JP6945930B2 - 溶融塩化物中に溶解したセレン及びテルルの分離方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融塩化物中に溶解しているセレン(Se)やテルル(Te)を溶融塩化物中から分離する方法に関する。
例えばLiClやCaClなどの溶融塩化物中で酸化物燃料を電解還元するプロセスの概略を図16に示す。溶融塩化物中で酸化物燃料を電解還元処理すると、陰極に装荷された酸化物燃料が金属に還元されると共に、酸素が溶融塩化物中へと溶出/溶解する。一方、陽極からは酸素ガスが放出される。
電解還元プロセスにおいて陰極及び陽極にて進行する化学反応式をそれぞれ以下に示す。なお、以下の化学反応式(A)において、Xはウラン(U),プルトニウム(Pu),或いはマイナーアクチニド(MA)である。
陰極 : XO + 4e → X + 2O2− ・・・(A)
陽極 : 2O2− → O + 4e ・・・(B)
上記の電解還元プロセスにおいては、一部の核分裂生成物も溶融塩化物中へと溶出/溶解する。溶融塩化物中へと溶出/溶解する核分裂生成物にはセレンやテルルが含まれており、これらは陰イオン(即ち、Se2−,Te2−)の形態で溶融塩化物中に溶解している。
ここで、セレンは長半減期の放射性物質であり、他の物質から分離して安全性を担保しながら別途処理あるいは保管することが望ましい。また、上記の電解還元プロセスにおいて、テルルが溶融塩化物中に蓄積すると、電気絶縁性のテルル酸化物として陽極にやがて析出し、電解を妨害する可能性がある。したがって、溶融塩化物中に溶解しているセレンやテルルは溶融塩化物中から分離して回収する必要がある。
ところが、溶融塩化物等の溶融ハロゲン化物中からセレンやテルルを分離して回収することを直接的に示す報告例は殆ど存在していない。従来技術を敢えて挙げると、非特許文献1に、溶融塩化物中でのリチウム(Li)の再生電解プロセスにおいて、銅を陽極として電解を行うことにより、再生電解の継続を妨害すると考えられる溶融塩化物中のテルルをCuTeとして陽極表面に析出させて除去することが示されている。
財団法人電力中央研究所「酸化物燃料の還元技術の開発」,電力中央研究所報告 T03062,平成16年
しかしながら、非特許文献1に記載の方法を溶融塩化物中からのテルルの分離・回収に適用する場合には、電解を行うため、電極や電源の準備並びに電圧制御等の煩雑な操作が必要になる。しかも、CuTeが陽極表面に析出する速度は極めて遅く、分離・回収に多大な時間を要することになる。したがって、電解を利用した分離・回収方法では、実用性に欠けるという問題がある。
そこで、本発明は、電解を行うことなく、セレンやテルルを溶融塩化物中から簡易に分離することができその上効率的に且つ速やかに分離することができる方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、発明者が鋭意検討を行った結果、溶融塩化物中に溶解しているセレンを酸化銅(CuO)や酸化ニッケル(NiO)などの金属酸化物と反応させてCuSeやNiSeなどのセレン化金属とすることによって溶融塩化物から分離させて回収することが可能であることを知見した。
つまり、特に処理速度の観点から電解よりも有利であると考えられる化学反応を利用して、溶融塩化物中に溶解しているセレンを分離可能であることを知見した。
また、この知見は、セレンと同族の元素であって化学的性質が類似しているテルルに対しても当て嵌まると考えられた。
発明者は、この知見に基づいて更に種々検討を重ね、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明の溶融塩化物中に溶解したセレン及びテルルの分離方法は、Cu を収容容器へと装荷すると共に収容容器内のCu へとCuで形成される金属部材を差し入れ、当該Cuで形成される金属部材を差し入れた状態の収容容器を溶融塩化物中に浸漬し、溶融塩化物中に溶解しているセレン(Se)とテルル(Te)とのうちの少なくとも一方をCu と反応させてセレン化金属またはテルル化金属として溶融塩化物から分離することを特徴とする。
また、本発明の溶融塩化物中に溶解したセレン及びテルルの分離方法は、NiOを収容容器へと装荷すると共に収容容器内のNiOへとNiで形成される金属部材を差し入れ、Niで形成される金属部材を差し入れた状態の収容容器を溶融塩化物中に浸漬し、当該溶融塩化物中に溶解しているセレン(Se)とテルル(Te)とのうちの少なくとも一方をNiOと反応させてセレン化金属またはテルル化金属として溶融塩化物から分離することを特徴とする。
したがって、この方法によると、電解を行うことなく、溶融塩化物とCu OまたはNiOとを接触させるという簡易な手法により、溶融塩化物中からセレンやテルルが分離/回収される。
