JP2009045863A - 液体噴射装置及び切換装置の切換方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】切換装置の第1開閉弁及び第2開閉弁のうちの一方が開弁されるとともに他方が閉弁された状態が長時間続いた後に両開閉弁の双方を開弁する場合でも、この長時間閉弁された状態にあった方の開閉弁を確実に開弁することが可能な液体噴射装置及び切換装置の切換方法を提供する。
【解決手段】切換装置25は、フォトブラックインクを供給する第1連結路40と、マットブラックインクを供給する第2連結路41と、両連結路40,41を開閉する第1開閉弁43及び第2開閉弁44と、両開閉弁43,44を開閉動作させる第1作動板52及び第2作動板53と、両開閉弁43,44のうちの一方が開弁し他方が閉弁した状態から両開閉弁43,44の双方が開弁した状態にする場合に、開弁した一方を閉弁することで閉弁した他方を開弁してから両開閉弁43,44の双方の開弁動作を許容するように、両作動板52,53を駆動制御する制御部55とを備える。
【選択図】図3
【解決手段】切換装置25は、フォトブラックインクを供給する第1連結路40と、マットブラックインクを供給する第2連結路41と、両連結路40,41を開閉する第1開閉弁43及び第2開閉弁44と、両開閉弁43,44を開閉動作させる第1作動板52及び第2作動板53と、両開閉弁43,44のうちの一方が開弁し他方が閉弁した状態から両開閉弁43,44の双方が開弁した状態にする場合に、開弁した一方を閉弁することで閉弁した他方を開弁してから両開閉弁43,44の双方の開弁動作を許容するように、両作動板52,53を駆動制御する制御部55とを備える。
【選択図】図3
Description
本発明は、例えばインクジェット式プリンタなどの液体噴射装置及び該液体噴射装置に備えられる切換装置の切換方法に関する。
一般に、液体をターゲットに対して噴射する液体噴射装置として、インクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」という。)が広く知られている。このプリンタは、インクカートリッジから供給されたインク(液体)を記録ヘッド(液体噴射ヘッド)のノズルから記録用紙(ターゲット)に噴射することで印刷を行うようになっている。こうしたプリンタでは、記録ヘッドから離れた位置にインクカートリッジが配置されている場合、そのインクカートリッジからプリンタ内部に引き回されたチューブを介してインクが記録ヘッド側に供給されるようになっている。
ところで、こうしたプリンタにおいては、記録ヘッドのノズルから噴射するインクを別の種類のインクに変更する場合、チューブ内に残存する変更前のインクを排出してからこのチューブを介して変更後のインクを記録ヘッド側に供給するようにしているため、変更前のインクを無駄に消費してしまうという問題があった。そこで、こうした問題に対処するため、従来から、記録ヘッドの近傍に各インクカートリッジとインクカートリッジ毎に対応したチューブを介して接続されるインクの切換装置を設けたプリンタが提案されている(例えば、特許文献1)。
この特許文献1のプリンタでは、切換装置内において、記録ヘッドに供給するインクの種類が、第1種類のインク(第1液体)と第2種類のインク(第2液体)との間で切り換え可能になっている。すなわち、切換装置内では、第1種類のインクを供給する第1通路部(第1供給路)の下流端と第2種類のインクを供給する第2通路部(第2供給路)の下流端とが合流しており、該合流点と記録ヘッドとの間がインクを記録ヘッドに供給するヘッド側供給路により接続されている。
さらに、この切換装置内には、第1通路部を開閉する第1ダイアフラム(第1開閉弁)と第2通路部を開閉する第2ダイアフラム(第2開閉弁)と、第1ダイアフラム及び第2ダイアフラムを開弁方向に付勢するバネが設けられている。そして、第1ダイアフラム及び第2ダイアフラムのうちの一方をバネの付勢力に抗して閉弁させると共に、他方を開弁させることにより、第1種類のインクと第2種類のインクとの供給状態を切り換えるようになっている。
特開2006−175626号公報
ところで、上記したような切換装置の中には、第1開閉弁及び第2開閉弁を開弁方向に付勢するバネを持たないものもある。そして、このようなバネを持たない切換装置において、第1開閉弁及び第2開閉弁のうちの一方が開弁されるとともに他方が閉弁された状態が長時間続いた後、第1開閉弁及び第2開閉弁の双方を開弁する場合には、閉弁された状態にあった方の開閉弁が弁座に貼り付いて開弁されなくなってしまうという問題があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、切換装置の第1開閉弁及び第2開閉弁のうちの一方が開弁されるとともに他方が閉弁された状態が長時間続いた後に両開閉弁の双方を開弁する場合でも、この長時間閉弁された状態にあった方の開閉弁を確実に開弁することが可能な液体噴射装置及び切換装置の切換方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドへ供給される液体の種類を第1液体と該第1液体とは異なる第2液体との間で選択的に切り換える切換装置とを備えた液体噴射装置であって、前記切換装置は、前記第1液体を供給する第1供給路と、前記第2液体を供給する第2供給路と、前記第1供給路及び前記第2供給路の下流端同士の合流点と前記液体噴射ヘッドとの間を連通するヘッド側供給路と、前記第1供給路における前記第2供給路との合流点よりも上流側において前記第1供給路を開閉する第1開閉弁と、前記第2供給路における前記第1供給路との合流点よりも上流側において前記第2供給路を開閉する第2開閉弁と、前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁を開閉動作させるアクチュエータと、前記アクチュエータによって前記第1開閉弁を閉弁動作させる際の閉弁力を、前記第2開閉弁を開弁動作させる開弁力として該第2開閉弁に伝達するとともに、前記アクチュエータによって前記第2開閉弁を閉弁動作させる際の閉弁力を、前記第1開閉弁を開弁動作させる開弁力として該第1開閉弁に伝達する伝達部材と、前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁のうちの一方が開弁しているとともに他方が閉弁している状態から前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁の双方が開弁している状態にする場合に、前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁のうちの開弁している一方を閉弁動作させることで閉弁している他方を開弁動作させてから前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁の双方の開弁動作を許容するように、前記アクチュエータを駆動制御する制御手段とを備えた。
