JP2009050173A - 凍結乾燥エビの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】即席食品、特に即席麺類に適しており復元した際に十分なサイズの外観を有し、硬さが緩和され優れた食感を有する凍結乾燥エビの製造方法を提供する。
【解決手段】
原料エビを重合リン酸塩溶液に浸漬する。次いで、別途準備した熱水中や重合リン酸塩容液中でそのまま加圧して加熱するか、別途準備したレトルトパウチ等の軟包材に浸漬後のエビ等を封入して加圧下で加熱する。この際、エビの内部品温が110〜115℃に達するまで加熱する。次いで、加熱後のエビを凍結乾燥する。
【選択図】図4

Description

本発明は凍結乾燥されたエビに関するものである。特に即席麺類又は生タイプ即席麺の様な即席食品の具材として利用できる凍結乾燥エビに関するものである。
従来まで、熱湯により復元する種々の凍結乾燥具材が開発されている。エビもその一つであり、即席スープや即席麺などの具材として広く使用されている。凍結乾燥エビの製造方法は、一般にはブランチングとして、エビのムキ身を沸騰水中で20〜30秒程度ボイル等して加熱した後、予備凍結したものを凍結乾燥する方法が採用されている。
しかし、従来の凍結乾燥エビは、熱湯で復元した場合、熱湯を注加時にエビが収縮してしまい、原料段階の生エビのサイズと比較すると復元後のエビのサイズが小さくなるということが知られていた。また、この点の影響もあって喫食時にやや硬めの食感となる場合があり、外観・食感において十分とはいえないものであった。
これらの問題点を回避するために、製造工程においてムキエビをカルシウム塩水溶液に浸漬し、次いで重合リン酸塩水溶液に浸漬する方法や(特許文献1)、エビをグルコース、グルコースオキシダーゼ及び過酸化水素分解酵素に浸漬する方法が開示されている(特許文献2)。これらの技術を利用することによって、凍結乾燥エビは、復元後においてその外観や食感の面において大幅に改善がなされている。
しかし、これらの技術を利用した場合であっても、注湯し復元した後のエビの大きさは、原料エビの大きさに比べるとそのサイズは依然として小さめになっており、製造方法におけるさらなる改良が望まれていた。
特開2001−128649 特開2006−55044
そこで、本発明者らは凍結乾燥エビについて、原料エビに比べて復元後のエビの収縮を抑えてエビのサイズを十分に確保すること、また、これとともに、復元後の喫食時の食感において硬さのとれた食感を有する凍結乾燥エビを開発することを課題とした。
本課題の下、本発明者らは基本的な凍結乾燥エビの製造工程と復元時における凍結乾燥エビの復元性、外観、食感等について研究した。さらに添加物や凍結の条件等を含めて広く検討した結果、原料エビのブランチング過程でのボイル時の加熱温度や、復元時の注湯する熱水の温度が凍結乾燥エビの復元時のサイズや復元率に影響している可能性のあることを見出した。
これを契機として本発明者らは原料エビのブランチング過程での加熱温度が復元後におけるエビのサイズに影響するのではないかと考え、原料エビの加熱温度を常圧下のみならず、加圧下において100℃以上となる場合も含めて変化させて、この復元時における影響について検討した。
しかし、単にブランチング時に加熱温度を上げたり、長時間の加熱処理を行なうのみでは、ブランチング時に加熱する際に原料エビが加熱により収縮してしまい凍結乾燥前におけるエビのサイズ自体が小さくなってしまうことがわかった。このように、ブランチング時の加熱温度を高めるだけでは復元後のサイズや食感において十分なものは得られなかった。
そこで、種々検討した結果、ブランチング時の加熱処理をする前に原料エビを予め重合リン酸塩溶液に浸漬させておくと、ブランチング時における加熱によるエビの収縮が抑えられ、それとともに凍結乾燥後の復元時に注湯する際の熱湯による収縮が起きないようにできることを見出した。このように、重合リン酸塩溶液中の浸漬とブランチング時の加熱温度を上げることによって、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、まず、本願第一の発明は、
