以下、図面により本発明を実施するための最良の形態について説明する
図1は本発明に夜液体吐出装置を用いる画像形成装置の外観図である。
図1に示されている画像形成装置は、装置本体1と、装置本体1に装着された用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に着脱自在に装着されて画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ3とを備えている。
さらに、装置本体1の前面の一端部側(給排紙トレイ部の側方)には、前面から装置本体1の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部4を有し、このカートリッジ装填部4の上面は操作ボタンや表示器などを設ける操作/表示部5としている。
カートリッジ装填部4には、色の異なる色材であるインク、例えば黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数のインクカートリッジ10k、10c、10m、10y(色を区別しないときは「インクカートリッジ10」という。)を、装置本体1の前面側から後方側に向って挿入して装填可能とし、このカートリッジ装填部4の前面側には、インクカートリッジ10を着脱するときに開く前カバー(カートリッジカバー)6を開閉可能に設けている。
次に、この液体吐出装置の機構部について図2及び図3を参照して説明する。なお、図2は同機構部の概要を示す側面模式的説明図、図3は同じく要部平面説明図である。
図3において、左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材であるガイドロッド31とステー32とでキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図3で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
キャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッド34a、34b(区別しないときは「液体吐出ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
図2において、液体吐出ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、液体吐出ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、液体吐出ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出することが可能であるし、2つのノズルから同色のインク滴を吐出することもできる。
液体吐出ヘッド34を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ33には、液体吐出ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するための本発明に係る液体容器で構成した液体収容容器としてのヘッドタンク35a、35b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このヘッドタンク35には各色のインク供給チューブ36を介して、前述したように、カートリッジ装填部4に装着された各色のインクカートリッジ10から各色のインクが補充供給される。なお、このカートリッジ装填4にはインクカートリッジ10内のインクを送液するための供給ポンプユニット24が設けられている。
一方、図2に示すように、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
給紙部から給紙された用紙42を液体吐出ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して液体吐出ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって図3のベルト搬送方向に周回移動する。
液体吐出ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪27と、排紙ローラ28及び排紙コロ29とを備え、排紙ローラ28の下方に排紙トレイ3を備えている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット38が着脱自在に装着されている。この両面ユニット38は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット38の上面は手差しトレイ39としている。
図3に示すように、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、液体吐出ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構81を配置している。
