JP2007230125A - 液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体に混入される気泡をその供給路中で的確にトラップしつつ、装置自体の設置にかかる自由度を高く維持することのできる液体噴射装置を提供する。
【解決手段】インクカートリッジから記録ヘッドに至る液体供給路の途中に介在するように気泡トラップ空間となるインク滞留空間30aを有する中継機構30を設けるとともに、このインク滞留空間30a内に突設される突設部PJを通じて、同機構30のインク流出口30outをインク滞留空間30aの中心に開口させる。また、インク滞留空間30aの内部空間を球形状に形成し、これによってもプリンタ本体の姿勢依存を抑制する。
【選択図】図3
【解決手段】インクカートリッジから記録ヘッドに至る液体供給路の途中に介在するように気泡トラップ空間となるインク滞留空間30aを有する中継機構30を設けるとともに、このインク滞留空間30a内に突設される突設部PJを通じて、同機構30のインク流出口30outをインク滞留空間30aの中心に開口させる。また、インク滞留空間30aの内部空間を球形状に形成し、これによってもプリンタ本体の姿勢依存を抑制する。
【選択図】図3
Description
本発明は、例えばインクジェット式プリンタ等、液体収容体に収容されている適宜の液体を噴射ノズルを通じて噴射する液体噴射装置に関する。
従来から、こうした液体噴射装置として、インクをノズルから噴射させて印刷を行うインクジェット式プリンタが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この種のプリンタは通常、主走査方向に往復移動可能に設けられたキャリッジを備えており、このキャリッジに、1乃至複数の噴射ノズルが形成された記録ヘッドが搭載されている。そして、プリンタの所定箇所に交換可能に設けられたインクカートリッジから適宜の供給路を介してこの記録ヘッドにインクが供給されるとともに、こうしてインクが供給されている状態で印刷指令に基づき同記録ヘッドが所要に駆動されることにより、前記ノズルからインクが噴射される。すなわち、付与されている印刷データに応じた印刷が実行される。
ところで、こうしたプリンタにあっては、その構造上、例えば上記インクカートリッジの交換時等に、上記インクの供給路に空気が入り込むことがある。こうして供給路に空気が入り込むようなことがあると、この入り込んだ空気がインク中で気泡となり、いずれはこの気泡が同供給路を介して記録ヘッドに至る。そして、このような状態で記録ヘッドが上述のごとく駆動されると、あるタイミングでこの気泡が上記ノズルから排出されることになって、いわゆるドット抜けなどの印字欠陥が生じるようになる。
そこで近年は、こうした気泡に起因する印字欠陥の発生を防止すべく、例えば特許文献3、あるいは特許文献4に見られるように、インクの供給路に気泡を捕獲する気泡捕獲部や気泡を貯留する気泡貯留部を備えるインクジェット式プリンタなども提案されるに至っている。
特開2005−320956号公報
特開2005−041048号公報
特開2004−188664号公報
特開2005−246928号公報
インクの供給路にこのような気泡捕獲部や気泡貯留部等の気泡トラップ空間を備えることで、上記気泡がそのまま記録ヘッドに至るような事態は回避され、ひいては同気泡に起因する印字欠陥の発生等も確かに抑制されるようになる。ただし、これら気泡捕獲部や気泡貯留部等の気泡トラップ空間はいずれも、上記気泡が空間内の重力方向上方にトラップされることを利用して、同空間内の重力方向下方からインクを記録ヘッド側に排出する構造となっていることから、プリンタ自体の設置姿勢が自ずと制限されることともなる。すなわち、プリンタ設置にかかる自由度が低下し、その姿勢によっては溜まった気泡が誤って排出されかねないなどの新たな不都合を招くことともなっている。
なお、上記インクジェット式プリンタに限らず、液体収容体に収容されている液体を供給路を介して記録ヘッド等の噴射機構に供給し、同機構に設けられている噴射ノズルを通じて上記液体を噴射する液体噴射装置にあっては、こうした実情も概ね共通したものとなっている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体に混入される気泡をその供給路中で的確にトラップしつつ、装置自体の設置にかかる自由度を高く維持することのできる液体噴射装置を提供することにある。