通常、第1開閉弁及び第2開閉弁のうちの一方が開弁されるとともに他方が閉弁された状態が長時間続いた後、第1開閉弁及び第2開閉弁の双方を開弁する場合には、開弁動作が許容されても長時間閉弁された状態にあった方の開閉弁が弁座に貼り付いて開弁されなくなってしまうことがある。この点、この発明によれば、第1開閉弁及び第2開閉弁のうちの一方が開弁しているとともに他方が閉弁している状態から両開閉弁の双方が開弁している状態にする場合に、両開閉弁のうちの開弁している一方を閉弁動作させることで閉弁している他方が開弁動作されてから両開閉弁の双方の開弁動作が許容される。このため、第1開閉弁及び第2開閉弁のうちの一方が開弁されるとともに他方が閉弁された状態が長時間続くことで閉弁された状態にあった方の開閉弁が弁座に貼り付いたとしても、この閉弁された状態にあった方の開閉弁は、両開閉弁の双方の開弁動作が許容される前に一旦開弁されることで、弁座から確実に離間される。したがって、切換装置の第1開閉弁及び第2開閉弁のうちの一方が開弁されるとともに他方が閉弁された状態が長時間続いた後に両開閉弁の双方を開弁する場合でも、この長時間閉弁された状態にあった方の開閉弁を確実に開弁することが可能となる。
本発明の液体噴射装置において、前記切換装置は前記制御手段によって駆動制御される回転式のカムを備え、該カムの回転駆動に伴って前記アクチュエータが駆動される。
一般に、回転式のカムは、直線的にスライド移動する直動式のカムに比べて、駆動時に必要とするスペースが少ない。この点、この発明によれば、第1開閉弁及び第2開閉弁を開閉動作させるアクチュエータが回転式のカムの回転駆動に伴って駆動されるため、直動式のカムでアクチュエータを駆動させる場合に比べて必要とするスペースが少なくなる。したがって、液体噴射ヘッドへ供給する液体の種類を変更するための切換装置を小型化することが可能となる。
一般に、回転式のカムは、直線的にスライド移動する直動式のカムに比べて、駆動時に必要とするスペースが少ない。この点、この発明によれば、第1開閉弁及び第2開閉弁を開閉動作させるアクチュエータが回転式のカムの回転駆動に伴って駆動されるため、直動式のカムでアクチュエータを駆動させる場合に比べて必要とするスペースが少なくなる。したがって、液体噴射ヘッドへ供給する液体の種類を変更するための切換装置を小型化することが可能となる。
本発明の液体噴射装置において、前記アクチュエータは、前記第1開閉弁を閉弁動作させる第1アクチュエータと前記第2開閉弁を閉弁動作させる第2アクチュエータとを備え、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータは、1つの前記カムの回転駆動に伴ってそれぞれ駆動される。
この発明によれば、1つの回転式のカムの回転駆動により、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータの双方が駆動されるため、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータを別々のカムによってそれぞれ駆動させる場合に比べて部品点数を少なくすることが可能となる。
本発明の液体噴射装置において、前記カムには、該カムの回転駆動に伴い前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータが順次に係合する第1カム面と第2カム面とが形成されており、前記両アクチュエータは、前記第1カム面に係合することによってそのアクチュエータが対応する開閉弁の開弁動作を許容する方向に変位する一方、前記第2カム面に係合することによってそのアクチュエータが対応する開閉弁を閉弁動作させる方向に変位する構成とされている。
この発明によれば、カムを一方向に回転駆動することで、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータがそれぞれ駆動することにより、第1開閉弁及び第2開閉弁のうち、一方が閉弁されるとともに他方が開弁される状態と一方が開弁されるとともに他方が閉弁される状態との間で順次交互に切り換えることが可能となる。
本発明の液体噴射装置において、前記カムは、該カムの回転角度の変化に伴って、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータの双方が前記第1カム面に係合する態様と、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータのうちの一方が前記第1カム面に係合するとともに他方が前記第2カム面に係合する態様とをとり得る構成とされている。
この発明によれば、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータの双方が第1カム面に係合するようにカムを駆動することで、第1開閉弁及び第2開閉弁の双方の開弁動作を同時に許容することが可能となる。
本発明の切換装置の切換方法は、液体噴射装置の液体噴射ヘッドへ供給される液体の種類を第1液体と該第1液体とは異なる第2液体との間で選択的に切り換える切換装置の切換方法であって、前記切換装置は、前記第1液体を供給する第1供給路と、前記第2液体を供給する第2供給路と、前記第1供給路及び前記第2供給路の下流端同士の合流点と前記液体噴射ヘッドとの間を連通するヘッド側供給路と、前記第1供給路における前記第2供給路との合流点よりも上流側において前記第1供給路を開閉する第1開閉弁と、前記第2供給路における前記第1供給路との合流点よりも上流側において前記第2供給路を開閉する第2開閉弁と、前記第1開閉弁を閉弁する際の閉弁力を、前記第2開閉弁を開弁するための開弁力として該第2開閉弁に伝達するとともに、前記第2開閉弁を閉弁する際の閉弁力を、前記第1開閉弁を開弁するための開弁力として該第1開閉弁に伝達する伝達部材とを備える構成とされ、前記切換装置を前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁のうちの一方が開弁しているとともに他方が閉弁している状態から前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁の双方が開弁している状態に切り換える場合には、前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁のうちの開弁している一方を閉弁することで閉弁している他方を開弁した後に、前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁の双方の開弁動作を許容する。
この発明によれば、請求項1と同様の作用効果が得られる。
以下、本発明の液体噴射装置をインクジェット式プリンタに具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は図1に矢印で示す前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。
図1に示すように、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ11は平面視矩形状をなす本体フレーム12を備えており、該本体フレーム12内にはプラテン13が主走査方向となる左右方向に沿って延設されている。このプラテン13上には、図示しない紙送り機構により記録用紙(図示略)が副走査方向となる前後方向に沿って給送されるようになっている。また、本体フレーム12内におけるプラテン13の上方には、該プラテン13の長手方向(左右方向)と平行に延びる棒状のガイド軸14が架設されている。
