JP6683910B2 - 塩化ニッケル水溶液の精製方法 - Google Patents

塩化ニッケル水溶液の精製方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6683910B2
JP6683910B2 JP2016132642A JP2016132642A JP6683910B2 JP 6683910 B2 JP6683910 B2 JP 6683910B2 JP 2016132642 A JP2016132642 A JP 2016132642A JP 2016132642 A JP2016132642 A JP 2016132642A JP 6683910 B2 JP6683910 B2 JP 6683910B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nickel
reaction tank
iron
nickel chloride
aqueous solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016132642A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018003104A (ja
Inventor
亨紀 鈴木
亨紀 鈴木
秀明 西原
秀明 西原
二郎 早田
二郎 早田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2016132642A priority Critical patent/JP6683910B2/ja
Publication of JP2018003104A publication Critical patent/JP2018003104A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6683910B2 publication Critical patent/JP6683910B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Description

本発明は、塩化ニッケル水溶液の精製方法に関する。さらに詳しくは、塩化ニッケル水溶液に含まれる鉄および砒素を酸化中和法により除去する方法に関する。
ニッケルは、合金材料、めっき材料、二次電池材料など、日常生活や産業を支える重要な素材として広く用いられている。
鉱物資源や二次資源からニッケルを分離、濃縮するニッケル製錬法として、乾式製錬法と湿式製錬法とが知られている。乾式製錬法はニッケル鉱石やニッケル精鉱を溶鉱炉や電気炉などの乾式炉で溶解処理する方法である。湿式製錬法はニッケル鉱石やニッケル精鉱に含まれるニッケルを水溶液中に浸出し、不純物を除去してニッケルを回収する方法である。
ニッケルの湿式製錬法として、酸浸出法、アルカリ浸出法、塩素浸出法など、種々の方法が知られている。これらのうち塩素浸出法のプロセスとして、ニッケルマットおよびニッケル・コバルト混合硫化物を塩素ガスの酸化作用を利用して浸出し、得られた塩化ニッケル水溶液を用いて電解採取することにより電気ニッケルを得るプロセスが実用化されている(例えば、特許文献1)。
上記の湿式製錬プロセスには、塩化ニッケル水溶液から不純物である鉄および砒素を除去する脱鉄工程が含まれる。脱鉄工程では、塩化ニッケル水溶液に含まれる鉄および砒素を酸化中和法により除去する(例えば、特許文献2)。
脱鉄工程では鉄の水酸化物沈殿が生成されると同時に、微量ながらニッケルも沈殿する。脱鉄澱物は、その主成分が鉄であるから、乾式炉で処理してスラグやクリンカーといった安定した形態で払い出される。そのため、脱鉄澱物にニッケルが含まれていると、その分だけニッケルロスとなる。
特開2012−026027号公報 特開2008−013388号公報
本発明は上記事情に鑑み、鉄および砒素を除去できるとともに、ニッケルロスを低減できる塩化ニッケル水溶液の精製方法を提供することを目的とする。
第1発明の塩化ニッケル水溶液の精製方法は、少なくとも鉄および砒素を含む塩化ニッケル水溶液に酸化剤および中和剤を添加して、酸化中和反応により脱鉄澱物を生成するにあたり、一または複数の前段反応槽と、該前段反応槽の下流に接続された一または複数の後段反応槽とを用いて酸化中和反応を行い、前記前段反応槽では、塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を400mV以上、500mV以下、pHを1.6以上、2.0以下に調整して、水酸化鉄を生成し、前記後段反応槽では、塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を1,000mV以上、1,100mV以下、pHを1.95以上、2.20以下に調整することを特徴とする。
第2発明の塩化ニッケル水溶液の精製方法は、第1発明において、前記前段反応槽における鉄除去率を40%以上とすることを特徴とする。
第3発明の塩化ニッケル水溶液の精製方法は、第1発明において、前記前段反応槽における鉄除去率を46%以上とすることを特徴とする。
