JP2008240009A - ニッケル硫化物の塩素浸出方法 - Google Patents

ニッケル硫化物の塩素浸出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造されたニッケル硫化物の塩素浸出に際し、該ニッケル硫化物中のイオウの酸化を抑制し、かつニッケル及びコバルトの浸出率を向上させることができるニッケル硫化物の塩素浸出方法を提供する。
【解決手段】ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造したニッケル硫化物(A)を塩素浸出する方法であって、前記ニッケル硫化物(A)とともに、ニッケルマットを液中の銅イオンにより置換浸出する工程から得られる銅とニッケルを含む置換残渣(B)を、銅イオンを含む塩化物水溶液中で共存させながら塩素浸出に付すことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ニッケル硫化物の塩素浸出方法に関し、さらに詳しくは、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造されたニッケル硫化物の塩素浸出に際し、該ニッケル硫化物中のイオウの酸化を抑制し、かつニッケル及びコバルトの浸出率を向上させることができるニッケル硫化物の塩素浸出方法に関する。
従来、ニッケルの製錬方法として、乾式製錬法で得られたニッケル硫化物、例えば、ニッケルマットを原料にして、塩素浸出法によりニッケルを浸出し、電解採取によって電気ニッケルを得る方法が実用化されていた。
最近の技術開発の進展により、原料鉱石として従来は使用されていなかった低ニッケル品位のニッケル酸化鉱から、湿式製錬法によってニッケル硫化物が生産される(例えば、特許文献1参照。)ようになり、このようなニッケル硫化物も原料として使用することが求められている。しかしながら、湿式製錬法で製造されたニッケル硫化物を、塩素浸出で、マット原料と同じ条件で浸出する場合には、ニッケル及びコバルトの浸出率が大幅に低下するという問題があった。例えば、マットの場合には、塩素浸出におけるニッケルの浸出率は98%程度、コバルトの浸出率が90%程度であるのに対して、湿式製錬法で製造されたニッケル硫化物を使用した場合には、ニッケルの浸出率が75%程度、コバルトの浸出率は30%程度であり、従来と同じ条件によって塩素浸出を実施すると有価金属のロスが多く、操業効率も悪くなるという不具合があった。
この原因は、乾式製錬法によって生産されたマットと湿式製錬法で製造されたニッケル硫化物(以下、湿式ニッケル硫化物という場合がある。)とでは、プロセスが全く異なることから、成分及び性状に大きな違いがある。すなわち、ニッケルマット中のニッケルは、金属、Niの形態であるのに対し、湿式ニッケル硫化物は、NiSの形態であり、ニッケルマット中の硫化物に比べてイオウが過剰の状態であった。しかも、湿式製錬法で製造されたニッケル硫化物は、通常、銅品位が0.1質量%以下と低いため、この形態と相俟って、イオウが塩素ガスにより酸化され易いものと思われる。このため、イオウの酸化を制御するため、ニッケル及びコバルトの浸出率も低く抑えられることになっていた。
このような湿式ニッケル硫化物の問題点の解決策としては、湿式ニッケル硫化物を銅イオンと置換反応させた後に、溶液と残渣に分離し、該残渣をさらに塩素浸出する方法(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。これによれば、過剰なイオウが銅イオンを硫化して固定すれば、塩素浸出時に優先的酸化が生じにくくなるものとしている。しかしながら、このためには、置換浸出と塩素浸出の2段階の浸出工程からなるプロセスで処理することが必要となる。したがって、より簡便な浸出方法が求められていた。
特開平6−116660号公報(第1頁、第2頁) 特開2003−82421号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造されたニッケル硫化物の塩素浸出に際し、該ニッケル硫化物中のイオウの酸化を抑制し、かつニッケル及びコバルトの浸出率を向上させることができるニッケル硫化物の塩素浸出方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造したニッケル硫化物の塩素浸出について、鋭意研究を重ねた結果、塩素浸出に際し、銅イオンを含む塩化物水溶液中に、該ニッケル硫化物とともに、特定の製錬中間物を共存させたところ、該ニッケル硫化物中のイオウの酸化を抑制し、かつニッケル及びコバルトの浸出率を向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造したニッケル硫化物(A)を塩素浸出する方法であって、