以下の工程、すなわち;
凍結乾燥エビの製造方法であって、
以下の工程、すなわち;
A)原料エビを重合リン酸塩溶液に浸漬する工程、
B)前記重合リン酸塩溶液に浸漬中又は浸漬後のエビの内部温度が110℃〜115℃に到達するまで加圧下で加熱する工程、
C)前記加熱後のエビを凍結乾燥する工程、
の各工程を含む凍結乾燥エビの製造方法、
である。
本願第一の発明は原料エビを重合リン酸塩溶液に浸漬した後、ブランチング時のエビの内部品温を110℃〜115℃に到達するまで加圧で加熱することが必要となる。
次に、本願第二の発明は、
前記凍結乾燥エビが、即席麺類又は生タイプ即席麺に添付する凍結乾燥エビである請求項1に記載の凍結乾燥エビの製造方法、
である。
本願請求項1に記載する方法によって製造される凍結乾燥エビは、種々の利用が可能であるが、特に即席麺類や生タイプ即席麺の具材として利用すると有用である。例えば、カップ麺に利用することができる。
本発明の製造方法によって製造した凍結乾燥エビは熱湯で復元する際において、エビの収縮を抑え、復元後のエビのサイズを大きく保持することができる。また、これとともに、硬さのとれた良好なエビの食感を得ることができる。
以下に本発明の最良の実施の形態を示すが、本発明はこれらに開示された範囲に限定されるものではない。
─原料エビ─
本発明による製造方法に使用するエビは種々のタイプを用いることができるが、実質的に加熱処理がされていないエビを用い、好ましくは生のムキエビまたは凍結品の生ムキエビを解凍して用いる。その種類、産地は特に限定されず、使用する食品のタイプ及びコストに応じて適宜決定される。尚、原料エビのサイズについては、概ね5〜10cm程度が好ましい。原料エビは、凍結品の場合には、常法により解凍する。例えば、前記解凍処理は、例えば、溜め水や流水中に冷凍ムキエビを浸漬して行う方法や水を使用せずに常温や低温で放置する方法で行うことができる。
─重合リン酸塩溶液への浸漬─
前記生のムキエビを重合リン酸塩水溶液に浸漬する。重合リン酸塩としては、例えば、ポリリン酸、メタリン酸、ピロリン酸等のナトリウム塩もしくはカリウム塩、またはこれらの2種以上の混合物を用いることができる。重合リン酸塩水溶液の濃度は使用する重合リン酸塩の種類により適宜設定されるものであり、通常0.1〜5.0%である。重合リン酸塩水溶液の濃度が0.1%よりも少ないと浸漬時間が長くかかったり、十分な効果が得られない場合があり、5.0%を超えると食感が硬くなりすぎ、エグ味が強くなるからである。例えば、ポリリン酸ナトリウムとピロリン酸ナトリウムの1:1の混合品の場合には、1.0〜5.0%が復元後の収縮度、復元性・食感の点で好ましい。浸漬時の液温、浸漬時間は特に限定されないが、通常、品質劣化の防止の点で、5℃〜30℃、10分〜24時間が好ましい。
─加熱工程─
重合リン酸塩溶液に浸漬後のエビをブランチングとして加熱処理をする。加熱に際しては、重合リン酸塩溶液に浸漬後、別途準備した熱水中で加圧下で加熱する他、重合リン酸塩溶液中で浸漬後そのまま重合リン酸塩容液中で加圧して加熱してもよい。また、別途準備したレトルトパウチ等の軟包材に浸漬後のエビのみを封入するか、あるいはエビと水又は調味液等を封入したものを加圧下で加熱してもよい。
具体的な加熱の方法としては、ボイル、スチーム等の種々の方法を用いることができるが、本発明は原料エビを100℃以上に加熱することが必要になるため、加圧加熱殺菌機や圧力釜等を用いて加圧下で加熱する。
また、本発明における加熱温度は原料エビの内部温度を基準とする。例えば、原料エビを熱湯中で加熱する場合において、加熱開始直後であると外部の熱水の温度とエビの内部温度はかなり異なっている。このため、実際に加熱されている程度を判断する上ではエビが浸漬されている熱水の温度ではなく、原料エビの内部温度が重要になってくるためである。