第4発明の塩化ニッケル水溶液の精製方法は、第1、第2または第3発明において、前記酸化剤は塩素ガスであり、前記中和剤は炭酸ニッケルスラリーであることを特徴とする。
本発明によれば、前段反応槽は水酸化ニッケル(III)沈殿が生成し難い条件であるので、工程全体としてニッケルの沈殿量を抑えることができる。その結果、ニッケルロスを低減できる。
脱鉄工程の詳細工程図である。 脱鉄反応pH−電位図である。 湿式製錬プロセスの全体工程図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の一実施形態に係る塩化ニッケル水溶液の精製方法は、ニッケルの湿式製錬プロセスの脱鉄工程に好適に適用される。なお、本実施形態の精製方法は、少なくとも鉄および砒素を含む塩化ニッケル水溶液に酸化剤および中和剤を添加して、酸化中和反応により脱鉄澱物を生成する工程であれば、いかなるプロセスの工程にも適用し得る。以下、ニッケルの湿式製錬プロセスの脱鉄工程を例に説明する。
(湿式製錬プロセス)
まず、図3に基づき、ニッケルの湿式製錬プロセスを説明する。
湿式製錬プロセスでは、原料であるニッケル硫化物として、ニッケルマットとニッケル・コバルト混合硫化物(MS:ミックスサルファイド)との2種類が用いられる。
ニッケルマットは乾式製錬により得られる。具体的には、ニッケルマットは硫鉄ニッケル鉱を熔錬することで得られる。
ニッケル・コバルト混合硫化物は湿式製錬により得られる。具体的には、低品位ラテライト鉱などのニッケル酸化鉱石を加圧酸浸出(HPAL:High Pressure Acid Leaching)し、浸出液から鉄などの不純物を除去した後、硫化水素ガスを浸出液に吹き込んで硫化反応によりニッケル・コバルト混合硫化物を得る。
まず、ニッケル・コバルト混合硫化物と後述のセメンテーション残渣とからなるスラリーを塩素浸出工程に供給する。塩素浸出工程では、浸出槽に吹き込まれる塩素ガスの酸化力によって、スラリー中の固形物に含まれる金属が実質的に全て液中に浸出される。塩素浸出工程から排出されたスラリーは浸出液と浸出残渣とに固液分離される。
ニッケルマットは、粉砕工程において粉砕した後、レパルプしてマットスラリーとし、セメンテーション工程に供給する。セメンテーション工程には塩素浸出工程で得られた浸出液が供給されている。浸出液には目的金属であるニッケルやコバルトのほか、不純物として銅、鉄、鉛、マンガンなどが含まれている。
浸出液には2価の銅クロロ錯イオンが含まれている。ニッケルマットの主成分は二硫化三ニッケル(Ni32)と金属ニッケル(Ni0)である。セメンテーション工程では、浸出液とニッケルマットとを接触させて、銅とニッケルとの置換反応を行う。これにより、ニッケルマット中のニッケルが液に置換浸出され、浸出液中の銅イオンが硫化銅(Cu2S)または金属銅(Cu0)の形態で析出する。固液分離により得られたセメンテーション残渣は塩素浸出工程に供給される。
セメンテーション工程から得られたセメンテーション終液からは、脱鉄工程において不純物である鉄および砒素が除去される。脱鉄工程の詳細は後に説明する。
脱鉄工程から得られた液を抽出始液として溶媒抽出工程に供給する。溶媒抽出工程では、抽出始液に含まれるコバルトを溶媒抽出により分離し、塩化ニッケル水溶液と塩化コバルト水溶液とを得る。
塩化ニッケル水溶液は浄液工程を経てさらに不純物除去されて高純度塩化ニッケル水溶液となる。高純度塩化ニッケル水溶液は電解給液としてニッケル電解工程に供給される。ニッケル電解工程では電解採取により電気ニッケルが製造される。
塩化コバルト水溶液は浄液工程を経てさらに不純物除去されて高純度塩化コバルト水溶液となる。高純度塩化コバルト水溶液は電解給液としてコバルト電解工程に供給される。コバルト電解工程では電解採取により電気コバルトが製造される。
(脱鉄工程)
つぎに、図1に基づき、脱鉄工程を説明する。
脱鉄工程は酸化中和工程と、固液分離工程とからなる。
酸化中和工程に供給される塩化ニッケル水溶液は、前述のセメンテーション終液であり、目的金属であるニッケル、コバルトのほか、不純物として鉄および砒素が含まれている。
酸化中和工程では、塩化ニッケル水溶液に酸化剤を作用させて酸化還元電位を調整しつつ、中和剤を添加してpHを調整する。ここで、酸化剤として、例えば塩素ガスが用いられる。また、中和剤として、例えば炭酸ニッケルスラリーが用いられる。酸化中和反応により塩化ニッケル水溶液に含まれる鉄を水酸化鉄(III)の沈殿物として析出させるとともに、砒素を共沈させ、澱物スラリーを得る。以下、澱物スラリーに含まれる固形分を脱鉄澱物と称する。
脱鉄澱物中の鉄の化合物形態は厳密には明らかではないが、便宜上、Fe(OH)3であると仮定すると、水酸化鉄(III)沈澱の生成反応は化学式(1)で表される。ここで、中和剤を塩基性炭酸ニッケル(Ni3(CO3)(OH)4・4H2O)としている。
2FeCl2+Cl2+Ni3(CO3)(OH)4・4H2O→2Fe(OH)3+3NiCl2+CO2+3H2O ・・・(1)
また、脱鉄澱物中の砒素の化合物形態は厳密には明らかではないが、便宜上、FeAsO4であると仮定すると、砒素の共沈物の生成反応は化学式(2)で表される。
