JP2009055021A - 熱伝導シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚さ方向の熱伝導率に優れた熱伝導シートを提供する。
【解決手段】異方性黒鉛粒子を含む黒鉛層を有する熱伝導シートの前記黒鉛層を、前記熱伝導シートの面に対して一方向に二層以上で積層させ、前記各々の黒鉛層間は樹脂層で結合し、前記樹脂層全体の空隙の割合が30体積%以下とし、また前記異方性黒鉛粒子は前記黒鉛層の面方向に配向し、且つ前記異方性黒鉛粒子を前記熱伝導シートの厚み方向に配向させたシートとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子機器、各種ディスプレイ、その他の機器、装置等に使用される伝熱性に優れた熱伝導シート及びその製造方法に関する。
現在、電子機器分野において、その電子機器の温度上昇を抑制する冷却(放熱)技術が重要になってきている。特にパーソナルコンピュータ(PC)においてはその容積が減少の傾向を示しているにも関わらず、PC搭載のCPU(中央演算処理装置)の動作周波数の増加に伴い、発熱量は急激に上昇してきており、CPU以外の部品についても消費電力は増加傾向に有る。またこれらに加えて静音化、消費電力低減の要求もあることから、ファンによる空冷に出来るだけ頼らない放熱システムが求められている。
このような分野において、従来、放熱材として熱伝導率の高いアルミニウムや銅を材料としたヒートシンクが用いられている。また、電子装置とこれら放熱材間に接触熱抵抗を低減することを目的としたシリコーンゲルシートや熱伝導性粘着シートも使用されている。シリコーンゲルシートや熱伝導性粘着シートは、発熱部材と、ヒートシンク又は筺体との間に配置されて熱を伝える働きをし、柔らかく密着が良いことに特徴があり、部材間の接触熱抵抗を低く抑えることが出来る。しかしながら熱伝導率は一般的なもので2〜5W/mK程度であり、さらに放熱効率を上げるために、高熱伝導化が求められている。
そこで、膨張黒鉛シートを熱伝導シートとして使用することが検討されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。膨張黒鉛シートとは、膨張黒鉛粒子を圧縮してシート化したものであり、面方向で50〜500W/mKという高い熱伝導率を有し、可撓性があり、軽量(かさ密度0.2〜1.5g/cm)で耐熱性に優れる(空気中で400℃以上まで安定)材料である。
しかしながら膨張黒鉛シートは、異方性を有する黒鉛結晶が配向した構造を有するため、熱伝導率に異方性があり、面方向の伝熱は効果的であるが、厚さ方向の熱伝導率は2〜10W/mKであり、同方向への効率の良い伝熱が困難である。
特開平11−058591号公報 特開2006−137860号公報
本発明は上記問題を解決し、厚さ方向の熱伝導率に優れた熱伝導シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下に関する。
(1)異方性黒鉛粒子を含む黒鉛層を有する熱伝導シートであって、
前記黒鉛層は、前記熱伝導シートの面に対して一方向に二層以上で積層されており、前記各々の黒鉛層間は樹脂層で結合され、前記樹脂層全体の空隙の割合が30体積%以下であり、
前記異方性黒鉛粒子は前記黒鉛層の面方向に配向しており、且つ前記黒鉛層は前記熱伝導シートの厚み方向に配向していることを特徴とする熱伝導シート。
(2)前記一方向に二層以上で積層された黒鉛層は、シートの厚さ方向に対し0〜50°の角度で配向していることを特徴とする上記(1)記載の熱伝導シート。
(3)前記樹脂層は、少なくとも熱硬化性樹脂で形成され、該熱硬化性樹脂は熱伝導シート全体の10体積%以下で含有されることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の熱伝導シート。
(4)前記樹脂層は、少なくとも熱可塑性樹脂で形成され、該熱可塑性樹脂は熱伝導シート全体の60体積%以下で含有されることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の熱伝導シート。
(5)前記熱伝導シートは、片面又は両面の、全面もしくは一部に付与されるタック性粘着剤を有していることを特徴とする(1)〜(4)何れか一つに記載の熱伝導シート。
(6)前記黒鉛層は、かさ密度0.5〜1.6g/cm、厚さ1.0mm以下の膨張黒鉛シートである、(1)〜(5)何れか一つに記載の熱伝導シート。
(7)前記膨張黒鉛シートは、黒鉛層用樹脂を含有しており、該樹脂の含有量が前記膨張黒鉛シートに対して10〜30体積%含有される(6)記載の熱伝導シート。
(8)UL−94規格でV−0の難燃性を有することを特徴とする(1)〜(7)何れか一項に記載の熱伝導シート。