維持回復機構81には、液体吐出ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード83と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84などを備えている。
図3に示すように、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には液体吐出ヘッド34のノズル列方向に沿った開口89などを備えている。
このように構成したインク液体吐出装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
キャリッジ33が移動される過程において画像信号に応じて液体吐出ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ33が維持回復機構81側に移動するようになっており、移動した場合には、キャップ82(a〜d)で液体吐出ヘッド34がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ82で液体吐出ヘッド34をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルからインクを吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という。)し、増粘したインクや気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、液体吐出ヘッド34の安定した吐出性能を維持する。
次に、この画像形成装置におけるヘッドタンクについて図4乃至図9を参照して説明する。
なお、図4は液体吐出ヘッドユニットの斜視説明図、図5は同じく側面説明図、図6はヘッドタンク本体(容器本体)の側面説明図、図7は同じく分解斜視説明図、図8は同じく図7と反対側の面側から見た容器本体の概略斜視説明図、図9は同容器本体の底面説明図である。
図4において、液体吐出ヘッドユニットは、1つの液体吐出ヘッド34と、1つの液体吐出ヘッド34の2つのノズル列に同色又はそれぞれ異なる色の記録液を供給するためヘッドタンク35と、ヘッドタンク35と液体吐出ヘッド34との間に介在させたフィルタユニット101とで構成され、液体吐出ヘッド34からは液体吐出ヘッド34のアクチュエータ手段を駆動する信号を伝達するためのフレキシブルケーブル102、102が引き出されている。
ヘッドタンク35は、タンク本体202の両側にそれぞれ記録液収容部であるインク収容部201A、201B(区別しないときは「インク収容部201」という。以下の部材についても同様とする。)を形成し、これらのインク収容部201A、201Bの開口には可撓性を有するフィルム状部材(可撓性フィルム状部材)211を接着又は溶着などが貼り付けられて封止されている。さらにインク収容部201A、201B内部にはタンク本体202とフィルム状部材211との間には、フィルム状部材211を外方に付勢するための弾性部材であるバネ(スプリング)212が配設され、これらのフィルム状部材211及び弾性部材212によって負圧発生機構を構成している。また、容器本体202にはフィルム状部材211の変位に応じて変位する負圧検知レバー213A、213Bを揺動可能に装着している。なお、フィルム状部材211は中央部にバネ212に対応して膨出部211aを形成し、側面から見たときに略富士山形状になる形態に形成されている。
フィルム状部材211は単層構成でもよいが、種類の異なる第1層と第2層とをラミネートした二層構成、例えばポリエチレンとナイロンのフィルム状部材をラミネートした構成としたり、第1層にシリカ蒸着層を形成した構成とすることができる。
タンク本体202の上部には、インク収容部201を大気に開放するための大気開放通路203が形成され、この大気開放通路203を開閉する圧力制御手段としての大気開放機構204A、204Bが備えられている。そして、インク収容部201の天面と大気開放通路203との間には隔壁部205が設けられており、この隔壁部205にインク収容部201と大気開放通路203とを連通している小孔206が形成されている。小孔206は、インク収容部201に収容される記録液粘度や処方によって、ヘッドタンク35が輸送時などの振動で揺れたときでも表面張力によるメニスカスが形成されて大気連通路203内まで記録液が侵入しない形状等を有している。
タンク本体202には、インク収容部201にインクを供給するためのインク供給口部207が形成されており、このインク供給口207には、チューブ36が連結部材208で連結されている。また、容器本体202の上部にはインク収容部201内のインクを検出するための2本の検知電極216が設けられている。
