JP6810887B2 - セレン、テルル、および白金族元素の分離回収方法 - Google Patents

セレン、テルル、および白金族元素の分離回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、脱銅電解スライム浸出液から金を抽出した後液などに含まれているセレン、テルル、および白金族元素を効率よく分離し回収する処理方法に関する。
銅製錬工程における銅電解工程では、副産物として銅電解スライムが生じる。この銅電解スライム中には、銅と共に微量の金、銀、白金族元素などの貴金属が含まれており、さらにセレンおよびテルルが含まれている。そのため上記貴金属を回収するには不純物として含まれるセレン、テルルを分離する必要がある。
白金族元素からセレンおよびテルルを分離する方法として、非特許文献1に記載されている方法が知られている。この方法は、銅電解スライムを脱銅処理した後に塩化浸出処理して金、白金族元素、セレン、テルルを浸出し、この浸出液に抽出溶媒を接触させて金を抽出する。次いで、金抽出後液に亜硫酸ガスを吹き込み、セレンとテルルと白金族元素を還元滓にして回収し、該還元滓からセレンを蒸留して分離し、テルルと白金族元素を含む蒸留残を回収する。
非特許文献1の上記処理方法は、セレンとテルルと白金族元素を含む還元滓を加熱してセレンを蒸留精製する際に、蒸留セレン中のテルルの含有量が高くなり、高品位のセレンの回収ができない難点があった。そこで、上記還元滓を段階的に形成してセレン等を分離回収する処理方法(特許文献1)、該還元滓をアルカリ溶融してセレンと白金族元素を分離する処理方法(特許文献2)、該還元滓を酸化焙焼してセレンを分離した後にアルカリ浸出ないしアルカリ溶融してテルルと白金族元素を分離する処理方法(特許文献3)などが知られている。
具体的には、特許文献1に記載されている処理方法では、金抽出後液に亜硫酸ガスを吹き込んで還元滓を形成する際に、塩素イオン濃度を1.5モル/L以下に制御してセレンおよびテルルの沈澱を抑制しつつ白金族元素を還元滓にして分離し、次にこの還元滓を分離した液分にさらに亜硫酸ガスを吹き込み、塩素イオン濃度を2モル/L以下および液中のセレン濃度を3g/L以上に制御してテルルの還元を抑制しながらセレンを還元滓にして分離する。さらに、この還元滓を分離した液分にさらに亜硫酸ガスを吹き込んでテルルを還元滓にして分離する。
特許文献2に記載されている処理方法では、金抽出後液に亜硫酸ガスを吹き込んでセレン、テルル、および白金族元素を含む還元滓を形成した後に、この還元滓に苛性ソーダと硝酸ソーダの混合フラックスを添加して加熱溶融し、この溶融物を水浸出して、亜セレン酸ソーダを含む液分と、白金族元素を含む残渣に分離し、残渣の白金族元素を塩酸酸化浸出して回収する。
特許文献3に記載されている処理方法では、金抽出後液などのセレン、テルルおよび白金族元素を含有する溶液を還元処理してセレンとテルルおよび白金族元素が濃縮した還元滓を形成し、該還元滓を酸化焙焼してセレンを選択的に揮発させて分離した後に、焙焼残渣をアルカリ浸出してテルルを浸出させ、あるいはアルカリ溶融と水浸出を組み合わせて行い、浸出残渣に残る白金族元素を回収する。
特開2001−316735号公報 特開2003−268457号公報 特開2016−160479号公報
J. E. Hoffmann et al.、 Proceeding of Copper 95- Cobre 95 International Conference
特許文献1の処理方法は、塩酸濃度、温度、亜硫酸ガス濃度、亜硫酸ガス量などのセレン還元時のパラメータが多いため、制御が難しく、白金族元素とセレン、テルルの回収率が低下するなどの問題がある。特許文献2の処理方法は、セレン、テルル、白金族元素を含む還元滓をアルカリ溶融して水浸出し、セレンを亜セレン酸ソーダ浸出液にして白金族元素を含む残渣と分離するが、アルカリ溶融するとテルルが浸出し難くなり、白金族元素と共に残るので、白金族元素とテルルの分離に手間がかかる。特許文献3の処理方法も同様に、酸化焙焼残渣を直にアルカリ溶融すると、テルルが浸出し難くなると云う問題がある。
