JP4269693B2 - セレンテルル混合物の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セレンとテルルの混合物から効率よくセレンとテルルを分離する処理方法に関する。本発明の処理方法は、銅電解スライムから貴金属を回収するプロセスにおいて、金抽出後液を還元処理して得た還元滓からセレンテルルと白金族とを分離回収する処理工程において、セレンとテルルの分離方法として好適である。なお、本発明において、セレンテルル混合物とはセレンとテルルの混合物を意味し、例えば脱銅スライムからの金抽出後液から白金族含有残渣を濾別して得られる濾液を中和して生じる沈殿などである。また、セレンテルル白金族含有物とは少なくともセレンとテルルの何れかと白金族元素を含有するものを云い、セレンテルルとはセレンおよび/またはテルルを云う。
【0002】
【従来の技術】
銅製錬の銅電解工程では、電解液に不溶な不純物が残渣として副生する。この副生物中にはPt、Rh、Irなどの白金族元素、セレン、テルル、金、銀、銅がかなりの量含まれており、これらの金属を分離回収する方法がこれまで多数提案されている。例えば、白金族元素は、銀精錬工程からでる銀アノードスライムやこのスライムに硝酸を加えて金以外の金属成分を浸出した後に還元して得たスライムなどから回収されている。従来、これらのスライムを溶解するには、王水による溶解、塩酸と過酸化水素による溶解または塩酸と塩素ガス吹き込みによる溶解が利用されている。
【0003】
ところが白金族元素と共にセレンやテルルが共存しているセレンテルル白金族含有物の場合、これを還元して沈殿させると白金族元素がセレンテルルと化合物を形成してしまい、王水や塩酸および過酸化水素では溶解し難くなって分離回収ができなくなる欠点がある。とくに過酸化水素はセレン化物等の化合物表面で分解するため酸化剤としての効果を殆ど発揮することができない。また、このような化合物を焙焼して酸化セレンや酸化テルルの形で気化分離する方法があるが、その毒性による環境汚染の問題がある。
【0004】
銅電解澱物の金抽出後液に含まれる白金族元素とセレンテルルとを分離する方法として、液中の塩素イオン濃度を1.5モル/L以下とし、60〜90℃の温度下で8〜12%濃度の亜硫酸ガスを液中に吹き込み、白金族元素を還元して沈殿させる方法(特開2001−316735号)や、銅電解スライムの塩酸浸出液から溶媒抽出によって金および白金族を回収した抽出残液に二酸化イオウを導入し、セレンテルルを還元して沈殿させる方法(特許第3087758号、特開2001−207223号)などが知られている。
【0005】
しかし、これらの方法では、塩酸濃度、温度、亜硫酸ガス濃度、亜硫酸ガス量などのセレン還元時に制御するパラメータが多いため制御が難しく、白金族元素とセレンテルルの回収率が低下するなどの問題がある。さらに、二酸化イオウによる二段階還元処理は工程の管理が非常に難しく、しかも何れの沈殿においてもセレンテルルまたは白金族元素の混入が避けられず、二酸化イオウによる還元だけでは分離が不十分である。また、溶媒抽出によって白金族とセレンテルルとを分離する方法はコスト高であり、抽出後の回収処理も煩雑で手間がかかる欠点がある。
【0006】
さらに、銅電解スライムに対して塩酸および二酸化イオウ処理する代わりに硫酸酸性溶液で酸素富化ガス加圧条件下浸出処理する方法(特開平5−311258号)、銅電解スライムに硫酸酸性溶液で酸素富化ガス加圧条件下浸出処理した後、塩素イオン、チオ硫酸ナトリウム溶液処理して脱銀した後、銅を添加する方法(特開平5−311264号)も提案されている。しかし、このような酸素富化ガス加圧条件下に銅を使用する方法は工程管理が難しく、非常なコスト高になり、実用性は乏しいという欠点がある。
【0007】
この他に、酸化剤を用いて金属セレンを酸化し、これをアルカリ金属の炭酸塩または水酸化物で中和してアルカリ金属セレン酸塩を製造する方法(特開昭60−176908号)、セレン含有物をアルカリ金属炭酸塩と反応させて水溶性スラリーにし、これを酸化雰囲気下でばい焼してペレットにした後に水浸出する方法(特開昭56−5306号)、含テルル銅スライムを酸化剤の存在下に鉱酸に溶解し、これにアルカリを加えて銅を沈殿分離した後に中和してテルルを沈殿下する方法(特開昭56−84428号)、銅電解スライム等の原料に塩酸などの強酸処理し、化合物を含むものについては塩素などの酸化剤を併用し、テルルの抽出溶媒としてブチルカルビトールを使用する方法(特開2000−239753号)などが知られている。しかし、これらの方法は工程数が多く、しかも、セレンテルルのの回収効率が低い。
