JP6713706B2 - 溶融塩化物中からのセレン及びテルルの回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融塩化物中に溶解しているセレン(Se)及びテルル(Te)を回収する方法に関する。
溶融塩化物中で酸化物燃料を電解還元するプロセスの概略を図15に示す。溶融塩化物中で酸化物燃料を電解還元処理すると、陰極に装荷された酸化物燃料が金属に還元されるとともに、酸素が溶融塩化物中に溶出する。一方、陽極からは酸素ガスが放出される。電解還元プロセスにおいて陰極及び陽極にて進行する化学反応式を以下に示す。なお、以下の化学反応式(A)において、Xはウラン(U)、プルトニウム(Pu)及びマイナーアクチニド(MA)である。
陰極: XO + 4e → X + 2O2− ・・・(A)
陽極: 2O2− → O +4e ・・・(B)
上記電解還元処理プロセスにおいては、一部の核分裂生成物も溶融塩化物中に溶出する。溶融塩化物中に溶出する核分裂生成物には、セレン及びテルルが含まれており、これらは陰イオンの形態で溶融塩化物中に溶解している。ここで、セレンは長半減期の放射性物質であり、他の物質から分離して安全性を担保しながら別途処理あるいは保管することが望ましい。また、上記電解還元プロセスにおいて、テルルが溶融塩化物中に蓄積すると、やがて電気絶縁性のテルル酸化物として陽極に析出し、電解を妨害する可能性がある。したがって、溶融塩化物中に溶解しているセレン及びテルルは溶融塩化物中から回収する必要がある。
ところが、溶融塩化物等の溶融ハロゲン化物中からセレン及びテルルを回収することを直接的に示す報告例は殆ど存在していない。従来技術を敢えて挙げるとするならば、例えば非特許文献1では、溶融塩化物中でのリチウム(Li)の再生電解プロセスにおいて、銅を陽極として電解を行うことにより、再生電解の継続を妨害すると考えられる溶融塩化物中のテルルをCuTeとして陽極表面に析出させて除去できることが示されている。
電力中央研究所報告T03062(平成16年4月)
しかしながら、非特許文献1に記載の方法を溶融塩化物中からのテルルの回収に適用する場合、電解を行うために電極や電源の準備ならびに電圧制御等の煩雑な操作が必要になる。しかも、CuTeが陽極表面に析出する速度は極めて遅く、回収に多大な時間を要することになる。したがって、電解を利用した回収方法では、実用性に欠けることが明らかである。
そこで、本発明は、電解を行うことなく、セレン及びテルルを溶融塩化物中から簡易に回収することのできる方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、電解を行うことなく、セレン及びテルルを溶融塩化物中から簡易に且つ速やかに回収することのできる方法を提供することを目的とする。
かかる目的を解決するため、本発明者が鋭意検討を行った結果、溶融塩化物中に溶解しているセレンを、CuOやPbO等の金属酸化物と反応させてCuSeやPbSe等のセレン化金属とすることにより溶融塩化物から分離させて回収することが可能であることを知見した。つまり、処理速度の観点から、電解よりも有利であると考えられる化学反応を利用して、溶融塩化物中に溶解しているセレンを回収可能であることを知見した。また、この知見は、セレンと同族の元素であり化学的性質が類似しているテルルに対しても当て嵌まると考えられた。本発明者は、この知見に基づいてさらに種々検討を重ね、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の溶融塩化物中からのセレン及びテルルの回収方法は、溶融塩化物とCu O,PbO,Bi ,NiO又はCdOのいずれかである金属酸化物を接触させ、溶融塩化物中に溶解しているセレン及びテルルを金属酸化物と反応させてセレン化金属及びテルル化金属とすることにより電解を行わないで溶融塩化物から分離させる反応・分離工程と、セレン化金属及びテルル化金属を回収する回収工程とを含むことを特徴としている。
ここで、本発明においては、金属酸化物の比表面積を増大させて金属酸化物と溶融塩化物の接触面積を増大させることが好ましい。また、反応・分離工程において、溶融塩化物を撹拌すること及び金属酸化物を溶融塩化物中で動かすことのいずれか一方又は双方を実施することが好ましい。
また、本発明において、同一の溶融塩化物に対して反応・分離工程及び回収工程を複数回繰り返すようにしてもよい。
