH<4とし、ORPを600~1400mVvs.Ag/AgClとして、マンガンの酸化物を残渣に取り込むことを開示する。
特許文献3は、廃リチウムイオン電池からの銅、ニッケル、コバルトの回収方法として、廃リチウムイオン電池を熔解して得た合金を、酸性溶液に溶解して得た浸出液に酸化剤と中和剤を添加し、浸出液のORPを800~1300mVの範囲、かつpHが1~3となる範囲になるように維持して形成した中和澱物を含むスラリーを固液分離してマンガンを含有する中和澱物を除去することを開示する。
特許文献4は、リチウムイオン二次電池からのマンガンの浸出方法として、特許文献1~3のように浸出工程においてマンガンの酸化物を残渣に取り込むことをせずに、マンガンを溶液中に浸出させる際の溶液のpHを4.00以下とし、ORP(3.3M KCl-Ag/AgCl)を-350mV以下とすることにより、コバルト、ニッケルに比べてマンガンを選択的に溶液中に浸出させることを開示する。
特開2016-186118 特開2016-186113 特開2021-70843 特開2021-55159
特許文献1~4はいずれも浸出工程において、水素イオン指数(pH)と酸化還元電位(ORP)を制御して、マンガンを分離し除去するものであるが、コバルト及びニッケルに対するマンガンの分離効率が必ずしも高くなく、また他の不要成分である例えば鉄を分離し除去することに着目しておらず、コバルト及びニッケルの抽出工程の前段階での不要成分の除去が必ずしも十分ではない。
本発明は、上記した従来技術の事情に鑑みて成されたものであって、その目的は、対象金属を酸浸出させる浸出工程において不要成分であるマンガンと鉄をコバルト及びニッケルに対して十分に分離し除去した上で、その後のコバルト及びニッケルの抽出を行うことができる、有価金属を含有するリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法を提供することである。
本発明は、有価金属を含有するリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法を提供する。その方法の一態様では、(a)リチウムイオン電池の電池滓を硫酸に分散させて、水素イオン指数(pH)が1未満であるスラリーを得る工程と、(b)スラリーに酸化剤を添加して、酸化還元電位(ORP)を1200~1350mV(vs.Ag/AgCl)とする工程と、(c)酸化剤の添加後のスラリーから、マンガンとその他の有価金属とを分離する工程と、を含む。
本発明の別の一態様では、(b)スラリーに酸化剤を添加する工程の後に、(d)スラリーにアルカリを添加して、水素イオン指数(pH)を3~4の範囲にし、かつ酸化還元電位(ORP)を500~700mV(vs.Ag/AgCl)の範囲に調整する工程と、(e)調整後のスラリーから、マンガン及び鉄とその他の有価金属とを分離する工程と、をさらに含む。
本発明の他の一態様では、(a)スラリーを得る工程の後に、(f)スラリーに還元剤を添加する工程をさらに含む。
本発明によれば、対象金属を酸浸出させる浸出工程において不要成分であるマンガンと鉄をコバルト及びニッケルに対して十分に(高効率で)分離除去した上で、その後のコバルト及びニッケルの抽出/回収を行うことが可能となる。
本発明の一実施形態のリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法の工程を示す図である。
図面や表を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態のリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法の工程を示す図である。最初に図1を参照しながら本発明の方法の概要(フロー)を説明する。
工程S1では、対象金属を酸浸出させる浸出工程(スラリー生成工程)として、リチウムイオン電池の電池滓を硫酸に分散させてスラリーを得る。電池滓としては、例えば正極活物質、ブラックサンド(BS)等がある。電池滓の詳細についてはさらに後述する。電池滓の種類に応じて必要ならばスラリーに還元剤を添加する。例えば、電池滓が正極活物質の場合は還元剤を添加する必要があるが、ブラックサンド(BS)の場合は還元剤の添加は必ずしも必要ではない。還元剤としては、例えば過酸化水素、亜硫酸塩類、亜硫酸ガス、鉄(II)塩、シュウ酸、鉄、銅、アルミニウム、炭素及び鉄と銅とアルミニウムを含む合金の中から選択される少なくとも1種以上を用いることができる。
工程S2のpHの調整において、スラリーのpHが1以下となるようにさらに硫酸を添加する。なお、工程S1とS2は個々に別々の工程として行っても、あるいは一体的にいわば1つの工程として行ってもよい。すなわち、前者の場合は、例えば所定の濃度の硫酸溶液に電池滓を分散させた後に、pHが1以下となるようにさらに硫酸量(濃度)を徐々に調整していく。後者の場合、1つの浸出工程として、例えば最初からpHが1以下となるように硫酸量(濃度)を徐々に調整しながら硫酸溶液に電池滓を分散させる。