(9)異方性黒鉛粒子が面方向に配向した黒鉛層の片面に、樹脂を含む樹脂層を形成する工程と、前記黒鉛層が二層以上となるように積層し、且つ各々の黒鉛層間を前記樹脂で接着する工程と、前記黒鉛層が、得られるシートの厚み方向に対して0〜50°の角度で配向するように切断してシートを得る工程と、を少なくとも含む熱伝導シートの製造方法。
本発明によれば、厚さ方向の熱伝導率に優れた熱伝導シートを得ることができる。
黒鉛は、その六面網平面同士がπ電子の相互作用による弱い力で結合しているため層状構造となり、熱伝導率を含む各特性において異方性を示すことが知られている。黒鉛を熱伝導性粒子として用いる場合にも同様の異方性が見られ、例えばシートを例に挙げると、成形時の加圧方向に対し、垂直方向に粒子が配向するようになる。つまり、厚さ方向の熱伝導率は、面方向の熱伝導率と比較して非常に低い値を示し、厚さ方向に効率の良い熱伝熱が困難ある。
この点について本発明者等は検討の結果、黒鉛粒子を熱伝導シートの厚さ方向に配向するように、つまり黒鉛層が厚さ方向に配向するように樹脂層で接着された熱伝導シートを作製することで、上記課題が解決されることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の熱伝導シートは、異方性黒鉛粒子を含む黒鉛層を有する熱伝導シートであって、前記黒鉛層は、前記熱伝導シートの面に対して一方向に二層以上で積層されており、前記各々の黒鉛層間は樹脂層で結合され、前記樹脂層全体の空隙の割合が30体積%以下であり、前記異方性黒鉛粒子は前記黒鉛層の面方向に対して配向しており、且つ前記黒鉛層は前記熱伝導シートの厚み方向に配向していることを特徴としている。これにより、面方向の伝導率に対し、厚み方向の伝導率が高い熱伝導シートを得ることができる。
具体的な製造方法としては、黒鉛層と樹脂を含む樹脂層を一方向に二層以上で積層、接着して得られた積層体を厚さ方向に垂直に、又は角度をつけて切断することで作製される。なお、黒鉛層は、得られる熱伝導シートの面方向に対して、一方向となるように二層以上で積層される。製造方法の詳細は後述する。
本発明において、異方性黒鉛粒子が「黒鉛層の面方向に配向」しているとは、黒鉛層の面方向に対して完全に平行である必要はなく、異方性黒鉛粒子が黒鉛層の面方向に略並行で配向していればよい。具体的には、黒鉛層の正八角形に切った各辺の厚み方向の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察し、いずれか1辺の断面に関し、任意の50個の黒鉛粒子について見えている方向から長軸方向の黒鉛層表面に対する角度(90度以上の場合は捕獲を採用する)を測定し、その平均値が0〜20°の角度の範囲になる状態をいう。
本発明において、黒鉛層が「熱伝導シートの厚み方向に配向」しているとは、黒鉛層が熱伝導シートの厚みに対して完全に平行且つ熱伝導シート面に対して完全に垂直である必要はなく、黒鉛層が熱伝導シートの面方向よりも厚み方向に配向していると言える範囲で配向していればよい。具体的には、熱伝導シートの正八角形に切った各辺の厚み方向の断面を、SEM(走査型電子顕微鏡)又は光学顕微鏡を用いて観察し、任意の10層の黒鉛層について、熱伝導シート厚さ方向から面方向へ傾斜している角度(90°を超える場合は補角を採用)を測定し、その平均値が0〜50°の角度の範囲になる状態をいう
本発明の熱伝導シートは、樹脂層全体に含まれる空隙の割合が30体積%以下であり、20体積%以下が好ましく、10体積%以下であることがより好ましい。空隙の割合が30体積%を超えると、各々の黒鉛層間の強度が低くなるため黒鉛層間剥離が発生し、シート状態を保つことが出来なくなる傾向がある。
樹脂層全体の空隙の割合が30体積%以下とするには、樹脂層に用いられる樹脂に接着性のある樹脂を用い、黒鉛層を積層する際に、黒鉛層及び樹脂層の厚さを均一にした状態で圧力を十分にかけて(好ましくは、面圧1〜10MPa)、黒鉛層間を樹脂層で接着すればよい。
本発明において、異方性黒鉛粒子を含む黒鉛層間を、空隙の割合が30体積%以下の樹脂層で結合することにより、熱伝導シートとしたときの黒鉛層における厚み方向の熱伝導性が優れる構成となる。
本発明における空隙率は、以下のように測定する。樹脂層が最表面となった状態の熱伝導シートをサンプルとして用い、表面の樹脂層をSEM(走査型電子顕微鏡)又は光学顕微鏡で観察し、単位面積当りの空隙面積を測定し、平均値を求めることで算出できる。より詳しくは、熱伝導シート中に空隙が均一に含まれていると仮定し、SEM又は光学顕微鏡で観察した空隙部分の面積の比率を体積比率とみなして、体積換算することにより、空隙率を得る。