本発明によれば、溶融塩化物とCu O,PbO,Bi ,NiO又はCdOのいずれかである金属酸化物を接触させるという簡易な手法により、溶融塩化物中からセレン及びテルルを電解を行わないで回収することが可能となる。したがって、電解を行う場合のように電極や電源の準備ならびに電圧制御等の煩雑な操作を行うことなく、セレン及びテルルを溶融塩化物中から簡易に回収することが可能となる。しかも、回収形態であるセレン化金属及びテルル化金属は、高温の溶融塩化物中においても安定な化合物である。したがって、蒸気圧の高いセレン単体(沸点685℃)やテルル単体(沸点990℃)、揮発性の二酸化セレン(SeO、昇華温度317℃)等を回収形態とした場合と比較して、高温の溶融塩化物中における取り扱いが容易であり、回収しやすいという利点も有している。
また、本発明において、金属酸化物の比表面積を増大させて金属酸化物と溶融塩化物の接触面積を増大させた場合、溶融塩化物中に溶解しているセレン及びテルルと金属酸化物の反応速度を向上させて、セレン化金属及びテルル化金属を速やかに生成させることが可能となる。したがって、反応・分離工程に要する時間を短縮して、溶融塩化物中からセレン及びテルルの回収に要する時間を短縮することが可能になる。
さらに、本発明によれば、反応・分離工程において、溶融塩化物を撹拌すること及び金属酸化物を溶融塩化物中で動かすことのいずれか一方又は双方を実施する場合にも、溶融塩化物中に溶解しているセレン及びテルルと金属酸化物の反応速度を向上させて、セレン化金属及びテルル化金属を速やかに生成させることが可能となる。したがって、この場合にも、反応・分離工程に要する時間を短縮して、溶融塩化物中からセレン及びテルルの回収に要する時間を短縮することが可能になる。
本発明の回収方法の工程概略図である。 CuSeやPbSeからのSe単体の回収フローを示す図である。 実施例において使用した電気化学測定用セルの構成概略図である。 Seを溶解した溶融塩化物中におけるCu電極とカーボン電極のサイクリックボルタモグラムを示す図である。 電解処理用の電極(陽極)として使用したCu板とC板の定電位電解前の状態を示す図面代用写真である。 電解処理時における定電位電解中の電流変化を示す図である。 電解処理用の電極(陽極)として使用したCu板とC板の定電位電解後の状態を示す図面代用写真である。 電解処理後のCu板の先端部をXRD分析した結果を示す図である。 電解処理後のC板をXRD分析した結果を示す図である。 CuO粉末を装荷したMgOるつぼを、Seを溶解した溶融塩化物中に48時間浸漬した後の状態等を示す図面代用写真である。 CuO粉末を装荷したMgOるつぼを、Seを溶解した溶融塩化物中に48時間浸漬した後の、るつぼ上部の析出物とるつぼ底の内容物をXRD分析した結果を示す図である。 CuO粉末又はPbO粉末を装荷したMgOるつぼを用いて化学反応によりSeを回収することを検討した際の、溶融塩化物中Se濃度の経時変化を示す図である。 PbO粉末を装荷したMgOるつぼを、NaSe及びLiOを添加した溶融塩化物中に48時間浸漬した後の状態等を示す図面代用写真である。 PbO粉末を装荷したMgOるつぼを、NaSe及びLiOを添加した溶融塩化物中に48時間浸漬した後の、るつぼ内容物をXRD分析した結果を示す図である。 溶融塩化物中で酸化物燃料を電解還元処理するプロセスの概略図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の溶融塩化物中からのセレン及びテルルの回収方法は、図1に示すように、溶融塩化物と金属酸化物(MO)を接触させ、溶融塩化物中に溶解しているセレン(Se)及びテルル(Te)を金属酸化物と反応させてセレン化金属(MSe)及びテルル化金属(MTe)とすることにより溶融塩化物から分離させる反応・分離工程(S1)と、セレン化金属(MSe)及びテルル化金属(MTe)を溶融塩化物中から回収する回収工程(S2)とを含むようにしている。
<溶融塩化物>
本発明を適用する対象となる溶融塩化物は、例えば、酸化物燃料の電解還元プロセスにおいて生じる溶融塩化物である。酸化物燃料の電解還元プロセスにおいて生じる溶融塩化物には、核分裂生成物であるセレン及びテルルが陰イオンの形態で溶解している。本発明では、溶融塩化物に溶解しているセレン及びテルルを回収する。なお、溶融塩化物自体の組成(つまり、酸化物燃料の電解還元プロセス等に供する前の溶融塩化物の組成)については、例えば、塩化リチウム(LiCl)−塩化カリウム(KCl)共晶塩が挙げられるが、これに限定されるものではなく、塩化リチウムや塩化カルシウム、塩化リチウム−塩化カリウム共晶塩に、溶融塩化物の融点を大きく高めることのない範囲内で、塩化リチウム(LiCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化ルビジウム(RbCl)、塩化セシウム(CsCl)、塩化カルシウム(CaCl)、塩化ストロンチウム(SrCl)、塩化バリウム(BaCl)等から選択される1種以上の塩化物をさらに含むもの等も挙げられる。