工程S3では、スラリーに酸化剤を添加する。その際に、ORPが1200~1350mV(vs.Ag/AgCl)となるように酸化剤の添加量を調整する。その結果、マンガンがマンガン酸化物として析出し、後から抽出(回収)するコバルトやニッケル等は析出せずに浸出後液中にイオンとして浸出する。これにより、マンガンをコバルトやニッケル等の他の有価金属と分離することができる。酸化剤としては、例えばマンガン化合物、過マンガン酸カリウム、二酸化マンガン、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸、空気、酸素、オゾン及び塩素ガスなどの中から選択される少なくとも1種以上を用いることができる。さらに、マンガン化合物には工程S3で得られたマンガン酸化物を回収して用いる事も含まれる。
工程S4では、スラリーにアルカリを添加する。その際に、pHを3~4の範囲にし、かつORPを500~700mV(vs.Ag/AgCl)の範囲になるようにアルカリを添加して調整する。その結果、マンガンに加えて鉄が多く析出し、コバルトやニッケル等は析出せずに浸出後液中にイオンとして留まる。これにより、鉄とマンガンをコバルトやニッケル等の他の有価金属と分離することができる。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア水、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど通常用いられるアルカリ性物質を用いることができる。
工程S5では、鉄とマンガンの分離後の浸出後液として、コバルト、ニッケル、リチウム、アルミニウム、銅等を含む溶液が得られる。なお、鉄とマンガンは100%完全に分離することは難しく、若干量が残留して溶液中に含まれる場合がある。その場合は、次の工程S6を行う場合がある。
工程S6では、最初に溶媒抽出(I)を行って、溶液中からアルミニウムと銅、さらに残留する鉄とマンガンを分離する。次に、溶媒抽出(II)を行って、残留溶液から有価金属であるコバルト、ニッケルを分離して回収する。溶媒抽出剤としては、例えばホスホン酸エステル系抽出剤、燐酸エステル系抽出剤、オキシム系抽出剤などを用いることができる。
次に上述した本発明の方法の各工程での特徴的な事項について説明する。
[電池滓]
本実施形態の有価金属の回収方法において用いる電池滓は、特に限定されず、電池製品の寿命や製造不良またはその他の理由によって廃棄されたリチウムイオン電池を破砕・磁力選別・粒度選別・比重選別・渦電流選別等して得られるものであればいずれも用いることができる。その際に鉄やアルミニウム、銅の一部を先に取り除いても良い。また、原料としての電池滓には、リチウムイオン電池の正極材や、正極活物質も含まれ、これらを2種以上混合したものを用いてもよい。
電池滓としては、リチウムイオン電池から外装プラスチックを除去した後、焙焼、化学処理、破砕・選別を経ることによって得られたもの(ブラックサンド(BS))が挙げられる。また設備などが整っているのであればリチウムイオン電池から外装プラスチックを除去せずに焙焼、化学処理、破砕・選別を経ることによって得られたものを用いてもよい。中でも、焙焼工程を経た電池滓を用いることが好ましい。
電解液、セパレーターやバインダー等に含まれる有機物の含有量を低減させる観点から、焙焼工程における焙焼温度は150℃以上であることが好ましく、400℃以上であることがさらに好ましい。焙焼温度の上限としては特に限定されないが、正極材にアルミニウムが含まれている場合、アルミニウムが融けると後の工程に悪影響を及ぼす場合があるため、焙焼温度は660℃以下であることが好ましい。
リチウムイオン電池の電池滓に含まれる有価金属としては特に限定されないが、リチウム、コバルト、ニッケル、マンガン、銅、アルミニウム、鉄等が挙げられ、リチウムと、コバルト及びニッケルのいずれか1種以上と、マンガンと、が回収対象の有価金属として含まれていることが好ましい。
[浸出(スラリー生成)]
リチウムイオン電池の電池滓を硫酸に分散させてスラリーを得る浸出工程(この工程を「スラリー生成工程」とも呼ぶ。)においては、電池滓に硫酸を加えても、硫酸に電池滓を投入してもよい。スラリー生成工程においては、電池滓を硫酸に加えた後、又は、硫酸に電池滓を投入した後、例えば、液温を30~80℃に維持したまま0~3時間攪拌する。
スラリー生成工程において用いる硫酸の濃度については、特に限定されることはないが、有価金属をより効率的に浸出させる観点からは、3.5~14.5mol/Lであることが好ましく、希釈熱で温度を上げる観点からは、電池滓を水に分散させた後、硫酸を加え、3.5~14.5mol/Lに調製することがより好ましい。
スラリーのpHについては、好ましくは1.0以下であり、0.0~1.0であることがより好ましい。スラリーのpHが0.0以上であると、原料コストを抑制できる傾向にあり、1.0以下であると、スラリー生成後の浸出において電池滓に含まれる有価金属とマンガンとを十分に分離することができる傾向がある。