本発明の溶融塩化物中に溶解したセレン及びテルルの分離方法は、Cu OまたはNiOが粉体であるようにしても良い。この場合には、Cu OまたはNiOの比表面積が増大してCu OまたはNiOと溶融塩化物との接触面積が増大する。
本発明の溶融塩化物中に溶解したセレン及びテルルの分離方法は、溶融塩化物を撹拌することと収容容器を溶融塩化物中で動かすこととのうちの少なくとも一方を実施するようにしても良い。この場合には、溶融塩化物中のセレンやテルルの濃度の場所による偏りの発生が回避され、溶融塩化物中に溶解しているセレンやテルルとCu OまたはNiOとの反応効率・反応速度が維持される。
本発明の溶融塩化物中に溶解したセレン及びテルルの分離方法は、溶融塩化物が塩化リチウム(LiCl)−塩化カリウム(KCl)共晶塩または塩化カルシウム(CaCl)溶融塩であるようにしても良い。この場合には、セレン化金属やテルル化金属の効率的な生成が適切に行われる。
本発明によれば、溶融塩化物と金属M(CuまたはNi)によって構成される金属酸化物(Cu OまたはNiO)とを接触させるという簡易な手法により、溶融塩化物中からセレンやテルルを分離/回収することが可能になる。したがって、電解を行う場合のように電極や電源の準備並びに電圧制御等の煩雑な操作を行うことなく、セレンやテルルを溶融塩化物中から簡易に分離/回収することが可能になる。しかも、分離形態であるセレン化金属やテルル化金属は高温の溶融塩化物中においても安定な化合物であるので、蒸気圧の高いセレン単体(沸点685℃)やテルル単体(沸点990℃)或いは揮発性の二酸化セレン(SeO、昇華温度317℃)などを分離・回収形態とした場合と比較して高温の溶融塩化物中における取り扱いが容易であって分離/回収し易いという利点も有する。
本発明によれば、さらに、Cu OまたはNiOを収容容器に単に入れただけで溶融塩化物中に浸漬した場合にはCu OまたはNiOと溶融塩化物との界面(言い換えると、収容容器内のCu OまたはNiOの上層表面)だけで反応が起こるに過ぎないのに対し、収容容器内のCu OまたはNiOの溜まり部分にCuまたはNiで形成される金属部材を差し入れるようにすることによって溶融塩化物中に露出するCuまたはNiで形成される金属部材の表面も反応面として働くために効率的に反応を進行させてセレンやテルルの分離/回収を促進することが可能であり、また、金属M(CuまたはNi)によって構成される金属酸化物(Cu OまたはNiO)とセレン化金属やテルル化金属とでM/OとM/Se,M/Teとの比率が異なる場合にCuまたはNiで形成される金属部材から供給されるMによって組成が調整されるので反応を適切に進行させることが可能であり、且つ、原料のCu OまたはNiO及び生成物(即ち、セレン化物,テルル化物)を溶融塩化物中に分散/散逸させることなく溶融塩化物中からセレンやテルルを効率的に分離/回収することが可能になる。
本発明は、Cu OまたはNiOが粉体であるようにした場合には、Cu OまたはNiOの比表面積を増大させてCu OまたはNiOと溶融塩化物との接触面積を増大させることができ、溶融塩化物中に溶解しているセレンやテルルとCu OまたはNiOとの反応速度を高めて、セレン化金属やテルル化金属を速やかに生成させることが可能になる。したがって、反応・分離処理に要する時間を短縮して、溶融塩化物中からのセレンやテルルの分離/回収に要する時間を短縮することが可能になる。
本発明は、溶融塩化物を撹拌したり収容容器を溶融塩化物中で動かしたりするようにした場合には、溶融塩化物中に溶解しているセレンやテルルとCu OまたはNiOとの反応効率・反応速度を維持することができ、セレン化金属やテルル化金属を速やかに生成させることが可能になる。したがって、反応・分離処理に要する時間を短縮して、溶融塩化物中からのセレンやテルルの分離/回収に要する時間を短縮することが可能になる。
本発明は、溶融塩化物がLiCl−KCl共晶塩またはCaCl溶融塩であるようにしたりした場合には、セレン化金属やテルル化金属の効率的な生成を適切に行うことができ、セレンやテルルの分離/回収を確実に促進することが可能になる。