<金属酸化物>
本発明では、金属酸化物(MO)として、以下に示す化学反応式(1)及び(2)を進行させることが可能なものが用いられる。
O + Se2− → MSe + O2− ・・・・(1)
O + Te2− → MTe + O2− ・・・・(2)
化学反応式(1)及び(2)を進行させることが可能な金属酸化物(MO)は、例えば以下のようにして決定することができる。
まず、上記化学反応式(1)及び(2)を、溶融塩化物の主成分を考慮した化学反応式に書き換える。例えば、溶融塩化物の主成分が塩化リチウム(LiCl)である場合には、上記化学反応式(1)及び(2)を以下の化学反応式(3)及び(4)に書き換える。
O + LiSe → MSe + LiO ・・・・(3)
O + LiTe → MTe + LiO ・・・・(4)
次に、既知の熱力学データベースを利用して、各種金属酸化物を使用した場合の上記化学反応式(3)及び(4)の標準自由エネルギー変化(ΔG)を計算する。
まず、上記化学反応式(3)について、金属酸化物(MO)として、CuO、Bi、PbO、NiO、CdO、SnO、ZnOを用いた場合の450℃における熱力学データ(熱力学データベース「MALT for Windows」、科学技術社、東京(2004).)と標準自由エネルギー変化(ΔG)の計算結果を表1に示す。表1中、ΔG は標準生成自由エネルギーである。
表1に示す熱力学データから、金属酸化物(MO)として、CuO、Bi、PbO、NiO、CdOを使用することで、上記化学反応式(3)の標準自由エネルギー変化(ΔG)が0未満となり、上記化学反応式(3)を進行させることが可能であることがわかる。
ここで、本発明では、金属酸化物(MO)として上記化学反応式(3)が進行しやすいもの、換言すればセレン化金属(MSe)を速やかに生成させやすいものを選択することが好ましい。これにより、本発明の反応・分離工程(S1)を速やかに完了させることができる。上記化学反応式(3)は、一般的に標準自由エネルギー変化(ΔG)が卑側に大きな値となるほど進行しやすい。したがって、例えば、上記化学反応式(3)の標準自由エネルギー変化(ΔG)が−40kJ/mol以下、好ましくは−50kJ/mol以下、より好ましくは−60kJ/mol以下、さらに好ましくは−70kJ/mol以下となる金属酸化物(MO)を選択する。この基準に基づいて判断すると、金属酸化物(MO)としてCuO、PbO、CdOを使用することが好ましく、CuO、PbOを使用することがより好ましく、CuOを使用することがさらに好ましいと予想される。
次に、上記化学反応式(4)について、金属酸化物(MO)として、CuO、PbO、CdOを用いた場合の450℃における熱力学データ(熱力学データベース「MALT for Windows」、科学技術社、東京(2004).)と標準自由エネルギー変化(ΔG)の計算結果を表2に示す。表2中、ΔG は標準生成自由エネルギーである。
表2に示す熱力学データから、金属酸化物(MO)として、CuO、PbO、CdOを使用した場合、上記化学反応式(4)の標準自由エネルギー変化(ΔG)はいずれも−70kJ/mol未満であり、上記化学反応式(4)を進行させやすいことがわかる。したがって、CuO、PbO、CdOを使用することが好ましいといえる。そして、上記化学反応式(4)は、標準自由エネルギー変化(ΔG)が卑側に大きな値となるほど進行しやすいことを踏まえると、CuO、PbOを使用することがより好ましく、CuOを使用することがさらに好ましいと予想される。
ここで、本発明において使用する金属酸化物(MO)は、回収形態であるセレン化金属(MSe)及びテルル化金属(MTe)から分離が容易な金属Mにより構成されるものとすることが好ましい。これにより、回収形態であるセレン化金属(MSe)及びテルル化金属(MTe)から金属Mを分離して、最終的にセレン単体及びテルル単体として回収することが容易となる。なお、セレン及びテルルは、鉱石(例えば銅や鉛を含む鉱石)等を製錬する過程等で副産物として回収される元素である。したがって、セレン化金属(MSe)やテルル化金属(MTe)から金属Mを分離してセレン単体及びテルル単体を回収する技術は広く確立している。本発明では、このような既知の技術を利用して、回収形態であるセレン化金属(MSe)及びテルル化金属(MTe)から分離が容易な金属Mにより構成される金属酸化物(MO)を選択する。CuO、PbO及びCdOを使用することにより生成されるセレン化金属(CuSe、PbSe及びCdSe)及びテルル化金属(CuTe、PbTe及びCdTe)はいずれも、金属を分離してセレン単体及びテルル単体を回収することが容易である。