原料エビの内部温度は、原料エビの内部に温度センサーを差し込んだ状態で、ボイル等を行っている過程で測定することができる。その他、放射温度計等の種々の測定方法が可能である。
─エビの加熱温度─
本発明においては、原料エビの内部品温が110℃〜115℃に達するまで加熱する。本発明において、“到達する”とは、当該温度にまで達すればよく、当該温度で一定時間保持する必要はない。
具体的な加熱の方法としては、常圧下で原料エビの内部品温が110℃〜115℃に達するまで加熱をすることは困難であるため、加圧条件下で行う必要がある。例えば、熱水式の加圧加熱殺菌機を用い、重合リン酸塩浸漬後のエビをレトルトパウチ内に封入して加熱する場合、エビを収納したレトルトパウチの外部熱水が設定温度に達してから、概ね6分〜15分程度で到達する。実際に当該温度に到達したかどうかは、上述のようにレトルトパウチ内の重合リン酸塩に浸漬後の原料エビに温度センサー等を用いて測定することができる。また、110℃〜115℃程度の加熱であるため、加圧式の圧力釜等を用いても十分に実現できる。
─着味工程─
前記加熱処理した原料エビを必要に応じて着味する。着味方法としては、例えば、砂糖、食塩、グルタミン酸ソーダ糖を溶解させた着味液を少量添加して原料エビと混合するとよい。また、着味液にエビを浸漬してもよいし、粉体の着味原料をエビにまぶして混合してもよい。さらに、コショウや唐辛子等の香辛料を混合してもよいことはもちろんである。
─凍結乾燥─
前記着味処理したエビを凍結乾燥する。凍結乾燥は、エビを即席スープや即席麺の具材として用いる場合の処理方法の一つである。凍結乾燥の条件としては、種々の条件を設定することができる。本発明における凍結乾燥は真空凍結乾燥が好ましく、例えば、前記エビをアルミ等のトレーに盛り、30℃で一晩凍結した後、真空乾燥機で棚加熱温度5℃、乾燥時間24時間の条件で行う。
─喫食形態─
本発明によって製造したFDエビは種々の利用が可能である。具体的には、即席カップ麺のような即席麺の具材の原料とすることができる。この場合においては、カップ内に直接充填する方法や、エビのみを単独で包装してこれをカップ内に収納したり、別添する場合等が考えられる。油揚げ処理や熱風処理した乾燥麺を収納した即席カップ麺の場合に本発明を利用することができる。その他、即席チャーハンの素等の具材としても利用可能である。
本発明により製造された凍結乾燥エビは注湯時の復元性に優れ、外観・食感に優れている。本凍結乾燥エビを利用することで、即席麺類・生タイプ即席麺をはじめとする各種即席食品の一層の発展を図ることができる。
以下に本発明の実施例を説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<試験例1>
─従来の方法で製造した凍結乾燥エビを各種温度の熱湯で復元する場合の復元率等─
凍結乾燥エビを以下の方法で作製した。凍結された原料となる生エビを解凍した。この原料エビ(プーバラン種、約3g/個、全長約7cm)500gを計量し、熱湯中で30秒間保持した。尚、この際に原料エビの内部品温は、原料エビの内部に温度センサー(SATO社製のSK-1250MC3)を差込み測定した。(測定されたエビの内部品温は60℃に到達した。)加熱後の原料エビを、流水で冷却し、−25℃で設定で16〜24hr凍結した。次に、凍結後のエビを真空凍結乾燥によって24時間、最終品温が60℃となるまで乾燥して製造した。
上記製造工程により得られた凍結乾燥エビについて、約5gをポリプロピレン製のカップ容器に入れ、各温度の水(お湯)(25℃、70℃、85℃、98℃)を300gを注湯し、いずれも3分間で復元させた。各復元温度の場合の復元率(復元後のエビの重量/復元前のエビの重量)と食感及び外観等を表1に、この際のエビの写真を図1に示す。食感と外観の評価内容を以下に示す。