本発明の分離方法及びその後の回収方法の工程概略図である。 CuSeからのSe単体の回収方法の手順を示すフロー図である。 実施例1において用いた装置の概略構成図である。 実施例1において溶融塩化物中に48時間浸漬した後のMgOるつぼの状態を示す図面代用写真である。 実施例1において溶融塩化物中に48時間浸漬した後のCu棒の状態を示す図面代用写真である。 実施例1において溶融塩化物中に48時間浸漬した後のMgOるつぼの内容物を示す図面代用写真である。 実施例1における電極の電位及び塩中の濃度の経時変化を示す図である。 実施例1においてNi電極で計測されたサイクリックボルタモグラムを示す図である。 実施例1においてAu電極で計測されたサイクリックボルタモグラムを示す図である。 実施例1においてCu棒に付着していた灰色の析出物のXRDパターン及びMgOるつぼ底部に存在していた赤色の沈殿物のXRDパターンを示す図である。 実施例2において用いた装置の概略構成図である。 実施例2において溶融塩化物中に48時間浸漬した後のMgOるつぼの状態を示す図面代用写真である。 実施例2において溶融塩化物中に48時間浸漬した後のNi棒の状態及びMgOるつぼの内容物を示す図面代用写真である。 実施例2において溶融塩化物中に48時間浸漬した後のNi棒の状態を示す図面代用写真である。 実施例2における塩中の濃度の経時変化を示す図である。 溶融塩化物中で酸化物燃料を電解還元処理するプロセスの概略図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図15に、本発明に係る溶融塩化物中に溶解したセレン及びテルルの分離方法の実施形態の一例を示す。
本実施形態の溶融塩化物中に溶解したセレン及びテルルの分離方法は、金属Mによって構成される金属酸化物(MO)を収容容器へと装荷すると共に当該収容容器内の金属酸化物へと金属Mによって形成される金属部材を差し入れ、当該金属部材を差し入れた状態の収容容器を溶融塩化物中に浸漬し、当該溶融塩化物中に溶解しているセレン(Se)とテルル(Te)とのうちの少なくとも一方を金属酸化物と反応させてセレン化金属(MSe)またはテルル化金属(MTe)として溶融塩化物から分離するようにしている。
なお、本発明の説明において、金属を表すMの添字としてのXは、全てに共通する特定の自然数(言い換えると、全てに対して同一の或る特定の値)を表すものとしてではなく、各Xが用いられる各々の場面において当該のXとして適当な随意の自然数を適宜表すものとして用いられる。
<溶融塩化物>
本発明を適用する対象となる溶融塩化物は、セレンとテルルとのうちの少なくとも一方が溶解している溶融塩化物である。
本発明が適用され得る溶融塩化物としては、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、酸化物燃料の電解還元プロセスにおいて生じる溶融塩化物が挙げられる。酸化物燃料の電解還元プロセスにおいて生じる溶融塩化物には、核分裂生成物であるセレンやテルルが陰イオン(即ち、Se2−,Te2−)の形態で溶解している。
本発明では、溶融塩化物に溶解しているセレンとテルルとのうちの少なくとも一方を前記溶融塩化物から分離する。
なお、溶融塩化物自体の組成(つまり、例えば、酸化物燃料の電解還元プロセスに供する前の溶融塩化物の組成)としては、例えば、塩化リチウム(LiCl)−塩化カリウム(KCl)共晶塩,塩化カルシウム(CaCl),塩化リチウム,塩化カリウム、或いは、塩化リチウム−塩化カリウム共晶塩に、溶融塩化物の融点を大きく高めることのない範囲内で、塩化リチウム(LiCl),塩化ナトリウム(NaCl),塩化カリウム(KCl),塩化ルビジウム(RbCl),塩化セシウム(CsCl),塩化カルシウム(CaCl),塩化ストロンチウム(SrCl),塩化バリウム(BaCl)などから選択される1種以上の塩化物を更に含むものなどが挙げられる。
溶融塩化物は、反応槽に貯められて分離処理に供される。なお、反応槽を含む処理系は、分離処理が行われる際には、例えばアルゴン(Ar)ガスなどの不活性ガスを雰囲気とする環境下に設置される。
<金属酸化物>
本発明では、添加材として位置づけられる金属酸化物(MO)として、溶融塩化物からセレンを分離させる場合には以下の化学反応式(1)を進行させることが可能なものが用いられ、また、溶融塩化物からテルルを分離させる場合には以下の化学反応式(2)を進行させることが可能なものが用いられ、さらに、単一の金属酸化物(MO)によって溶融塩化物からセレン及びテルルを同時に分離させる場合には以下の化学反応式(1)及び(2)を進行させることが可能なものが用いられる。
O + Se2− → MSe + O2− ・・・(1)
O + Te2− → MTe + O2− ・・・(2)
上記化学反応式(1),(2)を進行させることが可能な金属酸化物(MO)は、例えば以下のようにして決定される。
まず、化学反応式(1),(2)を、溶融塩化物の主成分を考慮した化学反応式に書き換える。例えば、溶融塩化物の主成分が塩化リチウム(LiCl)である場合には、化学反応式(1)を以下の化学反応式(3)に書き換えると共に化学反応式(2)を以下の化学反応式(4)に書き換える。
O + LiSe → MSe + LiO ・・・(3)
O + LiTe → MTe + LiO ・・・(4)