2FeCl2+2HAsO2+4Cl2+Ni3(CO3)(OH)4・4H2O→2FeAsO4+3NiCl2+6HCl+CO2+5H2O ・・・(2)
水酸化鉄(III)沈澱物の析出と同時に、微量ながらニッケルも沈殿し、脱鉄澱物に含まれる。脱鉄澱物中のニッケルの化合物形態は厳密には明らかではないが、便宜上、Ni(OH)3であると仮定すると、ニッケルの沈殿物の生成反応は化学式(3)で表される。
2NiCl2+Cl2+Ni3(CO3)(OH)4・4H2O→2Ni(OH)3+3NiCl2+CO2+3H2O ・・・(3)
酸化中和工程から得られた澱物スラリーには、約90重量%の液相分が含まれている。澱物スラリーは固液分離工程で脱鉄後液と、脱鉄澱物とに固液分離される。固液分離装置は特に限定されないが、例えばフィルタープレスである。
脱鉄後液は抽出始液として溶媒抽出工程に供給される(図3参照)。脱鉄澱物は、乾式製錬炉やロータリーキルンなどの乾式処理設備で処理され、スラグやクリンカーとして排出される。
このように、脱鉄澱物は系外に排出されるため、脱鉄澱物にニッケルが含まれていると、その分だけニッケルロスとなる。そのため、脱鉄澱物に含まれるニッケルの量を極力抑えることが求められる。
そこで、脱鉄工程の管理指標として鉄ニッケル比率(以下、「Ni/Fe」と称する。)を採用し、ニッケルロスの評価を行っている。Ni/Feは下記の式(4)で定義される。
Ni/Fe(%)=〔脱鉄澱物のNi含有率(重量%)〕÷〔脱鉄澱物のFe含有率(重量%)〕×100% ・・・(4)
Ni/Feを4.0%以下とすることが好ましく、3.5%以下とすることがより好ましい。しかし、従来の酸化中和反応条件、例えば酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準、以下同じ)を1,050〜1,080mV、pHを1.95〜2.00に調整した場合、Ni/Feが4.0%を超えてしまう。
図2に、ニッケル濃度が180g/L、塩素濃度が250g/L、温度が65℃の塩化ニッケル水溶液における鉄およびニッケルの状態図(pH−電位図)を示す。図2より、酸化還元電位が1,050〜1,080mV、pHが1.95〜2.00の条件は、Fe(OH)3およびNi2+の安定領域であり、Ni(OH)3は安定して存在しないことが分かる。
しかし、酸化剤として塩素ガス、中和剤として炭酸ニッケルを用いると、酸化中和反応が気体−液体反応および固体−液体反応となり、反応槽内の化学的環境(酸化還元電位、pH)が大きくバラつく。その結果、局所的にNi(OH)3の安定領域となることがありNi(OH)3が生成される。生成されたNi(OH)3は周囲の化学的環境がNi2+の安定領域に戻ったとしても十分に再溶解されない場合があり、そうすると脱鉄澱物にNi(OH)3が含まれることになる。その結果、Ni/Feが4.0%を超える。
そこで、本実施形態では以下のように酸化中和工程を操業する。
本実施形態では、複数の反応槽を用いて酸化中和反応を行う。複数の反応槽のうち、上流側の反応槽を前段反応槽と称し、下流側の反応槽を後段反応槽と称する。前段反応槽と後段反応槽とは直列に接続され、後段反応槽は前段反応槽の下流に接続されている。前段反応槽は一つでもよいし複数でもよい。後段反応槽も一つでもよいし複数でもよい。もっとも単純な構成は一つの前段反応槽と、一つの後段反応槽とが直列に接続された構成である。
前段反応槽では、塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位を400mV以上、500mV以下、pHを1.6以上、2.0以下に調整する。後段反応槽では、塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位を1,000mV以上、1,100mV以下、pHを1.95以上、2.20以下に調整する。
前段反応槽における鉄除去率を40%以上とし、後段反応槽における鉄除去率を60%以下とすれば、Ni/Feを4.0%以下とすることができる。また、前段反応槽における鉄除去率を46%以上とし、後段反応槽における鉄除去率を54%以下とすれば、Ni/Feを3.5%以下とすることができる。
ここで、鉄除去率は下記の式(5)および(6)で定義される。
前段反応槽における鉄除去率(%)=(〔反応始液のFe含有量〕−〔前段反応後液のFe含有量〕)÷(〔反応始液のFe含有量〕−〔脱鉄後液のFe含有量〕)×100% ・・・(5)
後段反応槽における鉄除去率(%)=(〔前段反応後液のFe含有量〕−〔脱鉄後液のFe含有量〕)÷(〔反応始液のFe含有量〕−〔脱鉄後液のFe含有量〕)×100% ・・・(6)
前段反応槽における鉄除去率は、後段反応槽に流入するスラリーを採取して、濾紙と漏斗を用いて脱鉄澱物を濾別して得た濾液を、分析装置で分析することによって測定できる。分析装置としては、例えば、ICP発光分光分析装置、原子吸光光度計、蛍光X線分析装置を用いることができる。
測定された鉄除去率に基づいて、前段反応槽における酸化還元電位とpHとを前記の範囲内で調整する。すなわち、鉄の除去率が40%未満であれば、酸化還元電位とpHとを前記の範囲内で上昇させる。