結果として外観・食感等を表1に、復元前後のエビの写真を図1に示す。評価に関しては、食感・外観とも◎(最良)、○(良い)、△(普通)、×(悪い)の4段階で評価した。尚、官能試験は、熟練のパネラーが5人で行った。次に、評価の基準を以下に示す。



Figure 2009050173

Figure 2009050173
復元前のエビと表2で示した各温度での復元後のエビの写真を図1に示す。表1や図1からわかるように低温で復元させた方の復元率が大きく、喫食時にも、硬さの取れた良好な食感を呈することが判明した。また、食感においても硬さのとれた良好な食感となるとことが判明した。但し、25℃での復元ではやや柔らか過ぎる感があった。
<試験例2>
─ブランチング時の加熱処理条件をアップさせた場合の復元率等─
ブランチング時の原料エビの内部品温をアップさせるため、沸騰中の熱湯中で長時間保持し、原料エビの内部温度が98℃となる程度まで加熱する条件で処理する方法を検討した。試験例1で示したものと同じ原料エビ500gを用いて、解凍後に温度センサーをエビに刺した状態で、沸騰水中に10分間加熱した。
この際、温度センサーよりエビの内部温度が98℃に到達していることを確認した。加熱後のエビを真空凍結乾燥し、凍結乾燥エビを製造した。復元に際しては、凍結乾燥後のエビ約5gをポリプロピレン製のカップに入れ、やかんで沸騰中の熱湯を300g注湯し、3分間保持して復元させた。凍結乾燥の方法、復元の方法は試験例1に示したものと同様である。比較対照としてブランチング時のエビの内部温度が60℃の場合を用い、これと比較した結果について食感・外観を表2に、復元前後のエビの写真を図2に示す。
Figure 2009050173
加熱時間を長くし原料エビの内部達温を上昇させるだけでは、図2の写真から明らかなように、加熱時の原料エビの収縮が著しく、また、復元時においても復元率は向上せず、復元後において十分なサイズを得ることはできなかった。
<試験例3>
─重合リン酸塩溶液浸漬処理のみの場合の復元率等─
重合リン酸塩溶液に浸漬することで、保水力をアップさせる方法を検討した。まず、加熱温度を上げずに、重合リン酸塩溶液の浸漬のみを行った。
解凍後の原料エビ500g(プーバラン種、約3g/個、全長約7cm)を2%の重合リン酸塩溶液(トリポリリン酸ナトリウム:ピロリン酸ナトリウムが1:1(重量比)のもの)500gに、180分浸漬した後、試験例1と同様に原料エビの内部品温が60℃となるように加熱処理した。復元・官能試験等は試験例2と同様にやかんで沸騰中の熱湯を注ぎ、3分間浸漬することにより行った。その他の条件は試験例1と同じである。重合リン酸塩溶液に浸漬した場合の効果について、浸漬しないものと比較した。食感・外観を表3に、復元前後のエビの写真を図3に示す。
Figure 2009050173
重合リン酸塩溶液に浸漬することで、その保水力により復元前の凍結乾燥エビの大きさは図3の写真に示すように一定の大きさを確保することができた。しかし、ブランチング時のエビの加熱について内部達温が従来の60℃のままでは、復元時における復元率はほぼ同様であり、重合リン酸塩溶液に浸漬したものは注湯時の熱湯による収縮が著しく、復元後の外観は重合リン酸塩溶液に浸漬の有無に関わらず、ほぼ同じサイズとなった。
<実施例1>
─加熱温度の引き上げと重合リン酸塩処理とを併用した場合の復元率等─
加熱温度の引き上げと重合リン酸塩処理を組み合わせて行った。原料エビ500gを2%の重合リン酸塩溶液(トリポリリン酸ナトリウム:ピロリン酸ナトリウムが1:1(重量比)のもの)500gに、180分浸漬した後、重合リン酸液浸漬後のエビ575gを浸漬液を切ってから、1L容量のレトルトパウチ(縦28cm×横18.5cm)に封入し、レトルトパウチ外部から温度センサーをエビに刺した状態で、熱水式の加圧加熱殺菌機(RCS-40RTGN型、熱水置換式タイプ)において、エビの内部温度が115℃に到達するまで加熱し、その後、通常の方法により常圧に戻して放冷した。尚、この際の加熱時間は、115℃設定で13分であった。加熱後の凍結乾燥処理等の条件は試験例1と同様である。また、復元は試験例2に示した方法で行った。結果として復元率を表4に、復元後のエビの写真を図4に示す。