次に、既知の熱力学データベース(具体的には例えば、熱力学データベース「MALT for Windows」,科学技術社,東京,2004年)を利用して、各種金属酸化物(MO)を使用した場合の上記化学反応式(3),(4)の標準自由エネルギー変化(ΔG)を計算し、化学反応式(3),(4)の標準自由エネルギー変化(ΔG)が0未満となる金属酸化物(MO)は当該の化学反応式(3),(4)を進行させることが可能な材料である。
ここで、本発明において使用する金属酸化物(MO)は、分離形態であるセレン化金属(MSe)やテルル化金属(MTe)から更に分離が容易な金属Mによって構成されるものとすることが好ましい。これにより、分離形態であるセレン化金属(MSe)やテルル化金属(MTe)から金属Mを更に分離して最終的にセレン単体やテルル単体として回収することが容易になる。
なお、セレン及びテルルは、鉱石(具体的には例えば、銅や鉛,ニッケルを含む鉱石)などを製錬する過程等で副産物として回収される元素である。このため、セレン化金属(MSe)やテルル化金属(MTe)から金属Mを分離してセレン単体やテルル単体を回収する技術は広く確立している。
本発明では、例えば上述のような既知の技術を利用して、分離形態であるセレン化金属(MSe)やテルル化金属(MTe)から更に分離が容易な金属Mによって構成される金属酸化物(MO)が選択されることが好ましい。
本発明者の検討によると、本発明において使用するに適切な金属酸化物(MO)として、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、酸化銅(CuO)及び酸化ニッケル(NiO)が挙げられる。
<溶融塩化物と金属酸化物との接触態様>
容器の一部(具体的には例えば、上部,上面)の開口から溶融塩化物が浸入可能であるように構成された収容容器に金属酸化物を装荷すると共に、収容容器内の底溜め状態の金属酸化物へと金属部材を差し入れた状態で(言い換えると、金属部材の一部が金属酸化物と接触するように前記金属部材を前記金属酸化物へと挿入した状態で;尚、金属部材が金属酸化物と少なくとも接触していれば良い)、溶融塩化物中に収容容器を浸漬して一定時間経過後に収容容器を溶融塩化物から取り出すことにより、セレン化金属やテルル化金属を分離/回収する。
収容容器の材料は、本発明に係る化学反応(具体的には、分離処理,セレン化金属やテルル化金属の生成処理)に関連する材料と反応を起こさないものであれば特定の材質に限定されるものではなく、分離処理が行われる際の溶融塩化物の温度に対する耐熱性が考慮されるなどした上で適当な材質が適宜選択される。
収容容器の形態は、特定の形状に限定されるものではなく、下方から囲うように金属酸化物を収容すると共に溶融塩化物が浸入可能な開口を備え且つ金属酸化物の溜まり部へと金属部材を差し入れる(或いは、金属部材を金属酸化物と接触させる)ことが可能な形状が適宜選択される。収容容器は、具体的には例えば、容器の上面が開口している、るつぼ形状に形成され得る。
収容容器内の金属酸化物へと差し入れられる金属部材は、収容容器内の金属酸化物を構成する金属と同種の金属によって形成される。金属部材は、具体的には例えば、金属酸化物として酸化銅(CuO)が用いられる場合には銅(Cu)によって形成され、また、金属酸化物として酸化ニッケル(NiO)が用いられる場合にはニッケル(Ni)によって形成される。
収容容器内の金属酸化物へと差し入れられる金属部材の形態は、特定の形態に限定されるものではなく、種々の形態が適宜選択される。金属部材は、具体的には例えば、棒状,円柱状,或いは角柱状に形成され得る。
例えば棒状の金属部材のうちの溶融塩化物と雰囲気との界面の位置及びその周辺部分を膨らませるようにしても良い。この場合には、界面の位置に於ける反応に伴う減肉の進行による金属部材の断裂を防ぐと共に、反応に関与する金属の表面積を増加させてセレン化金属やテルル化金属を一層速やかに生成させて溶融塩化物から分離させることが可能になる。
金属部材は、一つの収容容器(言い換えると、収容容器内の一塊の金属酸化物)に対し、一つのみ差し入れられるようにしても良く、或いは、複数差し入れられるようにしても良い。この場合には、反応に関与する金属の表面積を増加させてセレン化金属やテルル化金属を一層速やかに生成させて溶融塩化物から分離させることが可能になる。
金属酸化物の比表面積を増大させて金属酸化物と溶融塩化物との接触面積を増大させるようにしても良い。金属酸化物の比表面積は、例えば、金属酸化物を粉体とすることによって増大させることができる。
そして、収容容器内に金属酸化物の粉体を収容する(別言すると、装荷する)ようにすることで、金属酸化物と溶融塩化物との接触面積を増大させ、溶融塩化物中に溶解しているセレンやテルルと金属酸化物との反応速度を高めることができ、セレン化金属やテルル化金属を一層速やかに生成させて溶融塩化物から分離させることが可能になる。