<溶融塩化物と金属酸化物の接触形態>
溶融塩化物と金属酸化物との接触形態については、溶融塩化物中に溶解しているセレン及びテルルを金属酸化物と反応させてセレン化金属及びテルル化金属とすることができる限り特に限定されるものではないが、金属酸化物の比表面積を増大させて金属酸化物と溶融塩化物の接触面積を増大させることが好ましい。また、溶融塩化物を撹拌すること及び金属酸化物を溶融塩化物中で動かすことが好ましい。これらにより、溶融塩化物中に溶解しているセレン及びテルルと金属酸化物の反応速度を向上させることができ、セレン化金属及びテルル化金属を速やかに生成させて溶融塩化物から分離させることが可能となる。
金属酸化物の比表面積は、例えば粉体とすることにより増大させることができる。そして、溶融塩化物を収容した槽内に金属酸化物の粉体を直接投入することで、金属酸化物と溶融塩化物の接触面積を増大させて、セレン化金属及びテルル化金属を速やかに生成させることができる。この際、溶融塩化物を撹拌することが好ましい。これにより、セレン化金属及びテルル化金属をさらに速やかに生成させることができる。そして、生成したセレン化金属及びテルル化金属は濾過等を行うことにより溶融塩化物中から回収することができる。あるいは、一定時間経過後に槽の底部から沈殿物を吸引等することにより溶融塩化物中から回収することもできる。
ここで、金属酸化物の粉体を用いる場合、セレン化金属及びテルル化金属の溶融塩化物中からの回収の容易性を考慮して、金属酸化物の粉体を容器に収容してから溶融塩化物に浸漬するようにしてもよい。例えば、容器の一部(例えば上部)を開口して溶融塩化物を浸入可能とした容器(例えばるつぼ)に金属酸化物の粉体を収容し、この容器を溶融塩化物を収容した槽内に浸漬して、一定時間経過後に容器を溶融塩化物から取り出すことにより、セレン化金属及びテルル化金属を回収するようにしてもよい。この際、溶融塩化物(特に、金属酸化物の粉体の近傍の溶融塩化物)を撹拌したり、溶融塩化物中で容器を適宜移動させたりすることが好ましい。これらにより、セレン化金属及びテルル化金属をより速やかに生成させることができる。また、金属酸化物の粉体を収容した複数の容器を溶融塩化物に浸漬するようにしてもよい。これにより、セレン化金属及びテルル化金属をさらに速やかに生成させることができる。
なお、金属酸化物の粉体のような微細粒子は、振動等によって溶融塩化物中に拡散しやすく、回収が煩雑となることがある。そこで、例えば金属酸化物の粉体を表面に担持した基材等を用い、これを溶融塩化物に浸漬するようにしてもよい。そしてこの場合にも、溶融塩化物を撹拌したり、溶融塩化物中で基材等を適宜移動させたり、複数の基材等を溶融塩化物に浸漬したりすることが好ましい。また、基材等を移動させるのではなく、回転、揺動、振動等させるようにしてもよい。あるいは基材等の移動と基材等の回転、揺動、振動等を併用するようにしてもよい。また、ベルトコンベア等の搬送手段を利用し、溶融塩化物中に基材等を通過させることで、金属酸化物を溶融塩化物中で移動させることによる反応速度の向上効果を得ながらも、セレン化金属及びテルル化金属が回収された基材を自動的に取り出すことが可能となるという一挙両得の効果が奏され得る。
また、金属酸化物の粉体ではなく所定の形状(例えば球状や円筒状等)及びサイズの金属酸化物の圧粉体や焼結体を用いるようにしてもよい。この場合、粉体よりも比表面積が小さくなるものの、粉体と比較して溶融塩化物中に拡散しにくいことから、回収が容易となる。また、金属酸化物の圧粉体や焼結体を用いる場合、例えば全面が網状構造の容器内に金属酸化物の圧粉体や焼結体を複数収容して溶融塩化物に浸漬することができるので、容器の全面から溶融塩化物を浸入させて、容器内に収容された金属酸化物の圧粉体や焼結体の表面全体に溶融塩化物を接触させることができ、効率よく反応を進行させることができる。
なお、金属酸化物の比表面積を増大させる方法は、上記の例には限定されず、例えば金属酸化物の多孔質体等を用いることも勿論可能である。
<セレン化金属及びテルル化金属の回収>
回収されたセレン化金属及びテルル化金属からは、金属が分離されてセレン単体及びテルル単体として回収される。
一例として、金属酸化物(MO)としてCuOやPbOを使用した場合の回収形態であるCuSeやPbSeからSe単体を回収する方法について説明する。CuSeやPbSeは酸化焙焼して酸化物に転換することで揮発性のSeOとして分離することができる。この際に生成するCuOやPbOはリサイクル利用が可能である。したがって、二次廃棄物の発生を抑制することができる。SeOは例えば水溶液で捕捉して還元性ガス(例えばSO等)を用いてSeを沈殿させることにより、Se単体として回収することができる。なお、このような方法は、銅精錬や鉛精錬の分野において確立されている技術である。