前記ニッケル硫化物(A)とともに、ニッケルマットを液中の銅イオンにより置換浸出する工程から得られる銅とニッケルを含む置換残渣(B)を、銅イオンを含む塩化物水溶液中で共存させながら塩素浸出に付すことを特徴とするニッケル硫化物の塩素浸出方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記ニッケル硫化物(A)と置換残渣(B)との配合割合は、ニッケル硫化物(A)中に含有されるニッケル量と置換残渣(B)中に含有される銅量の比が、100:4〜100:23であることを特徴とするニッケル硫化物の塩素浸出方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記塩素浸出の開始時において、塩化物水溶液の銅イオン濃度は、25〜50g/Lであることを特徴とするニッケル硫化物の塩素浸出方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記塩素浸出の終了時において、塩化物水溶液の酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)は、535〜550mVであることを特徴とするニッケル硫化物の塩素浸出方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4いずれかの発明において、前記ニッケル硫化物(A)を、下記の工程(イ)〜(チ)を含むニッケルマットの製錬プロセスの工程(ハ)に、装入することを特徴とするニッケル硫化物の塩素浸出方法が提供される。
工程(イ):ニッケルマットを粉砕し、銅イオンを含む電解廃液でレパルプして得たマットスラリーを、塩素浸出母液に装入し、置換浸出を行なう。
工程(ロ):置換浸出後のスラリーを固液分離する。
工程(ハ):工程(ロ)で得られる置換浸出残渣のスラリーに、塩素ガスを吹き込み、塩素浸出する。
工程(ニ):工程(ハ)で得られる塩素浸出母液を工程(イ)に送る。
工程(ホ):工程(ハ)で得られる塩素浸出残渣からイオウを回収する。
工程(ヘ):工程(ロ)で得られる置換浸出終液を浄液し、次いでニッケルを電解採取する。
工程(ト):工程(ヘ)で得られる塩素ガスを回収し、工程(ハ)に送る。
工程(チ):工程(ヘ)で得られる電解廃液を工程(イ)に送る。
本発明のニッケル硫化物の塩素浸出方法は、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造したニッケル硫化物(A)とともに、ニッケルマットを液中の銅イオンにより置換浸出する工程から得られる銅とニッケルを含む置換残渣(B)を、銅イオンを含む塩化物水溶液中で共存させながら塩素浸出に付すことにより、浸出工程として置換浸出を用いずに塩素浸出のみで、該ニッケル硫化物中のイオウの酸化を抑制し、かつニッケル及びコバルトの浸出率を向上させることができるので、その工業的価値は極めて大きい。
さらに、既存のニッケルマットの湿式製錬プロセスにおいて、湿式ニッケル硫化物を、置換浸出残渣のスラリーに塩素ガスを吹き込み浸出する工程に装入すれば、既存のプラントを利用して、しかも実操業上、ニッケル処理量の変動にも対応することができるので、より有利である。
以下、本発明のニッケル硫化物の塩素浸出方法を詳細に説明する。
本発明のニッケル硫化物の塩素浸出方法は、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造したニッケル硫化物(A)を塩素浸出する方法であって、前記ニッケル硫化物(A)とともに、ニッケルマットを液中の銅イオンにより置換浸出する工程から得られる銅とニッケルを含む置換残渣(B)を、銅イオンを含む塩化物水溶液中で共存させながら塩素浸出に付すことを特徴とする。