このガイド軸14には、キャリッジ15が、該ガイド軸14の軸線方向(左右方向)への往復移動可能な状態で支持されている。キャリッジ15は、本体フレーム12の後壁内面に設けられた一対のプーリ16a間に掛装された無端状のタイミングベルト16を介して本体フレーム12の背面に設けられたキャリッジモータ17に連結されている。したがって、キャリッジ15は、キャリッジモータ17の駆動により、ガイド軸14に沿って往復移動されるようになっている。
図1及び図2に示すように、キャリッジ15におけるプラテン13と対向する下端側には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド18が支持されている。また、キャリッジ15上には、一時貯留した液体としてのインクを記録ヘッド18に供給する複数(本実施形態では4つ)のバルブユニット19a〜19dが設けられている。記録ヘッド18の下面は、複数(本実施形態では3つ)のノズル列20a〜20cをそれぞれ構成する複数のノズルが開口するノズル形成面18aになっており、各ノズル列20a〜20cを構成する各ノズルの開口からプラテン13上に給送された記録用紙(図示略)にそれぞれインク滴が噴射されることで印刷が行われるようになっている。
本体フレーム12内の右端部には、カートリッジホルダ21が設けられるとともに、該カートリッジホルダ21には、互いに種類の異なるインクを収容した複数(本実施形態では4つ)のインクカートリッジ22a〜22dがそれぞれ着脱自在に装着されている。カートリッジホルダ21は、キャリッジ15上の各バルブユニット19a〜19dとそれぞれインク供給チューブ24a〜24dを介して接続されている。そして、カートリッジホルダ21に各インクカートリッジ22a〜22dを装着した状態では、各インクカートリッジ22a〜22dがインク供給チューブ24a〜24dを介して各バルブユニット19a〜19dとそれぞれ連通するようになっている。
インクカートリッジ22a及びインクカートリッジ22bには、それぞれ第1液体としてのフォトブラックインク及び第2液体としてのマットブラックインクが収容されている。したがって、バルブユニット19aにはフォトブラックインクが一時貯留されるとともに、バルブユニット19bにはマットブラックインクが一時貯留されるようになっている。
この場合、フォトブラックインクは記録用紙(図示略)が光沢系用紙である場合の印刷に適しており、マットブラックインクは記録用紙(図示略)がマット系用紙である場合の印刷に適している。そこで、キャリッジ15上における両バルブユニット19a,19bと記録ヘッド18との間には、該両バルブユニット19a,19bから記録ヘッド18に供給されるインクがフォトブラックインク及びマットブラックインクのうちのいずれか一方となるように切り換えるための切換装置25が設けられている。
すなわち、切換装置25は、記録ヘッド18のノズル列20aを構成する各ノズルから噴射されるインクを、例えば記録用紙(図示略)が光沢系用紙であるかマット系用紙であるかによって、フォトブラックインクとマットブラックインクとの間で切り換え可能になっている。なお、切換装置25は、インクの切り換えを行う切換ユニット25Aと、該切換ユニット25Aを駆動する駆動ユニット25Bとにより構成されている。
また、本体フレーム12内の右端部寄り位置であって、キャリッジ15のホームポジションには、記録ヘッド18のクリーニング等のメンテナンスを行うためのメンテナンスユニット26が配設されている。このメンテナンスユニット26は、記録ヘッド18の各ノズル列20a〜20cを囲うように該記録ヘッド18に当接したり該各ノズル列20a〜20cをそれぞれ構成する各ノズルの開口からフラッシングによって吐出されるインクを受容したりするためのキャップ27と、該キャップ27内を吸引可能な吸引ポンプ(図示略)とを備えている。
そして、記録ヘッド18の各ノズル列20a〜20cを囲うように該記録ヘッド18にキャップ27を当接した状態で該キャップ27内を吸引ポンプ(図示略)によって吸引することで、記録ヘッド18内の増粘したインクを、各ノズル列20a〜20cをそれぞれ構成する各ノズルの開口からキャップ27内に強制的に排出させる、いわゆるクリーニングが行われるようになっている。
次に、切換装置25を構成する切換ユニット25Aの構成について詳述する。
図3に示すように、切換ユニット25Aは、左右対称の略ブロック形状をなす本体30を備えており、該本体30の上面には左右方向に所定間隔を置いて対をなすように第1接続管31及び第2接続管32が立設されている。第1接続管31はバルブユニット19aに接続されるとともに、第2接続管32はバルブユニット19bに接続されるようになっている。本体30における左側面には左側に開口した円形の第1収容凹部33が設けられるとともに、本体30における右側面には右側に開口した円形の第2収容凹部34が設けられている。
図3に示すように、切換ユニット25Aは、左右対称の略ブロック形状をなす本体30を備えており、該本体30の上面には左右方向に所定間隔を置いて対をなすように第1接続管31及び第2接続管32が立設されている。第1接続管31はバルブユニット19aに接続されるとともに、第2接続管32はバルブユニット19bに接続されるようになっている。本体30における左側面には左側に開口した円形の第1収容凹部33が設けられるとともに、本体30における右側面には右側に開口した円形の第2収容凹部34が設けられている。
本体30内には左右方向に直線状に延びる連結路35が形成されており、該連結路35を介して第1収容凹部33と第2収容凹部34とがこれらの底面33a,34aの中心部において互いに連通している。すなわち、第1収容凹部33の底面33aの中心部及び第2収容凹部34の底面34aの中心部には、それぞれ連結路35が開口している。
さらに、本体30内には、第1接続管31内と第1収容凹部33内とを連通する第1流路36と、第2接続管32内と第2収容凹部34内とを連通する第2流路37とが形成されている。すなわち、第1収容凹部33の底面33aにおける連結路35の開口よりも上側には第1流路36が開口しているとともに、第2収容凹部34の底面34aにおける連結路35の開口よりも上側には第2流路37が開口している。
また、本体30の下面における左右方向の中央部には第3接続管38が下方に向かって突出するように設けられており、該第3接続管38は記録ヘッド18に接続されるようになっている。そして、本体30内における連結路35の左右方向の中央部における下側の位置には、該連結路35内と第3接続管38内とを連通する第3流路39が形成されている。なお、本実施形態では、第3接続管38内及び第3流路39によりヘッド側供給路が構成されている。