本発明の処理方法は、還元滓等を酸化焙焼し、この焙焼残をアルカリ浸出した後にアルカリ溶融することによって、特許文献2、3に記載されている処理方法における上記問題を解決し、また特許文献1のような制御が難しい処理方法とは異なり、テルルと白金族元素との分離性が良く、テルルと白金族元素の浸出率が高く、これらの回収率が高い処理方法を提供する。
本発明は、以下の構成を有する、セレン、テルル、および白金族元素の分離回収方法に関する。
〔1〕金属状のセレン、テルル、および白金族元素を含有する焙焼原料から、セレン、テルル、および白金族元素を分離回収する方法において、
該焙焼原料を酸化雰囲気下で加熱してセレンを選択的に揮発させる酸化焙焼工程、酸化焙焼残をアルカリ溶液に加えてテルルを浸出するアルカリ浸出工程、アルカリ浸出残にアルカリ物質のフラックスを加えて加熱溶融するアルカリ溶融工程、アルカリ溶融物に酸化剤と塩酸を加えて白金族元素を浸出する塩酸酸化浸出工程を有し、
上記酸化焙焼工程において、上記焙焼原料を400℃〜550℃に加熱してセレンを選択的に揮発させ、上記アルカリ浸出工程において、上記酸化焙焼残をアルカリ溶液に懸濁させてpH13以上でテルルを浸出させて固液分離し、テルル浸出液と白金族元素を含むアルカリ浸出残を回収し、上記アルカリ溶融工程において、上記アルカリ浸出残とフラックスの混合物を350℃〜500℃に加熱してアルカリ溶融を行うことを特徴とするセレン、テルル、および白金族元素の分離回収方法。
〔2〕上記アルカリ溶融工程において、フラックスとして水酸化ナトリウムおよび硝酸ナトリウムの何れか又は両方を用い、該フラックス量がアルカリ浸出残に対して重量比で1〜3倍である上記[1]に記載する分離回収方法。
〔3〕上記塩酸酸化浸出工程において、フリーの塩素濃度が4mol/L〜6mol/Lであり、液温が60℃〜70℃である上記[1]または上記[2]の何れかに記載する分離回収方法。
〔4〕上記焙焼原料が、セレン、テルル、および白金族元素を含有する溶液を還元処理してなる還元滓である上記[1]〜上記[3]の何れかに記載する分離回収方法。
以下、本発明の処理方法を具体的に説明する。
本発明の処理方法は、金属状のセレン、テルル、および白金族元素を含有する焙焼原料から、セレン、テルル、および白金族元素を分離回収する方法において、
該焙焼原料を酸化雰囲気下で加熱してセレンを選択的に揮発させる酸化焙焼工程、酸化焙焼残をアルカリ溶液に加えてテルルを浸出するアルカリ浸出工程、アルカリ浸出残にアルカリ物質のフラックスを加えて加熱溶融するアルカリ溶融工程、アルカリ溶融物に酸化剤と塩酸を加えて白金族元素を浸出する塩酸酸化浸出工程を有し、
上記酸化焙焼工程において、上記焙焼原料を400℃〜550℃に加熱してセレンを選択的に揮発させ、上記アルカリ浸出工程において、上記酸化焙焼残をアルカリ溶液に懸濁させてpH13以上でテルルを浸出させて固液分離し、テルル浸出液と白金族元素を含むアルカリ浸出残を回収し、上記アルカリ溶融工程において、上記アルカリ浸出残とフラックスの混合物を350℃〜500℃に加熱してアルカリ溶融を行うことを特徴とするセレン、テルル、および白金族元素の分離回収方法である。本発明の処理方法の概要を図1に示す。
〔焙焼原料〕
焙焼原料として、セレン、テルル、および白金族元素を含有する溶液を還元処理してなる還元滓を用いることができる。例えば、脱銅電解スライムの塩化浸出液から金を抽出した後液にはセレン、テルル、および白金族元素が多く含まれている。セレン、テルル、および白金族元素を含有する溶液に還元剤を添加して撹拌し、液中のセレン、テルル、および白金族元素を還元すれば良い。還元剤は亜硫酸ガス、亜硫酸水素ナトリウム溶液などを用いることができる。還元処理の液温は70℃〜80℃に加熱するのが好ましい。この還元処理によって上記含有液に含まれるセレン、白金族元素、およびテルルはメタルに還元されて析出し、還元滓が形成される。