本発明において、銅イオンを含む塩化物水溶液中で、ニッケル硫化物(A)と置換残渣(B)を同時に塩素浸出することが重要である。これによって、ニッケル硫化物(A)のイオウの酸化が抑制されるとともに、ニッケル及びコバルトの浸出率をニッケルマットの塩素浸出と同等のレベルに向上することができる。
まず、本発明の方法における塩素浸出反応について説明する。
上記塩素浸出反応は、次の化学反応式1と化学反応式2、3とで表される二段階からなる。
(1)第1段階
ここで、化学反応式1により、塩素ガスが液中へ吸収される。気固反応が進行し難いのに加え、塩素ガスの液への溶解度が低いことから、塩素ガスの酸化力は、1価の銅イオンを2価の銅イオンへ酸化するのに使われる。
化学反応式1:Cl(g)+2Cu→2Cl+2Cu2+
(2)第2段階
ここで、化学反応式2による、2価の銅イオンによる金属成分の浸出と、化学反応式3による、置換浸出残渣中の銅の浸出反応が行なわれる。化学反応式3では、化学反応式2の場合と異なり、置換浸出残渣中の銅はCuSとして存在するため、2モルの2価の銅イオンから4モルの1価の銅イオンが生成し、銅イオン濃度が上昇して、浸出反応がさらに促進される。化学反応式3で生成した1価の銅イオンは、化学反応式1で示される塩素ガスの吸収反応に利用されることになる。なお、ここで、湿式ニッケル硫化物の銅品位は、通常、0.1質量%以下であるので、化学反応式3による1価の銅イオンの生成反応を促進させるために、置換浸出残渣中の銅が作用することが重要である。
化学反応式2:MS(s)+2Cu2+→M2++2Cu+S(s)
(式中、Mは、二価の金属であればよく、代表的なものとしてニッケル、コバルト、銅、鉄、及び亜鉛がある。)
化学反応式3:CuS(s)+2Cu2+→4Cu+S(s)
上記方法で用いるニッケル硫化物(A)としては、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造したもの、例えば、低ニッケル品位のラテライト鉱等のニッケル酸化鉱から、硫酸による高温加圧浸出により浸出したニッケル及びコバルトを硫化物として回収する湿式製錬法によるものが用いられる。上記ニッケル硫化物(A)の代表的な組成としては、Ni品位が50〜60質量%、Co品位が4.2〜4.8質量%、Cu品位が0.1質量%以下、S品位が、30〜36質量%である。
上記方法で用いる置換残渣(B)としては、ニッケルマットを液中の銅イオンにより置換浸出する工程から得られる銅とニッケルを含む置換残渣が用いられるが、置換残渣中には、Ni、NiS、CuS等の形態でニッケル、銅が含有されているものである。上記置換残渣(B)の代表的な組成としては、Ni品位が25〜35質量%、Cu品位が22〜28質量%。S品位が30〜36質量%である。
上記ニッケルマットとしては、特に限定されるものではなく、乾式溶錬法により製造された、硫化鉱石由来のニッケルとともに銅を含有するマット、又は酸化鉱石由来の銅を殆ど含有しないマットが用いられる。
上記方法で用いる前記ニッケル硫化物(A)と置換残渣(B)との配合割合としては、特に限定されるものではなく、液中への塩素ガスの吸収が十分になされる1価の銅イオンを生成することができるCuS量が供給される置換残渣(B)中の銅含有量に依存することが望ましく、例えば、ニッケル硫化物(A)中に含有されるニッケル量と置換残渣(B)中に含有される銅量の比が、100:4〜100:23であることが好ましい。すなわち、上記の比が、100:4未満では、ニッケル浸出率が低い。一方、上記の比が、100:23を超えると、それ以上の効果は見られない。
上記方法において、塩素浸出の開始時、反応初期段階において、塩素ガスの吸収を促進させるため、塩化物水溶液の銅イオン濃度としては、特に限定されるものではなく、25〜50g/Lであることが好ましい。この関係を以下に説明する。
図1は、塩素浸出の開始時から、塩素浸出の終了時までのORP(銀/塩化銀電極規準)と2価の銅イオン比率の関係を表すものである。ここで、塩素ガスを吹き込む前では、ORP(銀/塩化銀電極規準)は400mV以下であり、このときの液中の銅イオンは90%以上が1価の銅として存在する。
ORP(銀/塩化銀電極規準):400mV、1価の銅イオン比率:90%、及び塩素吹込み量:33.3kg/分での全銅濃度及び1価の銅イオン濃度と塩素吸収可能時間の関係を表1に示す。
Figure 2008240009