また、反応槽内の溶融塩化物(特に、収容容器の近傍の溶融塩化物)を撹拌したり、収容容器を金属部材と共に溶融塩化物中を移動させたりすることが好ましい。
これにより、溶融塩化物中のセレンやテルルの濃度の場所による偏りの発生を防ぎ、溶融塩化物中に溶解しているセレンやテルルと金属酸化物との反応効率・反応速度が低下しない(別言すると、反応が鈍化しない)ようにすることができ、セレン化金属やテルル化金属を一層速やかに生成させて溶融塩化物から分離させることが可能になる。
また、金属酸化物が収容されていると共に金属部材が差し入れられた状態の複数の収容容器を溶融塩化物中に浸漬するようにしても良い。これにより、セレン化金属やテルル化金属を一層速やかに生成させることが可能になる。
<セレン化金属やテルル化金属の回収>
上述の方法によって溶融塩化物から分離されたセレン化金属やテルル化金属から金属が更に分離されてセレン単体やテルル単体として回収される。
一例として、金属酸化物(MO)としてCuOを使用した場合の分離形態であるCuSeからSe単体を回収する方法について説明する(図2)。
CuSeは酸化焙焼して酸化物に転換することで揮発性のSeOとして分離することができる。この際に生成するCuOはリサイクル利用が可能である。したがって、二次廃棄物の発生を抑制することができる。SeOは例えば水溶液で捕捉して還元性ガス(具体的には例えば、SOなど)を用いてSeを沈殿させることにより、Se単体として回収することができる。このような方法は、銅精錬や鉛精錬の分野において確立されている技術である。
なお、本発明によって分離されたセレン化金属やテルル化金属からセレン単体やテルル単体を回収する方法は、上述の方法に限定されるものではなく、種々の方法が適宜採用され得る。
上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では金属酸化物と金属部材との組み合わせとしてCuOとCuとの組み合わせ並びにNiOとNiとの組み合わせが挙げられているものの、本発明において用いられ得る金属酸化物と金属部材との組み合わせは上述の実施形態において挙げたものには限定されない。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例における構成に限られるものではない。
溶融塩化物として塩化リチウム(LiCl)−塩化カリウム(KCl)共晶塩を用いると共に金属酸化物として酸化銅(CuO)を用い、塩中から化学反応によってセレン(Se)が効率的に分離され得ることを検証した。
具体的には、本実施例では、銅(Cu)によって構成される金属酸化物としての酸化銅(CuO)を収容容器へと装荷すると共に当該収容容器内の酸化銅へと銅によって形成される棒部材を差し入れ、当該棒部材を差し入れた状態の収容容器を塩化リチウム(LiCl)−塩化カリウム(KCl)共晶塩中に浸漬し、当該共晶塩中に溶解しているセレン(Se)を酸化銅と反応させてセレン化金属(CuSe)として前記共晶塩から分離するようにした。
Seは、溶融塩化物中にSe2−などの陰イオンとして溶解する。本実施例では、塩中にSe2−イオンとして溶解したSeを、CuOとの反応によってセレン化物として分離することが企図された。
本実施例では、収容容器として、酸化マグネシウム(MgO)で形成された、上面開口のるつぼ(「MgOるつぼ」と呼ぶ)が用いられた。
そして、MgOるつぼに、CuO粉末が装荷された。
本実施例では、また、金属部材として、銅(Cu)で形成された棒部材(「Cu棒」と呼ぶ)が用いられた。
そして、MgOるつぼ内において底溜め状態のCuO粉末へと、Cu棒が差し入れられた。
その上で、底溜め状態のCuO粉末へとCu棒が差し入れられた状態のままのMgOるつぼを、Se2−イオンを含むLiCl−KCl共晶塩中に浸漬し(図3)、48時間後に取り出した。
Se2−イオンを含むLiCl−KCl共晶塩は、反応槽としての、酸化アルミニウム(Al)で形成されたるつぼ(「Alるつぼ」と呼ぶ;内径48mm,ニッカトーSSA−S,Al純度99.6%)に貯められた。
ここで、各図において、符号1はAlるつぼ(反応槽),符号2はLiCl−KCl共晶塩(溶融塩化物),符号3はMgOるつぼ(収容容器),符号4はCuO粉末(金属酸化物),及び符号5はCu棒(金属部材)をそれぞれ表す。各図において、また、符号6は、MgOるつぼを吊すための直径0.5mmの金(Au)線である。
試験の詳細は以下の通りであった。
LiCl−KCl共晶塩:70.412g,Se濃度0.133wt%,450℃
CuO粉末:0.574g(塩中Se量に対して3.4倍当量のOを含む)
Cu棒:直径2mmの円柱状
MgOるつぼ:外径10mm×内径8mm×高さ12mm,ニッカトーMG−12G
