JP2009046736A - ニッケル硫化物の塩素浸出方法 - Google Patents

ニッケル硫化物の塩素浸出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造されたニッケル硫化物の塩素浸出に際し、ニッケル及びコバルトの浸出率を向上させることができるニッケル硫化物の塩素浸出方法を提供する。
【解決手段】ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造したニッケル硫化物を原料として、銅イオンを含む塩化物水溶液中で塩素浸出する方法であって、下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする。
工程(1):前記ニッケル硫化物を、塩化物水溶液中にレパルプして得られたスラリーに塩酸を添加し、pHを0.4〜0.6に調整する。
工程(2):工程(1)で得られたスラリーに、銅イオンの共存下に塩素ガスを吹き込む。
工程(3):工程(2)で得られたスラリーに、空気を吹き込む。
工程(4):工程(3)で得られたスラリーを固液分離して、ニッケルを含む浸出液と浸出残渣を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、ニッケル硫化物の塩素浸出方法に関し、さらに詳しくは、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造されたニッケル硫化物の塩素浸出に際し、ニッケル及びコバルトの浸出率を向上させることができるニッケル硫化物の塩素浸出方法に関する。
従来、ニッケルの製錬方法として、乾式製錬法で得られたニッケル硫化物、例えば、ニッケルマットを原料にして、塩素浸出法によりニッケルを浸出し、電解採取によって電気ニッケルを得る方法が実用化されていた。
最近の技術開発の進展により、原料鉱石として従来は使用されていなかった低ニッケル品位のニッケル酸化鉱から、湿式製錬法によってニッケル硫化物が生産される(例えば、特許文献1参照。)ようになり、このようなニッケル硫化物も原料として使用することが求められている。しかしながら、湿式製錬法で製造されたニッケル硫化物を、塩素浸出で、マット原料と同じ条件で浸出する場合には、ニッケル及びコバルトの浸出率が大幅に低下するという問題があった。例えば、マットの場合には、塩素浸出におけるニッケルの浸出率は99%程度であるのに対して、湿式製錬法で製造されたニッケル硫化物を使用した場合には、ニッケルの浸出率が90〜95%程度であり、従来と同じ条件によって塩素浸出を実施すると有価金属のロスが多く、操業効率も悪くなるという不具合があった。
この原因は、乾式製錬法によって生産されたマットと湿式製錬法で製造されたニッケル硫化物(以下、湿式ニッケル硫化物という場合がある。)とでは、プロセスが全く異なることから、成分及び性状に大きな違いがある。すなわち、ニッケルマット中のニッケルは、金属、Ni、NiSの形態であるのに対し、湿式ニッケル硫化物は、Niの形態であり、安定な硫化物に比べてイオウが過剰の状態であった。しかも、湿式製錬法で製造されたニッケル硫化物は、通常、銅品位が0.1重量%以下と低いため、この形態と相俟って、イオウが塩素ガスにより酸化され易いものと思われる。このため、イオウの酸化を制御するため、ニッケル及びコバルトの浸出率も低く抑えられることになっていた。
このような湿式ニッケル硫化物の問題点の解決策としては、湿式ニッケル硫化物を銅イオンと置換反応させた後に、溶液と残渣に分離し、該残渣をさらに塩素浸出する方法(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。これによれば、過剰なイオウが銅イオンを硫化して固定すれば、塩素浸出時に優先的酸化が生じにくくなるものとしている。
ところが、湿式ニッケル硫化物には、その他に、酸化物の含有に伴う浸出率の低下という問題があった。すなわち、ニッケルマットは、乾式製錬にて製造されているため極めて安定であり、大気中に放置した場合にも、殆ど酸化されない。しかしながら、湿式ニッケル硫化物は、酸化中和、硫化等の湿式処理工程により製造されているため、粒子が微細で、かつ活性が高いので、原料の保管、及び開封時における空気との接触によって、容易にその一部が酸化ニッケルに自然酸化されている。このように酸化物を含む原料は、従来の、例えば、銅イオンを含む塩化物水溶液中で塩素浸出する方法においても、その酸化反応条件では反応性が悪く、高い浸出率が得られなかった。
このような状況下、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造されたニッケル硫化物の塩素浸出に際し、部分酸化された場合においても、ニッケル及びコバルトの浸出率を向上させることができる塩素浸出方法が求められていた。