タンク本体202の底面には、インク収容部201A、201Bからフィルタユニット101に個別的にインクを供給するための供給口217A、217Bが、それぞれインク収容部201A、201Bの端部に形成され、また、供給口217A、217Bを中央部分に配置するためにインク収容部201A、201Bには他方の収容部に膨らんだ膨出部218A、218Bが形成されている。
次に、このヘッドタンク35における大気開放機構について図10及び図11をも参照して説明する。なお、図10は同大気開放機構部分の平断面説明図、図11は同じく斜視説明図である。
大気開放機構204は、容器本体202の上部に側方に大気連通路203に通じ、容器本体202の内外を連通する大気開放路220を形成した中空のホルダ取付け部221を一体的に備えている。
ホルダ取付け部221の外端面には弁座223が、ホルダ取付け部221に装着したホルダ222との間で挟み持って保持され、大気開放路220内には弁座223に押し付ける方向にコイルスプリング225で押圧付勢した弁体としてのボール224が収納されている。これらの弁座223、ボール224及びコイルスプリング225によって大気開放路220を開閉可能な弁手段を構成している。なお、弁座223の両面にはシール部材226を介在させている。また、図10中では、大気開放機構204Aは大気開放路220を開放している状態、大気開放機構204Bは大気開放路220Bを閉じている状態を図示している。
ホルダ222は、ホルダ取付け部221に装着する装着部231及び後述する開放部材241を保持するとともに、大気開放路220の出口を形成する部分である保持部232を有している。
保持部232は、装着部231の外周部に形成した切り欠き部222a(図13も参照)をホルダ取付け部221に設けた突起221aに嵌め合わせることでホルダ取付け部221に装着されている。また、このホルダ222の装着部231の外周面には切り欠き部222aを設けることによる強度低下を補うための補強用のリブ231aが形成されている。
このホルダ222の保持部232には、大気開放路220を保持部232で形成される出口部分を介して大気に連通可能な開放部材241が進退可能に装着されている。開放部材241は、ボール224をコイルスプリング225の付勢力に抗して押圧することで弁手段を開放状態にし、大気開放路220を保持部232で形成される出口部分を介して大気に開放することができるようになっている。
開放部材241は、ホルダ222の保持部232に挿通されて弁手段を構成するボール224を押圧する押圧部242と、この開放部材241を外部から押圧する部材である大気開放ピン部材251で押圧される受け部243と、大気開放通路220の出口部分となる保持部232の開口部(中空部)を覆う覆い部244を有している。
開放部材241の押圧部242は側面部242aを切り欠いてホルダ223内周面との間に大気開放用の流路を確保している。また、開放部材241の受け部243は大気開放ピン部材251の断面形状よりも大きな断面形状に形成されている。つまり、受け部243の大気開放ピン部材251が当接可能な面積を大気開放ピン部材251の当接面よりも大きな面積になるように形成している。なお、大気開放ピン部材251は、図示しない電磁ソレノイドなどを用いて装置本体側から矢示方向に進退される部材である。
したがって、ヘッドタンク35の配置位置がずれたとしても、大気開放ピン部材251は確実に開放部材241の受け部243に当接して押圧することができる。これにより開放部材241はボール224を押圧して大気開放路220を開放状態に設定できるので、安定して確実にヘッドタンク35の大気開放(インク収容部201を大気に開放すること)を行うことができる。
つまり、弁を押圧して開放する開放部材と、外部から開放部材を押圧する押圧部材の、接触する部分の面積が同じであると、液体容器の開放部材と押圧部材の位置がずれたときに、押圧部材が開放部材を押圧することができなかったり、不完全になったりして、弁を開放できなくなる。そこで、弁開放部材の面積を外部から開放部材を押圧する押圧部材より大きくすることにより、液体容器の開放部材と押圧部材の位置がずれた場合においても、押圧部材が開放部材を確実に押圧することができるようにしている。
また、上述したように開放部材241には大気開放通路220の出口部分となる保持部232の開口部(中空部)を覆う覆い部244を設けているので、保持部232の内周面と押圧部242の外周面との間(流路部分)に外部から異物が侵入するのを防止できる。つまり、液体容器において流路(連通路)の出口部分が露出していると、周辺の異物が流路内に侵入しやすく、流路内に侵入してしまった異物が流路を封止する弁手段に付着すると気密性が低下する。
そこで、弁手段を開放する開放部材を流路の出口部分を覆う形状にすることにより、流路内に異物が侵入することを防止するようにしている。