本発明の熱伝導シートは、黒鉛層がシートの厚さ方向に対し0〜50°の角度で配向していることが好ましく、0〜40°がより好ましく、0〜30°が特に好ましい。黒鉛層は異方性黒鉛粒子が黒鉛層の面方向に配向していることから、黒鉛層の熱伝導シートに対する角度が50°を超えると厚さ方向の熱伝導率が低下し、熱源より発生される熱を効率よく放熱材に伝えることが困難となる傾向にある。前記配向角度は、熱伝導シート断面をSEM(走査型電子顕微鏡)又は光学顕微鏡で観察し、黒鉛層が熱伝導シートの厚さ方向から面方向へ傾斜している角度(90°を超える場合は補角を採用)を測定し、平均値を求めることで算出できる。
本発明の熱伝導シートは、結合に使用される樹脂層の樹脂として、接着性を有することが好ましく、熱硬化性樹脂を用いることができる。その場合、シート全体の10体積%以下であることが好ましく、7体積%以下がより好ましく、5体積%以下が特に好ましい。熱伝導シート全体における樹脂層の樹脂量が10体積%を超えると、シートが硬質化し、十分な柔軟性が得られない傾向にある。一方、熱伝導シート全体における樹脂層の樹脂量の下限値は0.5体積%が好ましい。0.5体積%未満であると黒鉛層間強度が低くなるため、黒鉛層間剥離が発生しやすくなる傾向にある。
本発明において、熱伝導シートにおける樹脂層の熱硬化性樹脂の割合は、以下のように測定する。黒鉛層からの樹脂層の質量の増加分を測定し、嵩密度より体積分率に変換して求められる。
本発明に用いられる樹脂層用の熱硬化性樹脂は、接着性を有すれば制限は無く、例えば、フェノール樹脂、開環重合により重合するジヒドロベンゾオキサジン環を含む熱硬化性樹脂、アミノ樹脂(ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂)、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ケイ素樹脂等が挙げられる。これらの中でも、開環重合により重合するジヒドロベンゾオキサジン環を含む熱硬化性樹脂が好ましく、さらに好ましくは開環重合により重合するジヒドロベンゾオキサジン環を含むフェノール樹脂が用いられる。日立工業株式会社製のHR1060が入手可能なものとして好ましく用いられる。
なお、開環重合により重合するジヒドロベンゾオキサジン環を含む熱硬化性樹脂」とは、フェノール性水酸基を有する化合物、ホルムアルデヒド類及び第1級アミンから合成される樹脂のことである。この樹脂は、加熱により開環重合反応を起こし、揮発分を発生させることなく優れた特性を持つ架橋構造を形成する。
これら熱硬化性樹脂は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
また、本発明の熱伝導シートは、結合に使用される樹脂層の樹脂として、接着性を有する熱可塑性樹脂を用いてもよく、その場合、シート全体の60体積%以下であることが好ましく、45体積%以下がより好ましく、30体積%以下が特に好ましい。熱伝導シート全体における樹脂層の樹脂量が60体積%を超えると、十分な熱伝導率が得られない傾向にある。一方、下限値は0.5体積%が好ましく、0.5体積%未満であると黒鉛層間強度が低くなるため、黒鉛層間剥離が発生しやすくなる傾向にある。
本発明において、熱伝導シートの樹脂層の熱可塑性樹脂の割合は、上述の熱硬化性樹脂と同様に測定できる。
樹脂層用の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、結晶性ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリブタジエン、スチレンブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、アイオノマー、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体(AAS)、塩素化ポリエチレン・アクリロニトリル・スチレン共重合体(ACS)、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリリレート、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン・ポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリアセタール(ポリオキシメチレン)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート(Uポリマー(登録商標))、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾイル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、液晶ポリエステル等が挙げられる。これら樹脂は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。また、軟質の熱可塑性樹脂を用いると、シートの柔軟性をさらに付与することが可能であり、上記熱可塑性樹脂の中でもガラス転移温度(Tg)が100℃以下であるものが好ましく、50℃以下であるものがより好ましく、20℃以下であるものがさらに好ましい。Tgが100℃を超えると十分な熱伝導シートの柔軟性が得られない傾向にある。