LiCl−KCl共晶塩中に浸漬させられる収容容器としてのMgOるつぼ3を含む反応槽としてのAlるつぼ1は、アルゴン(Ar)ガスを雰囲気とする環境下に設置された。
化学反応に纏わる各種データを収集したりLiCl−KCl共晶塩の温度管理を行ったりするため、Alるつぼ内のLiCl−KCl共晶塩に対し、図示していないが、片閉Pyrexガラス管に1.0wt%の塩化銀(AgCl)を含むLiCl−KCl共晶塩を入れて銀(Ag)線(直径1mm)を挿入した構造を有するAg/AgCl参照電極,金(Au)線(直径1mm),ニッケル(Ni)線(直径1mm),及びAl保護管に収納したK熱電対が配設された。
試験では、また、MgOるつぼ及びCu棒が浸漬させられてから1,2.5,5,8,24,32,及び48時間後のそれぞれで濃度計測用の塩試料が採取され、Se濃度及びCu濃度が誘導結合プラズマ発光分光分析法(「ICP−AES」と表記する)によって分析されて測定された。
試験の結果、Cu棒のうちのMgOるつぼ上方の位置の周囲に灰色の析出物が多量に付着していることが確認された(図4)。この灰色の析出物を剥ぎ取ると、Cu棒が減肉していることが確認された(図5)。このことから、Cu棒が関与する反応が進行したことが確認された。
MgOるつぼを砕いてるつぼの内容物を取り出したところ、底部にはCuOであると推定される赤色の沈殿物が存在していることが確認された(図6)。
濃度計測用に採取した塩試料は、MgOるつぼ及びCu棒の浸漬時間の経過に伴って、クリーム色に着色していくことが確認された。
CuO/Cu電極(尚、MgOるつぼ内のCuO粉末及びCu棒のことである)の電位及びAu電極の電位、並びに、塩中のSe濃度及びCu濃度の時間経過に伴う変化として図7に示す結果が得られた。
図7に示す結果から、塩中のSe濃度(図中の●印)は、MgOるつぼ及びCu棒の浸漬直後から直線的に減少したことが確認され、20時間後には0.01wt%未満まで低下する傾向が確認された。48時間後におけるSe濃度の分析値は0.0034wt%であり、Se分離/回収率は97.4%であった。
また、CuO/Cu電極の電位及びAu電極の電位は、上記のSe濃度の変化に追随しており、18時間前後に大きく変化していることから、この時点でSeが塩中からほぼ分離されたことが示唆される。
また、塩中のCu濃度(図中の▲印)は、上記のSeが塩中からほぼ分離された時点から少しずつ増加していることが確認された。
MgOるつぼ及びCu棒を浸漬する前と浸漬してから48時間後とのそれぞれで計測した、Ni電極で計測された電位電流曲線(サイクリックボルタモグラム;「CV」と表記する)として図8に示す結果が得られ、また、Au電極で計測されたCVとして図9に示す結果が得られた。
図8及び図9に示す結果から、48時間後ではSeに関連する電流ピークが消失する一方で−0.4Vからアノード電流の立ち上がりが見られることが確認された。これは、金属Cuが溶解する電位と一致していることから、カソード側に電位を走査した間に塩中のCuイオンが還元されて金属Cuが電極上に析出していたことが理由として考えられ、ICP−AESによるCu濃度の分析結果と一致すると考えられた。
ただし、Cuイオンの還元電流は小さい。したがって、CuOの過剰な添加は出来る限り避け、塩中のSe濃度が或る程度低下した時点でCuO/Cu電極(即ち、MgOるつぼ内のCuO粉末及びCu棒)を引き上げることにより、塩中へのCu溶出は抑制され得る。
Cu棒に付着していた灰色の析出物(図4)及びMgOるつぼ底部に存在していた赤色の沈殿物(図6)を採取してそれぞれをXRD(X線回折法)で分析して図10に示す結果が得られた。
図10に示す結果から、灰色の析出物は、CuSeとLiCl−KClとの混合物であり、ピーク強度からは塩の含有量が大きいことが確認された。
一方、赤色の沈殿物はLiCuO,CuO,Cu,及びLiCl−KClの混合物であることが確認された。
金属Cuは、局部的な電気化学反応で生成されたと考えられ、具体的には、Cu棒がCuOに接触している部分でCuOがO2−イオンを放出する(下記の化学反応式(6))と同時に、Cu棒の表面(別言すると、Cu棒が共晶塩に露出している部分)でCuSeが生成された(下記の化学反応式(7))と考えられた。
CuO : CuO + 2e → 2Cu + O2− ・・・(5)
Cu棒 : 2Cu + Se2− → CuSe + 2e ・・・(6)
なお、電子は電導体であるCu棒を伝って輸送される。
上記の化学反応式(6)と化学反応式(7)との反応がそれぞれ進行することは、図5でCu棒が減肉していることからも裏づけられ、Cu棒が反応場として有効に働いていることが確認された。
また、LiCuOの生成に伴い、以下の化学反応式(8)により、Cuイオンが塩中に溶解する。
CuO + Li → Cu + LiCuO ・・・(7)