連結路35において、左右方向の中央部から左側の部分は第1連結路40とされるとともに、左右方向の中央部から右側の部分は第2連結路41とされている。したがって、連結路35における中央部は、第1連結路40と第2連結路41との合流点Gとなっており、該合流点Gにおいて第1連結路40、第2連結路41、及び第3流路39が互いに連通している。そして、本実施形態では、第1接続管31内、第1流路36、第1収容凹部33内、及び第1連結路40により第1供給路が構成されるとともに、第2接続管32内、第2流路37、第2収容凹部34内、及び第2連結路41により第2供給路が構成されている。
連結路35内には、該連結路35に沿って延びる丸棒状の伝達部材42が配置されている。伝達部材42は、その外径が連結路35の内径よりも小さくなるように設定されており、連結路35内を左右方向にスライド移動可能になっている。伝達部材42は、その長手方向(左右方向)の長さが連結路35の長さよりも若干長くなっており、その左右の両端部はそれぞれ第1収容凹部33内及び第2収容凹部34内に突出している。
第1収容凹部33内及び第2収容凹部34内には、円板状の可撓性を有する第1開閉弁43及び該第1開閉弁43と同一構成の第2開閉弁44がそれぞれ遊嵌されている。そして、本体30の左面には第1収容凹部33の開口を密閉するように可撓性を有する第1フィルム45が取着されているとともに、本体30の右面には第2収容凹部34の開口を密閉するように可撓性を有する第2フィルム46が取着されている。
第1開閉弁43の左面は第1フィルム45の右面と面接触しているとともに、第1開閉弁43の右面における中心部には伝達部材42の左端面が当接している。したがって、第1開閉弁43の右面と第1収容凹部33の底面33aとの間には隙間が形成されている。一方、第2開閉弁44の右面は第2フィルム46の左面と面接触しているとともに、第2開閉弁44の左面における中心部には伝達部材42の右端面が当接している。したがって、第2開閉弁44の左面と第2収容凹部34の底面34aとの間には隙間が形成されている。
次に、切換装置25を構成する駆動ユニット25Bの構成について詳述する。
図3に示すように、駆動ユニット25Bは、外周縁が曲線で構成された非円形の板材からなる回転式のカムとしての板カム51と、アクチュエータを構成する第1アクチュエータとしての第1作動板52と、アクチュエータを構成する第2アクチュエータとしての第2作動板53とを備えている。板カム51の中央部には該板カム51の後側に配設されたカムモータ54から延びる出力軸54aが接続されており、カムモータ54には該カムモータ54を駆動制御するための制御手段としての制御部55が電気的に接続されている。
図3に示すように、駆動ユニット25Bは、外周縁が曲線で構成された非円形の板材からなる回転式のカムとしての板カム51と、アクチュエータを構成する第1アクチュエータとしての第1作動板52と、アクチュエータを構成する第2アクチュエータとしての第2作動板53とを備えている。板カム51の中央部には該板カム51の後側に配設されたカムモータ54から延びる出力軸54aが接続されており、カムモータ54には該カムモータ54を駆動制御するための制御手段としての制御部55が電気的に接続されている。
したがって、板カム51は、制御部55によってカムモータ54が駆動されることにより、出力軸54aを中心に正逆両方向に回動可能になっている。板カム51の外周縁には、該板カム51の回動に伴い第1作動板52及び第2作動板53が順次に係合する第1カム面51aと第2カム面51bとが形成されている。第1カム面51aは、板カム51の回転中心となる出力軸54aからの距離を半径とする円弧状をなすように形成される一方、第2カム面51bは、出力軸54aからの距離が第1カム面51aよりも短くなる略弦状をなすように形成されている。
第1作動板52と第2作動板53とは、同一形状になっており、これらはともに略Z字板状をなしている。第1作動板52及び第2作動板53は、これらのうち一方のみを裏返しにした状態で、これらの中央部において互いに交差するように重ね合わせられている。そして、第1作動板52及び第2作動板53は、これらと直交する前後方向に延びる1つの軸56により、互いにこれらの交差点となる中央部において揺動可能に軸支されている。すなわち、第1作動板52及び第2作動板53は、それぞれが軸56を中心に正逆両方向に揺動可能になっている。
第1作動板52及び第2作動板53は、軸56を境として、一端側がそれぞれ第1従動部52a及び第2従動部53aとされ、他端側がそれぞれ第1押圧作動部52b及び第2押圧作動部53bとされている。そして、第1作動板52及び第2作動板53は、板カム51を第1従動部52aと第2従動部53aとで挟むように配置されている。第1従動部52a及び第2従動部53aは、その先端側がそれぞれ板カム51側に屈曲しており、これらの先端はそれぞれ板カム51の外周縁、すなわち、第1カム面51aまたは第2カム面51bに摺接するようになっている。
第1従動部52aと第2押圧作動部53bとの間には第1コイルばね57が介在されており、該第1コイルばね57により第1従動部52aと第2押圧作動部53bとが常に離間する方向に付勢されるようになっている。同様に、第2従動部53aと第1押圧作動部52bとの間には第2コイルばね58が介在され、該第2コイルばね58により第2従動部53aと第1押圧作動部52bとが常に離間する方向に付勢されるようになっている。
したがって、第1従動部52a及び第2従動部53aの先端は、第1コイルばね57及び第2コイルばね58の付勢力により、それぞれ常に板カム51の外周縁(第1カム面51aまたは第2カム面51b)に押し付けられるようになっている。第1押圧作動部52bの先端部における内側面には円板状の第1凸部52cが設けられているとともに、第2押圧作動部53bの先端部における内側面には第2凸部53cが設けられている。すなわち、第1凸部52c及び第2凸部53cは互いに対向している。
そして、第1押圧作動部52bと第2押圧作動部53bとの間、すなわち第1凸部52cと第2凸部53cとの間には、上述した切換ユニット25Aが配置されている。この場合、切換ユニット25Aにおいて、第1開閉弁43は第1フィルム45を隔てて第1凸部52cと対向しているとともに、第2開閉弁44は第2フィルム46を隔てて第2凸部53cと対向している。
そして、板カム51の回動角度を変化させることで、第1凸部52cが第1フィルム45越しに第1開閉弁43を左側から右側に向かって押圧したり第2凸部53cが第2フィルム46越しに第2開閉弁44を右側から左側に向かって押圧したりするように、第1作動板52及び第2作動板53がそれぞれ軸56を中心として揺動するようになっている。
また、第1開閉弁43は、第1凸部52cにより第1フィルム45を介して左側から右側に向かって押圧されて該第1開閉弁43の右面が第1収容凹部33の底面33aに密着した場合には、該底面33aにおける連結路35(第1連結路40)の開口及び第1流路36の開口を閉塞した閉弁状態(図5に示す状態)となるように構成されている。そして、第1開閉弁43が閉弁状態にある場合には、連結路35(第1連結路40)と第1流路36とは非連通状態になっている。
さらに、第1開閉弁43は、第1凸部52cが第1フィルム45から離間した位置にある場合には、該第1開閉弁43の右面が第1収容凹部33の底面33aから離間した開弁状態(図3または図4に示す状態)となることが許容されるように構成されている。そして、第1開閉弁43が開弁状態にある場合には、連結路35(第1連結路40)と第1流路36とは連通状態になっている。