本発明における柔軟性は、例えば、オートグラフ(島津製作所製、商品名:AG−5000B)を用いて、一定応力を負荷した時の熱伝導シートの厚み方向に対する圧縮歪み量により測定できる。
本発明の熱伝導シートは、圧縮歪みが5〜50%であることが好ましい。圧縮歪みを上記範囲とするには、Tgの低い熱硬化性樹脂を適宜用いることにより調整可能である。
具体的には熱伝導シートの厚さ方向に5MPaの圧縮応力を負荷した時のたわみを求め、算出する。
本発明の熱伝導シートにおける樹脂層は、上記熱硬化性樹脂と上記熱可塑性樹脂を混合して形成されることも好ましい形態であり、さらに、フィラー等の充填材が含有されていてもよい。
本発明の熱伝導シートは、タック性粘着剤が熱伝導シートの片面又は両面の、全面もしくは一部に付与されていることが好ましい。タック性粘着剤に用いる材料として特に制限は無く、アクリルゴム等公知の粘着剤を用いればよい。粘着剤の熱伝導シートへの塗布方法としては塗工、噴霧、ラミネート等が挙げられるが、所定の厚さで均一に塗付できればよく、テープ状の粘着剤を貼り合せるのが望ましい。熱伝導率の低下を抑えるためは、粘着剤の厚さは30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。前記粘着剤の粘着面を保護するために、使用前の熱伝導シートの粘着面は保護フィルムで覆っておいてもよい。
保護フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルナフタレート、メチルペンテンフィルム等の樹脂、コート紙、コート布、アルミ等の金属等、保護フィルムとして一般に用いられる材質が使用できる。
本発明において、黒鉛層に含まれる異方性黒鉛粒子とは、鱗片状黒鉛粒子が好ましい。より好ましくは、膨張黒鉛粒子である。
膨張黒鉛粒子は、例えば以下の方法により得ることができる。天然黒鉛、キッシュ黒鉛等の結晶の発達した鱗片状の黒鉛粒子を、濃硫酸等の酸性物質と硝酸、過マンガン酸カリウム等の酸化剤の混合溶液に浸漬して黒鉛粒子内の層間化合物を生成させ、水洗し、前記黒鉛粒子内の層間化合物を急速加熱して黒鉛粒子の結晶のC軸方向を膨張させることにより、膨張黒鉛粒子が得られる。
本発明の熱伝導シートの黒鉛層は、黒鉛層として膨張黒鉛シートを用いていることも好ましい。前記膨張黒鉛シートは、公知の方法で得たものを使用することができる。即ち、天然黒鉛、キッシュ黒鉛等の結晶の発達した鱗片状の黒鉛粒子を、濃硫酸等の酸性物質と硝酸、過マンガン酸カリウム等の酸化剤の混合溶液に浸漬して黒鉛粒子内の層間化合物を生成させ、水洗する工程、前記黒鉛粒子内の層間化合物を急速加熱して黒鉛粒子の結晶のC軸方向を膨張させて膨張黒鉛粒子とする工程、得られた膨張黒鉛粒子を圧縮してシート形状に成形する工程を経て得ることができる。また、市販品としては、日立化成工業株式会社製、商品名:カーボフィット(登録商標)等が、使用可能である。
本発明の熱伝導シートは、上記膨張黒鉛シートのかさ密度が0.5〜1.6g/cmの範囲のものを使用することが好ましい。熱伝導シートとして重要な特性である熱伝導率は、材料のかさ密度に比例する。このため、膨張黒鉛シートの熱伝導シート内でのかさ密度が0.5g/cm未満では、十分な熱伝導率が得られない傾向があり、1.6g/cmを超えると、膨張黒鉛シートの特徴である可撓性、柔軟性が失われ、やはり熱伝導シートとしては不適当な材料となってしまう傾向がある。
なお、膨張黒鉛シートのかさ密度は、熱伝導シートを製造するために積層又は捲回する前(積層体の前)の状態のものをいう。
本発明の熱伝導シートは、上記膨張黒鉛シートの厚さが1.0mm以下であることが好ましく、0.8mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。厚さが1.0mmを超えると、膨張黒鉛シートの厚さ方向の強度が低下し、熱伝導シート使用時に膨張黒鉛シート内部で破損する可能性があるためである。一方、膨張黒鉛シートの厚さ下限値は0.05mmであることが好ましい。膨張黒鉛シートの厚みが0.05mm未満であると、折れ、撚れ、切裂きが発生し、製造時の取り扱いが困難となる傾向がある。
なお、膨張黒鉛シートの厚さは、熱伝導シートを製造するために積層又は捲回する前(積層体の前)の状態のものをいう。