また、回収されたセレン化金属及びテルル化金属から、セレン単体及びテルル単体を回収する方法は、このような方法には限定されず、既知の方法を適宜採用することができる。
上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では、本発明に使用する金属酸化物(MO)として、CuO、PbO及びCdOを挙げたが、本発明に使用する金属酸化物(MO)は必ずしもこれらに限定されるものではなく、金属酸化物とセレン化金属あるいはテルル化金属との標準生成自由エネルギーの差を上述の実施形態よりもさらに広範囲に亘って検討して、他の金属酸化物を使用するようにしてもよい。
また、本発明において、反応・分離工程(S1)及び回収工程(S2)は、同一の溶融塩化物に対して繰り返し実施するようにしてもよい。上記化学反応式(3)における標準自由エネルギー変化と上記化学反応式(4)における標準自由エネルギー変化を比較すると、上記化学反応式(4)における標準自由エネルギー変化の方がより卑側に大きな値となる。この点を考慮すると、セレンと金属酸化物からセレン化金属が生成される反応よりも、テルルと金属酸化物からテルル化金属が生成される反応の方が優先されると考えられる。したがって、反応・分離工程(S1)及び回収工程(S2)を同一の溶融塩化物に対して複数回繰り返すことで、前半にはテルルが優先的にテルル化金属となって回収され、後半には溶融塩化物中のテルル濃度が低くなってテルルが殆ど回収されることなくセレンがセレン化金属となって回収されることもある。このような現象を利用して、テルルとセレンを分離して回収するようにしてもよい。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に限られるものではない。
[比較例1]
Seを陰極溶解した溶融塩化物を用い、Seを電解によって回収することについて検討した。
(1)電気化学測定用セル
溶融塩化物中からSeを電解によって回収するための検討は、図1に示す電気化学測定用セル11を用いて実施した。
LiCl−KCl共晶塩(Aldrich−APL、モル比Li:K=59:41)74.666gを内径48mmのAlるつぼ12(ニッカトーSSA−S、Al純度99.6%)に入れ、電気炉内で450℃に加熱して溶融して、溶融塩化物13とした。
参照極15はAg/AgCl電極とし、φ6mmの片閉じパイレックス(登録商標)ガラス管15aに1wt%のAgClを含むLiCl−KCl共晶塩15c(Aldrich−APL)を入れ、φ1mmのAg線15b(純度>99.9%)を挿入した構造とした。
対極16は、開口部16a’を持つφ13×9mmのAl管16a(SSA−S)に2.981gのBi−39at%Li合金16cを入れ、φ1mmのMo線16b(純度>99.9%)を挿入した構造とした。
Se電極17は、開口部17a’を持つφ9×7mmの石英管17aに0.253gのSe17d(レアメタリック、純度99.999%)を入れ、φ3mmのグラッシーカーボン(GC)棒17c(東海カーボン)を挿入した構造とした。GC棒17cには、Au線17b(純度>99.9%)を結線した。なお、450℃のLiCl−KCl共晶塩中において、Se(融点217℃、沸点685℃)は液体である。したがって、以降の説明では、Se電極17を液体Se電極17と記載することもある。
作用極18は、φ1mmのCu金属線またはφ3mmのGC棒とした。
溶融塩化物13の温度は、K熱電対をφ6mmのAl管(SSA−S)で被覆して溶融塩化物13中に浸すことにより測定した(図示省略)。
なお、溶融塩化物13を用いた全ての試験は、高純度アルゴンガス雰囲気(水分、酸素とも1ppm以下)に維持されたグローブボックス内で実施した。
電気化学測定等での電位と電流の制御にはPrinceton Applied Research社製 model 273A ポテンショ/ガルバノスタットを、電位の高精度測定にはADVANTEST社製 R8652 デジタルエレクトロメータを用いた。
溶融塩化物13中のSe濃度は、以下のA〜Cの手順で分析した。
A.溶融塩化物13中に SUS棒を挿入し、付着した塩を採取
B.採取した塩試料を2倍に希釈した濃硝酸に入れ、ホットプレートで加熱しながら溶解
C.硝酸濃度を約1Nに調整し、溶液中のSe濃度を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES、サーモサイエンティフィック製iCAP 6300)で分析
(2)電解によるSeの回収の検討