〔酸化焙焼〕
上記還元滓などの焙焼原料を酸化焙焼してセレンを揮発させる一方、テルルおよび白金族元素を焙焼残渣に残す。酸化焙焼は、大気下ないし空気流通下、400℃〜550℃の焙焼温度が好ましい。焙焼温度が600℃以上では白金族元素が酸化し、後処理の浸出工程において不溶化するので好ましくない。焙焼温度が400℃より低いとセレンが十分に気化しない。焙焼時間は生成する二酸化セレンガスの濃度が低下して頭打ちになれば焙焼を終了すれば良い。
酸化焙焼によって、原料に含まれるセレンは二酸化セレンを生成して気化する。この二酸化セレンガスを苛性ソーダ水溶液に通じて亜セレン酸ソーダを生成させ、該亜セレン酸ソーダを還元して金属セレンを回収することができる。一方、テルルは酸化物になるが、二酸化テルルは上記温度範囲ではほとんど気化しないので白金族元素と共に焙焼残になる。このように酸化焙焼によって、セレンをテルルおよび白金族元素から分離することができる。
〔アルカリ浸出〕
酸化焙焼残にはテルル酸化物および白金族元素が含まれている。この焙焼残をアルカリ浸出してテルルを回収する。例えば、酸化焙焼残を苛性ソーダ溶液などのアルカリ溶液に混合してテルルを浸出させる。このアルカリ浸出はpH13以上の強アルカリ下が好ましい。焙焼残に含まれている酸化テルルは主に4価であり、強アルカリ下で、亜テルル酸イオンを形成して溶出する。アルカリ浸出の液温は25℃〜50℃が好ましい。
アルカリ浸出によってテルルは液中に溶出し、ロジウムやパラジウムなどの白金族元素は溶出せずに残る。なお、セレンは酸化焙焼によって先に分離されているので、テルルのみを選択的に溶出させることができる。これを濾別してテルル浸出液を回収し、該テルル浸出液に硫酸または塩酸を加えて中和すると二酸化テルルの沈澱が生成する。この二酸化テルルの品位は概ね99質量%以上であり、高品位の二酸化テルルを回収することができる。
〔アルカリ熔融〕
アルカリ浸出残にアルカリ物質のフラックスを加えてアルカリ熔融を行う。フラックスとして水酸化ナトリウムおよび硝酸ナトリウムの何れか、または両方を用いると良い。この他に炭酸ナトリウムや過酸化ナトリウムをフラックスとして用いることができる。フラックス量はアルカリ浸出残に対して重量比で1〜3倍が好ましい。溶融温度は350℃〜500℃が好ましく、5〜7時間加熱して熔融すれば良い。
アルカリ熔融によって、アルカリ浸出残に含まれている金属状の白金族元素は、アルカリ複合物、例えばルテニウムはルテニウム酸ソーダの形態になり、次工程の塩酸酸化処理によって浸出され易くになる。このアルカリ熔融はアルカリ浸出後に行うのが好ましい。酸化焙焼残について、アルカリ浸出をせずにアルカリ熔融を行うと、酸化焙焼残に含まれる酸化テルルの大分部が6価になるのでアルカリ熔融後にテルルが水に浸出し難くなり、熔融物が水にほとんど浸出しない。
アルカリ熔融物に酸化セレンが残留している場合には、アルカリ熔融物を水浸出することによって、酸化セレンを浸出させて分離することができる。この水浸出は、アルカリ熔融残に水を加えてスラリーにし、これを70℃〜90℃に0.5〜2時間加熱して行えば良い。アルカリ溶融物に酸化セレンなどが殆ど含まれていない場合には、水浸出を省略して次工程の塩酸酸化浸出を行えば良い。
〔塩酸酸化浸出〕
アルカリ熔融物には白金族元素が含まれているので、該熔融物に過酸化水素などの酸化剤を塩酸と共に添加し、加熱して白金族元素を溶出させる。この塩酸酸化浸出(クロリネーション)によって、白金族元素は塩化物錯体を形成して溶出する。塩酸酸化浸出は、液中のフリーの塩素濃度が4mol/L〜6mol/Lになる範囲が好ましく、液温は60℃〜75℃が好ましい。塩酸濃度が上記範囲より低いと、白金族元素が十分に浸出せず、一方、塩酸濃度が上記範囲より高いと装置の腐食が著しくなり、また、液のろ過性が低下するなど工業的な取り扱いが難しくなる。