こうした目的を達成するため、本発明にかかる液体噴射装置は、液体収容体に収容されている液体を液体供給路を介して液体噴射機構に供給し、この供給された液体を同液体噴射機構に設けられている噴射ノズルを通じて噴射する液体噴射装置として、前記液体供給路の途中に液体滞留空間を有して介在して前記液体噴射機構に至る下流側の液体流出口がこの液体滞留空間の内面から同空間の中心方向に突設された液流中継機構を備えることをその要旨としている。
このような構成によれば、液体供給路を介して液体噴射機構に供給される液体に前述した気泡が混入される場合であれ、該気泡は上記液流中継機構の液体滞留空間を通じて捕獲(トラップ)されて、同空間の重力方向上方に蓄積される。このこと自体は先の各文献に記載された従来の気泡トラップ空間による機能と同等であるが、本発明では特に、液流中継機構の上記液体噴射機構に至る下流側の液体流出口が液体滞留空間の内面から同空間の中心方向に突設される構造としていることから、液体滞留空間への液体滞留中は、同液体滞留空間の姿勢、ひいては液体噴射装置自体の姿勢に影響されることなく、この滞留されている液体中に上記液体流出口が開口するようになる。すなわち、装置自体の姿勢に拘わらず、上記液体滞留空間を通じてトラップされた気泡の液体噴射機構側への排出は好適に抑制されるようになる。また、こうした液流中継機構では、上記液体流出口が上記液体滞留空間の内面から同空間の中心方向に突設される構造であればよく、この液体滞留空間の上流側にあって該空間の内面に開口する液体流入口に対するこの液体流出口の配設角度は任意である。すなわち、当該液体噴射装置としての設計や製造等にかかる自由度も併せて改善されるようになる。なお、上記液体滞留空間の大きさにもよるものの、液体滞留空間の内面に開口する液体流入口と同空間の内面からその中心方向に突設された液体流出口とは、気泡が直接伝達されない程度に所要に離間されていることが望ましい。
また、本発明の液体噴射装置では、前記液流中継機構の前記液体噴射機構に至る下流側の液体流出口が、前記液体滞留空間の中心もしくはその近傍に開口する態様で同液体滞留空間内に突設されることとしている。
上記液体滞留空間にあっては、たとえ同空間に上記気泡がトラップされる場合であれ、そこに滞留される液体の液位は通常、この液体滞留空間の姿勢に拘わらず、同空間の中心よりも重力方向上方に位置するようになる。このため、液流中継機構としてのこのような構造によれば、上記液体滞留空間への液体滞留中は、液体滞留空間の姿勢、ひいては液体噴射装置自体の姿勢に拘わらず、より安定して上記液体流出口がこの滞留されている液体中に開口されるようになり、同液体滞留空間を通じてトラップされた気泡の上記液体噴射機構側への排出もより的確に抑制されるようになる。
また、本発明の液体噴射装置では、前記液流中継機構を構成する前記液体滞留空間の空間形状が球形状に形成されることとしている。
上記液体滞留空間としてのこのような空間形状により、同液体滞留空間としての、ひいては当該液体噴射装置としての姿勢依存が完全に解消されることとなり、同装置の設置にかかる自由度がさらに高められるようになる。
上記液体滞留空間としてのこのような空間形状により、同液体滞留空間としての、ひいては当該液体噴射装置としての姿勢依存が完全に解消されることとなり、同装置の設置にかかる自由度がさらに高められるようになる。
また、本発明の液体噴射装置では、前記液流中継機構が前記液体滞留空間を少なくとも2分する割体からなり、同液体滞留空間を封止するシール部材を介してそれら割体が接合される構造としている。
上記液体流出口が液体滞留空間の内面から同空間の中心方向に突設される複雑な形状であれ、このような接合構造を採用することによってその実現も容易となる。
また、本発明の液体噴射装置では、前記液流中継機構が前記液体滞留空間をその上流側と下流側とで2分する割体からなり、同液体滞留空間を封止するシール部材を介してそれら割体が接合される構造としている。
また、本発明の液体噴射装置では、前記液流中継機構が前記液体滞留空間をその上流側と下流側とで2分する割体からなり、同液体滞留空間を封止するシール部材を介してそれら割体が接合される構造としている。
上記液体流出口が液体滞留空間の内面から同空間の中心方向に突設される複雑な形状であれ、このような接合構造を採用することによってその実現が容易になるとともに、最小限の部品数にて液流中継機構としての上記構造が実現されることから、部品管理の簡略化や製造工数の削減が併せて図られるようになる。