本発明の熱伝導シートは、膨張黒鉛シートに10〜30体積%の膨張黒鉛用樹脂が含まれていることがシートの強度の点から好ましい。膨張黒鉛シートへの膨張黒鉛用樹脂は、例えば、真空加圧含浸により、付加することができる。膨張黒鉛用樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を問わず公知のものが用いられる。膨張黒鉛用樹脂に用いられる熱可塑性樹脂は、樹脂層用の熱可塑性樹脂と同様のものが使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、結晶性ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリブタジエン、スチレンブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、アイオノマー、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体(AAS)、塩素化ポリエチレン・アクリロニトリル・スチレン共重合体(ACS)、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリリレート、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン・ポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリアセタール(ポリオキシメチレン)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート(Uポリマー(登録商標))、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾイル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、液晶ポリエステル等が挙げられる。これら樹脂は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
膨張黒鉛用樹脂として用いられる熱硬化性樹脂は、樹脂層用の熱硬化性樹脂と同様のものが使用できる。例えば、フェノール樹脂、開環重合により重合するジヒドロベンゾオキサジン環を含む熱硬化性樹脂、アミノ樹脂(ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂)、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ケイ素樹脂等が挙げられる。これらの中でも、開環重合により重合するジヒドロベンゾオキサジン環を含む熱硬化性樹脂が好ましく、さらに好ましくは開環重合により重合するジヒドロベンゾオキサジン環を含むフェノール樹脂が用いられる。日立工業株式会社製の商品名:HR1060が入手可能なものとして好ましく用いられる。
これら熱硬化性樹脂は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
本発明の熱伝導シートは、UL−94規格でV−0の難燃性を有することが好ましい。本発明品は電子部品として使用されるため、安全上難燃性を有していることが好ましく、V−0の難燃性を得るためには、膨張黒鉛用樹脂及び樹脂層用に用いる樹脂の選定が重要となる。また、必要に応じて樹脂層に適量の難燃付与剤を添加してもよい。
本発明の熱伝導シートに用いられる難燃剤は、特に限定は無いが、例えば、赤りん系難燃剤やりん酸エステル系難燃剤等を使用することができる。りん酸エステル系難燃剤としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート等の脂肪族リン酸エステル;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジル−2,6−キシレニルホスフェート、トリス(tブチル化フェニル)ホスフェート、トリス(イソプロピル化フェニル)ホスフェート、リン酸トリアリールイソプロピル化物等の芳香族リン酸エステル;レゾルシノールビスジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビスジキシレニルホスフェート等の芳香族縮合リン酸エステル;等が挙げられる。これらは一種類を用いても、二種類以上を併用してもよい。
本発明の熱伝導シートは、異方性黒鉛粒子が面方向に配向した黒鉛層の片面に、樹脂を含む樹脂層を形成する工程と、前記黒鉛層が二層以上となるように積層し、且つ各々の黒鉛層間を前記樹脂で接着する工程と、前記積層された黒鉛層が、得られるシートの厚み方向に対して0〜50°の角度で配向するように切断してシートを得る工程と、を少なくとも含む方法により製造できる。
具体的には、例えば以下のように製造できる。まず上述の異方性黒鉛粒子を圧延し、主たる面にほぼ平行な方向に異方性黒鉛粒子が配向した、所定の厚さ、かさ密度)を有する黒鉛層となる一次シートを作製する。一次シートとして、前記膨張黒鉛シートを用いても良い。