Seを陰極溶解する前に、450℃のLiCl−KCl共晶塩13中におけるCu電極及びGC電極のCV(サイクリックボルタモグラム)を測定し、450℃のLiCl−KCl共晶塩13中におけるCu及びGCの電位窓を明らかにした。
・Cu:−2.45V〜−0.4V(vs. Ag/AgCl電極)
・GC:−1.1V〜+1.2V(vs. Ag/AgCl電極)
CV測定終了後、液体Se電極17を陰極とし、Bi−Li電極16を陽極として50mAで定電流電解を行った。定電流電解時間は合計10400秒とした。なお、定電流電解終了後に採取した溶融塩化物13中のSe濃度をICP−AESで分析した結果、0.277wt%であった。
次に、定電流電解終了後の450℃の溶融塩化物13中におけるCu電極及びGC電極のCV測定を行った。CV測定は、電位を自然電位から貴側に走査し、各電極材料の電位窓の上限を目安とした電位で折り返して卑側に走査し、最後に電位窓の下限を目安として折り返し、元の自然電位に戻した。CV測定結果を図4に示す。
GC電極を用いた場合、最大電流が比較的小さく、−0.25V付近に鋭いカソード電流ピーク(I)、−0.55V付近に比較的幅広いピーク(II)が存在していた。アノード側にもそれらに対応する2つのピーク(IとII)が見られた。
GCはSeと化合物を形成しずらいことが2元系状態図等(T. B. Massalski, Binary Alloy Phase Diagrams, Vol. 1, American Society for Metals, Metals Park, OH, 1986.、T. B. Massalski, Binary Alloy Phase Diagrams, Vol. 2, American Society for Metals, Metals Park, OH, 1986.)から推定される。また、Seの同族元素である硫黄(S)に関して、LiSを溶解したLiCl−KCl共晶塩中でのGC電極のCV測定結果がD.Warinによって報告されており(D. Warin, Z. Tomczuk and D.R. Vissers, “Electrochemical behavior of Li2S in fused LiCl-KCl electrolytes”, J. Electrochem. Soc., 130 (1), 64-70 (1983).)、その波形は図4に示すGC電極の波形とよく似ている。したがって、鋭いカソードピークIでは電極表面の析出物が溶解して以下の化学反応式(5)が進行し、幅広いカソードピークIIcでは溶融塩化物13中の溶存種が還元されて別の溶存種が生成されて以下の化学反応式(6)が進行するものと推定された。また、鋭いカソードピークIに対応するアノードピークIでは、GC電極表面においてSeの析出が起こるものと推定された。
:2Se + 2e → Se 2− ・・・(5)
II:Se 2− + 2e → 2Se2− ・・・(6)
Cu電極を用いた場合、GC電極を用いた場合とはCV波形が大きく異なり、−0.95V付近に大きく鋭いカソードピークIIIが見られ、これに対応する鋭いアノードピークIIIも見られた。これは、安定なセレン化物(例えばCuSe)の生成・分解によるものと考えられる(T. B. Massalski, Binary Alloy Phase Diagrams, Vol. 1, American Society for Metals, Metals Park, OH, 1986.、T. B. Massalski, Binary Alloy Phase Diagrams, Vol. 2, American Society for Metals, Metals Park, OH, 1986.)。
2Cu + Se2− ←→ CuSe + 2e・・・・(7)
したがって、カソードピークIIIでは、CuSeからのSeの溶解が起こり、これに対応するアノードピークIIIでは、Cu電極表面においてCuSeの析出が起こるものと推定された。
次に、定電流電解終了後の溶融塩化物13中で、450℃にて、Se回収のための定電位電解を行った。電極(陽極)はCu板(純度>99.9%、25×3mm、厚さ0.5mm)又はカーボン(C)板(ニラコ、純度99.5%、25×3mm、厚さ1mm)とした。定電位電解前のCu板とC板の写真を図5に示す。これらの電極板は先端部が溶融塩化物13中に浸るように位置を調整した。設定電位は、図4に示すCV測定結果に基づき、Cu板ではセレン化物が生成する−0.50V、C板ではセレンが単体で析出する+0.20Vとした。