前段反応槽では、化学的環境をNi(OH)3の安定領域からなるべく遠ざけるように、酸化還元電位およびpHを低く調整する。酸化還元電位およびpHはFe2+の安定領域に調整される。しかし、局所的に見ればFe(OH)3の安定領域となることがあるので、Fe(OH)3沈澱物が生成される。また、局所的に見てもNi(OH)3の安定領域となることがほとんどないのでNi(OH)3が生成され難い。一方、このような条件では砒素が共沈し難い。そこで、後段反応槽では酸化還元電位およびpHを上昇させて砒素を共沈させる。これにより、塩化ニッケル水溶液から鉄と砒素とを除去する。
後段反応槽ではNi(OH)3も沈殿するが、後段反応槽における滞留時間は酸化中和工程全体の滞留時間に比べて短いので、工程全体としてNi(OH)3の沈殿量を抑えることができる。また、前段反応槽で予め鉄を沈殿させているので、後段反応槽における除去対象物量が減る。そうすると、酸化剤や中和剤の添加量が減るのでNi(OH)3の沈殿量も減る。
さらに、前段反応槽でできるだけ多くの鉄を除去し、後段反応槽における鉄負荷を低減すれば、Ni(OH)3の生成機会を低減できる。すなわち、前段反応槽の鉄除去率を高くし、後段反応槽の鉄除去率を下げることで、Ni/Feを低く抑えることができる。
このように、前段反応槽は水酸化ニッケル(III)沈殿が生成し難い条件であるので、工程全体としてニッケルの沈殿量を抑えることができる。その結果、ニッケルロスを低減できる。
つぎに、実施例を説明する。
(共通の条件)
以下の条件で、ニッケルの湿式製錬プロセスの脱鉄工程の操業を行った。
反応槽:一つの前段反応槽と一つの後段反応槽とが直列に接続されたもの
反応始液の組成:ニッケル濃度が170〜190g/L、コバルト濃度が7〜9g/L、鉄濃度が1.5〜2.5g/L、砒素濃度が10〜30mg/L
反応始液の供給流量:2,000〜3,000L/分
酸化剤:純度100体積%の塩素ガス
中和剤:固形分濃度が約200g/Lの炭酸ニッケルスラリー
pH測定:一般的なガラス電極のpH計を用いて測定
酸化還元電位測定:一般的なAg/AgCl電極のORP計を用いて測定
鉄濃度測定:蛍光X線分析装置を用いて測定
固液分離装置:栗田機械製作所製 HJMF−2B−A型フィルタープレス
(実施例1)
前段反応槽での酸化還元電位を400〜500mV、pHを1.6〜2.0に調整し、後段反応槽での酸化還元電位1,000〜1,100mV、pHを1.95〜2.20に調整した。前段反応槽の鉄除去率を46.8%とした。
その結果、Ni/Feは3.1%であった。また、脱鉄後液の鉄濃度は0.007g/Lであった。
(実施例2)
前段反応槽の鉄除去率を46.6%とした以外は、実施例1と同条件とした。
その結果、Ni/Feは3.5%であった。また、脱鉄後液の鉄濃度は0.006g/Lであった。
(実施例3)
前段反応槽の鉄除去率を45.8%とした以外は、実施例1と同条件とした。
その結果、Ni/Feは3.3%であった。また、脱鉄後液の鉄濃度は0.007g/Lであった。
(実施例4)
前段反応槽の鉄除去率を45.6%とした以外は、実施例1と同条件とした。
その結果、Ni/Feは3.6%であった。また、脱鉄後液の鉄濃度は0.008g/Lであった。
(実施例5)
前段反応槽の鉄除去率を42.0%とした以外は、実施例1と同条件とした。
その結果、Ni/Feは3.8%であった。また、脱鉄後液の鉄濃度は0.007g/Lであった。
(比較例1)
前段反応槽での酸化還元電位およびpHを成り行きとし、後段反応槽での酸化還元電位を1,050〜1,080mV、pHを1.95〜2.00に調整した。前段反応槽の鉄除去率を36.9%とした。
その結果、Ni/Feは4.3%であった。また、脱鉄後液の鉄濃度は0.007g/Lであった。
(比較例2)
前段反応槽の鉄除去率を34.0%とした以外は、比較例1と同条件とした。
その結果、Ni/Feは5.6%であった。また、脱鉄後液の鉄濃度は0.007g/Lであった。
(比較例3)
前段反応槽の鉄除去率を27.6%とした以外は、比較例1と同条件とした。
その結果、Ni/Feは5.2%であった。また、脱鉄後液の鉄濃度は0.012g/Lであった。
(比較例4)
前段反応槽の鉄除去率を20.0%とした以外は、比較例1と同条件とした。
その結果、Ni/Feは5.4%であった。また、脱鉄後液の鉄濃度は0.010g/Lであった。
以上の結果をまとめると表1に示す通りである。
Figure 0006683910
前段反応槽での酸化還元電位を400〜500mV、pHを1.6〜2.0に調整し、後段反応槽での酸化還元電位1,000〜1,100mV、pHを1.95〜2.20に調整し、前段反応槽の鉄除去率を40%以上に調整した実施例1〜5は、いずれもNi/Feが4.0%以下となり、ニッケルの沈殿を十分に抑えられることが確認された。特に、前段反応槽の鉄除去率を46%以上に調整した実施例1、2は、Ni/Feが3.5%以下となり、ニッケルの沈殿をより抑えられることが確認された。また、実施例1〜5は、脱鉄後液の鉄濃度が0.008g/L以下であり、高純度な電気ニッケルを得るために十分な値であった。
一方、比較例1〜4は、いずれもNi/Feが4.0%を超えていた。また、比較例3、4は、脱鉄後液の鉄濃度が0.010g/L以上であり、高純度な電気ニッケルを得るために十分ではなかった。