黒鉛層が膨張黒鉛シートの場合、熱伝導シート中の膨張黒鉛シートのかさ密度が0.5〜1.6g/cmの範囲とするには、一次シート状態での膨張黒鉛シートのかさ密度を上記範囲としてもよいし、その後の工程で調整してもよい。
次いで、一次シート表面に樹脂層用の樹脂を塗布する。黒鉛層が膨張黒鉛シートである場合は、最終的に得られる熱伝導シートの黒鉛層の厚さ及びかさ密度を調整するために、必要によりロール機等に通して二次シート(黒鉛層に樹脂層が積層したシート)を作製する。従って、黒鉛層が膨張黒鉛シートであり、厚さ、かさ密度を0.5〜1.6g/cmとする場合は、積層又は捲回して積層体とする前の、一次シート状態か二次シート状態で調整すればよい。
得られた二次シートを積層又は、捲回して、積層体を得る。一次シートへの樹脂層用の樹脂の塗布は、塗工、噴霧、ラミネート等の通常の方法で行うことが可能であり、均一な厚みとなるように所定厚さの樹脂層が形成できればよい。
二次シートを積層する方法は特に限定されず、例えば、複数枚の二次シートを積層する方法、二次シートを折り畳む方法等が挙げられる。積層する際の二次シートの形状は、特に限定されず、例えば矩形状のシートを積層した場合では、角柱状の積層体が得られ、円形状の二次シートを積層した場合は、円柱状の積層体が得られる。
積層体を得る際の黒鉛層と樹脂層との結合は、加圧成形、熱圧成形、ロール成形、ラミネート等公知の樹脂接着方法で行うことができる。
二次シートを捲回する方法も特に限定されず、二次シートを黒鉛粒子の配向方向を軸にして捲回して積層体を得ればよい。捲回の形状は、特に限定されず、例えば円筒形でも角筒形でもよい。
二次シートを積層する方法、捲回する方法において、樹脂層全体の空隙の割合を30体積%以下とするには、十分な圧力をかけて(好ましくは面圧1〜10MPa)黒鉛層間を樹脂層で接着させることが好ましい。
次いで、得られるシートの厚み方向に対して、黒鉛層が好ましくは0〜50°の角度で、より好ましくは0〜40°、特に好ましくは0〜30°の角度で配向するように切断して所定の厚さを持った熱伝導シートを作製する。
黒鉛層は、異方性黒鉛粒子が黒鉛層の面方向に配向していることから、シートの厚みに対する前記黒鉛層の配向角度が50°より大きいと、熱伝導率が低下する傾向がある。
前記積層体が積層で得られる場合は、二次シートの積層方向より、黒鉛層が得られる熱伝導シートの厚み方向に配向するように切断すればよい。また、前記積層体が捲回で得られる場合は、捲回の軸に対して上記角度の範囲内で切断すればよい。また、円形状の二次シートを積層した円柱状の積層体の場合は、黒鉛層が熱伝導シートの厚み方向に配向するように外周から、らせん状に熱伝導シートを切り出してもよい。
積層体からの熱伝導シートの切断方法は特に制限されず、例えば、マルチブレード法、レーザー加工法、ウォータージェット法、ナイフ加工法等が挙げられるが、熱伝導シート厚さが均一になるように切断できればよい。樹脂層用樹脂に低いTgを有する熱可塑性樹脂を用いる場合には、切断前にTg以下に冷却し、積層体を硬質化してから切断することが好ましい。切り出した熱伝導シートの厚さは0.05〜1.5mmが望ましく、さらに望ましくは0.1〜1.0mmであるのが良い。厚さが0.05mmより薄くなると、熱伝導シートの強度が低下し、取り扱いが困難となる傾向にある。一方、厚さが1.5mmを超えると、熱伝導シートの厚み方向の熱抵抗が増加し、熱源より発生される熱を効率よく放熱材に伝えることが困難となる傾向にある。
本発明の熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率は、好ましくは200W/mK以上であり、より好ましくは250W/mK以上であり、特に好ましくは300W/mK以上である。また、面方向の熱伝導率は、好ましくは1W/mK以上であり、より好ましくは2W/mK以上である。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
一次シートとして、プレス機でプレスした後の厚さが0.9mm及びかさ密度が0.18g/cmの膨張黒鉛シート(日立化成工業株式会社製、商品名:カーボフィット(登録商標))の片面に、ジヒドロベンゾオキサジン環を含む粉末の付加反応型熱硬化性樹脂(日立化成工業株式会社製、商品名:HR1060)を静電塗装機で6g/m付着させ、90℃のトンネル炉を通過させて当該樹脂を溶融させ、膨張黒鉛シートの表面を熱硬化性樹脂でコーティングした。
次いで、ロール機を用いて熱硬化性樹脂でコーティングした膨張黒鉛シートを圧縮し、厚さが0.12mmの寸法に仕上げ、かさ密度を1.4g/cmの二次シートを得た。