次に、開放部材241とホルダ222とは、ホルダ222の保持部232の外周面に形成した凸部233と、開放部材241の覆い部244に形成した凹部245とが嵌め合わされることで、開放部材である開放部材231が弁手段を構成するボール225を押圧する方向に移動可能で保持部232から外れない状態で装着されている。
この構成では、図11(a)に示すように、ホルダ222の保持部232に開放部材241の押圧部242を差し込んで矢示方向に押し込むことにより、開放部材241の覆い部244がホルダ222の凸部233に乗り上げながら押し込まれ、これにより、同図(b)に示すように、ホルダ222の凸部233が開放部材241の凹部245に嵌まり込む。
この結果、つまり、ホルダ222の凸部233が開放部材241の凹部245に嵌り込むと、開放部材241はコイルスプリング225の付勢力で押されてホルダ222から外れることが防止されるとともに、凹部245の長さ分だけ矢示方向に移動可能となって弁体であるボール224を押し込んで開放することができる状態になる。
なお、ここでは、連通路の出口を形成する部分に対して、開放部材を、弁手段を押圧する方向に移動可能で、連通路の出口を形成する部分から開放部材が外れない状態で装着するために、連通路の出口を形成する部分の外側に凸部(凸部233)を、開放部材の内側に凸部に嵌め合う凹部(凹部245)が形成されている構成で説明しているが、凸部と凹部の関係を逆にした構成とすることもできる(以下の実施形態でも部材の構成上可能な限り同様である。)。
このように構成した画像形成装置においては、図示しない駆動ユニットで大気開放ピン部材251を作動させて、ヘッドタンク35の大気開放弁機構204を開状態にすることにより、ヘッドタンク35内を大気開放状態にする。
そして、インクカートリッジ10から供給ポンプユニット24によってインクをヘッドタンク35に送液して補充供給する。このとき、ヘッドタンク35内の空気は大気開放弁機構204を通じて排出されることになる。
その後、大気開放弁機構204を閉状態にしてヘッドタンク35内を大気開放から遮断した状態にし、液体吐出ヘッド34をサブシステム71のキャップ72Aでキャッピングした状態でヘッドタンク35内のインクをノズルから吸引する(ヘッド吸引を行う)ことにより、可撓性フィルム状部材102にはバネ103の付勢力が掛かっているため、ヘッドタンク35内には負圧が発生する。
以上のようなヘッドタンク35および液体吐出ヘッドユニットの構成を対象として、本発明の特徴について説明する。
本発明の特徴は、フィルタユニットにおける混入気泡の取り扱いにあり、具体的には、気泡をフィルタ部に停留させないようにしてインクの移動を阻害しないようにしたことにある。
このための構成に関して図12乃至図14を用いて説明する。なお、図12は同フィルタユニットの断面模式図、図13、14はそれぞれ気泡混入時の状態説明図である。ここでは、図を簡単にするためフィルタユニットが一つの色を貯蔵する場合の構造で説明する。多色の液滴を吐出するようにした場合には、一つのフィルタユニット内に複数のフィルタ室を一体形成することになる。
図12において、フィルタユニット101は、第1のフィルタケース301と第2のフィルタケース302とでその内部にフィルタ室300を形成している。
フィルタ室300内には、液体吐出ヘッド34に供給するインクを濾過するステンレス製のフィルタ303が、水平方向に対して10°〜30°の角度で取り付けてられている。
フィルタ303が取り付けられている部分は、フィルタ室300に向けインクが流れるインクの供給流路の一部であり、その流路は、フィルタ室300を挟んだ一方がフィルタ303の取り付け角度である10〜30°に傾斜させた通路で構成されている。ここで、フィルタ室300のフィルタ303より上流側の供給流路を304a、下流側の供給流路304bとする。
フィルタ303は、原理的には、第1のフィルタケース301と第2のフィルタケース302のいずれにも取り付けることができるが、フィルタを溶着、又は接着する際に、接合部からゴミが発生しやすいため、第1のフィルタケース301に取り付けることが望ましい。
フィルタ303には、金属繊維不織布焼結体、綾畳折りされた金属体あるいは樹脂製メッシュなどが用いられ、メッシュ構造の場合には、粒径が20μm以下の粒子を補足可能なメッシュ寸が設定されている。これにより、インクなどの液体の移動抵抗を少なくしながら一定以上の大きさの異物や不定形の異物の通過を阻止してさいの目詰まりを抑制されることになる。また、樹脂製フィルタの場合には溶着などの面倒な接合作業を要しないですませることができ、組み付けあるいは交換の際の作業性を向上させることができる。
フィルタユニット101は、インク供給経路に比べて大きい断面積を有する構成とし、フィルタ303における単位面積あたりのインク流量を、インク供給経路における単位面積あたりの流量よりも少なくし、高速印字のためにインク流量が増加した場合にもフィルタ部における圧力損失がインク供給に影響を与えない構成としている。