なお、上記液流中継機構が液体滞留空間を少なくとも2分する割体からなる場合であれ、あるいは同液体滞留空間をその上流側と下流側とで2分する割体からなる場合であれ、液流中継機構としての外形形状は任意であり、上記液体供給路が例えばチューブ状の供給路からなるとともに、液体滞留空間の空間形状が球形状からなるような場合には、その外形形状としても例えばボール状の形状を採用することができ、また同液体供給路が例えばブロック状の部材の内部に穿設された流路からなるような場合には、その流路途中に上記態様にて液体滞留空間及び液体流出口が設けられる構造でありさえすればよく、その外形形状としては同ブロック状の部材の外形形状そのものとすることができる。
また、本発明の液体噴射装置では、当該液体噴射装置がインクジェット式プリンタであって、前記液体収容体が同プリンタの適宜の部位に交換可能に装着されるインクカートリッジであり、前記液体噴射機構が主走査方向に往復移動可能に設けられたキャリッジに搭載された記録ヘッドであり、前記液体供給路が前記インクカートリッジに収容されているインクを前記記録ヘッドに供給するインク供給路であるとするとき、前記液流中継機構を、このインク供給路の途中に介在するかたちで設けることとしている。
このようなインクジェット式プリンタにあっては通常、上記インクカートリッジが交換可能に装着されることから、特にその交換時等にインク供給路に空気が混入して上記気泡が生じやすい。そして、このような気泡がインク供給路を介して記録ヘッドに至るようなことがあれば、噴射ノズルを通じた同気泡の排出に起因してドット抜け等の印字欠陥が生じることは前述の通りである。この点、本発明では、上記インク供給路の途中に介在するかたちで上記構造を有する液流中継機構を設けていることから、当該プリンタの設置姿勢に拘わらず、上記気泡が記録ヘッドに至るような事態は回避され、同気泡に起因する印字欠陥等の発生も的確に回避されるようになる。
なお、こうしたインクジェット式プリンタには、インクカートリッジがキャリッジ上に装着されるいわゆる「オンキャリッジタイプ」のものや、インクカートリッジがプリンタ本体等、キャリッジ上とは異なる箇所に装着されるいわゆる「オフキャリッジタイプ」のもの、さらにはこの「オフキャリッジタイプ」のものであっても、インクカートリッジから送られるインクがキャリッジ上に搭載されたサブタンク等を経由して記録ヘッドに送られるもの等々、種々のタイプのものがあるが、これらいずれのタイプのものであれ、インクカートリッジから記録ヘッドに至る区間は全て上記インク供給路に相当する。その意味では、キャリッジ上に装着されたインクカートリッジと記録ヘッドとの間のインク供給路、プリンタ本体等に装着されたインクカートリッジと記録ヘッドとの間のインク供給路(インク供給チューブ)、さらにはインクカートリッジからサブタンクに至るインク供給路やサブタンクから記録ヘッドに至るインク供給路等、上記液流中継機構を介在させることのできるインク供給路の選定は任意である。そして、これらいかなるインク供給路にこの液流中継機構が介在される場合であれ、それらプリンタの設置姿勢に拘わらず、上記気泡に起因する印字欠陥等の発生は的確に回避されるようになる。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる液体噴射装置をインクジェット式プリンタに具体化した第1の実施形態を図1〜図3に従って説明する。
以下、本発明にかかる液体噴射装置をインクジェット式プリンタに具体化した第1の実施形態を図1〜図3に従って説明する。
図1は、インクジェット式プリンタのケース内の構造についてその概略を平面図として示したものである。同図1に示されるように、このプリンタには、プリンタ本体にあたる本体ケース1の一部に着脱可能にインクカートリッジ10が装着されている。そして、この装着されたインクカートリッジ10に収容されているインクが、同カートリッジ10の上方に設けられている加圧供給機構20を通じてインク供給路であるインク供給チューブ11に送られる。
ここで、上記加圧供給機構20とは、電気的に駆動される加圧ポンプ21を通じて加圧空気を加圧チューブ22に送り出すとともに、この送られる加圧空気を圧力検出・調整部23に取り込み、この圧力検出・調整部23で適宜に圧力調整した加圧空気を空気供給チューブ24を介して上記インクカートリッジ10に供給する機構である。インクカートリッジ10では、このような加圧空気の供給と協働して、上記収容されているインクをインク供給チューブ11に送り出すよう機能する。なお、この実施形態にかかるプリンタはカラープリンタであって、実際には上記インクカートリッジ10としても、例えばブラック、イエロー、マゼンダ、シアン等の各色に対応して、それらインク色の数だけ装着されている。