特開平6−116660号公報(第1頁、第2頁) 特開2003−82421号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造されたニッケル硫化物の塩素浸出に際し、ニッケル及びコバルトの浸出率を向上させることができるニッケル硫化物の塩素浸出方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造したニッケル硫化物の塩素浸出について、鋭意研究を重ねた結果、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造したニッケル硫化物を原料として、銅イオンを含む塩化物水溶液中で塩素浸出する方法おいて、塩素ガスを吹き込む工程に先立って、該ニッケル硫化物を塩化物水溶液中にレパルプして得たスラリーに、塩酸を添加してpHを特定の値に調整する工程を行なったところ、部分酸化されたニッケル硫化物を用いた場合においても、ニッケル及びコバルトの酸化物を浸出し、ニッケル及びコバルトの浸出率を向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造したニッケル硫化物を原料として、銅イオンを含む塩化物水溶液中で塩素浸出する方法であって、
下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とするニッケル硫化物の塩素浸出方法が提供される。
工程(1):前記ニッケル硫化物を、塩化物水溶液中にレパルプして得られたスラリーに塩酸を添加し、pHを0.4〜0.6に調整する。
工程(2):工程(1)で得られたスラリーに、銅イオンの共存下に、塩素ガスを吹き込む。
工程(3):工程(2)で得られたスラリーに、空気を吹き込む。
工程(4):工程(3)で得られたスラリーを固液分離して、ニッケルを含む浸出液と浸出残渣を得る。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記塩化物水溶液は、塩化ニッケル水溶液、又は銅イオンを含む塩化物水溶液であることを特徴とするニッケル硫化物の塩素浸出方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、前記銅イオンを含む塩化物水溶液は、銅濃度が40〜60g/Lで、ニッケル濃度が100〜160g/Lであることを特徴とするニッケル硫化物の塩素浸出方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記工程(1)の温度は、90〜100℃あることを特徴とするニッケル硫化物の塩素浸出方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、前記工程(2)の温度は、90〜100℃あることを特徴とするニッケル硫化物の塩素浸出方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、前記工程(3)の温度は、95〜105℃あることを特徴とするニッケル硫化物の塩素浸出方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、前記工程(3)において、空気の吹き込みは、pHが0.6〜1.0になるまで行なうことを特徴とするニッケル硫化物の塩素浸出方法が提供される。
本発明のニッケル硫化物の塩素浸出方法は、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造したニッケル硫化物を原料として、銅イオンを含む塩化物水溶液中で塩素浸出する方法において、塩素ガスを吹き込む工程に先立って、該ニッケル硫化物を、塩化物水溶液中にレパルプして得られたスラリーに塩酸を添加して特定のpHに調整する工程を行なうことにより、部分酸化された湿式ニッケル硫化物を原料として用いた場合においても、ニッケル及びコバルトの酸化物を浸出し、ニッケル及びコバルトの浸出率を向上させることができるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明のニッケル硫化物の塩素浸出方法を詳細に説明する。
本発明のニッケル硫化物の塩素浸出方法は、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造したニッケル硫化物を原料として、銅イオンを含む塩化物水溶液中で塩素浸出する方法であって、下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする。
工程(1):前記ニッケル硫化物を、塩化物水溶液中にレパルプして得られたスラリーに塩酸を添加し、pHを0.4〜0.6に調整する。
工程(2):工程(1)で得られたスラリーに、銅イオンの共存下に、塩素ガスを吹き込む。
工程(3):工程(2)で得られたスラリーに、空気を吹き込む。
工程(4):工程(3)で得られたスラリーを固液分離して、ニッケルを含む浸出液と浸出残渣を得る。