図6に定電位電解中の電流変化を示す。Cu板を陽極とした場合には、電解直後は大きな電流が流れたものの、電流は直ちに低下して、以降はわずか2mA程度の電流しか流れなかった。電解を7200s継続したが電気量は合計14.3Cにとどまった。電解後のCu板の写真を図7に示す。Cu板の先端に黒色の付着物が存在していた。これを純水で洗浄したところ、LiCl−KCl塩が溶解して少量の黒色粉末が脱離した。Cu板の先端部は黒色であり、これをXRD(X線回折)法で分析したところ、図8に示すXRDパターンが得られた。Cu金属特有の大きなピーク以外に、CuSeの小ピークが観測された。この結果から、Cu電極を用いることでSeはCuSeの形態で回収できるものの回収速度は遅く、回収物はCu板から容易に脱離することが分かった。回収速度が遅い理由として、Cu表面に生成したCuSeが障害物となって、その後のCuSe生成を妨げるためと考えられる。
C板を陽極とした場合には、定電位電解開始後に電流は徐々に増加し、900s後には約20mAとなった。ここでいったん電解を休止したところ、電流は再開時には低い値に戻ったものの次第に増加した。電解は1929s継続し、電気量は合計27.8Cであった。図7に示したように、電解後の電極の先端は銀色光沢を呈していた。純水で表面を洗浄後に測定したXRDパターンを未使用のC板と比較して図9に示す。Seのピークが見られ、C板ではSeを単体で回収できることが分かった。この結果から、C電極を用いることでSeをSe単体の形態で回収できることが明らかとなった。
また、比較例1における検討では、溶融塩化物13中に酸素(O2−)が殆ど溶け込んでいない。酸化物燃料を溶融塩化物13中で電解還元処理する場合、酸化物燃料から酸素が溶出して溶融塩化物中にO2−が存在することになる。ここで、O2−の存在下ではCの酸化反応によりCO 2−が生成されることが知られている(Y. Sakamura, M. Kurata and T. Inoue, “Electrochemical reduction of UO2 in molten CaCl2 or LiCl", J. Electrochem. Soc., 153 (3), D31-D39 (2006).)。したがって、Cを電極として用いた場合には、Cの酸化反応とSeの析出反応とが競合することになり、Seを効率よく回収することができないものと考えられる。また、Seは蒸気圧が高いため、回収形態をSe単体とした場合には、溶融塩化物13の温度をあまり高くすることはできないという問題もある。
以上の結果を踏まえると、Seが溶解している溶融塩化物13中から電解によりSeを回収するのは望ましくないと考えられる。
[実施例1]
Seを陰極溶解した溶融塩化物を用い、Seを化学反応によって回収することについて検討した。
比較例1の定電流電解終了後の溶融塩化物13中に、CuO粉末0.094gを装荷した小型のMgOるつぼ(図10の(a)を参照)を浸漬し、48時間経過後にMgOるつぼを塩中から取り出した。その結果、MgOるつぼ上部のCu線(φ0.5mm、MgOるつぼを吊り下げるために使用)の周囲に、固化した塩と混ざった黒色の析出物が付着していた(図10の(b)及び(c)右を参照)。さらにMgOるつぼを割って内部を観察したところ、底部には金属銅の色を呈した粉末が存在した(図10の(c)左を参照)。
そこで、るつぼ上部の析出物とるつぼ底の内容物を別々にメノウ乳鉢で粉砕してXRD測定用の試料を作製した。測定されたXRDパターンを図11に示す。るつぼ上部の析出物は、LiCl−KCl塩とCuSeの混合物であることが確認された(図11の(b)を参照)。ただし、同定できない幾つかのピークも見られた。また、るつぼ底の内容物はCu金属であり、CuSeはほとんど含まれていなかった。また、るつぼ底の内容物には、以下の化学反応式(8)及び(9)により生成される副生成物であるLiOと推定されるピークも見られた(図11の(a)を参照)。
CuO + Se2− → CuSe + O2− ・・・(8)
2− + 2 Li → LiO↓ ・・・(9)
CuO粉末を装荷したMgOるつぼを溶融塩化物13に浸漬中、溶融塩化物13を採取してSe濃度の変化を測定した結果を図12に示す。Se濃度は3時間から24時間にかけて減少しており(図12の(a)を参照)、濃度変化からのSe減少量は0.068gと計算された。この値は、上記化学反応式(8)に従ってCuO粉末0.094gの全量が反応した場合の計算値0.052gよりも大きかった。CuOの一部がCu金属に還元された原因としては、グローブボックス内の低O濃度雰囲気下でCuOが分解してOガスが放出された可能性が考えられる。なお、CuSeの生成と並行して一部がCu金属に還元されたとしても、多少の効率低下を容認すれば、CuSeからSeを分離回収するプロセスに実質的な影響はなく、また、ガス雰囲気中のO濃度を少し高めに設定してやればCu金属の生成を抑制する効果が期待できる。