こうしてインクカートリッジ10からインク供給チューブ11に送り出されたインクは、同インク供給チューブ11の途中に設けられて前述した気泡をトラップする機構として機能する中継機構30を介して、キャリッジ40の下面に搭載されている記録ヘッド50に至る。ただしこの実施形態では、いわゆるサブタンク方式を採用しており、上記インク供給チューブ11を通じて供給されるインクは、キャリッジ40上に搭載されているサブタンク41に一旦貯留された後、キャリッジ40中に適宜に設けられているインク供給路を介して記録ヘッド50に移送される構造となっている。
ここで、サブタンク41や記録ヘッド50が搭載されている上記キャリッジ40は、ガイド軸42に案内されるかたちで、キャリッジ駆動部60の駆動に基づき当該プリンタの主走査方向に往復移動する周知の機構である。すなわちここでは、プーリ61a及び61b間に張設された無端のタイミングベルト62にキャリッジ40の一部が固定されており、キャリッジモータ63の駆動によるこのタイミングベルト62の往復移動に伴って、同ベルト62と共々、キャリッジ40がプリンタ主走査方向に往復移動する。なお、上記プーリ61a及び61bをはじめ、タイミングベルト62やキャリッジモータ63によってキャリッジ駆動部60が構成されている。
一方、上記本体ケース1には、適宜の紙送り機構と協働して記録紙(図示略)を副走査方向に送るプラテン70が架設されている。そして、印刷指令に応じた上記記録ヘッド50の駆動に基づき、このプラテン70上を通過する記録紙に上記供給されているインクが噴射されることで、同記録紙に対する所望の印刷が行われる。なお、ここで採用されている記録ヘッド50は、例えば圧電素子の駆動によってその噴射ノズル(図1では図示略)からインクが噴射される周知のヘッドである。また、同本体ケース1における上記インクカートリッジ10の装着部近傍には、上記記録ヘッド50の退避位置となるホームポジションHPが設けられており、印刷の開始前などには、このホームポジションHPにおいて記録ヘッド50に対する各種クリーニング処理等が実行される。
ところで前述のように、上記記録ヘッド50に供給されるインクに気泡が混入していると、上記印刷時に、この気泡に起因してドット抜け等の印字欠陥が生じることがある。そして、特にこのようなインクジェット式プリンタでは、上記インクカートリッジ10が交換可能となっていることから、その交換時等に、上記インク供給チューブ11を含むインク供給路に上記気泡の原因となる空気が混入しやすい。そこでこの実施形態では、上記インク供給チューブ11の途中に介在するように設けた上記中継機構30を通じて、インク中に混入している気泡を捕獲(トラップ)するようにしている。
図2は、この中継機構30を中心に、上記インク供給チューブ11の上流側を上流チューブ11a、同インク供給チューブ11の下流側を下流チューブ11bとして、インクカートリッジ10から記録ヘッド50に至るインク供給経路を模式的に示したものである。
同図2に示されるように、この実施形態のプリンタは、キャリッジ40上にサブタンク41を備え、このサブタンク41に一旦貯留されたインクがキャリッジ40内に設けられたインク供給路12を介して記録ヘッド50に至り、該記録ヘッドの下方に設けられている噴射ノズル51から噴射される。ただしこのとき、インクカートリッジ10から供給されるインクがインク供給チューブ11(上流チューブ11a及び下流チューブ11b)を介して上記サブタンク41に至る以前に、上記中継機構30を通じて気泡が予めトラップされることにより、気泡の混入されたインクが上記サブタンク41に貯留されることはない。すなわち、気泡の混入されたインクが記録ヘッド50の噴射ノズル51から噴射されることはない。
図3は、この実施形態のプリンタに採用されている上記中継機構30について、その断面構造を示したのものであり、以下、この図3を参照して、同中継機構30の構造を詳述する。
この中継機構30は、内部の空間形状が球形状に形成されたインク滞留空間30aを有して上記上流チューブ11aと下流チューブ11bとの間に介在するかたちで設けられている。そして、この中継機構30へのインク流入口30inは上記インク滞留空間30aの内面に開口しているのに対し、同中継機構30からのインク流出口30outは、突設部PJの延設を通じて上記インク滞留空間30aの中心に開口するようにその開口位置が設定されている。また、この実施形態にあっては、こうした中継機構30の形成もしくは製造を容易とするために、同機構30を上流側割体31と下流側割体32との2つの割体として分割形成し、Oリング等、適宜のシール部材33を介してこれら2つの割体31及び32を接合するようにしている。なお、この接合には適宜のクランプ機構を用いるようにしてもよいし、接着剤等によって直接に接合を図るようにしてもよい。また、上記割体31及び32は、それぞれ上流チューブ11aや下流チューブ11bと接続するための継ぎ手部31a及び32aを備えて形成されるが、その場合であれ、適宜の金型を用いた射出成形等によって容易に形成可能である。