本発明において、湿式ニッケル硫化物を塩化物水溶液中にレパルプして得られたスラリーに、塩酸を添加して特定のpHに調整する工程を行なうことが重要である。これによって、部分酸化された湿式ニッケル硫化物を原料として用いた場合においても、ニッケル及びコバルトの酸化物を浸出し、ニッケル及びコバルトの浸出率をニッケルマットの塩素浸出と同等のレベルに向上することができる。さらに、それに続く銅イオンの共存下での塩素浸出において、銅イオンの効果によるイオウの酸化の抑制も同時に行なわれるので、適切な塩素浸出条件を選ぶことができ、一層の浸出率の向上が図られる。すなわち、本発明の方法では、上記した両者の作用が相俟って、高浸出率が達成される。
まず、本発明の方法における浸出反応について、従来行なわれていたマットの銅イオンを含む塩化物水溶液中での塩素浸出法と対比して説明する。
例えば、従来の塩素浸出法におけるニッケルの浸出は、マットと塩素浸出液中の銅イオンとの置換反応により、ニッケルを酸化浸出し、銅を硫化物として還元する置換工程と、得られた置換残渣中に含まれる硫化ニッケル及び硫化銅を、塩素ガスで酸化して得られた2価のCuイオンで酸化浸出する塩素浸出工程によって行なう。ここで、塩素浸出工程では殆どの金属成分が液中に浸出され、イオウを主成分とした塩素浸出残渣が残る。また、置換工程で得られた塩化ニッケル溶液からは、通常、次工程の浄液工程において不純物元素が酸化中和法等によって水酸化物沈殿等として除去される。その後、精製された塩化ニッケル水溶液から、電解採取法によって電気ニッケルが製造される。なお、塩素浸出工程では、電解で発生する塩素ガスを循環使用する。
上記塩素浸出反応は、次の化学反応式1と化学反応式2、3とで表される二段階からなる。
まず、化学反応式1により、塩素ガスが液中へ吸収される。このような反応系では、気固反応が進行し難いのに加え、塩素ガスの液への溶解度が低いことから、塩素ガスの酸化力は、1価の銅イオンを2価の銅イオンへ酸化するのに使われる。
化学反応式1:Cl(g)+2Cu→2Cl+2Cu2+
次いで、化学反応式2による、2価の銅イオンによる金属成分の浸出と、化学反応式3による、置換浸出残渣中の銅の浸出反応が行なわれる。化学反応式3では、化学反応式2の場合と異なり、置換浸出残渣中の銅はCuSとして存在するため、2モルの2価の銅イオンから4モルの1価の銅イオンが生成し、銅イオン濃度が上昇して、浸出反応がさらに促進される。化学反応式3で生成した1価の銅イオンは、化学反応式1で示される塩素ガスの吸収反応に利用されることになる。
化学反応式2:MS(s)+2Cu2+→M2++2Cu+S(s)
(式中、Mは、二価の金属であればよく、代表的なものとしてニッケル、コバルト、銅、鉄、及び亜鉛がある。)
化学反応式3:CuS(s)+2Cu2+→4Cu+S(s)
さらに、同時に、反応条件によっては、望ましくないことではあるが、下記の化学反応式4により、イオウの一部も酸化され、硫酸を生成する。
化学反応式4:S(s)+3Cl(g)+4HO→6HCl+HSO
ところで、このような反応系において、部分酸化された湿式ニッケル硫化物を原料として用いた場合、上記化学反応式2、3は、硫化物の酸化反応であるので、酸化ニッケル等の酸化物の反応には作用しない。
また、化学反応式4によりイオウの酸化に伴い生成されたHSOは、下記の化学反応式5による酸化中和反応によって硫化物原料を浸出することができるが、化学反応式5では、酸素を酸化剤とするので、酸化ニッケル等の酸化物の反応は進まない。
化学反応式5:4H+O+4e→2H
したがって、従来行なわれていたマットの銅イオンを含む塩化物水溶液中での塩素浸出法では、部分酸化された湿式ニッケル硫化物を原料として用いた場合、十分な浸出率が得られない。これに対して、本発明の方法では、部分酸化された湿式ニッケル硫化物を原料とし場合でも、下記の化学反応式6により、該湿式ニッケル硫化物中の酸化ニッケルを塩酸で容易に浸出することができる。しかも、その後、上記したような、従来のマットの銅イオンを含む塩化物水溶液中での塩素浸出法と同様の化学反応式1〜3で表される反応により、硫化物の浸出反応が行なわれる。
化学反応式6:NiO+2HCl→NiCl+H
本発明の方法で用いるニッケル硫化物としては、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造したものであり、例えば、低ニッケル品位のラテライト鉱等のニッケル酸化鉱から、硫酸による高温加圧浸出によりニッケル及びコバルトを浸出し、それらを硫化物として回収する湿式製錬法によるものが用いられるが、特に、原料の保管、及び開封時における空気との接触によって、その一部が酸化ニッケルに自然酸化されたものが好適に用いられる。
湿式ニッケル硫化物の代表的な組成を、表1に示す。なお、酸素品位は、0.5〜2.0重量%である。
Figure 2009046736
上記方法の工程(1)は、上記ニッケル硫化物を、塩化物水溶液中にレパルプして得られたスラリーに塩酸を添加し、pHを0.4〜0.6に調整する工程である。これにより、上記ニッケル硫化物中に含まれる、原料の保管、及び開封時における空気との接触によって自然酸化されて生成された酸化ニッケルが浸出される。