一方、第2開閉弁44は、第2凸部53cにより第2フィルム46を介して右側から左側に向かって押圧されて該第2開閉弁44の左面が第2収容凹部34の底面34aに密着した場合には、該底面34aにおける連結路35(第2連結路41)の開口及び第2流路37の開口を閉塞した閉弁状態(図4に示す状態)となるように構成されている。そして、第2開閉弁44が閉弁状態にある場合には、連結路35(第2連結路41)と第2流路37とは非連通状態になっている。
さらに、第2開閉弁44は、第2凸部53cが第2フィルム46から離間した位置にある場合には、該第2開閉弁44の左面が第2収容凹部34の底面34aから離間した開弁状態(図3または図5に示す状態)となることが許容されるように構成されている。そして、第2開閉弁44が開弁状態にある場合には、連結路35(第2連結路41)と第2流路37とは連通状態になっている。
なお、図3には第1開閉弁43及び第2開閉弁44の双方が開弁されている状態、すなわち、第1開閉弁43の右面と第1収容凹部33の底面33aとの間及び第2開閉弁44の左面と第2収容凹部34の底面34aとの間の双方に隙間が形成された状態が示されている。
次に、切換装置25の作用について説明する。
さて、記録ヘッド18に供給するインクをマットブラックインクからフォトブラックインクに切り換える場合には、図4に示すように、まず、板カム51を回動させて、第1作動板52の第1従動部52aが板カム51の第1カム面51aに係合するとともに、第2作動板53の第2従動部53aが板カム51の第2カム面51bに係合するようにする。
さて、記録ヘッド18に供給するインクをマットブラックインクからフォトブラックインクに切り換える場合には、図4に示すように、まず、板カム51を回動させて、第1作動板52の第1従動部52aが板カム51の第1カム面51aに係合するとともに、第2作動板53の第2従動部53aが板カム51の第2カム面51bに係合するようにする。
すると、第2作動板53はその第2凸部53cが第2フィルム46を介して第2開閉弁44を右側から左側に向かって押圧するように揺動するとともに、第1作動板52はその第1凸部52cが第1フィルム45から離間するように揺動する。これにより、第2開閉弁44は閉弁方向である左方向に変位されるため、第2開閉弁44は、第2収容凹部34の底面34aに密着するとともに、伝達部材42を左方向に押圧する。このとき、第2収容凹部34の底面34aは、第2開閉弁44の弁座として機能する。
すると、この押圧に伴って第1開閉弁43が伝達部材42によって左方向に向かって押圧されるため、第1開閉弁43はその右面が窪むように撓みながら左方向に変位される。第1開閉弁43が左方向へ変位されると、該第1開閉弁43は、第1収容凹部33の底面33aから離間するとともに、第1フィルム45を左方向へ押圧する。この押圧により、第1フィルム45は、左方向に向かって膨出するように撓んだ状態となる。
この状態では、第1開閉弁43が開弁されるとともに第2開閉弁44が閉弁された状態になっている。つまり、第2凸部53cから付与される押圧力が第2開閉弁44を閉弁する閉弁力となり、この第2開閉弁44を閉弁する閉弁力が伝達部材42により第1開閉弁43を開弁する開弁力として該第1開閉弁43に伝達される。したがって、第2開閉弁44の閉弁と第1開閉弁43の開弁とは同時に行われる。
そして、記録ヘッド18のノズル列20aを構成する各ノズルの開口から前回使用していたインクであるマットブラックインクをフラッシングによってキャップ27内に吐出すると、フォトブラックインクが第1流路36から第1収容凹部33内を介して第1連結路40内に流れ込む。この場合のフラッシングでは、選択的にノズル列20aを構成する各ノズルの開口からのみインクが吐出される。そして、第1連結路40内に流れ込んだフォトブラックインクは、第3流路39を介して第3接続管38内に流れ込むようになり、記録ヘッド18に供給されるインクがマットブラックインクからフォトブラックインクに切り換えられる。
一方、記録ヘッド18に供給するインクをフォトブラックインクからマットブラックインクに切り換える場合には、図5に示すように、まず、板カム51を回動させて、第1作動板52の第1従動部52aが板カム51の第2カム面51bに係合するとともに、第2作動板53の第2従動部53aが板カム51の第1カム面51aに係合するようにする。
すると、第1作動板52はその第1凸部52cが第1フィルム45を介して第1開閉弁43を左側から右側に向かって押圧するように揺動するとともに、第2作動板53はその第2凸部53cが第2フィルム46から離間するように揺動する。これにより、第1開閉弁43は閉弁方向である右方向に変位されるため、第1開閉弁43は、第1収容凹部33の底面33aに密着するとともに、伝達部材42を右方向に押圧する。このとき、第1収容凹部33の底面33aは、第1開閉弁43の弁座として機能する。
すると、この押圧に伴って第2開閉弁44が伝達部材42によって右方向に向かって押圧されるため、第2開閉弁44はその左面が窪むように撓みながら右方向に変位される。第2開閉弁44が右方向へ変位されると、該第2開閉弁44は、第2収容凹部34の底面34aから離間するとともに、第2フィルム46を右方向へ押圧する。この押圧により、第2フィルム46は、右方向に向かって膨出するように撓んだ状態となる。
この状態では、第2開閉弁44が開弁されるとともに第1開閉弁43が閉弁された状態になっている。つまり、第1凸部52cから付与される押圧力が第1開閉弁43を閉弁する閉弁力となり、この第1開閉弁43を閉弁する閉弁力が伝達部材42により第2開閉弁44を開弁する開弁力として該第2開閉弁44に伝達される。したがって、第1開閉弁43の閉弁と第2開閉弁44の開弁とは同時に行われる。
そして、記録ヘッド18のノズル列20aを構成する各ノズルの開口から前回使用していたインクであるフォトブラックインクをフラッシングによってキャップ27内に吐出すると、マットブラックインクが第2流路37から第2収容凹部34内を介して第2連結路41内に流れ込む。この場合のフラッシングでは、選択的にノズル列20aを構成する各ノズルの開口からのみインクが吐出される。そして、第2連結路41内に流れ込んだマットブラックインクは、第3流路39を介して第3接続管38内に流れ込むようになり、記録ヘッド18に供給されるインクがフォトブラックインクからマットブラックインクに切り換えられる。
このように、フォトブラックインクとマットブラックインクとの間で使用インクを切り換える場合には、第1作動板52を揺動させることで第1凸部52cによって第1開閉弁43を閉弁方向に押圧したり、第2作動板53を揺動させることで第2凸部53cによって第2開閉弁44を閉弁方向に押圧したりする必要がある。
この場合、1つの回転式の板カム51の回動(回転駆動)によって、互いに交差するように軸支された第1作動板52及び第2作動板53の双方が揺動されるので、板カム51を直線的にスライド移動する直動式のカムに変更した場合に比べて、カムの駆動時に必要とするスペースが少なくてすむ。このため、駆動ユニット25B(切換装置25)の小型化が可能となる。