[ORP調整(酸化剤添加)]
pHが1.0以下であるスラリーに酸化剤を添加する。その際に、ORPが1200~1350mV(vs.Ag/AgCl)となるように酸化剤の添加量を調整する。酸化剤は上述したように例えば過マンガン酸カリウムである。この酸化剤の添加によるORPの調整により、スラリーに溶解したマンガンイオンが酸化物として析出する反応が促進されるため、他の有価金属からマンガンをより効率的に分離できる傾向にある。
酸化剤として過マンガン酸カリウムを添加する場合、その添加量としては特に限定されないが、スラリー(電池滓硫酸浸出液)に含まれるコバルト及びニッケルの合計に対する過マンガン酸カリウムの添加量が、モル比(KMnO/(Co+Ni))で0.20~0.50程度であることが好ましい。過マンガン酸カリウム添加後の反応時間は例えば1~3時間程度、反応温度は例えば30~80℃程度が好ましい。
[pH調整(アルカリ添加)]
酸化剤添加後のスラリーにアルカリを添加する。その際に、pHを3~4の範囲にし、かつORPを500~700mV(Ag+/AgCl)の範囲になうようにアルカリを添加して調整する。アルカリは上述したように例えば水酸化ナトリウムである。このアルカリ添加によるpHとORPの調整により、スラリーに溶解した鉄イオンが水酸化物として析出する反応が促進されるため、他の有価金属からマンガンに加えて鉄をより効率的に分離できる傾向にある。アルカリとして水酸化ナトリウムを添加する場合、一例として25wt%の水酸化ナトリウム水溶液添加後の反応時間は例えば0.5時間程度、反応温度は例えば50℃程度が好ましい。
[有価金属分離(マンガンと鉄の分離)]
図1の工程S3(酸化剤添加)と工程S4(アルカリ添加)後のスラリーからマンガン及び鉄と、その他の有価金属とを分離する方法としては、析出したマンガン及び鉄を分離できる方法であれば特に限定されないが、例えば、スラリー中に析出したマンガン酸化物と水酸化鉄を順次ろ過等により浸出残渣として回収し、マンガンと鉄以外の有価金属は浸出液として回収する方法、または遠心分離、デカンテーション等も挙げられる。これにより、マンガン及び鉄と、その他の有価金属を分離することができる。
本実施形態の有価金属の回収方法においては、マンガン以外の有価金属の浸出率が、各々90質量%以上であることが好ましく、各々95質量%以上であることがさらに好ましい。また、マンガンと鉄の浸出率が5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
表1に以下に示す実施例および比較例の検討に用いたリチウムイオン電池滓であるブラックサンド(BS)の主な組成を示す。

表1 リチウムイオン電池滓(BS)の組成(wt%)
Figure 0006996723000002
このリチウムイオン電池滓(BS)10gを、98wt%(18.4mol/L)の濃硫酸36.7gと水80.1gを加えた3.7mol/L硫酸溶液に分散させ、80℃に昇温後、2h攪拌を行い、可溶分を溶出させて、リチウムイオン電池滓硫酸浸出液を得た。以下の、実施例および比較例に示す金属回収率は、上記可溶分量を100として算出した。なお、BSの組成はその製造方法の特性上、リチウムイオン電池滓硫酸浸出液のpHは一定しない。
(実施例1)
pH1.68のリチウムイオン電池滓硫酸浸出液100mlに、9.2mol/Lの硫酸21mL添加してpHを0.21に調整した。このリチウムイオン電池滓硫酸浸出液に、過マンガン酸カリウムをリチウムイオン電池滓硫酸浸出液中のコバルトとニッケルの合計mol数に対する過マンガン酸カリウムmol数(KMnO4/(Co+Ni))で0.42量(0.013mol)を添加した。50℃に昇温後、50℃で2時間保持した。この時のORPは、1291mV(vs.Ag/AgCl)であった。
その後、リチウムイオン電池滓硫酸浸出液をろ過し、浸出成分をICPで定量分析した。コバルト、ニッケル、マンガンの回収率(wt%)は、
Co:94.9
Ni:98.9
Mn:1.0
であり、高効率にコバルトおよびニッケルからマンガンを分離出来ることが確認できた。
(実施例2-7)
実施例1と同様な基本操作でpHが1より小さく維持(pH=0.65~0.98)しながら、反応条件を以下の様に変えて実験を行った。KMnO4添加後のORPは、1239~1316mV(vs.Ag/AgCl)であった。
実施例2、3 KMnO4添加量(KMnO4/(Co+Ni)):
0.31、0.45
実施例4、5 反応温度:30、80℃
実施例6、7 反応時間:1、3時間
その結果、コバルト、ニッケル、マンガンの回収率(wt%)は、
Co:89.2~97.5
Ni:98.8~99.5
Mn:0.95~7.58
で、コバルト、ニッケルに対してマンガンを高効率で分離できることが確認できた。
(実施例8-18)
実施例1の後に、25wt%水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを3.0~4.0付近まで上昇させ、同時にORPを500~700mV(vs.Ag/AgCl)の範囲に調整した。