Claims (4)

  1. 少なくとも鉄および砒素を含む塩化ニッケル水溶液に酸化剤および中和剤を添加して、酸化中和反応により脱鉄澱物を生成するにあたり、
    一または複数の前段反応槽と、該前段反応槽の下流に接続された一または複数の後段反応槽とを用いて酸化中和反応を行い、
    前記前段反応槽では、塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を400mV以上、500mV以下、pHを1.6以上、2.0以下に調整して、水酸化鉄を生成し
    前記後段反応槽では、塩化ニッケル水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を1,000mV以上、1,100mV以下、pHを1.95以上、2.20以下に調整する
    ことを特徴とする塩化ニッケル水溶液の精製方法。
  2. 前記前段反応槽における鉄除去率を40%以上とする
    ことを特徴とする請求項1記載の塩化ニッケル水溶液の精製方法。
  3. 前記前段反応槽における鉄除去率を46%以上とする
    ことを特徴とする請求項1記載の塩化ニッケル水溶液の精製方法。
  4. 前記酸化剤は塩素ガスであり、
    前記中和剤は炭酸ニッケルスラリーである
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の塩化ニッケル水溶液の精製方法。
JP2016132642A 2016-07-04 2016-07-04 塩化ニッケル水溶液の精製方法 Active JP6683910B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016132642A JP6683910B2 (ja) 2016-07-04 2016-07-04 塩化ニッケル水溶液の精製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016132642A JP6683910B2 (ja) 2016-07-04 2016-07-04 塩化ニッケル水溶液の精製方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018003104A JP2018003104A (ja) 2018-01-11
JP6683910B2 true JP6683910B2 (ja) 2020-04-22