以上の結果から、MgOるつぼに装荷したCuO粉末にCu棒を挿入した構造の電極(CuO/Cu電極)を構成してLiCl−KCl共晶塩中に浸した結果、CuO粉末と共晶塩との界面に加えてCu棒の周囲でもCuSeが分離され、塩中のSe2−濃度を0.133wt%から0.0034wt%まで低下させる(即ち、Se分離率97.4%を達成する)ことが可能であることが確認された。
また、Se(Se2−イオン)について確認された上述のような反応の振る舞いは、Seと同族の元素であって化学的性質が類似しているテルル(Te)についても同様であると考えられた。
また、CuO粉末をるつぼに単に入れただけで溶融塩化物中に浸漬した場合にはCuO粉末と溶融塩化物との界面(言い換えると、るつぼ内のCuO粉末の上層表面)だけで反応が起こるに過ぎないのに対し、るつぼ内のCuO粉末の溜まり部分にCu棒を差し入れるようにすることによって溶融塩化物中に露出するCu棒の表面も反応面として働くために効率的に反応を進行させてSeの分離を促進することが可能であり、且つ、原料のCuO粉末及び生成物(即ち、CuSe)を分散/散逸させることなく溶融塩化物中からSeを効率的に分離することが可能であることが確認された。
溶融塩化物として塩化カルシウム(CaCl)を用いると共に金属酸化物として酸化ニッケル(NiO)を用い、塩中から化学反応によってセレン(Se)が効率的に分離され得ることを検証した。
具体的には、本実施例では、ニッケル(Ni)によって構成される金属酸化物としての酸化ニッケル(NiO)を収容容器へと装荷すると共に当該収容容器内の酸化ニッケルへとニッケルによって形成される棒部材を差し入れ、当該棒部材を差し入れた状態の収容容器を塩化カルシウム(CaCl)中に浸漬し、当該塩化カルシウム中に溶解しているセレン(Se)を酸化ニッケルと反応させてセレン化金属(NiSe)として前記塩化カルシウムから分離するようにした。
本実施例では、塩中にSe2−イオンとして溶解したSeを、NiOとの反応によってセレン化物として分離することが企図された。
本実施例では、収容容器として、酸化マグネシウム(MgO)で形成された、上面開口のるつぼ(「MgOるつぼ」と呼ぶ)が用いられた。
そして、MgOるつぼに、NiO粉末が装荷された。
本実施例では、また、金属部材として、ニッケル(Ni)で形成された棒部材(「Ni棒」と呼ぶ)が用いられた。
そして、MgOるつぼ内において底溜め状態のNiO粉末へと、Ni棒が差し入れられた。
その上で、底溜め状態のNiO粉末へとNi棒が差し入れられた状態のままのMgOるつぼを、Se2−イオンを含むCaCl中に浸漬し(図11)、48時間後に取り出した。
Se2−イオンを含むCaClは、反応槽としての、酸化マグネシウム(MgO)で形成されたるつぼ(「MgOるつぼ」と呼ぶ;内径48mm,ニッカトーMG−12G,MgO純度99.6%)に貯められた。
ここで、各図において、符号11はMgOるつぼ(反応槽),符号12はCaCl(溶融塩化物),符号13はMgOるつぼ(収容容器),符号14はNiO粉末(金属酸化物),及び符号15はNi棒(金属部材)をそれぞれ表す。各図において、また、符号16は、MgOるつぼを吊すための直径0.5mmの金(Au)線である。
試験の詳細は以下の通りであった。
CaCl:75.322g,Se濃度0.100wt%,820℃
NiO粉末:0.265g(塩中Se量に対して3.7倍当量のOを含む)
Ni棒:直径2mmの円柱状
MgOるつぼ:外径10mm×内径8mm×高さ12mm,ニッカトーMG−12G
CaCl中に浸漬させられる収容容器としてのMgOるつぼ13を含む反応槽としてのMgOるつぼ11は、アルゴン(Ar)ガスを雰囲気とする環境下に設置された。
試験では、MgOるつぼ及びNi棒が浸漬させられてから1,2.5,5,8,20,30,及び48時間後のそれぞれで濃度計測用の塩試料が採取され、Se濃度及びNi濃度が誘導結合プラズマ発光分光分析法によって分析されて測定された。
試験の結果、Ni棒が、MgOるつぼ上方の位置(付け加えると、CaClと雰囲気との界面の位置)に於いて、減肉の進行の結果として断裂していることが確認された(図12)。このことから、Ni棒が関与する反応が進行したことが確認された。
MgOるつぼを砕いてるつぼの内容物を取り出したところ、底部には緑色の沈殿物が存在していることが確認された(図13)。
るつぼの内容物を砕いたところ、るつぼ内のNiO粉末の溜まり部へと差し入れられたNi棒の先端部(別言すると、下端部)に、NiSeであると推定される球形状の析出物が形成されていることが確認された(図13,図14)。
これは、NiSeは820℃では液体(即ち、液体Ni−Se合金)であるために化学反応によって生成されたNiSeはNi棒の表面を伝ってMgOるつぼ内のNi棒の下端部(別言すると、るつぼ底部)で球形状を成して溜まり、反応処理後に冷却されて球形状を成したまま固体化したと考えられた。なお、液滴となりつつ集まって固体化するという経過は、CaClからのNiSeの回収を容易にし得るという点において好ましい。