次に、インクジェット式プリンタ11において、フォトブラックインクとマットブラックインクとを同時に初期充填する際の作用について説明する。
フォトブラックインクとマットブラックインクとを同時に初期充填するためには、図3に示すように、切換装置25を、第1開閉弁43及び第2開閉弁44の双方が開弁された状態に切り換える必要がある。
フォトブラックインクとマットブラックインクとを同時に初期充填するためには、図3に示すように、切換装置25を、第1開閉弁43及び第2開閉弁44の双方が開弁された状態に切り換える必要がある。
そこで、まず、第1開閉弁43が開弁されるともに第2開閉弁44が閉弁された状態(図4に示す状態;フォトブラックインクが選択されている状態)から第1開閉弁43及び第2開閉弁44の双方が開弁された状態(図3に示す状態)への切換装置25の切換方法について説明する。
さて、図4に示すように、第1開閉弁43が開弁されるともに第2開閉弁44が閉弁された状態では、第1作動板52の第1従動部52aが板カム51の第1カム面51aに係合するとともに、第2作動板53の第2従動部53aが板カム51の第2カム面51bに係合した状態になっている。
そして、まず、この状態から板カム51を前面視で反時計回りに180度回動させる。すると、図5に示すように、第1作動板52の第1従動部52aが板カム51の第2カム面51bに係合するとともに、第2作動板53の第2従動部53aが板カム51の第1カム面51aに係合した状態、すなわち第1開閉弁43が閉弁されるともに第2開閉弁44が開弁された状態になる。
続いて、この状態から板カム51を前面視で時計回りに90度回動させる。すると、図3に示すように、第1作動板52の第1従動部52a及び第2作動板53の第2従動部53aの双方が板カム51の第1カム面51aに係合した状態になる。この状態では、第1凸部52c及び第2凸部53cが第1フィルム45及び第2フィルム46からそれぞれ離間するように第1作動板52及び第2作動板53が揺動した状態になっている。
このため、右方向へ膨出するように撓んでいた第2フィルム46は自身の弾性復元力により元の形状に戻るため、該第2フィルム46により第2開閉弁44が若干左方向へ押圧移動される。この第2開閉弁44の押圧移動により伝達部材42及び第1開閉弁43も若干左方向へ押圧移動されるため、第1開閉弁43及び第2開閉弁44の双方が開弁された状態に切換装置25が切り換えられる。
ここで、第1開閉弁43が開弁されるともに第2開閉弁44が閉弁された状態(図4に示す状態)が長時間続いていた場合、この状態から板カム51を前面視で反時計回りに90度回動させて第2凸部53cを第2フィルム46から離間しただけでは第2開閉弁44の左面が第2収容凹部34の底面34aに貼り付いているため、第2開閉弁44は開弁されない。
この点、本実施形態では、開弁している第1開閉弁43を閉弁することで、一旦第2開閉弁44を第2収容凹部34の底面34aから引き離してから、第1凸部52c及び第2凸部53cを第1フィルム45及び第2フィルム46からそれぞれ離間するようにしている。このため、切換装置25は、第1開閉弁43及び第2開閉弁44の双方が開弁された状態(図3に示す状態)へと確実に切り換えられる。
その後、記録ヘッド18の各ノズル列20a〜20cを囲うように該記録ヘッド18にキャップ27を当接した状態で該キャップ27内を吸引ポンプ(図示略)によって吸引することで、インクカートリッジ22a及びインクカートリッジ22bから切換ユニット25Aまでの各流路内にフォトブラックインクとマットブラックインクとが同時に初期充填される。
次に、第1開閉弁43が閉弁されるともに第2開閉弁44が開弁された状態(図5に示す状態;マットブラックインクが選択されている状態)から第1開閉弁43及び第2開閉弁44の双方が開弁された状態(図3に示す状態)への切換装置25の切換方法について説明する。
さて、図5に示すように、第1開閉弁43が閉弁されるともに第2開閉弁44が開弁された状態では、第1作動板52の第1従動部52aが板カム51の第2カム面51bに係合するとともに、第2作動板53の第2従動部53aが板カム51の第1カム面51aに係合した状態になっている。
そして、まず、この状態から板カム51を前面視で時計回りに180度回動させる。すると、図4に示すように、第1作動板52の第1従動部52aが板カム51の第1カム面51aに係合するとともに、第2作動板53の第2従動部53aが板カム51の第2カム面51bに係合した状態、すなわち第1開閉弁43が開弁されるともに第2開閉弁44が閉弁された状態になる。
続いて、この状態から板カム51を前面視で反時計回りに90度回動させる。すると、図3に示すように、第1作動板52の第1従動部52a及び第2作動板53の第2従動部53aの双方が板カム51の第1カム面51aに係合した状態になる。この状態では、第1凸部52c及び第2凸部53cが第1フィルム45及び第2フィルム46からそれぞれ離間するように第1作動板52及び第2作動板53が揺動した状態になっている。
このため、左方向へ膨出するように撓んでいた第1フィルム45は自身の弾性復元力により元の形状に戻るため、該第1フィルム45により第1開閉弁43が若干右方向へ押圧移動される。この第1開閉弁43の押圧移動により伝達部材42及び第2開閉弁44も若干右方向へ押圧移動されるため、第1開閉弁43及び第2開閉弁44の双方が開弁された状態に切換装置25が切り換えられる。
ここで、第1開閉弁43が閉弁されるともに第2開閉弁44が開弁された状態(図5に示す状態)が長時間続いていた場合、この状態から板カム51を前面視で時計回りに90度回動させて第1凸部52cを第1フィルム45から離間しただけでは第1開閉弁43の右面が第1収容凹部33の底面33aに貼り付いているため、第1開閉弁43は開弁されない。
この点、本実施形態では、開弁している第2開閉弁44を閉弁することで、一旦第1開閉弁43を第1収容凹部33の底面33aから引き離してから、第1凸部52c及び第2凸部53cを第1フィルム45及び第2フィルム46からそれぞれ離間するようにしている。このため、切換装置25は、第1開閉弁43及び第2開閉弁44の双方が開弁された状態(図3に示す状態)へと確実に切り換えられる。
その後、記録ヘッド18の各ノズル列20a〜20cを囲うように該記録ヘッド18にキャップ27を当接した状態で該キャップ27内を吸引ポンプ(図示略)によって吸引することで、インクカートリッジ22a及びインクカートリッジ22bから切換ユニット25Aまでの各流路内にフォトブラックインクとマットブラックインクとが同時に初期充填される。