表1で、塩素吸収可能な時間が長いということは、それだけ反応液中に多くの塩素が吸収されたことを示している。化学反応式1から、塩素ガスは1価の銅イオンと反応して塩素イオンとなるので、反応開始時に、液中に十分な量の1価の銅イオン存在させる必要がある。例えば、15m程度の容量の反応槽であれば、通常、上記塩素吸収可能時間に換算して10分以上であれば、その後の反応に必要な塩素イオンが確保できる。すなわち、表1より、25g/L以上の銅イオンが存在すれば、化学反応式2で示す2価の銅イオンがメタルを酸化するのに充分な時間、塩素ガスを吸収させることができる。
また、上記銅イオンを含む塩化物水溶液としては、ORP(銀/塩化銀電極規準)が400mV以下である銅イオンを含む液、例えば、塩素浸出後に浸出残渣と分離して得られる塩素浸出母液を用いることができる。すなわち、図1より、反応開始時のORP(銀/塩化銀電極規準)が400mV以下であれば、液中の銅イオンは90%が1価の銅イオンで存在する。
上記方法において、前記塩素浸出の終了時において、塩化物水溶液の酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)としては、特に限定されるものではないが、535〜550mVが好ましい。これによって、ニッケルの浸出率を98%以上とすることができる。すなわち、酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)が535mV未満では、ニッケルの浸出率が低い。一方、酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)が550mVを超えると、浸出率は向上するものの、未反応の塩素ガスが槽内より漏洩するため好ましくない。
上記方法の実施態様の一つとしては、上記ニッケル硫化物(A)を、下記の工程(イ)〜(チ)を含むニッケルマットの製錬プロセスを用いて、その工程(ハ)に、装入することにより行なわれることができる。これによって、既存のニッケルマットの製錬プロセスを有効に利用して、湿式ニッケル硫化物からニッケルの回収を行なうことができる。
工程(イ):ニッケルマットを粉砕し、銅イオンを含む電解廃液でレパルプして得たマットスラリーを、塩素浸出母液に装入し、置換浸出を行なう。
工程(ロ):置換浸出後のスラリーを固液分離する。
工程(ハ):工程(ロ)で得られる置換浸出残渣のスラリーに、塩素ガスを吹き込み、塩素浸出する。
工程(ニ):工程(ハ)で得られる塩素浸出母液を工程(イ)に送る。
工程(ホ):工程(ハ)で得られる塩素浸出残渣からイオウを回収する。
工程(ヘ):工程(ロ)で得られる置換浸出終液を浄液し、次いでニッケルを電解採取する。
工程(ト):工程(ヘ)で得られる塩素ガスを回収し、工程(ハ)に送る。
工程(チ):工程(ヘ)で得られる電解廃液を工程(イ)に送る。
図2は、本発明の一例を表すニッケル硫化物(A)とニッケルマットを原料として用いてニッケルを回収する製錬プロセスの工程図を表す。
図2において、置換浸出工程1では、置換終液6と置換浸出残渣7が形成される。ここで、粉砕されたニッケルマット5を電解廃液11でレパルプして得られたマットスラリーと塩素浸出母液9とが混合され、塩素浸出母液9中に含まれる銅イオンと、スラリーのマット中のニッケルとが置換反応を起こし、銅イオンは硫化銅として析出し、置換浸出残渣7中に含まれる。
塩素浸出工程2では、通常2槽以上の反応槽が用いられ、塩素浸出残渣8と塩素浸出母液9が形成される。ここで、置換浸出残渣7中に含まれる硫化銅及び硫化ニッケル成分と、湿式ニッケル硫化物4と、必要により酸化還元電位の調整のために添加されるスラリー中のマットの金属成分とは、吹き込まれる塩素ガス12によって浸出され、最終反応槽で塩素浸出母液9となる。その後、塩素浸出母液9は、置換浸出工程1に繰返し供給される。ここで、前記金属成分としては、ニッケルのほかに、コバルトなどが含まれている。また、置換浸出残渣7及び湿式ニッケル硫化物4に含まれていたイオウは殆ど浸出されず、塩素浸出残渣8としてイオウ13の回収工程へ供給される。なお、置換浸出終液6は、浄液され、次いで電解工程3で電気ニッケル10の回収が行なわれる。
電解工程3では、電気ニッケル10のほか、電解廃液11と塩素ガス12が回収され、それぞれ、置換浸出工程1、塩素浸出工程2へ供給される。