白金族の塩化物錯体が含まれる浸出液に、塩化アンモニウム溶液を添加すると白金が塩化白金酸アンモニウムを形成して選択的に沈澱するので、この沈殿を濾別して、800℃〜950℃に加熱して金属白金を回収することができる。
また、塩化白金酸アンモニウムを分離した濾液にはパラジウムなどが残り、この濾液にアンモニア水を添加するとパラジウムを含む沈澱が生成するので、これを回収して800℃以上に加熱すると、スポンジ状の金属パラジウムを得ることができる。ロジウムとルテニウムについても公知の方法によって精製し、回収することができる。
本発明の処理方法によれば、脱銅電解スライムの塩化浸出液の金抽出後液を還元処理した還元滓などから、セレン、テルル、および白金族元素を効率よく分離して回収することができる。本発明の処理方法は、セレン、テルル、および白金族元素の分離性がよい。具体的には、発明の処理方法は、セレンを酸化焙焼によって選択的に気化してテルルおよび白金族元素と分離するので、テルルおよび白金族元素が混入しない高純度のセレンを回収することができる。
また、本発明の処理方法は、セレンを分離した酸化焙焼残をアルカリ浸出してテルルを溶出させるので、テルルの浸出率を高めることができる。また、セレンは酸化焙焼によって先に分離されているので、アルカリ浸出によってセレンが混入しないテルル浸出液を得ることができ、高純度のテルルを回収することができる。
また、本発明の処理方法は、アルカリ浸出した後に、浸出残をアルカリ溶融して浸出残に含まれる白金族元素を塩酸酸化浸出し易い状態にするので、白金族元素の回収率を高めることができる。また、塩酸酸化浸出までにセレンおよびテルルは分離されるので、高純度の白金族元素を回収することができる。
本発明の処理工程の概要を示す工程図
以下、本発明の実施例を比較例と共に示す。セレン、テルル、白金族元素の濃度はICP−AESによって測定した。
〔実施例1〕
焙焼原料100gを焙焼温度450℃、酸素流量1L/min.の条件で4時間酸化焙焼し、焙焼残を得た。この焙焼残中のセレン量は870mgであり、セレン除去率は99%以上であった。この焙焼残を、25℃〜50℃で、NaOH水溶液(NaOH濃度5mol/L)30mL、に懸濁させテルルを浸出し、固液分離して浸出滓を得た。この浸出滓と苛性ソーダと硝酸ナトリウムを重量比で7:5:5となるように混合し、400℃で2時間アルカリ熔融を行った。得られた熔融物を、室温で、蒸留水に浸漬して水浸出を行った。この水浸出残に、過酸化水素水および塩酸を添加し、フリーの塩素濃度が5mol/Lになるようにし、60〜75℃に加熱して塩酸酸化浸出を行った。この浸出後に固液分離して浸出液と浸出残を得た。
焙焼原料、アルカリ浸出液、アルカリ浸出残、アルカリ熔融物、水浸出液、水浸出残、塩酸酸化浸出液、塩酸酸化浸出残に含まれるセレン、テルル、白金族元素の量および浸出率を表1に示した。
浸出率は以下の式によって求めた。浸出率は高いことが望ましく、特に白金族元素は、塩酸酸化浸出残への移行を極力抑えるには浸出率が高いことが望ましい。
成分Xの浸出率(%)=(塩酸酸化浸出液中の成分X含有量/(塩酸酸化浸出液中の成分X含有量+塩酸酸化浸出滓中の成分Xの含有量)×100
Figure 0006810887
〔実施例2〕
酸化焙焼温度を550℃に変え、アルカリ溶湯温度を500℃に変えた他は実施例1と同様にして、酸化焙焼、アルカリ浸出、アルカリ熔融、水浸出、塩酸酸化浸出を行った。塩酸酸化浸出後の浸出液および浸出残に含まれるセレン、テルル、白金族元素の量および浸出率を表2に示した。
Figure 0006810887
〔実施例3〕
酸化焙焼温度を400℃に変え、アルカリ溶融温度を350℃に変えた他は実施例1と同様にして、酸化焙焼、アルカリ浸出、アルカリ熔融、水浸出、塩酸酸化浸出を行った。塩酸酸化浸出後の浸出液および浸出残に含まれるセレン、テルル、白金族元素の量および浸出率を表3に示した。
Figure 0006810887
〔実施例4〕