この二次シートを300枚重ねて、面圧5MPa、温度200℃、20分の条件で熱圧着して、厚さ35mmの積層体を作製した。得られた積層体よりバンドソーを用いて50×50mmのブロックを切り出し、さらにメタルソーを用いて、膨張黒鉛シートが得られるシートの厚み方向に対して0°で配向するように(積層された面に対して90°の角度で)切断した。得られた熱伝導シートの厚さは0.50mmであった。なお、得られたシートの樹脂層の樹脂含有量は、5体積%であった。
前記熱伝導シートの熱伝導率、樹脂層全体の空隙率、黒鉛層の配向度、圧縮歪み、及び難燃性を以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
(熱伝導率)
真空理工株式会社製TC−7000型を用いてハーフタイム法により熱拡散率を測定し、比熱とかさ密度の積から熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率を算出した。
(樹脂層全体の空隙率)
熱伝導シートをスライス切断後、サンプルとして用い、表面の樹脂層を光学顕微鏡で観察し、任意の50箇所について、単位面積当りの空隙面積を測定し、平均値を求め、算出し、体積比率として空隙率を得た。
(黒鉛層の配向度)
熱伝導シート断面を光学顕微鏡で観察し、任意の10本の黒鉛層が熱伝導シート厚さ方向から面方向へ傾斜している角度を測定し、平均値を求め、算出した。
(圧縮歪み)
オートグラフ(島津製作所製、商品名:AG−5000B)を用いて、熱伝導シートの厚さ方向に5MPaの圧縮応力を負荷した時のたわみ(元の厚さに対する)を求め、算出した。
(難燃性)
UL−94規格に準拠した難燃試験を行い、測定した。
(実施例2)
一次シートとして厚さが1.0mm及びかさ密度が0.15g/cmの膨張黒鉛シートを用いて、二次シートの膨張黒鉛シートの厚さを0.09mm、かさ密度1.4g/cmにプレス機で調整して仕上げることと、積層枚数を400枚とすること以外は実施例1と同様に操作して、熱伝導シートを作製し、同様の測定を行った。結果を表1に示す。
なお、得られたシートの樹脂含有量は、5体積%であった。
(実施例3)
樹脂層として、厚さが0.05mmのアクリル系両面粘着テープ(日立化成ポリマー株式会社製、商品名:ハイボン)を、プレス機でプレスした後の、厚さが0.12mm及びかさ密度が1.4g/cmの一次シートである膨張黒鉛シート(日立化成工業株式会社製、商品名:カーボフィット(登録商標))に貼り付け二次シートを得た。この二次シートを、手で加圧して300枚積層した。得られた積層体をドライアイスで−20°に冷却した後に、実施例1と同様に切断した熱伝導シートを作製し、同様の測定を行った。得られたシートの樹脂層の樹脂含有量は、40体積%であった。結果を表1に示す。
(実施例4)
切断方向を、積層された面に対して45°の角度とすること以外は実施例3と同様に操作して、熱伝導シートを作製し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1で作製した熱伝導シートの片面の一部(シート面積の20%)にアクリル粘着剤を張り合わせ、アクリル粘着剤の厚み0.015mmのシートを得、実施例1と同様の評価を行った。なお、得られたシートの樹脂層の樹脂含有量は、6.5体積%であった。
結果を表1に示す。
(実施例6)
プレス機でプレスした後の、厚さが3.0mm及びかさ密度が0.18g/cmの膨張黒鉛シート(日立化成工業株式会社製、商品名:カーボフィット(登録商標))を100℃、30分以上の予備乾燥を行い、シート内の水分を除去した。続いてシートを含浸槽に入れ、真空状態0〜20mmHgで1時間以上の真空引きを行った後、シートが完全に浸るまでフェノール樹脂(PR−50273 住友ベークライト株式会社製)を注入し、0.6±0.2MPaで6時間以上加圧した。加圧終了後、シートを含浸槽から取り出し、メタノール・アセトンでシートに付着した樹脂を洗い流し、乾燥機で樹脂を硬化させ、一次シートを得た。硬化条件は、80℃昇温(15時間)→80℃キープ(7時間)→160℃昇温(9時間)→160℃キープ10時間)→冷却で行い、樹脂含浸前後の質量を測定することで含浸量を算出した。得られた一次シートの樹脂含浸量は、15体積%であった。
次いで前記一次シートを用いて、厚さを0.40mmの寸法に仕上げて(かさ密度が1.4g/cm)二次シートとし、この二次シートの積層枚数を90枚とすること以外は実施例1と同様に操作して、熱伝導シートを作製し、同様の測定を行った。なお、得られたシートの樹脂層の樹脂含有量は、19体積%であった。結果を表1に示す。
(比較例1)