以上のように、上記製錬プロセスによれば、湿式ニッケル硫化物を上記塩素浸出工程に装入するので、塩素浸出工程の容量を変更することにより、実操業上、ニッケル処理量の変動にも対応することができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析方法は、ICP発光分析法で行なった。
(実施例1)
湿式ニッケル硫化物(品位:Ni:55質量%、Co:4.5質量%、Cu:<0.1質量%、S:33質量%)と、置換浸出残渣(品位:Ni:30質量%、Co:0.6質量%、Cu:25質量%、S:33質量%)を原料として用いて、回分式操作により塩素浸出を行った。
まず、上記湿式ニッケル硫化物を工程内ニッケル電解廃液(ニッケル濃度:50〜70g/L)でレパルプしたスラリー10m(スラリー濃度:350g/L)と、置換浸出残渣を少量のニッケルを含む工程内薄液でレパルプしたスラリー5m(スラリー濃度:350g/L)とを反応槽へ供給した。次に、銅イオン源として塩素浸出母液を添加し、反応開始時の銅濃度を30g/Lに調整した後に、塩素ガス吹き込んで、反応を開始した。ここで、反応最終時においては、ORP(銀/塩化銀電極規準)が550mVとなるように、塩素ガス吹込み量(最大0.9トン毎時)を調整した。その後、ニッケルとコバルトの浸出率、7時間経過後の総塩素吹込み量を求めた。結果を表2に示す。ここで、置換浸出残渣比率とは、ニッケル硫化物(A)中に含有されるニッケル量と置換残渣(B)中に含有される銅量の比を表す。なお、浸出残渣の品位は、Ni:4.0質量%、CO:0.4質量%であり、イオウの酸化は抑制された。
(実施例2)
湿式ニッケル硫化物のスラリー13.9mと置換浸出残渣のスラリー3.5mを反応槽へ供給したこと、及び反応開始時の銅濃度を25g/Lに調整したこと以外は実施例1と同様に行い、ニッケルとコバルトの浸出率、7時間経過後の総塩素吹込み量を求めた。結果を表2に示す。なお、浸出残渣の品位は、Ni:6.1質量%、CO:0.7質量%であった。
(比較例1)
湿式製錬産ニッケル硫化物スラリー13.5mのみを反応槽へ供給したこと、及び反応開始時の銅濃度を35g/Lに調整したこと以外は実施例1と同様に行い、ニッケルとコバルトの浸出率、7時間経過後の総塩素吹込み量を求めた。結果を表2に示す。なお、浸出残渣の品位は、Ni:20質量%、CO:2.0質量%であった。
Figure 2008240009
表2より、実施例1又は2では、置換浸出残渣を共存させて湿式ニッケル硫化物を塩素浸出し、本発明の方法に従って行われたので、高いニッケル及びコバルトの浸出率と総塩素吹込み量が得られることが分かる。これに対し、比較例1では、置換浸出残渣の共存がなく、これらの条件に合わないので、浸出率及び総塩素吹込み量において満足すべき結果が得られないことが分かる。すなわち、湿式ニッケル硫化物のみでは反応性が劣り、塩素の消費が減り、吹込み量が低下する。
(実施例3)
湿式ニッケル硫化物(品位:Ni:55質量%、Co:4.5質量%、Cu:<0.1質量%、S:33質量%)と、置換浸出残渣(品位:Ni:30質量%、Co:0.6質量%、Cu:25質量%、S:33質量%)を原料として用いて、3槽の反応槽を用いて、連続式操作で塩素浸出を行った。
上記湿式ニッケル硫化物を工程内ニッケル電解廃液(ニッケル濃度:50〜70g/L)でレパルプしたスラリー(スラリー濃度:350g/L)と、置換浸出残渣を少量のニッケルを含む工程内薄液でレパルプしたスラリー(スラリー濃度:350g/L)とを第1槽へ供給し、塩素ガスを吹き込み、反応を開始した。ここで、湿式ニッケル硫化物スラリーと置換浸出残渣スラリーを、置換浸出残渣比率が100:18となるように添加量を調整した。また、ORP(銀/塩化銀電極規準)が480mVに維持するように塩素ガスの吹き込み量を調節した。この間、第1槽の液中銅イオン濃度は30g/Lであった。
第1槽からのスラリーは、第2槽及び最終槽へ流送され、それぞれに塩素ガスが吹き込まれた。なお、最終槽のORP(銀/塩化銀電極規準)が550mVとなるように塩素ガス吹き込み量を調整した。
その後、ニッケルとコバルトの浸出率を求めた。結果を表3に示す。ここで、置換浸出残渣比率とは、ニッケル硫化物(A)中に含有されるニッケル量と置換残渣(B)中に含有される銅量の比を表す。なお、浸出残渣の品位は、Ni:2.0質量%、CO:0.3質量%であり、イオウの酸化は抑制された。