次に、このような構成を有して形成される中継機構30の作用について、図4(a)及び(b)を併せ参照して説明する。
上記インクカートリッジ10から送り出され、インク供給チューブ11(上流チューブ11a)を流れてきたインクがインク流入口30inから中継機構30内に流入すると、通常はこの流入したインクによってインク滞留空間30aが満たされるようになる。またこのとき、上記インク流入口30inから流入するインクに上記気泡が混入されていたとしても、この混入されている気泡は浮力によって重力方向上方に集まるようにインク滞留空間30a内にトラップされる。すなわち、先の図3に例示した状態がこの状態にあたる。
上記インクカートリッジ10から送り出され、インク供給チューブ11(上流チューブ11a)を流れてきたインクがインク流入口30inから中継機構30内に流入すると、通常はこの流入したインクによってインク滞留空間30aが満たされるようになる。またこのとき、上記インク流入口30inから流入するインクに上記気泡が混入されていたとしても、この混入されている気泡は浮力によって重力方向上方に集まるようにインク滞留空間30a内にトラップされる。すなわち、先の図3に例示した状態がこの状態にあたる。
一方、中継機構30を構成するこのインク滞留空間30aにあっては、たとえ同空間30aに上記気泡がトラップされる場合であれ、そこに滞留されるインクの液位は通常、このインクの滞留空間30aの姿勢に拘わらず、例えば先の図3に示されるごとく、同空間30aの中心よりも重力方向上方に位置するようになる。そしてこの実施形態にあって、上記記録ヘッド50(サブタンク41)に至る下流側のインク流出口30outは上述のように、突設部PJによってこうしたインク滞留空間30aの中心に開口するように設定されているとともに、同空間30a自体が球形状の内部空間を有して形成されている。このため、例えば図4(a)あるいは(b)に示される態様でプリンタが傾けられたり、倒置されたりした場合であっても、このインク流出口30outは常にインク中に開口する状態に維持されるようになる。すなわち、上記トラップされた気泡が記録ヘッド50(サブタンク41)側に排出されることはない。
なお、上記インク滞留空間30aにトラップされている気泡についてはこれを、例えば記録ヘッド50がホームポジションHP(図1)にあるときのクリーニング操作を通じて定期的に吸引除去することができるし、また中継機構30自体に同気泡を吸引除去するための適宜の機構を併せ設けるようにしてもよい。
以上説明したように、この第1の実施形態にかかるインクジェット式プリンタによれば、次のような効果が得られるようになる。
(1)インク供給チューブ11の途中に介在するようにインク滞留空間30aを有する中継機構30を設けるとともに、このインク滞留空間30a内に突設される突設部PJを通じて、同機構30のインク流出口30outがインク滞留空間30aの中心に開口するようにした。これにより、インクカートリッジ10から供給されるインクに気泡が混入される場合であれ、この混入された気泡は上記インク滞留空間30aを通じてトラップされる。また特に、上記インク流出口30outが同空間30aの中心に開口していることで、当該プリンタの姿勢に拘わらず、トラップされた気泡がその下流側、すなわち記録ヘッド50側に排出されるようなことは的確に回避される。
(1)インク供給チューブ11の途中に介在するようにインク滞留空間30aを有する中継機構30を設けるとともに、このインク滞留空間30a内に突設される突設部PJを通じて、同機構30のインク流出口30outがインク滞留空間30aの中心に開口するようにした。これにより、インクカートリッジ10から供給されるインクに気泡が混入される場合であれ、この混入された気泡は上記インク滞留空間30aを通じてトラップされる。また特に、上記インク流出口30outが同空間30aの中心に開口していることで、当該プリンタの姿勢に拘わらず、トラップされた気泡がその下流側、すなわち記録ヘッド50側に排出されるようなことは的確に回避される。