Family

ID=60945301

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016132642A Active JP6683910B2 (ja) 2016-07-04 2016-07-04 塩化ニッケル水溶液の精製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6683910B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7396194B2 (ja) 2020-05-18 2023-12-12 住友金属鉱山株式会社 塩化ニッケル水溶液の精製方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018003104A (ja) 2018-01-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5967284B2 (ja) 高純度スカンジウムの回収方法
WO2014181721A1 (ja) スカンジウム回収方法
JP6004023B2 (ja) スカンジウムの回収方法
JP2013194269A (ja) コバルト含有液の不純物除去方法
JP5439997B2 (ja) 含銅鉄物からの銅回収方法
CN102859012A (zh) 处理含镍原料的方法
JP6365838B2 (ja) コバルト・ニッケルの浸出方法
JP2019173107A (ja) テルルの回収方法
JP4801372B2 (ja) 硫酸コバルト溶液からマンガンを除去する方法
JP4962078B2 (ja) ニッケル硫化物の塩素浸出方法
JP4079018B2 (ja) コバルト水溶液の精製方法
JP6953988B2 (ja) 硫化剤の除去方法
JP6898586B2 (ja) 硫化物の浸出方法
JP2008274382A (ja) 塩化コバルト水溶液から鉛の分離方法
JP6683910B2 (ja) 塩化ニッケル水溶液の精製方法
WO2015192234A1 (en) Recovery of zinc and manganese from pyrometallurgy sludge or residues
JP6943141B2 (ja) ニッケル及びコバルトを含む混合硫化物の浸出方法
WO2016084830A1 (ja) 高純度スカンジウムの回収方法
JP2017133050A (ja) スカンジウムの回収方法
JP5423592B2 (ja) 低塩素硫酸ニッケル/コバルト溶液の製造方法
JP6127902B2 (ja) 混合硫化物からのニッケル及びコバルトの浸出方法
JP6149799B2 (ja) ニッケル硫化物の塩素浸出設備および塩素浸出方法
JP5673471B2 (ja) 塩化ニッケル水溶液中の銅イオン除去方法及び電気ニッケルの製造方法
JP6634870B2 (ja) 塩化ニッケル水溶液の脱鉄方法
JP7396194B2 (ja) 塩化ニッケル水溶液の精製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190312

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191108

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191119

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200115

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200218

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200302

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6683910

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150