以上、詳述した実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)通常、第1開閉弁43及び第2開閉弁44のうちの一方が開弁されるとともに他方が閉弁された状態が長時間続いた後、両開閉弁43,44の双方を開弁する場合には、開弁動作が許容されても長時間閉弁された状態にあった方の開閉弁(第1開閉弁43または第2開閉弁44)が弁座(第1収容凹部33の底面33aまたは第2収容凹部34の底面34a)に貼り付いて開弁されなくなってしまう。この点、本実施形態では、両開閉弁43,44のうちの一方が開弁しているとともに他方が閉弁している状態から両開閉弁43,44の双方が開弁している状態にする場合に、両開閉弁43,44のうちの開弁している一方を閉弁することで、伝達部材42を介して閉弁している他方を一旦開弁してから両開閉弁43,44の双方の開弁動作を許容している。このため、両開閉弁43,44のうちの一方が開弁されるとともに他方が閉弁された状態が長時間続くことで閉弁された状態にあった方の開閉弁が弁座に貼り付いたとしても、この長時間閉弁された状態にあった方の開閉弁を、両開閉弁43,44の双方の開弁動作が許容される前に一旦開弁することで、弁座から確実に離間させることができる。したがって、両開閉弁43,44のうちの一方が開弁されるとともに他方が閉弁された状態が長時間続いた後に両開閉弁43,44の双方を開弁する場合でも、この両開閉弁43,44のうちの長時間閉弁された状態にあった方の開閉弁を確実に開弁することができる。
(1)通常、第1開閉弁43及び第2開閉弁44のうちの一方が開弁されるとともに他方が閉弁された状態が長時間続いた後、両開閉弁43,44の双方を開弁する場合には、開弁動作が許容されても長時間閉弁された状態にあった方の開閉弁(第1開閉弁43または第2開閉弁44)が弁座(第1収容凹部33の底面33aまたは第2収容凹部34の底面34a)に貼り付いて開弁されなくなってしまう。この点、本実施形態では、両開閉弁43,44のうちの一方が開弁しているとともに他方が閉弁している状態から両開閉弁43,44の双方が開弁している状態にする場合に、両開閉弁43,44のうちの開弁している一方を閉弁することで、伝達部材42を介して閉弁している他方を一旦開弁してから両開閉弁43,44の双方の開弁動作を許容している。このため、両開閉弁43,44のうちの一方が開弁されるとともに他方が閉弁された状態が長時間続くことで閉弁された状態にあった方の開閉弁が弁座に貼り付いたとしても、この長時間閉弁された状態にあった方の開閉弁を、両開閉弁43,44の双方の開弁動作が許容される前に一旦開弁することで、弁座から確実に離間させることができる。したがって、両開閉弁43,44のうちの一方が開弁されるとともに他方が閉弁された状態が長時間続いた後に両開閉弁43,44の双方を開弁する場合でも、この両開閉弁43,44のうちの長時間閉弁された状態にあった方の開閉弁を確実に開弁することができる。
(2)一般に、回転式のカムは、直線的にスライド移動する直動式のカムに比べて、駆動時に必要とするスペースが少ない。この点、本実施形態によれば、第1開閉弁43及び第2開閉弁44を開閉動作させる第1作動板52及び第2作動板53が回転式の板カム51の回動に伴って駆動(揺動)されるため、直動式のカムで第1作動板52及び第2作動板53を駆動させる場合に比べて必要とするスペースを少なくすることができる。したがって、記録ヘッド18へ供給するインクの種類を切り換えるための切換装置25を小型化することができ、ひいてはインクジェット式プリンタ11の小型化に寄与できる。
(3)1つの回転式の板カム51の回動により、第1作動板52及び第2作動板53の双方を駆動することができるため、第1作動板52及び第2作動板53を別々のカムによってそれぞれ駆動させる場合に比べて部品点数を少なくすることができる。
(4)板カム51を一方向に回転駆動することで、第1作動板52及び第2作動板53がそれぞれ揺動することにより、第1開閉弁43及び第2開閉弁44のうち、一方が閉弁されるとともに他方が開弁される状態と一方が開弁されるとともに他方が閉弁される状態との間で順次交互に切り換えることができる。
(5)第1作動板52の第1従動部52a及び第2作動板53の第2従動部53aの双方が板カム51の第1カム面51aに係合するように該板カム51を駆動することで、第1開閉弁43及び第2開閉弁44の双方の開弁動作を同時に許容することができる。
(6)マットブラックインクとフォトブラックインクとの間でのインクの切り換えは、選択的にノズル列20aを構成する各ノズルの開口からのみインクが吐出されるフラッシングによって行われるため、インクの切り換え時に、マットブラックインク及びフォトブラックインク以外のインクを消費しないようにすることができる。因みに、全ノズル列20a〜20cをまとめて囲う一体型のキャップ27を用いて、クリーニングによってマットブラックインクとフォトブラックインクとの間でのインクの切り換えを行った場合には、マットブラックインク及びフォトブラックインク以外のインクを無駄に消費してしまう。
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・回転式のカムは、実施形態の板カム51の形状に限定されない。すなわち、回転式のカムは、アクチュエータが係合した場合に、そのアクチュエータに開閉弁の開弁動作を許容する方向に揺動運動を付与するカム面と、そのアクチュエータに開閉弁を閉弁動作させる方向に揺動運動を付与するカム面とが形成されているものであればどのような形状であってもよい。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・回転式のカムは、実施形態の板カム51の形状に限定されない。すなわち、回転式のカムは、アクチュエータが係合した場合に、そのアクチュエータに開閉弁の開弁動作を許容する方向に揺動運動を付与するカム面と、そのアクチュエータに開閉弁を閉弁動作させる方向に揺動運動を付与するカム面とが形成されているものであればどのような形状であってもよい。
・第1作動板52及び第2作動板53を別々の回転式の板カム51によってそれぞれ駆動するようにしてもよい。
・本実施形態では、切換装置25により、マットブラックインクとフォトブラックインクとの間でインクの切り換えを行うようにしているが、同色インクにおける濃色インクと淡色インクとの間でインクの切り換えを行うようにしてもよい。例えば、シアンインクとライトシアンインクとの間、あるいはマゼンタインクとライトマゼンタインクとの間でインクの切り換えを行うようにしてもよい。
・本実施形態では、切換装置25により、マットブラックインクとフォトブラックインクとの間でインクの切り換えを行うようにしているが、同色インクにおける濃色インクと淡色インクとの間でインクの切り換えを行うようにしてもよい。例えば、シアンインクとライトシアンインクとの間、あるいはマゼンタインクとライトマゼンタインクとの間でインクの切り換えを行うようにしてもよい。
・切換装置25を、初期充填を行う場合と同様の方法で両開閉弁43,44の双方を開弁状態とし、この状態でクリーニングを行うようにしてもよい。このようにすれば、マットブラックインクとフォトブラックインクとの双方のクリーニングを同時に行うことができる。
・上記実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式プリンタ11に具体化したが、インク以外の他の液体(機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体を含む)を噴射する液体噴射装置に具体化してもよい。そして、本明細書における「液体」には、例えば、無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含むほか、液状体、流状体などが含まれる。