(2)中継機構30を構成する上記インク滞留空間30aの空間形状を球形状に形成した。これにより、同空間30a、ひいてはプリンタ自体の姿勢依存が完全に解消されることとなり、同プリンタの設置にかかる自由度もさらに高められる。
(3)中継機構30についてはこれを、上流側割体31と下流側割体32とに2分し、これらを適宜のシール部材33を介して接合する構造とした。これにより、インク流出口30outがインク滞留空間30aの中心に開口するように突設される複雑な形状であれ、その実現も容易である。
なお、上記第1の実施形態では、上記中継機構30内のインク滞留空間30aにおいてインク流入口30inとインク流出口30outとが対向する、すなわち互いに180°の角度をもって配設される構造について例示したが、こうした中継機構30では、上記インク流出口30outがインク滞留空間30aの中心に開口する構造であればよい。すなわち、それらインク流入口30in及びインク流出口30outの配設角度は任意である。したがって、例えば図5に例示するように、上記インク流入口30inとインク流出口30outとが例えば90°の角度をもって配設される構造なども適宜採用することができる。そしてこれにより、当該プリンタとしての設計や製造にかかる自由度も併せて改善されるようになる。
(第2の実施形態)
次に、本発明にかかる液体噴射装置の第2の実施形態について、図6及び図7に基づき説明する。
次に、本発明にかかる液体噴射装置の第2の実施形態について、図6及び図7に基づき説明する。
この実施形態も先の第1の実施形態と同様、本発明にかかる液体噴射装置をインクジェット式プリンタに具体化したものであるが、インク供給路に対する中継機構の配設位置、配設態様が上記第1の実施形態と異なっている。すなわちこの実施形態では、図6に示されるように、サブタンク41から記録ヘッド50に至るインク供給路12に中継機構300を介在させるようにしている。その他の点は基本的に第1の実施形態と同様であり、以下では第1の実施形態と相違する部分について主に説明する。
まずは図6に示すように、この第2の実施形態においては上述のように、前記インクカートリッジ10からインク供給チューブ11を介して供給されるインクが一旦貯留されるサブタンク41と記録ヘッド50との間のインク供給路12に介在するかたちで中継機構300を設けている。このインク供給路12は前述したキャリッジ40内に形成されているインク通路であり、図6では、その上流側をインク供給路12a、また下流側をインク供給路12bとしてそれぞれ図示している。ちなみにこの実施形態のインク供給チューブ11を介して供給されるインクに前述した気泡が混入される場合、その気泡はサブタンク41まで至ることとなる。しかし、こうしてサブタンク41と記録ヘッド50との間に気泡トラップ機能を有する中継機構300が配されることで、やはりこの混入された気泡が記録ヘッド50の噴射ノズル51から噴射されることはない。
図7は、このような中継機構300について、その断面構造を示したものであり、以下、この図7を参照して、同中継機構300の構造を詳述する。
この中継機構300も、基本的には先の中継機構30(図3)と同様、内部の空間形状が球形状に形成されたインク滞留空間300aを有して上記インク供給路12a及び12b間に介在するかたちで設けられている。そしてここでも、この中継機構300へのインク流入口300inは上記インク滞留空間300aの内面に開口しているのに対し、同中継機構300からのインク流出口300outは、突設部PJの延設を通じて上記インク滞留空間300aの中心に開口するようにその開口位置が設定されている。また、この実施形態にあっても、キャリッジ40中へのこうした中継機構300の形成を容易とするために、同機構300をキャリッジ40と共々、上流側割体301と下流側割体302との2つの割体として分割形成し、平板状のシール部材等、適宜のシール部材303を介してこれら2つの割体301及び302を接合するようにしている。このような割体301及び302も、適宜の金型を用いた射出成形等によって容易に形成可能である。
この中継機構300も、基本的には先の中継機構30(図3)と同様、内部の空間形状が球形状に形成されたインク滞留空間300aを有して上記インク供給路12a及び12b間に介在するかたちで設けられている。そしてここでも、この中継機構300へのインク流入口300inは上記インク滞留空間300aの内面に開口しているのに対し、同中継機構300からのインク流出口300outは、突設部PJの延設を通じて上記インク滞留空間300aの中心に開口するようにその開口位置が設定されている。また、この実施形態にあっても、キャリッジ40中へのこうした中継機構300の形成を容易とするために、同機構300をキャリッジ40と共々、上流側割体301と下流側割体302との2つの割体として分割形成し、平板状のシール部材等、適宜のシール部材303を介してこれら2つの割体301及び302を接合するようにしている。このような割体301及び302も、適宜の金型を用いた射出成形等によって容易に形成可能である。