このような画像形成装置においては、図13(a)ように、メインタンクの交換時に侵入する気泡や、溶存空気に起因する気泡(符号Buで示す)が、液体吐出ヘッド34へのインク供給に伴ってフィルタ室300に集まることがある。
通常、混入した気泡Buは、液体吐出ヘッド34をサブシステム71のキャップ72Aでキャッピングした状態で、液体吐出ヘッド34のノズルからヘッド吸引を行うことにより排出するが、気泡がフィルタを通過するにはフィルタと気泡とのメニスカスを破壊するだけの圧力が必要であり、これに伴い廃インク量が増大してしまう。
しかし、本実施形態に用いた構成のフィルタユニットにおいては、印字が完了し液体吐出ヘッドへのインク供給が終了した後、フィルタ室300へ到達した気泡は、図13(b)のように、時間経過とともにその浮力によって供給流路304aの斜面に沿って上昇し、最終的には、図13(c)のようにヘッドタンク35へと導かれることになる。
ヘッドタンク35へと導かれた気泡はヘッドタンク35内の2本の検知電極216がインクを検出しなくなるまで、ヘッドタンク35の上部へ蓄積される。従って、供給流路304aは、気泡を誘導する構造部として機能していることになる。
気泡が上昇するまでの時間をなるべく短縮するために、フィルタ303及び供給流路304aの傾斜角度を傾けた方がよいが、角度をつけるほどフィルタユニット101の高さが高くなってしまい、液体吐出ヘッドユニット全体の小型化に不利である。この実施例では気泡上昇にかかる時間と液体吐出ヘッドユニットレイアウトの関係上、傾斜角を10°〜30°の範囲内に設定している。
また、インク供給が間に合わず、ノズルダウンを引き起こしてしまった時には、ノズルから空気を引き込んでしまう。これらの気泡も自身の浮力によって上昇し、インク供給経路304bを通り最終的にはフィルタ室300に蓄積してしまう。
通常はこの気泡も液体吐出ヘッド34のノズルからヘッド吸引を行うことにより排出するが、これにより液体吐出ヘッド34内の図示しない共通液室内や供給流路304bのインクも排気しなければならない。
しかし、上記のような構成のフィルタユニットにおいては、図14(a)(b)(c)に示すように、フィルタ室300の下流側のインク供給流路304bに気泡をトラップする気泡収容室、つまり、気泡が浮力により突き当たって滞留する部分を備えているので、万が一ノズルダウンを引き起こした時も、ノズルから引き込んだ気泡がフィルタ室へ蓄積することがなく、ノズルダウンを回復するためのヘッド吸引量も、液体吐出ヘッドの図示しない個別液室を充填するだけのインク量で済むので、廃インク量を最小限にとどめることができる。なお、図14において矢印Fは、インクの移動方向を示している。
気泡収容室が気泡で満杯になってしまったら、液体吐出ヘッド34のノズルからヘッド吸引を行うことにより排出するしかないが、ノズルダウンにより混入する気泡量は、フィルタ室上流側から侵入する気泡量に比べてごく少量であるので、気泡収容室の容積は、画像形成装置の使用期間内に想定される混入気泡量以上とすれば、さらに廃インク量を低減することが可能である。
本発明のフィルタユニットに関する別の実施形態について図15〜17にそれぞれ示す。
図15において、フィルタユニット(便宜上、符号100’で示す)は、第1のフィルタケース(便宜上、符号301’で示す)と第2のフィルタケース(便宜上、符号302’で示す)とでその内部にフィルタ室305を形成している。
フィルタ室305には、垂直方向にして取り付けられたフィルタ303が設けられており、フィルタ303を挟んでインクの移動方向上流側および下流側にインクの供給通路(便宜上、符号304a’、304b’で示す)が設けられている。
フィルタ室305フィルタ303を挟んでフィルタ室305は仕切られており、下流側の供給通路304b’が対向する壁面には凹状のトラップ部305Aが設けられている。なお、図17において矢印Fは、インクの移動方向を示している。
この実施形態でのフィルタユニットは、フィルタを水平方向に対して垂直に溶着しているためフィルタユニットの幅を狭くすることが可能である。
このように、この画像形成装置では本発明に係るフィルタユニットを備えているので、インク供給経路内に気泡が侵入しても、廃インク量を低減でき、且つインク供給不足を生じることなく高速で、高画質画像を安定して形成することができる。
この構成においては、図16に示すように、上流側の供給通路304a’に侵入した気泡は、供給通路に沿って浮力で上昇し、また、下流側の供給通路304b’に侵入した気泡は、浮力により上昇してフィルタ室305のトラップ部305Aに滞留するようになり、図13および図14に示した場合と同様な作用が得られる。
なお、本発明による液体吐出装置を用いた画像形成装置は、プリンタ単機能に限らず、プリンタ/ファクシミリ/複写などの複合機能を持ち合わせたものであってもよく、これに応じて液体容器も装置の形式に適用させた構成とすることもちろん可能である。