以下に、湿式ニッケル硫化物原料の酸化度合いと塩酸による浸出状況を具体的に説明する。窒素ガス封入(試料1)、大気中24時間放置(試料2)、大気中100℃で4時間乾燥(試料3)及び大気中150℃で4時間乾燥(試料4)と酸化度合いを変えて調製した湿式ニッケル硫化物原料を用いて、レパルプ溶液として工業用水を使用し、それぞれを、スラリー濃度100g/Lとし、90℃の温度下、35容量%の塩酸にてpHを0に調整しながら、30分間放置した後、ニッケルとコバルト合計の浸出率を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2009046736
表2より、試料1から試料4へと酸化程度が進んでいくにつれ、ニッケルとコバルト合計の浸出率も上昇し、これより、塩酸によりニッケルとコバルトの酸化物が効率的に浸出されることが分かる。
上記工程(1)で用いる塩化物水溶液としては、特に限定されるものではなく、ニッケルの浸出液として不都合な不純物元素を含有しない塩化物水溶液が用いられるが、この中で、塩化ニッケル水溶液、又は銅イオンを含む塩化物水溶液が好ましい。
上記塩化ニッケル水溶液としては、特に限定されるものではないが、ニッケル電解廃液等の後続工程から循環使用されるものが好ましい。そのニッケル濃度としては、例えば、50〜70g/Lである。
上記銅イオンを含む塩化物水溶液としては、特に限定されるものではないが、塩素浸出後に浸出残渣と分離して得られる塩素浸出母液等の後続工程からのものが用いられ、例えば、銅濃度が40〜60g/Lで、ニッケル濃度が100〜160g/Lである塩化物水溶液が好ましい。すなわち、銅濃度が40g/L未満では、塩素浸出の開始時、反応初期段階において、塩素ガスの吸収が不十分である。一方、銅濃度が60g/Lを超えると、
それ以上の効果が望めず過剰である。また、ニッケル濃度が100g/L未満では、浸出効果が不十分である。一方、ニッケル濃度が160g/Lを超えると、それ以上の効果が望めず過剰である。
上記工程(1)で用いるpHとしては、0.4〜0.6である。すなわち、pHが0.4未満では、塩酸量が不足であるため、酸化ニッケルの浸出が不十分である。一方、pHが0.6を超えると、それ以上の効果が望めず過剰である。
上記工程(1)で用いる塩酸としては、特に限定されるものではなく、所望の濃度の塩酸溶液が用いられる。
上記工程(1)で用いる温度としては、特に限定されるものではなく、90〜100℃が好ましい。すなわち、温度が90℃未満では、酸化ニッケルの浸出速度が遅い。一方、温度が100℃を超えると、それ以上の効果が望めずコスト的に不利である。
上記方法の工程(2)は、上記工程(1)で得られたスラリーに、塩素ガスを吹き込んで、銅イオンの共存下に、ニッケル硫化物を浸出する工程である。上記工程(2)において、スラリーに、塩素ガスを吹き込む前に、銅イオンを含む塩化ニッケル水溶液等を用いて、液中の銅濃度とニッケル濃度を所定値に調整する。
上記工程(2)において、塩素ガスの吹き込みは、酸化還元電位の測定により制御される。上記酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)としては、特に限定されるものではないが、535〜560mVが好ましい。これによって、ニッケルの浸出率を99%以上とすることができる。すなわち、酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)が535mV未満では、ニッケルの浸出率が低い。一方、酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)が560mVを超えると、浸出率は向上するものの、未反応の塩素ガスが槽内より漏洩するため好ましくない。
上記工程(2)で用いる温度としては、特に限定されるものではなく、90〜100℃が好ましい。すなわち、温度が90℃未満では、ニッケルの浸出速度が遅い。一方、温度が100℃を超えると、それ以上の効果が望めずコスト的に不利である。
上記方法の工程(3)は、上記工程(2)で得られたスラリーに、空気を吹き込む工程である。これによって、液中に過剰に含まれた塩素を除去するとともに、化学反応式5による酸化中和反応によりさらに硫化物の浸出を行なう工程である。このため、上記工程(2)では、ほとんどの硫化物が浸出されるが、工程(3)を行なうことによって、さらに硫化物の浸出効率を向上させることができる。
上記工程(3)で用いる温度としては、特に限定されるものではなく、95〜105℃が好ましい。すなわち、温度が95℃未満では、酸化中和反応の速度が遅く不十分である。一方、温度が105℃を超えると、それ以上の効果が望めずコスト的に不利である。
上記工程(3)において、空気の吹き込みは、特に限定されるものではないが、pHが0.6〜1.0になるまで行なうことが好ましい。これによって、さらに硫化物の浸出が十分に進み、ニッケル浸出率が向上するとともに、後続工程である浸出液の浄液工程での中和剤の使用量が削減される。