ジヒドロベンゾオキサジン環を含む粉末の付加反応型熱硬化性樹脂(日立化成工業株式会社製、商品名:HR1060)の付着量を25g/mとすること以外は、実施例1と同様の材料及び実施例1と同様の操作を行い、樹脂コーティング層の厚さが25μmの膨張黒鉛シートを得た。次いで、ロールに前記膨張黒鉛シートを通して、厚さが0.14mmの寸法に仕上げ、かさ密度を1.4g/cmとし、二次シートとした。この二次シートを250枚重ねて、面圧0.1MPa、温度200℃、20分の条件で熱圧着して、厚さ35mmの積層体を作製し、実施例1と同様に切断した。得られた熱伝導シートは、樹脂層を18体積%含んでおり、また、膨張黒鉛シート層間の接着が不十分であったため、樹脂層に多数の亀裂が発生し、樹脂層に空隙が多く存在していた。
(比較例2)
一次シートとして、プレス機でプレスした後の、厚さが1.5mm及びかさ密度が0.2g/cmの膨張黒鉛シート(日立化成工業株式会社製、商品名:カーボフィット(登録商標))を用い、一次シートの片面に、ジヒドロベンゾオキサジン環を含む粉末の付加反応型熱硬化性樹脂(日立化成工業株式会社製、商品名:HR1060)を静電塗装機で25g/m付着させ、90℃のトンネル炉を通過させて当該樹脂を溶融させ、膨張黒鉛シートの表面を樹脂でコーティングして二次シートとした。この二次シートを70枚重ねて、面圧5MPa、温度200℃、20分の条件で熱圧着したところ、熱圧着時に発生するガスが完全に抜けず、積層体表面に膨れが見られた。次いで得られた積層体を実施例1と同様に切断したところ、膨張黒鉛シート内部で破損してしまい、熱伝導シートがシート状で得ることができなかった。ガスが発生して完全に抜けないのは、二次シートの密度が低いことが原因と考えられる。
なお、得られたシートの樹脂層の樹脂含有量は、15体積%であった。
(比較例3)
樹脂層として厚さが0.05mmのアクリル系両面粘着テープを用い、プレス機でプレスした後の、厚さが1.5mm及びかさ密度が0.2g/cmの一次シートである膨張黒鉛シート(日立化成工業株式会社製、商品名:カーボフィット(登録商標))の片面に貼り付け二次シートを得た。この二次シートを手で加圧しながら25枚積層した。作製した積層体をドライアイスで−20°に冷却した後に、実施例1と同様に切断したところ、切断時に膨張黒鉛シートの内部で破損が見られ、熱伝導シートがシート状で得ることができなかった。膨張黒鉛シートの内部で破損が見られたのは、二次シートの密度が低いことが原因と考えられる。
なお、得られたシートの樹脂層の樹脂含有量は、22体積%であった。
Figure 2009055021
本発明によれば、厚さ方向の熱伝導率に優れた熱伝導シートを得ることができる。

Claims (9)

  1. 異方性黒鉛粒子を含む黒鉛層を有する熱伝導シートであって、
    前記黒鉛層は、前記熱伝導シートの面に対して一方向に二層以上で積層されており、前記各々の黒鉛層間は樹脂層で結合され、前記樹脂層全体の空隙の割合が30体積%以下であり、
    前記異方性黒鉛粒子は前記黒鉛層の面方向に配向しており、且つ前記黒鉛層は前記熱伝導シートの厚み方向に配向していることを特徴とする熱伝導シート。
  2. 前記一方向に二層以上で積層された黒鉛層は、シートの厚さ方向に対し0〜50°の角度で配向していることを特徴とする請求項1記載の熱伝導シート。
  3. 前記樹脂層は、少なくとも熱硬化性樹脂で形成され、該熱硬化性樹脂は熱伝導シート全体の10体積%以下で含有されることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱伝導シート。
  4. 前記樹脂層は、少なくとも熱可塑性樹脂で形成され、該熱可塑性樹脂は熱伝導シート全体の60体積%以下で含有されることを特徴とする請求項1〜3何れか一項に記載の熱伝導シート。
  5. 前記熱伝導シートは、片面又は両面の、全面もしくは一部に付与されるタック性粘着剤を有していることを特徴とする請求項1〜4何れか一項に記載の熱伝導シート。
  6. 前記黒鉛層は、かさ密度0.5〜1.6g/cm、厚さ1.0mm以下の膨張黒鉛シートである請求項1〜5何れか一項に記載の熱伝導シート。
  7. 前記膨張黒鉛シートは、膨張黒鉛用樹脂を含有しており、該樹脂の含有量が前記膨張黒鉛シートに対して10〜30体積%含有される請求項6記載の熱伝導シート。
  8. UL−94規格でV−0の難燃性を有することを特徴とする請求項1〜7何れか一項に記載の熱伝導シート。
  9. 異方性黒鉛粒子が面方向に配向した黒鉛層の片面に、樹脂を含む樹脂層を形成する工程と、
    前記黒鉛層が二層以上となるように積層し、且つ各々の黒鉛層間を前記樹脂で接着する工程と、
    前記黒鉛層が、得られるシートの厚み方向に対して0〜50°の角度で配向するように切断してシートを得る工程と、を少なくとも含む熱伝導シートの製造方法。
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