アルカリ熔融でのフラックス量を1倍、3倍にした他は実施例1と同様にして、酸化焙焼、アルカリ浸出、アルカリ熔融、水浸出、塩酸酸化浸出を行った。塩酸酸化浸出後の浸出液および浸出残に含まれるセレン、テルル、白金族元素の量および浸出率を表4、5に示した。
Figure 0006810887
Figure 0006810887
〔実施例5〕
塩酸酸化浸出でのフリー塩素濃度を4mol/L、6mol/Lにした他は実施例1と同様にして、酸化焙焼、アルカリ浸出、アルカリ熔融、水浸出、塩酸酸化浸出を行った。塩酸酸化浸出後の浸出液および浸出残に含まれるセレン、テルル、白金族元素の量および浸出率を表6、7に示した。
Figure 0006810887
Figure 0006810887
〔比較例1〕
酸化焙焼温度を600℃に変えた他は実施例1と同様にして、酸化焙焼、アルカリ浸出、アルカリ熔融、水浸出、塩酸酸化浸出を行った。塩酸酸化浸出後の浸出液および浸出残に含まれるセレン、テルル、白金族元素の量および浸出率を表8に示した。
Figure 0006810887
〔比較例2〕
酸化焙焼温度を600℃に変え、アルカリ熔融および水浸出を行わず、アルカリ浸出残を塩酸酸化浸出した他は実施例1と同様にして、酸化焙焼、アルカリ浸出、塩酸酸化浸出を行った。塩酸酸化浸出後の浸出液および浸出残に含まれるセレン、テルル、白金族元素の量および浸出率を表9に示した。
Figure 0006810887
〔比較例3〕
アルカリ熔融および水浸出を行わず、アルカリ浸出残を塩酸酸化浸出した他は実施例1と同様にして、酸化焙焼、アルカリ浸出、塩酸酸化浸出を行った。塩酸酸化浸出後の浸出液および浸出残に含まれるセレン、テルル、白金族元素の量および浸出率を表10に示した。
Figure 0006810887
〔比較例4〕
実施例1と同様にして酸化焙焼した後に、アルカリ浸出を行わずに、焙焼残を実施例1と同様にしてアルカリ溶融を行った。この熔融物を蒸留水で浸出したが、熔融物は水にほとんど溶解せず、次工程の塩酸酸化浸出に供すことができなかった。
〔比較例5〕
実施例1と同様の焙焼原料100gを焙焼温度350℃、酸素流量1L/min.の条件で4時間酸化焙焼したが、焙焼が進行せず、るつぼに原料が付着した状態であった。

Claims (4)

  1. 金属状のセレン、テルル、および白金族元素を含有する焙焼原料から、セレン、テルル、および白金族元素を分離回収する方法において、
    焙焼原料を酸化雰囲気下で加熱してセレンを選択的に揮発させる酸化焙焼工程、酸化焙焼残をアルカリ溶液に加えてテルルを浸出するアルカリ浸出工程、アルカリ浸出残にアルカリ物質のフラックスを加えて加熱溶融するアルカリ溶融工程、アルカリ溶融物に酸化剤と塩酸を加えて白金族元素を浸出する塩酸酸化浸出工程を有し、
    上記酸化焙焼工程において、上記焙焼原料を400℃〜550℃に加熱してセレンを選択的に揮発させ、上記アルカリ浸出工程において、上記酸化焙焼残をアルカリ溶液に懸濁させてpH13以上でテルルを浸出させ固液分離し、テルル浸出液と白金族元素を含むアルカリ浸出残を回収し、上記アルカリ溶融工程において、上記アルカリ浸出残とフラックスの混合物を350℃〜500℃に加熱してアルカリ溶融を行うことを特徴とするセレン、テルル、および白金族元素の分離回収方法。
  2. 上記アルカリ溶融工程において、フラックスとして水酸化ナトリウムおよび硝酸ナトリウムの何れか又は両方を用い、該フラックス量がアルカリ浸出残に対して重量比で1〜3倍である請求項1に記載する分離回収方法。
  3. 上記塩酸酸化浸出工程において、フリーの塩素濃度が4mol/L〜6mol/Lであり、液温が60℃〜70℃である請求項1または請求項2の何れかに記載する分離回収方法。
  4. 上記焙焼原料が、セレン、テルル、および白金族元素を含有する溶液を還元処理してなる還元滓である請求項1〜請求項3の何れかに記載する分離回収方法。
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