KMnO4添加量(KMnO4/(Co+Ni)):0.22~0.32
pH:2.91~3.58
ORP:532~653mV(vs.Ag/AgCl)
その結果、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄の回収率(wt%)は、
Co:84.9~98.1
Ni:96.7~99.3
Mn:0.12~13.85
Fe:0
で、コバルト、ニッケルに対してマンガンと鉄を高効率で分離できることが確認できた。
(比較例1)
pHを1以下にする調整を行わず(pH=1.68のまま)、過マンガン酸カリウム0.013molを添加したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。50℃に昇温後、50℃で2時間保持した。この時のORPは、1168mV(vs.Ag/AgCl)であった。
その後、リチウムイオン電池滓硫酸浸出液をろ過し、浸出成分をICPで定量分析した。コバルト、ニッケル、マンガンの回収率(wt%)は、
Co:80.2
Ni:97.9
Mn:0.5
であり、コバルトの回収率は実施例1よりも約16%低下し、コバルトに対するマンガンの分離効率も低下した。これにより、実施例1のpHを1以下にする調整することが有効であることが確認できた。
(比較例2-4)
比較例1と同様にpHを1以下に調整せずに、逆に25wt%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを2.22、3.41、4.08に上げた上で、過マンガン酸カリウムを添加して実施例1と同様の操作を行った。この時のORPは、711~1117mV(vs.Ag/AgCl)であった。
その結果、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄の回収率(wt%)は、
Co:74.5~82.4
Ni:98.2~98.9
Mn:0.95~2.37
Fe:19.1~31.6
で、コバルトの回収率が実施例1よりも約14~22%低下し、コバルト及びニッケルに対するマンガンと鉄の分離効率も低下した。これにより、実施例2-7のpHを1以下に調整することが有効であることが確認できた。
本発明の実施形態について、図や表を参照しながら説明をした。しかし、本発明はこれらの実施形態に限られるものではない。本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施できるものである。
有価金属を含有するリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法は、廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収において幅広く利用することができる。

Claims (6)

  1. 有価金属を含有するリチウムイオン電池の電池滓から有価金属を回収する方法であって、
    前記リチウムイオン電池の電池滓を硫酸に分散させて、水素イオン指数(pH)が1未満であるスラリーを得る工程と、
    前記スラリーに酸化剤を添加して、酸化還元電位(ORP)を1200~1350mV(vs.Ag/AgCl)とする工程と、
    前記酸化剤の添加後の前記スラリーから、マンガンとその他の有価金属とを分離する工程と、
    を含む、電池滓から有価金属を回収する方法。
  2. 前記スラリーに酸化剤を添加する工程の後に、前記スラリーにアルカリを添加して、水素イオン指数(pH)を3~4の範囲にし、かつ酸化還元電位(ORP)を500~700mV(vs.Ag/AgCl)の範囲に調整する工程と、
    前記調整後の前記スラリーから、マンガン及び鉄とその他の有価金属とを分離する工程と、
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記スラリーを得る工程の後に、前記スラリーに還元剤を添加する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア水、炭酸ナトリウム、及び炭酸水素ナトリウムの中から選択される少なくとも1種以上を含む、請求項2に記載の方法。
  5. 前記還元剤が、過酸化水素、亜硫酸塩類、亜硫酸ガス、鉄、銅、アルミニウム、及び鉄と銅とアルミニウムを含む合金の中から選択される少なくとも1種以上である、請求項3に記載の方法。
  6. 前記酸化剤が、マンガン化合物、過マンガン酸カリウム、二酸化マンガン、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸、空気、酸素、オゾン回収マンガン酸化物及び塩素ガスの中から選択される少なくとも1種以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
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