【0008】
さらに、テルルを回収する方法として、銅やニッケルの電解精製で得たアノードスライムを湿式処理して難溶性銀化合物を分離し、これをアンモニア等で浸出して銀を分離し、テルルを含有する残渣を炭酸ソーダで浸出する方法(特開2001−11547号)、金を溶媒抽出した際のテルル含有濾液を還元してセレンを析出させた後に硫酸加圧浸出に戻して脱銅浸出液に浸出させる方法(銅澱物湿式処理技術の確立、資源と素材、Vol.116, p.484,2000年)などがある。しかし、難溶性銀化合物からテルルを回収する方法はテルルの移行率が低いち云う問題がある。また、テルルを含む濾液を加圧浸出に戻す方法はテルルがメタル状であると浸出が不十分になり、プロセス内の滞留量が増えてしまうという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の上記処理方法の問題を解決したものであり、セレンとテレルの混合物について、セレンおよびテレルを銅と合金化し、さらにこれを銅電解して電気銅を回収する一方、セレンおよびテルルをスライム化し、この銅電解スライムの浸出処理によってテルルを溶出してセレンと分離し、効率よくセレンとテルルを処理できるようにした処理方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の構成からなるセレンテルル混合物の処理方法に関する。
〔1〕セレンテルル混合物を銅熔錬工程に導入してセレンおよびテルルと銅を合金化し、これを銅電解して電気銅を回収する一方、セレンおよびテルルを銅電解スライムに蓄積させ、この銅電解スライムを硫酸酸化浸出してテルルを溶出させることによって、テルルを浸出残渣に残るセレンと分離することを特徴とするセレンテルル混合物の処理方法。
〔2〕セレンテルル混合物が、銅製錬工程で得られるセレンとテルルおよび白金族の含有物を処理したものであって、銅製錬工程で得られる上記含有物を高温下でアルカリ浸出し、セレンおよびテルルを含む浸出液と白金族を含む浸出残渣とに分離するアルカリ浸出工程の後に、この浸出液に硫酸または塩酸を加えて中和し、生成した沈殿物である上記 [ ]に記載するセレンテルル混合物の処理方法。
〔3〕上記 [ ] の処理方法において、銅製錬工程で得られるセレンとテルルおよび白金族の含有物が、脱銅電解精錬スライムの塩酸浸出液から溶媒抽出によって金を分離した抽出残液の還元処理による沈澱物(還元処理滓)であるセレンテルル混合物の処理方法。
〔4〕上記 [ ] の処理方法において、銅製錬工程で得られるセレンとテルルおよび白金族の含有物が、脱銅電解精錬スライムの塩酸浸出液から溶媒抽出によって金を分離した抽出残液の還元処理滓をさらに処理したものであり、該還元処理によって先に沈澱したセレン滓をさらに蒸留した蒸留残をアルカリ溶融したもの、および上記セレン滓の後に沈澱したテルル滓をアルカリ浸出したものであるセレンテルル混合物の処理方法。
〔5〕上記[1]〜上記[4]の何れかに記載する処理方法において、銅電解スライムを硫酸酸化浸出してテルルを溶出させた後に、この浸出液を金属銅に接触させて生成したテルル化銅を回収するセレンテルル混合物の処理方法。
【0011】
【具体的な説明】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の処理方法は、セレンテルル混合物を銅熔錬工程に導入してセレンおよびテルルと銅を合金化し、これを銅電解して電気銅を回収する一方、セレンおよびテルルを銅電解スライムに蓄積させ、この銅電解スライムを硫酸酸化浸出してテルルを溶出させることによって、テルルを浸出残渣に残るセレンと分離することを特徴とするセレンテルルの処理方法である。
【0012】