11…液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ、18…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、25…切換装置、31…第1供給路を構成する第1接続管、32…第2供給路を構成する第2接続管、33…第1供給路を構成する第1収容凹部、34…第2供給路を構成する第2収容凹部、36…第1供給路を構成する第1流路、37…第2供給路を構成する第2流路、38…ヘッド側供給路を構成する第3接続管、39…ヘッド側供給路を構成する第3流路、40…第1供給路を構成する第1連結路、41…第2供給路を構成する第2連結路、42…伝達部材、43…第1開閉弁、44…第2開閉弁、51…回転式のカムとしての板カム、51a…第1カム面、51b…第2カム面、52…アクチュエータを構成する第1アクチュエータとしての第1作動板、53…アクチュエータを構成する第2アクチュエータとしての第2作動板、55…制御手段としての制御部、G…合流点。
Claims (6)
- 液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドへ供給される液体の種類を第1液体と該第1液体とは異なる第2液体との間で選択的に切り換える切換装置とを備えた液体噴射装置であって、
前記切換装置は、
前記第1液体を供給する第1供給路と、
前記第2液体を供給する第2供給路と、
前記第1供給路及び前記第2供給路の下流端同士の合流点と前記液体噴射ヘッドとの間を連通するヘッド側供給路と、
前記第1供給路における前記第2供給路との合流点よりも上流側において前記第1供給路を開閉する第1開閉弁と、
前記第2供給路における前記第1供給路との合流点よりも上流側において前記第2供給路を開閉する第2開閉弁と、
前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁を開閉動作させるアクチュエータと、
前記アクチュエータによって前記第1開閉弁を閉弁動作させる際の閉弁力を、前記第2開閉弁を開弁動作させる開弁力として該第2開閉弁に伝達するとともに、前記アクチュエータによって前記第2開閉弁を閉弁動作させる際の閉弁力を、前記第1開閉弁を開弁動作させる開弁力として該第1開閉弁に伝達する伝達部材と、
前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁のうちの一方が開弁しているとともに他方が閉弁している状態から前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁の双方が開弁している状態にする場合に、前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁のうちの開弁している一方を閉弁動作させることで閉弁している他方を開弁動作させてから前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁の双方の開弁動作を許容するように、前記アクチュエータを駆動制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。 - 前記切換装置は前記制御手段によって駆動制御される回転式のカムを備え、該カムの回転駆動に伴って前記アクチュエータが駆動されることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
- 前記アクチュエータは、前記第1開閉弁を閉弁動作させる第1アクチュエータと前記第2開閉弁を閉弁動作させる第2アクチュエータとを備え、
前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータは、1つの前記カムの回転駆動に伴ってそれぞれ駆動されることを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。 - 前記カムには、該カムの回転駆動に伴い前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータが順次に係合する第1カム面と第2カム面とが形成されており、
前記両アクチュエータは、前記第1カム面に係合することによってそのアクチュエータが対応する開閉弁の開弁動作を許容する方向に変位する一方、前記第2カム面に係合することによってそのアクチュエータが対応する開閉弁を閉弁動作させる方向に変位する構成とされていることを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。 - 前記カムは、該カムの回転角度の変化に伴って、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータの双方が前記第1カム面に係合する態様と、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータのうちの一方が前記第1カム面に係合するとともに他方が前記第2カム面に係合する態様とをとり得る構成とされていることを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。
- 液体噴射装置の液体噴射ヘッドへ供給される液体の種類を第1液体と該第1液体とは異なる第2液体との間で選択的に切り換える切換装置の切換方法であって、
前記切換装置は、
前記第1液体を供給する第1供給路と、
前記第2液体を供給する第2供給路と、
前記第1供給路及び前記第2供給路の下流端同士の合流点と前記液体噴射ヘッドとの間を連通するヘッド側供給路と、
前記第1供給路における前記第2供給路との合流点よりも上流側において前記第1供給路を開閉する第1開閉弁と、
前記第2供給路における前記第1供給路との合流点よりも上流側において前記第2供給路を開閉する第2開閉弁と、
前記第1開閉弁を閉弁する際の閉弁力を、前記第2開閉弁を開弁するための開弁力として該第2開閉弁に伝達するとともに、前記第2開閉弁を閉弁する際の閉弁力を、前記第1開閉弁を開弁するための開弁力として該第1開閉弁に伝達する伝達部材とを備える構成とされ、
前記切換装置を前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁のうちの一方が開弁しているとともに他方が閉弁している状態から前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁の双方が開弁している状態に切り換える場合には、前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁のうちの開弁している一方を閉弁することで閉弁している他方を開弁した後に、前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁の双方の開弁動作を許容することを特徴とする切換装置の切換方法。
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2007
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