塩中のSe濃度の時間経過に伴う変化として図15に示す結果が得られた。
図15に示す結果から、塩中のSe濃度は、MgOるつぼ及びNi棒の浸漬直後から大凡20時間後までは直線的に減少したことが確認された。48時間後におけるSe濃度の分析値は0.0055wt%であり、Se分離/回収率は94.6%であった。
なお、48時間後におけるNi濃度の分析値は0.0014wt%であった。このことから、NiOはCaClとの関係では難溶性であることが確認され、したがって溶融塩化物としてCaClが用いられる場合には金属部材としてNi棒が用いられることが適切であることが確認された。なお、CuOはCaCl中へと容易に溶けることが想定されるため、溶融塩化物としてCaClが用いられる場合の金属部材としてはCu棒よりもNi棒の方が適切であると考えられる。
以上の結果から、MgOるつぼに装荷したNiO粉末にNi棒を挿入した構造の電極(NiO/Ni電極)を構成してCaCl中に浸した結果、NiO粉末とCaClとの界面に加えてNi棒の周囲でもNiSeが分離され、塩中のSe2−濃度を0.100wt%から0.0055wt%まで低下させる(即ち、Se分離率94.6%を達成する)ことが可能であることが確認された。
また、Se(Se2−イオン)について確認された上述のような反応の振る舞いは、Seと同族の元素であって化学的性質が類似しているテルル(Te)についても同様であると考えられた。
また、NiO粉末をるつぼに単に入れただけで溶融塩化物中に浸漬した場合にはNiO粉末と溶融塩化物との界面(言い換えると、るつぼ内のNiO粉末の上層表面)だけで反応が起こるに過ぎないのに対し、るつぼ内のNiO粉末の溜まり部分にNi棒を差し入れるようにすることによって溶融塩化物中に露出するNi棒の表面も反応面として働くために効率的に反応を進行させてSeの分離を促進することが可能であり、また、NiOからNiSeが生成するためにNiが供給される必要があるもののNi棒からNiが供給されることによって組成が調整されて反応を適切に進行させることが可能であり、且つ、原料のNiO粉末及び生成物(即ち、NiSe)を分散/散逸させることなく溶融塩化物中からSeを効率的に分離することが可能であることが確認された。
1 反応槽(Alるつぼ)
2 溶融塩(LiCl−KCl共晶塩)
3 収容容器(MgOるつぼ)
4 金属酸化物(CuO粉末)
5 金属部材(Cu棒)
6 金線
11 反応槽(MgOるつぼ)
12 溶融塩(CaCl
13 収容容器(MgOるつぼ)
14 金属酸化物(NiO粉末)
15 金属部材(Ni棒)
16 金線

Claims (6)

  1. Cu を収容容器へと装荷すると共に前記収容容器内の前記Cu へとCuで形成される金属部材を差し入れ、前記Cuで形成される金属部材を差し入れた状態の前記収容容器を溶融塩化物中に浸漬し、前記溶融塩化物中に溶解しているセレン(Se)とテルル(Te)とのうちの少なくとも一方を前記Cu と反応させてセレン化金属またはテルル化金属として前記溶融塩化物から分離することを特徴とする溶融塩化物中に溶解したセレン及びテルルの分離方法。
  2. 前記Cu が粉体であることを特徴とする請求項1記載の溶融塩化物中に溶解したセレン及びテルルの分離方法。
  3. NiOを収容容器へと装荷すると共に前記収容容器内の前記NiOへとNiで形成される金属部材を差し入れ、前記Niで形成される金属部材を差し入れた状態の前記収容容器を溶融塩化物中に浸漬し、前記溶融塩化物中に溶解しているセレン(Se)とテルル(Te)とのうちの少なくとも一方を前記NiOと反応させてセレン化金属またはテルル化金属として前記溶融塩化物から分離することを特徴とする溶融塩化物中に溶解したセレン及びテルルの分離方法。
  4. 前記NiOが粉体であることを特徴とする請求項記載の溶融塩化物中に溶解したセレン及びテルルの分離方法。
  5. 前記溶融塩化物を撹拌することと前記収容容器を前記溶融塩化物中で動かすこととのうちの少なくとも一方を実施することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の溶融塩化物中に溶解したセレン及びテルルの分離方法。
  6. 前記溶融塩化物がLiCl−KCl共晶塩またはCaCl溶融塩であることを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一つに記載の溶融塩化物中に溶解したセレン及びテルルの分離方法。
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