本発明の具体的な処理工程の一例を図1に示す。図示する処理方法は、セレンテルル混合物としてセレンテルル白金族含有物を用い、これを高温下でアルカリ浸出し、セレンテルルを含む浸出液と白金族を含む浸出残渣とに分離するアルカリ浸出工程の後に、この浸出液に硫酸または塩酸を加えて中和し、セレンテルル混合物を沈殿させ、この混合物を銅熔錬工程に導入してセレンおよびテルルと銅を合金化し、これを銅電解して電気銅を回収する一方、セレンおよびテルルを銅電解スライムに蓄積させ、この銅電解スライムを硫酸酸化浸出してテルルを溶出させることによって、テルルを浸出残渣に残るセレンから分離する。
【0013】
〔セレンテルル混合物〕
本発明の処理方法は、セレンテルル混合物として銅製錬工程でられるセレンテルル白金族含有物を処理したものを用いることができる。具体的には、セレンテルル白金族含有物として、例えば、脱銅電解精錬スライムの塩酸浸出液から溶媒抽出によって金を分離した抽出残液の還元処理滓などを原料として用いることができる。この脱銅電解スライムにはロジウム、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、白金などの白金族元素、金、銀、セレン、テルルなどの有価金属が多量に含まれている。具体的には、セレンテルル白金族含有物は、例えば、脱銅精錬スライムを次のように処理して得られる。まず、脱銅精錬スライムを塩酸および過酸化水素によってスラリーにし、これを濾過して主に銀を含む浸出滓と、金、白金族元素およびセレン、テルルを含む浸出液とに分離する。次に、この浸出液の液性を調整し、DBC等を用いた溶媒抽出によって浸出液から金を分離する。このようにして金を分離した抽出残液には白金族元素およびセレン、テルルが液中に溶存している。そこで、この抽出残液に二酸化イオウ、具体的には例えば亜硫酸ガスを液中のセレン濃度を3g/L以上に保つ量で導入し、セレンを還元して沈殿させ、抽出残液から分離する。セレンを分離した濾液にさらに二酸化イオウを導入し、残りのセレンと共にテルルを還元して沈澱させ、濾別する。
【0014】
本発明はセレンテルル白金族含有物として上記金抽出後液の還元処理滓やさらに蒸留処理した蒸留滓を用いることができる。この他に、セレンテルル白金族含有液として、例えばメッキ工場の排水や製錬排水などのセレンテルルおよび白金族を含有する溶液を用いることができる。
【0015】
なお、上記金抽出後液の還元処理において、セレンとテルルを還元して沈澱させる際、テルルはセレンより還元電位が低く、セレンが沈澱した後にテルルが沈澱するので、セレン沈澱を濾別した後に、この濾液にさらに二酸化イオウを添加してテルルを沈澱化することによってセレンとテルルを分離回収することができる。この還元により白金族元素はセレン、テルルと共に沈殿する。
【0016】
このようにして得たセレンテルル白金族含有物を次のアルカリ浸出工程およびアルカリ溶融工程において処理する。この場合、上記抽出残液の還元によって先に沈澱したセレン滓を蒸留して高純度のセレンを回収し、残物(蒸留残)をアルカリ溶融処理し、その後に沈澱したテルル滓をアルカリ浸出処理するのが好ましい。この蒸留残はセレン化パラジウム等の化合物を形成しており、安定であるためアルカリ浸出してもセレンの溶出が進まない。蒸留滓をアルカリ溶融処理することによってセレンを効率よく処理することができる。一方、テルル滓中のロジウムおよびルテニウムはセレン滓中に含まれる場合よりも相対的に品位が高く、このためアルカリ溶融すると難溶性の酸化物になりやすく、後の塩酸浸出が難しくなる。従って、テルル滓はアルカリ浸出処理するのが好ましい。
【0017】
〔アルカリ浸出工程〕
セレンテルル白金族含有物をアルカリ浸出処理する。アルカリ浸出は1モル/L以上のアルカリ濃度下で行うのが良く、例えば5モル/L〜8モル/Lの範囲が好ましい。アルカリ濃度を1モル/L以上にすることによってpH14以上の強アルカリ性となり、セレンやテルルの酸化還元電位が下がり、常圧下において酸化剤を用いずに、セレンおよびテルルをアルカリ溶液中に溶出させることができる。なお、常温ではこのセレンやテルルの溶出反応の進行が遅いので、60℃以上の温度下、好ましくは80℃程度の温度下で浸出を行うのが適当である。
【0018】
上記アルカリ浸出によって、セレンおよびテルルはアルカリ溶液中に溶出してコロイド状に分散する。一方、ロジウムやパラジウムなどの白金族元素は溶出せずに残留する。これを濾別して、セレンないしテルルの浸出液と、白金族元素を含む固形分とに分離する。