(実施例4)
置換浸出残渣比率が100:14であったこと、及び最終槽のORP(銀/塩化銀電極規準)が535mVであったこと以外は実施例3と同様に行い、ニッケルとコバルトの浸出率を求めた。結果を表3に示す。
(実施例5)
置換浸出残渣比率が100:14であったこと以外は実施例3と同様に行い、ニッケルとコバルトの浸出率を求めた。結果を表3に示す。
Figure 2008240009
表3より、実施例3〜5では、置換浸出残渣を共存させて湿式ニッケル硫化物を塩素浸出し、本発明の方法に従って行われたので、高いニッケル及びコバルトの浸出率が得られることが分かる。また、連続式反応槽を用いた塩素浸出では、最終槽のORP(銀/塩化銀電極規準)が535〜500mVとすることで高い浸出率が得られることが分かる。
以上より明らかなように、本発明のニッケル硫化物の塩素浸出は、塩素浸出に際し、ニッケル硫化物中のイオウの酸化を抑制し、かつニッケル及びコバルトの浸出率を向上させることができるので、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造されたニッケル硫化物の塩素浸出に好適なものである。
塩素浸出の開始時から、塩素浸出の終了時までのORP(銀/塩化銀電極規準)と2価の銅イオン比率の関係を表す図である。 本発明の一例を表すニッケル硫化物(A)とニッケルマットを原料として用いてニッケルを回収する製錬プロセスの工程図である。
符号の説明
1 置換浸出工程
2 塩素浸出工程
3 電解工程
4 湿式ニッケル硫化物
5 ニッケルマット
6 置換終液
7 置換浸出残渣
8 塩素浸出残渣
9 塩素浸出母液
10 電気ニッケル
11 電解廃液
12 塩素ガス
13 イオウ

Claims (5)

  1. ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造したニッケル硫化物(A)を塩素浸出する方法であって、
    前記ニッケル硫化物(A)とともに、ニッケルマットを液中の銅イオンにより置換浸出する工程から得られる銅とニッケルを含む置換残渣(B)を、銅イオンを含む塩化物水溶液中で共存させながら塩素浸出に付すことを特徴とするニッケル硫化物の塩素浸出方法。
  2. 前記ニッケル硫化物(A)と置換残渣(B)との配合割合は、ニッケル硫化物(A)中に含有されるニッケル量と置換残渣(B)中に含有される銅量の比が、100:4〜100:23であることを特徴とする請求項1に記載のニッケル硫化物の塩素浸出方法。
  3. 前記塩素浸出の開始時において、塩化物水溶液の銅イオン濃度は、25〜50g/Lであることを特徴とする請求項1に記載のニッケル硫化物の塩素浸出方法。
  4. 前記塩素浸出の終了時において、塩化物水溶液の酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)は、535〜550mVであることを特徴とする請求項1に記載のニッケル硫化物の塩素浸出方法。
  5. 前記ニッケル硫化物(A)を、下記の工程(イ)〜(チ)を含むニッケルマットの製錬プロセスの工程(ハ)に、装入することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のニッケル硫化物の塩素浸出方法。
    工程(イ):ニッケルマットを粉砕し、銅イオンを含む電解廃液でレパルプして得たマットスラリーを、塩素浸出母液に装入し、置換浸出を行なう。
    工程(ロ):置換浸出後のスラリーを固液分離する。
    工程(ハ):工程(ロ)で得られる置換浸出残渣のスラリーに、塩素ガスを吹き込み、塩素浸出する。
    工程(ニ):工程(ハ)で得られる塩素浸出母液を工程(イ)に送る。
    工程(ホ):工程(ハ)で得られる塩素浸出残渣からイオウを回収する。
    工程(ヘ):工程(ロ)で得られる置換浸出終液を浄液し、次いでニッケルを電解採取する。
    工程(ト):工程(ヘ)で得られる塩素ガスを回収し、工程(ハ)に送る。
    工程(チ):工程(ヘ)で得られる電解廃液を工程(イ)に送る。
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