以上の結果から、CuOとの化学反応により、溶融塩化物中に溶解したSeをCuSeとして回収できることが明らかとなった。したがって、処理速度の観点から、電解よりも有利と考えられる化学反応を用いて、溶融塩化物中に溶解しているSeを回収可能であることが明らかとなった。
[実施例2]
NaSeとLiOを溶融塩化物中に溶解し、Seと酸素が溶解している溶融塩化物中からSeを化学反応により回収することについて検討した。
LiCl−KCl共晶塩44.778gを内径48mmのMgOるつぼ(ニッカトーMG−12G、MgO純度99.6%)に入れ、電気炉内で450℃に加熱して塩を溶融した。MgOるつぼを用いた理由は、Alるつぼを用いると溶融塩化物中にLiOを添加することにより腐食が起こるからである。
温度は、φ8mmのMgO管(MG−12G)で被覆したK熱電対で測定した。
そして、NaSe(Alfa Aesar、純度99.8%)を0.303g添加した。NaSe添加後の溶融塩化物中Se濃度を比較例1と同様の方法で測定したところ、0.423wt%であったことから、添加したNaSeの全量が溶融塩化物中に溶解していることが確認できた。
次に、LiO(フルウチ化学、純度99.9%)を0.109g添加した。その結果、溶融塩化物が茶色から白色に変化した。LiO添加後の溶融塩化物中Se濃度を比較例1と同様の方法で測定したところ、LiO添加前には0.423wt%であったSe濃度が、0.385wt%に減少していた。しかしながら、大半のSeは塩中に溶解したままであり、LiOの添加につれてSe2−イオン近傍の構造(イオン配位子など)が変化したものと考えられる。
LiCl−KCl共晶塩にNaSe及びLiOを添加した溶融塩化物中に、0.149gのPbO粉末(Aldrich、純度99.999%)を装荷したMgOるつぼ(図13の(a)を参照)を浸漬した。500℃にて48時間経過後、MgOるつぼを塩中から取り出し、縦半分に割って内部を観察した(図13の(b)及び(c)を参照)。るつぼ下部にPbの酸化物と考えられる橙色の沈殿、その上に灰色の沈殿が2層に分かれて観察された。それぞれを回収してメノウ乳鉢で粉砕し、XRD測定用の試料を作製した。測定されたXRDパターンをPbO試薬(図14の(c)を参照)と比較して図14に示した。上層の灰色沈殿はLiCl−KCl塩とPbSeの混合物であることがわかった(下層の橙色沈殿と共通のピークも存在、図14の(a)を参照)。一方、下層の橙色沈殿については、LiCl−KCl塩以外のピークが多数存在しているものの、既存のXRDデータベースからは物質を同定できなかったが、PbO試薬とは異なる物質であることがわかった(図14の(b)を参照)。
PbO粉末を装荷したるつぼを塩に浸漬中、適宜に溶融塩化物を採取してSe濃度を分析した結果を図12に示す。Se濃度は徐々に減少しており(図12の(b)を参照)、濃度変化から計算したSe減少量0.021gは、0.149gのPbOが全て以下の化学反応式(10)に従って溶融塩化物中のSe2−と反応した場合の減少量の40%に相当する。
PbO + Se2− → PbSe + O2− ・・・(10)
以上、PbOとの化学反応により、溶融塩化物中に溶解したSeをPbSeとして回収できることが明らかとなった。
以上の結果から、溶融塩化物中に酸素が溶解している場合であっても、PbOとの化学反応により、溶融塩化物中に溶解したSeをPbSeとして回収できることが明らかとなった。

Claims (4)

  1. 溶融塩化物とCu O,PbO,Bi ,NiO又はCdOのいずれかである金属酸化物を接触させ、前記溶融塩化物中に溶解しているセレン(Se)及びテルル(Te)を前記金属酸化物と反応させてセレン化金属及びテルル化金属とすることにより電解を行わないで前記溶融塩化物から分離させる反応・分離工程と、前記セレン化金属及び前記テルル化金属を回収する回収工程とを含むことを特徴とする、溶融塩化物中からのセレン及びテルルの回収方法。
  2. 前記金属酸化物の比表面積を増大させて前記金属酸化物と前記溶融塩化物の接触面積を増大させる、請求項1に記載の回収方法。
  3. 前記反応・分離工程において、前記溶融塩化物を撹拌すること及び前記金属酸化物を前記溶融塩化物中で動かすことのいずれか一方又は双方を実施する、請求項1又は2に記載の回収方法。
  4. 同一の前記溶融塩化物に対して前記反応・分離工程及び前記回収工程を複数回繰り返す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の回収方法。
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