【0019】
上記アルカリ浸出は、セレンテルル白金族含有物を蒸留処理した残物をアルカリ溶融して得た浸出液を加えて行っても良い。セレンテルル白金族含有物を還元処理して得たセレン滓またはこの還元セレン滓を蒸留処理して得た残物に、苛性ソーダ(NaOH)と硝酸ソーダ(NaNO3)の混合物からなるフラックスを添加し、これをフラックスの溶融温度(共晶温度)以上に加熱して溶融する。この加熱溶融によってセレンは主に4価になり、亜セレン酸ソーダ(Na2SeO3)を生じて溶解する。このアルカリ溶融によってセレンテルルが溶解し、これを水浸出してセレンテルルを含む浸出液と白金族を含む浸出残渣とに分離する。この浸出液をセレンテルル白金族含有物のアルカリ浸出工程に加えて前述のアルカリ浸出を行うことができる。このアルカリ溶融工程から得た浸出液を用いることによって、処理工程全体のセレンテルルの回収率を高めることができる。
【0020】
上記アルカリ浸出の固液分離後、セレンテルルを含む濾液に、硫酸または塩酸を加えて中和すると金属セレンないし金属テルルの黒色沈澱を生じ、溶液の色が濃紫色から次第に薄くなり、pH7付近で液は透明になる。これを固液分離することによって金属テルルおよび金属セレンの混合物を回収することができる。この混合物のセレンとテルルの品位は概ね99%以上であり、高品位の金属セレンないし金属テルルを回収することができる。なお、硫酸や塩酸に代えて硝酸を用いると、硝酸の酸化力によってセレンやテルルは酸化溶解するので沈殿化することができない。また、液温は60〜80℃が好ましい。この液温で中和すれば濾過性の良いセレンテルル混合物を得ることができる。
【0021】
本発明の処理方法は、上記セレンテルル混合物を銅熔錬工程に導入してセレンおよびテルルを銅と合金化し、この合金化した銅(粗銅)を電解工程に導入して電気銅を回収し、一方、セレンおよびテルルを他の不溶成分と共に銅電解スライムに蓄積させる。この銅電解は通常の銅電解条件下で実施することができる。銅電解によって高純度の電気銅を得る一方、セレンおよびテルルは粗銅に含まれる他の不溶成分と共に銅電解スライムになる。この銅電解スライムを硫酸で空気酸化して浸出処理(脱銅浸出)すると、スライムに含まれる銅とテルルの大部分が溶出する。この硫酸としては硫酸性電解液を用いることができる。溶出したテルルを含む脱銅浸出液を金属銅に接触させるとテルル化銅を形成するので、テルルをテルル化銅として回収することができる。工業的には溶出したテルルを含む脱銅浸出液を銅チップ塔に通液してテルル化銅を回収するとよい。一方、セレンは浸出残渣(脱銅スライム)中に残るので、この脱銅浸出によってセレンとテルルを分離することができる。
【0022】
上記脱銅浸出の後に、銅とセレンを含む浸出液は銅電解工程に戻して銅を電気銅として回収する。セレンは先に述べたように銅電解スライムに蓄積するので、この銅電解スライムの硫酸酸化浸出(脱銅浸出)を繰り返すことによって、セレンは脱銅スライムに濃縮される。また、この脱銅スライムには金、銀、白金族元素、鉛などの貴金属が多く含まれているので、この脱銅スライムに過酸化水素などの酸化剤と共に塩素ガス、塩酸などを導入して塩化浸出を行うことによって、これらの貴金属を溶解し、各貴金属元素に対応した処理工程を経て回収することができる。
【0023】
上記貴金属の回収工程の一例としては、上記塩化浸出によってスライム中の銀および鉛を塩化物に転じて不溶化する一方、金、白金族元素、セレン、テルルは浸出液中を溶解させ、この浸出液を金および白金族元素などを含有する浸出濾液と銀、鉛を含有する浸出濾滓(銀鉛含有滓)とに固液分離し、先に述べた処理工程などによって銀鉛含有滓から銀と鉛を分離回収する。また、テルルおよび白金族元素を含む浸出濾液から溶媒抽出によって金を分離し、還元して金を回収し、一方、その抽出残液を蒸留処理してセレン、テルルを還元し、この還元滓を用いて本発明の処理を繰り返すことによって、セレンおよびテルルを濃縮して効率よく回収することができる。
【0024】
【実施例】