Figure 2009050173
重合リン酸塩溶液、加熱温度の引き上げの両方がないものに比べて、これらを併用したものは復元後の復元率が向上した。また、復元後の外観上のサイズが大きく、硬さのとれた優れた食感を有することがわかった。重合リン酸塩溶液中の浸漬処理と加熱温度の引き上げという工程が一体となって外観の向上(復元力のアップ)と食感の向上に役立っていることがわかる。
<実施例2>
─熱湯で復元する場合の各原料エビの加熱温度と復元率・食感等の関係─
上記のように、原料エビを重合リン酸塩溶液に浸漬し、内部温度が115℃程度に到達するように加熱することで、通常の熱湯による復元においても、復元率・食感とも優れたFDエビを製造することができた。次にどの程度の加熱が最適かを調べるために種々の温度の内部達温となるように原料エビを加熱してから凍結乾燥エビを調製した。
尚、加熱温度について、原料エビの内部達温が90℃、95℃のものについては常圧下で、内部達温が100℃、105℃、110℃、113℃、115℃、120℃については加圧下で行った。具体的には、内部達温が90℃、95℃については、2%の重合リン酸溶液(トリポリリン酸ナトリウム:ピロリン酸ナトリウムが1:1のもの)に常温で3時間浸漬後、沸騰中の熱水に浸漬することにより各温度に到達させた。
一方、内部達温が100℃、105℃、110℃、113℃、115℃、120℃のものについては加圧下で行った。具体的には、上述の2%重合リン酸溶液に浸漬後のエビ約575gを浸漬液を切ってから、1L容量のレトルトパウチ(縦28cm×横18.5cm)に収納し、シール後、熱水式の加圧加熱装置(日阪製作所社製、型番RCS-40RTGN)を用いて加熱した。上記各温度に到達したことの確認は、90℃、95℃においては温度センサーをエビに直接差し込むことで行った。また、100℃、105℃、110℃、113℃、115℃、120℃については、レトルトパウチを介して、温度センサーをパウチ内部のエビに差し込むことによって測定した。
各試験区において、所定温度に到達するまでの時間は、概ね以下の通りである。90℃:約3分、95℃:約5分、100℃:約13分、105℃:約13分、110℃:約13分、113℃:約13分、115℃:約13分、120℃:約13分であった。所定の温度にエビの内部温度が到達後に加熱を終了し、通常の方法により常圧に戻して放冷した。加熱後の凍結乾燥処理等の条件は試験例1と同様である。
各加熱温度により製造した凍結乾燥エビを、ポリプロピレン製のカップに入れ、やかんで沸騰させた熱水を約300g注湯し、3分間放置後に、喫食又はレオメーターを用いて試験した。










Figure 2009050173
実施区1〜3にあるように、原料エビの内部達温が110℃〜115℃が食感・外観とものに良好となることが判明した。105℃の場合には、熱湯を注湯後においても収縮していて十分に復元していない状態であった。一方120℃まで加熱した場合には、復元率・外観上のサイズは確保できたが、食感においてやや過度に柔らかくなった。
<実施例3>
─種々の内部達温となるように加熱した凍結乾燥エビの物性及び電子顕微鏡写真の評価─
表5に示すように原料エビを種々の内部達温となるまで加熱し、これを凍結乾燥した凍結乾燥エビを調製し、これらを熱湯で復元し、レオメーターでの物性評価と復元後のエビの尾部切断面の電子顕微鏡写真によりその内部を評価した。