このように、この第2の実施形態にあっても、上記中継機構300は、上記記録ヘッド50に至る下流側のインク流出口300outが、突設部PJによって、球形状のインク滞留空間300aの中心に開口するように設定されている。このため、この第2の実施形態によっても、先の第1の実施形態の前記(1)〜(3)の効果と同等、もしくはそれに準じた効果を得ることができるようになる。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、これを適宜に変更した以下のような形態にて実施することもできる。
なお、上記各実施形態は、これを適宜に変更した以下のような形態にて実施することもできる。
・各実施形態においては、インクジェット式プリンタとして、インクカートリッジ10がプリンタ本体等に装着されるいわゆるオフキャリッジタイプのものに本発明を適用する場合について説明したが、インクカートリッジがキャリッジ上に装着されるいわゆるオンキャリッジタイプのものについても本発明は同様に適用することができる。すなわち、この場合、第2の実施形態において例示したサブタンク41の代わりに適宜のインクカートリッジが交換可能にキャリッジ40上に装着されるかたちとなる。なお、この第2の実施形態において、キャリッジ40を兼ねる上流側割体301と下流側割体302との接合に際し、それらの間に十分なシール性能が確保される場合には、シール部材303の配設を割愛することもできる。
・第1の実施形態について図5に例示したように、第2の実施形態においてもインク流入口300inに対するインク流出口300outの配設角度は任意であり、インクジェット式プリンタとしての所望とされるインク供給路の形成態様に応じた任意の角度とすることができる。
・各実施形態において、中継機構30あるいは300を構成するインク滞留空間30aあるいは300aの分割態様は任意であり、2つの割体に限らない複数の割体を接合する構造を採用するようにしてもよい。もっとも、これら2つの割体で済む場合には、最小限の部品数にて中継機構30あるいは300としての上記構造が実現されることから、部品管理の簡略化や製造工数の削減が併せて図られるようにもなる。
・各実施形態において、インク滞留空間30aあるいは300aの空間形状は完全な球形状に限らず、例えば楕球状や立方形状などであってもよい。この場合、多少の姿勢依存はあるものの、インク流出口30outあるいは300outがその中心に開口していることで、こうした姿勢依存も自ずと緩和されるようになる。
・一方、上記インク流出口30outあるいは300outは、必ずしもそれらインク滞留空間の中心に限らず、その近傍に開口している場合であっても上記に準じた効果を得ることはできる。また、上記突設部PJの延設長も、基本的にはこうした制限を受けるものではなく、要は、それら下流側に設けられるインク流出口がインク滞留空間の内面から同空間の中心方向に突設される構造であればよい。そしてこの場合であっても、上記に準じた効果を得ることはできる。なお、こうしたインク滞留空間の大きさにもよるものの、インク滞留空間の内面に開口するインク流入口と同空間の内面からその中心方向に突設されるインク流出口とは、気泡が直接伝達されない程度に離間されていることが望ましい。またその意味では、気泡がインク流入口からインク流出口に直接伝達されることをより確実に防止するために、それら各開口部の間に整流板やフィルタ等を介設するようにしてもよい。
・各実施形態においては、本発明にかかる液体噴射装置をインクジェット式プリンタに適用する場合について説明したが、こうしたプリンタに限らない他の液体噴射装置にも本発明は同様に適用することができる。例えば、ファクシミリや複写機等に用いられる印刷装置や、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、あるいは面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、さらには精密ピペットとしての試料噴射装置等であってもよい。要は、液体収容体に収容されている液体を液体供給路を介して液体噴射機構に供給し、この供給された液体を同液体噴射機構に設けられている噴射ノズルを通じて噴射する液体噴射装置であれば本発明は適用可能である。これらの装置が液体供給路の途中に液体滞留空間を有して介在して前記液体噴射機構に至る下流側の液体流出口がこの液体滞留空間の内面から同空間の中心方向に突設された液流中継機構を備えることで、上記各実施形態と同等、もしくはそれに準じた効果を得ることはできる。