セレンテルル還元澱物であるセレン白金族含有物(Se65%、Te30%、Pd5%、PtO.5%、Rh0.2%、RuO.4%)1kgに、5モル/Lの苛性ソーダ溶液10Lを混合し、80℃に保持してアルカリ浸出したところ、セレンおよびテルルの大部分は液中に溶解して液は濃い紫色になった。冷却後、濾過して残渣65gを回収した。この濾液の組成はSe:65g/L、Te:30g/Lであり、白金族元素は検出されなかった。この濾液を80℃に保持して硫酸(50%濃度)を加えpH1まで中和したところ、黒色粉末が沈殿した。この沈殿物の組成はSe:68.5%、Te:31.5%であった。また、濾液中のSeおよびTeの濃度はそれぞれ530ppmおよび210ppmであった。この沈殿物を銅熔錬工程に導入して電解精製し、生じたアノードスライムを硫酸性電解液で空気を吹き込んで浸出した。アノードスライム中のTeの大部分が溶け出すので浸出後のスライム中のTe品位は0.5%であった。また、Seは溶け出さないため浸出液中にSeは検出されず、浸出後のスライム中のSe品位は8.3%であつた。この浸出液を銅チップ塔に通液して、液中のTeをテルル化銅として回収した。またスライムに残留したSeや金を塩酸酸化浸出によって溶出させ、金を溶媒抽出した後に、この抽出後液に亜硫酸ガスを導入してセレンを還元し回収した。一方、先のアルカリ浸出残渣を分析したところ、Pd、Pt、Rh、Ruの白金族元素が主成分として確認され、その品位はPd:80%、Pt:8%、Rh:3%、Ru:6%であった。この残渣を塩酸2L、水500mLでリパルプし、液温を70℃に保ちながら、過酸化水素360mLを徐々に添加した。過酸化水素の添加終了後に冷却して濾過し、この濾液を分析したところ、Pd81g/L、Pt7g/L、Rh2.1g/L、Ru2.4g/Lであった。
【0025】
【発明の効果】
本発明の処理方法によれば、セレンテルル混合物を銅熔錬工程に導入してセレンおよびテルルを銅と合金化し、この銅合金を電解することによって高純度の電気銅を回収し、一方、セレンおよびテルルは銅電解スライムに蓄積されるので、これを硫酸酸化浸出(脱銅浸出)して、テルルを液中に浸出させてセレンと分離し、溶出したテルルを金属銅に接触させてテルル化銅として分離回収することができる。また、脱銅浸出残渣に残るセレンは、この残渣に含まれる金等の貴金属回収工程、例えば、金抽出五の還元処理工程において、分離回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理方法の概略を示す工程図。

Claims (5)

  1. セレンテルル混合物を銅熔錬工程に導入してセレンおよびテルルと銅を合金化し、これを銅電解して電気銅を回収する一方、セレンおよびテルルを銅電解スライムに蓄積させ、この銅電解スライムを硫酸酸化浸出してテルルを溶出させることによって、テルルを浸出残渣に残るセレンと分離することを特徴とするセレンテルル混合物の処理方法。
  2. セレンテルル混合物が、銅製錬工程で得られるセレンとテルルおよび白金族の含有物を処理したものであって、銅製錬工程で得られる上記含有物を高温下でアルカリ浸出し、セレンおよびテルルを含む浸出液と白金族を含む浸出残渣とに分離するアルカリ浸出工程の後に、この浸出液に硫酸または塩酸を加えて中和し、生成した沈殿物である請求項1に記載するセレンテルル混合物の処理方法。
  3. 請求項2の処理方法において、銅製錬工程で得られるセレンとテルルおよび白金族の含有物が、脱銅電解精錬スライムの塩酸浸出液から溶媒抽出によって金を分離した抽出残液の還元処理による沈澱物(還元処理滓)であるセレンテルル混合物の処理方法。
  4. 請求項2の処理方法において、銅製錬工程で得られるセレンとテルルおよび白金族の含有物が、脱銅電解精錬スライムの塩酸浸出液から溶媒抽出によって金を分離した抽出残液の還元処理滓をさらに処理したものであり、該還元処理によって先に沈澱したセレン滓をさらに蒸留した蒸留残をアルカリ溶融したもの、および上記セレン滓の後に沈澱したテルル滓をアルカリ浸出したものであるセレンテルル混合物の処理方法。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載する処理方法において、銅電解スライムを硫酸酸化浸出してテルルを溶出させた後に、この浸出液を金属銅に接触させて生成したテルル化銅を回収するセレンテルル混合物の処理方法。
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