レオメーターによる物性の評価については、解凍後の原料エビを重合リン酸塩溶液に浸漬せずに60℃、115℃達温をとしたもの、重合リン酸塩に浸漬後に60℃、105℃、110℃、115℃、120℃達温としたものを、それぞれ凍結乾燥したサンプルを準備し、ポリプロピレン製のカップ内で、熱湯で復元したものを用いて行った。尚、凍結乾燥の条件は試験例1に示したものと同じである。尚、復元時のカップ内の熱湯の温度は92℃であった。
レオメーターとしては、株式会社サン科学社製のレオメーターCR-500DXを用いて、テーブル移動600mm/分・感圧軸No.34(歯型)での切断強度測定という条件で行った。図5にレオメーターの結果を示す。
加熱時の原料エビの内部達温が上がると、切断強度が低下するという傾向を示した。実施例2の結果とも併せて考えると、良好な食感を得るには、原料エビのブランチング時の内部達温が約110〜115℃であり、概ね荷重(g)が1000〜1500であることが判明した。次に、100℃、110℃、120℃達温の場合について、復元後のエビ尾部切断面の電子顕微鏡写真を図7、8と9に示す。
電子顕微鏡は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社社製分析型走査型電子顕微鏡JSM-6380LA)を用いて、上記各達温となるように加熱した後、凍結乾燥した凍結乾燥エビをポリプロピレン製のカップ内で熱湯で復元したものを用いて行った。次に、復元後のエビの尾部を図6に示すように、ミクロトーム刃により切断し、観察面を切り出し、液体窒素で凍結させたのち、低真空・低温条件のもとで観察を行った。
図7に示すように105℃の場合は筋繊維が太くなっており、比較的良く吸水しているが、筋繊維束間の拡がりが目立つ。また、図8に示すように、110℃の場合は、全体的に、筋繊維束間の拡がりが小さく、均等である。筋繊維1つ1つは良く吸水しており良好である。一方、図9に示すように、120℃まで内部達温を上げてしまうと筋繊維は全体的に膨れた状態であり、非常に脆い状態を表している。
表5に示すように実際の官能試験においても、105℃達温では、喫食時の食感的にも硬さも残っており十分ではなかった。また、110℃達温では、硬さのとれた良好な食感を呈した。また、120℃達温では、食感においてやや過度に柔らかくなった。このように官能試験の結果と電子顕微鏡による復元後のエビ尾部切断面の電子顕微鏡による観察結果には関連性が見られた。
従来の方法により製造した凍結乾燥エビの復元前及び各種温度の水で復元した後のエビの写真である。 ブランチング時のエビの内部達温を変化させた場合の復元前後のエビ外観の写真である。 重合リン酸塩溶液の浸漬有無についての復元前後のエビの外観写真である。 重合リン酸塩溶液の浸漬有無と内部達温を変化させた場合の復元後のエビの外観写真である。 エビの内部達温を変化させた各凍結乾燥エビを復元させた後のレオメーター測定結果を示したグラフである。 電子顕微鏡による観察時のエビの切断方法を示した図である。 エビの内部達温が105℃の場合についての復元後のエビ尾部切断面の電子顕微鏡写真である。 エビの内部達温が110℃の場合についての復元後のエビ尾部切断面の電子顕微鏡写真である。 エビの内部達温が120℃の場合についての復元後のエビ尾部切断面の電子顕微鏡写真である。

Claims (2)

  1. 凍結乾燥エビの製造方法であって、
    以下の工程、すなわち;
    A)原料エビを重合リン酸塩溶液に浸漬する工程、
    B)前記重合リン酸塩溶液に浸漬中又は浸漬後のエビの内部温度が110℃〜115℃に到達するまで加圧下で加熱する工程、
    C)前記加熱後のエビを凍結乾燥する工程、
    の各工程を含む凍結乾燥エビの製造方法。
  2. 前記凍結乾燥エビが、即席麺類又は生タイプ即席麺に添付する凍結乾燥エビである請求項1に記載の凍結乾燥エビの製造方法。
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