上記方法の工程(4)は、上記工程(3)で得られたスラリーを固液分離する工程である。これにより得られたニッケル及びコバルトを含む浸出液は、後続工程の浄液工程によりコバルト、銅、鉄、亜鉛等を分離回収し、さらにニッケル電解工程で処理される。なお、浸出液へのニッケルとコバルト合計浸出率は、従来方法では、90〜95%であるのに対し、98.5〜99.5%と向上し、一方、塩素浸出残渣中のニッケル品位は、従来方法では10重量%程度であるのに対して、2〜4重量%と低下する。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析方法は、EDTA法(キレート滴定法)で行なった。
(実施例1)
大気中で24時間放置して部分酸化された湿式ニッケル硫化物(品位:Ni:60重量%、Co:4.5重量%、Fe:0.5重量%、S:35重量%)を、原料として用いて、下記の工程(1)〜(4)を行なった。
工程(1):
まず、上記湿式ニッケル硫化物を、塩化ニッケル水溶液(Ni:100g/L、Cu:50g/L)でレパルプし、濃度100g/Lのスラリーを調製した。次いで、スラリーを90℃に加熱し、塩酸添加によりpHを0.5に調製しながら2時間反応させた。
工程(2):
上記反応後のスラリーの温度を100℃に加熱し、塩素ガスを吹き込み、酸化還元電位(銀/塩化銀電極規準)を560mVに調整しながら2時間反応させた。
工程(3):
上記反応後のスラリーの温度を100℃に加熱し、pHが0.8になるまで、空気を吹き込んだ。
工程(4):
上記反応後のスラリーをろ過し、浸出液と浸出残渣を得て、それぞれを分析し、ニッケルとコバルト合計浸出率を求めた。
その結果、ニッケルとコバルト合計浸出率は99.0%で、残渣中のNi含有量は1.8%であった。
(比較例1)
上記湿式ニッケル硫化物を、塩化ニッケル水溶液(Ni:100g/L、Cu:50g/L)でレパルプし、濃度100g/Lのスラリーを調製したのち、工程(1)を行なわずに、上記条件で工程(2)〜(4)を行なった。その結果、ニッケルとコバルト合計浸出率は96.5%で、残渣中のNi含有量は6%であった。
以上より、実施例1では、部分酸化された湿式ニッケル硫化物を用いて、塩素ガスの吹き込みによる浸出に先立って、塩酸による浸出工程を行なう本発明の方法の工程に従って行われたので、高いニッケル及びコバルトの浸出率が得られることが分かる。これに対して、比較例1では、塩酸による浸出工程が行なわれなかったので、ニッケル及びコバルトの浸出率において、満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明のニッケル硫化物の塩素浸出方法は、部分酸化された湿式ニッケル硫化物を、銅イオンを含む塩化物水溶液中で塩素浸出するに際し、塩酸による酸化ニッケルの浸出反応が付加されるので、ニッケル及びコバルトの浸出率を向上させることができ、ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造されたニッケル硫化物の塩素浸出方法として好適なものである。

Claims (7)

  1. ニッケル酸化鉱の湿式製錬法により製造したニッケル硫化物を原料として、銅イオンを含む塩化物水溶液中で塩素浸出する方法であって、
    下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とするニッケル硫化物の塩素浸出方法。
    工程(1):前記ニッケル硫化物を、塩化物水溶液中にレパルプして得られたスラリーに塩酸を添加し、pHを0.4〜0.6に調整する。
    工程(2):工程(1)で得られたスラリーに、銅イオンの共存下に、塩素ガスを吹き込む。
    工程(3):工程(2)で得られたスラリーに、空気を吹き込む。
    工程(4):工程(3)で得られたスラリーを固液分離して、ニッケルを含む浸出液と浸出残渣を得る。
  2. 前記塩化物水溶液は、塩化ニッケル水溶液、又は銅イオンを含む塩化物水溶液であることを特徴とする請求項1に記載のニッケル硫化物の塩素浸出方法。
  3. 前記銅イオンを含む塩化物水溶液は、銅濃度が40〜60g/Lで、ニッケル濃度が100〜160g/Lであることを特徴とする請求項2に記載のニッケル硫化物の塩素浸出方法。
  4. 前記工程(1)の温度は、90〜100℃あることを特徴とする請求項1に記載のニッケル硫化物の塩素浸出方法。
  5. 前記工程(2)の温度は、90〜100℃あることを特徴とする請求項1に記載のニッケル硫化物の塩素浸出方法。
  6. 前記工程(3)の温度は、95〜105℃あることを特徴とする請求項1に記載のニッケル硫化物の塩素浸出方法。
  7. 前記工程(3)において、空気の吹き込みは、pHが0.6〜1.0になるまで行なうことを特徴とする請求項1に記載のニッケル硫化物の塩素浸出方法。
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