1…本体ケース、10…インクカートリッジ、11…インク供給チューブ、11a…上流チューブ、11b…下流チューブ、12,12a,12b…インク供給路、20…加圧供給機構、21…加圧ポンプ、22…加圧チューブ、23…圧力検出・調整部、24…空気供給チューブ、30,300…中継機構、30a,300a…インク滞留空間、30in,300in…インク流入口、30out,300out…インク流出口、31,301…上流側割体、32,302…下流側割体、31a,32a…継ぎ手部、33,303…シール部材、40…キャリッジ、41…サブタンク、42…ガイド軸、50…記録ヘッド、51…噴射ノズル、60…キャリッジ駆動部、61a,61b…プーリ、62…タイミングベルト、63…キャリッジモータ、70…プラテン、PJ…突設部。
Claims (6)
- 液体収容体に収容されている液体を液体供給路を介して液体噴射機構に供給し、この供給された液体を同液体噴射機構に設けられている噴射ノズルを通じて噴射する液体噴射装置において、
前記液体供給路の途中に液体滞留空間を有して介在して前記液体噴射機構に至る下流側の液体流出口がこの液体滞留空間の内面から同空間の中心方向に突設された液流中継機構を備える
ことを特徴とする液体噴射装置。 - 前記液流中継機構の前記液体噴射機構に至る下流側の液体流出口は、前記液体滞留空間の中心もしくはその近傍に開口する態様で同液体滞留空間内に突設されてなる
請求項1に記載の液体噴射装置。 - 前記液流中継機構を構成する前記液体滞留空間の空間形状が球形状に形成されてなる
請求項1または2に記載の液体噴射装置。 - 前記液流中継機構は、前記液体滞留空間を少なくとも2分する割体からなり、同液体滞留空間を封止するシール部材を介してそれら割体が接合されてなる
請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体噴射装置。 - 前記液流中継機構は、前記液体滞留空間をその上流側と下流側とで2分する割体からなり、同液体滞留空間を封止するシール部材を介してそれら割体が接合されてなる
請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体噴射装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
当該液体噴射装置がインクジェット式プリンタであって、前記液体収容体が同プリンタの適宜の部位に交換可能に装着されるインクカートリッジであり、前記液体噴射機構が主走査方向に往復移動可能に設けられたキャリッジに搭載された記録ヘッドであり、前記液体供給路が前記インクカートリッジに収容されているインクを前記記録ヘッドに供給するインク供給路であり、前記液流中継機構は、このインク供給路の途中に介在するかたちで設けられてなる
ことを特徴とする液体噴射装置。
Priority Applications (1)
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JP2006056130A JP2007230125A (ja) | 2006-03-02 | 2006-03-02 | 液体噴射装置 |
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JP (1) | JP2007230125A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012176626A (ja) * | 2006-11-29 | 2012-09-13 | Seiko Epson Corp | 液体噴射装置 |
JP2019130874A (ja) * | 2018-02-02 | 2019-08-08 | 株式会社リコー | 液体収容容器、液体を吐出する装置 |
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-
2006
- 2006-03-02 JP JP2006056130A patent/JP2007230125A/ja active Pending
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